説明

空気清浄機および電解水ミスト発生器

【課題】給水タンク出入口の蓋が生成中の電解水ミストを筐体内に閉じこめてしまうといった事態が生じないようにする。
【解決手段】空気清浄機1は、筐体20と、筐体20内に形成された空気流通経路27と、空気流通経路27に配置された空気清浄装置28及び送風装置29と、電解水生成装置44と、電解水生成装置44が生成した電解水をミスト化する電解水ミスト生成装置45を備える。筐体20の天面20aには、天面排気口25と、天面排気口25に隣接して、給水タンク48を筐体20に挿入する給水タンク出入口20bが形成される。給水タンク出入口20bには天面排気口25に隣接する側を支点として開閉する蓋49が設けられる。蓋49には、それが天面排気口25に重なったとき、行き場を失った電解水ミストが筐体20内にこもるのを防ぐ電解水ミスト処置装置70が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機および電解水ミスト発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の空気清浄機には、ウィルス等の微生物の活動を抑え込む機能を備えたものが多くなっている。特許文献1に記載された空気清浄機もその一例である。特許文献1記載の空気清浄機は、電解水のミストを、空気清浄機内で清浄化された空気を用いて機外に放散し、室内空気の殺菌や脱臭を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−37589号公報(国際特許分類:A61L9/14、A61L9/01、C02F1/46)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気清浄機に電解水生成装置を搭載して電解水ミストを機外に放散することとすると、電解水生成装置に水を供給する給水タンクが必要になる。空気清浄機の筐体には給水タンク出入口を設けねばならない。このような場合、給水タンク出入口と電解水ミスト放散部の位置関係によっては、給水タンク出入口の蓋が電解水ミスト放散部を塞ぎ、生成中の電解水ミストが筐体内に閉じこめられるという事態が生じ得る。これは、筐体内部の配線や回路基板に水滴が付着して漏電やショートを生じたり、筐体内部の金属部品が錆びたりするという問題につながる。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、筐体に、電解水生成装置に水を供給する給水タンクを出し入れする給水タンク出入口を設けるにあたり、給水タンク出入口の蓋が生成中の電解水ミストを筐体内に閉じこめてしまうといった事態が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、空気清浄機は、筐体と、前記筐体内に形成され、一方の端が吸気口、他方の端が排気口となった空気流通経路と、前記空気流通経路に配置された空気清浄装置及び送風装置と、前記筐体に内蔵された電解水生成装置と、同じく前記筐体に内蔵され、前記電解水生成装置が生成した電解水をミスト化し、この電解水ミストを前記排気口から出る排気中に放出する電解水ミスト生成装置を備え、前記筐体の天面には前記排気口の少なくとも一部をなす天面排気口と、当該天面排気口に隣接して前記電解水生成装置に給水を行う給水タンクを当該筐体に挿入するための給水タンク出入口が形成され、前記給水タンク出入口には前記天面排気口と隣接する側を支点として開閉する蓋が設けられ、当該蓋は、全開状態では前記天面排気口に重なってこれを閉塞するものであるとともに、前記蓋には、当該蓋が前記天面排気口に重なったとき、行き場を失った前記電解水ミストが前記筐体内にこもるのを防ぐ電解水ミスト処置装置が設けられている。
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の空気清浄機において、前記電解水ミスト処置装置は、前記蓋の開閉に伴ってオン状態とオフ状態を切り替えるスイッチであって、前記蓋が閉じたときは前記電解水ミスト生成装置の稼働を可能にし、前記蓋が開いたときは前記電解水ミスト生成装置の稼働を停止させるスイッチにより構成される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の空気清浄機において、前記スイッチは、前記蓋が開いたとき、前記送風装置と前記電解水生成装置の稼働も停止させる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の空気清浄機において、前記電解水ミスト生成装置が生成する電解水ミストはミストノズルを通じて前記天面排気口の出口部に放出されるものであり、前記電解水ミスト処置装置は、前記蓋が全開状態となったときに前記ミストノズルの出口が機外に露出するよう当該蓋に形成されたミスト通過部により構成される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、電解水ミスト発生器は、筐体と、前記筐体内に形成され、一方の端が吸気口、他方の端が排気口となった空気流通経路と、前記空気流通経路に配置された送風装置と、前記筐体に内蔵された電解水生成装置と、同じく前記筐体に内蔵され、前記電解水生成装置が生成した電解水をミスト化し、この電解水ミストを前記排気口から出る排気中に放出する電解水ミスト生成装置を備え、前記筐体の天面には前記排気口の少なくとも一部をなす天面排気口と、当該天面排気口に隣接して前記電解水生成装置に給水を行う給水タンクを当該筐体に挿入するための給水タンク出入口が形成され、前記給水タンク出入口には前記天面排気口と隣接する側を支点として開閉する蓋が設けられ、当該蓋は、全開状態では前記天面排気口に重なってこれを閉塞するものであるとともに、前記蓋には、当該蓋が前記天面排気口に重なったとき、行き場を失った前記電解水ミストが前記筐体内にこもるのを防ぐ電解水ミスト処置装置が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、給水タンク出入口の蓋が天面排気口に重なったとき、電解水ミスト処置装置の働きで、行き場を失った電解水ミストが筐体内にこもることを防ぐことができるから、筐体内部の配線や回路基板に水滴が付着して漏電やショートを生じたり、筐体内部の金属部品が錆びたりするという問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気清浄機の斜視図である。
【図2】図1の空気清浄機の垂直断面図である。
【図3】図1の空気清浄機の垂直断面図で、図2と異なる状態を示すものである。
【図4】図1の空気清浄機の垂直断面図で、断面方向を図2と直角に設定したものである。
【図5】図1の空気清浄機の上面図である。
【図6】図1の空気清浄機の水平断面図である。
【図7】図1の空気清浄機の水平断面図で、図6と異なる状態を示すものである。
【図8】図1の空気清浄機の水平断面図で、図6及び図7と異なる状態を示すものである。
【図9】ミストノズルの方向変化の説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る空気清浄機の斜視図である。
【図11】図10の空気清浄機の上面図である。
【図12】図10の空気清浄機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図9までの図に基づき本発明の第1実施形態に係る空気清浄機の構造と動作を説明する。
【0014】
空気清浄機1は、平面形状円形の台座10と、その上に支持される、略直方体形状の筐体20を備える。台座10は筐体20を垂直軸線まわりに回動可能に支持するものであるが、その具体的構造は後で説明する。筐体20の説明に用いる方位表現については、筐体20の正面に向かって左側が左、右側が右、と定義する。他の構成要素の説明に用いる方位表現もこれにならうものとする。
【0015】
筐体20の正面中央下部には操作部21が設けられている。操作部21には、垂直方向に3個並んだ押釦式のスイッチ22と、垂直方向に複数個並んで空気清浄機1の運転状況その他の情報を表示するランプ23が配置されている。ランプ23は発光ダイオード(LED)により構成される。
【0016】
筐体20の左右の側面にはそれぞれ吸気口24が形成される。筐体20の天面20aは中央を左右に走る中央境界線Cにより前後に二分され、前方の一半に天面排気口25が形成されている。筐体20の正面上部には正面排気口26が形成されている。
【0017】
筐体20の内部には、吸気口24を一方の端とし、天面排気口25と正面排気口26を他方の端とする空気流通経路27が形成される。空気流通経路27には空気清浄装置28と送風装置29が配置される。
【0018】
空気清浄装置28は、吸気口24から筐体20の中に入れられる空気清浄フィルタ30(図4参照)により構成される。空気清浄フィルタ30は目の比較的粗い粗塵用フィルタよりなるが、必要に応じて脱臭フィルタ、目の細かい細塵用フィルタなどを組み合わせたものとしてもよい。
【0019】
吸気口24には桟を格子状に組んだガードグリル31がはめ込まれる。ガードグリル31は筐体20の中に手指等が差し込まれるのを防ぐとともに、筐体20の中に空気清浄フィルタ30を押さえ込む役割も果たす。
【0020】
送風装置29は、吸気口24から吸い込まれ、天面排気口25及び正面排気口26から排出される空気流を形成するものであって、シロッコファン32及びそれを回転させる図示しないモータと、シロッコファン32を囲むファンケーシング33により構成される。ファンケーシング33は左右対称形状であって、左右の端面が吸込口部34となっている。吸込口部34には空気清浄フィルタ30がぴったりと押し付けられ、その結果、空気清浄フィルタ30で清浄化された空気だけがファンケーシング33に入ることになる。
【0021】
ファンケーシング33の内部は垂直な仕切壁35により左右の区画に仕切られており、各区画はそれぞれ1個のシロッコファン32を収容している。前記図示しないモータは仕切壁35に取り付けられる両軸型のモータであって、シロッコファン32は自身が収納された区画内に延び出したモータ軸に固定され、水平軸線まわりに回転する。
【0022】
ファンケーシング33の各区画の上部に設けられた吐出口部36は、ファンケーシング33の上に設けられたダクト37の下端に接続する。ダクト37は空気流通経路27の一部をなすものであり、上端に天面排気口25が位置し、天面排気口25に至るまでの箇所に正面排気口26が位置している。
【0023】
図1及び図5に示すように、天面排気口25の内側には桟を格子状に組んだガードグリル38が配置される。ガードグリル38はダクト37の中に手指等が差し込まれるのを防ぐ。
【0024】
天面排気口25にはルーバー39が設けられる。ルーバー39は空気清浄機や空気調和機等で周知の構成のものであって、複数(本実施形態では2枚)のブレード40が、図示しない連結機構により、同期して同じ角度だけ回転するように連結されている。実施形態1のルーバー39は、水平に対し90°をなす位置からから30°をなす位置まで角度を変えられるようになっている。
【0025】
ルーバー39は手動式とすることもできるし、電動式とすることもできる。手動式とした場合は、ブレード40の1枚をつまんで、あるいは図示しない操作つまみにより、ブレード40の角度を変える。電動式とした場合は、図示しないモータによりブレード40の角度変更あるいはスイングを行う。いずれも周知構造である。
【0026】
正面排気口26と天面排気口25の間には、どちらの排気口が主たる排気口として機能するかを切り替える排気口切替装置41が配置される。排気口切替装置41は正面排気口26に配置されたルーバー42により構成される。ルーバー42は図示しない軸を支点として水平軸線まわりに回動するものであり、正面排気口26を閉ざす第1の位置(図2の実線の位置)と、正面排気口26を開き、天面排気口25に向かう空気流を阻害する第2の位置(図2の破線の位置)の間で回動可能となっている。
【0027】
ルーバー42は断面矩形の筒状であり、前記第2の位置をとったときダクト37の奥の壁面に向き合う部位に張出部42aを形成した形状となっている。張出部42aはダクト37の奥の壁面との間隙を狭め、天面排気口25に向かう空気の割合を少なくするとともに、ルーバー42の筒の中に空気を取り込む働きをする。
【0028】
ルーバー42は、第1の位置では送風装置29が吹き上げる空気流を真っ直ぐ天面排気口25に向かわせる。第2の位置では、ルーバー42に阻害される空気流の大半はルーバー42の筒の中またはルーバー42の下に開いた正面排気口26の開口部を通って正面側に吹き出すことになる。第2の位置でルーバー42は、ダクト37を完全に閉ざしている訳ではないので、天面排気口25に向かう空気はゼロにはならない。ルーバー42の角度を第1の位置と第2の位置の中間にすれば、ルーバー42に捕捉されるだけの量の空気が、ルーバー42が向いている角度に正面排気口26より吹き出す。
【0029】
ルーバー39と同様、ルーバー42は手動式とすることもできれば電動式とすることもできる。
【0030】
筐体20の内部には、ファンケーシング33の上であって、ダクト37の背後という位置に、電解水生成ユニット43が配置される。電解水生成ユニット43は、ケーシングの中に、電解水生成装置44と、電解水生成装置44が生成した電解水をミスト化する電解水ミスト生成装置45を備える(図4参照)。電解水生成装置44の主たる構成要素は、電解水生成ユニット43の左端に近い位置に配置された1対の電極46であり、電解水ミスト生成装置45の主たる構成要素は、電解水生成ユニット43の右端に近い位置に配置された超音波振動子47である。給水タンク48が電解水生成ユニット43の上に置かれると、給水タンク48の中の水が電解水生成ユニット43に供給される。その水を電解水生成装置44が電解水に変え、その電解水を電解水ミスト生成装置45が電解水ミストに変えるものである。
【0031】
中央境界線Cによって二分された筐体20の天面20aの中で、後方の一半の箇所には、天面排気口25に隣接する形で、給水タンク48を筐体20に挿入するための給水タンク出入口20b(図3参照)が形成される。給水タンク出入口20bには蓋49が設けられる。蓋49は天面20aの半分そのままの形状であり、天面排気口25と隣接する側、すなわち中央境界線Cを支点として開閉する。中央境界線Cが開閉支点となるように蓋49を取り付ける方法としては、例えば、天面20aを1個の合成樹脂成型品で構成し、中央境界線Cを薄肉ヒンジ部とする手法がある。合成樹脂にはポリプロピレンを選択する。この他、別部品のヒンジで蓋49を取り付ける手法も採用可能である。
【0032】
蓋49は、図2に示す全閉状態から図3に示す全開状態まで180°反転可能であり、全開状態にすれば給水タンク48を取り出して水を補給することができる。
【0033】
電解水ミスト生成装置45に対し、送風装置29から吐出される空気の一部を取り入れる空気取入ダクト50と、天面排気口25から排出される排気中に電解水ミストを放出するミストノズル51が設けられる。空気取入ダクト50は入口をダクト37の内部に向ける形で配置され、ミストノズル51は出口を天面排気口25内において斜め前方上方に向ける形で配置される。空気取入ダクト50とミストノズル51はいずれも電解水生成ユニット43から延び出すものであり、両者の間には電解水ミスト生成装置45の上部空間を経由する空気通路が形成されている。
【0034】
ファンケーシング33の下には制御ボックス52が配置される。制御ボックス52の中には空気清浄機1の制御装置を構成する回路基板53が収納されている。
【0035】
台座10と筐体20は次のような仕組みで連結される。筐体20の下面中心に軸部54が一体成型される。軸部54は台座10の中心を貫通し、ワッシャーとナットの組み合わせなどの抜け止め手段で台座10に連結される。これにより筐体20は、台座10に対し垂直軸線まわりに回動可能に連結されることになる。
【0036】
軸部54だけでは筐体20が安定しないので、筐体20の下面には軸部54を囲む同心円状の環状リブ55が形成され、台座10には環状リブ55が嵌合する環状溝56が形成される。大直径の環状リブ55が環状溝56の底面に接触して滑ることにより、筐体20は傾いたりがたついたりすることなく安定して回転する。
【0037】
筐体20は、扇風機が首を振るように台座10に対し反転回動せしめられる。そのための首振りモータ57が筐体20の内部に配置される。首振りモータ57は竪軸であり、且つ減速機構内蔵タイプであり、下面に出力軸58(図7参照)が突出している。出力軸58にはクランク59が固定され、クランク59にはコネクティングロッド60の一端が連結される。コネクティングロッド60の他端は、筐体20の底面に形成された円弧状開口61を通じて台座10に連結されている。
【0038】
筐体20の正面下部と台座10の上面には、それぞれ合印62が形成される。第1実施形態では、互いに頂点を向かい合わせる三角形が合印62とされているが、これに限定される訳ではない。それらが対をなすことが一目瞭然の形状であれば、どのようなものであってもよい。合印62の形成は、印刷によるのが簡単であるが、シールを貼ったり、筐体20と台座10の射出成型時にその形状を形成したりするなどの手法を採用してもよい。
【0039】
上記のように連結された台座10と筐体20の運搬を容易にするため、筐体20の左右側面の上端近くには手掛け部63が形成されている。
【0040】
続いて空気清浄機1の動作を説明する。給水タンク48の中の水が不足し、電解水生成ユニット43の中の水位が所定レベルに達していないときは、図示しないセンサがそれを検知し、操作部21に水不足の旨の表示が出る。水不足の表示を見たときは、蓋49を全開状態にし、給水タンク48を取り出して水を補給する。水補給後、給水タンク48を電解水生成ユニット43の上に置くと、給水タンク48から流れ出す水によって水位が回復し、水不足の表示は消える。蓋49を全閉状態にすれば、空気清浄機1の運転が可能になる。
【0041】
空気清浄機1を運転すると、送風装置29、電解水生成装置44、及び電解水ミスト生成装置45に給電が行われ、これらの構成要素はそれぞれ定められた動作を開始する。
【0042】
電解水生成装置44の電極46に所定の電圧(例えば10V)が印加されると、電極46が浸っている水が電気分解されて電解水となる。
【0043】
電圧の印加は、1対の電極46が断続的に(例えば1時間毎に3〜10分程度)交互に逆極性となるように行われる。水が塩素を含む水道水であれば、次のような電気化学反応が生じる。
<陽極側>
4HO−4e→4H+O↑+2H
2Cl→Cl+2e
O+Cl←→HClO+H+Cl
<陰極側>
4HO+4e→2H↑+4OH
<電極間>
+OH→H
上記反応により、除菌作用と脱臭作用のある次亜塩素酸(HClO)や活性酸素を含む電解水が生まれる。
【0044】
電解水生成装置44で生成された電解水は電解水ミスト生成装置45へと流れる。電解水ミスト生成装置45の超音波振動子47を発振させると、電解水の水面からミストが発生し、電解水ミスト生成装置45の上部空間に充満する。
【0045】
ここで送風装置29を駆動すると、吸気口24→空気清浄装置28→送風装置29→天面排気口25及び正面排気口26という空気の流れが生じる。吸気口24から吸い込まれた空気は、空気清浄フィルタ30を通過する際に塵埃を捕捉されて清浄になる。清浄化された空気が送風装置29に吸い込まれ、ダクト37に吐出される。
【0046】
ルーバー42が図2に実線で示す第1の位置にあれば、空気は天面排気口25からのみ排出されることになる。その際、ダクト37を流れる空気の一部が空気取入ダクト50に取り込まれ、電解水ミスト生成装置45の上部空間に入り込む。電解水ミストは、電解水ミスト生成装置45の上部空間に入り込んだ空気に巻き込まれてミストノズル51へと押し出され、ミストノズル51の先端の出口より、天面排気口25から出る排気中に放出される。全ての排気が天面排気口25に集中している中に電解水ミストが放出されるので、電解水ミストは上方へ力強く吹き飛ばされ、広範囲に放散する。
【0047】
ルーバー39のブレード40が水平から90°立ち上がった位置に来ると、電解水ミストはほぼ真上に吹き出す。ルーバー39を前方に傾ければ、電解水ミストの吹き出し方向が前方寄りに変わる。ルーバー39が電動式であれば、ブレード40をスイングさせ、風向を連続的に変えることができる。
【0048】
ルーバー42を、図2に破線で示す第2の位置にすると、天面排気口25に向かう空気流が阻害され、空気の多くはルーバー42の筒の中またはルーバー42の下に開いた正面排気口26の開口部を通って正面側に吹き出すことになる。天面排気口25からの排気量が減り、風速が低下するので、その中に放出される電解水ミストは遠くまで吹き飛ばされることがなく、また正面排気口26からの排気によってより前方に向かい、空気清浄機1の周囲に濃密に漂う。
【0049】
図に示す通り、ミストノズル51の先端部は斜め前方上方に向けて屈曲されているが、これは、電解水ミストを空気清浄機1の真上よりも前方に向けて放出するためである。空気清浄機1は部屋の壁に沿って置かれることが多いので、真上よりも前方に向けて放出することとして、壁に電解水ミストが付着してしまうことのないようにしたものである。
【0050】
ミストノズル51の先端と天面排気口25の前縁とは当接しておらず、両者間に隙間が存在する。もし両者が当接していると、当接部分に電解水ミストが結露しやすくなるが、隙間が存在すれば、図2の矢印の如くそこから空気が吹き上がるので、ミストノズル51の先端部が結露しようとしても水滴が吹き飛ばされ、結露が防止される。
【0051】
ミストノズル51を安定して取り付けるため、図示しない支え板を設け、その上にミストノズル51を載置する構成とするのが好ましいが、支え板を設ける場合は、支え板の中で、ミストノズル51の先端部に対応する箇所に風が通る穴または切り欠きを設け、そこから、図2の矢印のように、ノズル51と天面排気口25の前縁との隙間を通って空気が流れるようにしておくとよい。
【0052】
以上の通り、排気口切替装置41の操作で電解水ミストの放散態様を簡単に切り替えることができる。
【0053】
天面排気口25も正面排気口26も、筐体20の中で吸気口24が存在する側面とは別の側面に配置されている。このため、天面排気口25または正面排気口26から排出された清浄な空気が直ちに吸気口24に吸い込まれてしまうという、いわゆるエアーショートを防ぐことができる。
【0054】
所定のスイッチ22を操作して首振りモータ57を駆動すると、筐体20が台座10の上で垂直軸線まわりに反転回動する。図6は反転回動停止時の首振り中心を示すものであり、この時、筐体20と台座10の合印62は互いに一致する位置にある。首振りモータ57の回転でクランク59が回転すると、クランク59はコネクティングロッド60を介して台座10を押したり、引いたりし、その結果、図7及び図8に示すように、筐体20は右回りの回動と左回りの回動を繰り返すことになる。図9に示すように、ミストノズル51も左右に向きを変え、電解水ミストを広い範囲に振り撒く。この時、筐体20と台座10の合印62同士の位置関係を見れば、筐体20が首振り中心にあるのか、それとも首振り中心から右または左に振れているのかを明瞭に認識することができる。
【0055】
電解水ミストの放散を続けると、給水タンク48の中の水が消費され、水位が低下する。水位が所定レベル未満となったことを図示しないセンサが検知すると、水の補給を促す表示が操作部21に出る。その表示を見たときは、使用者は蓋49を全開状態にして給水タンク48を取り出し、水を補給する。
【0056】
蓋49を全開状態にすると、天面排気口25が塞がれてしまう。電解水ミスト生成中であると、行き場を失った電解水ミストが筐体20内にこもる。筐体20内にこもった電解水ミストが空気流通経路27の内部に留まっていてくれれば良いが、往々にして空気流通経路27の外に漏洩し、筐体20の内部の配線や回路基板、金属部品などに付着する。配線や回路基板に水滴が付着すれば漏電やショートの懸念が生じ、金属部品に付着すれば錆の懸念が生じる。本発明では、前述の懸念を払拭すべく、蓋49に電解水ミスト処置装置70を設けた。
【0057】
第1実施形態における電解水ミスト処置装置70は、給水タンク出入口20bに設けたスイッチ71により構成される。スイッチ71は蓋49の開閉に伴ってオン状態とオフ状態を切り替えるものであり、蓋49が閉じたときは電解水ミスト生成装置45の稼働を可能にし、蓋49が開いたときは電解水ミスト生成装置45の稼働を停止させる。
【0058】
給水タンク48を取り出すため蓋49を全開状態にすると、スイッチ71の状態が切り替わり、電解水ミスト生成装置45の稼働が停止する。このため、天面排気口25が蓋49によって塞がれているにも関わらず、筐体20の内部に電解水ミストがこもらない。
【0059】
スイッチ71としては、蓋49でアクチュエータを押されるマイクロスイッチ形式の機械的スイッチを用いれば良いが、他の形式のスイッチも使用可能である。例えば、反射光または透過光を検知してオン/オフする光電式スイッチや、磁界の変化でオン/オフする磁気スイッチ(例えばホール素子)などを用いることができる。
【0060】
電解水ミスト処置装置70が、電解水ミスト生成装置45に加えて、電解水生成装置44と送風装置29の稼働も停止させるよう構成することもできる。このようにすれば、電解水ミスト生成装置45が停止しているのに電解水生成装置44と送風装置29が稼働し続けているという無駄を避けることができる。
【0061】
図10から図12に本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態では、ルーバー39の2枚のブレード40のうち、ミストノズル51のミスト出口である先端部に向き合うものには、その先端部を機外に露出させる切除部40aが形成されている。これにより、ルーバー39が30°まで倒されたとしても、電解水ミストの噴流がブレード40に当たることがなくなり、一定角度に向けた電解水ミストの放散を継続することができる。またブレード40の下面に電解水ミストが結露することもない。
【0062】
第2実施形態は、電解水ミスト処置装置70の構成が第1実施形態と異なる。すなわち第2実施形態の電解水ミスト処置装置70は、蓋49が全開状態となったときにミストノズル51の出口が機外に露出するよう当該蓋に形成されたミスト通過部72により構成される。ミスト通過部72は蓋49の端に形成された凹部であり、図12のように蓋49を全開状態にしたとき、ミストノズル51の先端は正面の斜め上方から見える形になる。このため、蓋49が全開状態になった時に電解水ミスト生成中であっても、電解水ミストはミスト通過部72を通って流れ続けるから、それが筐体20の内部にこもることはない。
【0063】
ミスト通過部72は、図に示すような凹部に限られない。蓋49に形成した切り欠きや貫通穴であってもよい。
【0064】
上記各実施形態はいずれも加湿機能を備えていないが、加湿機能を備えた空気清浄機にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【0065】
また、上記各実施形態はいずれも空気清浄装置28を有する空気清浄機1についてのものであったが、空気清浄装置を有さないもの、すなわち電解水ミスト発生器の実施形態を構成することもできる。
【0066】
排気口切替装置41であるルーバー42は、第2の位置にしたとき、天面排気口25に向かう空気を完全にシャットアウトし、全ての空気が正面排気口26より排出されるようにすることもできる。この場合には、電解水ミスト生成装置45を停止させて、正面から風が吹き出す扇風機として用いることができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、上記の実施形態では天面排気口25と給水タンク出入口20bで筐体20の天面を二分しているが、筐体20の天面には他の構成要素が位置することもあり(例えば操作部21など)、そのような場合には「二分」を墨守する必要はない。要は、天面排気口に隣接して給水タンク出入口が設けられ、給水タンク出入口を開閉する蓋が、天面排気口に隣接する側を支点に開閉する構造でありさえすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は空気清浄機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 空気清浄機
10 台座
20 筐体
20a 天面
C 中央境界線
20b 給水タンク出入口
24 吸気口
25 天面排気口
26 正面排気口
27 空気流通経路
28 空気清浄装置
29 送風装置
39 ルーバー
41 排気口切替装置
42 ルーバー
43 電解水生成ユニット
44 電解水生成装置
45 電解水ミスト生成装置
48 給水タンク
49 蓋
51 ミストノズル
70 電解水ミスト処置装置
71 スイッチ
72 ミスト通過部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に形成され、一方の端が吸気口、他方の端が排気口となった空気流通経路と、
前記空気流通経路に配置された空気清浄装置及び送風装置と、
前記筐体に内蔵された電解水生成装置と、
同じく前記筐体に内蔵され、前記電解水生成装置が生成した電解水をミスト化し、この電解水ミストを前記排気口から出る排気中に放出する電解水ミスト生成装置を備え、
前記筐体の天面には前記排気口の少なくとも一部をなす天面排気口と、当該天面排気口に隣接して前記電解水生成装置に給水を行う給水タンクを当該筐体に挿入するための給水タンク出入口が形成され、
前記給水タンク出入口には前記天面排気口と隣接する側を支点として開閉する蓋が設けられ、当該蓋は、全開状態では前記天面排気口に重なってこれを閉塞するものであるとともに、
前記蓋には、当該蓋が前記天面排気口に重なったとき、行き場を失った前記電解水ミストが前記筐体内にこもるのを防ぐ電解水ミスト処置装置が設けられていることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記電解水ミスト処置装置は、前記蓋の開閉に伴ってオン状態とオフ状態を切り替えるスイッチであって、前記蓋が閉じたときは前記電解水ミスト生成装置の稼働を可能にし、前記蓋が開いたときは前記電解水ミスト生成装置の稼働を停止させるスイッチにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記スイッチは、前記蓋が開いたとき、前記送風装置と前記電解水生成装置の稼働も停止させることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記電解水ミスト生成装置が生成する電解水ミストはミストノズルを通じて前記天面排気口の出口部に放出されるものであり、前記電解水ミスト処置装置は、前記蓋が全開状態となったときに前記ミストノズルの出口が機外に露出するよう当該蓋に形成されたミスト通過部により構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項5】
筐体と、
前記筐体内に形成され、一方の端が吸気口、他方の端が排気口となった空気流通経路と、
前記空気流通経路に配置された送風装置と、
前記筐体に内蔵された電解水生成装置と、
同じく前記筐体に内蔵され、前記電解水生成装置が生成した電解水をミスト化し、この電解水ミストを前記排気口から出る排気中に放出する電解水ミスト生成装置を備え、
前記筐体の天面には前記排気口の少なくとも一部をなす天面排気口と、当該天面排気口に隣接して前記電解水生成装置に給水を行う給水タンクを当該筐体に挿入するための給水タンク出入口が形成され、
前記給水タンク出入口には前記天面排気口と隣接する側を支点として開閉する蓋が設けられ、当該蓋は、全開状態では前記天面排気口に重なってこれを閉塞するものであるとともに、
前記蓋には、当該蓋が前記天面排気口に重なったとき、行き場を失った前記電解水ミストが前記筐体内にこもるのを防ぐ電解水ミスト処置装置が設けられていることを特徴とする電解水ミスト発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−13282(P2012−13282A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148973(P2010−148973)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】