説明

空気清浄機

【課題】本体からプレフィルタを取外すことなく容易に掃除を行うことができる空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気の吸入口4と吐出口23を備えた空気清浄機本体2と、この空気清浄機本体2に備えられ吸入口4と吐出口23の間に配置されたフィルタとしての主フィルタ21と、前記空気清浄機本体2に備えられ前記吸入口4から吐出口23へと空気を送る送風機22とを備えた空気清浄機1であって、前記吸入口4にプレフィルタ装置5を備え、このプレフィルタ装置5におけるプレフィルタ本体8の上流側面に塵埃除去手段13を備えたことにより、前記空気清浄機本体2からプレフィルタ11を取外すことなく容易に掃除を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空気を浄化する空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内空気を浄化する空気清浄機として、本体に吸入口と吐出口を備え、吸入口から吐出口にかけて通風路が形成され、その通風路の上流側からプレフィルタ、メインフィルタを順次配置したものがある(特許文献1)。
【0003】
上記の構成において、吸入口により汚染空気を吸引し、プレフィルタにより粗い塵埃を捕集した後、メインフィルタにより細かな塵埃を捕集し、吐出口から清浄空気が吐出される。
【特許文献1】特開2003−38920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の空気清浄機では、長時間使用すると、綿埃等の粗い塵埃が前記プレフィルタに付着して目詰まりを起こしてしまうので、定期的に前記プレフィルタを掃除する必要がある。
【0005】
しかし、このような従来の空気清浄機では、前記本体から吸気パネルを取り外した後で前記プレフィルタを取り外さなければ、このプレフィルタを掃除することができないという欠点を有していた。
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、上記の問題点を克服し、本体からプレフィルタを取り外すことなく容易に掃除を行うことができる空気清浄機を提供する点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、空気の吸入口と吐出口を備えた本体と、この本体に設けられ前記吸入口と前記吐出口の間に配置されたフィルタと、前記本体に設けられ前記吸入口から吐出口へと空気を送る送風機とを備えた空気清浄機であって、前記吸入口にプレフィルタ装置を備え、このプレフィルタ装置におけるプレフィルタ本体の上流側面に塵埃除去手段を備えたことである。
【0008】
請求項2の発明は、前記塵埃除去手段が、前記プレフィルタ本体の上流側面に摺動回転自在な回転部材を備え、この回転部材が、前記吸入口の軸線を回転中心とした回転ブレードを有して構成されることである。
【0009】
請求項3の発明は、前記回転ブレードが、その中心側から外側に向かって、回転方向に対して後退角を有するように構成されていることである。
【0010】
請求項4の発明は、前記回転ブレードの周面側に、該周面を囲む囲い壁をプレフィルタ装置に設けたことである。
【0011】
請求項5の発明は、前記囲い壁の外側に塵埃収集部を備え、この塵埃収集部の内部と前記囲い壁の内周面とを連通したことである。
【0012】
請求項6の発明は、前記塵埃収集部を前記囲い壁に対し着脱自在に設けたことである。
【0013】
請求項7の発明は、前記回転部材の回転軸に手動ハンドルを備えたことである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、前記本体に前記プレフィルタを取り付けたままの状態で、前記塵埃除去手段を操作することで、前記本体から前記プレフィルタを取外すことなく容易に前記プレフィルタの掃除を行うことが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記塵埃除去手段を回転させることで、前記プレフィルタに付着した粗い塵埃をプレフィルタから効果的に除去することが可能となる。
【0016】
請求項3の発明によれば、前記プレフィルタから除去された粗い塵埃が、前記回転ブレードの回転に伴って遠心方向に移動するので、前記回転部材の回転によって塵埃を効果的に掻き出すことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、前記回転部材の回転によって前記プレフィルタから除去された粗い塵埃が、前記囲い壁の内周面近傍に集められるので、塵埃を効率的に収集することが可能となる。
【0018】
請求項5の発明によれば、回転部材の回転によって前記プレフィルタから除去され、前記囲い壁の内周面近傍に集められた塵埃を前記塵埃収集部に送り込むので、塵埃を効率的に収集することが可能となる。
【0019】
請求項6の発明によれば、前記塵埃収集部に収集された塵埃を簡単かつ確実に廃棄することが可能となる。
【0020】
請求項7の発明によれば、前記回転部材の回転を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1乃至図4は、本発明の第1実施例を示し、空気清浄機1は、薄型の箱体に形成された空気清浄機本体2と、この空気清浄機本体2の一側面3(この場合は正面)に形成された空気の吸入口4に着脱自在に設けられたプレフィルタ装置5からなる。
【0023】
このプレフィルタ装置5は、前記吸入口4に連通するよう円形に開口して形成されたプレフィルタ側吸入口6を備えると共に前記空気清浄機本体2の一側面3に対し着脱自在に形成されたプレフィルタカバー7と、網又は不織布からなるプレフィルタ本体8とこのプレフィルタ本体8の裏面(下流側面)9側に一体に取付けられた格子状の支持部材10とからなり前記プレフィルタ側吸入口6を閉塞するように装着されたプレフィルタ11と、前記プレフィルタ本体8の表面(上流側面)12側の中心部分に回転自在に設けられた塵埃除去手段13と、前記プレフィルタ側吸入口6の周縁より外方に向け立設されて前記プレフィルタ11の外周側の一部を外部から覆う囲い壁14とを備えている。
【0024】
そして、前記塵埃除去手段13は、前記プレフィルタ本体8の表面(上流側面)12の中央部分において、前記吸入口6の軸線Xを回転中心として回転自在に接続された軸部分15と、この軸部分15に一体的に設けられるハンドル16と、前記軸部分15の外周面15Aに一体に設けられると共に前記プレフィルタ本体8の表面(上流側面)12に対し摺動可能な回転部材たる回転ブレード17とを有して構成されている。この回転ブレード17は、その中心側から外側に向かって、回転方向に対して後退角を有するように、前記軸部分15と一体に設けられると共に、前記回転ブレード17の回転ブレード17の周面Y側は、前記囲い壁14の内周面18により囲まれている。なお、前記回転ブレード17は、図4に示すように、前記軸部分15の外周面15Aに対する接線角として基部角α(23°≦α≦43°、好ましくはα=33°)で、且つ前記周面Yに対する接線角として端部角β(20°≦β≦40°、好ましくはβ=30°)となるように、前記軸部分15に一体に形成されている。なお、後退角とは、放射方向に対する角度であるので、前記回転ブレード17の軸部分15側の基部における後退角は67°〜47°であり、周面Y側の端部における後退角は70°〜50°ということになる。
【0025】
また、前記囲い壁14の下方には、塵埃収集部19が着脱自在に装着されると共に、前記囲い壁14の下側には、装着された前記塵埃収集部19の内部に連通する塵埃放出用貫通部20が形成される。
【0026】
そして、図3に示すように、本発明の前記空気清浄機1の概要は、図中の左側を前側とし、前記空気清浄機1の空気清浄機本体2の一側面たる前面3に形成された前記吸入口4に前記プレフィルタ装置5が着脱自在に装着され、このプレフィルタ装置5の下流側に前記空気清浄機本体2に内蔵された集塵フィルタや脱臭フィルタ等によって構成される主フィルタ21が配置され、さらにその後方に、送風機たる遠心ファン22が配置される。そして、この遠心ファン22の上方に対応した前記空気清浄機本体2の上部には、吐出口23が形成される。また、図1及び図2に示すように、前記空気清浄機本体2の上部には、前記送風機22のオン/オフ操作を行うための電源スイッチ操作部24が設けられる。
【0027】
次に、以上の構成についてその作用を説明する。前記空気清浄機1を作動させる場合、オフ状態の前記空気清浄機1の電源スイッチ操作部24をオンに切換え、前記遠心ファン22を作動させる。この空気清浄機1における空気の流れを図3を参照して模型的に説明すると、作動した前記遠心ファン22によって、空気が前記空気清浄機本体2へ吸込まれる。この吸い込まれた空気は、前記吸入口4に装着されたプレフィルタ装置5を通過して前記空気清浄機本体2の内部へと送られ、前記主フィルタ21を通過した後、前記遠心ファン22により、前記空気清浄機本体2の上部に設けられた前記吐出口23から吐出される。そして、前記空気清浄機1に吸入された塵埃を含む空気は、前記プレフィルタ装置5により、先ずは綿埃等の粗い塵埃D1が捕集され、続いて、前記主フィルタ21により、前記プレフィルタ装置5を通過した微細な塵埃D2が捕集されると共に、空気中の臭気も除去された上で前記吐出口23から吐出され、清浄な空気として外気へ戻される。
【0028】
前記プレフィルタ装置5における塵埃除去に係る操作を説明する。前記プレフィルタ装置5が捕集した粗い塵埃D1が一定量となったところで、前記空気清浄機1の電源スイッチ操作部24をオフにする。そして、図4に示すように、前記ハンドル16を時計周りに回すと、前記プレフィルタ本体8の表面12に捕集された粗い塵埃D1は、前記回転ブレード17によって掻き取られ、前記ハンドル16と同調して、前記プレフィルタ本体8の表面12を摺動しながら小さな塊となり、時計回りに回転する前記回転ブレード17の回転方向前面25によって、前記軸部分15側から前記前面25に沿って遠心方向、即ち周面Y側へと送られ、最終的には前記囲い壁14の内周面18付近に掻き集められ、前記塵埃放出用貫通部20を通して、前記塵埃収集部19へと送られる。なお、前記プレフィルタ本体8によって捕集される粗い塵埃D1は、綿埃等の繊維屑である場合が多く、従って、前記回転ブレード17によって掻き取られた塵埃D1は、前述したように、繊維同士が絡み合い、毛玉状の小さな塊となる。そして、前記囲い壁14から前記塵埃収集部19を外し、内部に溜まった塵埃D1を廃棄する。
【0029】
ここで、前記回転ブレード17における基部角α及び端部角βと、前記プレフィルタ11によって捕集される粗い塵埃D1との関係について述べると、基部角α及び端部角βがそれぞれ、α<23°及びβ<20°の場合には、前記プレフィルタ11により捕集される塵埃D1の細かさに比べ、前記回転ブレード17の傾斜が大き過ぎ、塵埃D1を十分に掻き集められない虞が生じ、反対に、基部角α及び端部角βがそれぞれ、43°<α及び40°<βの場合には、前記回転ブレード17の傾斜が小さ過ぎ、塵埃D1が前記回転ブレード17と共に回転し続けてしまい、塵埃D1を前記回転ブレード17の前面25に沿って前記囲い壁14の内周面18側へと効率よく送れない虞が生じる。
【0030】
これに対し、本実施例では、前記回転ブレード17の基部角α及び端部角βを、前述したように、基部角α(23°≦α≦43°、好ましくはα=33°)、端部角β(20°≦β≦40°、好ましくはβ=30°)としたことで、前記プレフィルタ11に捕集された塵埃D1を効率よく掻き集め、前記回転ブレード17の前面25に沿って速やかに前記囲い壁14の内周面18側へと送れるようにし、前記プレフィルタ11の塵埃除去の作業を効率よく行うことを可能とした。
【0031】
また、前記プレフィルタ装置5が前記空気清浄機本体2の吸入口4に対し着脱自在に設けられたことにより、前記空気清浄機本体2に内蔵された前記主フィルタ21の交換又は掃除の際には、間口の広い前記吸入口4から行うことが可能となり、作業の効率化を図ることができる。
【0032】
以上のように、上記実施例では、請求項1に対応して、空気の吸入口4と吐出口23を備えた空気清浄機本体2と、この空気清浄機本体2に内蔵され前記吸入口4と吐出口23の間に配置された主フィルタ21と、前記空気清浄機本体2に内蔵され前記吸入口4から吐出口23へと空気を送る送風機22とを備えた空気清浄機1であって、前記吸入口4にプレフィルタ装置5を備え、このプレフィルタ装置5におけるプレフィルタ本体8の上流側面に塵埃除去手段13を備えたことにより、前記空気清浄機本体2から前記プレフィルタ11を取外すことなく、このプレフィルタ11を容易に掃除することが可能となる。
【0033】
また、上記実施例では、請求項2に対応して、前記塵埃除去手段13が、前記プレフィルタ本体8の上流側面に摺動回転自在な回転部材を備え、この回転部材が、前記プレフィルタ側吸入口6の軸線Xを回転中心とした回転ブレード17を有して形成されたことにより、前記プレフィルタ本体8に捕集された粗い塵埃D1を前記プレフィルタ本体8から効果的に除去することが可能となる。
【0034】
また、上記実施例では、請求項3に対応して、前記回転ブレード17が、その中心側から外側に向かって、基部において67°〜47°、端部において70°〜50°という回転方向に対する後退角を有することにより、除去された塵埃D1を前記回転部材13の回転ブレード17の回転に合わせて効果的に掻き出すことができる。
【0035】
また、上記実施例では、請求項4に対応して、前記回転ブレード17の周面Y側に、この周面Yを囲む囲い壁14を前記プレフィルタ装置5に設けたことにより、前記回転ブレード17の回転によって前記プレフィルタ11から除去された塵埃D1が前記囲い壁14の内周面18近傍に集められるので、塵埃D1を効率的に収集することが可能となる。
【0036】
また、上記実施例では、請求項5に対応して、前記囲い壁14の外側に塵埃収集部19を備え、この塵埃収集部19の内部と前記囲い壁14の内周面18とを塵埃放出用貫通部20によって連通したことにより、前記回転ブレード17の回転により前記プレフィルタ11から除去され、前記囲い壁14の内周面18近傍に集められた塵埃D1を効率的に収集することが可能となる。
【0037】
また、上記実施例では、請求項6に対応して、前記塵埃収集部19を前記囲い壁14に対し着脱自在に設けたことにより、塵埃収集部19に収集された塵埃D1を簡単かつ確実に廃棄することが可能となる。
【0038】
更に、上記実施例では、請求項7に対応して、前記回転ブレード17の回転軸15に手動ハンドル16を備えたことにより、前記回転ブレード17の回転を容易に行うことが可能となる。
【0039】
なお、本実施例上の効果として、前記プレフィルタ装置5が前記空気清浄機本体2に対し着脱自在に設けられたことにより、この空気清浄機本体2内部の主フィルタ21のメンテナンスが容易になると共に、前記空気清浄機1から前記プレフィルタ装置5を取り外すことで、このプレフィルタ装置5の塵埃除去作業も効率良く行うことが可能となる。
【0040】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例では、前記回転部材の軸部分にハンドルを設けたが、これ以外の部分、例えば空気清浄機本体にハンドルを設け、歯車等を介して前記回転ブレードを回転させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例における空気清浄機を示す斜視図である。
【図2】同上、空気清浄機を示す正面図である。
【図3】同上、空気清浄機を示す断面図である。
【図4】本発明の塵埃除去手段における回転ブレードと除去される塵埃の動きを示す概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1 空気清浄機
2 空気清浄機本体
4 吸入口
5 プレフィルタ装置
6 プレフィルタ側吸入口
8 プレフィルタ本体
13 塵埃除去手段
14 囲い壁
16 ハンドル
17 回転ブレード(回転部材)
18 内周面
21 主フィルタ(フィルタ)
22 送風機
23 吐出口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸入口と吐出口を備えた本体と、この本体に設けられ前記吸入口と前記吐出口の間に配置されたフィルタと、前記本体に設けられ前記吸入口から吐出口へと空気を送る送風機とを備えた空気清浄機であって、
前記吸入口にプレフィルタ装置を備え、このプレフィルタ装置におけるプレフィルタ本体の上流側面に塵埃除去手段を備えたことを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記塵埃除去手段が、前記プレフィルタ本体の上流側面に摺動回転自在な回転部材を備え、
この回転部材が、前記吸入口の軸線を回転中心とした回転ブレードを有して構成されることを特徴とする請求項1記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記回転ブレードが、その中心側から外側に向かって、回転方向に対して後退角を有するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記回転ブレードの周面側に、該周面を囲む囲い壁をプレフィルタ装置に設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記囲い壁の外側に塵埃収集部を備え、この塵埃収集部の内部と前記囲い壁の内周面とを連通したことを特徴とする請求項4記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記塵埃収集部を前記囲い壁に対し着脱自在に設けたことを特徴とする請求項5記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記回転部材の回転軸に手動ハンドルを備えたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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