説明

空気清浄機

【課題】小型で、空気浄化性能が高く、低騒音で、設置場所の自由度が高く汎用性があり、特にワンボックスカーへの車載性に優れた空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気清浄機の内部に、プレフィルターと、帯電フィルタと、通風方向に所定の間隔をおいて配置された2枚の略板状の光触媒フィルタと、2枚の光触媒フィルタの間に配置され、光触媒フィルタの面に対して所定の角度傾斜を有して所定の間隔をもって積層した複数のルーバープレートと、各ルーバープレートの両面に配置された複数の紫外線LEDとを有し、紫外線LEDの光軸を光触媒フィルタの表面に対して角度をもたせた紫外線LED照明部と、光触媒フィルタとの間に空気浄化性能を高め通風騒音を小さくするための所定の間隙部を有して配置された駆動モータ付き軸流ファンとを備え、吸込口カバーの吸込口から吹出口カバーの吹出口まで空気が左右方向に略直線状に流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で、空気浄化性能が高く、低騒音で、設置場所の自由度が高く汎用性があり、特にワンボックスカーやツーボックスカーへの車載性に優れた空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵埃の吸着・濾過、除菌、脱臭等を行う車載用、家庭・オフィス用等各種の空気清浄機が広く使用されている。
【0003】
特に、車両用としては、特許文献2に示されたセダン型乗用車のトランクルームに空気清浄機の本体を格納し、パッケージトリムの上方から浄化された空気を吹出す形式のもの、下記特許文献3に示されたルーフの下部に空気清浄器の本体を格納し、ルーフトリムの開口に位置する吹出し口から浄化された空気を吹出す形式のもの、特許文献4に示されたサイドアウターパネルとインナーパネルの間に空気清浄器の本体を格納し、サイドトリムの開口に位置する吹出口から浄化された空気を吹出す形式のもの、更に下記特許文献5に示された空調機の空気取入れ口に空気清浄ユニットを組込み、浄化された空気を空調機によって温度調整して吹出す空調機併用の形式のものがある。
【0004】
図15は特許文献1に示された空気清浄機の斜視図、図16は図15の平面視断面図である。この空気清浄機200は、複数の長孔からなる吸気孔211を有する正面カバー210と、その背面に位置する背面カバー220と、複数の長孔からなる吸気孔241、251を有する左右の側面カバー240、250と、複数の格子状の吹出口230Aと表示部231を有する上面カバー230とで、略直方体状のケース組立体が構成され、正面カバー210の吸気孔211と左右の側面カバー240、250の吸気孔241、251とで吸気口210Aが形成されている。そして、ケースの内部にフィルタ収納部261、ファンケーシング部262、立設部263を有し、フィルタ280、モータ(271)付きファン270を格納する仕切板260が、組込まれている。奥行きを高さに対して小さく形成し、吸気口210Aから吸い込んだ空気を浄化して、吹出口230Aからケースの外に吹出ようにした空気清浄機が示されている。
【0005】
また、特許文献6には、光触媒を用いて有機物質を分解する空気清浄装置であって、紫外線LED等の指向性光源の照射方向が光触媒フィルタの被照射面に対する垂直方向から該垂直方向に対して傾斜した方向の範囲にある空気清浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−65572号公報
【特許文献2】特開2000−000293号公報
【特許文献3】特開2006−205937号公報
【特許文献4】特開平11−034654号公報
【特許文献5】特開平08−192623号公報
【特許文献6】特開2009−72430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3から5に示された車載用の空気清浄機は、いわゆるビルトインタイプであって、車両を購入後に装着しようとしても、装着不能であるか、関連する部品を改修するか交換する必要があり、大幅な時間と費用を必要とし、またスペース上の理由から大きさおよび構造が制約を受け、十分な性能を確保することが困難であった。
【0008】
また、特許文献1に示されている空気清浄機は、略直方体状の形状であるから、家庭やオフィスに設置する場合取付け位置の制約が少なく、車載の場合においても関連する部品の改修・交換が不要という長所があるものの、前面及び両側面の吸気孔で構成される吸気口210Aから上面に位置する吹出口230Aまで、通風路が直角に曲がっているため、通風抵抗が大きく、ひいては騒音が大きくなり、フィルタ等の空気浄化に密接な部品に必要な通風方向の寸法が小さくなり、高い空気浄化性能を得るのが困難になるという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献6に示される空気清浄装置では、指向性光源及びその支持基板が光触媒フィルタに正対して取り付けられているため、光触媒フィルタ上の光源の照射範囲が狭くなるとともに、空気清浄機内の流路を流れる空気の抵抗が大きくなり風量のロスが生じてしまう。
【0010】
本発明は、このような点に着目して鋭意研究の結果なされたものであり、空気浄化性能が高く、低騒音で、家庭・オフィス等における設置場所の自由度が高く、特に室内容量が大きいワンボックスカーやツーボックスカーにおいて、購入後に搭載が容易で安価な空気清浄機の提供を可能としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する第1の発明は、外形形状が正面の縦方向と横方向に大きく、側面に当たる奥行き方向に小さい略直方体をなし、正面に組付けられる正面カバーと、背面に組付けられる背面カバーと、左右両側面の一方に組付けられる吸込口カバーと、他方に組付けられる吹出口カバーと、を有する空気清浄機であって、空気清浄機の内部に吸込口カバー側から順に、プレフィルターと、帯電フィルタと、通風方向に所定の間隔をおいて配置された2枚の略板状の光触媒フィルタと、2枚の光触媒フィルタの間に配置され、光触媒フィルタの面に対して所定の角度傾斜を有して所定の間隔をもって積層した複数のルーバープレートと、各ルーバープレートの両面に配置された複数の紫外線LEDとを有し、紫外線LEDの光軸を光触媒フィルタの表面に対して角度をもたせた紫外線LED照明部と、光触媒フィルタとの間に空気浄化性能を高め通風騒音を小さくするための所定の間隙部を有して配置された駆動モータ付き軸流ファンとを備え、吸込口カバーの吸込口から吹出口カバーの吹出口まで空気が左右方向に略直線状に流れることを特徴とする空気清浄機である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空気清浄機によれば、光触媒フィルタと駆動モータ付き軸流ファンとの間に間隙部を設けたことにより、通風抵抗が小さく通風量が多くなって、空気浄化性能が高く、また通風騒音を小さくすることができる。また、紫外線LEDの光軸を光触媒フィルタの表面に対して角度をもたせたことにより、光触媒フィルタの表面に対する紫外線LEDの照射範囲を大きくすることができ、浄化能力を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の空気清浄機の斜視図である。
【図2】本実施形態の空気清浄機(内部の構成部品省略)の分解斜視図である。
【図3】図2の更なる分解斜視図である。
【図4】図1におけるA−A断面図である。
【図5A】本実施形態の紫外線LED照明部Cの構成を示す正面図である。
【図5B】本実施形態の紫外線LED照明部Cの構成を示す側面図である。
【図6】本実施形態の紫外線LEDが形成する照射範囲を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るキートップを示し、(A)は斜視図、(B)は拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るモータ&ファンの組立体の分解斜視図である。
【図9】正面カバーを第1ベースアッパーとロアの組付説明図であり、(A)は上部側の斜視図、(B)は底部側の斜視図である。
【図10】本実施形態の空気清浄機の車載説明図である。
【図11】本実施例の空気清浄機の脱臭性能を示すグラフである。
【図12】本実施例の空気清浄機の騒音を示すグラフである。
【図13】本実施例の空気清浄機の風量を示すグラフである。
【図14】本実施例の空気清浄機の放射電波ノイズを測定した結果を示す図である。
【図15】従来の空気清浄機の斜視図である。
【図16】図15における平面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態の空気清浄機の斜視図であり、図2は本発明の実施形態の空気清浄機(内部の構成部品省略)の分解斜視図であり、図3は図2の更なる分解斜視図である。
【0016】
図1から図3において、100は空気清浄機、10は正面カバー、20は背面カバー、30は空気吸込口を備える吸込口カバー、40は空気吹出口を備える吹出口カバーでありいずれも樹脂の射出成形品である。
【0017】
正面カバー10と、背面カバー20は、樹脂の成形型を共通にし、略平板かつコの字状をなし上部平面にはその裏側から下方に延びる係止爪11、21(図9参照)が設けられ、下部平面にはビス用の孔12、22が設けられている。なお、正面カバー10及び背面カバー20には、ABS、ノリル等成形歪みの小さいものを使用するのが好ましい。
【0018】
吸込口カバー30は長方形の外枠とその中央において上下方向に伸びるリブ33とで骨格が形成され、上下方向に伸びるリブ33で水平方向が分割されるように複数のフィン31が上下方向に平行に配置されており、上下の枠にはビスねじ込み用の孔32が設けられている。
【0019】
吹出口カバー40も吸込口カバー30と同様に、長方形の外枠とその中央において上下方向に伸びるリブ43とで骨格が形成され、上下方向に伸びるリブ43で水平方向が分割されるように複数のフィン41が上下方向に平行に配置されており、上下の枠にはビスねじ込み用の孔42が設けられている。吹出口カバー40には、その他ファンブラケットビス止め用ネジ孔付きボス47と外部電源ジャック用孔46が設けられているが、この点を除いて吸込口カバー30と吹出口カバー40とは共通であり、この相違する部分を入れ子型として成形型の主要部を共通にしている。また、吹出口カバー40及び吸込口カバー30には、ABS、ノリル等成形歪みの小さいものを使用するのが好ましい。
【0020】
50は第1ベースアッパー、60は第1ベースロアであり、それぞれ両端には吸込口カバー30と吹出口カバー40が、ビスで締付け固定され、第1ベースアッパー50と第1ベースロア60に、正面カバー10と背面カバー20が組付けられる。
【0021】
第1ベースアッパー、ロア50、60と、正面カバー10と、背面カバー20はいずれも樹脂の射出成形品である。なお、第1ベースロアの64は補強用のリブである。
【0022】
図4は、図1におけるA−A断面図であり、図の左側の吸込口カバー30から、図の右側の吹出口カバー40に至る空気清浄機の内部構造を示しており、図の左側から、Aはプレフィルター、Bは帯電フィルタ、Dは2枚の光触媒フィルタ、Cは2枚の光触媒フィルタDの間に配置される紫外線LED照明部、90はモータとファンであり、上下に2機備えられている。Eはタクトスイッチや表示ランプ等が回路基板に実装されたスイッチ部品、Gは粉塵センサーである。
【0023】
Iは2枚の光触媒フィルタのうち、通風方向下流側の光触媒フィルタDとモータとファン(軸流ファン)90との間隙を示しており、軸流ファンによる通風騒音を小さくするために、限られた許容寸法の範囲内で可能な限り大きくしている。
【0024】
図5は、紫外線LED照明部Cの構成を示す図であり、紫外線LED照明部Cの第2ベースアッパー70と第2ベースロア80への組付けを説明するものである。図5Aは、紫外線LED照明部Cの正面図であり、図5Bは、図5AのA方向から見た紫外線LED照明部Cの側面図である。また、図5B中のB部は、図5AのX-X断面図である。
【0025】
紫外線LED照明部Cは、2本のランプステイHの間に梯子状に固定された複数のルーバープレートC1〜C5を備える。ルーバーC1の表面には複数の紫外線LED C11〜C15が所定の間隔をもって直線状に搭載され、裏面には複数の紫外線LED C11´〜C15´が所定の間隔をもって直線状に搭載される。同様に、ルーバーC2の両面にも紫外線LEDC21〜C25及びC21´〜C25´が備わり、ルーバーC3からC5にも紫外線LEDが備わる(符号省略)。
【0026】
図5BのB部に示すように、ルーバープレートC1〜C5の積層方向l1と紫外線LED C11〜C15及び紫外線LED C11´〜C15´の光軸l2とのなす角度θは30〜60度、好ましくは約45度となっている。これは、紫外線LEDを光触媒フィルタDに正対させる場合、すなわち、θを90度とした場合には、図6(a)に示すように紫外線LEDの指向性により照射範囲がスポット状となり、光触媒フィルタDの表面への紫外線の照射面積が小さくなり、有機物質の分解性能が低下するからである。
【0027】
本実施形態のごとく、紫外線LEDの光軸を光触媒フィルタDの表面に対して角度をもたせることにより、図6(b)に示すように照射範囲が略楕円状に拡大され、光触媒フィルタDの表面に広く紫外線を照射することが可能となる。例えば、θを45度とした場合には照射面積(受光面積)は、1.414倍となる。
【0028】
さらに、光触媒フィルタDの表面は一般にはハニカム状の穴が集合して構成されているので、光の指向性が狭い紫外線LEDの場合には、光触媒フィルタDのハニカム状の空気通路の内壁にも紫外線LEDの光を当てるために紫外線LEDの光軸方向を光触媒フィルタDの表面に対して角度をつけることが好ましい。
【0029】
また、ルーバープレートC1〜C5が、空気清浄機内の流路を流れる空気に対して所定の角度をもって設置されることとなり、ルーバープレートC1〜C5により生じる空気清浄機内の流路を流れる空気の抵抗を低減することも同時に可能としている。
【0030】
加えて、ルーバー両面の紫外線LEDの取り付け部の寸法が前後方向で2枚の光触媒フィルタDの間に干渉せず装着して収めるために、紫外線LEDの光軸を光触媒フィルタDの表面に対して角度をもたせることにより、紫外線LEDの取り付け部の寸法をコンパクトにすることが可能である。
【0031】
紫外線LED照明部Cでは、ルーバープレートC1〜C5に所定の配線パターンがプリントされており、紫外線LEDは、プリントパターン、昇圧器、及び回路基板E2を介して外部電源に接続されている(不図示)。
【0032】
図7は本発明の実施形態のキートップを示し、(A)は斜視図、(B)は拡大断面図である。図7において、キートップFは、突出した波型状の複数の指圧部F31と指圧部の周囲のフランジ部F32からなり、裏面部は肉抜部F35が設けられたポリカーボネートシートの射出成形品である。この波型状の複数の指圧部F31の相互間にスリットF34が設けられ、かつこの指圧部間のスリットと、フランジ部に設けられたスリットとで、略H状のスリットが複数形成され、タクトスイッチE1の操作感を損なうことのなく、該複数のタクトスイッチのON−OFF操作がそれぞれ単独に可能である。
【0033】
スイッチ部品Eは、タクトスイッチE1、空気清浄機の作動状態を示す表示ランプ(LED)E3の実装された回路基板E2が第1ベースアッパー50の下面にビスE4でビス止めされ、表示ランプE3は、第1ベースアッパーの孔55から表示光を発し、粉塵センサーGは、第1ベースアッパーの下面の筒状凹部57に嵌着され、孔56から外気を取入れている。
【0034】
キートップFは、フランジ部F32に貼着した両面接着テープF36で第1ベースアッパー50の下面に貼着され、孔54から、指圧部が突出している。
【0035】
図8は、モータとファンの分解斜視図であり、モータ92に取付けられた軸流ファン91がファンケース93に格納されており、そのファンケース93に格納されたモータ&ファン90の2機がボルト95と袋ナット96でファンブラケット94に固定され、この2機のモータ&ファンはファンブラケット94を介して、ビス97で吹出口カバー40にビス止めされ、吹出口組立体が完成している。
【0036】
図9は、正面カバーと第1ベースアッパーとロアの組付説明図であり、(A)は上部側斜視図、(B)が底部側斜視図である。
【0037】
図9において、正面カバー上部裏面に設けられた係止爪11を、第1ベースアッパー50に設けられた係止孔51に挿入し、該正面カバーを横方向(矢印方向)にスライドさせて溝511に係止した後に、正面カバー下部を第1ベースロア60にビス13で締上げる。
【0038】
同様に、背面カバー上部に設けられた係止爪21(不図示)を、第1ベースアッパー50に設けられた係止孔51に挿入し、背面カバー20を横方向にスライドさせて溝511に係止した後に、背面カバー下部を前記第1ベースロア60にビス23で締上げる。
【0039】
この締め上げによって、係止爪11、21の受け面111、211が、第1ベースアッパーの溝部の裏面と当接し、空気清浄機の上面に加わる上下力を、前記正面カバー10と前記背面カバー20が分担することになりケース本体の上下方向の強度・剛性が向上する。
【0040】
次に、本発明の実施形態の主要部の組付け手順について説明する。
【0041】
(手順1)紫外線LED照明部CのランプステイHの上下端を、それぞれ第2ベースアッパー70と第2ベースロア80へビス76、86でビス止めして第2ベース組立体を完成する。
【0042】
(手順2)ファンケース93内に格納されたモータとファン90の2機を、ボルト95と袋ナット96とで、ファンブラケット94に固定し、その2機のモータ&ファン90をファンブラケット94を介して吹出口カバー40にビス97でビス止めして、吹出口カバー組立体を完成する。
【0043】
(手順3)第1ベースアッパー50に、タクトスイッチE1、表示ランプE3等の実装された回路基板E2からなるスイッチ部品EとキートップFを組付け、第1ベースアッパー組立体を完成する。
【0044】
キートップFは、フランジ部F32に貼着された両面接着テープF36を使用し、ロケート用の孔F33と、第ベースアッパー50の下面に設けられたロケートピン(不図示)とで位置決めの上、第1ベースアッパー50の下面に接着固定する。
【0045】
(手順4)手順3で完成させた第1ベースアッパーの組立体と第1ベースロア60の間に手順(1)で完成させた第2ベース組立体を載置してビス66(3本)でビス止めして、第1ベース組立体を完成する。
【0046】
(手順5)手順4で完成させた、第1ベース組立体に吸込口カバー30と手順2で完成させた吹出口カバー組立体を組付ける。
【0047】
まず吸込口カバー30の組付けは、第2ベース組立体の第2ベースアッパー、ロア70、80の先端部の上下の係止突起75、85を吸込口カバー30の裏面の凹部34に挿入し、吸込口カバーの上下のリブ35(吹出口カバーのリブ45参照)を第2ベース組立体側の溝に挿入し、それぞれ上下のビス53、65でビス止めする。
【0048】
吹出口カバー組立体の組付けは、第1ベースアッパー、ロアの上下の孔52、61と吹出口カバー40の上下の孔42を位置合わせし、それぞれ上下のビス53、65でビス止めする。その後背面カバー20を後述の正面カバー10の組付けと同じ要領で組付けする。
【0049】
(手順6)次に、正面カバー10の未組付けの開口部の前方から、吸込口カバー30と第2ベース組立体との隙間に第1プレフィルターAを挿入し、続けて凹部71、81に帯電フィルタBを、凹部72、82と、凹部73、83に2枚の光触媒フィルタDを、挿入して、すべてのフィルタを装着する。
【0050】
(手順7)最後に、正面カバー10を組付ける。
【0051】
正面カバー10の組付けは、第1ベースアッパー50の係止孔51に正面カバー10の係止爪11を挿入し右方向(矢印方向)にスライドさせて、係止爪11を溝511に完全に係止させた後、ビス孔12と第1ベースロア60のボス63のネジ孔を使用して、ビス13で締上げる。なお、手順5における背面カバー20の組付けも正面カバー10の組付けに準じた手順で行う。
【0052】
上記の手順はこれに限定されるものではない、例えば手順1から3は順番を差換えてもよい。また分解は上記の手順と逆に行なえばよい。
【0053】
次に、本空気清浄機の動作について説明する。作動状態にスイッチがONされると、上下2機の軸流フアンが回転し、空気吸込口カバー30の吸込口から空気が吸い込まれ、プレフィルターAで、大きい塵埃が除去され、帯電フィルタBで、プレフィルターAで除去されなかった小さい塵埃が除去され、次に紫外線LED照明部Cの光エネルギーで除菌・脱臭機能の高められた2枚の光触媒フィルタDで除菌・脱臭され、空隙Iを通過し軸流ファン90を通って吹出口カバー40の吹出口から清浄化された空気が吹出される。
【0054】
次に、本空気清浄機を車載する場合について説明する。図10は本発明の実施形態の空気清浄機の車載説明図であり、一例を示している。運転席Jと助手席Kの間に、吸込口を車両前方にし、吹出口を車両後方にして設置する。車両への固定は、空気清浄機の底面を、準備したブラケットLに両面接着テープで固定し、ブラケットLを介して空気清浄機を車両パネルにビスL1でビス止めする。上記と同様の両面接着テープ、ブラケット、ビスを使用して後席シートの後部スペースに設置してもよい。本空気清浄機は、空気浄化性能が高いので、ワンボックスカー、ツーボックスカーに車載する場合、特に効果が大きい。
【0055】
また、本空気清浄機は、空気が吸込口から吹出口へ略直線状に流れるので、家庭、オフィスの床面に設置する場合、空気の流れが阻害されることがなく、壁面に密接するように設置でき、スペース効率が高く、また、壁や天井に設置することも容易である。
【0056】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、光触媒フィルタと駆動モータ付き軸流ファンとの間に間隙部を設けたことにより、通風抵抗が小さく通風量が多くなって、空気浄化性能が高く、また通風騒音を小さくすることができる。また、紫外線LEDの光軸を光触媒フィルタの表面に対して角度をもたせたことにより、光触媒フィルタの表面に対する紫外線LEDの照射範囲を大きくすることができ、浄化能力を向上することが可能となる。また、光源として紫外線LEDを使用しているため、紫外線ランプと比較して消費電力を低く抑えることができ、長寿命化を図ることが可能である。
【0057】
また、本発明の実施形態によれば、対をなした吸込口カバーと吹出口カバー、および正面カバーと背面カバーを射出成形する樹脂成形型の主要部がそれぞれ共通であることを特徴とする空気清浄機であるから、製造費用の多くを占める樹脂成形型の製作費を低減して、空気清浄機のコストを低減できる。
【0058】
また、本空気清浄機は、軸流ファンを使用しているので、シロッコファンに比較して、風量が大きいが、風圧が低いので、寒冷時においても、吹出空気による寒さが緩和されるという効果がある。
【0059】
また、本発明の実施形態によれば、2枚の光触媒フィルタのそれぞれが、酸化チタンに銀を担持させた触媒である光触媒を吸着させたフィルタであるから、高い脱臭・除菌性能を得ることができ、プレフィルター、帯電フィルタによる除塵性能と相俟って高い空気浄化性能を有する空気清浄機を得ことができる。
【0060】
また、本発明の実施形態によれば、ケース組立体の上面中央部に備えられた複数の操作スイッチに対応する複数の連接されたキートップが、突出した波型状の複数の指圧部と指圧部の周囲の平板部からなるポリカーボネートシートの射出成形品であり、波型状の複数の指圧部の相互間にスリットが設けられ、指圧部間のスリットと、平板部に設けられたスリットとで、H状の複数のスリットが形成されたものであるから、タクトスイッチの操作感を損なうことのなく、複数のタクトスイッチのON−OFF操作がそれぞれ単独に可能であり、スイッチの良好な操作感と見映えの良い外観品質を得ることができる。
【0061】
また、本発明の実施形態によれば、吸込口カバーと吹出口カバーが、第1ベースアッパーと第1ベースロアに組付けされ、正面カバーと背面カバーとがそれぞれ、第1ベースアッパーと第1ベースロアに組付けされるものであり、正面カバー上部に設けられた係止爪を、第1ベースアッパーに設けられた溝付き係止孔に挿入し、正面カバーを横方向にスライドさせて係止爪を係止孔の溝に係止した後に、正面カバー下部を第1ベースロアにビスで締上げ、同様に、背面カバー上部に設けられた係止爪を、第1ベースアッパーに設けられた溝付き係止孔に挿入し、背面カバーを横方向にスライドさせて係止爪を係止孔の溝に係止した後に、背面カバー下部を第1ベースロアにビスで締上げた空気清浄機であるから、正面カバーと背面カバーとが、第1ベースアッパーと第1ベースロアから離脱することがなく、かつ空気清浄機の上面に加わる上下力を、正面カバーと背面カバーによって分担することができ、空気清浄機の強度・剛性を高めることができる。
【実施例】
【0062】
次に、実施例により、本発明をより詳細に説明する。
【0063】
1)本実施例の空気清浄機の諸元
(1) 空気清浄機
外形サイズ
横(L)×縦(H)×奥行(D)=295mm×305mm×140mm
下流側の光触媒フィルタとモータ&ファンまでの間隙(I)=60mm
【0064】
(2) プレフィルター
フィルタ形式:ハニカムフィルター
サイズ
縦×横×厚さ=255mm×130mm×3mm
【0065】
(3)帯電フィルタ
フィルタ形式:帯電繊維層フィルタ
縦×横×厚さ=250mm×130mm×50mm
【0066】
(4)光触媒フィルタ
フィルタ形式 光ギンテック(登録商標)触媒フィルタ
サイズ
縦×横×厚さ=250mm×130mm×10mm 2枚
【0067】
(5)紫外線LED照明部(実施例)
使用LED数:50個
直流電流値:25mA/1個
直流電圧:3.6±0.4V/1個
波長:公称375nm,388nm
【0068】
(6)紫外線ランプ(比較例)
発生波長 368nm
W数×本数=2.9W×2本
【0069】
(7)モータ&ファン
モータ 12V×8.6W(定格)×2機
ファン 軸流ファン
直径(D)×厚さ(B)=120mm×38mm
【0070】
2)性能
(1)脱臭率
図11に、本実施例の空気清浄機の運転開始後のアセトアルデヒドの吸収率(すなわち、脱臭率)(%)を比較例と対比したグラフである。脱臭率は容量1mの測定用のボックスを用い測定した値を示している。
【0071】
図11からわかるように、紫外線LEDを用いた本実施例(図中のNCK-LED)と紫外線ランプを用いた比較例(図中のNCK-UV)とでは、ほぼ同等の脱臭率を得ることが可能である。
【0072】
表1は、図11に示された脱臭率の運転開始2分後の値を比較例と対比して表示したものである。
【0073】
【表1】


【0074】
実施例は比較例1から3と比べて空気清浄機の外形寸法、消費電力が大きいので、直接比較はできないが、脱臭率は外形寸法、消費電力が大きい以上に遥かに良好な値となっている。
【0075】
一方、除塵率は、空気清浄機の外形寸法、消費電力が大きい割には大きくなっていない。これは、プレフィルターと帯電フィルタを、実施例の空気清浄機の外形寸法、消費電力の範囲内において、強化することによって良好な値になるものと考えられる。
【0076】
また、本実施例に係る空気清浄機の奥行き寸法は140mmであり、本実施例に係る空気清浄機は、運転席と助手席の間の間隙を有効に使用した空気清浄機となっている。
【0077】
(2)騒音と風量
図12に光触媒フィルタとモータ&ファンの間隙Iをパラメータと運転モードごとの騒音レベル(Aスケール)を、空気清浄機の吹出口から1mのところで測定した値を示し、図13に光触媒フィルタとモータ&ファンの間隙Iをパラメータとした運転モードごとの吹出し風量を測定した値を示す。図12、13からわかるように、間隙Iを大きくした方が、騒音が小さくなり、風量も多くなる。
【0078】
本発明は、空気清浄機のケースの通風方向の寸法を大きくして、通風方向下流の光触媒フィルタとモータ&ファンの間隙Iを60mmとし、限られた許容寸法の範囲内で可能な限り大きくしているが、間隙Iを大きくすることの有効性が、図12、図13のデータから明らかである。
【0079】
図14は、本実施例の空気清浄機の放射電波ノイズを測定した結果を示す図である。図に示すように、冷陰極蛍光放電管(紫外線ランプ)と比較して、紫外線LEDを用いた場合には全域で約15dBμV/m低減することがわかる。車載用の空気清浄機として使用する場合には、ランプから発生するノイズによりラジオ等に雑音が入る場合があるが、本実施例の空気清浄機はノイズが低く抑えられているため、特に、車載用空気清浄機として好適である。
【符号の説明】
【0080】
100・・空気清浄機
10・・正面カバー
20・・背面カバー
30・・吸込口カバー
40・・吹出口カバー
50・・第1ベースアッパー
60・・第1ベースロア
70・・第2ベースアッパー
80・・第2ベースロア
90・・モータ&ファン
A・・プレフィルター
B・・帯電フィルタ
C・・紫外線LED照明部
C1〜C5・・ルーバープレート
C11〜C15・・紫外線LED
C21〜C25・・紫外線LED
D・・光触媒フィルタ
E・・スイッチ部品
F・・キートップ
H・・ランプステイ
I・・間隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形形状が正面の縦方向と横方向に大きく、側面に当たる奥行き方向に小さい略直方体をなし、正面に組付けられる正面カバーと、背面に組付けられる背面カバーと、左右両側面の一方に組付けられる吸込口カバーと、他方に組付けられる吹出口カバーと、を有する空気清浄機であって、
前記空気清浄機の内部に前記吸込口カバー側から順に
プレフィルターと、
帯電フィルタと、
通風方向に所定の間隔をおいて配置された2枚の略板状の光触媒フィルタと、
前記2枚の光触媒フィルタの間に配置され、前記光触媒フィルタの面に対して所定の角度傾斜を有して所定の間隔をもって積層した複数のルーバープレートと、前記各ルーバープレートの両面に配置された複数の紫外線LEDとを有し、前記紫外線LEDの光軸を前記光触媒フィルタの表面に対して所定の角度をもたせて前記光触媒フィルタへの照射面積を拡大した紫外線LED照明部と、
前記光触媒フィルタとの間に空気浄化性能を高め通風騒音を小さくするための所定の間隙部を有して配置された駆動モータ付き軸流ファンと、を備え、
前記吸込口カバーの吸込口から前記吹出口カバーの吹出口まで空気が左右方向に略直線状に流れることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記吸込口カバーと前記吹出口カバー、および、前記正面カバーと前記背面カバーを射出成形する樹脂成形型の主要部がそれぞれ共通であることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記光触媒フィルタは、酸化チタンに銀を担持させた触媒を吸着させたフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄器。
【請求項4】
前記直方体の上面中央部に空気清浄機の作動を切換える複数のタクトスイッチに対応するキートップが設けられ、
該キートップは、突出した波型状の複数の指圧部と該指圧部の周囲のフランジ部を有するポリカーボネートシートの射出成形品からなり、
前記波型状の複数の指圧部の相互間とフランジ部にスリットが設けられ、該指圧部間のスリットと前記フランジ部に設けられたスリットとで、略H状の複数のスリットが形成され、タクトスイッチの操作感を損なうことなく、該複数のタクトスイッチのON−OFF操作がそれぞれ単独に可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記吸込口カバーと前記吹出口カバーが、第1ベースアッパーと第1ベースロアに組付けされ、前記正面カバーと前記背面カバーとがそれぞれ、前記第1ベースアッパーと前記第1ベースロアに組付けされるものであり、
前記正面カバー上部に設けられた係止爪を、前記第1ベースアッパーに設けられた溝付き係止孔に挿入し、該正面カバーを横方向にスライドさせて前記係止爪を前記係止孔の溝に係止した後に、前記正面カバー下部を前記第1ベースロアにビスで締上げ、
同様に、前記背面カバー上部に設けられた係止爪を、前記第1ベースアッパーに設けられた溝付き係止孔に挿入し、該背面カバーを横方向にスライドさせて前記係止爪を前記係止孔の溝に係止した後に、前記背面カバー下部を前記第1ベースロアにビスで締上げ、
前記正面カバーと前記背面カバーとが、前記第1ベースアッパーと前記第1ベースロアから離脱することがなく、かつ空気清浄機本体の上面に加わる上下力を、前記正面カバーと前記背面カバーによって分担されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−279462(P2010−279462A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133701(P2009−133701)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(507394307)株式会社ティ.アール.アイ (2)
【Fターム(参考)】