説明

空気清浄機

【課題】マスク等に付着したウイルスを効果的に不活性化もしくは死滅させる空気清浄機、を提供する。
【解決手段】空気清浄機100は、プラスイオンH(HO)n(nは0を含む任意の整数)およびマイナスイオンO(HO)m(mは0を含む任意の整数)を発生するイオン発生装置を備え、イオンにより空気中のウイルスを不活性化もしくは死滅させる機能を有する。空気清浄機100は、本体部10と、ハンガー部60とを備える。本体部10には、イオン発生装置で発生したイオンを外部空間に向けて吹き出す吹き出し口14が形成される。ハンガー部60は、吹き出し口14の近傍に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、空気清浄機に関し、より特定的には、イオン発生装置を備える空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄機に関して、たとえば、特開2002−65836号公報には、比較的小さい交流電圧の印加で安定した減菌効果が得られ、かつ、空気清浄もしくは空気調和を可能とする空気清浄機が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された空気清浄機は、絶縁体を挟んで対向する一対の電極を有し、一対の電極間に交流電圧を印加することによって正イオンと負イオンとを発生させるイオン発生装置を備える。
【0003】
また、下記の非特許文献1には、プラズマ放電によって生成したプラスイオンとマイナスイオンとを用いて、ぜんそくやアトピーの主要原因であるダニアレルゲンを空中で分解、除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−65836号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“プラズマクラスターイオン(商標登録)技術に関するニュースリリース”、[online]、2003年9月3日、シャープ株式会社、[2009年6月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.sharp.co.jp/plasmacluster-tech/release/030903.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1には、室内の空気を吸い込み、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)により除塵、除菌する空気清浄機が開示されている。この空気清浄機は、さらに本体内のイオン発生装置によって、プラスイオンH(HO)n(nは0を含む任意の整数)およびマイナスイオンO(HO)m(mは0を含む任意の整数)を発生し、これらのイオンを室内に放出することによって、空気中のウイルスを不活性化もしくは死滅させる機能を有する。この際、イオン濃度が高ければ高いほど、殺菌等の効果が高くなる。
【0007】
一方、新種のウイルスが発生し、広く世界中に伝染し始めると、人々が外出時にウイルスの伝染予防としてマスクを使用する場合が想定される。しかしながら、全日本、全世界の人々が同時にマスクを使用すると、市中でマスクが入手できずパニックとなるおそれがある。そこで、使用後のマスク等を再利用するため、マスク等に付着したウイルスを効果的に不活性化もしくは死滅させる手段が求められている。
【0008】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、マスク等に付着したウイルスを効果的に不活性化もしくは死滅させる空気清浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従った空気清浄機は、プラスイオンH(HO)n(nは0を含む任意の整数)およびマイナスイオンO(HO)m(mは0を含む任意の整数)を発生するイオン発生装置を備え、イオンにより空気中のウイルスを不活性化もしくは死滅させる機能を有する空気清浄機である。空気清浄機は、本体部と、ハンガー部とを備える。本体部には、イオン発生装置で発生したイオンを外部空間に向けて吹き出す吹き出し口が形成される。ハンガー部は、吹き出し口の近傍に位置決めされる。
【0010】
このように構成された空気清浄機によれば、イオンを吹き出す吹き出し口の近傍に、使用後のマスク等を架けるためのハンガー部を設ける。これにより、イオンをマスク等に吹き付け、マスク等に付着したウイルスを効果的に不活性化もしくは死滅させることができる。
【0011】
また好ましくは、ハンガー部は、吹き出し口の近傍に位置決めされた使用状態を選択的に取るように、可動式に設けられる。空気清浄機は、さらに、ハンガー部が使用状態にあることを検知する検知部と、検知部によりハンガー部が使用状態にあることが検知された時に、イオン発生装置を作動させる制御部とを備える。
【0012】
このように構成された空気清浄機によれば、ハンガー部が使用状態を取るのに伴って、イオン発生装置を自動的に作動させる。これにより、ハンガー部の使用時において、イオン発生装置の不作動を確実に回避できる。
【0013】
また好ましくは、ハンガー部は、吹き出し口の近傍に位置決めされた使用状態を選択的に取るように、可動式に設けられる。空気清浄機は、さらに、ハンガー部が使用状態にあることを検知する検知部と、タイマー機能を有し、予め設定された時間の経過を知らせるアラーム部と、検知部によりハンガー部が使用状態にあることが検知された時に、アラーム部のタイマー機能を作動させる制御部とを備える。
【0014】
このように構成された空気清浄機によれば、ハンガー部が使用状態を取るのに伴って、アラーム部のタイマー機能を自動的に作動させる。これにより、ユーザは、特定の操作を行なうことなく、除菌終了のタイミングをアラーム部によって知ることができる。
【0015】
また好ましくは、ハンガー部は、マスクを吊り下げることが可能な棒状部材から形成される。このように構成された空気清浄機によれば、マスクをハンガー部に吊り下げることによって、マスクに付着したウイルスを効果的に不活性化もしくは死滅させることができる。
【0016】
また好ましくは、ハンガー部は、イオンの吹き出し方向において吹き出し口の延長上に配置される。このように構成された空気清浄機によれば、ハンガー部に架けられたマスク等に対して、イオンをより確実に吹き付けることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、この発明に従えば、マスク等に付着したウイルスを効果的に不活性化もしくは死滅させる空気清浄機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1における空気清浄機を示す斜視図である。
【図2】図1中の空気清浄機の内部構造を示す断面図である。
【図3】図1中の空気清浄機に設けられたイオン発生装置を示す図である。
【図4】図1中の空気清浄機を背面側から見た斜視図であり、ハンガー部の使用状態を示す図である。
【図5】図1中の空気清浄機を背面側から見た斜視図であり、ハンガー部の収納状態を示す図である。
【図6】図5中のVI−VI線上に沿った空気清浄機を示す断面図である。
【図7】図1中の空気清浄機に設けられた制御系を示すブロック図である。
【図8】図1中の空気清浄機が備えるイオンSWの自動ON機能を説明するためのフローチャート図である。
【図9】図1中の空気清浄機が備えるタイマーSWの自動ON機能を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における空気清浄機を示す斜視図である。図1を参照して、本実施の形態における空気清浄機100は、イオン発生装置が設けられるとともに、空気を清浄する機能を有する本体部10と、本体部10に付属して設けられ、使用済みのマスク等の除菌を行なうために設けられるハンガー部60とを有する。
【0021】
図2は、図1中の空気清浄機の内部構造を示す断面図である。図1および図2を参照して、まず、空気清浄機100の本体部10の構造について説明すると、本体部10は、その主要な構成として、ハウジング11と、送風機31と、ダクト26と、(HEPA)フィルタ18と、イオン発生装置40および46とを有する。
【0022】
ハウジング11は、後壁11aと、天壁11bと、底壁11cと、前壁11dとを含む、略直方体の筐体形状を有する。底壁11cは、空気清浄機100の設置場所に置かれるハウジング11の底部分であり、平面的に見た場合に略矩形形状を有する。天壁11bは、底壁11cと対向して配置され、鉛直上方向に面して形成されている。後壁11aおよび前壁11dは、互いに対向して配置され、天壁11bと底壁11cとの間で延在する。一般的に、空気清浄機100は、後壁11aを室内の壁に対向させるようにして壁際に設置される。
【0023】
ハウジング11には、空気清浄機100が設置された室内の空気を吸い込むための吸い込み口16が形成されている。吸い込み口16は、後壁11aに形成されている。吸い込み口16は、長手方向と上下方向とが一致する矩形形状を有する複数の開口が平面的に配列されて形成されている。
【0024】
ハウジング11には、さらに、清浄空気を室内に向けて放出する吹き出し口14が形成されている。吹き出し口14は、天壁11bに形成されている。本実施の形態では、吹き出し口14が、後壁11aおよび前壁11dが対向する方向と、短手方向とが一致する略矩形形状の開口から形成されている。
【0025】
なお、吹き出し口14の開口形状は、上記矩形に限られず、たとえば、円形であってもよいし、複数のスリット形状であってもよい。また、吹き出し口14を形成する位置は、天壁11bに限られず、たとえば前壁11dであってもよい。
【0026】
フィルタ18は、ハウジング11の内部において、吸い込み口16と向い合って配置されている。吸い込み口16を通じてハウジング11内部に導入された空気は、フィルタ18を通過することによって、異物が除去され、清浄空気とされる。
【0027】
送風機31は、室内の空気をハウジング11内部に吸引するとともに、フィルタ18により清浄された空気を、吹き出し口14を通じて室内に送り出すために設けられている。その構造について詳細に説明すると、送風機31は、円筒形状をなし、回転軸が前壁11dと後壁11aとが対向する前後方向となるように配置される羽根車36と、羽根車36を回転自在に収容するケーシング32とを有する遠心形ファン(シロッコファン)である。
【0028】
羽根車36は、フィルタ18に対して後壁11aの反対側に配置されている。羽根車36は、外縁に対して回転中心側が回転方向に変位する複数の羽根36fを有する多翼羽根車である。羽根車36は、その一端に軸受板を有し、軸受板の中心に開設されている軸孔には、ファン駆動用のモータ28の出力軸が取り付けられている。モータ28の駆動に伴って、羽根車36は、その他端の開口から中心部の空洞部に空気を吸い込み、さらに、その空気を外周部の羽根36fの間から放出するように構成されている。
【0029】
ケーシング32は、円弧形の誘導壁32aと、吹き出し部32bとを含んで形成されている。誘導壁32aは、羽根車36の回転により発生する気流を羽根車36の回転方向に誘導しつつ、気流の速度を増大させる。吹き出し部32bは、誘導壁32aの一部から誘導壁32aの接線方向の一方に上向きに開放されて形成されている。吹き出し部32bは、誘導壁32aの一部から誘導壁32aの接線方向の一方に突出する角筒形状をなしている。
【0030】
ケーシング32は、ケーシング本体33と、蓋板34とが組み合わさって構成されている。ケーシング本体33は、深皿形をなし、誘導壁32aおよび吹き出し部32b用の開放部を形成する。蓋板34は、ケーシング本体33の開放側を閉塞するように設けられている。蓋板34は、複数本の雄螺子を用いてケーシング本体33に取り付けられている。本実施の形態における空気清浄機100においては、ケーシング32の誘導壁32aに、1つ目のイオン発生装置40が取り付けられている。
【0031】
ダクト26は、送風機31の上方に設けられ、清浄空気をケーシング32から吹き出し口14に導く導風路として設けられている。ダクト26は、その下端が吹き出し部32bに連なり、その上端が開放された角筒形をなす形状を有し、ケーシング本体33および蓋板34と一体に成形されている。ダクト26は、吹き出し部32bから吹き出された清浄空気を、吹き出し口14に向けて層流に誘導するように構成されている。
【0032】
ダクト26は、ハウジング11の前壁11dと向い合って配置される前壁26dを有する。本実施の形態における空気清浄機100においては、ダクト26の前壁26dに、2つ目のイオン発生装置46が取り付けられている。
【0033】
図3は、図1中の空気清浄機に設けられたイオン発生装置を示す図である。図3を参照して、イオン発生装置40,46は、3つのイオン発生器41p,41q,41r(以下、特に区別しない場合は、イオン発生器41という)と、イオン発生器41を保持するための保持体44とを有する。
【0034】
イオン発生器41には、2つのイオン発生部42m,42nが併設されている。イオン発生部42m,42nは、送風機31によって送風される清浄空気の通流方向(以下、単に通流方向という)に略直角に交差する方向に離間して配置された円形の開口43を有する。イオン発生部42m,42nは、開口43の内奥側に尖鋭状をなす放電電極と、その放電電極を囲繞する対向電極とを有する。
【0035】
このような構成において、一方のイオン発生部42mがプラスイオンを、他方のイオン発生部42nがマイナスイオンを、開口43が配置された側に発生させる。3つのイオン発生器41p,41q,41rは、各イオン発生器に設けられたイオン発生部42m,42nがケーシング32の内部に臨むように設けられている。
【0036】
ケーシング32に対する保持体44の取り付け面は、通流方向に沿って湾曲する湾曲面から形成され、その湾曲面にイオン発生器41が配設されている。イオン発生器41は、イオン発生器41が配設された位置における上述の湾曲面の接線が、開口43の開口面と略平行となるように設けられている。
【0037】
イオン発生器41p,41q,41rは、通流方向に離間して配置され、かつ、通流方向と略直角に交差する方向(すなわち、イオン発生部42m,42nの並設方向であり、以下、単に併設方向という)に偏倚して配置されている。各イオン発生器41のイオン発生部42m,42nは、偏倚方向におけるプラス・マイナスの向きを同一とし、かつ、通流方向において重なり合わない位置に配置されている。換言すれば、図3中の距離L1、L2は、0以上となる。このような構成により、イオン発生部42m,42nに沿って通流する気流同士に重なりが生じるということがなくなる。
【0038】
また、各イオン発生器41の偏倚量は、並設方向における開口43の長さ以上である。換言すれば、図3中の偏倚量L4は、開口43の開口長L3以上となる。このような構成により、各開口43に沿って通流する気流同士に重なりが生じるということがなくなる。
【0039】
また、イオン発生器41の偏倚量の総和は、イオン発生部42m,42nが離間する距離以下である。換言すれば、図3中の偏倚量L5,L6の和は、イオン発生部42m,42nが離間する距離以下である。このような構成により、イオン発生器41p,41q,41rのイオン発生部42mに沿って通流する気流と、イオン発生器41p,41q,41rのイオン発生部42nに沿って通流する気流とが、並設方向の両側に分離される。
【0040】
このような構成を備える空気清浄機100においては、送風機31の駆動により、羽根車36が回転し、室内の空気が吸い込み口16からハウジング11内に吸い込まれる。このとき、吸い込み口16および吹き出し口14間に空気流れが発生し、吸い込まれた空気に含まれる塵埃等の異物は、フィルタ18により除去される。
【0041】
フィルタ18を通過して得られた清浄空気は、ケーシング32内部に吸い込まれる。この際、ケーシング32内に吸い込まれた清浄空気は、羽根車36周りの誘導壁32aによって層流となる。層流とされた空気は、誘導壁32aに沿って吹き出し部32bに誘導され、吹き出し部32bからダクト26内に送風される。
【0042】
本実施の形態における空気清浄機100においては、ケーシング32の誘導壁32aにイオン発生装置40が設けられている。このため、イオン発生装置40が、誘導壁32aに沿って流通する清浄空気中にプラスイオンおよびマイナスイオンを発生させる。さらに、吹き出し口14に向けて清浄空気を層流に誘導するダクト26の前壁26dには、イオン発生装置46が設けられている。このため、ケーシング32において発生したプラスイオンおよびマイナスイオンに加えて、さらに、イオン発生装置46がプラスイオンおよびマイナスイオンの量を増大させる。イオン発生装置40およびイオン発生装置46により発生したプラスイオンおよびマイナスイオンは、送風機31が送風する清浄空気とともに吹き出し口14から外部空間に向けて放出される。
【0043】
続いて、本実施の形態における空気清浄機100が備えるハンガー部60の構造について詳細に説明する。
【0044】
図4は、図1中の空気清浄機を背面側から見た斜視図であり、ハンガー部の使用状態を示す図である。図5は、図1中の空気清浄機を背面側から見た斜視図であり、ハンガー部の収納状態を示す図である。
【0045】
図4および図5を参照して、ハンガー部60は、空気の清浄機能を発揮する本体部10とは別部材として設けられ、本体部10に収納可能に接続されている。ハンガー部60には、吹き出し口14から放出されるプラスイオンおよびマイナスイオンを利用した除菌を行なうため、使用後のマスク等が架けられる。
【0046】
ハンガー部60は、マスク等を吊り下げ可能な形状を有する。本実施の形態では、ハンガー部60が、マスク等を吊り下げ可能な棒部材から形成されている。
【0047】
ハンガー部60は、ハウジング11の外側の外部空間において、吹き出し口14の近傍に位置決めされている。ハンガー部60は、吹き出し口14が形成されたハウジング11の天壁11bに接続されている。ハンガー部60は、イオン発生装置40およびイオン発生装置46により発生したプラスイオンおよびマイナスイオンの吹き出し方向において、吹き出し口14の延長上に位置決めされている。
【0048】
ハンガー部60の構造についてより具体的に説明すると、ハンガー部60は、ハンガー本体部としての枠部61と、接続部としての脚部62とを含んで形成されている。
【0049】
枠部61は、吹き出し口14の直上において環状に周回するように形成されている。枠部61には、使用後のマスク等が架けられる。脚部62は、枠部61から本体部10に向けて延伸し、天壁11bに接続されている。枠部61は、脚部62によって吹き出し口14の直上に支持されている。ハンガー部60は、天壁11bを平面的に見た場合に、吹き出し口14が枠部61の内側に収まるように設けられている。
【0050】
図6は、図5中のVI−VI線上に沿った空気清浄機を示す断面図である。図4から図6を参照して、ハンガー部60は、吹き出し口14の近傍に位置決めされ、マスク等の除菌を行なう際の使用状態と、ハンガー部60を使用していない時の未使用状態とを選択的に取るように、本体部10に対して可動式に設けられている。本実施の形態では、ハンガー部60は、上記の未使用状態時に、本体部10に対して収納される収納状態を取る。
【0051】
より具体的には、ハウジング11には、天壁11bを貫通する挿入孔72が形成されている。脚部62は、挿入孔72に対して、脚部62の延伸方向にスライド自在に挿入されている。ハウジング11には、溝部71がさらに形成されている。溝部71は、天壁11bから凹み、枠部61の形状に合わせて環状に周回して形成されている。
【0052】
脚部62をハウジング11から引き出した位置にスライド移動させることによって、ハンガー部60が使用状態にセッティングされる。また、脚部62をハウジング11内に収めた位置にスライド移動させることにより、ハンガー部60が未使用時の収納状態を取る。この際、枠部61が溝部71に配置されることにより、枠部61を天壁11b上に突出させることなく、ハンガー部60を本体部10に収納することができる。
【0053】
なお、枠部61に架けたマスク等を、吹き出し口14から放出される清浄空気の風路上に精度よく位置決めするために、吹き出し口14に対して枠部61の位置調整が可能なようにハンガー部60が構成されてもよい。そのような構造として、たとえば、本体部10に対するスライド位置が任意に調整可能となるように脚部62を構成してもよい。また、脚部62の途中に折れ曲がり可能な屈曲部を設け、脚部62の屈曲に伴って枠部61の位置調整を行なう構造としてもよい。
【0054】
また、ハンガー部60の形状は、上記に説明した棒状に限られず、マスク等を架けることが可能な部材であればよい。たとえば、マスク等が架けられる部分が紐から形成されてもよいし、マスク等を挟むためのクリップなどが設けられてもよい。また、ハンガー部60が設けられる位置は、吹き出し口14の位置によって適宜変更され、たとえば、吹き出し口14がハウジング11の前壁11dに形成される場合は、ハンガー部60を前壁11dの前方に配置するのが好ましい。ハンガー部60は、本体部10から取り外し可能に設けられてもよい。
【0055】
また、ハンガー部60に架けられるものは、マスクに限られず、たとえばガーゼなど、除菌が必要となるものであればよい。
【0056】
次に、ハンガー部60の使用時における空気清浄機の動作について説明する。
図1中に示す操作部12の運転SW(スイッチ)をONにすると、本体部10の羽根車36が回転し始める。このとき、操作部12のイオンSWがONになっていると、フィルタ18によって除塵、除菌された清浄空気が、イオン発生装置40およびイオン発生装置46により高濃度のプラスイオンおよびマイナスイオンが付加された状態で、吹き出し口14から室内に放出される。
【0057】
この際、使用後のマスク等を、ハウジング11から引き出したハンガー部60に架け、吹き出し口14から供給される清浄空気の風路上に位置決めする。これにより、高濃度のプラスイオンおよびマイナスイオンが付加された清浄空気をマスク等に当て、マスク等に付着したウイルスを不活性化もしくは死滅させる。結果、一度使用したマスク等を除菌し、再使用することができる。
【0058】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における空気清浄機100の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における空気清浄機100は、プラスイオンH(HO)n(nは0を含む任意の整数)およびマイナスイオンO(HO)m(mは0を含む任意の整数)を発生するイオン発生装置40,46を備え、イオンにより空気中のウイルスを不活性化もしくは死滅させる機能を有する。空気清浄機100は、本体部10と、ハンガー部60とを備える。本体部10には、イオン発生装置40,46で発生したイオンを外部空間に向けて吹き出す吹き出し口14が形成される。ハンガー部60は、吹き出し口14の近傍に位置決めされる。
【0059】
このように構成された、この発明の実施の形態1における空気清浄機100によれば、マスク等を架けるためのハンガー部60を設けることによって、高濃度のプラスイオンおよびマイナスイオンが付加された空気を用いて、マスク等に付着したウイルスを不活性化もしくは死滅させることができる。これにより、一度使用したマスク等を再使用することが可能となり、世界中で同時発生したウイルス等により、マスクが入手困難となった場合等に有効となる。
【0060】
なお、本発明は、空気清浄機に適用されるものであるが、空気の吹き出し口よりプラスイオンおよびマイナスイオンが付加された空気が供給される電気機器、たとえば、エアーコンディショナや、除湿器、加湿器などにも本発明を応用可能である。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1における空気清浄機100に設けられる付加的な機能について説明する。
【0062】
図7は、図1中の空気清浄機に設けられた制御系を示すブロック図である。図7を参照して、空気清浄機100は、操作部12に入力された操作に応じて、ファン駆動用のモータ28およびイオン発生装置40,46の動作を制御したり、運転状況に合わせて表示部81の表示を決定したりする制御部77を有する。
【0063】
空気清浄機100は、ハンガー部60が使用状態にあることを検知するためのハンガーSW76をさらに有する。図6中に示すように、本実施の形態では、ハンガー部60の収納時に枠部61が配置される溝部76に、枠部61の近接を検知可能なハンガーSW76が設けられている。制御部77は、ハンガーSW76が枠部61の近接を検知した時に、ハンガー部60が収納状態にあると判断し、ハンガーSW76が枠部61の近接を検知しない時に、ハンガー部60が使用状態にあると判断する。
【0064】
空気清浄機100は、タイマー機能を有し、予め設定された時間の経過を知らせるためのアラーム部84を有する。アラーム部84は、タイマー機能を発揮するタイマー(計時)部82と、タイマー部82と連動して、時間経過をユーザに知らせる報知部83とから構成されている。
【0065】
図8は、図1中の空気清浄機が備えるイオンSWの自動ON機能を説明するためのフローチャート図である。図7および図8を参照して、図1中の空気清浄機100がイオンSWの自動ON機能を備える場合の制御流れについて説明する。
【0066】
操作部12の運転SWがONにされると、制御部77は、本体部10の羽根車36を回転させるため、ファン駆動用のモータ28を作動させる。次に、操作部12のイオンSWがONにされていると、制御部77は、イオン発生装置40,46を作動させる。一方、操作部12のイオンSWがOFFにされている場合であっても、制御部77は、ハンガーSW76が枠部61の近接を検知せず、ハンガー部60が使用状態にあると判断した場合に、イオン発生装置40,46を作動させる。
【0067】
ユーザが予め時間を入力し、操作部12のタイマーSWをONにすることによって、タイマー部82が作動する。制御部77は、タイマー部82からの信号を受けて設定時間が修了したと判断したら、報知部83を作動させるとともに、モータ28およびイオン発生装置40,46の運転を停止させる。一方、ユーザがタイマーSWをOFFにしている場合は、制御部77は、ユーザによる操作SWの操作を待って、モータ28およびイオン発生装置40,46の運転を停止させる。
【0068】
空気清浄機100がこのようなイオンSWの自動ON機能を有する場合、本体部10からハンガー部60を引き出した際に本体部10側でイオンSWが押されていなくても、自動的にイオン発生装置40,46を作動させることができる。これにより、ハンガー部60にマスクを架けていたのに除菌がされていなかったという不都合を避けることができる。
【0069】
図9は、図1中の空気清浄機が備えるタイマーSWの自動ON機能を説明するためのフローチャート図である。図7および図9を参照して、図1中の空気清浄機100がタイマーSWの自動ON機能を備える場合の制御流れについて説明する。
【0070】
この場合、制御部77は、ハンガーSW76が枠部61の近接を検知せず、ハンガー部60が使用状態にあると判断したら、タイマー部82を作動させる。制御部77は、タイマー部82からの信号を受けて設定時間が修了したと判断したら、報知部83を作動させるとともに、モータ28およびイオン発生装置40,46の運転を停止させる。
【0071】
空気清浄機100がこのようなタイマーSWの自動ON機能を備える場合、ユーザは、タイマーSWの操作を行なうことなく、予め設定した時間が経過した後に、除菌運転を停止させることができる。
【0072】
このように構成された、この発明の実施の形態2における空気清浄機100によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。加えて、イオンSWの自動ON機能もしくはタイマーSWの自動ON機能によって、空気清浄機100の使い勝手を向上させることができる。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10 本体部、11 ハウジング、11a 後壁、11b 天壁、11c 底壁、11d 前壁、12 操作部、14 吹き出し口、16 吸い込み口、18 フィルタ、26 ダクト、26d 前壁、28 モータ、31 送風機、32 ケーシング、32a 誘導壁、32b 吹き出し部、33 ケーシング本体、34 蓋板、36 羽根車、36f 羽根、40,46 イオン発生装置、41,41p,41q,41r イオン発生器、42m,42n イオン発生部、43 開口、44 保持体、60 ハンガー部、61 枠部、62 脚部、71 溝部、72 挿入孔、76 ハンガーSW、77 制御部、81 表示部、82 タイマー部、83 報知部、84 アラーム部、100 空気清浄機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスイオンH(HO)n(nは0を含む任意の整数)およびマイナスイオンO(HO)m(mは0を含む任意の整数)を発生するイオン発生装置を備え、イオンにより空気中のウイルスを不活性化もしくは死滅させる機能を有する空気清浄機であって、
前記イオン発生装置で発生したイオンを外部空間に向けて吹き出す吹き出し口が形成される本体部と、
前記吹き出し口の近傍に位置決めされるハンガー部とを備える、空気清浄機。
【請求項2】
前記ハンガー部は、前記吹き出し口の近傍に位置決めされた使用状態を選択的に取るように、可動式に設けられ、さらに、
前記ハンガー部が使用状態にあることを検知する検知部と、
前記検知部により前記ハンガー部が使用状態にあることが検知された時に、前記イオン発生装置を作動させる制御部とを備える、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記ハンガー部は、前記吹き出し口の近傍に位置決めされた使用状態を選択的に取るように、可動式に設けられ、さらに、
前記ハンガー部が使用状態にあることを検知する検知部と、
タイマー機能を有し、予め設定された時間の経過を知らせるアラーム部と、
前記検知部により前記ハンガー部が使用状態にあることが検知された時に、前記アラーム部のタイマー機能を作動させる制御部とを備える、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ハンガー部は、マスクを吊り下げることが可能な棒状部材から形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記ハンガー部は、イオンの吹き出し方向において前記吹き出し口の延長上に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−10991(P2011−10991A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159763(P2009−159763)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】