説明

空気清浄装置

【課題】オゾンの発生量を制御することで、安全で効果的な空気清浄を行うことのできる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】オゾンを用いて空気を清浄化する空気清浄装置1において、空気を取り入れる吸気部2と、空気を吐出する吐出部5と、吸気部2から吐出部5にかけて空気清浄装置1内部に形成される空気の流路7と、オゾンを発生させるオゾン脱臭装置11と、空気中の臭気を検知してオゾン脱臭装置11によるオゾンの供給量の制御を行う臭気制御部14とを備えたことにより、オゾン脱臭装置11から発生するオゾンの発生量を、変動する空気の臭気濃度に応じた量に設定して、空気の清浄化を効果的に行うとともに、高濃度のオゾンによる人体への悪影響を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンの作用によって空気を清浄化させる空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工的にオゾンを発生させ、オゾンの作用によって空気を脱臭・殺菌して清浄化する空気清浄装置が知られている。このような空気清浄装置は、吸気口と排気口とを有する装置本体にオゾン発生手段を備え、吸気ファンによって、吸気口から空気を吸引するとともに、オゾン発生手段によって生成させたオゾンの作用で空気を脱臭・殺菌し、これにより清浄化された空気を排気口から吹き出すように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−224206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、空気中の臭気濃度というのは通常一定ではなく、それに対して特許文献1の空気清浄装置のオゾン発生手段から供給されるオゾン濃度は一定であるため、空気中の臭気濃度が低い場合などは、臭気成分の分解に必要とされる量以上のオゾンが空気中に過剰に供給されて空気中のオゾン濃度が高まり、人体に影響を与える虞があった。
【0004】
そこで、本発明は、オゾンの発生量を制御することで、安全で効果的な空気清浄を行うことのできる空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明は、オゾンを用いて空気を清浄化する空気清浄装置において、前記空気を取り入れる吸気部と、前記空気を吐出する吐出部と、前記吸気部から前記吐出部にかけて前記空気清浄装置内部に形成される前記空気の流路と、前記オゾンを発生させるオゾン発生手段と、前記空気中の臭気を検知して前記オゾン発生手段による前記オゾンの供給量の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記流路上に、前記オゾン発生手段より発生した前記オゾンを前記流路に供給するオゾン供給部を配設するとともに、前記流路上の前記オゾン供給部の上流側に、前記流路に液剤を供給する液剤供給部を配設したことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の本発明は、前記液剤を消臭液としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、オゾン発生手段から発生するオゾンの発生量を、変動する空気の臭気濃度に応じた量に設定して、空気の清浄化を効果的に行うとともに、高濃度のオゾンによる人体への悪影響を防止することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、流路に供給されたオゾンによる液剤供給部への劣化の影響を防ぐことができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、空気の流路の上流側で消臭液により空気の消臭を行うことで、下流側でのオゾンによる空気の清浄化効果をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施例における空気清浄装置1は、店舗等の建物又は外気から外部の空気を取り込み可能に設けられた吸気部2と、吸気部2より取り込まれた空気の清浄化を行う空気清浄部3と、空気清浄部3を流通してきた清浄化された空気と外気とを熱交換して清浄化された空気の冷却を行う熱交換部4と、清浄化された空気を外部に吐出し可能に設けられた吐出部5と、熱交換部4側から空気を取り込み、吐出部5側に空気を吐出可能に設けられた送風部6とを備えており、これらの構成は、空気清浄装置1内部を流通する空気の流路7の上流側から吸気部2、空気清浄部3、熱交換部4、送風部6、吐出部5の順に連結されている。
【0013】
吐出部5には、吐出部5内部にオゾン吹出口8が配設されたオゾン注入管9が接続されており、このオゾン注入管9は吐出部5外部の空気清浄部3脇に備えた置き台10上部に配置されたオゾン発生手段としてのオゾン脱臭装置11に接続されている。
【0014】
また、吐出部5には、吐出部5内部の流路7のオゾン吹出口8より上流側に、吐出部5内の空気を取り込む取込口としての臭気センシング部12が配設された臭気取出管13が接続されており、この臭気取出管13は空気清浄部3に設けられた臭気制御部14に接続されており、臭気制御部14には吐出部5の空気の臭気濃度を数値、表、グラフ又は図により目視可能に設けられた臭気モニター部15を備えている。また、臭気取出管13の途中箇所には、臭気取出管13内の空気の流量を調節可能に設けた臭気取入調整用バルブ16を備えている。ここで、前記オゾン脱臭装置11は、手動による操作又は臭気制御部14からの制御信号に基づいて作動可能に構成されている。
【0015】
さらに、吐出部5には、吐出部5内部のオゾン吹出口8より流路7の上流側に所定間隔だけ離した位置に、流路7の下流に向けて液剤を噴霧可能に設けたスプレーノズル17を備えた液剤注入管18が接続されており、この液剤注入管18は置き台10下部に設けられた液剤タンク19に接続されている。液剤タンク19にはコンプレッサー20がチューブ21を介して接続されており、コンプレッサー20から供給される圧縮空気により、液剤タンク19内の液剤を液剤注入管18を介してスプレーノズル17から送り出し可能に備えた液剤の噴霧装置を構成している。液剤タンク19には、液剤として殺菌液、二酸化塩素、芳香剤等の消臭液が貯留されている。
【0016】
空気清浄部3内部の流路7の下流側には、集塵フィルタ等から構成されるフィルタ装置22を備えている。
【0017】
また、熱交換部4には、放熱フィン、ヒートパイプ、ヒートシンク等からなる熱交換器23を備えている。
【0018】
さらに、送風部6には、送風部6内部において空気の吐出方向を吐出部5に向けて配設されたファン24と、ファン24の駆動源としてのモータ25と、モータ25からの回転駆動力をファン24に伝達可能に設けた駆動力伝達手段としてのベルト部材26とを有するファンモータ27を備えている。この送風部6のファン24を回転されることにより、吸気部2から吐出部5にかけて空気清浄装置1内部に空気を流通させる流路7を形成するものである。また、28は空気清浄装置1の駆動源としての電源ボックス、29は吸気部2に空気が流通したことを検知すると空気清浄装置1を作動させる負圧スイッチである。
【0019】
上記の空気清浄装置1の作用について説明する。オペレータが空気清浄装置1に備えた図示しない電源スイッチを操作すると、電源ボックス28により空気清浄装置1に電力が供給され、空気清浄装置1が作動する。また、吸気部2に空気が流通すると、負圧スイッチ29が作動して、空気清浄装置1が作動するようになっている。
【0020】
作動した空気清浄装置1では、送風部6のモータ25の駆動によりファン24が回転すると、送風部6では熱交換部4側から空気を取り込み吐出部5側へ吐出する、つまり、吸気部2より外部の空気を取り込んで、この取り込んだ空気を空気清浄部3、熱交換部4、送風部6の順に流通させた後、吐出部5より再度外部に吐出して循環させる空気の流路7が形成される。
【0021】
前記流路7において、建物又は外気から吸気部2に取り込まれた外部の空気は、空気清浄部3のフィルタ装置22を通過する際に空気中の塵埃が捕集されて、清浄化された空気として熱交換部4へ送られる。
【0022】
次に、熱交換部4へ送られた清浄化された空気は、熱交換器23を通過する際に熱交換器23を介して外気と熱交換をすることで冷却されて、送風部6へ送られる。
【0023】
続いて、送風部6へ送られた清浄化された空気は、ファン24の回転により吐出部5へ送られて、清浄化された空気は吐出部5を通過する際にスプレーノズル17から供給される液剤より消臭が行われ、またオゾン吹出口8から供給されるオゾンにより空気中の臭気成分が分解されることにより空気の殺菌及び脱臭が行われ、吐出部5より集塵、消臭、殺菌及び脱臭されて清浄化された空気として建物又は外気へと吐出される。
【0024】
ここで、臭気センシング部12より臭気取出管13を介して吐出部5内部の空気の臭気濃度を感知している臭気制御部14により、吐出部5内部のオゾン濃度が一定となるように、吐出部5内部の臭気濃度に応じて、オゾン脱臭装置11より供給されるオゾンの供給量を多段階的に増減させて、自動的に吐出部5内部のオゾン濃度の制御を行う。このように吐出部5内部のオゾン濃度を一定にすることで、オゾンによる空気の脱臭をより安全に行うことができる。臭気モニター部15では、吐出部5内の臭気濃度を数値、表、グラフ又は図により視覚的に確認することができるので、臭気モニター部15に表示された臭気濃度に基づいて、オゾン脱臭装置11の動作状況を確認して、吐出部5内の空気の脱臭が正常に行われているかどうかを確認することができる。
【0025】
ここで、液剤による空気の消臭効果は、液剤タンク19に貯留される液剤(消臭液)の種類によって、異なるものであり、液剤を芳香剤とした場合にはその芳香作用によって空気の消臭を行い、また殺菌液とした場合にはその殺菌作用によって空気の消臭を行い、特に液剤を二酸化塩素とした場合には、流路7の下流側で供給されるオゾンとの相乗効果によって、二酸化塩素及びオゾンがそれぞれ持つ消臭・脱臭・殺菌作用を活かして、空気の消臭・脱臭・殺菌をより安定して行うことが可能となる。
【0026】
また、スプレーノズル17及び臭気センシング部12を、オゾン吹出口8より流路7の上流側に備えたことにより、スプレーノズル17及び臭気センシング部12がオゾン吹出口8より供給されるオゾンにより劣化することを防ぐ。
【0027】
さらに、臭気取入調整用バルブ16を開閉することにより、臭気取出管13の流量の調整を行い、臭気取出管13を介して臭気制御部14へと取り込まれる空気の量を調整することで、臭気制御部14の空気の臭気濃度を感知する感知強度を調整して、オゾン脱臭装置11からのオゾンの供給量の調整を行い、吐出部5のオゾン濃度を調整することが可能となる。
【0028】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、オゾンを用いて空気を清浄化する空気清浄装置1において、空気を取り入れる吸気部2と、空気を吐出する吐出部5と、吸気部2から吐出部5にかけて空気清浄装置1内部に形成される空気の流路7と、オゾンを発生させるオゾン発生手段としてのオゾン脱臭装置11と、空気中の臭気を検知してオゾン脱臭装置11によるオゾンの供給量の制御を行う制御手段として臭気制御部14とを備えている。
【0029】
この場合、オゾン脱臭装置11から発生するオゾンの発生量を、変動する空気の臭気濃度に応じた量に設定して、空気の清浄化を効果的に行うとともに、高濃度のオゾンによる人体への悪影響を防止することができる。
【0030】
また、本実施例は請求項2に対応しており、流路7上に、オゾン脱臭装置11より発生したオゾンを前記流路7に供給するオゾン供給部としてオゾン吹出口8を配設するとともに、流路7上のオゾン吹出口8の上流側に、流路7に液剤を供給する液剤供給部としてスプレーノズル17を配設している。
【0031】
この場合、流路7に供給されたオゾンによるスプレーノズル17への劣化の影響を防ぐことができる。
【0032】
さらに、本実施例は請求項3に対応しており、液剤を消臭液としたことにより、流路7の上流側で消臭液により空気の消臭を行うことで、下流側でのオゾンによる空気の清浄化効果をさらに向上させることができる。
【0033】
尚、本発明は本実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、ここでフィルタ装置22としては、流路7の上流側より比較的大きな塵埃(約50μmまでの塵埃)を捕集可能なプレフィルタ、約50μmから0.01μmまでの塵埃を帯電フィルタ(図示せず)に吸着させて集塵可能な高圧電気集塵ユニットを備える多層集塵構造であっても構わないが、上記の帯電フィルタに代えてHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ等としてもよく、フィルタ装置22の構造はこれらに限定されるものではない。また、負圧スイッチ29を備えていなくとも構わないものとする。さらに、オゾン脱臭装置11のオゾン発生方式についても、例えば水銀灯による短い波長の紫外線照射方式や高電圧による低温放電方式等に限定されるものではなく、オゾン脱臭装置11におけるオゾン供給量の増減についても、水銀灯又は電極等への電力供給のオン/オフに応じてオゾンの供給量を増減させてもよく、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例を示す空気清浄装置の正面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 空気清浄装置
2 吸気部
5 吐出部
7 流路
8 オゾン吹出口(オゾン供給部)
11 オゾン脱臭装置(オゾン発生手段)
14 臭気制御部(制御手段)
17 スプレーノズル(液剤供給部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンを用いて空気を清浄化する空気清浄装置において、前記空気を取り入れる吸気部と、前記空気を吐出する吐出部と、前記吸気部から前記吐出部にかけて前記空気清浄装置内部に形成される前記空気の流路と、前記オゾンを発生させるオゾン発生手段と、前記空気中の臭気を検知して前記オゾン発生手段による前記オゾンの供給量の制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記流路上に、前記オゾン発生手段より発生した前記オゾンを前記流路に供給するオゾン供給部を配設するとともに、前記流路上の前記オゾン供給部の上流側に、前記流路に液剤を供給する液剤供給部を配設したことを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記液剤を消臭液としたことを特徴とする請求項2記載の空気清浄装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−88817(P2010−88817A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264472(P2008−264472)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(592022925)株式会社ダイレクトジャパン (5)
【Fターム(参考)】