説明

空気調和機の室内ユニット及びそれを備えた空気調和機

【課題】室内ユニットのフィルターで覆われる吸い込み口の仕様を現場で自由に変更可能とする空気調和機の室内ユニット及びそれを備えた空気調和機を得る。
【解決手段】室内ユニット21は、上吸い込み仕様(室内ユニット21の上部にフィルター1が設置される仕様)であるが、室内ユニット21の後部側にフィルター1が設置される仕様である後ろ吸い込み仕様とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井裏に設置され、送風機及び熱交換器を有し、天井裏から吸い込んだ空気を熱交換器で加熱又は冷却し、ダクトを通じて空調空間に吹き出すビルトイン型の空気調和機の室内ユニット及びそれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビルトイン型の空気調和機は、一般的に凝縮器、圧縮機、流量制御弁及び蒸発器によって構成された冷媒回路を備えている。冷房運転時においては、その冷媒回路に冷媒を循環させて、室内熱交換器(蒸発器)において冷媒が蒸発し、その蒸発潜熱によって室内空気を冷却し、空調空間に冷風を供給している。このとき、室外熱交換器(放熱器)において冷媒が潜熱を外気に放熱して液化し、流量制御弁を介して、室内熱交換器に供給される。一方、暖房運転時には、冷房運転時とは逆に、室外熱交換器において外気から潜熱を奪って蒸発した冷媒が室内熱交換器で液化して放熱する。
【0003】
このようなビルトイン型の空気調和装置は、一般的に、建物の天井裏に設置され、熱交換器及び送風機から構成され、ダクトを通じて自由に吹出し口を設定できるため、室内の外観を損なわない空調が可能である。また、吸い込み口を天井裏に設けることによって、吸い込み口の形状を自在に設計できる。また、狭い天井懐にも対応できるように、吸い込み口の方向は、室内ユニットの後方又は下方のうちから選択できる場合が多い。
【0004】
このような従来のビルトイン型の空気調和機において、下吸い込み仕様であり、下面である吸込グリルが片開き可能であるものが提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−240330号公報(第3頁、図2)
【特許文献2】特開平5−187658号公報(第3頁、図2)
【特許文献3】特許第3845795号公報(第3−4頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ビルトイン型の空気調和機において、例えば、後ろ吸い込み仕様で使用する場合、圧損増加による風量低下を防ぐため、壁面等の障害物からある程度の距離を確保しなければならないという問題点があった。
【0007】
また、上記の特許文献1〜特許文献3に記載された空気調和装置のように、下吸い込み仕様のものにおいては、空調空間への遮蔽物が少なくなるため、モーター又はファンの音が後ろ吸い込み仕様と比較して、吸収及び減衰されにくくなるため、空気調和機からの騒音が増加するという問題点もあった。さらに、下吸い込み仕様の場合、フィルターの埃が堆積する面が地面に対し、鉛直下向きになるため、ホテル等の客室、又は、飲食店の飲食エリア等に設置されている場合、埃が剥離して落下する等して、衛生面を害するという問題点もあった。
【0008】
また、通常、空気調和機のフィルター位置を変更する場合は工具等を使いフィルターを交換する必要があり、作業性の負荷が高いという問題点があった。特に、室内ユニットの上方にフィルターを取り付けた場合は、フィルターの汚れ具合が視認しにくく、室内ユニット下面(すなわち、空調空間の天井面)からフィルターまでの距離があるため、メンテナンス性が悪いという問題点もあった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、第1の目的は、室内ユニットのフィルターで覆われる吸い込み口の仕様を現場で自由に変更可能とする空気調和機の室内ユニット及びそれを備えた空気調和機を得ることである。
また、第2の目的は、フィルターを取り外すことなく、フィルターの汚れ具合及び目詰まり状態を確認することができる空気調和機の室内ユニット及びそれを備えた空気調和機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空気調和機の室内ユニットは、吹き出し口を有する筐体と、内部に冷媒が流通し、送り込まれる空気と該冷媒との熱交換を実施する利用側熱交換器と、前記筐体外部から内部へ空気を吸い込み、前記利用側熱交換器へ向けて該空気を送り込む送風機と、前記筐体内に吸い込まれる空気に含まれる塵埃等を除去し、可撓性を有するフィルターと、前記筐体とは別体として構成され、前記筐体の外壁として機能し、前記筐体内部と外部とを遮断し、可撓性を有するパネルと、前記フィルター及び前記パネルを前記筐体内に挿入する場合にガイドするガイド手段と、を備え、前記筐体は、前記送風機の上部に形成された上部開口部と、該上部開口部と隣接する側面のいずれかに形成された側面開口部とを有し、前記フィルター及び前記パネルは、双方の端部において連結され、少なくとも同一平面の位置関係から垂直状態の位置関係になるまで回動自在とし、該フィルター及び該パネルの連結体は、前記筐体の下面から前記ガイド手段に沿って、該フィルター側及び該パネル側のいずれの側からでも挿入可能であり、その挿入完了時において、該フィルターが前記上部開口部及び前記側面開口部のうち一方を閉口し、該パネルが他方を閉口し、前記フィルターによって閉口された前記上部開口部又は前記側面開口部が、前記送風機の駆動によって前記筐体外部から内部に空気を吸い込むための吸い込み口として構成され、前記送風機の駆動によって、前記熱交換器によって熱交換された空気を前記吹き出し口から空調空間に吹き出されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上吸い込み仕様と後ろ吸い込み仕様とを選択可能であり、これによって、天井懐奥行きの狭い天井裏にも室内ユニットを設置することが可能となる。また、上吸い込み仕様又は後ろ吸い込み仕様に選択可能とすることによって、フィルターが下側に設置される下吸い込み仕様としていないので、フィルターに堆積した塵埃等が落下しにくく、衛生面で優れており、また、メンテナンス時以外はフィルターが見えない位置に設置されるため美観的にも優れている。さらに、上吸い込み仕様又は後ろ吸い込み仕様に選択可能とすることによって、下吸い込み仕様と比較して、送風機の駆動音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の断面構造図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機におけるフィルター1及びパネル2の連結状態を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る室内ユニット21へフィルター1及びパネル2を挿入して設置する状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る室内ユニット21にフィルター1及びパネル2が挿入される前後の状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る室内ユニット21の後ろ吸い込み仕様状態及び上吸い込み仕様状態におけるフィルター1及びパネル2の設置状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内ユニット21の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
(空気調和機の室内ユニット21の構造)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の断面構造図である。
図1で示されるように、室内ユニット21は、フィルター1、パネル2、取り付けレール3、点検用窓4、室内熱交換器5、膨張装置6、送風機7、ドレンパン10及び吹き出し口11を備えている。このうち、室内熱交換器5及び膨張装置6が、熱源側ユニット(図示せず)の圧縮機及び室外熱交換器(図示せず)と冷媒配管によって接続され、冷凍サイクルを構成している。また、室内ユニット21は、ビルトイン型の空気調和機の空調用ユニットであり、空調空間の天井に埋設されており、図1では、設置例として、据付壁8の近傍に据え付けられた例を示している。
なお、図1の室内ユニット21の断面図において左側を「後部」、右側を「前部」というものとする。
【0014】
フィルター1は、後述する送風機7の駆動によって室内ユニット21内に送り込まれる天井裏の空気に含まれる塵埃等を除去するものである。図1で示される室内ユニット21は、上吸い込み仕様(室内ユニット21の上部にフィルター1が設置される仕様)であるが、室内ユニット21の後部側にフィルター1が設置される使用である後ろ吸い込み仕様とすることもできる。室内ユニット21の筐体のうち、送風機7の上方部、又は、室内ユニット21本体の後部側は開口されており、フィルター1は、そのいずれかの開口部(図4において後述する開口部14a及び開口部14b)を覆う態様で設置される。また、フィルター1は、ナイロン、ポリエステル又は不織布等を材質とするものであり、可撓性を有するものである。
【0015】
パネル2は、前述の開口部14a又は開口部14bを覆うものであり、後述するように、フィルター1と連結されている。また、パネル2は、樹脂材料等によって形成されたものであり、フィルター1と同様に、可撓性を有するものであり、フィルター1と同一の平面面積を有するものである。
【0016】
取り付けレール3は、後述するように、連結されたフィルター1及びパネル2を室内ユニット21内に挿入する際にガイドするものであり、挿入後にフィルター1及びパネル2の位置を固定する役割も担うものである。具体的には、取り付けレール3は、図4において後述する2枚のサイドパネル13の内側に固定されており、室内ユニット21の後部面に平行、及び、室内ユニット21の上面に平行に取り付けられ、それぞれ上端部及び後部側端部はR形状のレールによって連結され、全体として略L字形状を呈している。
【0017】
点検用窓4は、室内ユニット21の下面に設置された透明な素材で形成された窓であり、メンテナンス者が、目線9のように、フィルター1の目詰まり状態を確認するためのものである。
なお、点検用窓4は、透明な素材で形成されることに限定されるものではなく、開閉可能な窓としてもよく、あるいは、少なくともフィルター1を視認することができる程度の光透過性を備える素材によって形成されるものとすればよい。
【0018】
室内熱交換器5は、空気調和機が冷房運転する場合は、蒸発器として機能し、後述する膨張装置6によって減圧された冷媒と空気とを熱交換し、空気を冷却する。一方、室内熱交換器5は、空気調和機が暖房運転する場合は、放熱器として機能し、圧縮機から吐出され、圧縮機接続配管5aを流通してきた冷媒と空気とを熱交換し、空気を加熱する。
【0019】
膨張装置6は、室内熱交換器5、又は、室外熱交換器(図示せず)から流れてくる冷媒を膨張して減圧するものである。
なお、図1で示されるように、膨張装置6は、室内ユニット21内部に備えられる構成としているが、これに限定されるものではなく、前述の熱源側ユニットに備えられる構成としてもよい。
【0020】
送風機7は、その吹き出し口が室内熱交換器5に向けられるように設置されており、天井裏の空気をフィルター1を介して吸い込み、吹き出し口から室内熱交換器5へ向けて空気を吹き出すものである。
【0021】
ドレンパン10は、室内熱交換器5が蒸発器として機能した場合に結露して滴下する水、及び、蒸発器として機能している場合に発生及び付着した霜が、凝縮器としての機能に切り替わって溶解した場合に滴下する水を受けて一時的に貯留するものである。貯留した水は、例えば、ドレンパン10の底面に排水口を設け、外部に排出可能な構造とすればよい。
【0022】
吹き出し口11は、前部に設置されており、送風機7によって送風され、室内熱交換器5によって冷媒と熱交換された空気を吹き出すものである。
【0023】
なお、取り付けレール3及び室内熱交換器5は、それぞれ本発明の「ガイド手段」及び「利用側熱交換器」に相当する。また、室外熱交換器は、本発明の「熱源側熱交換器」に相当する。
【0024】
(フィルター1及びパネル2の連結態様)
図2は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機におけるフィルター1及びパネル2の連結状態を示す図である。このうち、図2(a)は、フィルター1側に消音材12が設置された図を示し、図2(b)は、フィルター1とパネル2とが連結され、フィルター1及びパネル2が同一平面の位置関係となる状態を示しており、そして、図2(c)は、フィルター1とパネル2とが連結され、フィルター1の面とパネル2の面とが垂直の位置関係となる状態を示している。
【0025】
図2(a)で示されるように、後述するようにフィルター1が、開口部14a又は開口部14bを覆った状態で、フィルター1の両面のうちの内面側に、フィルター1の略全域に亘って消音材12が接着されている。この消音材12は、送風機7の駆動音を低減させ、フィルター1を介して送風機7の駆動音が外部に漏れるのを抑制するものである。
【0026】
図2(b)で示されるように、パネル2には、フィルター1と隣接する端部に2箇所、爪部2aが設けられている。また、フィルター1には、パネル2の爪部2aの位置に合わせて、パネル2と隣接する端部に2箇所、穴部1aが穿設されている。この爪部2aが、穴部1aに引っ掛けて嵌合させることによって、フィルター1とパネル2とが連結される。以上のようなフィルター1とパネル2との連結態様によって、図2(b)で示されるよに、フィルター1及びパネル2が同一平面の位置関係となるような連結状態にすることもでき、図2(c)で示されるように、穴部1aと爪部2aとの嵌合部を軸にして回動させ、フィルター1及びパネル2が垂直状態の位置関係となる連結状態にすることができる。
【0027】
なお、爪部2aは、フィルター1とパネル2とを連結するための強度を得るために、パネル2の材質とは異なる樹脂又は金属等によって形成されるものとすればよい。
また、図2においては、穴部1a及び爪部2aは、それぞれ2つずつ形成されている状態が示されているが、これに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上ずつ形成されるものとしてもよい。
また、フィルター1及びパネル2の、前述の嵌合部を軸とした回動範囲は、特に限定されるものではないが、少なくとも、図2(b)で示されるように、フィルター1及びパネル2が同一平面の位置関係となるような連結状態にでき、図2(c)で示されるように、フィルター1及びパネル2が垂直状態の位置関係となる連結状態にできる程度の回動範囲が確保されていればよい。
【0028】
(フィルター1及びパネル2の挿入動作)
図3は、本発明の実施の形態1に係る室内ユニット21へフィルター1及びパネル2を挿入して設置する状態を示す図であり、図4は、同室内ユニット21にフィルター1及びパネル2が挿入される前後の状態を示す図である。以下、室内ユニット21を上吸い込み仕様とするために、フィルター1及びパネル2を室内ユニット21内に挿入する動作を説明する。
【0029】
まず、フィルター1とパネル2とは、穴部1a及び爪部2aによって互いに連結されているものとする。そして、室内ユニット21の下部から、フィルター1側から挿入させる。具体的には、室内ユニット21の後部側端部と、取り付けレール3との隙間にフィルター1側から挿入させる。そして、フィルター1が取り付けレール3に沿って、室内ユニット21の上部に達するまで挿入させる。その状態を示すのが図3(a)である。
【0030】
また、続けてパネル2側を室内ユニット21内部に押し込むことによって、可撓性を有するフィルター1が、屈曲して取り付けレール3の上部側に沿って、室内ユニット21の前部側方向に向けて挿入される。その状態を示すのが図3(b)である。
【0031】
そして、さらにパネル2を室内ユニット21内部に押し込むことによって、パネル2全体が室内ユニット21の内部に挿入された状態となる。この状態となると、フィルター1の全体が室内ユニット21の上面と平行となり、パネル2の全体が室内ユニット21の後部面と平行となる。また、フィルター1は、室内ユニット21上部の外枠と、取り付けレール3の上側部とによって挟持され、パネル2は、室内ユニット21後部側の外枠と、取り付けレール3の後部側によって挟持される。その状態を示すのが図3(c)である。
【0032】
また、図4(a)は、室内ユニット21にフィルター1及びパネル2が装着される前の状態を示している。室内ユニット21の内部の送風機7が設置される部分の左右側はサイドパネル13が、室内ユニット21の外面として設置され、室内ユニット21の上部のサイドパネル13に対応する部分には、開口部14aが形成され、室内ユニット21の後部には、開口部14bが形成されている。
【0033】
そして、図4(b)は、図3(a)〜図3(c)によって示した態様で、室内ユニット21にフィルター1及びパネル2が装着された後の状態を示している。室内ユニット21にフィルター1及びパネル2が装着されることによって、フィルター1は、開口部14aを閉口させ、パネル2は、開口部14bを閉口させることになる。
【0034】
なお、図3及び図4は、室内ユニット21が上吸い込み仕様の状態を示すものであるが、これに限定されるものではなく、以下に説明するように、後ろ吸い込み仕様とすることもできる。後ろ吸い込み仕様とする場合、まず、連結したフィルター1及びパネル2を、フィルター1側からではなく、パネル2側から、室内ユニット21内部に挿入する。具体的には、室内ユニット21の後部側端部と、取り付けレール3との隙間にパネル2側から挿入させる。以後の挿入の態様は、図3(a)〜図3(c)で示されるものと同様である。このように、室内ユニット21にフィルター1及びパネル2が装着されることによって、フィルター1は、開口部14bを閉口させ、パネル2は、開口部14aを閉口させることになる。
【0035】
また、開口部14a及び開口部14bは、それぞれ本発明の「上部開口部」及び「側面開口部」に相当する。さらに、開口部14a及び開口部14bは、本発明の「開口部」にも相当する。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態1に係る室内ユニット21の後ろ吸い込み仕様状態及び上吸い込み仕様状態におけるフィルター1及びパネル2の設置状態を示す図である。なお、図5において、フィルター1及びパネル2の設置状態を認識しやすいように、取り付けレール3、サイドパネル13、及び室内ユニット21の後部を形成する外枠等の図示を省略している。また、図5における矢視Aは、図1における矢視Aと一致する。
図5(a)は、フィルター1が室内ユニット21の後部に設置され、パネル2が室内ユニット21の上部に設置された後ろ吸い込み仕様の状態を示すものである。また、図5(b)は、フィルター1が室内ユニット21の上部に設置され、パネル2が室内ユニット21の後部に設置された上吸い込み仕様の状態を示すものである。
【0037】
(室内ユニット21の動作)
次に、図1を参照しながら、室内ユニット21の動作の概要を説明する。
なお、室内ユニット21には上吸い込み仕様となるようにフィルター1及びパネル2が設置されており、室内ユニット21を含む空気調和機は冷房運転を実施するものとする。
【0038】
まず、圧縮機(図示せず)によって圧縮された高温高圧冷媒は、室外熱交換器(図示せず)において外気に放熱して凝縮する。凝縮した高圧冷媒は、室内ユニット21内に流入し、膨張装置6において減圧及び膨張され、低圧の気液二相冷媒となる。この気液二相冷媒は、室内熱交換器5に流入し、送風機7の駆動によって送り込まれる天井裏の空気と熱交換して蒸発し、この空気を冷却する。冷却された空気は、吹き出し口11から室内ユニット21の外部へ吹き出され、ダクト等を経由して空調空間に吹き出される。室内熱交換器5において蒸発した低温低圧冷媒は、圧縮機接続配管5aを経由して、室内ユニット21から流出し、圧縮機へ吸入され、再び圧縮される。
【0039】
この際、送風機7の駆動によって、室内熱交換器5に向けて空気を送り込むには、フィルター1を介して、天井裏の空気を室内ユニット21の内部に取り込まれることになる。この際、空気に含まれる塵埃等がフィルター1によって除去され、フィルター1の外面に蓄積されることになる。
【0040】
(フィルター1のメンテナンス)
前述のように、室内ユニット21の下面には、透明な素材で形成された点検用窓4が設置されており、この点検用窓4を介して、メンテナンス者は、フィルター1が塵埃等によって目詰まりを起こしているかを確認することができる。また、図1で示されるように、点検用窓4は、上吸い込み仕様(すなわち、フィルター1によって室内ユニット21の開口部14aが閉口される仕様)においても、後ろ吸い込み仕様(すなわち、フィルター1によって室内ユニット21の開口部14bが閉口される仕様)においても、メンテナンス者がフィルター1を目視できるような位置(目線9参照)に設置されている。
【0041】
これによって、フィルター1を取り外すことなく、フィルター1の汚れ具合及び目詰まり状態を確認することができ、メンテナンス性が向上する。
【0042】
(実施の形態1の効果)
以上のように、本実施の形態の空気調和機の室内ユニット21は、上吸い込み仕様と後ろ吸い込み仕様とを選択可能であり、これによって、天井懐奥行きの狭い天井裏にも室内ユニット21を設置することが可能となる。
【0043】
また、通常、上吸い込み仕様の場合、フィルターの汚れ具合が視認しにくく、室内ユニット下面(すなわち、空調空間の天井面)からフィルターまでの距離があるため、メンテナンス性が悪いという問題があったが、本実施の形態のように点検用窓4を設けることによって、上吸い込み仕様においても(また、後ろ吸い込み仕様においても)、汚れ具合及び目詰まり状態を確認することができるので、メンテナンス性が向上する。
【0044】
また、フィルター1及びパネル2を連結状態とすることによって、フィルター1が上側に配置される上吸い込み仕様においても、室内ユニット21の下面からパネル2を引き出すことに付随してフィルター1を取り外すことができるので、フィルター1のメンテナンス性がさらに向上する。
【0045】
また、本実施の形態においては、上吸い込み仕様又は後ろ吸い込み仕様に選択可能とすることによって、フィルターが下側に設置される下吸い込み仕様としていないので、フィルター1に堆積した塵埃等が落下しにくく、衛生面で優れており、また、メンテナンス時以外はフィルター1が見えない位置に設置されるため美観的にも優れている。
【0046】
さらに、上吸い込み仕様又は後ろ吸い込み仕様に選択可能とすることによって、下吸い込み仕様と比較して、送風機の駆動音を抑制することができる。
【0047】
なお、連結されたフィルター1及びパネル2は、取り付けレール3によってガイドされて、室内ユニット21内へ挿入後、取り付けレール3及び室内ユニット21の外枠によって挟持されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、取り付けレール3によるものではなく、連結されたフィルター及びパネル2を、設置位置にガイドする手段であればいずれの構造でもよい。
【0048】
また、開口部14aが、室内ユニット21の筐体に形成された吹き出し口11と対向する面に形成されるものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、図4(a)で示される開口部14bは閉口され、その代わりに、サイドパネル13に開口部14aに相当する開口部が形成され、この開口部及び開口部14aが、それぞれフィルター1又はパネル2によって閉口される構成としてもよい。
【0049】
実施の形態2.
本実施の形態に係る空気調和機について、実施の形態1に係る空気調和機と相違する点を中心に説明する。
【0050】
(空気調和機の室内ユニット21の構造)
図6は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内ユニット21の外観斜視図である。
図6で示されるように、本実施の形態に係る室内ユニット21は、パネル2に相当する部材はなく、フィルター1が一体として、室内ユニット21の上面、及び、後部面を覆うものである。ただし、フィルター1を室内ユニット21の下面から挿入する場合、フィルター1全面が、取り付けレール3に沿うような態様で挿入及び設置されるものとする。これは、図1及び図3(c)で示されるように、フィルター1を直角に屈曲させた状態で設置するものとすると、フィルター1を破損する可能性があるからである。ただし、フィルター1の強度が、直角に屈曲させるのに問題のないものであれば、図1及び図3(c)で示されるように、直角に屈曲させた状態で設置される構成としてもよい。
【0051】
(実施の形態2の効果)
以上の構成によって、実施の形態1における効果を有するのはもちろんのこと、室内ユニット21の上面側及び後部面側が共に、フィルター1によって覆われることになるので、実施の形態1のように上面側又は後部面側のいずれかがフィルター1によって覆われる場合と比較して、塵埃等の堆積の密度が小さくなり、フィルター1のメンテナンス回数を低減することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 フィルター、1a 穴部、2 パネル、2a 爪部、3 取り付けレール、4 点検用窓、5 室内熱交換器、5a 圧縮機接続配管、6 膨張装置、7 送風機、8 据付壁、9 目線、10 ドレンパン、11 吹き出し口、12 消音材、13 サイドパネル、14a、14b 開口部、21 室内ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹き出し口を有する筐体と、
内部に冷媒が流通し、送り込まれる空気と該冷媒との熱交換を実施する利用側熱交換器と、
前記筐体外部から内部へ空気を吸い込み、前記利用側熱交換器へ向けて該空気を送り込む送風機と、
前記筐体内に吸い込まれる空気に含まれる塵埃等を除去し、可撓性を有するフィルターと、
前記筐体とは別体として構成され、前記筐体の外壁として機能し、前記筐体内部と外部とを遮断し、可撓性を有するパネルと、
前記フィルター及び前記パネルを前記筐体内に挿入する場合にガイドするガイド手段と、
を備え、
前記筐体は、前記送風機の上部に形成された上部開口部と、該上部開口部と隣接する側面のいずれかに形成された側面開口部とを有し、
前記フィルター及び前記パネルは、双方の端部において連結され、少なくとも同一平面の位置関係から垂直状態の位置関係になるまで回動自在とし、
該フィルター及び該パネルの連結体は、前記筐体の下面から前記ガイド手段に沿って、該フィルター側及び該パネル側のいずれの側からでも挿入可能であり、その挿入完了時において、該フィルターが前記上部開口部及び前記側面開口部のうち一方を閉口し、該パネルが他方を閉口し、
前記フィルターによって閉口された前記上部開口部又は前記側面開口部が、前記送風機の駆動によって前記筐体外部から内部に空気を吸い込むための吸い込み口として構成され、
前記送風機の駆動によって、前記熱交換器によって熱交換された空気が前記吹き出し口から空調空間に吹き出される
ことを特徴とする空気調和機の室内ユニット。
【請求項2】
吹き出し口を有する筐体と、
内部に冷媒が流通し、送り込まれる空気と該冷媒との熱交換を実施する利用側熱交換器と、
前記筐体外部から内部へ空気を吸い込み、前記利用側熱交換器へ向けて該空気を送り込む送風機と、
前記筐体内に吸い込まれる空気に含まれる塵埃等を除去し、可撓性を有するフィルターと、
前記フィルターを前記筐体内に挿入する場合にガイドするガイド手段と、
を備え、
前記筐体は、前記送風機の上部から隣接する側面にかけて形成された開口部を有し、
該フィルターは、前記筐体の下面から前記ガイド手段に沿って挿入可能であり、その挿入完了時において、該フィルターが前記開口部を閉口し、
前記フィルターによって閉口された前記開口部が、前記送風機の駆動によって前記筐体外部から内部に空気を吸い込むための吸い込み口として構成され、
前記送風機の駆動によって、前記熱交換器によって熱交換された空気が前記吹き出し口から空調空間に吹き出される
ことを特徴とする空気調和機の室内ユニット。
【請求項3】
前記フィルター及び前記パネルは、同一の平面面積を有した
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項4】
前記筐体の下面において前記フィルター及び前記パネルの連結体を挿入した挿入部から、該フィルター及び該パネルを連結した状態で、引き抜き可能に構成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項5】
前記筐体の下面において前記フィルターを挿入した挿入部から、該フィルターを引き抜き可能に構成された
ことを特徴とする請求項2記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項6】
前記側面開口部は、前記筐体において、前記吹き出し口に対向する面に形成された
ことを特徴とする請求項1、請求項3又は請求項4記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項7】
光透過性を有し、前記フィルターが前記筐体内に挿入されて設置された場合に、前記筐体の下面のうち該フィルターの状態が視認可能である位置に設置された点検用窓を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項8】
前記筐体の下面に開閉自在に設置され、前記フィルターが前記筐体内に挿入されて設置された場合に、開状態のとき該フィルターの状態が視認可能である位置に設置された点検用窓を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項9】
前記フィルターの内面の略全域に亘って設置され、前記送風機の騒音を吸収する消音材を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項10】
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒と前記空調空間外の空気との熱交換を実施する熱源側熱交換器と、
前記冷媒を減圧させる膨張装置と、
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の空気調和機の室内ユニットと、
を備え、
前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記膨張装置、及び、前記室内ユニットが備えた前記利用側熱交換器が冷媒配管によって接続されて冷凍サイクルが構成された
ことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2736(P2013−2736A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134320(P2011−134320)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】