説明

空気調和機の室内ユニット

【課題】 機外接続配管に発生した着露水をドレンパンに回収するためにユニット内で配管2回曲げ加工を施しており、この配管取り回しスペースがユニット内に必要であった。
【解決手段】 空気調和機の室内ユニットに内設された熱交換器に接続され熱媒体を室内ユニットの外部へ流通させる機外接続配管と、前記機外接続配管が室内ユニット内から外側へ引き出す貫通穴を有したドレンパンとを備え、機外接続配管は上側配管と下側配管とからなり、上側配管に設けられた下向きの配管端部のフレア加工部を有し、下側配管がフレア内側に挿入されて溶接固定されるとともに、フレア加工部の端部外径をドレンパンの貫通穴周りに設けた円筒形凸形状部の先端外径よりも大きくしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機の室内ユニットにおけるドレンパンと機外接続配管の構造に係わり、特に機外接続配管に発生する着露水回収構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の熱交換器とドレンパンとの取り付け構造に係わり、熱交換器からの接続配管外側表面に結露した水滴の処理構造において、ドレンパン及び底面板金に切り欠きを設け、その切り欠きから配管を機外に取出し、配管着露水が機外に漏れないようドレンパン切り欠き部上部の配管にゴム成形部品を取り付け、着露水をドレンパンで回収するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、他の空気調和機では、機外接続配管をユニット底面でなく、ユニット側面から取り出す着露水回収構造として、室内ユニット内の配管を垂直方向から水平方向に曲げ、配管の水平部分に分割部を設けて貫通穴を持つ仕切板から機外に取り出し、分割配管の接続を、垂直方向から水平方向に曲げた配管側の接続を内管、もう一方の機外に取り出す配管側を外管とし、この配管端部にフレア加工を設けて接続し、配管曲げ部から水平につたって流れた着露水をフレア加工の内側の面を利用して、配管下に配置したドレンパンに滴下させ回収するようにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらには、ヒートポンプ熱源機(空気調和機室外ユニット)を利用して、冷凍サイクルを循環する冷媒回路内の冷媒から、利用側機器へ熱を伝達する媒体としての水回路内の水へ熱交換し、この熱交換された水が循環することによって水回路に接続された利用側機器である室内放熱器にて冷暖房を行う温冷水空調システムにおいて、ヒートポンプ熱源機と室内放熱器を結ぶ熱媒体中継回路と、その熱媒体中継回路をコントロールする制御装置を備えた室内中継ユニット(ハイドロBOX)にも、機外接続配管に発生する着露水回収構造がある。
【0005】
この室内中継ユニットは、ユニット底面板金に、ヒートポンプ熱源及び室内放熱機と接続する機外配管取出し部と、配管着露水を受けるドレンパンが設けられ、ユニット前面側にドレンパン、背面側に機外配管取出し部と、それぞれが分離した構造となっており、ユニット内部品に着露した着露水が機外に漏れないようドレンパンに回収するためのユニット構成を有している。例えば、図3のユニット底面部拡大図に示すような構成である。図中において、10は底面板金、11は発泡スチロール等で成形されたドレンパン、12は機外接続配管取出しの底面板金穴、13はドレンパンに貯水された水を機外に排水する排水穴である。
【0006】
図4は従来の室内中継ユニットの機外接続配管着露水回収構造詳細図である。図中、14は機外接続配管の垂直方向から水平方向への曲げ、15は機外接続配管の水平方向から垂直方向への曲げ、16は断熱材、17は断熱材の端面、18は配管着露水である。なお、白抜き矢印は着露水の流れを示す。
【0007】
このように、従来の室内中継ユニットでは、着露部品や機内配管をドレンパン露受部上部に配置し、発生する着露水を自重によってドレンパンに滴下させる。また、機外接続配管はドレンパン露受部上部で垂直方向から水平方向に1度曲げ、この曲げ部を利用して機外接続配管の表面に発生した着露水をドレンパンに滴下させている。そして、さらに機外接続配管をドレンパン露受部から外れた配管取出し部上部で水平方向から垂直方向にもう一度曲げて配管を機外に取り出していた。またドレンパン露受部上部の配管曲げ部で滴下せず、配管から水平につたって流れた着露水については、ドレンパン露受部上部の配管に取付けられた断熱材の端面で着露水の流れを止めることにより、自重でドレンパンに滴下させている。ドレンパンには傾斜と排水穴を設けてあるので、ドレンパンに貯水された水は、この傾斜の案内に沿って流れ、排水穴から機外に排水されるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−148670号公報(第2頁、第2−4図)
【特許文献2】実開平6−51728号公報(第4―8頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の室内中継ユニットの機外接続配管は、着露水回収のためにユニット内で2回曲げを施しているが、配管曲げ加工には配管掴み代が必要なので、配管曲げと配管掴み代分の配管取回しスペースをユニット内に確保しなければならず、ユニットサイズ拡大の要因となっていた。またドレンパン及び底面板金に切り欠きを設け、その切り欠き部分から配管を機外に取り出し、さらにドレンパン露受部上部の配管にゴム成形部品を取り付けることで着露水を回収する構造においては、組立によりゴム成形部品の取付け位置がずれると着露水をドレンパンで回収できない恐れがあった。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、配管曲げ加工を削除することによる配管取回しスペース分のユニットの小型化を図るものである。
【0011】
また第2の目的は、機外接続配管着露水の確実なドレンパンへの回収を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る空気調和機の室内ユニットは、内設された熱交換器と、前記熱交換器に接続され熱媒体を前記室内ユニットの外部へ流通させる機外接続配管と、前記機外接続配管が室内ユニット内から外側へ引き出す貫通穴を有したドレンパンとを備え、前記機外接続配管は上側配管と下側配管とからなり、前記上側配管に設けられた下向きの配管端部のフレア加工部を有し、前記下側配管がフレア内側に挿入されて溶接固定されるとともに、前記フレア加工部の端部外径が前記ドレンパンの貫通穴の周りに設けた円筒形のドレンパン凸形状部の先端外径よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明の空気調和機の室内ユニットは、機外との配管接続のための配管取り回しスペースを大きく確保することなく、機外接続配管の着露水をドレンパン内に確実に回収することができ、室内ユニットを小型化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1における空気調和機の室内中継ユニットを説明する全体概略システム図である。
【図2】この発明の実施の形態1における空気調和機の室内中継ユニットの概略構成図である。
【図3】この発明における対比説明のための従来の室内中継ユニットによる底面部拡大図である。
【図4】この発明における対比説明のための従来の室内中継ユニットによる機外接続配管着露水回収構造詳細図である。
【図5】この発明の実施の形態1における空気調和機の室内中継ユニットの要部拡大構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1における他の空気調和機の室内中継ユニットの要部拡大構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1におけるさらに他の空気調和機の室内中継ユニットの要部拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
この発明の実施形態を図にて説明する。
図1は、ヒートポンプ熱源機から得られる熱を水と熱交換させて、この熱交換された水を循環させる水回路に接続された利用側機器(例えば、室内放熱器)により冷暖房を行う温冷水空調システムとしての、ヒートポンプ熱源機と室内放熱器を連結させる室内中継ユニットを備えた全体概略システム図である。
【0016】
図中、1はヒートポンプ熱源機(空気調和機室外ユニット)、2はヒートポンプ熱源機の冷媒回路を循環する冷媒から水回路内の水へ熱交換するプレート熱交換器、3は水回路内の熱交換した水を循環させるポンプ、4は暖房運転時にヒートポンプ熱源機からのプレート熱交換器2を介した熱交換量だけでは温まりきらなかった水を補助的に加熱するブースタヒータ、5は水回路内の圧力の上昇分を吸収する膨張タンク、6は水回路の所定部位の温度を取り込んで水の循環ポンプ3やブースタヒータ4さらにはヒートポンプ熱源機の運転をコントロールする制御装置、7は水回路に接続された床暖房やラジエータ等の室内放熱器である。
【0017】
図1において、ヒートポンプ熱源機1からプレート熱交換器2へ循環する冷媒回路に示した実線矢印は暖房時の冷媒の流れる方向、破線矢印は冷房時の冷媒の流れる方向であり、水回路における太い実線矢印は水の流れる方向を示すものである。また、破線で囲った枠内の部品は室内中継ユニット(ハイドロBOX)内の構成部品、細線は制御装置6への信号線(配線)を示す。それぞれの部品は配管で繋がれており、この回路内の冷媒及び水の循環によって冷暖房を行っている。
【0018】
図2は空気調和機の室内中継ユニット(ハイドロBOX)の概略構成を示した図である。図中の8は塗装された外郭板金ケース、9はヒートポンプ熱源機(空気調和機室外ユニット)及び室内放熱器を繋ぐ機外接続配管である。図1にて説明したプレート熱交換器2、ポンプ3、ブースタヒータ4、膨張タンク5、制御装置6は、この外郭板金ケース8に納められてユニットを形成し、ユニット背面及び室内壁に取付けられた据付け金具等で壁に掛けて取り付け固定される。
【0019】
図5は、本発明の実施の形態1におけるドレンパン及び底面板金と機外接続配管の構成を示す室内中継ユニットの要部拡大構成図である。19は室内中継ユニット内部から外部へ機外接続配管を引き出すためにドレンパンに設けられたドレンパン貫通穴、20はドレンパン貫通穴19の周りに設けた円筒形のドレンパン凸形状部、21は機外接続配管の下側配管、22は機外接続配管の上側配管、23は機外接続配管の下側配管21と上側配管22がロウ付け等の溶接で接続固定される配管接続部、24は上側配管の端部側を下向きにラッパ状に形成したフレア加工部、25は上側配管とドレンパン凸形状部との隙間である。白抜き矢印は配管着露水18の流れを示す。
【0020】
機外接続配管の下側配管21と上側配管22はドレンパン凸形状部20の上部で、下側配管21を内管、上側配管22を外管としてロウ付け等で接続されており、ドレンパン凸形状部20に設けられたドレンパン貫通穴19と底面板金穴12を通り、ドレンパン11及び底面板金10から機外に取り出されている。ユニット内の着露部品はドレンパン露受部に着露水を滴下させるようにドレンパン11の上部に取付けられている。
【0021】
ドレンパン凸形状部20はユニット内部品に着露してドレンパン11内に滴下して貯水した水がドレンパン貫通穴19から機外に漏れないように設けられている。上側配管22の配管接続部形状(フレア加工部)24は管端部を先方に向けて先広のラッパ形状にフレア加工されており、フレア加工24の先端径はドレンパン凸形状20の先端外径より広く加工されている。またフレア加工24の先端部とドレンパン凸形状20の先端部には隙間25が設けられている。
【0022】
これにより、配管着露水18は配管上部から自重により配管に沿って配管下部に流れ、フレア加工24の外側をつたってドレンパン11に滴下するので、機外接続配管に曲げ加工を施すことなく配管着露水18をドレンパン11に滴下させることができる。また隙間25により、組立の際にドレンパン凸形状20の先端外周部がフレア加工24と接触することによる傷付きを防止出来る。
【0023】
上述の実施の形態1は、組立の際のドレンパン傷付き防止を施した形態であるが、さらにドレンパン傷付き防止及びドレンパン貫通穴から機外空気や埃、虫等の侵入を防止した他の形態について説明する。図6は、他の空気調和機の室内中継ユニットの要部拡大図であり、ドレンパン及び底面板金と機外接続配管の構成を示す図である。26は円筒形のドレンパン凸形状先端の外周部に面取りを設けたものである。この時、機外接続配管のフレア加工24の内側面とドレンパン凸形状26の面取り部は係合するよう同一角度で加工されている。
【0024】
ドレンパン凸形状26に設けられた貫通穴19と底面板金穴12を通り、ドレンパン11及び底面板金10から機外に取出されている機外接続配管のフレア加工24は、フレア加工24の内側の面でドレンパン凸形状26に接触して取付けられる。
【0025】
これにより、機外接続配管に曲げ加工を施すことなく配管着露水18をドレンパン11に滴下させることができ、かつ設置組立の際のドレンパン傷付き防止及びドレンパン貫通穴から機外空気や埃、虫等の侵入防止もすることができる。
【0026】
また、さらに他の空気調和機の室内中継ユニットにおける配管着露水のドレンパンへの回収について説明をする。図7は、さらに他の空気調和機の室内中継ユニットの要部拡大構成図であり、ドレンパン露受面の面積縮小等により、配管着露水の滴下位置を定める場合にさらに有効となる。図7において、図5で示す部品と同一もしくは相当部品は同じ符号を付ける。ドレンパン及び底面板金と機外接続配管の構成を示す図であり、図5にて示す配管接続部形状(フレア形状部)24を有した上側配管のフレア加工端部に折り返し部及びその一部に切り欠き部27を設けたものである。
【0027】
このフレア加工端部の折り返し部は配管着露水18を配管で一時保持するように設けられ、切り欠き部は配管着露水18をドレンパン露受部の所定位置に滴下させるための案内として設けられている。配管上部から自重により配管表面に沿って配管下方に流れた配管着露水18は、フレア加工端部の折り返し部27で一時保持された後、そこの一部にある切り欠き部27からドレンパン露受部を狙って滴下される。
【0028】
これにより、機外接続配管に曲げ加工を施すことなく配管着露水18をドレンパン11に滴下させることが出来、かつドレンパン露受部への配管着露水滴下位置を定めることが出来る。
【符号の説明】
【0029】
1 ヒートポンプ熱源機(空気調和機室外ユニット)、 2 プレート熱交換器、 3 ポンプ、 4 ブースタヒータ、 5 膨張タンク、 6 制御装置、 7 室内放熱機、 8 外郭板金ケース、 9 機外接続配管、 10 底板板金、 11 ドレンパン、 12 底面板金穴、 13 排水穴、 14 機外接続配管の垂直から水平への曲げ、 15 機外接続配管の水平から垂直への曲げ、 16 断熱材、 17 断熱材の端面、 18 配管着露水、 19 ドレンパン貫通穴、 20 ドレンパン凸形状部、 21 機外接続の下側配管、 22 機外接続の上側配管、 23 配管接続部、 24 配管接続部形状(フレア加工部)、 25 隙間、 26 ドレンパン凹凸形状先端外周の面取り部、 27 フレア加工端部の折り返しと切り欠き形状部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室内ユニットに内設された熱交換器と、前記熱交換器に接続され熱媒体を前記室内ユニットの外部へ流通させる機外接続配管と、前記機外接続配管が室内ユニット内から外側へ引き出す貫通穴を有したドレンパンとを備え、
前記機外接続配管は上側配管と下側配管とからなり、前記上側配管に設けられた下向きの配管端部のフレア加工部を有し、前記下側配管がフレア内側に挿入されて溶接固定されるとともに、前記フレア加工部の端部外径が前記ドレンパンの貫通穴の周りに設けた円筒形のドレンパン凸形状部の先端外径よりも大きいことを特徴とする空気調和機の室内ユニット。
【請求項2】
前記フレア加工部の端部と前記ドレンパン凸形状部の先端部との間に隙間を有したことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項3】
前記ドレンパン凸形状部の先端外側に面取り部を設け、前記面取り部が前記フレア加工部に内側から当接して組み立てられることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項4】
前記フレア加工部に前記機外接続配管に発生した着露水を一時保持する折り返し部と、前記折り返し部の一部に滴下させるための切り欠き部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機の室内ユニット。
【請求項5】
前記機外接続配管は曲げ加工を施されず垂直に取り出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気調和機の室内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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