説明

空気調和機用室内機

【課題】送風機からの気流が熱交換器を通過せずにドレンパンの水収容空間を通って空気吹出口から吹き出されるのを抑制しつつ、熱交換器において生じる結露水をドレンパンの水収容空間に適切に導くことができる空気調和機用室内機を提供する。
【解決手段】室内機は、送風機13と、送風機13の側方に配置された熱交換器15と、送風機13及び熱交換器15の下方に配置され、水を収容する水収容空間が送風機13と熱交換器15にまたがる範囲に設けられたドレンパン30と、ケースとを備えている。ドレンパン30の水収容空間は、熱交換器15に対して空気の流れ方向の上流側に位置する上流側空間と、熱交換器15に対して空気の流れ方向の下流側に位置する下流側空間とを含む。上流側空間の上部は塞がれており、下流側空間の上部は開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機用室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ターボファンの両サイドに熱交換器を配置することにより薄型化を図った室内機が提案されている。この室内機では、ケースの前面からケース内に吸い込まれた空気は、熱交換器を通過し、ケースの前面に設けられた吹出口から前方に吹き出される。この室内機では、ターボファンからの気流が熱交換器を通過せずにドレンパンの水収容空間を通って吹出口から吹き出されることを防ぐために、ターボファン及び熱交換器とドレンパンとの間が仕切り板によって仕切られている(特許文献1の図12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の図12に開示されている室内機では、仕切り板がドレンパンの左右の側壁に架け渡されるように設けられており、この仕切板の上方に熱交換器が配置されている。すなわち、特許文献1には、ドレンパンの水収容空間と熱交換器との間に仕切板が介在する構成が開示されている。しかし、特許文献1では、熱交換器において生じる結露水をドレンパンの水収容空間に具体的にどのように導くかについては考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送風機からの気流が熱交換器を通過せずにドレンパンの水収容空間を通って吹出口から吹き出されるのを抑制しつつ、熱交換器において生じる結露水をドレンパンの水収容空間に適切に導くことができる空気調和機用室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の空気調和機用室内機は、送風機(13)と、前記送風機(13)の側方に配置され、前記送風機(13)よりも空気の流れ方向の下流側に位置する熱交換器(15)と、前記送風機(13)及び前記熱交換器(15)の下方に配置され、水を収容する水収容空間(33)が前記送風機(13)と前記熱交換器(15)にまたがる範囲に設けられたドレンパン(30)と、前記送風機(13)、前記熱交換器(15)及び前記ドレンパン(30)を収容するとともに、前記送風機(13)から前記熱交換器(15)に送られた空気が熱交換器(15)を通過した後に吹き出される吹出口(25b)を有するケース(20)と、を備えている。前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置する上流側空間(331)と、前記熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の下流側に位置する下流側空間(333)とを含む。前記上流側空間(331)の上部は塞がれており、前記下流側空間(333)の上部は開口している。
【0007】
この構成では、熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置する上流側空間(331)の上部が塞がれているので、送風機からの気流が熱交換器を通過せずにドレンパンの水収容空間を通って吹出口から吹き出されるのを抑制(気流が迂回するのを抑制)することができる。その一方で、熱交換器(15)に対して下流側に位置する下流側空間(333)の上部は開口しているので、熱交換器(15)を通過する気流によって熱交換器(15)から下流側に飛散する結露水を、上部開口を通じて下流側空間(333)に適切に導くことができる。
【0008】
(2) 前記空気調和機用室内機において、前記ドレンパン(30)の上流側空間(331)と、前記送風機(13)から前記熱交換器(15)までの空気流路とを仕切る仕切り部材(41)をさらに備え、前記上流側空間(331)の上部は前記仕切り部材(41)によって塞がれている形態が例示できる。
【0009】
この構成では、仕切り部材(41)を上流側空間(331)の上部に配設するだけで前記空気流路と上流側空間(331)とを仕切って気流が迂回するのを抑制できる。
【0010】
(3) 前記(2)の構成において、前記熱交換器(15)は、空気と冷媒とが熱交換する熱交換領域(151)と、前記熱交換領域(151)よりも下方に設けられたヘッダー部(152)とを有し、前記ヘッダー部(152)は、前記仕切り部材(41)よりも下方に配置されているのが好ましい。
【0011】
この構成では、熱交換には直接寄与しないヘッダー部(152)を仕切り部材(41)よりも下方に配置することにより、ヘッダー部(152)を仕切り部材(41)よりも上方に配置する場合に比べて、仕切り部材(41)の上方において熱交換領域(151)の上下方向の長さを大きくすることができるので、熱交換の効率を向上させることができる。
【0012】
(4) 前記(3)の構成において、前記熱交換器(15)は、冷媒が流通する金属管(16)と、フィン(17)とを備え、前記熱交換領域(151)と前記ヘッダー部(152)との間に、前記フィン(17)と前記金属管(16)のうち前記金属管(16)のみが設けられている金属管領域(154)を有し、前記金属管領域(154)及び前記ヘッダー部(152)は、前記仕切り部材(41)よりも下方に配置されていてもよい。
【0013】
この構成では、ヘッダー部(152)だけでなく、熱交換に対する寄与が小さい金属管領域(154)も仕切り部材(41)よりも下方に配置することにより、仕切り部材(41)の上方において熱交換領域(151)の上下方向の長さを大きくすることができるので、熱交換の効率を向上させることができる。
【0014】
(5) 前記空気調和機用室内機において、前記送風機(13)に対して前記熱交換器(15)とは反対側の側方に配置され、前記送風機(13)よりも空気の流れ方向の下流側に位置する第2熱交換器(15)をさらに備え、前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記熱交換器(15)と前記第2熱交換器(15)にまたがる範囲に設けられており、前記ケース(20)は、前記送風機(13)から前記第2熱交換器(15)に送られた空気が前記第2熱交換器(15)を通過した後に前記ケース(20)から吹き出される第2吹出口(25b)をさらに有し、前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記第2熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の下流側に位置する第2下流側空間(333)をさらに含み、この第2下流側空間(333)の上部は開口しており、前記上流側空間(331)は、前記熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置し、かつ前記第2熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置しており、この上流側空間(331)の上部は塞がれているのが好ましい。
【0015】
(6) 前記(5)の構成において、前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記熱交換器(15)側の端部から前記第2熱交換器(15)側の端部まで連通しているのが好ましい。
【0016】
この構成では、例えば2つの熱交換器同士をつなぐ冷媒配管(152a,152b)を水収容空間(33)内に配置することができる。しかも、水収容空間(33)に収容された水(結露水)をドレンパン(30)から排出するための排出手段(排水口やドレンホース)を1つ設けるだけでよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、送風機からの気流が熱交換器を通過せずにドレンパンの水収容空間を通って空気吹出口から吹き出されるのを抑制しつつ、熱交換器において生じる結露水をドレンパンの水収容空間に適切に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機用室内機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す空気調和機用室内機の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図2のIV-IV線断面図である。
【図5】(A)は、前記空気調和機用室内機の内部構造を説明するための概略正面図であり、(B)は、前記空気調和機用室内機の概略背面図である。
【図6】前記空気調和機用室内機の熱交換器を示す斜視図である。
【図7】前記空気調和機用室内機の内部構造を示す斜視図である。
【図8】(A)は、前記空気調和機用室内機の内部構造を示す概略正面図であり、(B)は、参考例の空気調和機用室内機の内部構造を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機用室内機11について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、この室内機11は、送風機13と、この送風機13の両サイドに配置された一対の熱交換器15,15と、送風機13及び熱交換器15,15の下方に配置されたドレンパン30と、これらを収容するケース20とを備えている。なお、以下の説明では、室内機11の上方U、下方D、右方R、左方L、前方F及び後方Bを、図1及び図2において矢印で示す方向とする。
【0020】
ケース20は、前後方向の厚みが薄く、上下方向の高さよりも左右方向の幅の方が大きな直方体形状を有している。この室内機11は、回転軸の軸方向Aが前後方向に向いた姿勢で斜流送風機、遠心送風機などの送風機13(本実施形態では斜流送風機)をケース20内に配置することにより、クロスフローファンを用いる場合に比べて前後方向に薄型化されている。また、この室内機11は、熱交換器15を前後方向に対して傾斜させてケース20内に配置することにより、前後方向に薄型化されている。また、この室内機11は、送風機13の両サイドに熱交換器15を配置することにより、上下方向に小型化されている。この室内機11では、ケース20の前部から吸い込まれた空気は、送風機13の半径方向外側に流れ、右方R又は左方Lの熱交換器15において熱交換された後、ケース20の両サイドから室内に吹き出される(図4参照)。
【0021】
図1、図3及び図5(A),(B)に示すように、ケース20は、底板21、天板22、右側板23、左側板24、化粧前板25、背板26及びベルマウス28を有している。化粧前板25は、吸込口開閉板251と、この吸込口開閉板251の両サイドに配置された一対の吹出口開閉板252,252とを含む。
【0022】
吸込口開閉板251は、送風機13の前方Fに配置されており、化粧前板25の大半の領域を占める矩形状を有している。右側の吹出口開閉板252は、右側の熱交換器15の前方Fに配置されており、上下方向に長い矩形状を有している。左側の吹出口開閉板252は、左側の熱交換器15の前方Fに配置されており、上下方向に長い矩形状を有している。
【0023】
背板26の右サイドには、右方Rにいくにつれて前方Fに位置するように傾斜した傾斜壁26Rが設けられており、右側の熱交換器15は、その側部が傾斜壁26Rに隣接するように配置されている。背板26の左サイドには、左方Lにいくにつれて前方Fに位置するように傾斜した傾斜壁26Lが設けられており、左側の熱交換器15は、その側部が傾斜壁26Lに隣接するように配置されている(図2及び図4)。傾斜壁26Rの外側にはコーナー枠27が配置されている。
【0024】
ベルマウス28は、前後方向に円形に開口する吸込口25aを有しており、化粧前板25と送風機13の間に配置されている。ケース20には、ケース20内の空気を室内に吹き出すための一対の吹出口25bが設けられている。一対の吹出口25bは、正面視で吸込口25aの右方Rと左方Lに設けられており、吹出口開閉板252,252の真後ろに位置している。
【0025】
吸込口開閉板251は、底板21及び天板22に対して前後方向に進退移動可能に図略の支持部材を介して底板21及び天板22に支持されている。吸込口開閉板251は、室内機11の未使用時には、図1において実線で示すように吸込口25aを閉じた閉状態にある。一方、室内機11の使用時には、図1において二点鎖線で示すように吸込口開閉板251が前方Fに移動し、吸込口開閉板251の上縁部251a、下縁部251b及び側縁部と、底板21の前縁部21a、天板22の前縁部22a及び吹出口開閉板252,252の側縁部との間に隙間が形成され、これらの隙間から空気がケース20内に流入する。
【0026】
右側の吹出口開閉板252は、その左縁部252aを中心に回動可能に底板21の前縁部21a及び天板22の前縁部22aに支持されている。室内機11の未使用時には、図1において実線で示すように吹出口25bが吹出口開閉板252によって閉じられた状態である。一方、室内機11の使用時には、左縁部252aを中心に吹出口開閉板252が前方Fに回動し、図1において二点鎖線で示すように吹出口開閉板252の右縁部252bと右側板23の前縁部23aとの間に隙間が形成され、この隙間からケース20内の空気が室内に流出する。左側の吹出口開閉板252の動作もこれと同様である。
【0027】
図2〜図4に示すように、本実施形態の送風機13は、その回転軸の軸方向Aが前後方向に向く姿勢でケース20内に配置された斜流送風機である。送風機13は、羽根車131とこの羽根車131を回転させるモータ132とを備えている。モータ132は、ケース20の背板26の内面に固定されている。羽根車131は、モータ132の回転軸に固定されたハブ131aと、ベルマウス28の後端が挿入された開口部を有するシュラウド131bと、このシュラウド131bとハブ131aとの間に周方向に沿って配列された複数の羽根131cとを含む(図3)。
【0028】
モータ132によって羽根車131が回転すると、図4に二点鎖線で示すように、吸込口25aからケース20内に吸い込まれた空気は、後方Bに向かって羽根車131に流入し、羽根車131内を斜め後方に進み、羽根車131から半径方向外側に流出する。そして、この流出した空気は、右側の熱交換器15又は左側の熱交換器15を通過して右側の吹出口25b又は左側の吹出口25bから室内に吹き出される。
【0029】
右側の熱交換器15は、送風機13の右方Rに配置され、左側の熱交換器15は、送風機13の左方Lに配置されている。各熱交換器15は、送風機13よりも空気の流れ方向の下流側に位置している。各熱交換器15は、上下方向に長い直方体形状を有しており、下端部が後述するドレンパン30内に位置し、上端部が天板22に近接又は当接している。図4に示すように、右側の熱交換器15は、前面部15Fが後面部15Bよりも左方Lに位置するように前後方向に対して傾斜して配置されている。同様に、左側の熱交換器15は、前面部15Fが後面部15Bよりも右方Rに位置するように前後方向に対して傾斜して配置されている。
【0030】
図6に示すように、各熱交換器15は、扁平な形状を有する複数の金属管16と、複数の伝熱フィン17とを備えている。各伝熱フィン17は、金属管16,16同士の間に配置されている。各金属管16には、上下方向に延びる図略の冷媒流路が形成されている。本実施形態の熱交換器15は、小型で熱交換の効率が高いマイクロチャネル式などの熱交換器(例えばアルミニウム製積層型熱交換器)である。金属管16は、複数の冷媒流路が形成された多穴管であり、伝熱フィン17は、コルゲートフィン(波形のフィン)である。
【0031】
各熱交換器15は、空気と冷媒とが熱交換する熱交換領域151と、熱交換領域151よりも下方Dに設けられた下側ヘッダー部152と、熱交換領域151よりも上方Uに設けられた上側ヘッダー部153とを、熱交換領域151と下側ヘッダー部152との間に位置する金属管領域154と有している。ヘッダー部152,154は、複数の金属管16を流れる冷媒が分流又は合流する部位である。下側ヘッダー部152には、一対の熱交換器15,15同士を連絡する冷媒配管152a,152bが接続されている。
【0032】
熱交換領域151は、複数の金属管16と複数の伝熱フィン17とが水平方向に並んでいる領域である。金属管領域154は、伝熱フィン17と金属管16のうち金属管16のみが設けられている領域である。すなわち、金属管領域154は、金属管16,16同士の間に伝熱フィン17が配置されていない領域である。
【0033】
図2〜図4に示すように、室内機11は、一対の過冷却熱交換器53,53をさらに備えている。各過冷却熱交換器53は、送風機13と熱交換器15との間に配置されている。冷媒は冷房運転時に過冷却熱交換器53によって過冷却される。
【0034】
ドレンパン30は、送風機13及び一対の熱交換器15の下方に配置されている。ドレンパン30は、上部が開口し、水を収容する水収容空間33を有している。水収容空間33は、右側の熱交換器15と、左側の熱交換器15とにまたがる範囲に設けられている。ドレンパン30は、一対の熱交換器15の下端部に対向する底部30Dと、この底部30Dの周縁から上方に起立する壁部とを有している。底部30Dは、ケース20の底板21に対して平行な平板状の部位である。水収容空間33は、底部30Dと壁部とによって区画される空間である。
【0035】
壁部は、底部30Dの前縁から起立する前壁30Fと、底部30Dの後縁から起立する後壁30Bと、底部30Dの右縁から起立する右壁30Rと、底部30Dの左縁から起立する左壁30Lとを含む。右壁30Rは、右側の熱交換器15よりも右方Rに位置しており、左壁30Lは、左側の熱交換器15よりも左方Lに位置している。
【0036】
ドレンパン30は、ドレンパン本体31と、このドレンパン本体31の外面のほぼ全体を覆う断熱材32とを含む二層構造を有している。ドレンパン本体31は、ケース20の背板26と一体成形されており、ドレンパン本体31の本体後壁と背板26とがつながっている(図3)。
【0037】
図7及び図8(A)に示すように、ドレンパン30の水収容空間33は、一対の熱交換器15,15に対して空気の流れの上流側に位置する上流側空間331と、右側の熱交換器15に対して空気の流れの下流側に位置する右下流側空間332と、左側の熱交換器15に対して空気の流れの下流側に位置する左下流側空間333とを含む。
【0038】
上流側空間331は、右側の熱交換器15の内側部と、左側の熱交換器15の内側部との間の領域である。右下流側空間332は、右側の熱交換器15の外側部よりも右方Rの領域である。左下流側空間333は、左側の熱交換器15の外側部よりも左方Lの領域である。本実施形態の場合、図4に示すように各熱交換器15が傾斜して配置されているので、右側の熱交換器15の内側部とは、この熱交換器15の前面部15F及び左面部15Lをいい、左側の熱交換器15の内側部とは、この熱交換器15の前面部15F及び右面部15Rをいう。また、右側の熱交換器15の外側部とは、この熱交換器15の右面部15Rといい、左側の熱交換器15の外側部とは、この熱交換器15の左面部15Lという。
【0039】
図8(A)に示すように、水収容空間33は、上流側空間331と右下流側空間332との間の空間である熱交換器配置空間334と、上流側空間331と左下流側空間333との間の空間である熱交換器配置空間335と、をさらに含む。右側の熱交換器配置空間334には、右側の熱交換器15の下端部が配置されており、左側の熱交換器配置空間335には、左側の熱交換器15の下端部が配置されている。本実施形態では、各熱交換器配置空間には、対応する熱交換器15の下側ヘッダー部152が配置されている。各下側ヘッダー部152の下端とドレンパン30の底部30Dとの間には隙間が形成されている。
【0040】
図2及び図3に示すように、本実施形態の室内機11は、送風機13から各熱交換器15までの空気流路とドレンパン30の水収容空間33(上流側空間331)とを仕切る仕切り部材41をさらに備えている。この仕切り部材41によって上流側空間331の上部が塞がれている。
【0041】
本実施形態において上流側空間331の上部が塞がれているという状態は、仕切り部材41の上方Uの空間(送風機13から各熱交換器15までの空気流路)と、仕切り部材41の下方Dの空間(上流側空間331)とが仕切り部材41によって全く隙間なく区分けされている場合だけでなく、多少の隙間が設けられている場合も含む。具体的には、例えば図4に示す本実施形態では、各熱交換器15の内側部と背板26とに囲まれた角部には小さな隙間62が設けられているが、これらの隙間62を除き、右側の熱交換器15の内側部と左側の熱交換器15の内側部との間の大半の領域には、仕切り部材41が配設されている。これにより、本実施形態では、図7において二点鎖線で示すような空気の流れが生じる不具合、すなわち、送風機13からの空気が熱交換器15を通過せずにドレンパン30の水収容空間33を通ってケース20の吹出口25bから室内に吹き出されるという不具合を効果的に抑制できる。
【0042】
仕切り部材41は、ドレンパン30の前壁30Fと後壁30Bとの間に架け渡されるように水平方向に配置された板状の部材である。仕切り部材41は、その前縁から下方に板状に延びる前支持部42と、後縁から下方に板状に延びる後支持部43とにより支持されている。前支持部42の下端は、ドレンパン本体31の本体前壁の下端部の内面から後方Bに突出した載置部311に載置されている。後支持部43の下端は、ドレンパン本体31の本体後壁の内面から前方Fに突出した載置部312に載置されている。このようにして仕切り部材41はドレンパン30に対して位置決めされている。
【0043】
図3及び図8(A)に示すように、各熱交換器15の下側ヘッダー部152及び金属管領域154、並びに熱交換器15同士をつなぐ冷媒配管152a,152bは、仕切り部材41よりも下方に配置されており、ドレンパン30の水収容空間33に位置している。図8(A)に示すように、水収容空間33の各空間、すなわち上流側空間331、右下流側空間332、左下流側空間333及び熱交換器配置空間334,335は、互いに連通しているので、熱交換器15同士をつなぐ冷媒配管152a,152bを水収容空間33内に配置することができる。しかも、水収容空間33に収容された水(結露水)Wをドレンパン30から排出するための図略の排出手段(排水口やドレンホース)を1つ設けるだけでよい。
【0044】
一方、図8(B)に示すように、仕切り部材71をドレンパン30内に上下方向に配置することにより上流側空間331と右下流側空間332とを仕切り、別の仕切り部材71をドレンパン30内に上下方向に配置することにより上流側空間331と左下流側空間333とを仕切ることにより、送風機13からの空気が熱交換器15を通過せずにドレンパン30の水収容空間33を通ってケース20の吹出口25bから室内に吹き出されるという不具合を抑制することはできる。しかし、この場合、一対の仕切り部材71,71が邪魔になるので、熱交換器15同士をつなぐ冷媒配管152a,152bを水収容空間33内に配置するのは困難である。しかも、水収容空間33に収容された水(結露水)Wは2箇所に分かれて貯留されるので、これらの水Wをドレンパン30から排出するための図略の排出手段は、少なくとも2つ必要になる。
【0045】
図4に示すように、水収容空間33の右下流側空間332の上部及び左下流側空間333の上部は開口している。したがって、熱交換器15から空気の流れの下流側に飛散する結露水をドレンパン30の水収容空間33に適切に導くことができる。具体的には次の通りである。
【0046】
送風機13の羽根車131から半径方向外側に流出した空気は、図4において二点鎖線の矢印によって示すように右方R又は左方Lに流れ、右側の熱交換器15又は左側の熱交換器15を通過する。このとき、熱交換器15の金属管16やフィン17に結露した水が付着している場合には、この結露水は、熱交換器15を通過する気流の方向に力を受けるので、熱交換器15から空気の流れの下流側に飛散することがある。本実施形態では、各熱交換器15の下流側において上部が開口した水収容空間33が設けられているので、下流側に飛散した結露水が放物線を描きながらドレンパン30に落下して水収容空間33に収容される。
【0047】
また、本実施形態では、各熱交換器15の下流側を流れる気流方向において、各下流側空間(右下流側空間332,左下流側空間333)の上部の開口長さを、気流の速度に応じて調節している。具体的には次の通りである。
【0048】
送風機13が遠心送風機又は斜流送風機の場合、羽根車131から流出した空気の速度は、後方B寄りの領域を流れる気流の方が大きくなる傾向にある。特に、送風機13が斜流送風機である場合には、羽根車131から空気が斜め後方に流出するので、熱交換器15を通過する気流の速度は、前方F寄りの気流F3よりも後方B寄りの気流F1の方が大きくなる。すなわち、気流F1、気流F2及び気流F3の速度を比較すると、気流F1の速度が最も大きく、気流F3の速度が最も小さい。したがって、後方B寄りの気流F1によって飛散する結露水の飛散距離は、前方F寄りの気流F3によって飛散する結露水の飛散距離よりも大きくなる。
【0049】
右側の熱交換器15では、熱交換器15の外側部(右面部15R)はドレンパン30の前壁30Fに対して傾斜しており、気流方向における外側部と前壁30Fとの距離(開口長さ)は、後方Bにいくにつれて次第に大きくなっている。左側の熱交換器15についても同様である。これにより、熱交換器15を通過する気流の速度にばらつきがある場合であっても、飛散した結露水をドレンパン30の水収容空間33に適切に導くことができる。
【0050】
図3及び図5(A),(B)に示すように、ドレンパン30は、ケース20の底板21よりも高い位置に配置されており、ドレンパン30の下面とケース20の底板21の上面との間には収容空間58が形成されている。ケース20は、底板21及びドレンパン30の前壁30Fの前方Fに配置された下部前板29をさらに有している。この下部前板29は、収容空間58の前側開口部を開閉可能である。収容空間58は、下部前板29の内面、底板21の上面、右側板23の内面、左側板24の内面及びドレンパン30の下面によって区画された扁平な直方体形状を有している。収容空間58は、後方Bに開口する開口部61を有している。
【0051】
収容空間58は、電装品ケース51を収容する前側収容部58Aと、この前側収容部58Aの後方Bに並び、ドレンホース56や冷媒配管57を収容する後側収容部58Bとを含む。冷媒配管57としては、例えば室内機11と図略の室外機とを接続する冷媒の連絡配管が挙げられる。電装品ケース51内には電装品が収容されている。メンテナンス時などには、作業者は、ケース20の下部前板29を開いて電装品の設定などを行う。
【0052】
後側収容部58Bは、背板26から前方Fに凹む凹部であり、必要に応じて開口部61からドレンホース56や冷媒配管57などを取り出し可能である。電装品ケース51の背面51Bは、後側収容部58Bの正面側端部を区画している。
【0053】
図3及び図5(B)に示すように、ドレンパン30の後側の下部、すなわち底部30Dと後壁30Bとがつながる部位(後方下部)30BDの外面は、外側に凸の湾曲形状を有している。ドレンパン30の後方下部30BDは、ドレンパン本体31と断熱材32とが共に湾曲している。ドレンパン30の後方下部30BDは、開口部61の上縁を区画しており、後方Bに向かうほど開口部61の上下方向の開口幅が大きくなる。これにより、開口部61を通じて後側収容部58Bにドレンホース56や冷媒配管57を収容する作業又は後側収容部58Bからドレンホース56や冷媒配管57を取り出す作業の効率が向上する。
【0054】
底板21の上面には、ドレンホース56や冷媒配管57などを載置する載置部55が設けられている。この載置部55は、板状の部材であり、前後方向の中程から屈曲しており、この屈曲部分から後方Bに向かうにつれて上方Uに位置するように斜め上方に傾斜している。これにより、載置部55に載置されたドレンホース56や冷媒配管57は、開口部61からケース20の外に出るのが抑制され、後側収容部58B内に保持される。
【0055】
<実施形態の概要>
本実施形態をまとめると以下のようになる。
【0056】
本実施形態では、熱交換器15に対して空気の流れ方向の上流側に位置する上流側空間331の上部が塞がれているので、送風機からの気流が熱交換器を通過せずにドレンパンの水収容空間を通って吹出口から吹き出されるのを抑制(気流が迂回するのを抑制)することができる。その一方で、熱交換器15に対して下流側に位置する下流側空間333の上部は開口しているので、熱交換器15を通過する気流によって熱交換器15から下流側に飛散する結露水を、上部開口を通じて下流側空間333に適切に導くことができる。
【0057】
また、本実施形態では、仕切り部材41を上流側空間331の上部に配設するだけで送風機13から熱交換器15までの空気流路と上流側空間331とを仕切って気流が迂回するのを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態では、熱交換には直接寄与しないヘッダー部152を仕切り部材41よりも下方に配置することにより、ヘッダー部152を仕切り部材41よりも上方に配置する場合に比べて、仕切り部材41の上方において熱交換領域151の上下方向の長さを大きくすることができるので、熱交換の効率を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ヘッダー部152だけでなく、熱交換に対する寄与が小さい金属管領域154も仕切り部材41よりも下方に配置することにより、仕切り部材41の上方において熱交換領域151の上下方向の長さを大きくすることができるので、熱交換の効率を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、ドレンパン30の水収容空間33は、熱交換器15側の端部から第2熱交換器15側の端部まで連通しているので、例えば2つの熱交換器同士をつなぐ冷媒配管152a,152bを水収容空間33内に配置することができる。しかも、水収容空間33に収容された水(結露水)をドレンパン30から排出するための排出手段(排水口やドレンホース)を1つ設けるだけでよい。
【0061】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0062】
例えば、前記実施形態では、送風機13として斜流送風機を用いた場合を例示したが、これに限定されない。送風機13としては、例えばターボファン、多翼ファンなどの遠心送風機などを用いてもよい。
【0063】
前記実施形態では、開閉可能な化粧前板25を備えている場合を例示したが、これに限定されない。このような化粧前板25は省略することもできる。また、化粧前板25に代えて例えばグリルなどを設けてもよい。
【0064】
前記実施形態では、一対の吹出口25bがケース20の前部に設けられている場合を例示したが、これに限定されない。吹出口25bは、例えばケース20の側部に設けられていてもよく、また、ケース20の天部に設けられていてもよい。
【0065】
前記実施形態では、一対の熱交換器15が送風機13の両サイドに設けられている場合を例示したが、これに限定されない。単一の熱交換器が送風機13の側方に配置されている形態であってもよい。
【0066】
前記実施形態では、熱交換器15として多穴管とコルゲートフィンとを積層したアルミ積層型熱交換器を用いる場合を例示したが、これに限定されない。熱交換器15としては、例えばクロスフィン熱交換器などの他の熱交換器を用いることもできる。
【0067】
前記実施形態では、上流側空間331の上部を塞ぐ手段として、ドレンパン30の上流側空間331と、送風機13から熱交換器15までの空気流路とを仕切る仕切り部材41を設ける場合を例示したが、これに限定されない。仕切り部材41のようにドレンパン本体31やケース20とは別成形された部材を用いる場合だけでなく、上流側空間331の上部を塞ぐ部位が例えばドレンパンやケースと一体成形されたものであってもよい。
【0068】
前記実施形態では、熱交換領域151よりも下方にヘッダー部152が設けられ、このヘッダー部152が仕切り部材41よりも下方に配置されている場合を例示したが、これに限定されない。例えば熱交換器15全体が仕切り部材41よりも上方に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
11 空気調和機用室内機
13 送風機
15 熱交換器
151 熱交換領域
152 ヘッダー部
154 金属管領域
16 金属管
17 フィン
20 ケース
21 底板
22 天板
23 右側板
24 左側板
25 化粧前板
251 吸込口開閉板
252 吹出口開閉板
25a 吸込口
25b 吹出口
26 背板
30 ドレンパン
31 ドレンパン本体
32 断熱材
33 水収容空間
331 上流側空間
332 右下流側空間
333 左下流側空間
41 仕切り部材
51 電装品収容ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機(13)と、
前記送風機(13)の側方に配置され、前記送風機(13)よりも空気の流れ方向の下流側に位置する熱交換器(15)と、
前記送風機(13)及び前記熱交換器(15)の下方に配置され、水を収容する水収容空間(33)が前記送風機(13)と前記熱交換器(15)にまたがる範囲に設けられたドレンパン(30)と、
前記送風機(13)、前記熱交換器(15)及び前記ドレンパン(30)を収容するとともに、前記送風機(13)から前記熱交換器(15)に送られた空気が熱交換器(15)を通過した後に吹き出される吹出口(25b)を有するケース(20)と、を備え、
前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置する上流側空間(331)と、前記熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の下流側に位置する下流側空間(333)とを含み、
前記上流側空間(331)の上部は塞がれており、前記下流側空間(333)の上部は開口している、空気調和機用室内機。
【請求項2】
前記ドレンパン(30)の上流側空間(331)と、前記送風機(13)から前記熱交換器(15)までの空気流路とを仕切る仕切り部材(41)をさらに備え、
前記上流側空間(331)の上部は前記仕切り部材(41)によって塞がれている、請求項1に記載の空気調和機用室内機。
【請求項3】
前記熱交換器(15)は、空気と冷媒とが熱交換する熱交換領域(151)と、前記熱交換領域(151)よりも下方に設けられたヘッダー部(152)とを有し、
前記ヘッダー部(152)は、前記仕切り部材(41)よりも下方に配置されている、請求項2に記載の空気調和機用室内機。
【請求項4】
前記熱交換器(15)は、
冷媒が流通する金属管(16)と、フィン(17)とを備え、
前記熱交換領域(151)と前記ヘッダー部(152)との間に、前記フィン(17)と前記金属管(16)のうち前記金属管(16)のみが設けられている金属管領域(154)を有し、
前記金属管領域(154)及び前記ヘッダー部(152)は、前記仕切り部材(41)よりも下方に配置されている、請求項3に記載の空気調和機用室内機。
【請求項5】
前記送風機(13)に対して前記熱交換器(15)とは反対側の側方に配置され、前記送風機(13)よりも空気の流れ方向の下流側に位置する第2熱交換器(15)をさらに備え、
前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記熱交換器(15)と前記第2熱交換器(15)にまたがる範囲に設けられており、
前記ケース(20)は、前記送風機(13)から前記第2熱交換器(15)に送られた空気が前記第2熱交換器(15)を通過した後に前記ケース(20)から吹き出される第2吹出口(25b)をさらに有し、
前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記第2熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の下流側に位置する第2下流側空間(333)をさらに含み、この第2下流側空間(333)の上部は開口しており、
前記上流側空間(331)は、前記熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置し、かつ前記第2熱交換器(15)に対して空気の流れ方向の上流側に位置しており、この上流側空間(331)の上部は塞がれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和機用室内機。
【請求項6】
前記ドレンパン(30)の水収容空間(33)は、前記熱交換器(15)側の端部から前記第2熱交換器(15)側の端部まで連通している、請求項5に記載の空気調和機用室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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