説明

空気調和機

【課題】室内へ水分供給するための流通路の断面積が小さくても十分な加湿量を確保することを可能とした給水不要な加湿機能を有する空気調和機を提供すること。
【解決手段】室外機3に水供給手段と水供給手段から供給される水15から過熱水蒸気19を生成する過熱水蒸気発生手段を設け、発生した過熱水蒸気19を室外機3と室内機4を連通する搬送手段によって、室内へ過熱水蒸気19あるいは飽和水蒸気18で搬送し、室内機4に設けられた蒸気放出口20より放出することで、室内空気を加湿するものであり、室内2に送られる水分は空気などを含まない過熱水蒸気19で搬送されるため、室内空気の加湿に寄与しない空気を水分とともに搬送することはないので、必要な加湿量を確保するために流通路を通過する体積流量は少なく、室内へ水分供給するための流通路の断面積が小さくても、送風装置の出力上昇や騒音上昇が発生することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外の空気中に含まれる水分を室内空気に供給することで、給水不要な加湿機能を有する空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気調和機は、室外機に二つの流通路にまたがって円筒形の吸着材を有する加湿装置が設けられ、一方の流通路の送風装置が作動すると室外空気が加湿装置内に吸入され、空気流が吸着材の一部を通過するとき空気流中の水分は吸着材に吸着され、乾燥空気として室外に排気される。また、他方の流通路の空気流はヒータで加熱され吸着材の一部分を通過して、吸着材を加熱する。吸着材は回転しているため吸着材の水分を含んだ部分は加熱され水分が蒸発し加湿空気として室内に送られるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、特許文献1に記載された従来の空気調和機の加湿装置を示すものである。図11に示すように、室外空気を加湿する流通路108と、室外空気から水分を補給する流通路107とを備え、二つの流通路にまたがって配設された吸着材101と、吸着材101を回転させる駆動ベルト102と駆動モータ103と、それぞれの流通路に送風装置104,105と、流通路107に吸着材101の水分を脱着させるために加熱するヒータ106とから構成されている。
【特許文献1】特許第3559421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、室内に送られる水分は湿り空気として搬送されるため、本来室内空気の加湿に寄与しない空気を水分とともに搬送しているので、必要な加湿量を確保するためには、多くの体積流量の湿り空気を搬送することが必要となり、その結果、室内へ水分供給するための流通路の断面積を大きくしないと、送風装置の出力や騒音が大きくなってしまうというという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、室内へ水分供給するための流通路の断面積が小さくても十分な加湿量を確保することを可能とした給水不要な加湿機能を有する空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、室内機と室外機とを有し、前記室外機に水供給手段と前記水供給手段から供給される水から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気発生手段を設け、発生した過熱水蒸気を前記室外機と前記室内機を連通する搬送手段によって、室内へ過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送し、前記室内機に設けた蒸気放出口より放出することで、室内空気を加湿するものである。
【0007】
これによって、室内に送られる水分は空気などをほとんど含まない過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送されるため、前記従来の構成のように、本来室内空気の加湿に寄与しない空気を水分とともに搬送することはないので、必要な加湿量を確保するために流通路を通過する体積流量は少なく、室内へ水分供給するための流通路の断面積を小さくでき、また、断面積が小さくても、流通路抵抗増加による送風装置の出力上昇や騒音上昇が発生することはない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気調和機は、室内へ水分供給するための流通路の断面積が小さくても必要な加湿量を確保できるため、細いダクト配管とすることが可能となり、室内機と室外機の間のダクト配管の設置工事がしやすく、かつ設置後の配管の美観が優れたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、室内機と室外機とを有し、前記室外機に水供給手段と前記水供給手段から供給される水から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気発生手段を設け、発生した過熱水蒸気を前記室外機と前記室内機を連通する搬送手段によって、室内へ過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送し、前記室内機に設けられた蒸気放出口より放出することで室内空気を加湿することにより、室内に送られる水分は空気などをほとんど含まない過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送されるため、必要な加湿量を確保するために流通路を通過する体積流量は少なく、室内へ水分供給するための流通路の断面積が小さくても、流通路抵抗増加による送風装置の出力上昇や騒音上昇が発生することはないので、流通路の断面積を低減することが可能となり、流通路を細いダクト配管とすることで、室内機と室外機の間のダクト配管の設置工事がしやすく、かつ設置後の配管の美観が優れた空気調和機を実現することができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の空気調和機において、搬送手段に送風手段を設けないもので、水蒸気の発生圧力により加熱水蒸気を搬送することにより、構成が簡単になり、コストの低減を可能とすることができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の空気調和機において、水供給手段は室外機の熱交換器の結露水を利用するものであり、室外の空気中に含まれる水分を取り込み、室内に供給することにより、給水不要な加湿機能を有する空気調和機を実現することができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の空気調和機において、過熱水蒸気発生手段を水供給手段によって供給された水を加熱し気化させることで水蒸気を生成する気化用ヒータと前記水蒸気を加熱することで過熱水蒸気を生成する過熱用ヒータで構成することにより、水を気化させ、さらに過熱水蒸気を生成することが可能となり、気体での水分搬送を行うことができる。
【0013】
第5の発明は、特に、第4の発明の空気調和機において、過熱用ヒータは水蒸気の流れ方向から見て気化用ヒータの下流側に設けることにより、水供給手段によって供給された水を加熱し気化させることで水蒸気を生成する気化用ヒータで水蒸気を生成し、さらにこれを過熱用ヒータで熱を与え、過熱水蒸気を効率よく生成することで、気体での水分搬送を行うことができる。
【0014】
第6の発明は、特に、第4または第5の発明の空気調和機において、過熱用ヒータは気化用ヒータに対し鉛直方向上側に設けることにより水供給手段によって過剰な水が供給された場合でも、過熱用ヒータが水没することは回避できるので、過熱用ヒータの防水構成を不要とすることができる。
【0015】
第7の発明は、特に、第4〜6のいずれか1つの発明の空気調和機において、水供給手段から供給された水を貯留する貯留槽に気化用ヒータの発熱部が貯留水に水没するように設けることにより、気化用ヒータから供給される熱が無駄なく貯留水に伝えられることになり、エネルギ的に無駄の無い、効率的な気化を実現することができる。
【0016】
第8の発明は、特に、第4〜6のいずれか1つの発明の空気調和機において、水供給手段から供給された水を貯留する貯留槽の底部に気化用ヒータの発熱部を設けることにより、気化用ヒータから供給される熱が貯留水の対流による攪拌作用により、効率的に伝えられることになり、エネルギ的に無駄の無い、効率的な気化を実現することができる。
【0017】
第9の発明は、特に、第7または第8の発明の空気調和機において、貯留槽の貯留水に気化筒を気化筒の下部の蒸気回収口が水没するように設けることにより、気化用ヒータで生成した水蒸気をほとんど空気を含まない状態で回収することが可能となり、室内空気の加湿に寄与しない空気の混入を防止することができる。
【0018】
第10の発明は、特に、第9の発明の空気調和機において、気化筒の下部に蒸気回収口、上部に蒸気流出口を設けることにより、気化用ヒータで生成した水蒸気が気化筒内面での冷却のため、結露した場合でも、結露水を再度貯留槽に回収することが可能となり、水供給手段から供給された水を有効に室内空気の加湿に供することができる。
【0019】
第11の発明は、特に、第4〜10のいずれか1つの発明の空気調和機において、搬送手段は室外機と室内機を連通する流通路で構成され、過熱用ヒータは流通路よりも大きい断面積を有する過熱筒に設けることにより、過熱筒内の蒸気の流速は流通路よりも遅くなることで、水蒸気に十分な熱を伝えることが可能となり、高温の過熱水蒸気生成により搬送中に流通路内で結露が発生しない効率的な水分搬送ができる。
【0020】
第12の発明は、特に、第1〜11のいずれか1つの発明の空気調和機において、流通路および過熱筒および気化筒の少なくとも一部を発泡材料で覆うことにより、壁面の断熱性が向上し、過熱水蒸気搬送中に温度低下による結露が発生しない効率的な水分搬送ができる。
【0021】
第13の発明は、特に、第1〜11のいずれか1つの発明の空気調和機において、流通路および過熱筒および気化筒の少なくとも一部をリブ部を有する中空構造で構成することにより、壁面の断熱性が向上し、過熱水蒸気搬送中に温度低下による結露が発生しない効率的な水分搬送ができる。
【0022】
第14の発明は、特に、第1〜13のいずれか1つの発明の空気調和機において、流通路に過熱用ヒータを設けることにより、搬送中の過熱水蒸気にさらに熱を伝えることにより、過熱度の高い過熱水蒸気を生成することで、過熱水蒸気搬送中に温度低下による結露が発生しない効率的な水分搬送ができる。
【0023】
第15の発明は、特に、第3〜14のいずれか1つの発明の空気調和機において、室外機の熱交換器の下部に設けられ、貯留槽に連通する水受皿の少なくとも一部に前記水受皿よりも底面が低い凹部を設けることにより、熱交換器の結露水に含まれる塵埃などを凹部に堆積させることにより、貯留槽や気化ヒータ部への塵埃の侵入を防止し、信頼性の向上を図ることができる。
【0024】
第16の発明は、特に、第1〜15のいずれか1つの発明の空気調和機において、過熱水蒸気発生手段は室外機の圧縮機室に設けることにより、過熱水蒸気発生手段が砂、塵埃などによって汚染されることを防止するとともに、圧縮機室は内部に気流の発生が無いため、過熱水蒸気発生手段からの放熱を低減することで、過熱水蒸気状態での安定した搬送が可能となる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1から図7は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の構成図を示すものである。
【0027】
図1において、室外1に設置された室外機3には空調用の熱交換器5、熱交換送風機6が設けられている。また、室外機3には水搬送路7aを介して接続されている貯留槽8aと貯留槽8bが設けられている。貯留槽8b上部には気化筒9が設けられ、気化筒9の上部には過熱筒10を備えている。また、気化筒9と過熱筒10および室内2に設置された室内機4は各々流通路11a,11bにて連通されている。さらに、気化筒9内には気化用ヒータ12が設けられ、過熱筒10内には過熱用ヒータ13を備えている。また、気化用ヒータ12および過熱用ヒータ13は各々ヒータ電源12a、13aに接続されている。
【0028】
以上のように構成された空気調和機についてその動作、作用を説明する。まず、使用者によって貯留槽8aに供給された液体の水15は水搬送路7を介して接続されている貯留槽8bに供給される。ここで、貯留槽8bに設置されているフロートスイッチ16によって、貯留槽8bの水位が気化筒9の下部の蒸気回収口22および気化用ヒータの発熱部が水没するように二方弁17にて調整することで水供給手段とする。気化筒の下部の蒸気回収口が水没するように設けることにより、気化用ヒータで生成した水蒸気をほとんど空気を含まない状態で回収することが可能となり、室内空気の加湿に寄与しない空気の混入を防止することができる。また、気化用ヒータの発熱部が貯留水に水没するように設けることにより、気化用ヒータから供給される熱が無駄なく貯留水に伝えられることになり、エネルギ的に無駄の無い、効率的な気化を実現することができる。
【0029】
さらに、貯留槽8bに貯留された水15は気化用ヒータ12にて加熱され、たとえば1気圧においては100℃の温度の飽和水蒸気18となり、気化筒9よって回収され、気化筒9の上部の蒸気流出口23から流通路11aを介して過熱筒10に搬送される。飽和水蒸気18は、過熱筒10内で過熱用ヒータ13の熱を吸収することで、たとえば1気圧においては100℃を超える温度の過熱水蒸気19となることで過熱水蒸気発生手段とする。さらに、搬送手段である流通路11bを介して室内機4に設置された蒸気放出口20から放出される。この際、蒸気放出口20から放出される直前の水蒸気が過熱水蒸気(たとえば1気圧においては100℃を超える温度の水蒸気)となるように過熱用ヒータ13の発熱量を設定することで、流通路11b内で結露が発生することなく、かつ水蒸気の発生圧力で水蒸気流れ21を発生させることで過熱水蒸気状態で水分の搬送を送風手段不要で効率的に行うことができる。
【0030】
また、本実施の形態では蒸気放出口20から飽和水蒸気(たとえば1気圧においては100℃)になるように過熱用ヒータ13の発熱量を設定することでも、流通路11b内で結露が発生することなく、かつ送風機不要で水蒸気流れ21を発生させることで過熱水蒸気状態で水分の搬送を効率的に行うことができる。
【0031】
さらに、流通路11bに過熱用ヒータ14およびヒータ電源14aを設けることによって、過熱水蒸気19の温度を再上昇させることが可能となり、蒸気放出口20から放出される直前の水蒸気が過熱水蒸気(たとえば1気圧においては100℃を超える温度の水蒸気)とするのに必要な過熱用ヒータ13の必要発熱量を低減することができるとともに、過熱用ヒータ13出口における過熱水蒸気19の温度を低減しても流通路11b内で結露が発生することなく、過熱水蒸気状態で水分の搬送を効率的に行うことができる。
【0032】
ここで、貯留槽8aは室外1に設置されているので、寸法が大きくなってもあまり不具
合はないので、容量の大きい貯留槽8aを設置することで、ほとんど給水の必要は発生しなくて済むようにできる。また、貯留槽8aは建屋の雨水などを集めて貯留しても良い。また、図1での本実施の形態の気化用ヒータ12は貯留槽8b内に貯留された水15に水没するように設置しているが、貯留槽8bの低部に気化用ヒータ12を設置しても良い。
【0033】
また、気化用ヒータの発熱部が貯留水に水没するように設けることにより、気化用ヒータから供給される熱が無駄なく貯留水に伝えられることになり、エネルギ的に無駄の無い、効率的な気化を実現することができる。
【0034】
また、本実施の形態の水供給手段を図2に示すように、水道管などの給水管24と二方弁17を直結することで構成することにより、給水不要となり、使用者が水を供給することなく、室内2の加湿をすることができる。
【0035】
また、本実施の形態の水供給手段を図3に示すように、熱交換器5と水受皿25で構成することにより、空気調和機の暖房運転中は熱交換器5が蒸発器として機能しているため、熱交換器5の空気側に発生する結露水を水受皿25を用いて貯留槽8bに凝縮水を水15として回収することができ、これにより、室内2の空気の乾燥が問題となる暖房運転時の無給水での加湿ができる。
【0036】
また、熱交換器5と水受皿25と水受皿25の一部に凹部26を構成することにより、凹部26で水15に含まれる異物を沈殿させることで、貯留槽8bへの砂、塵埃といった異物の侵入が防止できる。
【0037】
また、図4は水蒸気搬送ファン27を気化筒9に設置した例を示す。本実施の形態の搬送手段である気化筒9、過熱筒10あるいは流通路11a,11bのいずれかに水蒸気搬送ファン27を設置することで、過熱水蒸気19の流量が多く、気化筒9、過熱筒10および流通路11a,11bの圧力損失が大きい場合でも、気化筒9内の水15の水面低下が防止でき、安定的な動作が可能となる。
【0038】
また、本実施の形態を図5に示すように、気化筒9に空気ファン28と空気二方弁29を設けることで、加湿運転終了後に空気二方弁29を開とし空気ファン28によって室外1あるいは室内2に抜気することで気化筒9、過熱筒10および流通路11a,11bあるいは過熱用ヒータ13aへ結露が発生することが防止でき、その結果、内部のカビなどの繁殖防止ができる。
【0039】
また、図6に示すように、図3に示す貯留槽8bと気化筒9を一体とし、貯留槽8cと貯留槽8cに水15を導入するための水搬送路7aを設けることで、室外機3の振動による外部への水15の飛び出しを防止することができる。
【0040】
図7は本実施の形態の室外機3の斜視図である。図7において、室外機3には空調用の熱交換器5、図示しない熱交換送風機6および水受皿25が設けられている。また、実際には、図示しない室外機の外箱が底板31上に設置されて室外機3を構成している。以上のように構成することにより、空気調和機の暖房運転中は熱交換器5は蒸発器として機能しているため、熱交換器5の空気側に発生する結露水を水受皿25を用いて貯留槽8bに凝縮水を水15として回収することができ、これにより室内2の空気の乾燥が問題となる暖房運転時の無給水での加湿ができる。
【0041】
また、過熱用ヒータ13aを気化用ヒータ12に対し鉛直方向上側に設けることで、水供給手段によって過剰な水が供給された場合でも、過熱用ヒータ13aが水没することは回避できるので、過熱用ヒータ13aの防水構成を不要とすることができる。
【0042】
さらに、過熱用ヒータ13aが設けられている過熱筒10の断面積を流通路11a,11bの断面積よりも大きくすることで、過熱筒10内の蒸気の流速が流通路11a,11bよりも遅くなることで、飽和水蒸気18に十分な熱を伝えることが可能となり、高温の過熱水蒸気19の生成により搬送中に流通路内で結露が発生しない効率的な水分搬送ができる。
【0043】
さらに、図8は本実施の形態の室外機3の斜視図であり、過熱水蒸気発生手段である貯留槽8b、気化筒9、過熱筒10、気化用ヒータ12、過熱用ヒータ13a、流通路11aは仕切板32で仕切られた室外機3の空調用の圧縮機30が設置された方の空間に設けられている。これによって、過熱水蒸気発生手段が砂、塵埃などによって汚染されることを防止するとともに、圧縮機30が設置された方の空間は内部に気流の発生はほとんど無いため、過熱水蒸気発生手段からの放熱を低減することで、過熱水蒸気状態での安定した搬送が可能となる。
【0044】
また、本実施の形態の気化筒9、過熱筒10および流通路11a,11bの少なくとも一部を発泡材料で構成することにより、気化筒9、過熱筒10および流通路11a,11b内を流れる飽和水蒸気18および過熱水蒸気19からの熱漏洩を防止することができ、蒸気放出口20から放出される直前の水蒸気が過熱水蒸気(たとえば1気圧においては100℃を超える温度の水蒸気)とするのに必要な過熱用ヒータ13aの必要発熱量を低減することができるとともに、過熱用ヒータ13a出口における過熱水蒸気19の温度を低減しても流通路11b内で結露が発生することなく、過熱水蒸気状態で水分の搬送を効率的に行うことができる。図9は流通路11a,11bの断面図であり、パイプ33の周囲を発泡材料34で覆う構成となっている。気化筒9、過熱筒10についても同様に発泡材料で覆うことで、同様の効果が得られる。
【0045】
また、図10も流通路11a,11bの断面図であり、パイプ33の周囲にリブ35、その周囲に外郭36を設け、中空部37を構成することで、熱漏洩を防止することができ、蒸気放出口20から放出される直前の水蒸気が過熱水蒸気(たとえば1気圧においては100℃を超える温度の水蒸気)とするのに必要な過熱用ヒータ13aの必要発熱量を低減することができるとともに、過熱用ヒータ13a出口過における過熱水蒸気19の温度を低減すること可能となる。
【0046】
以上、本実施の形態として説明したように、室外機3に水供給手段と水供給手段から供給される水15から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気発生手段を設け、発生した過熱水蒸気を室外機3と室内機4を連通する搬送手段によって、室内2へ過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送し、室内機4に設けられた蒸気放出口20より放出することで室内空気を加湿することにより、室内2に送られる水分は空気などをほとんど含まない過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送されるため、必要な加湿量を確保するために流通路11a,11bを通過する体積流量は少なく、室内2へ水分供給するための流通路11a,11bの断面積が小さくても、流通路抵抗増加による送風装置の出力上昇や騒音上昇が発生することはないので、流通路11a,11bの断面積を低減することが可能となり、流通路11a,11bを細いダクト配管とすることで、室内機4と室外機3の間のダクト配管の設置工事がしやすく、かつ設置後の配管の美観が優れた空気調和機を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、室内へ水分供給するための流通路の断面積が小さくても十分な加湿量を確保しつつ、給水不要な加湿機能を提供することができるものであり、空気の乾燥が問題となる暖房運転時の無給水加湿を、室内機と室外機の間の
細いダクト配管で実現するもので、空気調和機全般に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態における空気調和機の構成図
【図2】本発明の実施の形態における空気調和機の構成図
【図3】本発明の実施の形態における空気調和機の構成図
【図4】本発明の実施の形態における空気調和機の構成図
【図5】本発明の実施の形態における空気調和機の構成図
【図6】本発明の実施の形態における空気調和機の構成図
【図7】本発明の実施の形態における空気調和機の室外機の斜視図
【図8】本発明の実施の形態における空気調和機の室外機の斜視図
【図9】本発明の実施の形態における空気調和機の流通路の断面図
【図10】本発明の実施の形態における空気調和機の流通路の断面図
【図11】従来の空気調和機の加湿装置の構成図
【符号の説明】
【0049】
1 室外
2 室内
3 室外機
4 室内機
5 熱交換器
6 熱交換送風機
7,7a 水搬送路
8a、8b、8c 貯留槽
9 気化筒
10 過熱筒
11a、11b 流通路
12 気化用ヒータ
12a ヒータ電源
13 過熱用ヒータ
13a ヒータ電源
14 過熱用ヒータ
14a ヒータ電源
15 水
16 フロートスイッチ
17 二方弁
18 飽和水蒸気
19 過熱水蒸気
20 蒸気放出口
21 蒸気流れ
22 蒸気回収口
23 蒸気流出口
24 給水管
25 水受皿
26 凹部
27 水蒸気搬送ファン
28 空気ファン
29 空気二方弁
30 圧縮機
31 底板
32 仕切板
33 パイプ
34 発泡材料
35 リブ
36 外郭
37 中空部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機とを有し、前記室外機に水供給手段と前記水供給手段から供給される水から過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気発生手段を設け、発生した過熱水蒸気を前記室外機と前記室内機を連通する搬送手段によって、室内へ過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気状態で搬送し、前記室内機に設けられた蒸気放出口より放出することで、室内空気を加湿することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
搬送手段には送風手段を設けないことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
水供給手段は室外機の熱交換器の結露水を利用するものであることを特徴とする請求項1あるいは2記載の空気調和機。
【請求項4】
過熱水蒸気発生手段は水供給手段によって供給された水を加熱し気化させることで水蒸気を生成する気化用ヒータと、前記水蒸気を加熱することで過熱水蒸気を生成する過熱用ヒータとで構成したことを特徴とする請求項1〜3記載の空気調和機。
【請求項5】
過熱用ヒータは水蒸気の流れ方向から見て気化用ヒータの下流側に設けられていることを特徴とする請求項4記載の空気調和機。
【請求項6】
過熱用ヒータは気化用ヒータに対し鉛直方向上側に設けられていることを特徴とする請求項4あるいは5記載の空気調和機。
【請求項7】
水供給手段から供給された水を貯留する貯留槽に気化用ヒータの発熱部が貯留水に水没するように設けられていることを特徴とする請求項4〜6に記載の空気調和機。
【請求項8】
水供給手段から供給された水を貯留する貯留槽の底部に気化用ヒータの発熱部が設けられていることを特徴とする請求項4〜6に記載の空気調和機。
【請求項9】
貯留槽の貯留水に気化筒を気化筒の下部の蒸気回収口が水没するように設けたことを特徴とする請求項7および8に記載の空気調和機。
【請求項10】
気化筒は、下部に蒸気回収口、上部に蒸気流出口を設けたことを特徴とする請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
搬送手段は室外機と室内機を連通する流通路で構成され、過熱用ヒータは前記流通路よりも大きい断面積を有する過熱筒に設けられていることを特徴する請求項4〜10に記載の空気調和機。
【請求項12】
流通路および過熱筒および気化筒の少なくとも一部を発泡材料で覆うように構成した請求項1〜11記載の空気調和機。
【請求項13】
流通路および過熱筒および気化筒の少なくとも一部をリブ部を有する中空構造で構成した請求項1〜11記載の空気調和機。
【請求項14】
流通路に過熱用ヒータを設けたことを特徴とする請求項1〜13記載の空気調和機。
【請求項15】
室外機の熱交換器の下部に設けられ、貯留槽に連通する水受皿の少なくとも一部に前記水受皿よりも底面が低い凹部を設けたことを特徴とする請求項3〜14記載の空気調和機。
【請求項16】
過熱水蒸気発生手段は室外機の圧縮機室に設けたことを特徴とする請求項1〜15記載の空気調和機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−24943(P2009−24943A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189011(P2007−189011)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】