説明

空気調和機

【課題】快適性を向上させる。
【解決手段】空気調和機は、圧縮機、室内熱交換器、輻射熱交換器、減圧機構および室外熱交換器を有する冷媒回路を備えており、室内熱交換器は、室内機の内部において室内ファンに対向するように設けられており、輻射熱交換器は、室内機の表面に設けられている。また、空気調和機は、輻射熱交換器に供給される冷媒量を調整する室内電動弁を有している。空気調和機は、、室内熱交換器に冷媒を流して温風暖房を行い且つ輻射熱交換器に冷媒を流して輻射暖房を行う場合において、圧縮機の周波数が低下した後において室内電動弁の開度が大きくなるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内熱交換器とファンと輻射熱交換器とを備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機として、室内ファンと、室内ファンに対向して配置される室内熱交換器と、室内機の表面に配置される輻射パネル(輻射熱交換器)とを備えたものが知られている。
例えば特許文献1に記載の空気調和機は、輻射パネルと室内熱交換器とが直列に接続されている。温風暖房と輻射暖房の両方を行う場合には、室外機に設けられた圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒が、輻射熱交換器に供給され、その後、室内熱交換器に供給される。この空気調和機は、温風暖房と輻射暖房の両方を行う場合には、室内温度に基づいて圧縮機の運転周波数が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−113239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温風暖房と輻射暖房の両方を行う空気調和機では、例えば圧縮機の周波数が高い状態での運転が長時間継続される場合がある。このような場合には、吹出温度が高い状態を継続されることによって、吹き出された温風が天井付近に溜まり、天井付近と床面付近との温度差が大きくなるという問題が生じる。
また、温度差を解消するために、圧縮機の周波数を低下させて吹出温度を下げた場合、圧縮機の周波数を低下させたことで、輻射パネルの温度が低下してしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、快適性を向上できる空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る空気調和機は、圧縮機、室内熱交換器、輻射熱交換器、減圧機構および室外熱交換器を有する冷媒回路を備えた空気調和機であって、前記室内熱交換器は、室内機の内部においてファンに対向するように設けられており、前記輻射熱交換器は、前記室内機の表面に設けられており、前記冷媒回路に設けられ、前記輻射熱交換器に供給される冷媒量を調整する弁機構を有しており、前記室内熱交換器に冷媒を流して温風暖房を行い且つ前記輻射熱交換器に冷媒を流して輻射暖房を行う場合において、前記圧縮機の周波数が低下した後において前記弁機構の開度が大きくなるように制御されることを特徴とする。
【0007】
この空気調和機では、圧縮機の周波数を低下させることで、吹出温度が低下するため、室内の天井付近と床面付近との温度差を低減できる。また、圧縮機の周波数が低下した後で、弁機構の開度が大きくなることで、輻射熱交換器の温度の低下を抑制できる。したがって、快適性を向上させることができる。
【0008】
第2の発明に係る空気調和機は、第1の発明において、前記冷媒回路が、前記減圧機構、前記室外熱交換器及び前記圧縮機が順に設けられた主流路と、暖房運転時、前記主流路の前記圧縮機の下流側に設けられた分岐部と前記減圧機構の上流側に設けられた合流部とを接続すると共に、前記室内熱交換器が設けられた第1流路と、暖房運転時、前記分岐部と前記合流部とを前記第1流路と並列に接続すると共に、前記輻射熱交換器が設けられた第2流路とを有しており、前記弁機構が、前記第2流路において前記輻射熱交換器と前記合流部との間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
この空気調和機では、弁機構を制御することで輻射熱交換器と室内熱交換器に流れる冷媒量の比率を調整できる。
【0010】
第3の発明に係る空気調和機は、第1または第2の発明において、前記圧縮機の周波数が、室内目標温度と室内温度との温度差に基づいて制御されることを特徴とする。
【0011】
この空気調和機では、圧縮機の周波数は室内温度に基づいて制御されるため、室内の天井付近と床面付近との温度差が大きいときに圧縮機の周波数を低下させることができる。
なお、「室内目標温度と室内温度との温度差」とは、室内目標温度から室内温度を差し引くことで得られる値であって、室内温度が室内目標温度より大きい場合、負の値となる。
【0012】
第4の発明に係る空気調和機は、第1〜第3のいずれの発明において、前記弁機構の開度が、前記輻射熱交換器の温度に基づいて制御されることを特徴とする。
【0013】
この空気調和機では、圧縮機の周波数が低下して、輻射熱交換器の温度が低下したときに、弁機構の開度が大きくなることで、輻射熱交換器の温度の低下を確実に抑制できる。
【0014】
第5の発明に係る空気調和機は、第1〜第3のいずれの発明において、前記弁機構の開度が、前記室内熱交換器の温度に基づいて制御されることを特徴とする。
【0015】
この空気調和機では、圧縮機の周波数が低下して、室内熱交換器の温度が低下したときに、弁機構の開度が大きくなることで、輻射熱交換器の温度の低下を抑制できる。
【0016】
第6の発明に係る空気調和機は、第1〜第5のいずれの発明において、前記室内機が、前記ファン及び前記室内熱交換器を収容するケーシングを有し、前記ケーシングの上端部には、空気を吹き出す吹出口が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この空気調和機では、ケーシングの上端部から温風を吹き出すため、室内の天井付近に暖気が溜まって、天井付近と床面付近とで温度差が生じやすい。そのため、本発明の構成が特に有効である。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の発明では、圧縮機の周波数を低下させることで、吹出温度が低下するため、室内の天井付近と床面付近との温度差を低減できる。また、圧縮機の周波数が低下した後で、弁機構の開度が大きくなることで、輻射熱交換器の温度の低下を抑制できる。したがって、快適性を向上させることができる。
【0020】
第2の発明では、弁機構を制御することで輻射熱交換器と室内熱交換器に流れる冷媒量の比率を調整できる。
【0021】
第3の発明では、圧縮機の周波数は室内温度に基づいて制御されるため、室内の天井付近と床面付近との温度差が大きいときに圧縮機の周波数を低下させることができる。
【0022】
第4の発明では、圧縮機の周波数が低下して、輻射熱交換器の温度が低下したときに、弁機構の開度が大きくなることで、輻射熱交換器の温度の低下を確実に抑制できる。
【0023】
第5の発明では、圧縮機の周波数が低下して、室内熱交換器の温度が低下したときに、弁機構の開度が大きくなることで、輻射熱交換器の温度の低下を抑制できる。
【0024】
第6の発明では、ケーシングの上端部から温風を吹き出すため、室内の天井付近に暖気が溜まって、天井付近と床面付近とで温度差が生じやすい。そのため、本発明の構成が特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の概略構成を示す回路図であって、冷房運転時と温風暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の概略構成を示す回路図であって、輻射暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。
【図3】空気調和機を制御する制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】室内機の斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】(a)は温風暖房運転時の圧縮機の制御を説明するための図であって、(a)は温風暖房運転時の圧縮機の制御を説明するための図である。
【図7】輻射暖房運転時の室内温度が上昇する場合の圧縮機の周波数の変化を示すグラフであって、圧縮機の制御に図6(b)を用いた実施例と、図6(a)を用いた比較例とを示す。
【図8】輻射暖房運転時の室内温度が低下する場合の圧縮機の周波数の変化を示すグラフであって、圧縮機の制御に図6(b)を用いた実施例と、図6(a)を用いた比較例とを示す。
【図9】輻射1運転モード運転時の空気調和機の各部の動作と、室内温度および輻射熱交換器温度を示すグラフである。
【図10】輻射2運転モード運転時の空気調和機の各部の動作と、室内温度および輻射熱交換器温度を示すグラフである。
【図11】輻射暖房運転時の室内温度が低下する場合の圧縮機の周波数の変化を示すグラフであって、圧縮機の制御に図6(b)を用いた実施例と、図6(a)を用いた比較例とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る空気調和機1の実施の形態について説明する。
【0027】
<空気調和機1の全体構成>
図1および図2に示すように、本実施形態の空気調和機1は、室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機3と、リモコン4(図3参照)とを備えている。室内機2は、室内熱交換器20と、室内熱交換器20の近傍に配置された室内ファン21と、輻射パネル29(図4および図5参照)に設けられた輻射熱交換器22と、室内電動弁(弁機構)23と、室内温度を検出するための室内温度センサ24とを備えている。また、室外機3は、圧縮機30と、四路切換弁31と、室外熱交換器32と、室外熱交換器32の近傍に配置された室外ファン33と、室外電動弁(減圧機構)34とを備えている。室内機2と室外機3とは環状の冷媒回路10で接続されている。冷媒回路10は、主流路11と第1流路12と第2流路13を有している。
【0028】
主流路11には、室外電動弁34、室外熱交換器32、および圧縮機30がこの順に設けられている。また、主流路11には、四路切換弁31が設けられており、四路切換弁31を切り換えることにより、圧縮機30の吐出側と吸入側のいずれかが室外熱交換器32が接続される。主流路11における圧縮機30の吸入側と四路切換弁31との間にはアキュムレータ35が設けられており、主流路11における圧縮機30の吐出側と四路切換弁31との間には、吐出温度センサ36が設けられている。また、室外熱交換器32には、室外熱交温度センサ37が付設されている。室外電動弁34は、その開度を変更可能であって、減圧機構として機能する。また、主流路11において、圧縮機30の吸入側が室外熱交換器32に接続されたとき(図2に示した暖房運転時)に、圧縮機30の下流側には、分岐部11aが設けられており、室外電動弁34の上流側には、合流部11bが設けられている。
【0029】
第1流路12および第2流路13は、分岐部11aと合流部11bとの間に設けられ、並列に接続されている。第1流路12には、室内熱交換器20が設けられており、第2流路13には、分岐部11a側から順に、輻射熱交換器22および室内電動弁23が設けられている。本実施形態では、冷媒回路10において、第1流路12及び第2流路13を除いた流路であって、分岐部11aと合流部11bとの間の流路が、主流路となる。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の室内機2は、直方体形状を有しており、室内の床面から浮かした状態で壁面に据え付けられる。本実施形態においては、室内機2の床面からの高さH(図4参照)は10cm程度である。図5に示すように、室内機2は、室内ファン21および室内熱交換器20などを収容するケーシング28を有している。ケーシング28の前面の一部は、輻射パネル29で構成されている。ケーシング28の下壁には主吸込口28aが形成されており、ケーシング28の前壁には補助吸込口28b、28cが形成されており、ケーシング28の上壁には吹出口28dが形成されている。
【0031】
図5に示すように、室内熱交換器20は、室内機2の内部において室内ファン21と対向するように設けられ、室内ファン21の風上側に配置されている。この室内機2では、室内ファン21の駆動により、主吸込口28aから床面近傍にある空気を吸い込みつつ、補助吸込口28b、28cからも空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室内熱交換器22において加熱または冷却された後、ケーシング28の上壁に形成された吹出口28dから室内に吹き出され、これにより、冷媒または温風暖房が行われる。また、図1および図2に示すように、室内熱交換器20には、室内熱交温度センサ27が設けられている。
【0032】
輻射パネル29は、室内機2の表面に配置されている。輻射パネル29は、室内機2の表面の一部を構成する輻射板22aと、輻射板22aの裏面側に固定され、冷媒が流れるU字状の配管22bと、配管22bに冷媒を供給するための接続配管(図示省略)とを有している。なお、輻射熱交換器22は、輻射板22aと配管22bとによって構成される。室内機2では、配管22bを流れる冷媒の熱が輻射板22aを介して室内に輻射されることで輻射暖房が行われる。また、図1および図2に示すように、第2流路13における輻射熱交換器22の両側には、パネル入温度センサ25と、パネル出温度センサ26が設けられている。
【0033】
室内電動弁23は、輻射熱交換器22に供給される冷媒の流量を調整するために設けられている。室内電動弁23は、後述する輻射暖房運転時および輻射微風暖房運転時の冷媒の流れ方向における輻射熱交換器22の下流側に設けられている。
【0034】
本実施形態の空気調和機1は、冷房運転、温風暖房運転および輻射暖房運転を行うことができる。冷房運転は、輻射熱交換器22に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して冷房を行う運転であって、温風暖房運転は、輻射熱交換器22に冷媒を流さないで室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行う運転である。輻射暖房運転は、室内熱交換器20に冷媒を流して温風暖房を行うと共に、輻射熱交換器22に冷媒を流して輻射暖房を行う運転である。
【0035】
リモコン4では、ユーザーによって、運転の開始/停止の操作、運転モードの設定、室内温度の目標温度(室内目標温度)の設定、吹出風量の設定などが行われる。表1に示すように、本実施形態の空気調和機1では、リモコン4の操作により、主運転モードとして、冷房運転モード及び暖房運転モードのいずれかを選択できるようになっている。主運転モードとして暖房運転モードを選択した場合には、表1に示すように、温風暖房運転モードと、輻射暖房運転モードに含まれる輻射1運転モードと輻射2運転モードのいずれかを選択できるようになっている。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に示すように、冷房運転モードは、冷房運転を行うモードであって、温風暖房運転モードは、温風暖房運転を行うモードであって、輻射1運転モードは、吹出風量を室内温度に応じて変化させて輻射暖房運転を行うモードであって、輻射2運転モードは、吹出風量を温風暖房運転時よりも低い一定の風量として輻射暖房運転を行うモードである。輻射1運転モードまたは輻射2運転モードが選択された場合には、風量は自動的に制御される。温風暖房運転モードまたは冷房運転モードを選択した場合には、リモコン4の操作により、風量設定として「風量自動」または「強」から「弱」のいずれかの風量を選択できる。
【0038】
<制御部5>
次に、空気調和機1を制御する制御部5について図3を参照しつつ説明する。
図3に示すように、制御部5は、記憶部51と、室内ファン制御部52と、室内電動弁制御部53と、圧縮機制御部54と、室外電動弁制御部55とを有している。また、制御部5は、暖房運転時、室内温度が室内目標温度より所定温度以上高くなった場合(本実施形態では室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが−2.0以下になった場合)に、自動的に運転を停止し(サーモオフ)、その後、室温が低下して、室内温度が室内目標温度より所定温度以上低くなった場合(本実施形態では室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが−2.0℃よりも大きくなった場合)に、再び運転を開始する(サーモオン)。なお、温度差ΔTは、室内目標温度から室内温度を差し引いた値であって、室内温度が室内目標温度より大きい場合、負の値となる。なお、サーモオフとなる室内温度およびサーモオンとなる室内温度は、上記に限定されるものではない。
【0039】
(記憶部51)
記憶部51には、空気調和機1に関する種々の運転設定や、制御プログラムや、その制御プログラムの実行に必要なデータテーブルなどが記憶されている。運転設定には、室内温度の目標温度のように、ユーザーによってリモコン4が操作されることで設定されるものと、空気調和機1に対して予め設定されたものとがある。本実施形態の空気調和機1では、輻射熱交換器22の目標温度範囲は、予め所定の温度範囲(例えば50〜55℃)に設定されている。なお、リモコン4の操作によって輻射熱交換器22の目標温度範囲を設定できるようになっていてもよい。
【0040】
(室内ファン制御部52)
室内ファン制御部52は、室内ファン21の回転数を制御する。
温風暖房運転モードの風量自動運転時、輻射1運転モード、および輻射2運転モード運転時にそれぞれ選択されるファンタップと、各ファンタップに対応する回転数を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
温風暖房運転の風量自動運転時には、室内ファン制御部52は、室内目標温度と室内温度との差ΔTに基づいて、表2に示す5段階のファンタップA1〜A5のいずれかを選択して、このファンタップに対応する回転数(a1〜a5)に室内ファン21を制御する。また、温風暖房運転時であって、「強」から「弱」のいずれかの風量が選択された場合には、室内ファン制御部52は、それぞれ予め設定された一定の回転数に室内ファン21を制御する。
【0043】
また、輻射2運転モード運転時には、室内ファン制御部52は、温風暖房運転時の回転数a1〜a5よりも小さい一定の回転数c1に室内ファン21を制御する。回転数c1は、室内ファン21の回転に伴う音がほとんど生じず、且つ、ドラフト感をほとんど感じさせない値である。
【0044】
また、室内ファン制御部52は、輻射1運転モード開始の操作が行われると、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが0℃よりも大きい場合には、第1風量制御を開始し、温度差ΔTが0℃以下の場合には、第2風量制御を開始する。
【0045】
第2風量制御は、輻射2運転モード運転時の制御と同じであって、温風暖房運転時の回転数a1〜a5よりも小さい一定の回転数c1に室内ファン21を制御する。
第1風量制御では、室内目標温度と室内温度との差ΔTに基づいて、表2に示す7段階のファンタップB1〜B7のいずれかを選択して、このファンタップに対応する回転数(b1〜b7)に室内ファン21を制御する。第1風量制御時のファンタップ(B1〜B7)の数は、温風暖房運転時のファンタップ(A1〜A5)の数よりも多く、第1風量制御時には、細かく室内ファン21の回転数が変化する。これにより、第1風量制御から第2風量制御に切り換える際の室内ファン21の回転に伴う音を低減することができる。
【0046】
第1風量制御中に、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが0℃以下になった場合には、室内ファン制御部52は、第1風量制御から第2風量制御に切り換える。また、第2風量制御中に、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが所定値D1(例えば0℃)よりも大きくなった場合には、室内ファン制御部52は、第2風量制御から第1風量制御に切り換える。
【0047】
(室内電動弁制御部53)
室内電動弁制御部53は、室内電動弁23の開度を制御する。暖房運転の各モード運転時の制御状態を表3に示す。表3に示すように、温風暖房運転時には、室内電動弁制御部53は、室内電動弁23を閉弁する。
【0048】
【表3】

【0049】
また、表3に示すように、輻射暖房運転時(輻射1運転モード運転時または輻射2運転モード運転時)には、室内電動弁制御部53は、輻射熱交換器22の温度に基づいて室内電動弁23の開度を制御する。具体的には、パネル入温度センサ25およびパネル出温度センサ26でそれぞれ検出された温度に基づいて、輻射熱交換器22の輻射板22aの温度の予測値(以下、輻射熱交換器温度という)を算出し、この輻射熱交換器温度が、目標温度範囲(例えば50〜55℃)となるように、室内電動弁23の開度を制御する。輻射熱交換器温度が目標温度範囲内の所定の温度(例えば51℃)よりも低い場合には、室内電動弁制御部53は、室内電動弁23の開度が大きくなるように制御する。但し、輻射暖房運転開始時から所定時間t1が経過するまでは、室内電動弁制御部53は、室内電動弁23を初期開度に制御する。
【0050】
なお、本実施形態では、輻射熱交換器温度を算出するために、パネル入温度センサ25とパネル出温度センサ26の検出温度の両方を用いているが、パネル入温度センサ25の検出温度のみを用いてもよく、パネル出温度センサ26の検出温度のみを用いてもよい。
【0051】
(圧縮機制御部54)
圧縮機制御部54は、圧縮機30の運転周波数を制御する。
圧縮機制御部54は、温風暖房運転時および輻射暖房運転時(輻射1運転モード運転時と輻射2運転モード運転時)とも、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTに基づいて圧縮機30の周波数を制御する。
【0052】
詳細は後述するが、圧縮機制御部54は、温度差ΔT基づいて、図6に示すゾーン(P1〜P12またはQ1〜Q12)のいずれかを選択し、ゾーンごとに予め設定された制御動作(圧縮機停止、減少制御、維持制御、増加制御)を実行する。図6(a)は、温風暖房運転時に選択されるゾーンを示しており、図6(b)は、輻射暖房運転時に選択されるゾーンを示している。また、図6(a)および図6(b)の左側部分は、温度差ΔTが減少する場合、即ち、室内温度が上昇する場合のゾーンを示し、図6(a)および図6(b)の右側部分は、温度差ΔTが増加する場合、即ち、室内温度が下がる場合のゾーンを示している。
【0053】
まず、温風暖房運転時において温度差ΔTが減少する場合について、図6(a)の左側部分に基づいて説明する。
温度差ΔTが、所定値E1a=0℃(第2切換値)よりも大きい場合には、圧縮機制御部54は、増加ゾーンP6〜P12のいずれかを選択して、ゾーンごとに設定された増加幅で圧縮機30の周波数を増加させる(増加制御)。但し、圧縮機30の周波数が上限周波数に近付くと、圧縮機制御部54は上限周波数よりも大きくならないように圧縮機30の周波数を制御する。なお、圧縮機30の上限周波数とは、冷媒回路10内の圧力が高圧異常とならない周波数の上限値である。
また、増加ゾーンごとに設定された周波数の増加幅は、温度差ΔTの大きい増加ゾーンほど大きくなっている。例えば、増加ゾーンP12に設定された周波数の増加幅は、増加ゾーンP6に設定された周波数の増加幅よりも大きい。
また、温度差ΔTが、所定値E2a=−0.5℃(第1切換値)よりも大きく、E1a=0℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、維持ゾーンP5を選択して、圧縮機30の周波数を変更せずに維持する(維持制御)。
また、温度差ΔTが、所定値E3a=−2.0よりも大きく、E2a=−0.5℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、減少ゾーンP2、P3、P4のいずれかを選択して、ゾーンごとに設定された減少幅で圧縮機30の周波数を減少させる(減少制御)。周波数の減少幅は、温度差ΔTの小さい減少ゾーンほど大きくなっている。例えば、減少ゾーンP2に設定された周波数の減少幅は、減少ゾーンP4に設定された周波数の減少幅よりも大きい。
また、温度差ΔTが、E3a=−2.0℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、停止ゾーンP1を選択して、圧縮機30の運転を停止させる(サーモオフ)。
【0054】
また、リモコン4の操作により運転を開始した場合は、圧縮機制御部54は、温度差ΔTに応じて予め設定された初期周波数で圧縮機30の運転を再開する。そして、運転開始時の温度差ΔTに応じて図6(a)の左側のゾーンを選択し、選択したゾーンに応じて圧縮機30の周波数を制御する。増加ゾーンP6〜P12のいずれかを選択した場合には、ゾーンごとに設定された増加幅で初期周波数から増加させる。減少ゾーンP2、P3、P4のいずれかを選択した場合には、ゾーンごとに設定された減少幅で初期周波数から減少させる。維持ゾーンP5を選択した場合には、初期周波数で維持する。
【0055】
次に、温風暖房運転時において温度差ΔTが増加する場合について、図6(a)の右側部分に基づいて説明する。
サーモオフによって圧縮機30の運転を停止させた後、温度差ΔTが増加して、温度差ΔTが−2.0℃よりも大きくなった場合には、圧縮機制御部54は、ゾーンP2を選択し、予め設定された初期周波数で圧縮機30の運転を再開する。ゾーンP2は、圧縮機30の運転を再開させる復帰ゾーンと減少ゾーンとを兼ねている。サーモオフによって圧縮機30の運転を停止させた後、温度差ΔTが−2.0℃以下の場合には、圧縮機30の運転は停止されたままである。
また、圧縮機30の運転が継続されている状態で、温度差ΔTが、E3a=−2.0℃よりも大きく、−1.0℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、減少ゾーンP2を選択して、この減少ゾーンP2に対応する減少幅で圧縮機30の周波数を減少させる(減少制御)。
また、温度差ΔTが、−1.0℃よりも大きく、所定値F2a=0℃(第4切換値)以下の場合には、圧縮機制御部54は、減少ゾーンP3、P4のいずれかを選択して、ゾーンごとに設定された減少幅で圧縮機30の周波数を減少させる(減少制御)。
また、温度差ΔTが、F2a=0℃よりも大きく、所定値F1a=0.5℃(第3切換値)以下の場合には、圧縮機制御部54は、維持ゾーンP5を選択して、圧縮機30の周波数を変更せずに維持する(維持制御)。
また、温度差ΔTが、F1a=0.5℃よりも大きい場合には、圧縮機制御部54は、増加ゾーンP6〜P12のいずれかを選択して、ゾーンごとに設定された増加幅で圧縮機30の周波数を増加させる(増加制御)。但し、温度差ΔT減少時と同じく、圧縮機30の周波数が上限周波数に近付くと、圧縮機制御部54は上限周波数よりも大きくならないように圧縮機30の周波数を制御する。
【0056】
本実施形態では、温風暖房運転時には、圧縮機制御部54は、実際の温度差ΔTに基づいてゾーンを選択して、圧縮機30の周波数を制御する。
【0057】
次に、輻射暖房運転時において温度差ΔTが減少する場合について、図6(b)の左側部分に基づいて説明する。
温度差ΔTが、所定値E1b=−1.0℃(第2切換値)よりも大きい場合には、圧縮機制御部54は、増加ゾーンQ4〜Q12のいずれかを選択して、ゾーンごとに設定された増加幅で圧縮機30の周波数を増加させる(増加制御)。但し、温風暖房運転時と同じく、圧縮機30の周波数が上限周波数に近付くと、圧縮機制御部54は上限周波数よりも大きくならないように圧縮機30の周波数を制御する。また、ゾーンごとに設定された周波数の増加幅は、温度差ΔTの大きい増加ゾーンほど大きくなっている。
また、温度差ΔTが、所定値E2b=−1.5℃(第1切換値)よりも大きく、E1b=−1.0℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、維持ゾーンQ3を選択して、圧縮機30の周波数を変更せずに維持する(維持制御)。
また、温度差ΔTが、所定値E3b=−2.0℃よりも大きく、E2b=−1.5℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、減少ゾーンQ2を選択して、圧縮機30の周波数を減少させる(減少制御)。
また、温度差ΔTが、E3b=−2.0℃以下の場合には、圧縮機制御部54は、停止ゾーンQ1を選択して、圧縮機30の運転を停止させる(サーモオフ)。
【0058】
また、リモコン4の操作により運転を開始した場合は、圧縮機制御部54は、温度差ΔTに応じて、図6(b)の左側のゾーンを選択する。
また、リモコン4の操作により運転を開始した場合は、圧縮機制御部54は、温度差ΔTに応じて予め設定された初期周波数で圧縮機30の運転を再開する。そして、運転開始時の温度差ΔTに応じて図6(b)の左側のゾーンを選択し、選択したゾーンに応じて圧縮機30の周波数を制御する。増加ゾーンQ4〜Q12のいずれかを選択した場合には、ゾーンごとに設定された増加幅で初期周波数から増加させる。減少ゾーンQ2を選択した場合には、ゾーンごとに設定された減少幅で初期周波数から減少させる。維持ゾーンQ3を選択した場合には、初期周波数で維持する。
【0059】
本実施形態では、輻射暖房運転の温度差ΔT減少時(運転開始時を含む)、温度差ΔTがE1b=−1.0℃(第2切換値)よりも大きい場合には、実際の温度差ΔTではなく擬似温度に基づいて圧縮機30の周波数は制御され、温度差ΔTがE1b以下の場合には、実際の温度差ΔTに基づいて圧縮機30の周波数は制御される。
したがって、温度差ΔTがE1bよりも大きい場合には、圧縮機制御部54は、実際の温度差ΔTではなく擬似温度に基づいてゾーンを選択する。擬似温度は、周波数の増加幅の大きい増加ゾーンが選択されるように、比較的大きい値(例えば3.0〜3.5℃)に設定されている。擬似温度に基づいて選択された増加ゾーンに対応する増加幅で圧縮機30の周波数を増加させると、圧縮機30の周波数は迅速に上昇する。そして、圧縮機30の周波数が上限周波数に近付くと、上限周波数よりも大きくならないように制御される。つまり、本実施形態では、温度差ΔTがE1bよりも大きい場合には、圧縮機30の周波数は上限周波数付近(上限周波数または上限周波数よりも若干小さい値)に維持されるように制御される。。そのため、暖房能力の高い輻射暖房を行うことができる。
また、温度差ΔTがE1bまで減少したときは、圧縮機制御部54は、実際の温度差ΔTに基づいて維持ゾーンQ3を選択し、圧縮機30の周波数を維持する。
このように、圧縮機制御部54は、温度差ΔTに応じて、擬似温度に基づく制御と、実際の温度差ΔTに基づく制御と切り換える。
【0060】
次に、輻射暖房運転時において温度差ΔTが増加する場合について、図6(b)の右側部分に基づいて説明する。
サーモオフによって圧縮機30の運転を停止させた後、温度差ΔTが増加して、温度差ΔTが−2.0℃よりも大きくなった場合には、圧縮機制御部54は、ゾーンQ2を選択して、予め設定された初期周波数で圧縮機30の運転を再開する。ゾーンQ2は、圧縮機30の運転を再開させる復帰ゾーンと減少ゾーンとを兼ねている。サーモオフによって圧縮機30の運転を停止させた後、温度差ΔTが−2.0℃以下の場合には、圧縮機30の運転は停止されたままである。
また、圧縮機30の運転が継続されている状態で、温度差ΔTが、E3b=−2.0℃よりも大きく、所定値F2b=−1.0℃(第4切換値)以下の場合には、圧縮機制御部54は、減少ゾーンQ2を選択して、圧縮機30の周波数を減少させる(減少制御)。
また、温度差ΔTが、F2b=−1.0℃よりも大きく、所定値F1b=−0.5℃(第3切換値)以下の場合には、圧縮機制御部54は、維持ゾーンQ3を選択して、圧縮機30の周波数を変更せずに維持する(維持制御)。
また、温度差ΔTが、F1b=−0.5℃よりも大きい場合には、圧縮機制御部54は、増加ゾーンQ4〜Q12のいずれかを選択して、ゾーンごとに設定された増加幅で圧縮機30の周波数を増加させる(増加制御)。但し、圧縮機30の周波数が上限周波数に近付くと、圧縮機制御部54は上限周波数を超えないように圧縮機30の周波数を制御する。
【0061】
本実施形態では、輻射暖房運転の温度差ΔT増加時、温度差ΔTがF1b=−0.5℃(第3切換値)よりも大きい場合には、温度差ΔTの減少時と同様に、実際の温度差ΔTではなく擬似温度に基づいて圧縮機30の周波数が制御され、温度差ΔTがF1b以下の場合には、実際の温度差ΔTに基づいて圧縮機30の周波数が制御される。
したがって、温度差ΔTがF1b以下の場合には、圧縮機制御部54は、実際の温度差ΔTに基づいて維持ゾーンQ3、減少ゾーンQ2または停止ゾーンQ1のいずれかを選択して、圧縮機30を制御する。
また、温度差ΔTがF1bよりも大きくなった場合には、圧縮機制御部54は、実際の温度差ΔTではなく擬似温度に基づいてゾーンを選択する。擬似温度は、周波数の増加幅の大きい増加ゾーンが選択されるように、比較的大きい値(例えば3.0〜3.5℃)に設定されている。擬似温度に基づいて選択された増加ゾーンに対応する増加幅で圧縮機30の周波数を増加させると、圧縮機30の周波数は迅速に上昇する。そして、圧縮機30の周波数が上限周波数に近付くと、上限周波数よりも大きくならないように制御される。つまり、本実施形態では、温度差ΔTがF1bよりも大きい場合には、圧縮機30の周波数は上限周波数付近(上限周波数または上限周波数よりも若干小さい値)に維持されるように制御される。そのため、暖房能力の高い輻射暖房を行うことができる。
このように、圧縮機制御部54は、温度差ΔTに応じて、擬似温度に基づく制御と、実際の温度差ΔTに基づく制御と切り換える。
【0062】
図7は、本実施形態の輻射暖房運転時の温度差ΔT減少時における圧縮機30の周波数(図7に示す実施例)と、圧縮機30の制御に図6(b)の代わりに図6(a)を使用して、その他の制御は本実施形態の輻射暖房運転と同じ場合における圧縮機30の周波数(図7に示す比較例)を示している。
図6(b)において温度差ΔTの減少時に維持ゾーンQ3から減少ゾーンQ2に切り換わる温度差ΔTであるE2b=−1.5℃は、図6(a)において維持ゾーンP5から減少ゾーンP4に切り換わる温度差ΔTであるE2a=−0.5℃よりも小さい。
そのため、温度差ΔTが同じ条件では、維持ゾーンQ3から減少ゾーンQ2に切り換わるタイミングは、維持ゾーンP5から減少ゾーンP4に切り換わるタイミングよりも遅くなる。
したがって、図7に示すように、図6(a)に基づいて圧縮機30を制御する本実施形態の輻射暖房運転では、図6(a)に基づいて温風暖房運転時と同様に圧縮機30を制御する場合よりも、維持制御から減少制御に切り換わるタイミングが遅くなり、圧縮機30の周波数を下げるタイミングが遅くなる。これにより、輻射熱交換器温度の低下を遅らせることができるため、輻射熱交換器温度を高温に維持できる。
【0063】
図8は、本実施形態の輻射暖房運転時の温度差ΔT増加時における圧縮機30の周波数(図8に示す実施例)と、圧縮機30の制御に図6(b)の代わりに図6(a)を使用して、その他の制御は本実施形態の輻射暖房運転と同じ場合における圧縮機30の周波数(図8に示す比較例)を示している。
図6(b)において温度差ΔTの増加時に減少ゾーンQ2から維持ゾーンQ3に切り換わる温度差ΔTであるF2b=−1.0℃は、図6(a)において減少ゾーンP4から維持ゾーンP5に切り換わる温度差ΔTであるF2a=0℃よりも小さい。
そのため、温度差ΔTが同じ条件では、減少ゾーンQ2から維持ゾーンQ3に切り換わるタイミングは、減少ゾーンP4から維持ゾーンP5に切り換わるタイミングよりも遅くなる。
したがって、図8に示すように、図6(a)に基づいて圧縮機30を制御する本実施形態の輻射暖房運転では、図6(a)に基づいて温風暖房運転時と同様に圧縮機30を制御する場合よりも、減少制御から維持制御に切り換わるタイミングが早くなる。これにより、輻射熱交換器温度の低下を早く抑制できるため、輻射熱交換器温度を高温に維持できる。
【0064】
また、図6(b)において温度差ΔTの増加時に維持ゾーンQ3から増加ゾーンQ4に切り換わる温度差ΔTであるF1b=−0.5℃は、図6(a)において維持ゾーンP5から増加ゾーンP6に切り換わる温度差ΔTであるF1a=0.5℃よりも小さい。
そのため、温度差ΔTが同じ条件では、維持ゾーンQ3から増加ゾーンQ4に切り換わるタイミングは、維持ゾーンP5から増加ゾーンP6に切り換わるタイミングよりも遅くなる。
したがって、図8に示すように、図6(a)に基づいて圧縮機30を制御する本実施形態の輻射暖房運転では、図6(a)に基づいて温風暖房運転時と同様に圧縮機30を制御する場合よりも、維持制御から増加制御に切り換わるタイミングが早くなり、圧縮機30の周波数を上げるタイミングを早くすることができる。これにより、輻射熱交換器温度を早く高温にできるため、輻射熱交換器温度を高温に維持できる。
【0065】
(室外電動弁制御部55)
室外電動弁制御部55は、室内目標温度と室内温度との温度差ΔT等に基づいて、室外電動弁34の開度を制御する。
【0066】
<空気調和機1の動作>
次に、空気調和機1の各暖房運転モードの動作について説明する。
輻射1運転モードおよび輻射2運転モードについては、図9および図10のグラフを参照しつつ説明する。図9および図10のグラフは、横軸が時間を表し、縦軸が室内温度、室内ファン21の回転数、圧縮機30の運転周波数、輻射熱交換器温度(計算値)、および室内電動弁23の開度をそれぞれ表している。
【0067】
(温風暖房運転モード運転)
リモコン4により温風暖房運転モード運転開始の操作が行われると共に、風量設定として「風量自動」が選択されると、室内ファン制御部52によって、室内ファン21は、室内目標温度と室内温度との差ΔTに応じた回転数に制御される。また、室内電動弁制御部53により、室内電動弁23は閉弁される。
【0068】
運転開始時の室内温度が室内目標温度よりも低い(室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが0℃より大きい)場合には、圧縮機制御部54により、圧縮機30の周波数は増加するように制御される。室内温度が上昇して、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTがE1a=0℃まで減少すると、圧縮機30の周波数は維持される。さらに室内温度が上昇して、温度差ΔTがE2a=−0.5℃まで減少すると、圧縮機30の周波数は減少するように制御される。
【0069】
また、リモコン4により温風暖房運転モード運転開始の操作が行われると共に、「強」から「弱」のいずれかの風量が選択された場合には、室内ファン21の回転数は所定の回転数で維持され、室内電動弁23と圧縮機30は「風量自動」が選択された場合と同様に制御される。
【0070】
(輻射1運転モード運転)
図9に示すように、リモコン4により輻射1運転モード運転開始の操作が行われると、室内電動弁23は、運転開始から所定時間t1が経過するまでは、初期開度に制御され、運転開始から所定時間t1が経過すると、輻射熱交換器温度と目標温度範囲とに基づいて開度が制御される。なお、図9では、室内電動弁23の初期開度は、全開よりも小さい開度となっているが、初期開度は全開であってもよい。
【0071】
運転開始時の室内温度が室内目標温度よりも低い場合(室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが0℃より大きい場合)には、室内ファン制御部52は第1風量制御を開始し、室内ファン21は、室内目標温度と室内温度との差ΔTに応じた回転数に制御される。また、圧縮機制御部54により、圧縮機30の周波数は増加するように制御される。但し、上限周波数付近まで増加すると上限周波数を超えないように制御される。なお、図9では、圧縮機30の周波数は上限周波数に維持されているが、これは、上限周波数付近(上限周波数または上限周波数よりも若干小さい周波数)であることを簡略的に表示したものである。このとき、圧縮機30の周波数が高いため、室内機2から吹き出される空気流の温度(吹出温度)は高温となっている。なお、図9では、圧縮機30の周波数は上限周波数付近に維持されているが、擬似温度に対応する増加ゾーンの増加幅が小さい場合や、運転開始時から温度差ΔTが−1.0℃になるまで(実際の温度差ΔTに基づく制御に切り換わるまで)の時間が短い場合には、圧縮機30の周波数は上限周波数付近まで上昇しないことがある。
【0072】
室内温度が上昇して、第1風量制御中に室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが0℃まで減少すると、室内ファン制御部52は第1風量制御から第2風量制御に切り換える。これにより、室内ファン21の回転数は回転数c1まで低減される。
【0073】
室内温度がさらに上昇して、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTがE2b=−1.5℃まで減少すると、圧縮機30の周波数は上限周波数から減少するように制御される。これにより、吹出温度が低下する。そのため、室内温度を室内目標温度に近付けることができると共に、室内の天井付近に溜まった暖気が攪拌されて、室内の天井付近と床面付近との温度差を低減することができる。また、圧縮機30の周波数が低下することにより、輻射熱交換器温度が一旦低下するが、輻射熱交換器温度が目標温度範囲内の所定の温度(例えば51℃)より低くなると、室内電動弁制御部53によって室内電動弁23の開度が大きくなり、輻射熱交換器温度が上昇するため、輻射熱交換器温度の低下を抑制することができる。
【0074】
また、室内温度が低下して、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTがD1=0℃よりも大きくなると、室内ファン制御部52は第2風量制御から第1風量制御に切り換える。D1は0℃よりも大きい数値であってもよい。なお、図9では、室内ファン制御部52は第2風量制御から第1風量制御に切り換わるときを省略して表示している。
【0075】
(輻射2運転モード運転)
図10に示すように、リモコン4により輻射2運転モード運転開始の操作が行われると、室内ファン制御部52によって、室内ファン21は一定の回転数c1に制御される。また、室内電動弁23は、運転開始から所定時間t1が経過するまでは、初期開度に制御され、運転開始から所定時間t1が経過すると、輻射熱交換器温度と目標温度範囲とに基づいて開度が制御される。
【0076】
運転開始時の室内温度が室内目標温度よりも低い場合(室内目標温度と室内温度との温度差ΔTが0℃より大きい場合)には、圧縮機制御部54により、圧縮機30の周波数は増加するように制御される。但し、上限周波数付近まで増加すると上限周波数を超えないように制御される。このとき、圧縮機30の周波数が高く、且つ、吹出風量が小さいことから、吹出温度は高温となっている。
【0077】
室内温度が上昇して、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTがE2b=−1.5℃まで減少すると、圧縮機制御部54によって、圧縮機30の周波数は上限周波数から減少するように制御される。これにより、吹出温度が低下するため、室内温度を室内目標温度に近付けることができると共に、室内の天井付近と床面付近との温度差を低減することができる。また、圧縮機30の周波数が低下することにより、輻射熱交換器温度が一旦低下するが、輻射熱交換器温度が目標温度範囲内の所定の温度(例えば51℃)より低くなると、室内電動弁制御部53によって室内電動弁23の開度が大きくなり、輻射熱交換器温度が上昇するため、輻射熱交換器温度の低下を抑制することができる。なお、図10では、運転開始から温度差ΔTがE2bになるまでの間を一部省略している。
【0078】
(デフロスト運転)
また、空気調和機1では、暖房運転モード運転時に室外熱交換器32に付着した霜を取り除くために、四路切換弁31を図1および図2中破線で表示した状態に切り換えて、暖房運転から除霜運転(デフロスト運転)に切り換える。本実施形態の空気調和機1では、除霜運転時に室内電動弁23を閉弁する。これにより、輻射熱交換器22に低温の冷媒が流れないため、輻射熱交換器温度の低下を抑制することができる。そのため、再び暖房運転を開始したときに、輻射熱交換器温度を迅速に目標温度範囲内とすることができる。
【0079】
なお、除霜運転時の室内電動弁23の制御はこれに限定されるものではなく、輻射熱交換器温度が所定の温度になるまで、室内電動弁23を所定の開度に維持して、輻射熱交換器温度が上記所定の温度まで下がったときに、室内電動弁23を閉状態に切り換えてもよい。この場合、輻射熱交換器22に低温の冷媒が流れるため、輻射熱交換器温度はある程度低下してしまうが、輻射熱交換器22内の高温の冷媒を室外熱交換器32の除霜に利用することができるため、上述した場合よりも室外熱交換器32に付着した霜を迅速に取り除くことができる。また、除霜運転中に輻射熱交換器22に霜が付着するのを防止できる。
【0080】
<空気調和機1の特徴>
本実施形態の空気調和機1では、圧縮機30の周波数が低下したとき、温風暖房の吹出温度が低下するため、室内の天井付近と床面付近との温度差を低減できる。また、圧縮機30の周波数が低下した後で、室内電動弁23の開度が大きくなることで、輻射熱交換器22の温度の低下を抑制できる。したがって、快適性を向上させることができる。
【0081】
本実施形態の空気調和機1では、圧縮機30の周波数は室内温度に基づいて制御されるため、室内の天井付近と床面付近との温度差が大きい場合に圧縮機30の周波数を低下させることができる。
【0082】
本実施形態の空気調和機1では、室内電動弁23の開度が、輻射熱交換器22の温度に基づいて制御されるため、圧縮機30の周波数が低下して、輻射熱交換器22の温度が低下したときに、室内電動弁23の開度が大きくなることで、輻射熱交換器22の温度の低下を確実に抑制できる。
【0083】
本実施形態の空気調和機1は、輻射熱交換器22および室内電動弁23が、室内熱交換器20と並列に設けられているため、室内電動弁23の開度を制御することで、輻射熱交換器22と室内熱交換器20に流れる冷媒量の比率を調整できる。また、輻射熱交換器22に冷媒を流さずに温風暖房のみ行う温風暖房運転と、輻射熱交換器22に冷媒を流す輻射暖房運転とを、室内電動弁23を開閉するだけで切り換えることができる。
【0084】
本実施形態の空気調和機1では、ケーシングの上端部から温風を吹き出すため、室内の天井付近に暖気が溜まって、天井付近と床面付近とで温度差が生じやすい。そのため、室内の天井付近と床面付近との温度差を低減できる構成が特に有効である。
【0085】
本実施形態の空気調和機1では、輻射暖房運転時、室内目標温度と室内温度との温度差ΔTがE1bまたはF1bより大きい場合には、擬似温度を用いて圧縮機30の周波数を制御するため、圧縮機30の周波数を迅速に上限周波数付近まで上昇させることができる。そのため、輻射暖房の暖房能力が高く、輻射熱交換器22の温度を高温に維持できる。
【0086】
本実施形態の空気調和機1では、輻射暖房運転時に圧縮機30の周波数を下げるタイミングを、温風暖房運転時よりも遅くすることで、温風暖房運転時と同じにした場合に比べて、輻射熱交換器22の温度の低下を抑制することができる。
また、輻射暖房運転時に圧縮機30の周波数を上げるタイミングを、温風暖房運転時よりも早くすることで、温風暖房運転時と同じにした場合に比べて、輻射熱交換器22の温度を早く高温にできる。したがって、輻射熱交換器22の温度を高温に維持できる。
また、輻射暖房運転時に圧縮機30の周波数を減少させる制御から周波数を維持する制御に切り換えるタイミングを、温風暖房運転時よりも早くすることで、温風暖房運転時と同じにした場合に比べて、輻射熱交換器22の温度を早く高温にできる。したがって、輻射熱交換器22の温度を高温に維持できる。
【0087】
輻射2運転モード運転では吹出風量が低風量であるため、輻射1運転モード運転時の圧縮機30の周波数の増減のタイミングを温風暖房運転時のタイミングと異ならせても、室内温度が室内目標温度よりも高くなり過ぎるのを防止できる。
また、輻射1運転モード運転の第2風量制御では吹出風量が低風量であり、第2風量制御より吹出風量の大きい第1風量制御は、室内温度が室内目標温度に達するまでの制御であるため、輻射1運転モード運転時の圧縮機30の周波数の増減のタイミングを温風暖房運転時のタイミングと異ならせても、室内温度が室内目標温度よりも高くなり過ぎるのを防止できる。
【0088】
本実施形態の空気調和機1では、輻射1運転モード運転の第2風量制御時と輻射2運転モード運転時には、室内ファン21を小さい回転数で回転させることで、ユーザーにドラフト感をほとんど感じさせない温風暖房を行うことができる。また、室内ファン21を停止させないことで室内熱交換器20による熱交換量が大きく、冷媒回路10内の圧力が高くなり過ぎるのを防止できる。したがって、室内ファン21を停止させて輻射暖房のみを行う場合に比べて、室外機の圧縮機30の運転周波数を増大させることができ、暖房能力を向上させることができる。
【0089】
本実施形態の空気調和機1では、輻射1運転モード運転時、室内温度が低い場合に第1風量制御を行い、室内温度が高い場合に第2風量制御を行うようになっている。これにより、室内温度が低い場合に迅速に室内温度を上昇させることができるとともに、室内温度が高くなると、ドラフト感のほとんどない暖房に自動的に切り換えることができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
温風暖房運転時の圧縮機30の制御において増加ゾーンと維持ゾーンとが切り換わる温度差ΔT(E1a、F1a)は、図6(a)に示す温度に限定されるものではなく、例えば、正の値であってもよい。また、輻射暖房運転時の圧縮機30の制御において増加ゾーンと維持ゾーンとが切り換わる温度差ΔT(E1b、F1b)は、図6(a)に示す温度に限定されるものではない。但し、E1bおよびF1bは、それぞれ、E1aおよびF1aよりも小さいことが好ましい。
【0092】
温風暖房運転時の圧縮機30の制御において維持ゾーンと減少ゾーンとが切り換わる温度差ΔT(E2a、F2a)は、図6(a)に示す温度に限定されるものではなく、例えば、正の値であってもよい。また、輻射暖房運転時の圧縮機30の制御において維持ゾーンと減少ゾーンとが切り換わる温度差ΔT(E2b、F2b)は、図6(a)に示す温度に限定されるものではない。但し、E2bおよびF2bは、それぞれ、E2aおよびF2aよりも小さいことが好ましい。
【0093】
輻射暖房運転時の圧縮機30の制御において、温度差ΔT減少時に、実際の温度差ΔTに基づく制御と、擬似温度に基づく制御とが切り換わる温度差ΔTは、E1bに限定されるものではなく、維持ゾーンと増加ゾーンとが切り換わる温度差ΔT(E2b)であってもよい。また、それ以外の温度差ΔTであってもよい。
また、輻射暖房運転時の圧縮機30の制御において、温度差ΔT増加時に、実際の温度差ΔTに基づく制御と、擬似温度に基づく制御とが切り換わる温度差ΔTは、F1bに限定されるものではなく、維持ゾーンと増加ゾーンとが切り換わる温度差ΔT(F2b)であってもよい。また、それ以外の温度差ΔTであってもよい。
【0094】
上記実施形態では、輻射暖房運転時、温度差ΔTが大きい場合に、圧縮機30の周波数を上限周波数に維持するために、実際の温度差ΔTではなく擬似温度に基づいてゾーンを選択して、圧縮機30を制御するようになっているが、常に実際の温度差ΔTに基づいてゾーンを選択して、圧縮機30の周波数を制御するようになっていてもよい。
この変更形態では、温度差ΔTによっては、圧縮機30の周波数は上限周波数に達しない場合がある。
【0095】
図11は、上記変更形態(輻射暖房運転時の圧縮機30の制御に擬似温度を使用しない)で、圧縮機30の周波数が上限周波数に達しない場合における圧縮機30の周波数(図11に示す実施例)と、圧縮機30の制御に図6(b)の代わりに図6(a)を使用して、その他の制御は上記変更形態と同じ場合における圧縮機30の周波数(図11に示す比較例)を示している。
図6(b)において温度差ΔTの減少時に増加ゾーンQ4から維持ゾーンQ3に切り換わる温度差ΔTであるE1b=−1.0℃は、図6(a)において増加ゾーンP6から維持ゾーンP5に切り換わる温度差ΔTであるE1a=0℃よりも小さい。
そのため、温度差ΔTが同じ条件では、増加ゾーンQ4から維持ゾーンQ3に切り換わるタイミングは、増加ゾーンP6から維持ゾーンP5に切り換わるタイミングよりも遅くなる。
したがって、図11に示すように、図6(a)に基づいて圧縮機30を制御する上記変更形態の輻射暖房運転では、図6(a)に基づいて温風暖房運転時と同様に圧縮機30を制御する場合よりも、増加制御から維持制御に切り換わるタイミングが遅くなる。これにより、輻射熱交換器温度の低下を遅らせることができるため、輻射熱交換器温度を高温に維持できる。
【0096】
上記実施形態では、温風暖房運転時および輻射暖房運転時とも、温度差ΔTの減少時に、圧縮機30の周波数を増加させる制御から周波数を変更しない制御に切り換えてから、周波数を減少させる制御を行うが、周波数を増加させる制御から周波数を減少させる制御に切り換えるようになっていてもよい。つまり、図6(a)または図6(b)に示す左側(温度差ΔTの減少時)の維持ゾーンを減少ゾーンまたは増加ゾーンに変更してもよい。例えば維持ゾーンを増加ゾーンにした場合、増加制御をやめるタイミングが遅くなるため、輻射熱交換器22の温度を高温に維持できる。但し、快適性の観点では、吹出温度および輻射熱交換器22の温度を緩やかに低下させることのできる上記実施形態の構成が好ましい。
【0097】
上記実施形態では、温風暖房運転時および輻射暖房運転時とも、温度差ΔTの増加時に、圧縮機30の周波数を減少させる制御から周波数を変更しない制御に切り換えてから、周波数を増加させる制御を行うが、周波数を減少させる制御から周波数を増加させる制御に切り換えるようになっていてもよい。つまり、図6(a)または図6(b)に示す右側(温度差ΔTの増加時)の維持ゾーンを減少ゾーンまたは増加ゾーンに変更してもよい。例えば維持ゾーンをゾーンにした場合、増加制御を開始するタイミングが早くなるため、輻射熱交換器22の温度を早く高温にできる。但し、快適性の観点では、吹出温度および輻射熱交換器22の温度を緩やかに上昇させることのできる上記実施形態の構成が好ましい。
【0098】
上記実施形態では、輻射暖房運転時の室内電動弁23の開度は、輻射熱交換器22の温度に基づいて制御されるが、室内熱交換器20の温度に基づいて制御されてもよい。具体的には、室内熱交温度センサ27で検出された温度(以下、室内熱交換器温度という)が、所定温度となるように、室内電動弁23の開度を制御する。室内熱交換器温度が所定温度よりも低い場合には、室内電動弁制御部53は、室内電動弁23の開度が大きくなるように制御する。また、室内熱交換器温度が所定温度よりも高い場合には、室内電動弁制御部53は、室内電動弁23の開度が小さくなるように制御する。但し、上記実施形態と同様に、輻射暖房運転開始時から所定時間t1が経過するまでは、室内電動弁制御部53は、室内電動弁23を初期開度に制御する。
輻射暖房運転時に温度差ΔTが減少して、圧縮機30の周波数が維持状態から減少状態に切り換わると、室内熱交換器温度は低くなる。室内熱交換器温度が所定温度よりも低くなると、室内電動弁制御部53によって、室内電動弁23は開度が大きくなり、輻射熱交換器温度が上昇する。したがって、この変更形態では、輻射熱交換器22の温度の低下を抑制することができる。
【0099】
上記実施形態では、輻射1運転モードの第2風量制御時および輻射2運転モード運転時の室内ファン21の回転数は、回転数c1で一定であるが、第1風量制御時および温風暖房運転時の室内ファン21の回転数より小さい回転数であれば、変動してもよい。
【0100】
上記実施形態の室内機2は、主にケーシング28の下壁に設けられた主吸込口28aから室内空気を吸い込んで、ケーシング28の上端部に設けられた吹出口28dから吹き出すように構成されているが、主吸込口28aおよび吹出口28dの位置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、室内機2の上部から吸い込んで下部から吹き出すように構成されていてもよい。
【0101】
上記実施形態では、床面近傍に設置される床置き室内機を有する空気調和機に本発明を適用した例を挙げて説明したが、壁掛け室内機を有する空気調和機に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明を利用すれば、快適性を向上できる。
【符号の説明】
【0103】
1 空気調和機
2 室内機
10 冷媒回路
11 主流路
11a 分岐部
11b 合流部
12 第1流路
13 第2流路
20 室内熱交換器
21 室内ファン(ファン)
22 輻射熱交換器
23 室内電動弁(弁機構)
28 ケーシング
28d 吹出口
30 圧縮機
32 室外熱交換器
34 室外電動弁(減圧機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、室内熱交換器、輻射熱交換器、減圧機構および室外熱交換器を有する冷媒回路を備えた空気調和機であって、
前記室内熱交換器は、室内機の内部においてファンに対向するように設けられており、
前記輻射熱交換器は、前記室内機の表面に設けられており、
前記冷媒回路に設けられ、前記輻射熱交換器に供給される冷媒量を調整する弁機構を有しており、
前記室内熱交換器に冷媒を流して温風暖房を行い且つ前記輻射熱交換器に冷媒を流して輻射暖房を行う場合において、前記圧縮機の周波数が低下した後において前記弁機構の開度が大きくなるように制御されることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記冷媒回路が、
前記減圧機構、前記室外熱交換器及び前記圧縮機が順に設けられた主流路と、
暖房運転時、前記主流路の前記圧縮機の下流側に設けられた分岐部と前記減圧機構の上流側に設けられた合流部とを接続すると共に、前記室内熱交換器が設けられた第1流路と、
暖房運転時、前記分岐部と前記合流部とを前記第1流路と並列に接続すると共に、前記輻射熱交換器が設けられた第2流路とを有しており、
前記弁機構が、前記第2流路において前記輻射熱交換器と前記合流部との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記圧縮機の周波数が、室内目標温度と室内温度との温度差に基づいて制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記弁機構の開度が、前記輻射熱交換器の温度に基づいて制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記弁機構の開度が、前記室内熱交換器の温度に基づいて制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項6】
前記室内機が、前記ファン及び前記室内熱交換器を収容するケーシングを有し、
前記ケーシングの上端部には、空気を吹き出す吹出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気調和機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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