説明

空気調和機

【課題】樹脂部品を劣化しにくくする。
【解決手段】室内から空気を吸入するファン05と、ファンの空気吹出側に設けられた室内熱交換器07と、室内熱交換器から発生するドレン水を受けるドレンパン08と、室内熱交換器に紫外線を照射する紫外線ランプ06とを有する空気調和機において、ファンとドレンパンの少なくとも何れか1つが樹脂製であり、紫外線ランプを室内熱交換器よりもファンの回転軸側に配置し、紫外線ランプとドレンパンとの間及び紫外線ランプとファンとの間であって、紫外線ランプの照射線上に反射板04を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には、室内熱交換器から発生したドレン水を溜めるドレンパンが備えられている。このドレン水に菌が繁殖すると異臭等が発生する問題があるため、従来技術として、空気調和機の室内熱交換器またはドレンパンに紫外線を照射する紫外線ランプを具備しているものがある。
【0003】
特許文献1には、室内熱交換器の上端部近傍にランプが設けられ、このランプからドレンパン内に向けて紫外線を含む光を照射し、ランプの点灯をリモコンで操作することが開示されている。これにより、ドレンパンを容易に殺菌でき、菌の増殖を長期間にわたり継続的に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−324195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ドレンパンは樹脂成型されることが多く、上記特許文献のものでは樹脂部品に紫外線が当たることについては考慮されていない。
【0006】
本発明の目的は、樹脂部品を劣化しにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、室内から空気を吸入するファンと、前記ファンの空気吹出側に設けられた室内熱交換器と、前記室内熱交換器から発生するドレン水を受けるドレンパンと、前記室内熱交換器に紫外線を照射する紫外線ランプとを有する空気調和機において、前記ファンと前記ドレンパンの少なくとも何れか1つが樹脂製であり、前記紫外線ランプを前記室内熱交換器よりも前記ファンの回転軸側に配置し、前記紫外線ランプと前記ドレンパンとの間及び前記紫外線ランプと前記ファンとの間であって、前記紫外線ランプの照射線上に反射板を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂部品を劣化しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態による空気調和機の内部構造図。
【図2】本発明の一実施の形態おける空気調和機の鉛直方向から見た全体図。
【図3】本発明の一実施の形態おける室内熱交換器コーナ部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態による空気調和機の断面図を示す。空気調和機が運転されると、ファン05が回転を始めキャビネット01の中央部に設けられた吸入口02より空気を吸入する。吸入された空気はファン05を通過し、ファンの回転軸と垂直の方向へ向きを変え室内熱交換器07を一次側から二次側に通過する。空気は室内熱交換器07にて冷媒と熱交換した後、キャビネット01内に形成された流路を通過し、室内側の天井面に配置された化粧パネル12の吹出口10を通過し室内へと吹出される。
【0012】
本実施例の空気調和機は室内の天井裏に埋設されているが、天井面に吊下げられるものでもよい。この空気調和機は、室外機(図示なし)と冷媒配管で接続されている。室外機内には圧縮機(図示なし)や室外熱交換器(図示なし)等が設けられている。例えば冷房運転時には、圧縮機で高温高圧に圧縮されたガス冷媒が室外熱交換器で外気と熱交換し凝縮して高圧液冷媒となる。この冷媒は室外機を流出しキャビネット01内に流入して、膨張弁(図示なし)で減圧し、室内熱交換器07に流入し、室内熱交換器07で室内空気と熱交換して低圧ガス冷媒となり、圧縮機に戻って循環する。
【0013】
室内熱交換器07で冷媒と空気が熱交換することによってドレン水が発生する。キャビネット01にはドレンパン08が固定され、ドレンパン08の上部に室内熱交換器07が設置される。ドレンパン08は凹形状をしており、この凹部に室内熱交換器07から流れ落ちるドレン水が溜められる。ドレンパン08は成型しやすく断熱効果のあるPS発泡材やPP発泡材などの樹脂材料を使用している。
【0014】
空気調和機は室内熱交換器07にドレン水が発生し、菌が繁殖しやすい環境にあるため、紫外線ランプ06を設けている。紫外線の照射によって室内熱交換器07の上の菌を殺菌して、継続的に抗菌作用を得ることができる。
【0015】
本実施例の紫外線ランプ06は細長い円柱形状であり、軸方向の各位置から放射状に紫外線を照射する。室内熱交換器07はファン05を囲むように略ロの字型に設ける。吹出口10の長手方向に沿う部分の室内熱交換器07は、上(ファン回転軸方向)から見て略直線状になっており、この部分の室内熱交換器07に沿うように紫外線ランプ06をベルマウス15上に寝かせる。紫外線ランプ06は周方向に紫外線を照射するので、紫外線ランプ06の長手方向と室内熱交換器07の照射面とを平行としたり、紫外線ランプ06の長さを室内熱交換器07の一辺(紫外線ランプの長手方向)の長さを同じくらいにすれば、紫外線ランプ06からの照射距離が均等になり、室内熱交換器07に均等に紫外線を照射し易くなる。
【0016】
室内熱交換器07の一辺に紫外線ランプ06を少なくとも1つ設ける。本実施例ではフィンと配管(何れも図示なし)を含めた室内熱交換器07がファン05の周りを一周しているので、紫外線ランプ06は少なくとも4つ設けることが好ましい。
【0017】
ベルマウス15上に横たわっている紫外線ランプ06は、室内熱交換器07とドレンパン08よりファン05回転軸側に配置されると共に、紫外線ランプ06とファン05、紫外線ランプ06とドレンパン08とをそれぞれ結ぶ照射線上に反射板04を配置する。即ち、紫外線ランプ06の照射先に樹脂部品であるファン05とドレンパン08を配置しないか、配置される場合にはこれらの樹脂部品と紫外線ランプ06との間に紫外線を遮蔽する反射板04を配置する。これにより、放射状に照射される紫外線が樹脂部品であるファン05やドレンパン08に当たることを防止できるので、これらが劣化することを防止できる。また、紫外線ランプ06はドレンパン08よりファン回転軸側に配置されているため、紫外線ランプ06より照射された紫外線が吹出口10より室内へ漏れることがなく、室内側から人の目に着くことなく意匠性を損なう心配がない。
【0018】
また、紫外線ランプ06はファン05吹出部より下方に配置されるとよい。これにより、ファン05から吹出された空気の流れを邪魔しないので空気抵抗が小さくなり、騒音が増加しにくくなる。
【0019】
更に、紫外線ランプ06はドレンパン08の壁の高さより上に配置されるとよい。図の紫外線ランプ06は、ドレンパン08の壁の最上部よりやや下方に配置されているので、この場合はドレンパン08の壁の最上部からベルマウス15にかけて傾斜する反射板04設け、その上に紫外線ランプ06を配置することでドレンパン08への照射を防止する。例えば紫外線ランプ06の下端がドレンパン08の壁の最上部と同じ高さに位置しているとすれば、紫外線ランプ06とドレンパン08との間に設けられる反射板04は、紫外線ランプ06の下部にほぼ水平に設けられることになる。即ち、紫外線ランプ06がドレンパン08の壁の高さより上に配置されると、照射可能な範囲が広くなる(反射板04により覆われる紫外線ランプ06の面積が小さくなる)。これにより、紫外線ランプ06で有効に照射することができる。
【0020】
反射板04は平板でなく、照射方向が樹脂部品の向きとなる部分を覆うように紫外線ランプ06に貼りつけて、照射面積を減らすものでもよい。これによれば、別部材で反射板04を設ける場合よりもキャビネット01内のスペースが小さくなる。また、ファン05から吹出された空気の流れを邪魔しないので空気抵抗が小さくなり、騒音が増加しにくくなる。
【0021】
反射板04は、反射板04を挟んで紫外線ランプ6と向かい合う部材に紫外線が照射されないように遮蔽するだけでなく、紫外線を反射させると共に、紫外線ランプ06からの紫外線を反射し室内熱交換器07に向けて集光させてもよい。これにより、紫外線の照射量を増やし、積極的に室内熱交換器07の除菌することができる。
【0022】
また図2において、室内熱交換器07とファン05の間であり室内熱交換器07のコーナ部に、ファン回転軸と平行の向きに配置する。この場合図3のように紫外線ランプ06から紫外線がファンの径方向に照射され、室内熱交換器07のフィンの隙間を通過することがなく、吹出口10側の樹脂部品へ照射されないため、キャビ内壁09の断熱材や吹出口10を形成している化粧パネル12等の樹脂部品の劣化を防止することができる。紫外線ランプ06とファン05の間には反射板13が取付けられており、紫外線ランプ06からの紫外線を反射し室内熱交換器07に向けて集光することで、積極的に室内熱交換器07の除菌することができる。
【0023】
ドレンパン08とファン05,キャビ内壁09の材質を耐候性に優れた材料とする。耐候性に優れた材料としてはPP材(ポリプロピレン)やAES(アクリロニトリルエチレンプロピレンジエンスチレン),ASA(アクリロニトリルスチレンアクリレート),塩化ビニル等があるが、部品の形状や寸法,使用状態から適切な材料を選定する。通常使用されているPS材(ポリスチレン)やABS材(アクリルブタジエンスチレン)に比べ前述した耐候性がある材料を使用することで、紫外線ランプ06から照射される紫外線による劣化を防ぐことができる。PP材に関しては室外機のカバーにも使用されており、入手性や汎用性に優れている。また図1において、ドレンパン08の水を溜めるシート11に耐候性に優れた材料を使用することで、ドレンパン08の発泡部への水の浸透防止に加え、ドレンパン08の発泡部の紫外線による劣化を防止することができる。さらにドレンパン08以外の部位、例えばキャビ内壁09の断熱材やファン05の紫外線が照射される部位にPP材のシート11を溶着することで紫外線による劣化を防止することができる。
【0024】
ドレンパン08とファン05,キャビ内壁09に紫外線反射材または紫外線吸収剤を塗布する。紫外線反射材には酸化チタン,酸化亜鉛などがあり、紫外線吸収剤にはオキシベンゾン,シラソーマなどがある。樹脂部品の表面に紫外線反射材または紫外線吸収剤が含まれることで、樹脂部品への紫外線の直接の照射を防ぎ、樹脂部品の劣化を防止できる。
【0025】
室内熱交換器07に光触媒(二酸化チタン)を塗布する。光触媒は紫外線を照射されることで、化学反応を起こし室内熱交換器07に付着している菌を分解し、臭いの元となる菌を除去することができる。これにより、室内熱交換器07を通過する空気は臭いの元となる菌に触れることなく室内へ送り出されるため、吹出口10からの異臭を防ぐことができる。また室内熱交換器07の表面は清潔な状態を保つことができるため、室内熱交換器フィン14表面を通過する空気の流動抵抗が経年的に増加することを防止することができる。これに加え菌の繁殖による室内熱交換器フィン14表面の粗面化が緩和されるため、ドレン水が室内熱交換器07に留まりにくく、ドレンパン08に流れやすくなるため、室内熱交換器07を通過する空気の通風抵抗が少なくて済む。
【0026】
その他、本発明を実現するために最低限必要な構成要素は、室内空気を吸入する吸込口02,回転することで空気の流れを作り出すファン05,熱交換を行う室内熱交換器07,室内熱交換器07からのドレン水を受けるドレンパン08,室内へ空気を導く吹出口10、吹出口10を構成している化粧パネル12である。図2は4方向吹出しの空気調和機であり吹出口10が4つ存在しているが、吹出口10の数が2つや1つにすることも、室内機キャビネットを床置きするタイプのものでもよい。
【符号の説明】
【0027】
01 キャビネット
02 吸込口
03,15 ベルマウス
04,13 反射板
05 ファン
06 紫外線ランプ
07 室内熱交換器
08 ドレンパン
09 キャビ内壁
10 吹出口
11 シート
12 化粧パネル
14 室内熱交換器フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内から空気を吸入するファンと、前記ファンの空気吹出側に設けられた室内熱交換器と、前記室内熱交換器から発生するドレン水を受けるドレンパンと、前記室内熱交換器に紫外線を照射する紫外線ランプとを有する空気調和機において、
前記ファンと前記ドレンパンの少なくとも何れか1つが樹脂製であり、
前記紫外線ランプを前記室内熱交換器よりも前記ファンの回転軸側に配置し、前記紫外線ランプと前記ドレンパンとの間及び前記紫外線ランプと前記ファンとの間であって、前記紫外線ランプの照射線上に反射板を設けることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1において、前記紫外線ランプは柱状であり、前記ファンの吹出部より下に配置されることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項2において、前記紫外線ランプは前記ドレンパンの側壁の高さより上に配置されることを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1において、前記紫外線ランプは柱状であり、前記室内熱交換器のコーナ部に前記ファンの回転軸の向きに沿って配置されることを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記ドレンパンと前記ファンの材質をPP,AES,ASAの何れかとすることを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、前記ドレンパンと前記ファンの表面に紫外線反射材または紫外線吸収剤を含有することを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかにおいて、前記室内熱交換器に二酸化チタンを塗布することを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−189249(P2012−189249A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52349(P2011−52349)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】