説明

空気調和機

【課題】コンパクトで、かつ、清掃を行い易い放電ユニットを備えた空気調和機を提供する。
【解決手段】放電ユニット201を備える空気調和機。放電ユニット201は、電位差のある正負2つの電極231,232とケーシング210とを有し、電極231,232間で放電させるユニットである。ケーシング210は、第1部211と、第2部212とを有する。第1部211は、正極231を保持する。第2部212は、負極232を保持する。第1部211と第2部212とは、互いにヒンジ機構213で繋がれる。正極231は、ヒンジ機構213が閉じた状態において負極232から放電に適切な距離に位置するように、第2部212が形成する空間まで突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放電機能を有する空気調和機が利用されている。放電機能は、電位差のある正負2つの電極間で放電を発生させ、当該放電により、空気中に浮遊している比較的小さな塵埃を耐電させたり、殺菌効果を有する活性種とよばれる強酸化物を生成したり、或いは、空気中に放出するためのマイナスイオンを生成する機能を発揮する。
【0003】
放電が発生する部分は、空気中に浮遊している塵埃が付着し、汚れやすい部分であり、定期的な清掃を必要とする。そこで、例えば、特許文献1(実開昭63−63129号公報)には、着脱可能なイオン化部を搭載した空気調和機が記載されている。当該イオン化部のケーシングは、ヒンジで繋がれた蓋を開けることにより、イオン化部の内部を清掃できるようになっている。また、特許文献2(特開2002−79140号公報)にも、ケーシングにヒンジで繋がれたカバーを開け、電極ユニットを本体から取り外すことにより、清掃が可能な空気調和機が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の空気調和機では、イオン化部は、コンパクト性に欠け、また、対向する2つの電極を分離することができないようになっており、電極周りの汚れを取りにくいという問題がある。他方、特許文献2に記載の空気調和機では、負極である電極ユニットと、正極である放電電極が取り付けられたカバーとは、別々に分解しないと空気調和機から取り外せないので、比較的難易度の高い分解及組立作業を利用者に強いることになるという問題がある。したがって、コンパクトで、かつ、清掃を行い易い、放電ユニットを備えた空気調和機が、今でも切望されている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、コンパクトで、かつ、清掃を行い易い放電ユニットを備えた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、放電ユニットを備える。放電ユニットは、電位差のある正負2つの電極とケーシングとを有し、電極間で放電させるユニットである。ケーシングは、第1部と、第2部とを有する。第1部は、正極を保持する。第2部は、負極を保持する。第1部と第2部とは、互いにヒンジ機構で繋がれる。正極は、ヒンジ機構が閉じた状態において負極から放電に適切な距離に位置するように、第2部が形成する空間まで突出している。
【0007】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、放電ユニットのケーシングが、正極を保持する第1部と負極を保持する第2部に分かれており、第1部と第2部とは、ヒンジ機構で繋がれている。これにより、放電ユニットの清掃を行いやくすることができる。また、正極は、ヒンジ機構が閉じた状態において負極から放電に適切な距離に位置するように、第2部が形成する空間まで突出している。これにより、放電ユニットの電極を、コンパクトなケーシング内に納まるようにすることができる。したがって、本発明の第1観点に係る空気調和機では、コンパクトで、かつ、清掃を行い易い放電ユニットを備えた空気調和機を提供することができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、正極は、イオン化線である。負極は、電極板である。
【0009】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、放電ユニットのケーシングの第1部は、正極であるイオン化線を保持し、第2部は、負極である電極板を保持する。第1部と第2部とは、ヒンジ機構で繋がれている。したがって、本発明の第2観点に係る空気調和機では、コンパクトで、かつ、イオン化線及び電極板の清掃を行い易い放電ユニットを備えた空気調和機を提供することができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和機は、第2観点に係る空気調和機であって、イオン化線は、U字状に構成される。電極板は、3つの対向する壁である右壁、中壁、及び左壁を形成するように構成される。ヒンジ機構が閉じた状態においてイオン化線は、中壁を囲み、かつ、右壁及び左壁の間に位置する。
【0011】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、ヒンジ機構が閉じた状態において、U字状に構成されたイオン化線が、3つの対抗する壁を形成する電極板の右壁と中壁との間、及び中壁と左壁との間に位置するように構成されている。これにより、放電の発生する領域をなるべく減らさずに電極をコンパクトなケーシング内に収めることができる。したがって、電極の放電発生領域をなるべく減らさずに放電ユニットをコンパクト化することができる。
【0012】
本発明の第4観点に係る空気調和機は、第3観点に係る空気調和機であって、右壁及び左壁は、第2部が形成する空間から突出していない。
【0013】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、放電ユニットのケーシングの第2部が保持する電極板の右壁及び左壁が、第2部が形成する空間から突出していないので、ヒンジ機構を閉じても、電極板が第1部に当たらない。これにより、放電ユニットの電極を、コンパクトなケーシング内に納まるようにすることができる。したがって、放電ユニットをコンパクト化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1観点及に係る空気調和機では、コンパクトで、かつ、清掃を行い易い放電ユニットを備えた空気調和機を提供することができる。
【0015】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、コンパクトで、かつ、イオン化線及び電極板の清掃を行い易い放電ユニットを備えた空気調和機を提供することができる。
【0016】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、電極の放電発生領域をなるべく減らさずに放電ユニットをコンパクト化することができる。
【0017】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、放電ユニットをコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1実施形態に係る空気清浄機の正面斜視図
【図2】本発明の1実施形態に係る空気清浄機の側面視図
【図3】本発明の1実施形態に係る空気清浄機における送風の経路を示す概念図
【図4】本発明の1実施形態に係る空気清浄機の分解図
【図5】放電ユニットの外観図
【図6】放電ユニットのケーシング見開き図
【図7】図6の放電ユニットのVII−VII断面図
【図8】図5の放電ユニットのVIII−VIII断面図
【図9】接点ユニットの正面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
(1)空気調和機の概要構成
本発明の一実施形態に係る空気調和機は、空気清浄機100である。空気清浄機100は、本体100aと当該本体100aを覆う複数のケーシング部材から構成されている。本体100aには、後述する放電ユニット200、フィルタ部310、加湿部320、シロッコファン350、及びストリーマ放電ユニット340等が収納されている。
【0021】
(1−1)外観
図1は、当該空気清浄機100の正面斜視における外観正面斜視図である。空気清浄機100の正面は、ケーシング部材の1つである合成樹脂製の前パネル102に覆われている。正面の下方には、前パネル102に覆われていない部分があり、当該部分に下吸込口113が設けられている。図2は、空気清浄機100の側面視における外観側面視図である。図2において、空気清浄機100の側面の一部は、ケーシング部材の1つである合成樹脂製の側方吸込口形成部材103により覆われている。側方吸込口形成部材103には、空気を取り込む第1側方吸込口111が縦方向に延びるように形成されている。つまり、第1側方吸込口111は、縦の寸法の方が、横の寸法よりも大きい。また、図示されていないが、空気清浄機100の反対側の側面の一部も同様に側方吸込口形成部材103により覆われている。側方吸込口形成部材103には、第1側方吸込口111に対向する位置に第2側方吸込口112が縦方向に延びるように形成されている。第2側方吸込口112の縦横の寸法は、第1側方吸込口111の寸法と同じである。以下、第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112を指す場合は、側方吸込口110とし、側方吸込口110及び下吸込口113の全てを指す場合は、単に吸込口とする。
【0022】
空気清浄機100内に吸い込まれた空気が吹き出される吹出口114は、図1及び図4に示されているように空気清浄機100の上面に設けられている。
【0023】
なお、下吸込口113は、前パネル102に形成されていても良く、また、前パネル102と側方吸込口形成部材103とは、一体化された1つのケーシング部材であってもよい。
【0024】
(1−2)空気の流れ
図3は、空気清浄機100における塵埃の除去および分解の概念を説明するための概念図である。図3において、シロッコファン350によって吸込口から吹出口114に至る空気の流れ501が発生する。吸込口から吸込まれた室内空気は、フィルタ部310で塵埃や臭い成分などが取り除かれ、シロッコファン350から清浄な空気が吹き出される。
【0025】
(2)詳細構成
(2−1)放電ユニット
図4は、空気清浄機100から前パネル102等のケーシング部材の一部を取り外した分解図である。この図に示されているように、放電ユニット200は、横よりも縦が長い筒状の形状をしており、第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112の近傍に1つずつ、それぞれの側方吸込口110に沿って立てた状態で、着脱可能に設置されている。放電ユニット200の縦横それぞれの寸法は、側方吸込口110の縦横それぞれの寸法よりも大きく、放電ユニット200は側方吸込口形成部材103と、その間になるべく隙間ができないように接しているので、側方吸込口110から吸い込まれる空気は、全て放電ユニット200を通るように構成されている。放電ユニット200は、吸い込まれた空気の中に浮遊している比較的小さな塵埃を帯電させる。
【0026】
以下、上或いは上端とは、放電ユニット200が空気清浄機100に縦に装着された状態における上或いは上端を指し、下或いは下端とは、同じく放電ユニット200が空気清浄機100に縦に装着された状態における下或いは下端を指すものとする。また、第1側方吸込口111の近傍に配置される放電ユニット200を第1放電ユニット201とし、第2側方吸込口112の近傍に配置される放電ユニット200を第2放電ユニット202とする。第1放電ユニット201と第2放電ユニット202とは、基本的に同じ構成を有するので、以下、第1放電ユニット201について説明し、第2放電ユニット202についての説明は省略する。
【0027】
<放電部>
図5〜図8を参照しながら、第1放電ユニット201について説明する。なお、以下、上とは、第1放電ユニット201が空気清浄機100に装着された状態での上であり、下とは、装着された状態での下である。
【0028】
図5は、第1放電ユニット201の外観図である。第1放電ユニット201は、縦に長い筒状の形状をした合成樹脂製のケーシング210を有する。図6に示されているように、ケーシング210は、ケーシング第1部211及びケーシング第2部212の2つに縦に分かれており、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とは、ヒンジ213で繋がれている。
【0029】
ケーシング第1部211は、正負2つの電極のうちの正極であるタングステン製のイオン化線231を保持する。負極は、ケーシング第2部212により保持されている。負極は、ステンレス金属製の板状の電極(電極板232)である。
【0030】
図7は、ヒンジ213を開いた状態での第1放電ユニット201の断面図である。ケーシング第1部211は、縦方向に長く、横断面が半円に近い形状をしている。ここで、当該略半円形状の凹湾曲面をケーシング第1部211の内側、当該略半円形状の凸湾曲面をケーシング第1部211の外側とする。また、外側から観た場合の左右をケーシング第1部211の左右とする。ケーシング第1部211の下端の近傍の内側には、ブリッジ217が設けられている。ブリッジ217は、図7に示されているように、ケーシング第1部211が形成する空間から外に突出した部材であり、その先端付近の両側にはそれぞれ、イオン化線231を嵌合するための窪みが形成されている。ケーシング第1部211の上端には、イオン化線231の一端が取り付けられている。イオン化線231は、ケーシング第1部211の上端から、下端近傍の上記ブリッジ217まで延びている。イオン化線231は、ブリッジ217の先端付近両側の窪みに嵌合し、当該先端を半周して、ケーシング第1部211の上端に向けて折り返す。イオン化線231は、ケーシング第1部211の上端まで延び、ケーシング第1部211の上端に戻ってきたイオン化線231の端は、ケーシング第1部211の上端に取り付けられている。すなわち、イオン化線231は、U字状に設置されている。
【0031】
ケーシング第2部212は、縦方向に長く、図7に示されているように横断面が凹型形状をしている。ここで、当該凹型形状の凹面をケーシング第2部212の内側、当該凹型形状の凹面と反対側の面をケーシング第2部212の外側とする。また、外側から観た場合の左右をケーシング第2部212の左右とする。ケーシング第2部212の内側には、負極である電極板232が取り付けられている。電極板232は、ケーシング第2部212の長手方向に並行な3つの対向する壁を形成するように成形されている。ここで、説明の便宜上、当該3つの壁のうち、真ん中に位置する壁を中壁232b、当該中壁232bの左右に位置する壁をそれぞれ左壁232c、右壁232aとする。左壁232cと右壁232aは、ケーシング第2部212が形成する空間内に収まっている。一方、中壁232bは、当該空間から数ミリ程度外に出ている。なお、ケーシング第2部212の下端には、図6に示されているように、水抜き穴218が設けられており、ケーシング内に水が溜まらないようになっている。
【0032】
図6に示すように、ヒンジ213は、ケーシング第1部211の左側と、ケーシング第2部212の右側とをつなぎとめている。ここで、右或いは左とは、ケーシング第1部及びケーシング第2部の外側から観た場合の右或いは左である(以下同様)。ケーシング第1部211とケーシング第2部212とを繋ぐヒンジ213を閉じると、図8に示すように、ケーシング第1部211の縁とケーシング第2部212の縁とが接するようになっている。ヒンジ213が閉じられた状態では、イオン化線231は、ケーシング第2部212により形成された空間に位置し、中壁232bをU字状に囲む。また、当該U字状のイオン化線231は、外側から左壁232c及び右壁232aに囲まれた状態になる。即ち、イオン化線231は、左壁232cと中壁232bとの間、及び中壁232bと右壁232aとの間に位置し、それぞれの壁に並行な状態で、当該壁と放電に適切な一定の距離を保って位置する。
【0033】
イオン化線231に高電圧を印加すると、当該2つの電極間に電位差が生じ、イオン化線231と電極板232とが対向している部位において、当該2つの電極間で1種のコロナ放電が生じる。当該放電が起こる部位を放電部と呼ぶ。
【0034】
放電部を覆う部分(格子部200a)では、ケーシング第1部211及びケーシング第2部212は、格子状になっている。また、ケーシング第1部211の当該格子部200aの外側は、図示しないがプレフィルタにより覆われている。吸い込まれた空気は、当該格子部200aからケーシング210内に入り込み、放電部を通過する。通過する空気中の塵埃は、放電により帯電する。
【0035】
<把持部>
ケーシング第1部211及びケーシング第2部212のうち格子部200aの上に位置する部分は、把持部200bと呼ばれる。把持部200bにおいては、ケーシング第1部211及びケーシング第2部212は、格子状になっておらず、ケーシング第1部211は、手で掴みやすいように少し凹んでいる。即ち、ケーシング第1部211は、把持部200bにおいて、その半円形状をした横断面の半径が、上記格子部200aよりも小さくなっている。把持部200bは、側方吸込口形成部材103の外側から観た場合、側方吸込口形成部材103の後方に重なって位置しており、第1側方吸込口111から流入する空気に直接あたらない。このため、把持部200bには、塵埃が付着しにくく、汚れにくくなっている。したがって、利用者は、把持部200bを掴むことにより手を汚さずに第1放電ユニット201を着脱できるようになっている。
【0036】
<接点部>
次に、図6を参照しながらイオン化線231及び電極板232からなる電極と高電圧電源を有する回路との接点について説明する。
【0037】
ケーシング第1部211の上端からは、横断面がT字型に近い形状をした合成樹脂製の接点部材(以下、第1接点部材214とする)が突出している。第1接点部材214は、ケーシング第1部211の上端の縦方向の中心線よりも右よりに付いている。第1接点部材214は、本体214aとフランジ部216aとからなる。図6に示されているように、第1接点部材本体214aの左側には、2つの板状突出部が設けられている。当該2つの突出部は、正極の接点端子(以下、第1接点端子233とする)であり、正極であるイオン化線231の両端それぞれからハーネスが当該各突出部のいずれか異なる1つの先まで延びている。第1接点部材本体214aの右側は、板状のフランジ部216aと接合している。フランジ部216aの平面は、第1接点部材本体214aの平面と略直角をなすように構成されている。即ち、第1接点部材本体214aとフランジ部216aが接合している部分の横断面は、T字型に近い形状になっている。
【0038】
また、ケーシング第2部212の上端からは、横断面がT字型に近い形状をした合成樹脂製の接点部材(以下、第2接点部材215とする)が突出している。第2接点部材215は、ケーシング第2部212の上端の縦方向の中心線よりも左よりに付いている。第2接点部材215は、本体215aとフランジ部216bとからなる。第2接点部材本体215aの右端に沿って、負極である電極板232の一部が板状に延びており、負極の接点端子(以下、第2接点端子234とする)を形成している。第2接点部材本体215aの左側は、板状のフランジ部216bと接合している。フランジ部216bの平面は、第2接点部材本体215aの平面と略直角をなすように構成されている。即ち、第2接点部材本体215aとフランジ部216bが接合している部分の横断面は、T字型に近い形状になっている。
【0039】
なお、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とを繋ぐヒンジ213が閉じると、第1接点部材214のフランジ部216aと第2接点部材215のフランジ部216bとは、1つのフランジ216を形成する。
【0040】
なお、上記第1接点端子233と第2接点端子234を合わせて接点部と呼ぶ。
【0041】
<第2放電ユニット>
第2放電ユニット202は、次の点を除いては、第1放電ユニット201と同じ構成を有している。すなわち、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とは、第2放電ユニット202では、第1放電ユニット201とは反対側(ケーシング第1部211の右側及びケーシング第2部212の左側)でヒンジ213により繋がれている。また、第1接点部材214及び第2接点部材215がついている位置も第1放電ユニット201とは、反対側(ケーシング第1部211の縦方向の中心線よりも左側、ケーシング第2部212の縦方向の中心線よりも右側)よりである。第1接点端子233は第1接点部材本体214aの右側に突出している。第1接点部材214及び第2接点部材215のフランジ部216a、216bもそれぞれ第1接点部材本体214aの左側及び第2接点部材本体215aの右側に設けられている。
【0042】
<放電ユニットの装着>
再び図4に戻ると、空気清浄機100の本体の正面の上部には、接点ユニット301が配置されている。図9は、カバーを外した状態の接点ユニット301の正面斜視図である。接点ユニット301には、放電ユニット200を高電圧電源に接続する回路を構成するハーネスが収納されている。接点ユニット301の前面には、縦スリット302が当該前面の左右両側に2つずつ計4つ設けられている。放電ユニット200は、第1接点端子233及び第2接点端子234が、接点ユニット301の前面に設けられた各縦スリット302に挿入され、取り付けられる。当該縦スリット302内には、クリップ状のハーネス端子303が設けられている。第1接点端子233及び第2接点端子234が縦スリット302に挿入されると、当該ハーネス端子303に挟まれるようになっている。これにより、放電ユニット200の電極、即ちイオン化線231及び電極板232が高電圧電源を含む回路と接続される。
【0043】
なお、第1接点端子233及び第2接点端子234が、接点ユニット301の前面に設けられた縦スリット302に挿入され、放電ユニット200が接点ユニット301に取り付けられた状態では、縦スリット302及び放電ユニット200の第1接点端子233及び第2接点端子234は、放電ユニット200のフランジ216により覆われる。
【0044】
(2−2)他の構成要素
空気清浄機100の他の構成要素を以下に説明する。
【0045】
(2−2−1)フィルタ部
図3に示されているように、フィルタ部310は、プレフィルタ311とHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタ312と脱臭エレメント313とで構成されている。まず、プレフィルタ311によって大きな塵埃が取り除かれる。次に、HEPAフィルタ312によってさらに微細な塵埃が取り除かれる。さらに、HEPAフィルタ312を通過した空気は、活性炭などを含む脱臭エレメント313によってホルムアルデヒドや臭い成分などが分解され、或いは吸着される。
【0046】
(2−2−2)ストリーマ放電ユニット
シロッコファン350から吹き出される空気のうちの一部が、図3に示す支流502としてストリーマ放電ユニット(図4及び図9において接点ユニット301に装着されている340)に送られる。この支流502がストリーマ放電ユニット340を通過するときに、ストリーマ放電によって活性種が供給される。活性種の供給された支流502は、複数の分流となって放出口331からプレフィルタ311の前に吹き出される。
【0047】
複数の分流は、プレフィルタ311から吸い込まれる室内空気に合流してHEPAフィルタ312及び脱臭エレメント313にまで到達する。脱臭エレメント313にまで達する活性種によって消臭効果が高められる。
【0048】
ストリーマ放電ユニット340は、正極であるタングステン製の針状の電極と、当該針状電極の近傍に位置し、当該電極に対向する板状の電極(対向電極)を有する。針状電極に高電圧を印加することによりプラズマ放電の一種であるストリーマ放電が発生する。当該放電発生の際に酸化分解力の高い活性種が生成される。
【0049】
生成された活性種を含む空気は、図3に示すような2つの鉛直風通路部材330へ流入する。空気清浄機100の第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112は、上述のとおり鉛直方向に長い開口であるが、2つの鉛直風通路部材330は第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112に沿って配置されている。各鉛直風通路部材330には、複数の放出口331が第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112の鉛直方向に沿うように形成されている。鉛直風通路部材330へ流入した活性種を含む空気は、当該放出口331からフィルタ部310のプレフィルタ311の前に吹き出される。
【0050】
(2−2−3)加湿部320
加湿部320は、加湿ロータ321や水トレイ322などを備えている。脱臭エレメント313を通過した空気は、加湿部320の加湿ロータ321を通過する。加湿ロータ321を空気が通過する際に、加湿ロータ321から空気中に水分が放出される。放出されることによって減少する水分を補うため、加湿ロータ321は、水トレイ322から水の供給を受ける。水トレイ322には、鉛直通風路部材330に設けられた上記放出口331の1つから活性種を含む空気が導入される。
【0051】
(3)空気清浄動作
図3を参照しながら、空気清浄機100による空気清浄作用について説明する。第1側方吸込口111及び第2側方吸込口112から吸い込まれた空気は、放電ユニット200に到達する。そこで、放電ユニット200のケーシング第1部211の外側に設けられたプレフィルタにより比較的大きなホコリや塵が空気中から除去される。次に、空気は放電ユニット200の放電部を通過する。その際、空気に含まれる塵埃等がプラス電荷に帯電する。そして、空気は、フィルタ部310に到達する。他方、下吸込口113から吸い込まれた空気は、フィルタ部310に到達する。
【0052】
フィルタ部310では、空気は先ず、プレフィルタ311を通過する。その際、比較的大きなホコリや塵が、プレフィルタ311により空気中から除去される。また、プレフィルタ311に含まれる光触媒とカテキンとの作用により、プレフィルタ311の繊維に付着した塵埃などに含まれるカビ菌や細菌などの菌やウィルスの繁殖が抑制されるとともに、ウィルスが不活化される。
【0053】
プレフィルタ311を通った空気は、HEPAフィルタ312を通過する。当該空気中の帯電した塵埃等は、HEPAフィルタ312に吸着される。
【0054】
HEPAフィルタ312を通過した空気は、脱臭エレメント313を通過し、この際脱臭される。
【0055】
その後、当該空気は、加湿部320の加湿ロータ321に到達する。空気は、加湿ロータ321を通過し、加湿される。
【0056】
フィルタ部310及び加湿ロータ321を通過して清浄された空気は、吹出口114から室内へと吹き出される。また、清浄された空気の一部は、室内へと吹き出されることなく支流502となって、ストリーマ放電ユニット340へ導入される。
【0057】
ストリーマ放電ユニット340におけるストリーマ放電により活性種が生成される。活性種を含む空気は、2つの鉛直通風路部材330内を通り、各鉛直通風路部材330に形成された複数の放出口331からプレフィルタ311の前に放出される。活性種を含む空気は、吸込空気と混ざり合ってプレフィルタ311及びHEPAフィルタ312に吸い込まれる。これらの活性種を含んだ空気は、ウィルスやカビ菌、細菌などを不活化または死滅させる。
【0058】
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態では、正極であるイオン化線231と負極である電極板232は、それぞれケーシング第1部211とケーシング第2部212とに別々に保持されており、ケーシング第1部211とケーシング第2部212とは、ヒンジ213で繋がれている。これにより、放電ユニット200の清掃が行いやすくなっている。また、イオン化線231は、ケーシング第2部212が形成する空間に突出ており、ヒンジ213が閉じた状態において電極板232から放電に適切な距離に位置するようになっている。これにより、放電ユニット200をコンパクトにすることができている。したがって、上記実施形態では、コンパクトで、かつ、清掃を行い易い放電ユニット200を備えた空気清浄機100を提供することができている。
【0059】
(4−2)
上記実施形態では、コンパクトで、かつ、イオン化線231及び電極板232の清掃を行い易い放電ユニット200を備えた空気清浄機100を提供することができている。
【0060】
(4−3)
上記実施形態では、ヒンジ213が閉じた状態において、U字状に構成されたイオン化線231が、3つの対抗する壁を形成する電極板232の右壁232aと中壁232bとの間、及び中壁232bと左壁232cとの間に位置するように構成されている。これにより、放電の発生する領域をなるべく減らさずに電極をコンパクトなケーシング210内に収めることができている。したがって、電極の放電発生領域をなるべく減らさずに放電ユニット200をコンパクト化することができている。
【0061】
(4−4)
上記実施形態では、ケーシング第2部212が保持する電極板232の右壁232a及び左壁232cが、ケーシング第2部212が形成する空間から突出していないので、ヒンジ213を閉じても、電極板232がケーシング第1部211に当たらない。これにより、放電ユニット200の電極を、コンパクトなケーシング210内に納まるようにすることができている。したがって、放電ユニット200をコンパクト化することができている。
【0062】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、空気調和機は、空気清浄機100であった。しかし、他の実施形態においては、空気調和機は、ルームエアコン、業務用エアコン等、どのような空気調和機でも良い。
【0063】
(5−2)変形例1B
上記実施形態では、放電ユニット200は、電気集塵機能を発揮するものであった。しかし、他の実施形態においては、他の機能を発揮するものでも良い。例えば、放電ユニット200は、ストリーマ放電ユニット340のようにストリーマ放電を発生させ、強酸化物である活性種を生成するものでもよい。また、マイナスイオンを生成するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、放電機能を搭載した空気調和機に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 空気清浄機(空気調和機)
200 放電ユニット
210 ケーシング
211 ケーシング第1部(第1部)
212 ケーシング第2部(第2部)
213 ヒンジ
231 イオン化線(正電極)
232 電極板(負電極)
232a 右壁
232b 中壁
232c 左壁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】実開昭63−63129号公報
【特許文献2】特開2002−79140号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電位差のある正負2つの電極(231,232)とケーシング(210)とを有し、前記電極(231,232)間で放電させるユニットである放電ユニット(200)、
を備え、
前記ケーシング(210)は、前記正極(231)を保持する第1部(211)と、前記負極(232)を保持する第2部(212)とを有し、
前記第1部(211)と前記第2部(212)とは、互いにヒンジ機構(213)で繋がれ、
前記正極(231)は、前記ヒンジ機構(213)が閉じた状態において前記負極(232)から放電に適切な距離に位置するように、前記第2部(212)が形成する空間まで突出している、
空気調和機(100)。
【請求項2】
前記正極(231)は、イオン化線(231)であり、
前記負極(232)は、電極板(232)である、
請求項1に記載の空気調和機(100)。
【請求項3】
前記イオン化線(231)は、U字状に構成され、
前記電極板(232)は、3つの対向する壁である右壁(232a)、中壁(232b)、及び左壁(232c)を形成するように構成され、
前記ヒンジ機構(213)が閉じた状態において前記イオン化線(231)は、前記中壁(232b)を囲み、かつ、前記右壁(232a)及び前記左壁(232c)の間に位置する、
請求項2に記載の空気調和機(100)。
【請求項4】
前記右壁(232a)及び前記左壁(232c)は、前記第2部(212)が形成する空間から突出していない、
請求項3に記載の空気調和機(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−10060(P2013−10060A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143018(P2011−143018)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】