説明

空気調和機

【課題】接点部分の腐食を抑制できる空気調和機を提供する。
【解決手段】放電部と、接点部とを備える。放電部は、放電極と放電極に対向する対向極とを含む。接点部は、放電部に電圧を供給する。接点部が収容される接点部収容空間(S2,S3)と、放電部を収容する放電部収容空間とは、空気流中に配置される。空気流は、接点部収容空間(S2,S3)から放電部収容空間へと向かう方向に流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気を取り込んで、取り込んだ空気中の浮遊物(臭気成分、塵埃、菌、ウィルス等)の除去・分解を行うことで、清浄化した空気を室内へ吹き出す空気調和機が存在している。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2005−300111号公報)に開示の空気調和機では、針状の放電針を有する放電極、対向極等から構成される放電部で活性種を生成している。そして、活性種が室内から取り込んだ空気中に供給されることにより、浮遊物の除去・分解力を高めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放電部で放電させるためには、放電部に電圧を供給するための接点が必要である。ここで、上記特許文献1に開示のような放電部で生成される生成物は、酸化力が強い。このため、生成物が接点部分に触れると接点部分が腐食することが懸念される。
【0005】
そこで、本発明の課題は、接点部分の腐食を抑制できる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、放電部と、接点部とを備える。放電部は、放電極と放電極に対向する対向極とを含む。接点部は、放電部に電圧を供給する。接点部が収容される接点部収容空間と、放電部を収容する放電部収容空間とは、空気流中に配置される。空気流は、接点部収容空間から放電部収容空間へと向かう方向に流れる。
【0007】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、空気流は、接点部収容空間を通って放電部収容空間へと流れる。よって、放電部で生成された生成物が接点部収容空間へと流れるのを抑制できる。よって、接点部の腐食を抑制できる。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気調和機は、本発明の第1観点に係る空気調和機であって、接点部収容空間は、前記空気流を取り込むための取込口に連通し、放電部収容空間に隣接している。
【0009】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、接点部収容空間と放電部収容空間とが隣接している場合であっても、空気流は、接点部収容空間を通って放電部収容空間へと流れるので、放電部で生成された生成物が接点部収容空間へと流れるのを抑制できる。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和機は、本発明の第2観点に係る空気調和機であって、放電ユニットをさらに備える。放電ユニットは、放電部収容空間を形成する。また、放電ユニットは、接点部収容空間に差込可能で接点部と接触する接触状態を採る差込接点部を有する。接点部収容空間と放電ユニットとは、仕切り部によって仕切られる。仕切り部は、差込接点部が差込可能な差込開口が形成される。差込接点部の接触状態において、差込接点部と差込開口との間には、隙間が存在する。
【0011】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、差込接点部と差込開口との間に隙間が存在したとしても、空気流は、接点部収容空間を通って放電部収容空間へと流れるので、放電部で生成された生成物が接点部収容空間へと流れるのを抑制できる。
【0012】
本発明の第4観点に係る空気調和機は、本発明の第3観点に係る空気調和機であって、本体をさらに備える。本体は、吹出流を生成する。また、本体には、吹出流を吹き出す吹出口が形成される。空気流は、吹出流の一部である。
【0013】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、接点部収容空間及び放電部収容空間へと流れる空気流は、吹出口から吹き出される吹出流の一部である。すなわち、空気調和された空気が接点部収容空間及び放電部収容空間へと流れる。よって、接点部やその周辺への塵埃の付着を抑制できる。
【0014】
本発明の第5観点に係る空気調和機は、本発明の第4観点に係る空気調和機であって、本体に取り付けられ、差込接点部の接触状態において放電ユニットが取り付けられている本体取付ユニットをさらに備える。本体取付ユニットには、接点部収容空間及び取込口が形成される。また、本体取付ユニットには、仕切り部が配置される。
【0015】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、接点部の腐食を抑制できる。
【0016】
本発明の第6観点に係る空気調和機は、本発明の第1発明〜第5発明のいずれかに係る空気調和機であって、接点部収容空間の気圧のほうが、放電部収容空間の気圧よりも高い。
【0017】
本発明の第6観点に係る空気調和機では、接点部収容空間の気圧が、放電部収容空間の気圧よりも高いので、放電部収容空間から接点部収容空間へと流れる空気流(逆流)を抑制できる。すなわち、放電部で生成された生成物が接点部収容空間へと流れるのを抑制できる。よって、接点部の腐食を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、接点部の腐食を抑制できる。
【0019】
本発明の第2観点及び第3観点に係る空気調和機では、放電部収容空間から接点部収容空間へと流れる空気流(逆流)を抑制できる。
【0020】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、接点部やその周辺への塵埃の付着を抑制できる。
【0021】
本発明の第5観点及び第6観点に係る空気調和機では、接点部の腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の概略の外観斜視図。
【図2】空気調和機の分解斜視図。
【図3】前面パネル及び取付ユニットを外した状態の空気調和機の概略の正面図。
【図4】本体取付ユニットの分解斜視図。
【図5】放電ユニットの概略の斜視図。
【図6】変形例1Aに係る本体取付ユニットの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る空気調和機1について説明する。
【0024】
(1)空気調和機1の概略構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和機1の概略の外観斜視図である。図2は、空気調和機1の分解斜視図である。図3は、前面パネル20及び本体取付ユニット30を外した状態の空気調和機1の概略の正面図である。図4は、本体取付ユニット30の分解斜視図である。なお、以下の説明において、上、下、左、右、正面(前)、背面(後)といった方向を示す語句を用いているが、これらの方向は、特にことわりのない限り、図1に示す方向を意味する。
【0025】
空気調和機1は、設置される空調空間(例えば、室内)の空気を清浄する空気清浄機能を有する。空気調和機1は、床置き型であり、図1や図2に示すように、本体10と、前面パネル20と、本体取付ユニット30と、放電ユニット50とから構成される。
【0026】
(1−1)本体10
本体10は、図1に示すように、略直方体形状を有する。
【0027】
本体10には、空調空間の空気を吸い込むための吸込口11a(図3を参照),11b(図1を参照)が形成されている。具体的には、吸込口11a,11bは、本体10の両側面にそれぞれ形成されている。また、本体10に前面パネル20が取り付けられた状態において、本体10と前面パネル20との間には吸込空間11cが形成されている。具体的には、吸込空間11cは、本体10の前方の下方部分且つ前面パネル20の後方の下方部分に形成される。吸込空間11cは、吸込口11a、11bと共に、空調空間の空気を吸い込む吸込口として機能する。すなわち、空気調和機1は、側方及び下方から空調空間の空気を吸い込んでいる。また、本体10には、清浄化した空気を空調空間に吹き出すための吹出口12が形成されている。具体的には、吹出口12は、本体10の上後方部分に形成されている。空気調和機1では、吸込口11a,11b及び吸込空間11cを介して本体10内に吸い込まれた空気は、本体10の内部において清浄化され、清浄化された空気は、吹出口12を介して本体10外に排出される。なお、以下では、吸込口11a,11b及び吸込空間11cを介して本体10内に吸い込まれ、吹出口12を介して本体10外に吹き出される空気をメイン空気流(適宜、メイン空気流Aと示す、図2を参照)という。
【0028】
また、本体10には、放電ユニット50で生成された活性種をメイン空気流Aに供給する機能を有する、複数の小径の活性種供給開口13(図2や図3を参照)が形成されている。なお、図2では、全ての活性種供給開口13を示していない。
【0029】
本体10の内部には、主として、空気清浄ユニット2と、ファン3と、制御ユニット(図示せず)とが配置されている。以下、これらについて説明する。
【0030】
(1−1−1)空気清浄ユニット2
空気清浄ユニット2は、図2に示すように、主として、第1プレフィルタ(図示せず)と、イオン化部22と、第2プレフィルタ23と、HEPAフィルタ24と、脱臭フィルタ25とを有している。これらは、メイン空気流Aの上流側から下流側にかけて順に配置されている。
【0031】
第1プレフィルタは、吸込口11a,11b中に設けられており、吸込口11a,11bから吸い込まれた空気中の比較的大きな塵埃を捕捉する。
【0032】
イオン化部22は、第1プレフィルタで捕捉されなかった塵埃を帯電させる。具体的には、イオン化部22では、一対の対向電極とその対向電極との間に配置されるイオン化線との間で放電を発生させることによって、塵埃を帯電させている。
【0033】
第2プレフィルタ23は、吸込口11a,11b及び吸込空間11cから吸い込まれた空気中の比較的大きな塵埃を捕捉する。
【0034】
HEPAフィルタ24は、イオン化部22で帯電された塵埃を吸着したり、吸込空間11cから吸い込まれて第2プレフィルタ23を通過した空気中の塵埃を吸着したりする。
【0035】
脱臭フィルタ25は、活性炭などを含んでおり、第1プレフィルタ、イオン化部22、第2プレフィルタ23、及び、HEPAフィルタ24を通過した空気中のニオイや有毒ガスを吸着して分解する。
【0036】
(1−1−2)ファン3
ファン3は、空気清浄ユニット2のメイン空気流下流側に配置され、本体10の背面側部分に取り付けられる。ファン3は、メイン空気流Aを生成する機能を有する。具体的には、ファン3は、シロッコファンであり、空気清浄ユニット2を通過した空気を、回転軸が延びる方向から吸い込み、回転軸方向に対して鉛直方向に延びる方向に吹き出す。
【0037】
(1−1−3)制御ユニット
制御ユニットは、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)の下方に位置する複数の電装品から構成され、本体10内の各種機器の動作を制御する。具体的には、制御ユニットは、操作部を介して入力されるユーザの指示に基づいて、空気清浄ユニット2、ファン3等を制御する。
【0038】
(1−2)前面パネル20
前面パネル20は、図1に示すように、空気調和機1の前面を形成する部材であり、本体10の前方から本体10に対して取り付けられる。前面パネル20は、本体10の前面に対して着脱されることで本体10を開放/遮蔽する機能を有する。
【0039】
(1−3)本体取付ユニット30
本体取付ユニット30は、空気清浄ユニット2及びファン3の上方に配置される。具体的には、図3に示すように、本体10には、空気清浄ユニット2及びファン3の上方に、本体取付ユニット30を収容する収容空間S1が形成されている。本体取付ユニット30は、この収容空間S1に収容されて本体10にネジ止め等で固定されることで、本体10に取り付けられている。本体取付ユニット30には、その後方から、吹出口12から吹き出される空気流(吹出流)の一部である分流A1が流入する。
【0040】
本体取付ユニット30は、図4に示すように、取付ユニット本体40を有する。取付ユニット本体40は、本体部41と、本体部41に取り付けられてネジ止めによって固定される蓋部42とを有する。
【0041】
本体部41の背面の中央の領域には、分流A1を本体取付ユニット30に取り込むための取込口43が形成されている。また、本体部41の中央部且つ後方の領域には、取込口43を介して本体取付ユニット30に流入した分流A1を、放電ユニット50及び後述する接点部収容空間S2,S3に案内するための分流案内部44が形成されている。分流案内部44は、分流A1の空気流れ上流側から下流側にかけて上方に傾斜している。
【0042】
また、取付ユニット本体40の内部は、複数の仕切り板によって複数の空間に区切られている。複数の空間のうち、分流案内部44を挟んだ両側には、上述した接点部収容空間S2,S3が位置している。接点部収容空間S2,S3は、固定接点部47a,47bを収容する空間である。接点部収容空間S2,S3は、取込口43と連通するように形成されている。
【0043】
また、複数の空間のうち、本体部41の中央部分且つ前方部分には、放電ユニット50が収容される放電ユニット収容空間S4が位置している。放電ユニット収容空間S4は、接点部収容空間S2,S3と隣接しており、接点部収容空間S2,S3の、分流A1の空気流れ下流側に位置する。接点部収容空間S2,S3と、放電ユニット収容空間S4とは、仕切り板45によって仕切られている。
【0044】
仕切り板45には、その上側部分且つ中央領域に内側に(下方に)凹んだ凹部45aが形成されている。また、仕切り板45には、放電ユニット50の差込接点部52a,52b(後述する、図5を参照)を差込可能な差込開口46a,46bが形成されている。差込開口46a,46bは、それぞれ、仕切り板45の両側部分に形成されている。放電ユニット50が本体取付ユニット30に取り付けられている状態において、放電ユニット50の差込接点部52a,52bは、接点部収容空間S2,S3に位置し、固定接点部47a,47bと接触する接触状態を採る。なお、本実施形態では、差込接点部52a,52bが固定接点部47a,47bと接触する状態において、接点が形成される。すなわち、差込接点部52a,52bの接触状態において、放電部152に電圧が供給されるようになる。なお、差込接点部52a,52bが接触状態を採るとき、差込接点部52a,52bと差込開口46a,46bとの間には、差込時隙間が存在している。
【0045】
取込口43から取り込まれて分流案内部44の上方及び接点部収容空間S2,S3を流れる分流A1は、凹部45a及び差込時隙間を介して放電ユニット収容空間S4へと流れていく。
【0046】
また、本体部41には、放電ユニット50を通過する分流A1を分流路(図示せず)へ導くための分流路導入開口が形成されている(図4では、本体部41の左部に形成される分流路導入開口49のみ示すが、右部にも形成されている)。すなわち、分流路導入開口は、放電ユニット収容空間S4に連通するように形成されている。ここで、分流路とは、活性種供給開口13に連通する空気流路であり、空気清浄ユニット2の両側に形成されている。また、活性種供給開口13とは、メイン空気流Aに、活性種が供給された分流A1を導くための開口である。分流路導入開口及び分流路によって、放電ユニット50を通過する際に活性種が供給された分流A1が、活性種供給開口13へと導かれている。
【0047】
(1−4)放電ユニット50
図5は、放電ユニット50の概略の斜視図である。
【0048】
放電ユニット50は、ストリーマ放電を生起させることにより活性種を生成して、放電ユニット50を通過する分流A1に活性種を供給する。放電ユニット50によって活性種が供給された分流A1は、上述の活性種供給開口13を介してメイン空気流Aに吹き出されて合流する。具体的には、活性種が供給された分流A1は、活性種供給開口13を介して、第2プレフィルタ23を通過する前の空気流に吹き出される。
【0049】
放電ユニット50は、本体取付ユニット30に対して着脱自在であり、放電ユニットケーシング51から構成される。放電ユニットケーシング51は、樹脂から構成された直方体形状の部材であり、放電ユニット収容空間S4に合致する外形を有している。放電ユニットケーシング51は、複数の(ここでは、2つの)部材から構成されている。複数の部材は、ネジ止め等によって接続されており、放電ユニットケーシング51の内部の点検等は、複数の部材を接続するネジを外すことで可能になる。また、放電ユニットケーシング51には、複数の開口51aが形成されている。当該開口51aを介して放電ユニット50に流れる分流A1は、分流路導入開口へと流れる。
【0050】
放電ユニット50は、主として、放電部152を有する。放電部152は、放電ユニットケーシング51に収容されている。すなわち、放電ユニット50は、その内部に、放電部152を収容する放電部収容空間S5を形成している。
【0051】
放電部152は、ストリーマ放電を生起し活性種を生成する主要部であり、放電極152aと、対向極152bとを有する。
【0052】
放電極152aは、金属板155と、放電針156とを有する。
【0053】
金属板155は、略直方形状を有し、放電ユニットケーシング51の背面に略平行となるように取り付けられている。すなわち、金属板155は、幅広で長尺の平面部155dが水平方向(前後方向)を向くように取り付けられている。この金属板155は、複数の(ここでは、2つの)ネジ157,157によってその両端が放電ユニットケーシング51の背面にネジ付けされることによって、放電ユニットケーシング51に取り付けられている。また、金属板155には、放電極152aに電圧を供給するための差込接点部52aが接続されている。差込接点部52aは、放電ユニットケーシング51の外面よりも外方に突出する位置まで延びている。差込接点部52aは、その周りを、空洞を有する第1絶縁部材(図示せず)によって覆われている。
【0054】
また、金属板155には、複数の(ここでは、3つの)切り起こし部155a,155b,155cが形成されている。切り起こし部155a,155b,155cは、平面部155dから前方に向かって(具体的には、対向極152bの水平面に対して鉛直方向に)延びている。
【0055】
放電針156は、放電を行う放電部材である。放電針156は、細径の円柱形状を有し、弾性変形可能な金属部材(具体的には、例えば、タングステン等)から構成される。放電針156は、切り起こし部155a,155b,155cのそれぞれ両側部分から側方に向かって(左右方向に)延びている。放電針156の直径は、0.3mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。また、放電針156の長さは、3.0mm〜3.5mmが好ましい。当該放電針156に電圧が印加されることによって、対向極152bとの間でストリーマ放電が生じるようになっている。
【0056】
対向極152bは、金属板から構成されており、放電極152aよりも大きな略長方形の外形を有する。対向極152bは、放電極152aと離間して配置されるように、且つ、放電極152aに対向するように(具体的には、略平行となるように)、配置される。また、対向極152bは、放電針156とも略平行になるように配置されている。具体的には、対向極152bは、複数の(ここでは、2つの)ネジ158,158によって、その両端が放電ユニットケーシング51の前面にネジ付けされている。また、対向極152bには、対向極152bに電圧を供給するための差込接点部52bが接続されている。差込接点部52bは、放電ユニットケーシング51の外面よりも外方に突出する位置まで延びている。差込接点部52bは、差込接点部52bは、その周りを、空洞を有する第2絶縁部材(図示せず)によって覆われている。
【0057】
なお、放電ユニットケーシング51は、さらに、放電針156を清掃する平板形状の清掃部材153と、清掃部材153を回動するための駆動部材154とを有している。駆動部材154は、駆動ギア154bと駆動ギア154bを駆動させる駆動ギア駆動部材154cとを有している。駆動ギア駆動部材154が駆動されることによって、駆動ギア154bが回動する。そして、駆動ギア154bが回動することによって、駆動軸154aを介して、駆動軸154aの先端に接続される清掃部材153が回動している。清掃部材153の回動により、放電針156に付着した付着物は除去されて清掃される。
【0058】
(2)空気調和機1の動作
ファンモータの駆動によりファン3が回転することによって、上述したメイン空気流Aが生成される。具体的には、まず、空調空間の空気が本体10の吸込口11a,11b及び吸込空間11cを介して本体10内に流入する。そして、吸込口11a,11b及び吸込空間11cを介して本体10内に流入した空気流は、空気清浄ユニット2を通過する際に、比較的大きな塵埃、微細な塵埃、ニオイ等が除去される。ここで、放電ユニット50を通過することによって活性種が供給された分流A1が、第2プレフィルタ23を通過する前の空気流に吹き出されるので、第2プレフィルタ23を通過する空気流は活性種を含んでいる。よって、第2プレフィルタ23よりもメイン空気流下流側に位置するHEPAフィルタ24や脱臭フィルタ25に吸着された塵埃やニオイは、第2プレフィルタ23を通過した空気流に含まれる活性種によって分解される。
【0059】
そして、空気清浄ユニット2で清浄化された空気流は、ファン3の回転軸方向から、ファン吸込口(図示せず)を介して、ファン3に流入する。ファン3に流入した空気流は、上方に方向転換され、ファン導出口(図示せず)を介して吹出口12へと導かれる。吹出口12へと導かれた空気流は、吹出口12を介して上方に吹き出される、すなわち、本体10の外部である空調空間に供給される。なお、当該吹出口12を介して吹き出された空気流(吹出流に相当)の一部は、分流A1として取込口43を介して本体取付ユニット30へと流れ、本体取付ユニット30に取り付けられた放電ユニット50を通過して、活性種供給開口13を介して第2プレフィルタ23を通過する前の空気流に合流する。
【0060】
(3)本体取付ユニット30内における分流A1の流れ
放電ユニット収容空間S4に放電ユニット50が収容されている状態において、空気調和機1の運転は開始される。このとき、放電ユニット50が形成する放電部収容空間S5は、接点部収容空間S2,S3と隣接し、接点部収容空間S2,S3よりも分流A1の下流側に位置することになる。
【0061】
この状態における、本体取付ユニット30内における分流A1の流れについて、以下に、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4及び図5に示す矢印は、分流A1,A1a,A1b,A1c,A1d,A1eの流れを示す。
【0062】
まず、ファン3のファンモータが駆動されることにより、メイン空気流Aが生成される。そして、ファン3の風圧のみによって、吹出口12から吹き出される吹出流の一部が分流A1として取込口43を介して取付ユニット本体40の内部に流入する。分流A1は、分流案内部44の上方において、左右へと流れる分流する分流A1a,A1bと、前方へと流れる分流A1cとに分流する。具体的には、分流A1は、接点部収容空間S2へと流れる分流A1aと、接点部収容空間S3へと流れる分流A1bと、放電ユニット50へと流れる分流A1cとに分流する。接点部収容空間S2,S3へと流れた分流A1a,A1bは、差込接点部52a,52bと差込開口46a,46bとの間にある差込時隙間を介して、前方(すなわち、放電ユニット50側)へと流れる。放電ユニット50へと流れた分流A1cは、差込時隙間を介して前方へと流れる分流A1a,A1bと合流して分流A1となる。そして、放電ユニット50において分流A1a、A1b,A1cが合流した分流A1は、放電ユニット50を構成する放電ユニットケーシング51に形成される複数の開口51aを通りぬけて、再度分流して分流A1d,A1eとして、分流路導入開口へと流れる。そして、分流路導入開口49へと導かれる分流A1d,A1eは,分流路導入開口を介して分流路へと流れる。そして、分流路へと流れた分流A1d、A1eは、分流路に連通する活性種供給開口13を介して第2プレフィルタ23を通過する前の空気流に合流して、メイン空気流Aとなる。
【0063】
なお、本実施形態では、分流A1を分流A1a,A1bとして接点部収容空間S2,S3へと流すことで、放電部収容空間S5の気圧よりも接点部収容空間S2,S3の気圧のほうが高くなるようにしている。
【0064】
(4)特徴
(4−1)
例えば、特許文献1(特開2005−300111号公報)に開示のような放電部で生成される生成物は、酸化力が強い。このため、生成物が接点に触れると接点が腐食することが懸念される。
【0065】
そこで、本実施形態では、空気流(分流A1)が、接点部収容空間S2,S3から放電部収容空間S5へと向かう方向に流れるようにしている。すなわち、接点部収容空間S2,S3が、放電部収容空間S5よりも分流A1の空気流上流側に位置するようにしている。よって、放電部152で生成された生成物(活性種)が接点部収容空間S2,S3へと流れるのを抑制できる。従って、固定接点部47a,47b及び差込接点部52a,52b(接点)の腐食を抑制できる。
【0066】
また、このような簡易な方法で固定接点部47a,47b及び差込接点部52a,52bの腐食を抑制できるので、これらの固定接点部47a,47b及び差込接点部52a,52bを別途の密閉用シール材でシールしたり、耐腐食用のコーティング手段を用いてコーティングしたりするような場合と比べて、低コストである。
【0067】
(4−2)
本実施形態では、接点部収容空間S2,S3は、放電部収容空間S5に隣接している。
【0068】
このように、接点部収容空間S2,S3と放電部収容空間S5とが隣接するような配置関係であっても、空気流は接点部収容空間S2,S3を通って放電部収容空間S5へと流れるので、放電部152で生成された生成物(活性種)が接点部収容空間S2,S3へと流れるのを抑制できる。
【0069】
(4−3)
本実施形態では、差込接点部52a,52bの接触状態において、差込開口46a,46bと差込接点部52a,52bとの間には、差込時隙間が存在する。
【0070】
本実施形態では、差込時隙間のような空気の流通が生じる箇所があったとしても、空気流は接点部収容空間S2,S3を通って放電部収容空間S5へと流れるので、放電部152で生成された生成物(活性種)が接点部収容空間S2,S3へと流れるのを抑制できる。また、別途の部材を用いて、上記のような隙間を密閉しなくてもよいので、コストを抑制できる。
【0071】
(4−4)
本実施形態では、吹出口12から吹き出される空気流(吹出流)の一部が分流A1として、本体取付ユニット30へと流れる。すなわち、接点部収容空間S2,S3へと流れる空気は、本体10の内部にて清浄化された空気である。よって、固定接点部47a,47b及び差込接点部52a,52bやその周辺の塵埃の付着を抑制できる。これにより、トラッキングを抑制できる。
【0072】
(4−5)
また、本実施形態では、接点部収容空間S2,S3の気圧のほうが、放電部収容空間S5の気圧よりも高い。
【0073】
なお、本実施形態では、接点部収容空間S2,S3は、取込口43に連通しており、これにより、接点部収容空間S2,S3へと空気流を流しやすい構成としている。
【0074】
ここでは、接点部収容空間S2,S3の気圧のほうが放電部収容空間S5の気圧よりも高いので、放電部収容空間S5から接点部収容空間S2,S3へと流れる空気流れ(逆流)を抑制できる。よって、固定接点部47a,47b及び差込接点部52a,52bの腐食を抑制できる。
【0075】
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0076】
(5−1)変形例1A
図6は、本変形例1Aに係る本体取付ユニット30の分解斜視図である。
【0077】
上記実施形態以外にも、分流案内部44に、分流形成部材44aを設けてもよい。分流形成部材44aは、平板形状を有し、分流案内部44から上方に延びるように設けられる。分流形成部材44aは、分流A1の流れを規制する機能を有する。よって、このような構成の場合、上記実施形態のように放電ユニット50へと流れる分流A1cを少なくできるので、上記実施形態よりも、多くの空気を接点部収容空間S2、S3へと導くことができる。
【0078】
これにより、上記実施形態よりもさらに、接点部収容空間S2,S3と放電部収容空間S5との気圧差を大きくできる。
【0079】
なお、分流案内部44は、分流形成部材44aと一体成形されているような構成を採ってもよい。
【0080】
(5−2)変形例1B
上記実施形態では、差込接点部52a,52bが差込開口46a、46bに差し込まれて固定接点部47a,47bと接触する接触状態を採ることによって、電気的に接続される接点が形成されるが、これに限られるものではなく、予め、接点部収容空間において放電部152に電圧を供給するための接点(部)が形成されていてもよい。
【0081】
(5−3)変形例1C
上記実施形態では、空気清浄機能を有する床置き型の空気調和機に限って説明したが、これに限られるものではない。例えば、加湿機能や除湿機能をさらに有する空気調和機に適用してもよいし、天井に埋め込まれたり吊り下げられたりする天井取付型の空気調和機や、壁に埋め込まれたり取り付けられたりする壁取付型の空気調和機に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、酸化力の強い生成物が生成される放電を行う種々の空気調和機に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 空気調和機
3 ファン
10 本体
12 吹出口
30 本体取付ユニット
43 取込口
45 仕切り板(仕切り部)
46a 差込開口
46b 差込開口
47a 固定接点部(接点部)
47b 固定接点部(接点部)
50 放電ユニット
52a 差込接点部
52b 差込接点部
152 放電部
152a 放電極
152b 対向極
S2 接点部収容空間
S3 接点部収容空間
S5 放電部収容空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2005−300111号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電極(152a)と前記放電極に対向する対向極(152b)とを含む放電部(152)と、
前記放電部に電圧を供給するための接点部(47a,47b)と、
を備え、
前記接点部が収容される接点部収容空間(S2,S3)と、前記放電部を収容する放電部収容空間(S5)とは、空気流中に配置され、
前記空気流は、前記接点部収容空間から前記放電部収容空間へと向かう方向に流れる、
空気調和機(1)。
【請求項2】
前記接点部収容空間は、前記空気流を取り込むための取込口(43)に連通し、前記放電部収容空間に隣接している、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記接点部収容空間に差込可能で前記接点部と接触する接触状態を採る差込接点部(52a,52b)を有し、前記放電部収容空間を形成する放電ユニット(50)をさらに備え、
前記接点部収容空間と前記放電ユニットとは、前記差込接点部が差込可能な差込開口(46a,46b)が形成される仕切り部(45)によって仕切られ、
前記接触状態において、前記差込接点部と前記差込開口との間には、隙間が存在する、
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
吹出流を生成するファン(3)を収容し、前記吹出流を吹き出す吹出口(12)が形成される本体(10)をさらに備え、
前記空気流は、前記吹出流の一部である、
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記接点部収容空間及び前記取込口が形成され、前記仕切り部が配置され、前記本体に取り付けられ、前記接触状態において前記放電ユニットが取り付けられている本体取付ユニット(30)、をさらに備える、
請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記接点部収容空間の気圧のほうが前記放電部収容空間の気圧よりも高い、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11395(P2013−11395A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144192(P2011−144192)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【特許番号】特許第5051316号(P5051316)
【特許公報発行日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】