説明

空気調和機

【課題】起動時間の短縮化を図ると共に、特別な操作をすることなく、室内機と室外機との間の誤配線の検知、および誤配線の誤判定からの復旧を実現することができる空気調和機を得ること。
【解決手段】室内機1と室外機2との間の配線接続状態を記憶する室内機メモリ部15と、室外機2との通信が正常であるか否かを判定することにより誤配線を検知する誤配線検知処理を実施し、室内機メモリ部15に配線接続状態を記憶させると共に、室外機2への通電開始時において、前回の室外機2への通電開始時における配線接続状態に基づいて、誤配線検知処理要否判定を実施する室内機通信制御部13と、を備え、室外機2への通電開始時に配線接続状態が正常配線である場合には、誤配線検知処理を実施することなく通常制御を実施し、配線接続状態が室内機メモリ部15に記憶されていない場合、または誤配線である場合には、誤配線検知処理を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機と室外機との間の誤配線を検知する誤配線検知処理を実施する技術として、通常運転モードと診断運転モードを切り換えるモード設定切換スイッチを設け、診断運転モード時に診断した結果をメモリしておき、少なくとも初回の通常運転モードでの運転を開始する際に、診断運転が実施されていない場合、および、診断運転モードにおいて異常が検出された場合には、運転を開始しないとした技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、空気調和機の据付後もしくは移設後に、電源投入した後の最初の運転である場合に、誤配線検知処理を実施して、誤配線を検知した際には、作業者に誤配線であることを通知して、電源をリセットするまで運転を行わないとした技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−49001号公報
【特許文献2】特開2000−18686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、配線や各構成部の異常を検出するためには、通常運転モードから診断運転モードに切り換える必要がある。また、特許文献2に記載された技術では、ノイズ等の外乱により誤配線が発生したものとして誤判定した場合でも、電源をリセットするまで運転を開始することができない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特別な操作をすることなく、室内機と室外機との間の誤配線の検知、および誤配線の誤判定からの復旧を実現することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる空気調和機は、商用電源が室内機に供給されて当該室内機から室外機に通電され、前記室内機と前記室外機との間の誤配線を検出する誤配線検知処理を実施可能に構成される空気調和機であって、前記室内機は、運転開始指令および運転停止指令を含む各種指令を受信する受信部と、前記室外機への通電を制御する通電制御部と、前記室外機との間の配線接続状態を記憶する室内機メモリ部と、前記室外機との通信を制御し、前記室外機との通信が正常であるか否かを判定することにより前記誤配線検知処理を実施し、前記室内機メモリ部に前記配線接続状態を記憶させると共に、前記室外機への通電開始時において、前回の前記室外機への通電開始時における前記配線接続状態に基づいて、前記誤配線検知処理の要否を判定する誤配線検知処理要否判定を実施する室内機通信制御部と、を備え、前記室内機通信制御部は、前記室外機への通電開始時において、前記誤配線検知処理要否判定を実施し、前記配線接続状態が正常配線である場合には、前記誤配線検知処理を実施することなく、前記運転開始指令に基づく通常制御を実施し、前記配線接続状態が前記室内機メモリ部に記憶されていない場合、または前記誤配線である場合には、前記誤配線検知処理を実施して、前記配線接続状態が前記正常配線である場合に、前記運転開始指令に基づく通常制御を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特別な操作をすることなく、室内機と室外機との間の誤配線の検知、および誤配線の誤判定からの復旧を実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態にかかる空気調和機の一構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態にかかる空気調和機における室内機と室外機との間の配線接続例を示す図である。
【図3】図3は、商用電源投入後の誤配線検知処理において配線が正常であった場合の処理制御の一例を示す図である。
【図4】図4は、商用電源投入後の誤配線検知処理において誤配線を検知した場合の処理制御の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態にかかる空気調和機における室内機側通電開始時処理フローの一例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態にかかる空気調和機における室外機側受電開始時処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる空気調和機について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる空気調和機の一構成例を示す図である。また、図2は、実施の形態にかかる空気調和機における室内機と室外機との間の配線接続例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、実施の形態にかかる空気調和機は、室内機1と、室外機2、リモコン3とを備え構成されている。
【0013】
また、図2に示すように、実施の形態にかかる空気調和機は、電源線4、電源信号共通線5、および信号線6を含む各配線により室内機と室外機との間が接続されている。これら電源線4、電源信号共通線5、および信号線6のうち、電源信号共通線5は、2極の電源線のうちの1本と、送受信用の2本の信号線のうちの1本とを1本の共通線で接続している。これらの各配線が正しく接続されている場合に、室内機1から室外機2への通電および室内機1と室外機2との間の通信を行うことが出来る。本実施の形態では、室内機1と室外機2との間で正常な通信が行われるか否かを判定することにより、各配線の誤配線を検出する。なお、各配線の構成はこれに限らず、2極の電源線と2本の信号線で構成されていてもよい。
【0014】
室内機1は、リモコン3からの各種指令を受信する受信部11と、室外機2への通電を制御する通電制御部12と、室外機2との通信を制御する室内機通信制御部13と、上述した各配線の誤配線の検出時における室内機1側の異常時処理を行う室内機異常処理部14と、各配線の接続状態を記憶する室内機メモリ部15とを備えている。
【0015】
室外機2は、室内機1からの電力を受電する受電部21と、室内機1との通信を制御する室外機通信制御部22と、上述した各配線の誤配線の検出時における室外機側の異常時処理を行う室外機異常処理部23と、各配線の接続状態を記憶する室外機メモリ部24とを備えている。
【0016】
受信部11は、リモコン3からの運転開始指令を受信して、受信した運転開始指令が正常であるか否かの解析を行い、受信した運転開始指令が正常である場合には、その運転開始指令を通電制御部12および室内機通信制御部13に出力する。また、受信部11は、リモコン3からの運転停止指令を受信して、受信した運転停止指令が正常であるか否かの解析を行い、受信した運転停止指令が正常である場合には、その運転停止指令を通電制御部12および室内機通信制御部13に出力する。
【0017】
通電制御部12は、運転開始指令に基づいて室外機2への通電を開始すると共に、室外機2への通電を開始したことを室内機通信制御部13に出力する。また、通電制御部12は、運転停止指令および室内機異常処理部14から出力される異常停止信号に基づいて室外機2への通電を停止する。
【0018】
室内機通信制御部13は、室外機2との正常な通信が行われるか否かを判定し、正常な通信が行われない場合に、誤配線が発生したことを検知する室内機側誤配線検知処理を実施して、室内機メモリ部15に各配線の接続状態を記憶させると共に、室外機2への通電開始時において、前回の室外機2への通電開始時における各配線の接続状態に基づいて、室内機側誤配線検知処理の要否を判定する室内機側誤配線検知処理要否判定を実施する。また、室内機通信制御部13は、誤配線が発生したことを示す室内機側誤配線情報を室内機異常処理部14に出力する機能を有している。
【0019】
室内機通信制御部13は、室外機2への通電を開始したことを受けて、室内機側誤配線検知処理要否判定を実施する。このとき、室内機メモリ部15に前回の通電開始時の各配線の接続状態が記憶されていない場合、あるいは、前回の通電開始時の室内機側誤配線検知処理において誤配線が発生したことが室内機メモリ部15に記憶されている場合には、室外機2との通信制御を開始し、室内機側誤配線検知処理を実施する。室内機1と室外機2との間で正常な通信が行われた場合には、室内機通信制御部13は、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であることを室内機メモリ部15に記憶すると共に、運転開始指令に基づく通常制御を開始する。また、室内機1と室外機2との間で正常な通信が行われなかった場合には、誤配線が発生したことを室内機メモリ部15に記憶させると共に、誤配線が発生したことを示す室内機側誤配線情報を室内機異常処理部14に出力する。なお、本実施の形態では、前回の通電開始時の室内機側誤配線検知処理において誤配線が発生しなかったことが室内機メモリ部15に記憶されている、つまり、正常配線である場合には、室内機側誤配線検知処理を実施せず、運転開始指令に基づく通常制御を開始する。
【0020】
室内機異常処理部14は、室内機側誤配線情報に応じて、例えば、通電制御部12に対して、室外機2への通電を停止させる室内機異常停止信号を出力する、あるいは、室内機1の各部動作を停止させる室内機異常停止処理を含む室内機側異常時処理を実施する。なお、この室内機異常処理部14による室内機側異常時処理は、例えば、リモコン3に誤配線が発生したことを表示させる等の誤配線報知処理を含んでいてもよい。また、この室内機側異常時処理の具体的な処理内容により本発明が限定されるものではない。
【0021】
受電部21は、室内機1からの電力を受電し、室外機2の各部に電源を供給する電源回路である。
【0022】
室外機通信制御部22は、室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に正常に室内機1との通信が確立するか否かを判定し、室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に正常に室内機1との通信が確立しない場合に、誤配線が発生したことを検知する室外機側誤配線検知処理を実施して、室外機メモリ部24に各配線の接続状態を記憶させると共に、室内機1からの電力の受電開始時において、前回の室内機1からの電力の受電開始時における各配線の接続状態に基づき室外機側誤配線検知処理の要否を判定する室外機側誤配線検知処理要否判定を実施する。また、室外機通信制御部22は、誤配線が発生したことを示す室外機側誤配線情報を室外機異常処理部23に出力する機能を有している。
【0023】
室外機通信制御部22は、受電部21に室内機1からの電力を受電したことを受けて、室外機側誤配線検知処理要否判定を実施する。このとき、室外機メモリ部24に前回の受電開始時の各配線の接続状態が記憶されていない場合、あるいは、前回の受電開始時の室外機側誤配線検知処理において誤配線が発生したことが室外機メモリ部24に記憶されている場合には、室内機1との通信制御を開始し、室外機側誤配線検知処理を実施する。室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に室内機1との通信が確立した場合には、室外機通信制御部22は、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であることを室外機メモリ部24に記憶すると共に、運転開始指令に基づく通常制御を開始する。また、室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に室内機1との通信が確立しない場合には、誤配線が発生したことを室外機メモリ部24に記憶させると共に、誤配線が発生したことを示す室外機側誤配線情報を室外機異常処理部23に出力する。なお、本実施の形態では、前回の受電開始時の室外機側誤配線検知処理において誤配線が発生しなかったことが室外機メモリ部24に記憶されている、つまり、正常配線である場合には、室外機側誤配線検知処理を実施せず、運転開始指令に基づく通常制御を開始する。
【0024】
室外機異常処理部23は、室外機側誤配線情報に応じて、例えば、室外機2の各部動作を停止させる室外機異常停止処理を含む室外機側異常時処理を実施する。なお、この室外機側異常時処理の具体的な処理内容により本発明が限定されるものではない。
【0025】
つぎに、商用電源投入後の室内機側誤配線検知処理および室外機側誤配線検知処理において配線が正常であった場合の処理制御について、図1〜図3を参照して説明する。なお、以下、室内機側誤配線検知処理および室外機側誤配線検知処理を殊更に分けて記載する必要がない場合には、各処理の「室内機側」および「室外機側」の表記を省略して記載する。図3は、商用電源投入後の誤配線検知処理において配線が正常であった場合の処理制御の一例を示す図である。
【0026】
室内機1に商用電源が投入されて室内機1のリセットが解除され、リモコン3から運転開始指令を受信すると、室内機1から室外機2への通電を開始する。このとき、室内機メモリ部15および室外機メモリ部24には、各配線の接続状態が記憶されていないので、室内機1と室外機2との間で誤配線検知処理100aを実施する。
【0027】
誤配線検知処理100aにおいて正常な通信が行われた場合には、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であるものと判定して、室内機メモリ部15および室外機メモリ部24に記憶すると共に、引き続き運転開始指令に基づいて通常制御110aを実施する。
【0028】
その後、リモコン3から運転停止指令を受信すると、室内機1から室外機2への通電を停止する。
【0029】
そして、再びリモコン3から運転開始指令を受信すると、室内機1から室外機2への通電を開始する。このとき、室内機メモリ部15および室外機メモリ部24には、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であることが記憶されているので、誤配線検知処理を実施せず、運転開始指令に基づいて通常制御110bを実施する。
【0030】
つまり、室内機1に商用電源が投入されてから初回の通電開始時および受電開始時における誤配線検知処理100aにおいて正常な通信が行われ、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であるものと判定した場合には、2回目以降の通電開始時および受電開始時には誤配線検知処理を実施しないため、起動時間を短縮することができる。
【0031】
つぎに、商用電源投入後の誤配線検知処理において誤配線を検知した場合の処理制御について、図1〜図4を参照して説明する。図4は、商用電源投入後の誤配線検知処理において誤配線を検知した場合の処理制御の一例を示す図である。図4に示すように、誤配線検知処理100aを実施するまでの処理制御が、図3に示した例と同様である。
【0032】
誤配線検知処理100aにおいて正常な通信が行われなかった場合には、誤配線が発生したものと判定して、誤配線が発生したことを室内機メモリ部15および室外機メモリ部24に記憶すると共に、引き続き異常時処理120aを実施して、室外機2への通電を停止する。
【0033】
そして、再びリモコン3から運転開始指令を受信すると、室内機1から室外機2への通電を開始する。このとき、室内機メモリ部15および室外機メモリ部24には、誤配線が発生したことが記憶されているので、室内機1と室外機2との間で誤配線検知処理100bを実施する。
【0034】
誤配線検知処理100bにおいて正常な通信が行われた場合には、前回起動時の誤配線検知処理100aにおいて正常な通信が行われず、誤配線が発生したものと判定した結果がノイズ等の外乱による誤判定であり、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であるものと判定して、室内機メモリ部15および室外機メモリ部24に記憶すると共に、引き続き運転開始指令に基づいて通常制御110bを実施する。
【0035】
つまり、室内機1に商用電源が投入されてから初回の通電開始時および受電開始時における誤配線検知処理100aにおいて正常な通信が行われず、誤配線が発生したものと判定した場合でも、次回の通電開始時および受電開始時に再度誤配線検知処理100bを実施して、正常な通信が行われた場合には、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であるものと判定して、通常制御110bを実施するため、ノイズ等の外乱により誤配線が発生したものとして誤判定した場合でも、室内機1の電源をリセットすることなく運転を復旧させることができる。
【0036】
つぎに、実施の形態にかかる空気調和機の室外機2への通電開始時における室内機1側の処理について、図1および図5を参照して説明する。図5は、実施の形態にかかる空気調和機における室内機側通電開始時処理フローの一例を示す図である。
【0037】
受信部11は、リモコン3からの運転開始指令を受信すると(ステップST101)、受信した運転開始指令が正常であるか否かの解析を行い、受信した運転開始指令が正常である場合には、その運転開始指令を通電制御部12に出力する(ステップST102)。
【0038】
通電制御部12は、運転開始指令に基づいて室外機2への通電を開始すると共に、室外機2への通電を開始したことを室内機通信制御部13に出力する(ステップST103)。
【0039】
室内機通信制御部13は、室外機2への通電を開始したことを受けて、室内機側誤配線検知処理要否判定を実施する。室内機通信制御部13は、前回の通電開始時における各配線の接続状態が室内機メモリ部15に記憶されているか否かを判定し(ステップST104)、前回の通電開始時における各配線の接続状態が室内機メモリ部15に記憶されている場合には(ステップST104;Yes)、前回の通電開始時に誤配線が発生したか否かをさらに判定する(ステップST105)。
【0040】
前回の通電開始時における各配線の接続状態が室内機メモリ部15に記憶され(ステップST104;Yes)、且つ、前回の通電開始時に誤配線が発生していない場合には(ステップST105;No)、室内機通信制御部13は、室外機2との通信制御を開始して運転開始指令に基づく通常制御を開始し(ステップST107)、室内機側通電開始時処理フローを終了する。
【0041】
前回の通電開始時における各配線の接続状態が室内機メモリ部15に記憶されていない場合(ステップST104;No)、あるいは、前回の通電開始時における各配線の接続状態が室内機メモリ部15に記憶され(ステップST104;Yes)、且つ、前回の通電開始時に誤配線が発生した場合(ステップST105;Yes)には、室内機通信制御部13は、室外機2との通信制御を開始して室内機側誤配線検知処理を実施し、室外機2との通信が正常か否かを判定する(ステップST106)。
【0042】
室外機2との通信が正常である場合には(ステップST106;Yes)、室内機通信制御部13は、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であるものと判定して室内機メモリ部15に記憶させると共に、引き続き運転開始指令に基づく通常制御を開始して(ステップST107)、室内機側通電開始時処理フローを終了する。
【0043】
室外機2との通信が異常である場合には(ステップST106;No)、室内機通信制御部13は、誤配線が発生したものと判定して室内機メモリ部15に記憶させると共に、誤配線が発生したことを示す室内機側誤配線情報を室内機異常処理部14に出力する(ステップST108)。
【0044】
室内機異常処理部14は、室内機側誤配線情報に応じて、室外機2への通電および室内機1の各部動作を停止させる室内機異常停止処理を含む室内機側異常時処理を実施して(ステップST109)、室内機側通電開始時処理フローを終了する。
【0045】
つぎに、実施の形態にかかる空気調和機の室内機1からの受電開始時における室外機2側の処理について、図1および図6を参照して説明する。図6は、実施の形態にかかる空気調和機における室外機側受電開始時処理フローの一例を示す図である。
【0046】
室外機通信制御部22は、室内機1からの電力の受電を開始したことを受けて、室外機側誤配線検知処理要否判定を実施する。室外機通信制御部22は、前回の受電開始時における各配線の接続状態が室外機メモリ部24に記憶されているか否かを判定し(ステップST201)、前回の受電開始時における各配線の接続状態が室外機メモリ部24に記憶されている場合には(ステップST201;Yes)、前回の受電開始時に誤配線が発生したか否かをさらに判定する(ステップST202)。
【0047】
前回の受電開始時における各配線の接続状態が室外機メモリ部24に記憶され(ステップST201;Yes)、且つ、前回の受電開始時に誤配線が発生していない場合には(ステップST202;No)、室外機通信制御部22は、室内機1との通信制御を開始して、運転開始指令に基づく通常制御を開始し(ステップST204)、室外機側受電開始時処理フローを終了する。
【0048】
前回の受電開始時における各配線の接続状態が室外機メモリ部24に記憶されていない場合(ステップST201;No)、あるいは、前回の受電開始時における各配線の接続状態が室外機メモリ部24に記憶され(ステップST201;Yes)、且つ、前回の受電開始時に誤配線が発生した場合(ステップST202;Yes)には、室外機通信制御部22は、室内機1との通信制御を開始して室外機側誤配線検知処理を実施し、室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に室内機1との通信が確立するか否かを判定する(ステップST203)。
【0049】
室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に室内機1との通信が確立した場合には(ステップST203;Yes)、室外機通信制御部22は、各配線が正しく接続されている、つまり、正常配線であるものと判定して室外機メモリ部24に記憶させると共に、引き続き運転開始指令に基づく通常制御を開始して(ステップST204)、室外機側受電開始時処理フローを終了する。
【0050】
室内機1からの電力の受電開始時から所定時間以内に室内機1との通信が確立しない場合には(ステップST203;No)、室外機通信制御部22は、誤配線が発生したものと判定して室外機メモリ部24に記憶させると共に、誤配線が発生したことを示す室外機側誤配線情報を室外機異常処理部23に出力する(ステップST205)。
【0051】
室外機異常処理部23は、室外機側誤配線情報に応じて、室外機2の各部動作を停止させる室外機異常停止処理を含む室外機側異常時処理を実施して(ステップST206)、室外機側受電開始時処理フローを終了する。
【0052】
以上説明したように、実施の形態の空気調和機によれば、運転開始指令を受信して室外機への通電(室内機からの電力の受電)を開始した際に、誤配線検知処理が未実施である場合には、誤配線検知処理を実施するようにしたので、診断運転モードに切り換える等の特別な操作をすることなく、室内機に商用電源が投入されてから初回の室外機への通電開始時において、確実に誤配線検知処理を実施することができる。
【0053】
また、運転開始指令を受信して室外機への通電(室内機からの電力の受電)を開始した際に、前回の誤配線検知処理において誤配線を検知していた場合には、誤配線検知処理を実施し、このときに誤配線を検知しない場合には、前回の誤配線検知処理における誤配線判定が誤判定であるものとして、運転開始指令に基づく通常制御を開始するようにしたので、電源をリセットする等の特別な操作をすることなく、誤配線の誤判定から復旧することができる。
【0054】
また、運転開始指令を受信して室外機への通電(室内機からの電力の受電)を開始した際に、前回の誤配線検知処理において誤配線を検知していない場合には、誤配線検知処理を実施することなく、運転開始指令に基づく通常制御を開始するようにしたので、室内機に商用電源が投入されてから誤配線検知処理において配線が正常であると判定された以降の起動時間を短縮化することができる。
【0055】
また、誤配線検知処理を実施した際に、誤配線を検知した場合には、室外機への通電を停止させる、室内機の各部動作を停止させる、あるいは、室外機の各部動作を停止させる等の異常時処理を行うことができる。
【0056】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1 室内機
2 室外機
3 リモコン
4 電源線
5 電源信号共通線
6 信号線
11 受信部
12 通電制御部
13 室内機通信制御部
14 室内機異常処理部
15 室内機メモリ部
21 受電部
22 室外機通信制御部
23 室外機異常処理部
24 室外機メモリ部
100a,100b 誤配線検知処理
110a,110b 通常制御
120a 異常時処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源が室内機に供給されて当該室内機から室外機に通電され、前記室内機と前記室外機との間の誤配線を検出する誤配線検知処理を実施可能に構成される空気調和機であって、
前記室内機は、
運転開始指令および運転停止指令を含む各種指令を受信する受信部と、
前記室外機への通電を制御する通電制御部と、
前記室外機との間の配線接続状態を記憶する室内機メモリ部と、
前記室外機との通信を制御し、前記室外機との通信が正常であるか否かを判定することにより前記誤配線検知処理を実施し、前記室内機メモリ部に前記配線接続状態を記憶させると共に、前記室外機への通電開始時において、前回の前記室外機への通電開始時における前記配線接続状態に基づいて、前記誤配線検知処理の要否を判定する誤配線検知処理要否判定を実施する室内機通信制御部と、
を備え、
前記室内機通信制御部は、
前記室外機への通電開始時において、前記誤配線検知処理要否判定を実施し、前記配線接続状態が正常配線である場合には、前記誤配線検知処理を実施することなく、前記運転開始指令に基づく通常制御を実施し、前記配線接続状態が前記室内機メモリ部に記憶されていない場合、または前記誤配線である場合には、前記誤配線検知処理を実施して、前記配線接続状態が前記正常配線である場合に、前記運転開始指令に基づく通常制御を実施する
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記室内機通信制御部は、前記誤配線検知処理において、前記室外機との通信が正常に行われない場合に、前記誤配線が発生したものと判定することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記室内機は、
前記誤配線が発生したことを示す誤配線情報に基づいて、前記室外機への通電および前記室内機の動作を停止させる室内機異常停止処理を含む室内機側異常時処理を行う室内機異常処理部をさらに備え、
前記室内機通信制御部は、
前記誤配線検知処理において前記誤配線を検知した場合に、前記誤配線情報を前記室内機異常処理部に出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記室外機は、
前記室内機からの電力を受電する受電部と、
前記配線接続状態を記憶する室外機メモリ部と、
前記室内機との通信を制御し、前記室内機からの電力の受電開始時から所定時間以内に前記室内機との通信が確立するか否かを判定することにより前記誤配線検知処理を実施して、前記室外機メモリ部に前記配線接続状態を記憶させると共に、前記室内機からの電力の受電開始時において、前回の前記室内機からの電力の受電開始時における前記配線接続状態に基づき前記誤配線検知処理の要否を判定する誤配線検知処理要否判定を実施する室外機通信制御部と、
を備え、
前記室外機通信制御部は、
前記室内機からの電力の受電開始時において、前記誤配線検知処理要否判定を実施し、前記配線接続状態が正常配線である場合には、前記誤配線検知処理を実施することなく、前記運転開始指令に基づく通常制御を実施し、前記配線接続状態が前記室内機メモリ部に記憶されていない場合、または前記誤配線である場合には、前記誤配線検知処理を実施して、前記配線接続状態が前記正常配線である場合に、前記運転開始指令に基づく通常制御を実施する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記室外機通信制御部は、前記誤配線検知処理において、前記室内機からの電力の受電開始時から所定時間以内に前記室内機との通信が確立しない場合に、前記誤配線が発生したものと判定することを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記室外機は、
前記誤配線が発生したことを示す誤配線情報に基づいて、前記室外機の動作を停止させる室外機異常停止処理を含む室外機側異常時処理を行う室外機異常処理部をさらに備え、
前記室外機通信制御部は、
前記誤配線検知処理において前記誤配線を検知した場合に、前記誤配線情報を前記室外機異常処理部に出力する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96680(P2013−96680A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242616(P2011−242616)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】