空気調和装置の室内機及びその制御方法
【課題】空気調和装置の室内機の開閉パネルの動きによって使用者に与える不快感を低減する。
【解決手段】制御部50は、受信部15から風量設定変更の指示を通知されたときに、昇降装置40に対して出力すべき開閉パネル4の開度を変更する開度変更指令をパネル開閉遅延部50aによって遅延させる。この開度変更指令は、具体的には、開閉パネル4を吊っているワイヤ41を駆動する昇降モータ46に対して制御部50から出力されるパルス信号である。制御部50は、開度変更指令を遅延させることによって生じさせた待機時間内においては設定風量を確定することを避け、逐一開度変更の指令に従って開度を変更するような制御を行わない。
【解決手段】制御部50は、受信部15から風量設定変更の指示を通知されたときに、昇降装置40に対して出力すべき開閉パネル4の開度を変更する開度変更指令をパネル開閉遅延部50aによって遅延させる。この開度変更指令は、具体的には、開閉パネル4を吊っているワイヤ41を駆動する昇降モータ46に対して制御部50から出力されるパルス信号である。制御部50は、開度変更指令を遅延させることによって生じさせた待機時間内においては設定風量を確定することを避け、逐一開度変更の指令に従って開度を変更するような制御を行わない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室内機及びその制御方法に関し、特に、空気の吸込口に開閉パネルを有する空気調和装置の室内機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室内機には、ケーシングに設けられた吸込口を覆う開閉パネルを備えるものがある。この開閉パネルは、空気調和装置の室内機の運転停止時には、吸込口を覆うことにより、吸込口を外部から隠蔽し、空気調和装置の室内機の意匠性を向上させる。
【0003】
室内機の運転時には、吸込口を開放するように開閉パネルが移動することによって、空気の吸い込みに必要な開口が確保される。ところで、空気調和装置の室内機においては、風量を調整できるようにしたものがある。また、通常の冷房・暖房運転モード(以下通常モードという)の他に、室内を急速に冷房または暖房する運転モード(以下パワフルモードという)や睡眠時に運転音が抑制される運転モード(以下静粛モードという)が設けられている空気調和装置がある。このような空気調和装置の室内機においては、運転時の開閉パネルの開度を、風量や運転モードに応じて調整するものがある(特許文献1(特開2006−52936号公報)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような風量や運転モードに応じて開閉パネルの開度を調整する空気調和装置の室内機においては、風量の切り替えに応じて、また運転モードの切り替えに応じて、開度を調整するために開閉パネルが動くことになる。特に、風量の切り替えでは、使用者が適切な風量を決めかねて何度も切り替えたり、風量を切り替えるためのボタン操作の誤りから風量を何度も変更する操作をしたりする場合がある。従来の室内機では使用者のボタン操作に早く応答するため、誤って行った操作や迷って指示した操作に対して操作の都度開閉パネルが追随して動くと、使用者が不快感を覚えることがある。
【0005】
本発明の課題は、空気調和装置の室内機の開閉パネルの動きによって使用者に与える不快感を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る空気調和装置の室内機は、ファンと、開閉パネルと、制御部とを備える。ファンは、設定風量に応じて回転数の変更が可能なものである。開閉パネルは、設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能なものである。制御部は、設定風量を示す風量設定情報を受信し、ファンに対して回転数の変更を指示でき、開閉パネルに対して開度の変更を指示できる。そして、制御部は、風量設定情報を受信してから開閉パネルの開度変更が開始されるまでの時間を長くするため、開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅延させるパネル開閉遅延部を有する。
【0007】
本発明によれば、開閉パネルの開閉動作のタイミングが早過ぎて不具合が発生する場合には、制御部がパネル開閉遅延部により、開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅延させる。それにより、開閉パネルの開閉動作のタイミングを不具合が発生しない時期に合致するように調節することができる。
【0008】
第2発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明の空気調和装置の室内機であって、制御部は、風量設定情報を受信してからファンの回転数変更が開始されるまでの時間を長くするため、ファンの回転数変更動作のタイミングを遅延させるファン回転数変更遅延部をさらに有する。そして、制御部では、ファン回転数変更遅延部とパネル開閉遅延部とにより、回転数変更の遅延と開度変更の遅延との関係が調整されている。
【0009】
本発明によれば、制御部において、ファン回転数変更遅延部とパネル開閉遅延部の両方でタイミングを調整することで、ファンの回転数変更動作のタイミングと開閉パネルの開閉動作のタイミングとを種々に設定することができる。例えば、開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅らせながら、開閉動作のタイミングを回転数変更動作よりも前に設定することができ、同時のタイミングに設定することができ、また開閉動作のタイミングを回転数変更動作のタイミングよりも後に設定することができる。
【0010】
第3発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明または第2発明の空気調和装置の室内機であって、制御部は、風量設定情報を受信してから設定風量を確定するまでの間の待機時間を、パネル開閉遅延部によって生じさせる。そして、制御部は、待機時間内には開閉パネルの開閉動作を行わせず、確定した設定風量について待機時間後に開閉動作を行わせるように制御する。
【0011】
本発明によれば、制御部は、待機時間内に風量設定情報を受信しても、開閉パネルに開閉動作を行わせない。そのため、待機時間内に複数回に渡って風量設定情報が受信された場合に、待機時間内に受信した風量設定情報が開閉パネルの開閉動作を指示するものであっても、確定された風量設定情報以外の風量設定情報は無効になる。それにより、不要な開閉パネルの開閉動作を省くことができる。
【0012】
第4発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明から第3発明のいずれかの空気調和装置の室内機であって、制御部は、ファンの風量が所定風量以上になる前に開閉パネルの開度が所定開度以上になるよう、パネル開閉遅延部による遅延が調整されている。
【0013】
本発明によれば、ファンの風量が所定風量以上になったときに開閉パネルの開度が所定開度より小さければ、サージングが発生する場合に、所定風量以上になる前に所定開度以上になるように制御部は調整されている。それにより、サージングが発生しないように、制御部によりパネル開閉遅延部による遅延を制御することができる。
【0014】
第5発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明から第4発明のいずれか空気調和装置の室内機であって、制御部は、ファンの風量が所定風量以下になった後に開閉パネルの開度が所定開度以下になるよう、パネル開閉遅延部による遅延が調整されている。
【0015】
本発明によれば、ファンの風量が所定風量以上になったときに開閉パネルの開度が所定開度より小さければ、サージングが発生する場合に、所定風量以下になった後に所定開度以下になるように制御部は調整されている。それにより、サージングが発生しないように、制御部によりパネル開閉遅延部に遅延を制御することができる。
【0016】
第6発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明から第3発明のいずれかの空気調和装置の室内機であって、制御部は、ファンの回転数変更動作のタイミングよりも開閉パネルの開度変更動作のタイミングを遅くするように制御する。
【0017】
本発明によれば、開閉パネルの開度を変更する開度変更動作のタイミングを、ファンの回転数を変更する回転数変更動作のタイミングよりも遅らせることによって、開度変更に対応するか否かの判断を行える猶予ができ、開度設定変更の伴う風量設定変更の指示の都度開閉パネルの開度変更を行わなくてもよくなる。一方、ファンの回転数変更は開閉パネルの開度変更ほどには遅延されないので、ファンの風量変更を早く行わせることができる。
【0018】
第7発明に係る空気調和装置の室内機は、第3発明の空気調和装置の室内機であって、制御部は、待機時間内であってもファンに対して回転数変更の指示を行う。
【0019】
本発明によれば、開閉パネルの開度を変更しない場合であってもファンの回転数を変更するので、待機時間において、ファンの風量が変更されるまでの時間が遅くなるのを防止することができる。
【0020】
第8発明に係る空気調和装置の室内機の制御方法は、設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能な開閉パネルと、開閉パネルを制御する制御部とを備える空気調和装置の室内機におけるものである。この空気調和装置の室内機の制御方法は、第1の風量設定情報を制御部で受信する第1工程と、制御部が第1工程から所定時間だけ開閉パネルの開度を変更する開度変更指令の出力を遅延させる第2工程と、所定時間の間に第1の風量設定情報と異なる開度を要求する第2の風量設定情報が制御部で受信されたときに、第1の風量設定情報にともなう開度変更指令の出力を行わずに、第1の風量設定情報に応じた開度変更指令の内容を第2の風量設定情報に応じた内容に変換して第1工程に戻る第3工程とを備えている。
【0021】
本発明によれば、開度変更指令の出力を遅延させることで、立て続けに風量設定情報を受信したときに、最後の開度変更指令が有効になり、開閉パネルの開度変更を、開度変更指令を要求する風量設定変更の指示の都度行わなくてもよくなる。
【発明の効果】
【0022】
第1発明に係る空気調和装置の室内機では、パネル開閉遅延部により開閉動作のタイミングの遅延を調整することで、開閉パネルの応答が早過ぎるときに発生する不具合による使用者の不快感を低減することができる。
【0023】
第2発明に係る空気調和装置の室内機では、タイミング調整のバリエーションが増えて、不具合の発生を防ぐためのタイミング調整が容易になり、使用者の不快感を低減させ易くなる。
【0024】
第3発明に係る空気調和装置の室内機では、待機時間内の開閉パネルの開閉動作が省かれ、不要な開閉パネルの開閉動作を使用者が不快に感じる場面が減少する。
【0025】
第4発明に係る空気調和装置の室内機では、ファンの回転数を上げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネルの開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。
【0026】
第5発明に係る空気調和装置の室内機では、ファンの回転数を下げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネルの開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。
【0027】
第6発明に係る空気調和装置の室内機では、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示の都度開度変更を行わなくてもよくなって、開閉パネルの不要な開度変更が減る一方、ファンの風量変更の遅延を少なくすることができ、使用者に与える不快感が緩和される。
【0028】
第7発明に係る空気調和装置の室内機では、待機時間において、ファンの風量が変更されるまでの時間が遅くなるのを防止でき、使用者に与える不快感が緩和される。
【0029】
第8発明に係る空気調和装置の室内機の制御方法では、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示の都度開閉パネルの開度調整を行わなくてもよくなるため、使用者に与える不快感を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の室内機の外観を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線で切断した室内機の断面図。
【図3】(a)運転停止時の空気調和装置の側面図。(b)運転時の空気調和装置の側面図。(c)運転時の空気調和装置の側面図。
【図4】開閉パネルが吸込口を開いた状態の斜視図。
【図5】昇降装置内部の部品の配置を示す図。
【図6】ロック装置の斜視図。
【図7】第1実施形態に係る室内機の制御系統の要部の概略を示すブロック図。
【図8】図7のブラシ清掃機構の一部を示す平面図。
【図9】(a)風量ボタンによる切り替えの概念を示す概念図。(b)風量設定と設定開度の関係を示す図。
【図10】(a)回転数変更指令の一例を示すタイミングチャート。(b)従来の開度変更指令の一例を示すタイミングチャート。(c)第1実施形態の開度変更指令の一例を示すタイミングチャート。
【図11】第1実施形態の制御部による風量制御を説明するためのフローチャート。
【図12】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図13】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図14】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図15】第2実施形態に係る室内機の制御系統の要部の概略を示すブロック図。
【図16】第2実施形態の制御部による風量制御を説明するためのフローチャート。
【図17】(a)風量設定信号の一例を示すタイミングチャート。(b)第2実施形態の回転数変更指令の一例を示すタイミングチャート。(c)第2実施形態の開度変更指令の一例を示すタイミングチャート。
【図18】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図19】第3実施形態に係る室内機の制御系統の要部の概略を示すブロック図。
【図20】第3実施形態の制御部による風量制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
<空気調和装置の構成の概要>
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の室内機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、空気調和装置の室内機1は、ケーシング2に化粧パネル3を備えて構成されている。この空気調和装置の室内機1は、天井設置型であって、化粧パネル3が室内(下方)に向けて取り付けられ、ケーシング2のうち化粧パネル3の上方の部分が天井に埋め込まれる。化粧パネル3には、吸込口5と吹出口13とが設けられている。吸込口5には、開閉パネル4が設けられ、吹出口13には、風向調節羽根12が設けられている。また、化粧パネル3の室内側の下面には、リモートコントローラ60(図8参照)から送られてくる制御信号を受信するための受信部15が取り付けられている。受信部15がリモートコントローラ60から受信する制御信号には、運転の開始・停止、運転モードの切り替え、設定温度や風量や風向の調節などの指示が含まれる。
【0032】
図2は、図1におけるA−A線で切断した室内機の断面図である。また、図3(a)は運転停止時の室内機の側面図、図3(b)は運転時において開閉パネルの開度が小さいときの室内機の側面図、図3(c)は運転時において開閉パネルの開度が大きいときの室内機の側面図である。
【0033】
空気調和装置の室内機1の運転時には、図3(b)や図3(c)に示すように、開閉パネル4が開き、吸込口5から室内の空気を取り込む。吸込口5から吸い込まれた空気は、エアフィルタ6を通過して吸込み流路7に吸込まれる。このとき、室内の空気に含まれている塵埃がエアフィルタ6で取り除かれる。なお、図3(b)に示す場合よりも図3(c)に示す場合の方が風量は多い。風量の変化に適切に対応するため、開閉パネル4は、開度αと開度βの2段階の開度調整ができるよう回動可能に構成されている。
【0034】
吸込み流路7から熱交換器8にクロスフローファン9によって導かれた空気は、熱交換器8で加熱または冷却される。熱交換器8によって調和された空気は、クロスフローファン9によって吹出し流路10に送り込まれる。クロスフローファン9によって吹出し流路10に送り込まれた空気は、さらに、風向調節羽根11,12を通って適切な向きに向けられ、吹出口13から室内に吹き出される。なお、クロスフローファン9は、後述する制御部からの指令に従って風量を変更することが可能な構成とするためモータドライブ回路を備えている。
【0035】
熱交換器8で空気が調和される際に発生する結露水は、熱交換器8を伝ってドレンパン14で受け止められる。そのため、ドレンパン14は、熱交換器8の下方に配置され、結露水が直接落下する可能性のある範囲の全域を占めている。
【0036】
エアフィルタ6で取り除いた塵埃は、室内の空気がエアフィルタ6を通過すればするほどエアフィルタ6に蓄積して行く。そのため、定期的にエアフィルタ6の清掃がフィルタ清掃機構20によって行われる。フィルタ清掃機構20は、エアフィルタ6を収納するエアフィルタ収納部21と、エアフィルタ6を清掃するためのブラシ27と、掻き落とされた塵埃を溜めるために開閉パネル4に設けられたダストボックス29とを備えている。吸込口5からダストボックス29へ向って来る空気を滑らかにエアフィルタ6へ導くために、吸込空気が直接当たるダストボックス29の面29aは傾斜し、空気抵抗を低減している。
【0037】
<開閉パネルの開閉機構>
図4は、開閉パネルが吸込口を開いた状態の斜視図である。図4に示すように、化粧パネル3の面上には平面視長方形状の吸込口5があり、この吸込口5の2つの長辺5a,5bのうち吹出口13に近い長辺5aに2つのヒンジ30が設けられている。これらヒンジ30は、開閉パネル4の長辺のうち吹出口13に近い方の長辺4aを回動可能に掛止する。
【0038】
吸込口5の長辺5aよりも吸込口5の長辺5b側へ近い化粧パネル3の面上には、ロック装置31が設けられている。ロック装置31は、図3及び図4に示すように、可動体32と、化粧パネル3の面上に設置された収納部33と、開閉パネル4の上に設けられた保持部34とからなる。この保持部34の開口に可動体32を挿入することにより、開閉パネル4が吸込口5を閉じたままの状態を保持することができる。そのため、化粧パネル3に設けられた開口部37から保持部34がケーシング2の内側に貫入してその開口を覗かせる。開閉パネル4がヒンジ30を支点に回動することができる状態にするには、可動体32が収納部33に収納されることで、可動体32が保持部34の開口から引き抜かれる。
【0039】
開閉パネル4の回動のために必要な駆動力は、昇降装置40からワイヤ41を介して開閉パネル4に与えられる。化粧パネル3を平面視したときに開閉パネル4の短辺に近い開閉パネル4の上方に当たる化粧パネル3の面上に、昇降装置40が2箇所配置されている。
【0040】
また、化粧パネル3の面上の吸込口5の長辺5b近傍には、開閉パネル4の収納を検知するリミットスイッチ38が設けられている。このリミットスイッチ38は、後述する制御部にワイヤハーネスで接続されており、開閉パネル4が収納されているか否かを示す信号を制御部に送信する。
【0041】
<昇降装置>
図5は、化粧パネルに2台設けられている昇降装置のうち1台の内部の部品の配置図である。昇降装置40は、ワイヤ41、滑車42、ボビン43、巻取り歯車44、駆動歯車45、昇降モータ46、スイッチ47及びケース48を有している。
【0042】
滑車42は、滑車部42aとカム部42bとが一体になって構成されている。滑車部42aは、ワイヤ41を支え、ワイヤ41の移動に伴って回転する。カム部42bは、小径曲面と大径曲面とそれら両曲面を結ぶ平面とから成る。ボビン43は、ワイヤ41を巻取る。巻取り歯車44は、ボビン43と同軸で連結され一体的に回転する。駆動歯車45は、巻取り歯車44と噛み合いボビン43を回転させる。昇降モータ46は、ステッピングモータであり、駆動歯車45を回転させる。
【0043】
スイッチ47は、レバー47aを有するマイクロスイッチであり、レバー47aが押されることによってオンする。レバー47aは、常に滑車42のカム部42bと接触しており、カム部42bの大径曲面と対峙したときに押される。スイッチ47も、後述する制御部とワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0044】
図5において、昇降装置40がワイヤ41を繰り出す場合、昇降モータ46は駆動歯車45をCCW方向へ回転させ、巻取り歯車44をCW方向へ回転させる。これによって、ボビン43がワイヤ41を繰り出す方向に回転する。一方、昇降装置40がワイヤ41を巻き取る場合、昇降モータ46は駆動歯車45をCW方向へ回転させ、巻取り歯車44をCCW方向へ回転させる。これによって、ボビン43がワイヤ41を巻き取る方向に回転する。
【0045】
昇降モータ46の回転数は、後述する制御部から供給されるパルス信号のパルス数によって制御される。ワイヤの繰り出し量および巻き取り量は、昇降モータ46の回転量に比例しており、制御部が、昇降モータ46へ供給するパルス信号のパルス数を制御することによって、ワイヤ41の繰り出し量および巻き取り量が制御される。
【0046】
ワイヤ41の先端には開閉パネル4が連結されるため、ワイヤ41には常に張力が発生しており、ワイヤ41が繰り出されるとき、又はワイヤ41が巻き取られるとき、滑車部42aがワイヤ41との摩擦力によって回転する。このとき、カム部42bも回転するので、スイッチ47は、レバー47aがカム部42bの大径曲面と対峙したときにオン信号を発し、レバー47aが小径曲面と対峙したときにはオフ信号を発する。滑車42が回転している間は、オン信号とオフ信号が交互に発生し、これらの信号は、すべて制御部に入力される。
【0047】
しかし、何らかの要因でワイヤ41が弛み張力がなくなった場合、ワイヤ41と滑車部42aとの摩擦力が減退し滑車42が停止する。つまり、昇降モータ46が回転しているときにスイッチ47からオン信号又はオフ信号のいずれか一方が連続的に出力されると、制御部では、開閉パネル4が何らかの障害物によって停止したと推定し、直ちに昇降モータ46を停止させる。
【0048】
<ロック装置>
図6は、ロック装置の斜視図である。図6に示すように、ロック装置31は、可動体32、収納部33、保持部34、モータ35及びスプリング36を備えている。可動体32は、保持部34の側に傾斜面を持つ四角柱形状を成し、上側面には所定のギアと噛み合うラックギア32aが形成され、ラックギア32aの下方には中空部32bが形成されている。可動体32の中空部32bの中には、スプリング36が嵌め込まれている。
【0049】
収納部33は、上面と一側面とが開放された直方体形状の筐体である。収納部33の底面に案内溝33aが形成されており、可動体32がその案内溝33aに沿って水平移動する。収納部33の側面には貫通口33bが形成され、保持部34に向けて可動体32が貫通口33bを貫通している。案内溝33aの壁には、案内溝33aと直交する方向に突出する板状突起33cが形成されている。
【0050】
また、収納部33の壁には、モータ35が固定され、モータ35の回転軸に連結されたピニオンギア35aが回転可能に支持されている。ピニオンギア35aは、可動体32のラックギア32aと噛み合っている。このピニオンギア35aをCCW方向へ回転させたとき、可動体32は案内溝33aの中を摺動して収納部33に収納される。それにより、可動体32は保持部34の開口34aから引き抜かれる。このとき、可動体32の中空部32bの側面と板状突起33cとの距離が短くなるので、スプリング36は圧縮され反発力を蓄える。モータ35は、電力が供給されている間、スプリング36の増加する反発力に抗して回転するが、電力が供給されなくなったとき、スプリング36の反発力によって逆回転し、可動体32は元の位置へ復帰する。そのため、モータ35に電力が供給されないときは可動体32は保持部34の開口34aに嵌った状態を保つ。
【0051】
開閉パネル4が降下せず保持部34が移動していないとき、可動体32は保持部34の開口34aに入っている。一方、開閉パネル4が降下して保持部34が移動しているとき、可動体32は保持部34が復帰する軌道上で待機する。そして、開閉パネル4が上昇して吸込口5を閉じたとき、保持部34は、曲面を可動体32の傾斜面に当てて、可動体32を押しのけて復帰する。保持部34に押された可動体32は、水平移動しスプリング36を圧縮する。保持部34が完全に復帰したとき、可動体32は、スプリング36の反発力で、保持部34の開口34aを貫通する。その結果、可動体32が開閉パネル4の降下を妨げることになる。
【0052】
<制御部>
図7に示す制御部50は、CPU、メモリ及びタイマーなどを搭載している。制御部50は、受信部15がリモートコントローラ60(図8参照)から受信した空調運転の開始指示や室内機1の各所に設置されたセンサーやスイッチから受信する信号等に基づいて、冷房運転や暖房運転等の運転制御、クロスフローファン9の回転駆動制御、開閉パネル4の回動制御、フィルタ清掃機構20の制御及びロック装置31の制御等を行う。そのために制御部50は種々のセンサーやスイッチや機器などと接続されている。
【0053】
図7に示すように、制御部50は、クロスフローファン9、受信部15、リミットスイッチ38、昇降装置40の昇降モータ46とスイッチ47、及びロック装置31のモータ35などにワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0054】
室内機1の運転停止状態において、受信部15がリモートコントローラ60から運転を開始する指示を受信すると、受信部15から制御部50に対して運転指示があったことが通知される。制御部50は、運転を開始するためにクロスフローファン9のモータドライブ回路に対して、リモートコントローラ60が指示する風量で運転するように指令を与える。このとき、制御部50は、開閉パネル4が収納されていることを示す検知信号をリミットスイッチ38から受けているので、開閉パネル4のロックを解除するためロック装置31に対してモータ35を駆動させる制御を行う。また、モータ35により可動体32が移動してロックが解除された状態で、リモートコントローラ60が指示する風量に対応する開度になるように開閉パネル4を回動させるため、制御部50は、昇降装置40に対して昇降モータ46を駆動させるパルス信号を出力する。昇降モータ46がパルスモータであるから、制御部50からのパルス信号に応じた長さだけ昇降装置40はワイヤ41を繰り出すことができる。以上の制御により、リモートコントローラ60から指示のあった風量に対応したクロスフローファン9の出力と開閉パネル4の開度をともなった室内機1の運転を開始することができる。
【0055】
制御部50は、受信部15より設定風量についての通知があってから開閉パネル4の開度変更が開始されるまでの時間を長くするため、開閉パネル4の開閉動作のタイミングを遅延させるパネル開閉遅延部50aを備えている。
【0056】
運転状態にある室内機1において、運転を停止する指示がリモートコントローラ60から受信部15で受信されると、受信部15から制御部50に運転停止の指示があったことが通知される。通知を受けた制御部50からクロスフローファン9に対して出力を停止するよう指令が出される。同時に、開閉パネル4を閉めるため、昇降装置40に対してもワイヤ41を繰り入れるよう昇降モータ46のパルス信号を制御部50が出力する。制御部50の指示に従って昇降装置40が開閉パネル4を閉じると、ロック装置31は、圧縮されたスプリング36の反発力を使って、可動体32を保持部34に挿入してロックを行う。開閉パネル4が閉じたことはリミットスイッチ38で検知され、制御部50に対してリミットスイッチ38から開閉パネル4の収納完了を示す信号が出力される。
【0057】
<風量制御>
次に、室内機1が運転状態になっているときに、リモートコントローラ60から風量の変更が指示された場合について説明する。通常モードにおいて、図8に示すリモートコントローラ60の風量ボタン61が押されると、風量変更の指示がリモートコントローラ60から受信部15に送信される。風量ボタン61の押下げ操作と風量指示及び開閉パネル設定開度との関係を図9に示す。図9(a)は、風量ボタン61を1回押すごとに、「Sタップ」から、「Lタップ」、「MLタップ」、「Mタップ」、「MHタップ」を経て、「Hタップ」に順に切り替わり、さらに風量ボタン61を1回押すと、「Hタップ」から「Sタップ」に切り替わることを示している。このように、風量ボタン61を押す操作によって、風量の少ない出力の低い方(「Sタップ」)から風量の多い出力の高い方(「Hタップ」)に向けて、順次切り替わるため、一度押すのを誤ると、また「Hタップ」から「Sタップ」に戻して最初から選択の動作を行わなければならない。なお、当然、風量の多いときはクロスフローファン9の回転数が高く、風量の少ないときはクロスフローファン9の回転数が低い。
【0058】
ところで、急速に冷房や暖房を行って環境温度を変化させたい状況を想定して、パワフルモードが用意されている。パワフルモードにするには、例えば、メニューボタン62でメニューを表示画面63に表示させて、モードの選択を行う。また、パワフルモードを選択するボタンが用意されているリモートコントローラでは、その「パワフル」のボタンを押すだけでパワフルモードにすることができる。
【0059】
この風量設定と開閉パネル4の開度との関係を図9(b)に示す。「パワフル」と「Hタップ」では多量の空気を送る必要があるため、開度を大きくする必要がある(図3(c)参照)。一方、それ以外の「Sタップ」〜「MHタップ」では開度が小さくてもよい(図3(b)参照)。従って、この様な設定では、「MHタップ」から「Hタップ」に切り替えたときに、開閉パネル4の開度を「小」から「大」にするようパルス信号(以下開度変更指令という)を制御部50から昇降装置40に出力する必要が生じる。また、「Hタップ」から「Sタップ」に切り替わるときも、開度を「大」から「小」に切り替えるよう開度変更指令を制御部50から昇降装置40に出力する必要が生じる。そのため従来は、風量ボタン61の操作で「MHタップ」から「Hタップ」になったときに、開閉パネル4を大きく開くよう制御部50から開度変更指令が出力され、次に風量ボタン61の操作で「Hタップ」から「Sタップ」になったときに、開閉パネル4を小さく開くよう制御部50から開度変更指令が出力されるなど、開度変更指令が都度出力されていた。
【0060】
例えば、「Sタップ」から「Hタップ」に風量を変更したかったが、ボタン操作を2回誤って「Hタップ」→「Sタップ」を2回繰り返してしまった場合を考える。この場合、図10(a)に示すように、風量ボタン61の押し下げに応じて制御部50からクロスフローファン9に対して回転数を変更するための指令(以下回転数変更指令という)が出力される。その回転数変更指令の出力に応じて、ファン出力が順次切り替わる。
【0061】
従来は、図10(b)に示すように、風量ボタン61を押して「MHタップ」から「Hタップ」に切り替わったときに、「小」から「大」に開度を切り替えるため制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令が出力される。この開度変更指令に応じて開閉パネル4が大きく開くように動く。続けて、風量ボタン61を押して「Hタップ」から「Sタップ」に切り替わったときに、「大」から「小」に開度を切り替えるため制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令が出力される。この開度変更指令に応じて開閉パネル4が開度を小さくするように動く。なお、実際のクロスフローファン9や開閉パネル4の動きは、動作遅延があるため、図10に示す指令のための信号の変化よりも少し遅れる。
【0062】
それに対し、本実施形態の室内機1では、風量制御における開度制御について、図11に示すようなフローに従って制御を行っている。そのため、不要な開閉パネル4の開度変更指令が省かれる。図10(a)と図10(b)を用いて説明した上述の風量設定の切り替えの例において、図11のフローチャートに示す制御を行った場合の制御部50からの開度変更指令を図10(c)に示す。
【0063】
図11のステップS1では、リモートコントローラ60から風量設定が指示されたときに、その指示を受信した受信部15から制御部50が通知を受ける。このとき、制御部50は、クロスフローファン9に対しては、風量設定の変更に対応した出力に変更するよう、つまり回転数を変更するように回転数変更指令を出力する。
【0064】
リモートコントローラ60からの受信があると、ステップS2に進み、制御部50は、現在の風量に対して風量変更を行った時に開度も同時に変更する必要があるか否かを判断する。例えば、現在の風量が「Mタップ」であって風量設定変更の指示が「MHタップ」であれば、現在開度=設定開度であるから、開閉パネル4の開度変更は必要ない。従って、ステップS2において開度を風量と同時に変更する必要がないと判断される。その場合は、制御部50が昇降装置40に対して開度変更指令を出力することなく前のステップS1に戻り、風量設定変更の指示の受信を待つ。
【0065】
ステップS2において、現在開度≠設定開度であれば、次のステップS3に進む。現在開度≠設定開度にあてはまる場合は、例えば、上述の例では、現在の風量が「MHタップ」であって風量設定変更の指示が「Hタップ」や、現在の風量が「Hタップ」であって風量設定変更の指示が「Sタップ」の場合である。例えば前者の場合、制御部50は、クロスフローファン9に対して、風量を上げるよう出力を「MH」から「H」に変更する回転数変更指令を出力する。一方、制御部50は、開度を「小」から「大」へ変更する開度変更指令を昇降装置40に対して出力する必要を認めるが、出力をパネル開閉遅延部50aにより所定時間遅らせる。例えば、図10の例の場合、リモートコントローラ60の風量ボタン61を押すことによって0.5秒ごとに受信部15が指示を受信し、制御部50から昇降装置40に開度変更指令を出力する時間を2秒遅らせている。この遅延時間を、図10(c)においては、符号DTで示した矢印で表している。
【0066】
ステップS3では、制御部50は、出力を所定時間遅らせるため、パネル開閉遅延部50aのタイマーをスタートさせる。
【0067】
ステップS4では、制御部50からの開度変更指令を保留したまま、次の風量設定変更の指示を待つ。そして、出力をパネル開閉遅延部50aにより遅延している時間(待機時間)内に、次の風量設定変更の指示を受けると、ステップS5において、設定開度変更指示があったか否かを制御部50で判断する。設定開度の変更を必要とする風量設定変更の指示であったときは、制御部50からクロスフローファン9に対して風量を変更するよう回転数変更指令を出力する。しかし、このときは制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令を出力することなく(ステップS6)、ステップS3に戻る。ここで、開度変更を行わないため、現在開度は前の開度のままである。例えば、風量ボタン61で「MHタップ」から「Hタップ」に切り替わってから0.5秒後にさらに風量ボタン61が押され「Sタップ」に切り替わった場合、遅延時間DTの2秒の間に開度変更指令を必要とする風量設定変更の指示があったので、この場合には、開閉パネル4の開度を「Hタップ」の前の「MHタップ」の開度である「小」に維持する。
【0068】
ステップS5で設定開度変更の指示がない時は、当然制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令は出力されず、制御部50からクロスフローファン9に対して回転数変更指令のみが出力される。そして、ステップS7に進み、制御部50のタイマーが所定時間を経過しているか否かの判断を行う。タイマーが所定時間、例えば図10の例では2秒を経過していない場合は、ステップS4に戻り、新たな風量設定変更の指示を待つ。タイマーが所定時間を経過した場合はステップS8に進む。
【0069】
ステップS8では、ステップS5で設定開度変更の指示があったと判断された風量設定変更があれば、その最後の設定開度変更の指示に対応する開度に設定する変更を行うため、制御部50が昇降装置40に対して開度変更指令を出力する(ステップS9)。この時点では、クロスフローファン9に対する制御部50からの回転数変更指令は出力されているので、制御部50からクロスフローファン9に対する出力はない。また、ステップS5において一度も設定開度変更指示があったと判断されなかったときは、ステップS2で最初に設定開度が現在開度と異なると判断された開度への変更を行う(ステップS9)。
【0070】
<第2実施形態>
第1実施形態の空気調和装置の室内機1は、制御部50にパネル開閉遅延部50aを有している。そして、リモートコントローラ60から設定すべき風量の指示を受信してから開閉パネル4の開度変更動作が行われるまでの時間を、パネル開閉遅延部50aのタイマーで設定された時間だけ長くなるようにしている。
【0071】
第2実施形態の空気調和装置の室内機は、図12に示すように、制御部50Aに、パネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cを有している。第1実施形態の空気調和装置の室内機1と第2実施形態の空気調和装置の室内機との構成上の相違は、これら制御部50のパネル開閉遅延部50aと、制御部50Aのパネル開閉遅延部50b及びファン回転数変更遅延部50cとの違いだけである。従って、構成上相違しない部分については説明を省略し、以下の説明では構成が同じ部分について第2実施形態でも第1実施形態と同一の符号を用いる。
【0072】
第2実施形態の空気調和装置の室内機では、パネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cにより、風量設定の指示をリモートコントローラ60から受信してから開閉パネル4が開閉動作を行うタイミングと、風量設定の指示をリモートコントローラ60から受信してからクロスフローファン9が回転数変更動作を行うタイミングとを種々に設定することができる。そのため、これらのタイミングの設定によっては、サージングなどの不具合が発生する場合がある。
【0073】
サージングが発生するときのパネル開度とファン風量との関係を図13と図14を用いて説明する。サージングが発生するパネル開度とファン風量との関係は、機種などによって区々であるから、ここでは説明を簡単にするためにファン風量の最大と最小とサージングが発生するファン風量fsとを示している。ここでは、ファン風量fsのときに、開閉パネル4が開度大と開度小の中間よりも多く開いていないとサージングが発生するものを例に挙げて説明する。
【0074】
図13は、リモートコントローラ60から風量設定の指示を受信した時刻t10から開閉パネル4が開き始める時刻t11よりもクロスフローファン9の風量が増加し始める(回転数が増え始める)時刻t12が遅くなる場合を示している。この室内機では、パネル開度が小さい状態と大きい状態の間を変化するのに要する時間(時刻t11から時刻t12、時刻t15から時刻t17)が、ファン風量が小さい状態と大きい状態の間を変換に要する時間(時刻t12から時刻t13、時刻t17から時刻t19)よりも小さいものとする。また、時刻t10からt11までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t14に対して開閉パネル4が閉じ始める時刻t15が遅延する。また、時刻t10からt12までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t14に対してクロスフローファン9の風量が減少し始める(回転数が減り始める)時刻t17が遅延する。
【0075】
図13に示すように、開閉パネル4のパネル開度について大きい状態から小さい状態への変更動作のタイミングが、クロスフローファン9のファン風量について大きい状態から小さい状態への変更動作のタイミングよりも遅れると、時刻t16から時刻t18にサージングが発生する。つまり、時刻t16においては、開閉パネル4のパネル開度が大きい状態と小さい状態の中間程度まで閉じてきているのに対し、クロスフローファン9のファン風量が大きい状態を維持しており、サージングが発生する条件を満たしている。そして、時刻t18では、パネル開度が小さい状態になっているのに、回転数が風量fsを発生させるものであるためサージングが発生している。しかし、時刻t18よりも時間が経過すると、さらに回転数が減少して風量がfsよりも小さくなるためサージングの発生が止む。
【0076】
図14は、リモートコントローラ60から風量設定の指示を受信した時刻t20から開閉パネル4が開き始める時刻t23よりもクロスフローファン9の風量が増加し始める(回転数が増え始める)時刻t21が早い場合を示している。ここでは、パネル開度が小さい状態と大きい状態の間を変化するのに要する時間(時刻t23から時刻t25、時刻t28から時刻t29)が、ファン風量が小さい状態と大きい状態の間を変換に要する時間(時刻t21から時刻t23、時刻t27から時刻t28)よりも小さい場合を例に挙げている。また、時刻t20からt23までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t26に対して開閉パネル4が閉じ始める時刻t28が遅延する。また、時刻t20からt21までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t26に対してクロスフローファン9の風量が減少し始める(回転数が減り始める)時刻t27が遅延する。
【0077】
図14に示すように、開閉パネル4のパネル開度について小さい状態から大きい状態への変更動作のタイミングが、クロスフローファン9のファン風量について小さい状態から大きい状態への変更動作のタイミングよりも早いと、時刻t22から時刻t24にサージングが発生する。つまり、時刻t22においては、開閉パネル4のパネル開度が小さい状態であるのに対し、クロスフローファン9のファン風量が風量fsまで大きくなってきており、サージングが発生する条件を満たす。そして、時刻t24では、パネル開度が小さい状態と大きい状態の中間になっていて、風量が大きい状態であるためサージングが発生している。しかし、時刻t24よりも時間が経過すると、さらにパネル開度が増加して中間程度よりも大きくなってサージングの発生が止む。
【0078】
以上のようなサージングの発生を防止するために、例えば図15のように、パネル開度の変更動作のタイミングとファン風量の変更動作(回転数変更動作)のタイミングが調整される。すなわち、時刻t30と時刻t35にリモートコントローラ60から風量設定の指示を受信してから、時刻t31と時刻t36までパネル開度の変更動作とファン風量の変更動作が遅延され、パネル開度の変更動作とファン風量の変更動作が同時に始まるように設定されている。
【0079】
図15に示すように設定されている場合、サージングが発生する条件や変更動作に要する時間などが図13や図14と同様であるとして以下の説明を行う。時刻t31から開閉パネル4が開き始めると同時に、クロスフローファン9の回転数が増加し始めるが、まず、開閉パネル4が時刻t32にパネル開度が大きい状態に達する。そのため、ファン風量が風量fsを超えたとき(時刻t33)には、既に開閉パネル4の開度が大きい状態になっているため、サージングは発生しない。そして、サージングが発生しないまま時刻t34に達して、ファン風量が大きい状態になる。
【0080】
一方、時刻t35に風量を小さくするような風量設定の指示をリモートコントローラ60から受信した場合には、時刻t36からパネル開度の変更動作とファン風量の変更動作が始まる。両方の変更動作が始まった時刻t36の時点では、パネル開度が大きい状態のためサージングは発生せず、時刻t37まではパネル開度が大きい状態と小さい状態の中間よりも大きいためサージングの発生はない。この時刻t37を超えると、今度は、ファン風量が風量fsよりも小さくなるためサージングは発生しない。そして、サージングが発生しないまま時刻t38に達して、パネル開度が小さい状態になり、さらに時間が経過すると時刻t39においてファン風量が小さい状態になる。
【0081】
図15に示されるような遅延を生じさせる、図12のパネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cとにより行われる制御について、図16及び図17を用いて説明する。図16は、制御部50Aによる風量制御を説明するためのフローチャートである。また、図17(a)は、風量設定信号の一例を示すタイミングチャート、図17(b)は回転数変更指令の一例を示すタイミングチャート、そして図17(c)は第2実施形態の開度変更指令の一例を示すタイミングチャートである。
【0082】
図17(a)に示すように、第1実施形態と同様、リモートコントローラ60の風量ボタン61が押下げられると、図9(a)を用いて説明した「Sタップ」から「Hタップ」まで順に風量設定が増加し、「Hタップ」から「Sタップ」に戻るというサイクリックな設定に従って、リモートコントローラ60から指示される設定風量が変化する。
【0083】
このような条件下でリモートコントローラ60の風量ボタン61が押されると、風量設定の指示を受信した受信部15から制御部50Aが通知を受ける。このとき、制御部50Aは、パネル開閉遅延部50b及びファン回転数変更遅延部50cに対して、風量設定の変更に対応した出力に変更するよう、設定風量の変更指令を出力する(ステップS11)。
【0084】
このとき、パネル開閉遅延部50bからファン回転数変更遅延部50cには、ファン回転数変更指令が出力されないよう、出力禁止信号が出力されている。そして、パネル開閉遅延部50bでは、設定風量の変更指令が入力されると、パネル開閉動作のタイミングと回転数変更動作のタイミングを遅延させるため、タイマーがスタートする(ステップS12)。
【0085】
ステップS13からステップS15は、ループを構成しており、パネル開閉遅延部50bにおいて、タイマーが設定時間以上になるのを待って、つまりステップS15でタイマー時間が設定時間以上になっていると判断されると、次のステップS16に進む。すなわち、ステップS13からステップS15のループを廻ることにより、待機時間を生じさせている。この待機時間内に、新たな風量設定の指令が入力されると(ステップS13),ステップS14で風量設定の変更があったと判断されて、ステップS12に戻る。そして、タイマーを再びスタート(リセット)して、ステップS13からステップS15の処理を行う。これにより、待機時間が延びることになり、その延びた待機時間が経過するまでは、設定風量は確定されない。
【0086】
ステップS15からステップS16に進み、設定風量が確定されると、パネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cからほぼ同時に回転数変更指令と開度変更指令が出力できるように、パネル開閉遅延部50bからファン回転数変更遅延部50cに出力されている出力禁止信号が出力許可信号に変わる。
【0087】
ステップS17では、最終的に確定された設定風量に対応する回転数変更指令がファン回転数変更遅延部50cから出力され、それと同時に開度変更指令がパネル開閉遅延部50bから出力される。
【0088】
以上説明したパネル開閉遅延部50bは、例えば、タイマーと、風量設定指令および開度変更指令を記憶する開度変更指令記憶部と、ステップS15の判断を行うタイマー時間判断部と、ステップS14の判断を行う設定風量変更判断部と、出力禁止・出力許可信号出力部とを備えて構成することができる。また、ファン回転数変更遅延部50cは、回転数変更指令を記憶する回転数変更指令記憶部と、回転数変更指令出力部とを備えて構成することができる。開度変更指令記憶部と回転数変更指令記憶部では、待機時間内に新たな変更指令があると、その変更指令に書き換える。この開度変更指令記憶部と回転数変更指令記憶部の変更指令の書換により、待機時間内に何度も変更指令があったときに最終的に必要な変更指令だけを残して不要な変更指令を省くことができる。回転数変更指令出力部は、パネル開閉遅延部50bの出力禁止・出力許可信号出力部から出力許可信号が入力したタイミングで回転数変更指令記憶部から最後に記憶した回転数変更指令を出力させる。
【0089】
<第3実施形態>
上記第2実施形態では、パネル開閉遅延部50bおよびファン回転数変更遅延部50cでファン風量を増加させるときも、ファン風量を減少させるときも同じ遅延時間を生じさせ、同じタイミングで開閉パネル4の開度変更動作とクロスフローファン9の回転数変更動作を始めさせている。
【0090】
しかし、室内機1の構成によっては、同じタイミングで動作を開始させることでサージングが発生しないとは限らない。例えば、図18に示すように、開閉パネル4の開閉を比較的緩やかに行う構成にする場合、開度変更の完了に要する時間と回転数変更の完了に要する時間の関係によっては、回転数変更動作と開度変更動作を同時に始めたのではサージングが発生することもある。
【0091】
そのようなときには、開度変更動作の開始のタイミングと回転数変更動作の開始のタイミングとを調整することでサージングの発生を防止することができる場合がある。また、風量が増加するときと減少するときで、開始のタイミングの遅延時間を異ならせることもできる。
【0092】
図18には、風量が増加するときには回転数変更動作の開始のタイミングをより多く遅延させ、風量が減少するときには開度変更動作の開始のタイミングをより多く遅延させている。すなわち、時刻t40に風量を増加させるような風量設定指令が入力されてから、先に時刻t41で開閉パネル4の開度変更の動作が始まり、次いで時刻t42にクロスフローファン9の回転数変更の動作が始まる。それにより、クロスフローファン9の回転数が増加してサージングが発生する風量fsに達する時刻t44の前(時刻t43)に、パネル開度が大きい状態に達しており、サージングの発生が防がれる。その後、時刻t45にファン風量が大きい状態に達する。ここでは、開度変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t41からt44までの時間)よりも、回転数変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t42からt45までの時間)の方が短い例を示している。
【0093】
一方、時刻t46に風量を減少させるような風量設定指令が入力されてから、先に時刻t47でクロスフローファン9の回転数変更の動作が始まり、追って時刻t49に開閉パネル4の開度変更の動作が始まる。それにより、クロスフローファン9の回転数が減少してサージングが発生する風量fsよりも風量が少なくなる時刻t48の後(時刻t49)に、パネル開度が小さくなり始めており、サージングの発生が防がれる。その後、時刻t50にファン風量が小さい状態に達し、次いで時刻t51にパネル開度が小さい状態に達する。ここでは、開度変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t49からt51までの時間)よりも、回転数変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t47からt50までの時間)の方が短い例を示している。なお、これらのような遅延時間の調整が必要になるのは、変更動作に要する時間だけに起因するものではなく、サージングの発生する風量が比較的小さい場合など、他の要因が原因になって引き起こされる場合もある。
【0094】
第3実施形態の空気調和装置の室内機も、第2実施形態の空気調和装置の室内機と同様に、図19に示す制御部50Bに、パネル開閉遅延部50dとファン回転数変更遅延部50cを有している。第3実施形態の空気調和装置の室内機と第1実施形態の空気調和装置の室内機との構成上の相違は、制御部50Bのパネル開閉遅延部50dの違いだけである。従って、構成上相違しない部分については説明を省略し、以下の説明では構成が同じ部分について第3実施形態でも第1実施形態と同一の符号を用いる。
【0095】
パネル開閉遅延部50dもパネル開閉遅延部50bと同様に、待機時間を生じさせるためのタイマーとして、第1タイマーを備えている。この第1タイマー以外に、パネル開閉遅延部50dは、パネル開閉遅延部50dにおける遅延時間とファン回転数変更遅延部50eにおける遅延時間との調整を行うための第2タイマーを備えている。そして、パネル開閉遅延部50dの出力禁止・出力許可信号出力部は、ファン風量が増加する設定変更であるか、減少する設定変更であるかを判別して、第2タイマーの設定を行う機能を有する。パネル開閉遅延部50dの他の構成は、パネル開閉遅延部50bと同様である。
【0096】
図18に示されるような遅延を生じさせる、図19のパネル開閉遅延部50dとファン回転数変更遅延部50cとにより行われる制御について、図20を用いて説明する。図20は、制御部50Aによる風量制御を説明するためのフローチャートである。
【0097】
図20のフローチャートにおいて、ステップS11〜ステップS16までは、第2実施形態の図16に示したフローと同様である。第2実施形態と同様の条件の下、リモートコントローラ60の風量ボタン61が押されると、風量設定の指示を受信した受信部15から制御部50Aが通知を受ける。
【0098】
受信部15からの通知を受けた制御部50Aは、パネル開閉遅延部50d及びファン回転数変更遅延部50cに対して、風量設定の変更に対応した出力に変更するよう、設定風量の変更指令を出力する(ステップS11)。パネル開閉遅延部50dの開度変更指令記憶部及びファン回転数変更遅延部50cの回転数変更指令記憶部は、風量設定の変更指令に対応した開度変更指令及びファン回転数変更指令をそれぞれ記憶する。なお、開閉パネル4の開度変更については、変更の要不要が設定風量変更判断部で判断されて開度変更が必要なときだけ、開度変更指令の書換が行われる。このとき、パネル開閉遅延部50dからファン回転数変更遅延部50cには、ファン回転数変更指令が出力されないよう、出力禁止・出力許可信号出力部により出力禁止信号が出力されている。
【0099】
次に、パネル開閉遅延部50dでは、設定風量の変更指令が入力されると、パネル開閉動作のタイミングと回転数変更動作のタイミングを遅延させるため、第1タイマーがスタートする(ステップS12)。
【0100】
ステップS13からステップS15は、ループを構成しており、パネル開閉遅延部50dにおいて、第1タイマーが設定時間以上になるのを待って、つまり、ステップS15でタイマー時間が設定時間以上になっていると判断されると、次のステップS16に進む。すなわち、ステップS13からステップS15のループを廻ることにより、待機時間を生じさせている。
【0101】
この待機時間内に、新たな風量設定の指令が入力されると(ステップS13),ステップS14で風量設定の変更があったと判断されて、ステップS12に戻る。そして、タイマーを再びスタート(リセット)して、ステップS13からステップS15の処理を行う。ステップS14では風量設定が変更されたか否かの判断がパネル開閉遅延部50dの設定風量変更判断部で行われる。風量設定が変更されたときは、設定風量変更判断部が第1タイマーをリセットして、風量設定変更の指示の受信待ちにする。
【0102】
ステップS15では、パネル開閉遅延部50dのタイマー時間判断部により第1タイマーが設定時間以上か否かの判断が行われる。これにより、待機時間が延びることになり、その延びた待機時間が経過するまでは、設定風量は確定されない。風量設定が変更されないときは、設定風量変更判断部が第1タイマーの監視をタイマー時間判断部に行わせている。なお、パネル開閉遅延部50bのタイマーは、パネル開閉遅延部50dの第1タイマーに相当する。
【0103】
ステップS15からステップS16に進み、ステップS16において設定風量が確定すると、ステップS17に進み、パネル開閉遅延部50dの出力禁止・出力許可信号出力部が、確定した設定風量について、ファン風量が増加する設定風量か否かの判断を行う。
【0104】
確定した設定風量がファン風量を増加するようなものである場合には、出力禁止・出力許可信号出力部においてその判断が行われ、ステップS18に進む。ステップS18では、開閉パネル4を開き始める動作のタイミングよりもクロスフローファン9の回転数を上げ始める動作のタイミングを遅くする。そのため、出力禁止・出力許可信号出力部は、第2タイマーにより出力許可信号を出力するタイミングを遅らせる。
【0105】
ステップS20では、確定した設定風量に対応するパネル開度及びファン回転数への変更を行うため、回転数変更指令と開度変更指令が出力される。リモートコントローラ60の風量ボタン61が押されるタイミング(時刻t40)からステップS11〜S16の処理を行う間だけ第1タイマーによって待機時間が生じ、時刻t41に開度変更指令が出力される。それに続いて、第2タイマーの遅延時間をさらに加え、時刻t42に回転数変更指令が出力される。
【0106】
一方、確定した設定風量がファン風量を減少させるようなものである場合には、出力禁止・出力許可信号出力部においてその判断が行われ、ステップS19に進む。ステップS19では、開閉パネル4を閉じ始める動作のタイミングよりもクロスフローファン9の回転数を下げ始める動作のタイミングを早くする。そのため、出力禁止・出力許可信号出力部は、第2タイマーにより開度変更指令を出力するタイミングを遅らせる。このとき、出力禁止・出力許可信号出力部は、第2タイマーにより出力許可信号を出力するタイミングを遅らせるが、開度変更指令の出力タイミングよりは前に出力許可信号を出力する。
【0107】
ステップS20では、確定した設定風量に対応するパネル開度及びファン回転数への変更を行うため、回転数変更指令と開度変更指令が出力される。リモートコントローラ60の風量ボタン61が押されるタイミング(時刻t46)からステップS11〜S16の処理を行う間だけ第1タイマーによって待機時間が生じ、さらに第2タイマーの遅延時間を加えて時刻t48に開度変更指令が出力される。その前に、第2タイマーによる遅延が少ない出力許可信号の出力タイミングに応じて、時刻t47に回転数変更指令が出力される。
【0108】
<変形例>
(a)
上記各実施形態では、室内機が天井設置型のものについて説明したが、室内機のタイプは天井設置型のものには限られず、例えば壁に設置するタイプのものにも適用できる。
【0109】
(b)
なお、上記各実施形態では、開度の切り替えが2段階のものについて説明したが、2段階よりも多いタイプの室内機についても適用できる。
【0110】
(c)
上記各実施形態では、パネル開閉遅延部50a,50b,50dのタイマーで制御部50,50A,50Bからの指令を遅延させる場合について説明したが、遅延させるのはタイマーによる指令の遅延だけに限られず、昇降装置40で動作を遅延させて、所定時間内に複数指令があったときに最後のものを有効とするような構成としてもよい。また、制御部50は指令を遅延させたりキャンセルしたりするために、クロスフローファン9や昇降装置40以外の別の機器に指令を遅延させたり行わせないようにする制御をしてもよい。このような場合も、制御部50,50b,50dがクロスフローファン9や昇降装置40に対して指令を遅延させあるいはキャンセルする態様に含まれる。
【0111】
(d)
上記各実施形態では、タイマーで制御部50からの指令を遅延させて開閉パネル4の開閉回数を減らす場合について説明したが、例えば、「MHタップ」、「Hタップ」、「Sタップ」の風量ボタン61が所定時間内に押されたときに、リモートコントローラ60または昇降装置40などで開度を大きくする指令の一部を省くようにして、短期間に開度を変更する指示が重ねて出たときに開閉パネル4の開閉回数を減らしてもよい。
【0112】
(e)
なお、パワフルモードのときは、予め定められた時間が経過すると、パワフルモードを自動的に解消して風量を減少させる。このときも、図11に示した制御を行ってもよいが、パワフルモードから普通モードへの切り替えは自動的に行われるので、使用者が操作を誤ったりすることがないため図11の制御を行わない構成としてもよい。
【0113】
(f)
また、上記各実施形態では静粛モードについて説明しなかったが、静粛モードのときにさらに開閉パネル4の開度を小さくする機能を設けてもよく、そのような場合に本発明を適用することは可能である。
【0114】
(g)
なお、上記各実施形態では、パネル開閉遅延部50b,50dにタイマーあるいは第1タイマー及び第2タイマーを設ける場合について説明した。しかし、タイマーあるいは第1タイマー及び第2タイマーをファン回転数変更遅延部50cに設け、また出力禁止・出力許可信号出力部をファン回転数変更遅延部50cに設けて、ファン回転数変更遅延部50cによりパネル開閉遅延部50b,50dから出力される開度変更指令の出力の禁止と許可を制御してもよい。また、パネル開閉遅延部50b,50dとファン回転数変更遅延部50cとでタイマーなどを共有するようにしてもよい。
【0115】
なお、パネル開閉遅延部50b,50dにおいては、マイクロコンピュータのタイマーや定期的に発生するイベントをカウントするプログラムを遅延時間の設定に用いることができる。このように、パネル開閉遅延部50b,50dで発生させる遅延は、制御部内の信号処理で自然に生じる信号遅延とは区別されるものである。
【0116】
<特徴>
(a)
以上説明したように、クロスフローファン9(ファン)は、設定風量に応じて回転数の変更が可能なものである。開閉パネル4は、設定風量に応じて吸込口5の開度の変更が可能なものである。リモートコントローラ60の制御信号に含まれる風量を指示する情報(風量設定情報)が、受信部15を介して制御部50,50A,50Bで受信される。つまり、受信部15で制御信号を受信し、制御部50,50A,50Bが受信部15から風量を指示する制御信号の受信の通知を受ける。この通知を受けた時点が制御部50,50A,50Bが風量設定情報を受信した時点になる。
【0117】
制御部50,50A,50Bは、クロスフローファン9に対して、回転数変更指令によって回転数の変更を指示でき、開閉パネル4に対して開度変更指令によって開度の変更を指示できる。制御部50,50A,50Bのパネル開閉遅延部50a,50b,50dは、開度変更指令を遅延させることによって、開閉パネル4の開閉動作のタイミングを遅延させることができる例を開示している。しかし、制御部50,50A,50Bのパネル開閉遅延部50a,50b,50dは、室内機に内蔵される場合に限られず、例えば室内機の外部制御手段であるリモートコントローラ60に設けることもできる。
【0118】
例えば、図10(b)や図13や図14で説明したように、開閉パネル4の開閉動作のタイミングが早過ぎて不具合が発生する場合には、制御部50,50A,50Bがパネル開閉遅延部50a,50b,50dにより、開閉パネル4の開閉動作のタイミングを遅延させる。
【0119】
図10や図15や図18に示す場合には、制御部50,50A,50Bは、受信部15より風量設定の指示の通知を受けて(風量設定情報を受信して)から設定風量を確定するまでの間の待機時間(DT、t30からt31、t40からt41)を、パネル開閉遅延部50a,50b,50dによって生じさせる。待機時間内に複数回に渡って受信部15から制御部50,50A,50Bが風量を設定する通知を受けた場合に、待機時間内に受信した風量設定情報が開閉パネル4の開閉動作を指示するものであっても、確定された風量設定情報以外の風量設定情報は無効になる。制御部50は、図10に示すように、待機時間内には開閉パネル4の開閉動作を行わせず、開度変更指令が小→大→小という一連の不要な指令を2回省略して、確定した設定風量について待機時間後(3回の遅延時間DTの延長後)に開閉動作を行わせるように制御している。誤ったり迷ったりしてリモートコントローラ60を操作し、何度も風量ボタン61を押して複数回に渡って開度の変更を指示したと考えられる条件のときに、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示に都度応答しなくても済む。それにより、開閉パネル4の不要な開度変更の回数を減らすことができる。図10に示す例では4回開閉パネル4が動くのを省くことができ、使用者に与える不快感を緩和することができる。
【0120】
図15や図18に示す時刻t30からt31の間の待機時間や時刻t40からt41の間の待機時間においてもこのような変更指令の省略が行われている。それにより、待機時間(t30からt31、t40からt41)における開閉パネル4の開閉動作が省かれ、不要な開閉パネル4の開閉動作を使用者が不快に感じる場面が減少する。
【0121】
(b)
制御部50は、図11に示したように、開閉パネル4の開度を変更する開度変更指令を、クロスフローファン9の回転数を変更する回転数変更指令よりも遅らせ、開度変更を回転数変更よりも遅らせる。それにより、次に受ける開度変更が必要な風量設定変更の指示がその遅延時間内にあった時は、前の開度変更が必要な風量設定変更の指示については対応しないという判断を行え、開閉パネル4の開度変更を、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示をリモートコントローラ60から受ける都度行わなくてもよくなる。一方、クロスフローファン9の回転数変更指令は遅延されないので、回転数変更は遅延されず、クロスフローファン9による風量変更が遅延することはない。それにより、開閉パネル4の不要な開度変更が減り、使用者に与える不快感が緩和される。
【0122】
(c)
図11のフローチャートを用いて説明したように、リモートコントローラ60から続けて開度変更が必要な風量設定変更指示つまり風量ボタン61が複数回押されたときに、制御部50のタイマー機能を用いて簡単に開閉パネル4の開閉を行うか否かの条件を設定できる。使用者の不快感に与える影響に、時間のファクターが密接に関係する。つまり短い間隔で開閉パネル4が上下動を繰り返すと不快感を覚える場合が多いが、比較的長い間隔を置いて開閉パネル4が上下に動いても使用者が不快に感じることが少ない。このように、タイマーの時間設定により使用者の不快と感じる短い間隔での上下動を省くことで、使用者の不快感を緩和し易くなる。
【0123】
(d)
図11のフローチャートでは、前回の設定開度変更が必要な風量設定変更の指示から制御部50のタイマーで計測している所定時間内にテップS5の判断が行われる。ステップS3からステップS7のタイマーがスタートしてから所定時間が経過するまでは、設定開度変更を伴う風量設定変更をリモートコントローラ60から受信部15が受信しても、制御部50は開度設定変更指令の出力を直ちに行わずに遅延させる(第2工程)。そして、ステップS5からステップS6に分かれる処理で、タイマーで設定された所定時間の間に前回の設定開度変更要求と異なる設定開度変更要求(第1の風量設定変更指示と異なる開度を要求する第2の風量設定変更指示)があったときに、前回の設定開度変更(第1の風量設定変更指示にともなう開度変更)の指令の出力を行わない。それにより、設定開度変更を伴う風量設定変更の指示の都度開閉パネル4の開度調整を行わなくてもよくなるため、使用者に与える不快感を緩和することができる。
【0124】
(e)
制御部50A,50Bは、受信部15より風量設定の指示の通知を受けて(風量設定情報を受信して)からファンの回転数変更が開始されるまでの時間を長くするため、ファンの回転数変更動作のタイミングを遅延させるファン回転数変更遅延部50cを有する。制御部50A,50Bでは、ファン回転数変更遅延部50cとパネル開閉遅延部50b,50dとにより、回転数変更の遅延と開度変更の遅延との関係を調整することができる。つまり、開閉パネル4の開度が変化し始めるタイミングとクロスフローファン9の回転数が変化し始めるタイミングとを調整して、同時に行わせる場合(図15の時刻t31,t35のタイミングの関係)、開度が変化し始めるタイミングを先行させる場合(図18の時刻t41と時刻t42のタイミングの関係)、及び開度が変化し始めるタイミングを遅らせる場合(図18の時刻t47と時刻t49のタイミングの関係)がある。このように、制御部50A,50Bにおいて、ファン回転数変更遅延部50cとパネル開閉遅延部50b,50dの両方でタイミングを調整することで、クロスフローファン9の回転数変更動作のタイミングと開閉パネル4の開閉動作のタイミングとを種々に設定することができる。それにより、タイミング調整のバリエーションが増えて、不具合の発生を防ぐためのタイミング調整が容易になり、使用者の不快感を低減させ易くなる。
【0125】
(f)
制御部50A,50Bは、図15や図18に示す例では、クロスフローファン9が風量fs以上になるとき(時刻t33,t44)の以前(時刻t31とt31の中間、時刻t42)に、開閉パネル4の開度が大と小の中間の開度以上になるよう、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整されている。
【0126】
また、制御部50A,50Bは、図15や図18に示す例では、クロスフローファン9が風量fs以下になったとき(時刻t37,t48)の以後(時刻t37、t50)に、開閉パネルの開度が大と小の中間の開度以上になるよう、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整されている。
【0127】
勿論、ファン回転数変更遅延部50cによる回転数変更動作のタイミングの遅延があるときには、その遅延を考慮して、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整される。制御部50A,50Bでは、ファン回転数変更遅延部50cの遅延を考慮して、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整されている。昇降装置40の開閉パネル4やクロスフローファン9の機械的な動作の速度や遅延を考慮して調整することが好ましい。
【0128】
クロスフローファン9の風量が風量fs以上になったときに開閉パネル4の開度が大と小の中間の開度より小さければサージングが発生する例であるから、上記のいずれの場合もサージングの発生は防止される。つまり、クロスフローファン9の回転数を上げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネル4の開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。また、クロスフローファン9の回転数を下げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネル4の開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 室内機
3 化粧パネル
4 開閉パネル
5 吸込口
6 エアフィルタ
9 クロスフローファン
15 受信部
31 ロック装置
40 昇降装置
46 昇降モータ
50,50A,50B 制御部
50a,50b,50d パネル開閉遅延部
50c ファン回転数変更遅延部
60 リモートコントローラ
61 風量ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開2006−52936号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室内機及びその制御方法に関し、特に、空気の吸込口に開閉パネルを有する空気調和装置の室内機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室内機には、ケーシングに設けられた吸込口を覆う開閉パネルを備えるものがある。この開閉パネルは、空気調和装置の室内機の運転停止時には、吸込口を覆うことにより、吸込口を外部から隠蔽し、空気調和装置の室内機の意匠性を向上させる。
【0003】
室内機の運転時には、吸込口を開放するように開閉パネルが移動することによって、空気の吸い込みに必要な開口が確保される。ところで、空気調和装置の室内機においては、風量を調整できるようにしたものがある。また、通常の冷房・暖房運転モード(以下通常モードという)の他に、室内を急速に冷房または暖房する運転モード(以下パワフルモードという)や睡眠時に運転音が抑制される運転モード(以下静粛モードという)が設けられている空気調和装置がある。このような空気調和装置の室内機においては、運転時の開閉パネルの開度を、風量や運転モードに応じて調整するものがある(特許文献1(特開2006−52936号公報)参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような風量や運転モードに応じて開閉パネルの開度を調整する空気調和装置の室内機においては、風量の切り替えに応じて、また運転モードの切り替えに応じて、開度を調整するために開閉パネルが動くことになる。特に、風量の切り替えでは、使用者が適切な風量を決めかねて何度も切り替えたり、風量を切り替えるためのボタン操作の誤りから風量を何度も変更する操作をしたりする場合がある。従来の室内機では使用者のボタン操作に早く応答するため、誤って行った操作や迷って指示した操作に対して操作の都度開閉パネルが追随して動くと、使用者が不快感を覚えることがある。
【0005】
本発明の課題は、空気調和装置の室内機の開閉パネルの動きによって使用者に与える不快感を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る空気調和装置の室内機は、ファンと、開閉パネルと、制御部とを備える。ファンは、設定風量に応じて回転数の変更が可能なものである。開閉パネルは、設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能なものである。制御部は、設定風量を示す風量設定情報を受信し、ファンに対して回転数の変更を指示でき、開閉パネルに対して開度の変更を指示できる。そして、制御部は、風量設定情報を受信してから開閉パネルの開度変更が開始されるまでの時間を長くするため、開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅延させるパネル開閉遅延部を有する。
【0007】
本発明によれば、開閉パネルの開閉動作のタイミングが早過ぎて不具合が発生する場合には、制御部がパネル開閉遅延部により、開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅延させる。それにより、開閉パネルの開閉動作のタイミングを不具合が発生しない時期に合致するように調節することができる。
【0008】
第2発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明の空気調和装置の室内機であって、制御部は、風量設定情報を受信してからファンの回転数変更が開始されるまでの時間を長くするため、ファンの回転数変更動作のタイミングを遅延させるファン回転数変更遅延部をさらに有する。そして、制御部では、ファン回転数変更遅延部とパネル開閉遅延部とにより、回転数変更の遅延と開度変更の遅延との関係が調整されている。
【0009】
本発明によれば、制御部において、ファン回転数変更遅延部とパネル開閉遅延部の両方でタイミングを調整することで、ファンの回転数変更動作のタイミングと開閉パネルの開閉動作のタイミングとを種々に設定することができる。例えば、開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅らせながら、開閉動作のタイミングを回転数変更動作よりも前に設定することができ、同時のタイミングに設定することができ、また開閉動作のタイミングを回転数変更動作のタイミングよりも後に設定することができる。
【0010】
第3発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明または第2発明の空気調和装置の室内機であって、制御部は、風量設定情報を受信してから設定風量を確定するまでの間の待機時間を、パネル開閉遅延部によって生じさせる。そして、制御部は、待機時間内には開閉パネルの開閉動作を行わせず、確定した設定風量について待機時間後に開閉動作を行わせるように制御する。
【0011】
本発明によれば、制御部は、待機時間内に風量設定情報を受信しても、開閉パネルに開閉動作を行わせない。そのため、待機時間内に複数回に渡って風量設定情報が受信された場合に、待機時間内に受信した風量設定情報が開閉パネルの開閉動作を指示するものであっても、確定された風量設定情報以外の風量設定情報は無効になる。それにより、不要な開閉パネルの開閉動作を省くことができる。
【0012】
第4発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明から第3発明のいずれかの空気調和装置の室内機であって、制御部は、ファンの風量が所定風量以上になる前に開閉パネルの開度が所定開度以上になるよう、パネル開閉遅延部による遅延が調整されている。
【0013】
本発明によれば、ファンの風量が所定風量以上になったときに開閉パネルの開度が所定開度より小さければ、サージングが発生する場合に、所定風量以上になる前に所定開度以上になるように制御部は調整されている。それにより、サージングが発生しないように、制御部によりパネル開閉遅延部による遅延を制御することができる。
【0014】
第5発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明から第4発明のいずれか空気調和装置の室内機であって、制御部は、ファンの風量が所定風量以下になった後に開閉パネルの開度が所定開度以下になるよう、パネル開閉遅延部による遅延が調整されている。
【0015】
本発明によれば、ファンの風量が所定風量以上になったときに開閉パネルの開度が所定開度より小さければ、サージングが発生する場合に、所定風量以下になった後に所定開度以下になるように制御部は調整されている。それにより、サージングが発生しないように、制御部によりパネル開閉遅延部に遅延を制御することができる。
【0016】
第6発明に係る空気調和装置の室内機は、第1発明から第3発明のいずれかの空気調和装置の室内機であって、制御部は、ファンの回転数変更動作のタイミングよりも開閉パネルの開度変更動作のタイミングを遅くするように制御する。
【0017】
本発明によれば、開閉パネルの開度を変更する開度変更動作のタイミングを、ファンの回転数を変更する回転数変更動作のタイミングよりも遅らせることによって、開度変更に対応するか否かの判断を行える猶予ができ、開度設定変更の伴う風量設定変更の指示の都度開閉パネルの開度変更を行わなくてもよくなる。一方、ファンの回転数変更は開閉パネルの開度変更ほどには遅延されないので、ファンの風量変更を早く行わせることができる。
【0018】
第7発明に係る空気調和装置の室内機は、第3発明の空気調和装置の室内機であって、制御部は、待機時間内であってもファンに対して回転数変更の指示を行う。
【0019】
本発明によれば、開閉パネルの開度を変更しない場合であってもファンの回転数を変更するので、待機時間において、ファンの風量が変更されるまでの時間が遅くなるのを防止することができる。
【0020】
第8発明に係る空気調和装置の室内機の制御方法は、設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能な開閉パネルと、開閉パネルを制御する制御部とを備える空気調和装置の室内機におけるものである。この空気調和装置の室内機の制御方法は、第1の風量設定情報を制御部で受信する第1工程と、制御部が第1工程から所定時間だけ開閉パネルの開度を変更する開度変更指令の出力を遅延させる第2工程と、所定時間の間に第1の風量設定情報と異なる開度を要求する第2の風量設定情報が制御部で受信されたときに、第1の風量設定情報にともなう開度変更指令の出力を行わずに、第1の風量設定情報に応じた開度変更指令の内容を第2の風量設定情報に応じた内容に変換して第1工程に戻る第3工程とを備えている。
【0021】
本発明によれば、開度変更指令の出力を遅延させることで、立て続けに風量設定情報を受信したときに、最後の開度変更指令が有効になり、開閉パネルの開度変更を、開度変更指令を要求する風量設定変更の指示の都度行わなくてもよくなる。
【発明の効果】
【0022】
第1発明に係る空気調和装置の室内機では、パネル開閉遅延部により開閉動作のタイミングの遅延を調整することで、開閉パネルの応答が早過ぎるときに発生する不具合による使用者の不快感を低減することができる。
【0023】
第2発明に係る空気調和装置の室内機では、タイミング調整のバリエーションが増えて、不具合の発生を防ぐためのタイミング調整が容易になり、使用者の不快感を低減させ易くなる。
【0024】
第3発明に係る空気調和装置の室内機では、待機時間内の開閉パネルの開閉動作が省かれ、不要な開閉パネルの開閉動作を使用者が不快に感じる場面が減少する。
【0025】
第4発明に係る空気調和装置の室内機では、ファンの回転数を上げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネルの開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。
【0026】
第5発明に係る空気調和装置の室内機では、ファンの回転数を下げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネルの開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。
【0027】
第6発明に係る空気調和装置の室内機では、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示の都度開度変更を行わなくてもよくなって、開閉パネルの不要な開度変更が減る一方、ファンの風量変更の遅延を少なくすることができ、使用者に与える不快感が緩和される。
【0028】
第7発明に係る空気調和装置の室内機では、待機時間において、ファンの風量が変更されるまでの時間が遅くなるのを防止でき、使用者に与える不快感が緩和される。
【0029】
第8発明に係る空気調和装置の室内機の制御方法では、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示の都度開閉パネルの開度調整を行わなくてもよくなるため、使用者に与える不快感を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の室内機の外観を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線で切断した室内機の断面図。
【図3】(a)運転停止時の空気調和装置の側面図。(b)運転時の空気調和装置の側面図。(c)運転時の空気調和装置の側面図。
【図4】開閉パネルが吸込口を開いた状態の斜視図。
【図5】昇降装置内部の部品の配置を示す図。
【図6】ロック装置の斜視図。
【図7】第1実施形態に係る室内機の制御系統の要部の概略を示すブロック図。
【図8】図7のブラシ清掃機構の一部を示す平面図。
【図9】(a)風量ボタンによる切り替えの概念を示す概念図。(b)風量設定と設定開度の関係を示す図。
【図10】(a)回転数変更指令の一例を示すタイミングチャート。(b)従来の開度変更指令の一例を示すタイミングチャート。(c)第1実施形態の開度変更指令の一例を示すタイミングチャート。
【図11】第1実施形態の制御部による風量制御を説明するためのフローチャート。
【図12】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図13】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図14】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図15】第2実施形態に係る室内機の制御系統の要部の概略を示すブロック図。
【図16】第2実施形態の制御部による風量制御を説明するためのフローチャート。
【図17】(a)風量設定信号の一例を示すタイミングチャート。(b)第2実施形態の回転数変更指令の一例を示すタイミングチャート。(c)第2実施形態の開度変更指令の一例を示すタイミングチャート。
【図18】パネル開度とファン風量とサージングの関係の一例を示すタイミングチャート。
【図19】第3実施形態に係る室内機の制御系統の要部の概略を示すブロック図。
【図20】第3実施形態の制御部による風量制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
<空気調和装置の構成の概要>
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の室内機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、空気調和装置の室内機1は、ケーシング2に化粧パネル3を備えて構成されている。この空気調和装置の室内機1は、天井設置型であって、化粧パネル3が室内(下方)に向けて取り付けられ、ケーシング2のうち化粧パネル3の上方の部分が天井に埋め込まれる。化粧パネル3には、吸込口5と吹出口13とが設けられている。吸込口5には、開閉パネル4が設けられ、吹出口13には、風向調節羽根12が設けられている。また、化粧パネル3の室内側の下面には、リモートコントローラ60(図8参照)から送られてくる制御信号を受信するための受信部15が取り付けられている。受信部15がリモートコントローラ60から受信する制御信号には、運転の開始・停止、運転モードの切り替え、設定温度や風量や風向の調節などの指示が含まれる。
【0032】
図2は、図1におけるA−A線で切断した室内機の断面図である。また、図3(a)は運転停止時の室内機の側面図、図3(b)は運転時において開閉パネルの開度が小さいときの室内機の側面図、図3(c)は運転時において開閉パネルの開度が大きいときの室内機の側面図である。
【0033】
空気調和装置の室内機1の運転時には、図3(b)や図3(c)に示すように、開閉パネル4が開き、吸込口5から室内の空気を取り込む。吸込口5から吸い込まれた空気は、エアフィルタ6を通過して吸込み流路7に吸込まれる。このとき、室内の空気に含まれている塵埃がエアフィルタ6で取り除かれる。なお、図3(b)に示す場合よりも図3(c)に示す場合の方が風量は多い。風量の変化に適切に対応するため、開閉パネル4は、開度αと開度βの2段階の開度調整ができるよう回動可能に構成されている。
【0034】
吸込み流路7から熱交換器8にクロスフローファン9によって導かれた空気は、熱交換器8で加熱または冷却される。熱交換器8によって調和された空気は、クロスフローファン9によって吹出し流路10に送り込まれる。クロスフローファン9によって吹出し流路10に送り込まれた空気は、さらに、風向調節羽根11,12を通って適切な向きに向けられ、吹出口13から室内に吹き出される。なお、クロスフローファン9は、後述する制御部からの指令に従って風量を変更することが可能な構成とするためモータドライブ回路を備えている。
【0035】
熱交換器8で空気が調和される際に発生する結露水は、熱交換器8を伝ってドレンパン14で受け止められる。そのため、ドレンパン14は、熱交換器8の下方に配置され、結露水が直接落下する可能性のある範囲の全域を占めている。
【0036】
エアフィルタ6で取り除いた塵埃は、室内の空気がエアフィルタ6を通過すればするほどエアフィルタ6に蓄積して行く。そのため、定期的にエアフィルタ6の清掃がフィルタ清掃機構20によって行われる。フィルタ清掃機構20は、エアフィルタ6を収納するエアフィルタ収納部21と、エアフィルタ6を清掃するためのブラシ27と、掻き落とされた塵埃を溜めるために開閉パネル4に設けられたダストボックス29とを備えている。吸込口5からダストボックス29へ向って来る空気を滑らかにエアフィルタ6へ導くために、吸込空気が直接当たるダストボックス29の面29aは傾斜し、空気抵抗を低減している。
【0037】
<開閉パネルの開閉機構>
図4は、開閉パネルが吸込口を開いた状態の斜視図である。図4に示すように、化粧パネル3の面上には平面視長方形状の吸込口5があり、この吸込口5の2つの長辺5a,5bのうち吹出口13に近い長辺5aに2つのヒンジ30が設けられている。これらヒンジ30は、開閉パネル4の長辺のうち吹出口13に近い方の長辺4aを回動可能に掛止する。
【0038】
吸込口5の長辺5aよりも吸込口5の長辺5b側へ近い化粧パネル3の面上には、ロック装置31が設けられている。ロック装置31は、図3及び図4に示すように、可動体32と、化粧パネル3の面上に設置された収納部33と、開閉パネル4の上に設けられた保持部34とからなる。この保持部34の開口に可動体32を挿入することにより、開閉パネル4が吸込口5を閉じたままの状態を保持することができる。そのため、化粧パネル3に設けられた開口部37から保持部34がケーシング2の内側に貫入してその開口を覗かせる。開閉パネル4がヒンジ30を支点に回動することができる状態にするには、可動体32が収納部33に収納されることで、可動体32が保持部34の開口から引き抜かれる。
【0039】
開閉パネル4の回動のために必要な駆動力は、昇降装置40からワイヤ41を介して開閉パネル4に与えられる。化粧パネル3を平面視したときに開閉パネル4の短辺に近い開閉パネル4の上方に当たる化粧パネル3の面上に、昇降装置40が2箇所配置されている。
【0040】
また、化粧パネル3の面上の吸込口5の長辺5b近傍には、開閉パネル4の収納を検知するリミットスイッチ38が設けられている。このリミットスイッチ38は、後述する制御部にワイヤハーネスで接続されており、開閉パネル4が収納されているか否かを示す信号を制御部に送信する。
【0041】
<昇降装置>
図5は、化粧パネルに2台設けられている昇降装置のうち1台の内部の部品の配置図である。昇降装置40は、ワイヤ41、滑車42、ボビン43、巻取り歯車44、駆動歯車45、昇降モータ46、スイッチ47及びケース48を有している。
【0042】
滑車42は、滑車部42aとカム部42bとが一体になって構成されている。滑車部42aは、ワイヤ41を支え、ワイヤ41の移動に伴って回転する。カム部42bは、小径曲面と大径曲面とそれら両曲面を結ぶ平面とから成る。ボビン43は、ワイヤ41を巻取る。巻取り歯車44は、ボビン43と同軸で連結され一体的に回転する。駆動歯車45は、巻取り歯車44と噛み合いボビン43を回転させる。昇降モータ46は、ステッピングモータであり、駆動歯車45を回転させる。
【0043】
スイッチ47は、レバー47aを有するマイクロスイッチであり、レバー47aが押されることによってオンする。レバー47aは、常に滑車42のカム部42bと接触しており、カム部42bの大径曲面と対峙したときに押される。スイッチ47も、後述する制御部とワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0044】
図5において、昇降装置40がワイヤ41を繰り出す場合、昇降モータ46は駆動歯車45をCCW方向へ回転させ、巻取り歯車44をCW方向へ回転させる。これによって、ボビン43がワイヤ41を繰り出す方向に回転する。一方、昇降装置40がワイヤ41を巻き取る場合、昇降モータ46は駆動歯車45をCW方向へ回転させ、巻取り歯車44をCCW方向へ回転させる。これによって、ボビン43がワイヤ41を巻き取る方向に回転する。
【0045】
昇降モータ46の回転数は、後述する制御部から供給されるパルス信号のパルス数によって制御される。ワイヤの繰り出し量および巻き取り量は、昇降モータ46の回転量に比例しており、制御部が、昇降モータ46へ供給するパルス信号のパルス数を制御することによって、ワイヤ41の繰り出し量および巻き取り量が制御される。
【0046】
ワイヤ41の先端には開閉パネル4が連結されるため、ワイヤ41には常に張力が発生しており、ワイヤ41が繰り出されるとき、又はワイヤ41が巻き取られるとき、滑車部42aがワイヤ41との摩擦力によって回転する。このとき、カム部42bも回転するので、スイッチ47は、レバー47aがカム部42bの大径曲面と対峙したときにオン信号を発し、レバー47aが小径曲面と対峙したときにはオフ信号を発する。滑車42が回転している間は、オン信号とオフ信号が交互に発生し、これらの信号は、すべて制御部に入力される。
【0047】
しかし、何らかの要因でワイヤ41が弛み張力がなくなった場合、ワイヤ41と滑車部42aとの摩擦力が減退し滑車42が停止する。つまり、昇降モータ46が回転しているときにスイッチ47からオン信号又はオフ信号のいずれか一方が連続的に出力されると、制御部では、開閉パネル4が何らかの障害物によって停止したと推定し、直ちに昇降モータ46を停止させる。
【0048】
<ロック装置>
図6は、ロック装置の斜視図である。図6に示すように、ロック装置31は、可動体32、収納部33、保持部34、モータ35及びスプリング36を備えている。可動体32は、保持部34の側に傾斜面を持つ四角柱形状を成し、上側面には所定のギアと噛み合うラックギア32aが形成され、ラックギア32aの下方には中空部32bが形成されている。可動体32の中空部32bの中には、スプリング36が嵌め込まれている。
【0049】
収納部33は、上面と一側面とが開放された直方体形状の筐体である。収納部33の底面に案内溝33aが形成されており、可動体32がその案内溝33aに沿って水平移動する。収納部33の側面には貫通口33bが形成され、保持部34に向けて可動体32が貫通口33bを貫通している。案内溝33aの壁には、案内溝33aと直交する方向に突出する板状突起33cが形成されている。
【0050】
また、収納部33の壁には、モータ35が固定され、モータ35の回転軸に連結されたピニオンギア35aが回転可能に支持されている。ピニオンギア35aは、可動体32のラックギア32aと噛み合っている。このピニオンギア35aをCCW方向へ回転させたとき、可動体32は案内溝33aの中を摺動して収納部33に収納される。それにより、可動体32は保持部34の開口34aから引き抜かれる。このとき、可動体32の中空部32bの側面と板状突起33cとの距離が短くなるので、スプリング36は圧縮され反発力を蓄える。モータ35は、電力が供給されている間、スプリング36の増加する反発力に抗して回転するが、電力が供給されなくなったとき、スプリング36の反発力によって逆回転し、可動体32は元の位置へ復帰する。そのため、モータ35に電力が供給されないときは可動体32は保持部34の開口34aに嵌った状態を保つ。
【0051】
開閉パネル4が降下せず保持部34が移動していないとき、可動体32は保持部34の開口34aに入っている。一方、開閉パネル4が降下して保持部34が移動しているとき、可動体32は保持部34が復帰する軌道上で待機する。そして、開閉パネル4が上昇して吸込口5を閉じたとき、保持部34は、曲面を可動体32の傾斜面に当てて、可動体32を押しのけて復帰する。保持部34に押された可動体32は、水平移動しスプリング36を圧縮する。保持部34が完全に復帰したとき、可動体32は、スプリング36の反発力で、保持部34の開口34aを貫通する。その結果、可動体32が開閉パネル4の降下を妨げることになる。
【0052】
<制御部>
図7に示す制御部50は、CPU、メモリ及びタイマーなどを搭載している。制御部50は、受信部15がリモートコントローラ60(図8参照)から受信した空調運転の開始指示や室内機1の各所に設置されたセンサーやスイッチから受信する信号等に基づいて、冷房運転や暖房運転等の運転制御、クロスフローファン9の回転駆動制御、開閉パネル4の回動制御、フィルタ清掃機構20の制御及びロック装置31の制御等を行う。そのために制御部50は種々のセンサーやスイッチや機器などと接続されている。
【0053】
図7に示すように、制御部50は、クロスフローファン9、受信部15、リミットスイッチ38、昇降装置40の昇降モータ46とスイッチ47、及びロック装置31のモータ35などにワイヤハーネスによって電気的に接続されている。
【0054】
室内機1の運転停止状態において、受信部15がリモートコントローラ60から運転を開始する指示を受信すると、受信部15から制御部50に対して運転指示があったことが通知される。制御部50は、運転を開始するためにクロスフローファン9のモータドライブ回路に対して、リモートコントローラ60が指示する風量で運転するように指令を与える。このとき、制御部50は、開閉パネル4が収納されていることを示す検知信号をリミットスイッチ38から受けているので、開閉パネル4のロックを解除するためロック装置31に対してモータ35を駆動させる制御を行う。また、モータ35により可動体32が移動してロックが解除された状態で、リモートコントローラ60が指示する風量に対応する開度になるように開閉パネル4を回動させるため、制御部50は、昇降装置40に対して昇降モータ46を駆動させるパルス信号を出力する。昇降モータ46がパルスモータであるから、制御部50からのパルス信号に応じた長さだけ昇降装置40はワイヤ41を繰り出すことができる。以上の制御により、リモートコントローラ60から指示のあった風量に対応したクロスフローファン9の出力と開閉パネル4の開度をともなった室内機1の運転を開始することができる。
【0055】
制御部50は、受信部15より設定風量についての通知があってから開閉パネル4の開度変更が開始されるまでの時間を長くするため、開閉パネル4の開閉動作のタイミングを遅延させるパネル開閉遅延部50aを備えている。
【0056】
運転状態にある室内機1において、運転を停止する指示がリモートコントローラ60から受信部15で受信されると、受信部15から制御部50に運転停止の指示があったことが通知される。通知を受けた制御部50からクロスフローファン9に対して出力を停止するよう指令が出される。同時に、開閉パネル4を閉めるため、昇降装置40に対してもワイヤ41を繰り入れるよう昇降モータ46のパルス信号を制御部50が出力する。制御部50の指示に従って昇降装置40が開閉パネル4を閉じると、ロック装置31は、圧縮されたスプリング36の反発力を使って、可動体32を保持部34に挿入してロックを行う。開閉パネル4が閉じたことはリミットスイッチ38で検知され、制御部50に対してリミットスイッチ38から開閉パネル4の収納完了を示す信号が出力される。
【0057】
<風量制御>
次に、室内機1が運転状態になっているときに、リモートコントローラ60から風量の変更が指示された場合について説明する。通常モードにおいて、図8に示すリモートコントローラ60の風量ボタン61が押されると、風量変更の指示がリモートコントローラ60から受信部15に送信される。風量ボタン61の押下げ操作と風量指示及び開閉パネル設定開度との関係を図9に示す。図9(a)は、風量ボタン61を1回押すごとに、「Sタップ」から、「Lタップ」、「MLタップ」、「Mタップ」、「MHタップ」を経て、「Hタップ」に順に切り替わり、さらに風量ボタン61を1回押すと、「Hタップ」から「Sタップ」に切り替わることを示している。このように、風量ボタン61を押す操作によって、風量の少ない出力の低い方(「Sタップ」)から風量の多い出力の高い方(「Hタップ」)に向けて、順次切り替わるため、一度押すのを誤ると、また「Hタップ」から「Sタップ」に戻して最初から選択の動作を行わなければならない。なお、当然、風量の多いときはクロスフローファン9の回転数が高く、風量の少ないときはクロスフローファン9の回転数が低い。
【0058】
ところで、急速に冷房や暖房を行って環境温度を変化させたい状況を想定して、パワフルモードが用意されている。パワフルモードにするには、例えば、メニューボタン62でメニューを表示画面63に表示させて、モードの選択を行う。また、パワフルモードを選択するボタンが用意されているリモートコントローラでは、その「パワフル」のボタンを押すだけでパワフルモードにすることができる。
【0059】
この風量設定と開閉パネル4の開度との関係を図9(b)に示す。「パワフル」と「Hタップ」では多量の空気を送る必要があるため、開度を大きくする必要がある(図3(c)参照)。一方、それ以外の「Sタップ」〜「MHタップ」では開度が小さくてもよい(図3(b)参照)。従って、この様な設定では、「MHタップ」から「Hタップ」に切り替えたときに、開閉パネル4の開度を「小」から「大」にするようパルス信号(以下開度変更指令という)を制御部50から昇降装置40に出力する必要が生じる。また、「Hタップ」から「Sタップ」に切り替わるときも、開度を「大」から「小」に切り替えるよう開度変更指令を制御部50から昇降装置40に出力する必要が生じる。そのため従来は、風量ボタン61の操作で「MHタップ」から「Hタップ」になったときに、開閉パネル4を大きく開くよう制御部50から開度変更指令が出力され、次に風量ボタン61の操作で「Hタップ」から「Sタップ」になったときに、開閉パネル4を小さく開くよう制御部50から開度変更指令が出力されるなど、開度変更指令が都度出力されていた。
【0060】
例えば、「Sタップ」から「Hタップ」に風量を変更したかったが、ボタン操作を2回誤って「Hタップ」→「Sタップ」を2回繰り返してしまった場合を考える。この場合、図10(a)に示すように、風量ボタン61の押し下げに応じて制御部50からクロスフローファン9に対して回転数を変更するための指令(以下回転数変更指令という)が出力される。その回転数変更指令の出力に応じて、ファン出力が順次切り替わる。
【0061】
従来は、図10(b)に示すように、風量ボタン61を押して「MHタップ」から「Hタップ」に切り替わったときに、「小」から「大」に開度を切り替えるため制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令が出力される。この開度変更指令に応じて開閉パネル4が大きく開くように動く。続けて、風量ボタン61を押して「Hタップ」から「Sタップ」に切り替わったときに、「大」から「小」に開度を切り替えるため制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令が出力される。この開度変更指令に応じて開閉パネル4が開度を小さくするように動く。なお、実際のクロスフローファン9や開閉パネル4の動きは、動作遅延があるため、図10に示す指令のための信号の変化よりも少し遅れる。
【0062】
それに対し、本実施形態の室内機1では、風量制御における開度制御について、図11に示すようなフローに従って制御を行っている。そのため、不要な開閉パネル4の開度変更指令が省かれる。図10(a)と図10(b)を用いて説明した上述の風量設定の切り替えの例において、図11のフローチャートに示す制御を行った場合の制御部50からの開度変更指令を図10(c)に示す。
【0063】
図11のステップS1では、リモートコントローラ60から風量設定が指示されたときに、その指示を受信した受信部15から制御部50が通知を受ける。このとき、制御部50は、クロスフローファン9に対しては、風量設定の変更に対応した出力に変更するよう、つまり回転数を変更するように回転数変更指令を出力する。
【0064】
リモートコントローラ60からの受信があると、ステップS2に進み、制御部50は、現在の風量に対して風量変更を行った時に開度も同時に変更する必要があるか否かを判断する。例えば、現在の風量が「Mタップ」であって風量設定変更の指示が「MHタップ」であれば、現在開度=設定開度であるから、開閉パネル4の開度変更は必要ない。従って、ステップS2において開度を風量と同時に変更する必要がないと判断される。その場合は、制御部50が昇降装置40に対して開度変更指令を出力することなく前のステップS1に戻り、風量設定変更の指示の受信を待つ。
【0065】
ステップS2において、現在開度≠設定開度であれば、次のステップS3に進む。現在開度≠設定開度にあてはまる場合は、例えば、上述の例では、現在の風量が「MHタップ」であって風量設定変更の指示が「Hタップ」や、現在の風量が「Hタップ」であって風量設定変更の指示が「Sタップ」の場合である。例えば前者の場合、制御部50は、クロスフローファン9に対して、風量を上げるよう出力を「MH」から「H」に変更する回転数変更指令を出力する。一方、制御部50は、開度を「小」から「大」へ変更する開度変更指令を昇降装置40に対して出力する必要を認めるが、出力をパネル開閉遅延部50aにより所定時間遅らせる。例えば、図10の例の場合、リモートコントローラ60の風量ボタン61を押すことによって0.5秒ごとに受信部15が指示を受信し、制御部50から昇降装置40に開度変更指令を出力する時間を2秒遅らせている。この遅延時間を、図10(c)においては、符号DTで示した矢印で表している。
【0066】
ステップS3では、制御部50は、出力を所定時間遅らせるため、パネル開閉遅延部50aのタイマーをスタートさせる。
【0067】
ステップS4では、制御部50からの開度変更指令を保留したまま、次の風量設定変更の指示を待つ。そして、出力をパネル開閉遅延部50aにより遅延している時間(待機時間)内に、次の風量設定変更の指示を受けると、ステップS5において、設定開度変更指示があったか否かを制御部50で判断する。設定開度の変更を必要とする風量設定変更の指示であったときは、制御部50からクロスフローファン9に対して風量を変更するよう回転数変更指令を出力する。しかし、このときは制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令を出力することなく(ステップS6)、ステップS3に戻る。ここで、開度変更を行わないため、現在開度は前の開度のままである。例えば、風量ボタン61で「MHタップ」から「Hタップ」に切り替わってから0.5秒後にさらに風量ボタン61が押され「Sタップ」に切り替わった場合、遅延時間DTの2秒の間に開度変更指令を必要とする風量設定変更の指示があったので、この場合には、開閉パネル4の開度を「Hタップ」の前の「MHタップ」の開度である「小」に維持する。
【0068】
ステップS5で設定開度変更の指示がない時は、当然制御部50から昇降装置40に対して開度変更指令は出力されず、制御部50からクロスフローファン9に対して回転数変更指令のみが出力される。そして、ステップS7に進み、制御部50のタイマーが所定時間を経過しているか否かの判断を行う。タイマーが所定時間、例えば図10の例では2秒を経過していない場合は、ステップS4に戻り、新たな風量設定変更の指示を待つ。タイマーが所定時間を経過した場合はステップS8に進む。
【0069】
ステップS8では、ステップS5で設定開度変更の指示があったと判断された風量設定変更があれば、その最後の設定開度変更の指示に対応する開度に設定する変更を行うため、制御部50が昇降装置40に対して開度変更指令を出力する(ステップS9)。この時点では、クロスフローファン9に対する制御部50からの回転数変更指令は出力されているので、制御部50からクロスフローファン9に対する出力はない。また、ステップS5において一度も設定開度変更指示があったと判断されなかったときは、ステップS2で最初に設定開度が現在開度と異なると判断された開度への変更を行う(ステップS9)。
【0070】
<第2実施形態>
第1実施形態の空気調和装置の室内機1は、制御部50にパネル開閉遅延部50aを有している。そして、リモートコントローラ60から設定すべき風量の指示を受信してから開閉パネル4の開度変更動作が行われるまでの時間を、パネル開閉遅延部50aのタイマーで設定された時間だけ長くなるようにしている。
【0071】
第2実施形態の空気調和装置の室内機は、図12に示すように、制御部50Aに、パネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cを有している。第1実施形態の空気調和装置の室内機1と第2実施形態の空気調和装置の室内機との構成上の相違は、これら制御部50のパネル開閉遅延部50aと、制御部50Aのパネル開閉遅延部50b及びファン回転数変更遅延部50cとの違いだけである。従って、構成上相違しない部分については説明を省略し、以下の説明では構成が同じ部分について第2実施形態でも第1実施形態と同一の符号を用いる。
【0072】
第2実施形態の空気調和装置の室内機では、パネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cにより、風量設定の指示をリモートコントローラ60から受信してから開閉パネル4が開閉動作を行うタイミングと、風量設定の指示をリモートコントローラ60から受信してからクロスフローファン9が回転数変更動作を行うタイミングとを種々に設定することができる。そのため、これらのタイミングの設定によっては、サージングなどの不具合が発生する場合がある。
【0073】
サージングが発生するときのパネル開度とファン風量との関係を図13と図14を用いて説明する。サージングが発生するパネル開度とファン風量との関係は、機種などによって区々であるから、ここでは説明を簡単にするためにファン風量の最大と最小とサージングが発生するファン風量fsとを示している。ここでは、ファン風量fsのときに、開閉パネル4が開度大と開度小の中間よりも多く開いていないとサージングが発生するものを例に挙げて説明する。
【0074】
図13は、リモートコントローラ60から風量設定の指示を受信した時刻t10から開閉パネル4が開き始める時刻t11よりもクロスフローファン9の風量が増加し始める(回転数が増え始める)時刻t12が遅くなる場合を示している。この室内機では、パネル開度が小さい状態と大きい状態の間を変化するのに要する時間(時刻t11から時刻t12、時刻t15から時刻t17)が、ファン風量が小さい状態と大きい状態の間を変換に要する時間(時刻t12から時刻t13、時刻t17から時刻t19)よりも小さいものとする。また、時刻t10からt11までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t14に対して開閉パネル4が閉じ始める時刻t15が遅延する。また、時刻t10からt12までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t14に対してクロスフローファン9の風量が減少し始める(回転数が減り始める)時刻t17が遅延する。
【0075】
図13に示すように、開閉パネル4のパネル開度について大きい状態から小さい状態への変更動作のタイミングが、クロスフローファン9のファン風量について大きい状態から小さい状態への変更動作のタイミングよりも遅れると、時刻t16から時刻t18にサージングが発生する。つまり、時刻t16においては、開閉パネル4のパネル開度が大きい状態と小さい状態の中間程度まで閉じてきているのに対し、クロスフローファン9のファン風量が大きい状態を維持しており、サージングが発生する条件を満たしている。そして、時刻t18では、パネル開度が小さい状態になっているのに、回転数が風量fsを発生させるものであるためサージングが発生している。しかし、時刻t18よりも時間が経過すると、さらに回転数が減少して風量がfsよりも小さくなるためサージングの発生が止む。
【0076】
図14は、リモートコントローラ60から風量設定の指示を受信した時刻t20から開閉パネル4が開き始める時刻t23よりもクロスフローファン9の風量が増加し始める(回転数が増え始める)時刻t21が早い場合を示している。ここでは、パネル開度が小さい状態と大きい状態の間を変化するのに要する時間(時刻t23から時刻t25、時刻t28から時刻t29)が、ファン風量が小さい状態と大きい状態の間を変換に要する時間(時刻t21から時刻t23、時刻t27から時刻t28)よりも小さい場合を例に挙げている。また、時刻t20からt23までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t26に対して開閉パネル4が閉じ始める時刻t28が遅延する。また、時刻t20からt21までと同じ遅延時間により、風量設定指示受信の時刻t26に対してクロスフローファン9の風量が減少し始める(回転数が減り始める)時刻t27が遅延する。
【0077】
図14に示すように、開閉パネル4のパネル開度について小さい状態から大きい状態への変更動作のタイミングが、クロスフローファン9のファン風量について小さい状態から大きい状態への変更動作のタイミングよりも早いと、時刻t22から時刻t24にサージングが発生する。つまり、時刻t22においては、開閉パネル4のパネル開度が小さい状態であるのに対し、クロスフローファン9のファン風量が風量fsまで大きくなってきており、サージングが発生する条件を満たす。そして、時刻t24では、パネル開度が小さい状態と大きい状態の中間になっていて、風量が大きい状態であるためサージングが発生している。しかし、時刻t24よりも時間が経過すると、さらにパネル開度が増加して中間程度よりも大きくなってサージングの発生が止む。
【0078】
以上のようなサージングの発生を防止するために、例えば図15のように、パネル開度の変更動作のタイミングとファン風量の変更動作(回転数変更動作)のタイミングが調整される。すなわち、時刻t30と時刻t35にリモートコントローラ60から風量設定の指示を受信してから、時刻t31と時刻t36までパネル開度の変更動作とファン風量の変更動作が遅延され、パネル開度の変更動作とファン風量の変更動作が同時に始まるように設定されている。
【0079】
図15に示すように設定されている場合、サージングが発生する条件や変更動作に要する時間などが図13や図14と同様であるとして以下の説明を行う。時刻t31から開閉パネル4が開き始めると同時に、クロスフローファン9の回転数が増加し始めるが、まず、開閉パネル4が時刻t32にパネル開度が大きい状態に達する。そのため、ファン風量が風量fsを超えたとき(時刻t33)には、既に開閉パネル4の開度が大きい状態になっているため、サージングは発生しない。そして、サージングが発生しないまま時刻t34に達して、ファン風量が大きい状態になる。
【0080】
一方、時刻t35に風量を小さくするような風量設定の指示をリモートコントローラ60から受信した場合には、時刻t36からパネル開度の変更動作とファン風量の変更動作が始まる。両方の変更動作が始まった時刻t36の時点では、パネル開度が大きい状態のためサージングは発生せず、時刻t37まではパネル開度が大きい状態と小さい状態の中間よりも大きいためサージングの発生はない。この時刻t37を超えると、今度は、ファン風量が風量fsよりも小さくなるためサージングは発生しない。そして、サージングが発生しないまま時刻t38に達して、パネル開度が小さい状態になり、さらに時間が経過すると時刻t39においてファン風量が小さい状態になる。
【0081】
図15に示されるような遅延を生じさせる、図12のパネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cとにより行われる制御について、図16及び図17を用いて説明する。図16は、制御部50Aによる風量制御を説明するためのフローチャートである。また、図17(a)は、風量設定信号の一例を示すタイミングチャート、図17(b)は回転数変更指令の一例を示すタイミングチャート、そして図17(c)は第2実施形態の開度変更指令の一例を示すタイミングチャートである。
【0082】
図17(a)に示すように、第1実施形態と同様、リモートコントローラ60の風量ボタン61が押下げられると、図9(a)を用いて説明した「Sタップ」から「Hタップ」まで順に風量設定が増加し、「Hタップ」から「Sタップ」に戻るというサイクリックな設定に従って、リモートコントローラ60から指示される設定風量が変化する。
【0083】
このような条件下でリモートコントローラ60の風量ボタン61が押されると、風量設定の指示を受信した受信部15から制御部50Aが通知を受ける。このとき、制御部50Aは、パネル開閉遅延部50b及びファン回転数変更遅延部50cに対して、風量設定の変更に対応した出力に変更するよう、設定風量の変更指令を出力する(ステップS11)。
【0084】
このとき、パネル開閉遅延部50bからファン回転数変更遅延部50cには、ファン回転数変更指令が出力されないよう、出力禁止信号が出力されている。そして、パネル開閉遅延部50bでは、設定風量の変更指令が入力されると、パネル開閉動作のタイミングと回転数変更動作のタイミングを遅延させるため、タイマーがスタートする(ステップS12)。
【0085】
ステップS13からステップS15は、ループを構成しており、パネル開閉遅延部50bにおいて、タイマーが設定時間以上になるのを待って、つまりステップS15でタイマー時間が設定時間以上になっていると判断されると、次のステップS16に進む。すなわち、ステップS13からステップS15のループを廻ることにより、待機時間を生じさせている。この待機時間内に、新たな風量設定の指令が入力されると(ステップS13),ステップS14で風量設定の変更があったと判断されて、ステップS12に戻る。そして、タイマーを再びスタート(リセット)して、ステップS13からステップS15の処理を行う。これにより、待機時間が延びることになり、その延びた待機時間が経過するまでは、設定風量は確定されない。
【0086】
ステップS15からステップS16に進み、設定風量が確定されると、パネル開閉遅延部50bとファン回転数変更遅延部50cからほぼ同時に回転数変更指令と開度変更指令が出力できるように、パネル開閉遅延部50bからファン回転数変更遅延部50cに出力されている出力禁止信号が出力許可信号に変わる。
【0087】
ステップS17では、最終的に確定された設定風量に対応する回転数変更指令がファン回転数変更遅延部50cから出力され、それと同時に開度変更指令がパネル開閉遅延部50bから出力される。
【0088】
以上説明したパネル開閉遅延部50bは、例えば、タイマーと、風量設定指令および開度変更指令を記憶する開度変更指令記憶部と、ステップS15の判断を行うタイマー時間判断部と、ステップS14の判断を行う設定風量変更判断部と、出力禁止・出力許可信号出力部とを備えて構成することができる。また、ファン回転数変更遅延部50cは、回転数変更指令を記憶する回転数変更指令記憶部と、回転数変更指令出力部とを備えて構成することができる。開度変更指令記憶部と回転数変更指令記憶部では、待機時間内に新たな変更指令があると、その変更指令に書き換える。この開度変更指令記憶部と回転数変更指令記憶部の変更指令の書換により、待機時間内に何度も変更指令があったときに最終的に必要な変更指令だけを残して不要な変更指令を省くことができる。回転数変更指令出力部は、パネル開閉遅延部50bの出力禁止・出力許可信号出力部から出力許可信号が入力したタイミングで回転数変更指令記憶部から最後に記憶した回転数変更指令を出力させる。
【0089】
<第3実施形態>
上記第2実施形態では、パネル開閉遅延部50bおよびファン回転数変更遅延部50cでファン風量を増加させるときも、ファン風量を減少させるときも同じ遅延時間を生じさせ、同じタイミングで開閉パネル4の開度変更動作とクロスフローファン9の回転数変更動作を始めさせている。
【0090】
しかし、室内機1の構成によっては、同じタイミングで動作を開始させることでサージングが発生しないとは限らない。例えば、図18に示すように、開閉パネル4の開閉を比較的緩やかに行う構成にする場合、開度変更の完了に要する時間と回転数変更の完了に要する時間の関係によっては、回転数変更動作と開度変更動作を同時に始めたのではサージングが発生することもある。
【0091】
そのようなときには、開度変更動作の開始のタイミングと回転数変更動作の開始のタイミングとを調整することでサージングの発生を防止することができる場合がある。また、風量が増加するときと減少するときで、開始のタイミングの遅延時間を異ならせることもできる。
【0092】
図18には、風量が増加するときには回転数変更動作の開始のタイミングをより多く遅延させ、風量が減少するときには開度変更動作の開始のタイミングをより多く遅延させている。すなわち、時刻t40に風量を増加させるような風量設定指令が入力されてから、先に時刻t41で開閉パネル4の開度変更の動作が始まり、次いで時刻t42にクロスフローファン9の回転数変更の動作が始まる。それにより、クロスフローファン9の回転数が増加してサージングが発生する風量fsに達する時刻t44の前(時刻t43)に、パネル開度が大きい状態に達しており、サージングの発生が防がれる。その後、時刻t45にファン風量が大きい状態に達する。ここでは、開度変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t41からt44までの時間)よりも、回転数変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t42からt45までの時間)の方が短い例を示している。
【0093】
一方、時刻t46に風量を減少させるような風量設定指令が入力されてから、先に時刻t47でクロスフローファン9の回転数変更の動作が始まり、追って時刻t49に開閉パネル4の開度変更の動作が始まる。それにより、クロスフローファン9の回転数が減少してサージングが発生する風量fsよりも風量が少なくなる時刻t48の後(時刻t49)に、パネル開度が小さくなり始めており、サージングの発生が防がれる。その後、時刻t50にファン風量が小さい状態に達し、次いで時刻t51にパネル開度が小さい状態に達する。ここでは、開度変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t49からt51までの時間)よりも、回転数変更動作が始まってから完了するまでの時間(時刻t47からt50までの時間)の方が短い例を示している。なお、これらのような遅延時間の調整が必要になるのは、変更動作に要する時間だけに起因するものではなく、サージングの発生する風量が比較的小さい場合など、他の要因が原因になって引き起こされる場合もある。
【0094】
第3実施形態の空気調和装置の室内機も、第2実施形態の空気調和装置の室内機と同様に、図19に示す制御部50Bに、パネル開閉遅延部50dとファン回転数変更遅延部50cを有している。第3実施形態の空気調和装置の室内機と第1実施形態の空気調和装置の室内機との構成上の相違は、制御部50Bのパネル開閉遅延部50dの違いだけである。従って、構成上相違しない部分については説明を省略し、以下の説明では構成が同じ部分について第3実施形態でも第1実施形態と同一の符号を用いる。
【0095】
パネル開閉遅延部50dもパネル開閉遅延部50bと同様に、待機時間を生じさせるためのタイマーとして、第1タイマーを備えている。この第1タイマー以外に、パネル開閉遅延部50dは、パネル開閉遅延部50dにおける遅延時間とファン回転数変更遅延部50eにおける遅延時間との調整を行うための第2タイマーを備えている。そして、パネル開閉遅延部50dの出力禁止・出力許可信号出力部は、ファン風量が増加する設定変更であるか、減少する設定変更であるかを判別して、第2タイマーの設定を行う機能を有する。パネル開閉遅延部50dの他の構成は、パネル開閉遅延部50bと同様である。
【0096】
図18に示されるような遅延を生じさせる、図19のパネル開閉遅延部50dとファン回転数変更遅延部50cとにより行われる制御について、図20を用いて説明する。図20は、制御部50Aによる風量制御を説明するためのフローチャートである。
【0097】
図20のフローチャートにおいて、ステップS11〜ステップS16までは、第2実施形態の図16に示したフローと同様である。第2実施形態と同様の条件の下、リモートコントローラ60の風量ボタン61が押されると、風量設定の指示を受信した受信部15から制御部50Aが通知を受ける。
【0098】
受信部15からの通知を受けた制御部50Aは、パネル開閉遅延部50d及びファン回転数変更遅延部50cに対して、風量設定の変更に対応した出力に変更するよう、設定風量の変更指令を出力する(ステップS11)。パネル開閉遅延部50dの開度変更指令記憶部及びファン回転数変更遅延部50cの回転数変更指令記憶部は、風量設定の変更指令に対応した開度変更指令及びファン回転数変更指令をそれぞれ記憶する。なお、開閉パネル4の開度変更については、変更の要不要が設定風量変更判断部で判断されて開度変更が必要なときだけ、開度変更指令の書換が行われる。このとき、パネル開閉遅延部50dからファン回転数変更遅延部50cには、ファン回転数変更指令が出力されないよう、出力禁止・出力許可信号出力部により出力禁止信号が出力されている。
【0099】
次に、パネル開閉遅延部50dでは、設定風量の変更指令が入力されると、パネル開閉動作のタイミングと回転数変更動作のタイミングを遅延させるため、第1タイマーがスタートする(ステップS12)。
【0100】
ステップS13からステップS15は、ループを構成しており、パネル開閉遅延部50dにおいて、第1タイマーが設定時間以上になるのを待って、つまり、ステップS15でタイマー時間が設定時間以上になっていると判断されると、次のステップS16に進む。すなわち、ステップS13からステップS15のループを廻ることにより、待機時間を生じさせている。
【0101】
この待機時間内に、新たな風量設定の指令が入力されると(ステップS13),ステップS14で風量設定の変更があったと判断されて、ステップS12に戻る。そして、タイマーを再びスタート(リセット)して、ステップS13からステップS15の処理を行う。ステップS14では風量設定が変更されたか否かの判断がパネル開閉遅延部50dの設定風量変更判断部で行われる。風量設定が変更されたときは、設定風量変更判断部が第1タイマーをリセットして、風量設定変更の指示の受信待ちにする。
【0102】
ステップS15では、パネル開閉遅延部50dのタイマー時間判断部により第1タイマーが設定時間以上か否かの判断が行われる。これにより、待機時間が延びることになり、その延びた待機時間が経過するまでは、設定風量は確定されない。風量設定が変更されないときは、設定風量変更判断部が第1タイマーの監視をタイマー時間判断部に行わせている。なお、パネル開閉遅延部50bのタイマーは、パネル開閉遅延部50dの第1タイマーに相当する。
【0103】
ステップS15からステップS16に進み、ステップS16において設定風量が確定すると、ステップS17に進み、パネル開閉遅延部50dの出力禁止・出力許可信号出力部が、確定した設定風量について、ファン風量が増加する設定風量か否かの判断を行う。
【0104】
確定した設定風量がファン風量を増加するようなものである場合には、出力禁止・出力許可信号出力部においてその判断が行われ、ステップS18に進む。ステップS18では、開閉パネル4を開き始める動作のタイミングよりもクロスフローファン9の回転数を上げ始める動作のタイミングを遅くする。そのため、出力禁止・出力許可信号出力部は、第2タイマーにより出力許可信号を出力するタイミングを遅らせる。
【0105】
ステップS20では、確定した設定風量に対応するパネル開度及びファン回転数への変更を行うため、回転数変更指令と開度変更指令が出力される。リモートコントローラ60の風量ボタン61が押されるタイミング(時刻t40)からステップS11〜S16の処理を行う間だけ第1タイマーによって待機時間が生じ、時刻t41に開度変更指令が出力される。それに続いて、第2タイマーの遅延時間をさらに加え、時刻t42に回転数変更指令が出力される。
【0106】
一方、確定した設定風量がファン風量を減少させるようなものである場合には、出力禁止・出力許可信号出力部においてその判断が行われ、ステップS19に進む。ステップS19では、開閉パネル4を閉じ始める動作のタイミングよりもクロスフローファン9の回転数を下げ始める動作のタイミングを早くする。そのため、出力禁止・出力許可信号出力部は、第2タイマーにより開度変更指令を出力するタイミングを遅らせる。このとき、出力禁止・出力許可信号出力部は、第2タイマーにより出力許可信号を出力するタイミングを遅らせるが、開度変更指令の出力タイミングよりは前に出力許可信号を出力する。
【0107】
ステップS20では、確定した設定風量に対応するパネル開度及びファン回転数への変更を行うため、回転数変更指令と開度変更指令が出力される。リモートコントローラ60の風量ボタン61が押されるタイミング(時刻t46)からステップS11〜S16の処理を行う間だけ第1タイマーによって待機時間が生じ、さらに第2タイマーの遅延時間を加えて時刻t48に開度変更指令が出力される。その前に、第2タイマーによる遅延が少ない出力許可信号の出力タイミングに応じて、時刻t47に回転数変更指令が出力される。
【0108】
<変形例>
(a)
上記各実施形態では、室内機が天井設置型のものについて説明したが、室内機のタイプは天井設置型のものには限られず、例えば壁に設置するタイプのものにも適用できる。
【0109】
(b)
なお、上記各実施形態では、開度の切り替えが2段階のものについて説明したが、2段階よりも多いタイプの室内機についても適用できる。
【0110】
(c)
上記各実施形態では、パネル開閉遅延部50a,50b,50dのタイマーで制御部50,50A,50Bからの指令を遅延させる場合について説明したが、遅延させるのはタイマーによる指令の遅延だけに限られず、昇降装置40で動作を遅延させて、所定時間内に複数指令があったときに最後のものを有効とするような構成としてもよい。また、制御部50は指令を遅延させたりキャンセルしたりするために、クロスフローファン9や昇降装置40以外の別の機器に指令を遅延させたり行わせないようにする制御をしてもよい。このような場合も、制御部50,50b,50dがクロスフローファン9や昇降装置40に対して指令を遅延させあるいはキャンセルする態様に含まれる。
【0111】
(d)
上記各実施形態では、タイマーで制御部50からの指令を遅延させて開閉パネル4の開閉回数を減らす場合について説明したが、例えば、「MHタップ」、「Hタップ」、「Sタップ」の風量ボタン61が所定時間内に押されたときに、リモートコントローラ60または昇降装置40などで開度を大きくする指令の一部を省くようにして、短期間に開度を変更する指示が重ねて出たときに開閉パネル4の開閉回数を減らしてもよい。
【0112】
(e)
なお、パワフルモードのときは、予め定められた時間が経過すると、パワフルモードを自動的に解消して風量を減少させる。このときも、図11に示した制御を行ってもよいが、パワフルモードから普通モードへの切り替えは自動的に行われるので、使用者が操作を誤ったりすることがないため図11の制御を行わない構成としてもよい。
【0113】
(f)
また、上記各実施形態では静粛モードについて説明しなかったが、静粛モードのときにさらに開閉パネル4の開度を小さくする機能を設けてもよく、そのような場合に本発明を適用することは可能である。
【0114】
(g)
なお、上記各実施形態では、パネル開閉遅延部50b,50dにタイマーあるいは第1タイマー及び第2タイマーを設ける場合について説明した。しかし、タイマーあるいは第1タイマー及び第2タイマーをファン回転数変更遅延部50cに設け、また出力禁止・出力許可信号出力部をファン回転数変更遅延部50cに設けて、ファン回転数変更遅延部50cによりパネル開閉遅延部50b,50dから出力される開度変更指令の出力の禁止と許可を制御してもよい。また、パネル開閉遅延部50b,50dとファン回転数変更遅延部50cとでタイマーなどを共有するようにしてもよい。
【0115】
なお、パネル開閉遅延部50b,50dにおいては、マイクロコンピュータのタイマーや定期的に発生するイベントをカウントするプログラムを遅延時間の設定に用いることができる。このように、パネル開閉遅延部50b,50dで発生させる遅延は、制御部内の信号処理で自然に生じる信号遅延とは区別されるものである。
【0116】
<特徴>
(a)
以上説明したように、クロスフローファン9(ファン)は、設定風量に応じて回転数の変更が可能なものである。開閉パネル4は、設定風量に応じて吸込口5の開度の変更が可能なものである。リモートコントローラ60の制御信号に含まれる風量を指示する情報(風量設定情報)が、受信部15を介して制御部50,50A,50Bで受信される。つまり、受信部15で制御信号を受信し、制御部50,50A,50Bが受信部15から風量を指示する制御信号の受信の通知を受ける。この通知を受けた時点が制御部50,50A,50Bが風量設定情報を受信した時点になる。
【0117】
制御部50,50A,50Bは、クロスフローファン9に対して、回転数変更指令によって回転数の変更を指示でき、開閉パネル4に対して開度変更指令によって開度の変更を指示できる。制御部50,50A,50Bのパネル開閉遅延部50a,50b,50dは、開度変更指令を遅延させることによって、開閉パネル4の開閉動作のタイミングを遅延させることができる例を開示している。しかし、制御部50,50A,50Bのパネル開閉遅延部50a,50b,50dは、室内機に内蔵される場合に限られず、例えば室内機の外部制御手段であるリモートコントローラ60に設けることもできる。
【0118】
例えば、図10(b)や図13や図14で説明したように、開閉パネル4の開閉動作のタイミングが早過ぎて不具合が発生する場合には、制御部50,50A,50Bがパネル開閉遅延部50a,50b,50dにより、開閉パネル4の開閉動作のタイミングを遅延させる。
【0119】
図10や図15や図18に示す場合には、制御部50,50A,50Bは、受信部15より風量設定の指示の通知を受けて(風量設定情報を受信して)から設定風量を確定するまでの間の待機時間(DT、t30からt31、t40からt41)を、パネル開閉遅延部50a,50b,50dによって生じさせる。待機時間内に複数回に渡って受信部15から制御部50,50A,50Bが風量を設定する通知を受けた場合に、待機時間内に受信した風量設定情報が開閉パネル4の開閉動作を指示するものであっても、確定された風量設定情報以外の風量設定情報は無効になる。制御部50は、図10に示すように、待機時間内には開閉パネル4の開閉動作を行わせず、開度変更指令が小→大→小という一連の不要な指令を2回省略して、確定した設定風量について待機時間後(3回の遅延時間DTの延長後)に開閉動作を行わせるように制御している。誤ったり迷ったりしてリモートコントローラ60を操作し、何度も風量ボタン61を押して複数回に渡って開度の変更を指示したと考えられる条件のときに、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示に都度応答しなくても済む。それにより、開閉パネル4の不要な開度変更の回数を減らすことができる。図10に示す例では4回開閉パネル4が動くのを省くことができ、使用者に与える不快感を緩和することができる。
【0120】
図15や図18に示す時刻t30からt31の間の待機時間や時刻t40からt41の間の待機時間においてもこのような変更指令の省略が行われている。それにより、待機時間(t30からt31、t40からt41)における開閉パネル4の開閉動作が省かれ、不要な開閉パネル4の開閉動作を使用者が不快に感じる場面が減少する。
【0121】
(b)
制御部50は、図11に示したように、開閉パネル4の開度を変更する開度変更指令を、クロスフローファン9の回転数を変更する回転数変更指令よりも遅らせ、開度変更を回転数変更よりも遅らせる。それにより、次に受ける開度変更が必要な風量設定変更の指示がその遅延時間内にあった時は、前の開度変更が必要な風量設定変更の指示については対応しないという判断を行え、開閉パネル4の開度変更を、開度設定変更の必要な風量設定変更の指示をリモートコントローラ60から受ける都度行わなくてもよくなる。一方、クロスフローファン9の回転数変更指令は遅延されないので、回転数変更は遅延されず、クロスフローファン9による風量変更が遅延することはない。それにより、開閉パネル4の不要な開度変更が減り、使用者に与える不快感が緩和される。
【0122】
(c)
図11のフローチャートを用いて説明したように、リモートコントローラ60から続けて開度変更が必要な風量設定変更指示つまり風量ボタン61が複数回押されたときに、制御部50のタイマー機能を用いて簡単に開閉パネル4の開閉を行うか否かの条件を設定できる。使用者の不快感に与える影響に、時間のファクターが密接に関係する。つまり短い間隔で開閉パネル4が上下動を繰り返すと不快感を覚える場合が多いが、比較的長い間隔を置いて開閉パネル4が上下に動いても使用者が不快に感じることが少ない。このように、タイマーの時間設定により使用者の不快と感じる短い間隔での上下動を省くことで、使用者の不快感を緩和し易くなる。
【0123】
(d)
図11のフローチャートでは、前回の設定開度変更が必要な風量設定変更の指示から制御部50のタイマーで計測している所定時間内にテップS5の判断が行われる。ステップS3からステップS7のタイマーがスタートしてから所定時間が経過するまでは、設定開度変更を伴う風量設定変更をリモートコントローラ60から受信部15が受信しても、制御部50は開度設定変更指令の出力を直ちに行わずに遅延させる(第2工程)。そして、ステップS5からステップS6に分かれる処理で、タイマーで設定された所定時間の間に前回の設定開度変更要求と異なる設定開度変更要求(第1の風量設定変更指示と異なる開度を要求する第2の風量設定変更指示)があったときに、前回の設定開度変更(第1の風量設定変更指示にともなう開度変更)の指令の出力を行わない。それにより、設定開度変更を伴う風量設定変更の指示の都度開閉パネル4の開度調整を行わなくてもよくなるため、使用者に与える不快感を緩和することができる。
【0124】
(e)
制御部50A,50Bは、受信部15より風量設定の指示の通知を受けて(風量設定情報を受信して)からファンの回転数変更が開始されるまでの時間を長くするため、ファンの回転数変更動作のタイミングを遅延させるファン回転数変更遅延部50cを有する。制御部50A,50Bでは、ファン回転数変更遅延部50cとパネル開閉遅延部50b,50dとにより、回転数変更の遅延と開度変更の遅延との関係を調整することができる。つまり、開閉パネル4の開度が変化し始めるタイミングとクロスフローファン9の回転数が変化し始めるタイミングとを調整して、同時に行わせる場合(図15の時刻t31,t35のタイミングの関係)、開度が変化し始めるタイミングを先行させる場合(図18の時刻t41と時刻t42のタイミングの関係)、及び開度が変化し始めるタイミングを遅らせる場合(図18の時刻t47と時刻t49のタイミングの関係)がある。このように、制御部50A,50Bにおいて、ファン回転数変更遅延部50cとパネル開閉遅延部50b,50dの両方でタイミングを調整することで、クロスフローファン9の回転数変更動作のタイミングと開閉パネル4の開閉動作のタイミングとを種々に設定することができる。それにより、タイミング調整のバリエーションが増えて、不具合の発生を防ぐためのタイミング調整が容易になり、使用者の不快感を低減させ易くなる。
【0125】
(f)
制御部50A,50Bは、図15や図18に示す例では、クロスフローファン9が風量fs以上になるとき(時刻t33,t44)の以前(時刻t31とt31の中間、時刻t42)に、開閉パネル4の開度が大と小の中間の開度以上になるよう、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整されている。
【0126】
また、制御部50A,50Bは、図15や図18に示す例では、クロスフローファン9が風量fs以下になったとき(時刻t37,t48)の以後(時刻t37、t50)に、開閉パネルの開度が大と小の中間の開度以上になるよう、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整されている。
【0127】
勿論、ファン回転数変更遅延部50cによる回転数変更動作のタイミングの遅延があるときには、その遅延を考慮して、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整される。制御部50A,50Bでは、ファン回転数変更遅延部50cの遅延を考慮して、パネル開閉遅延部50b,50dによる遅延が調整されている。昇降装置40の開閉パネル4やクロスフローファン9の機械的な動作の速度や遅延を考慮して調整することが好ましい。
【0128】
クロスフローファン9の風量が風量fs以上になったときに開閉パネル4の開度が大と小の中間の開度より小さければサージングが発生する例であるから、上記のいずれの場合もサージングの発生は防止される。つまり、クロスフローファン9の回転数を上げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネル4の開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。また、クロスフローファン9の回転数を下げるときに、回転数変更動作のタイミングと開閉パネル4の開閉動作のタイミングとをサージングが発生しないように調整でき、使用者に不快感を与えないようにすることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 室内機
3 化粧パネル
4 開閉パネル
5 吸込口
6 エアフィルタ
9 クロスフローファン
15 受信部
31 ロック装置
40 昇降装置
46 昇降モータ
50,50A,50B 制御部
50a,50b,50d パネル開閉遅延部
50c ファン回転数変更遅延部
60 リモートコントローラ
61 風量ボタン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開2006−52936号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定風量に応じて回転数の変更が可能なファン(9)と、
前記設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能な開閉パネル(4)と、
前記設定風量を示す風量設定情報を受信し、前記ファンに対して回転数の変更を指示でき、前記開閉パネルに対して開度の変更を指示できる制御部(50,50A,50B)とを備え、
前記制御部は、前記風量設定情報を受信してから前記開閉パネルの開度変更が開始されるまでの時間を長くするため、前記開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅延させるパネル開閉遅延部(50a,50b,50d)を有する、空気調和装置の室内機。
【請求項2】
前記制御部(50A,50B)は、前記風量設定情報を受信してから前記ファンの回転数変更が開始されるまでの時間を長くするため、前記ファンの回転数変更動作のタイミングを遅延させるファン回転数変更遅延部(50c)をさらに有し、
前記ファン回転数変更遅延部と前記パネル開閉遅延部とにより、前記回転数変更の遅延と前記開度変更の遅延との関係が調整されている、請求項1に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項3】
前記制御部(50,50A,50B)は、前記風量設定情報を受信してから前記設定風量を確定するまでの間の待機時間を前記パネル開閉遅延部によって生じさせ、前記待機時間内には前記開閉パネルの開閉動作を行わせず、確定した前記設定風量について前記待機時間後に開閉動作を行わせるように制御する、請求項1または請求項2に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項4】
前記制御部(50A,50B)は、前記ファンの風量が所定風量以上になる以前に前記開閉パネルの開度が所定開度以上になるよう、前記パネル開閉遅延部による遅延が調整されている、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置の室内機。
【請求項5】
前記制御部(50A,50B)は、前記ファンの風量が所定風量以下になった以後に前記開閉パネルの開度が所定開度以下になるよう、前記パネル開閉遅延部による遅延が調整されている、請求項1から4のいずれかに記載の空気調和装置の室内機。
【請求項6】
前記制御部(50)は、前記ファンの回転数変更動作のタイミングよりも前記開閉パネルの開度変更動作のタイミングを遅くするように制御する、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置の室内機。
【請求項7】
前記制御部(50)は、前記待機時間内であっても前記ファンに対して回転数変更の指示を行う、請求項3に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項8】
設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能な開閉パネル(4)と、前記開閉パネルを制御する制御部(50)とを備える空気調和装置の室内機(1)において、
第1の風量設定情報を前記制御部で受信する第1工程(S1,S4)と、
前記制御部が前記第1工程から所定時間だけ前記開閉パネルの開度を変更する開度変更指令の出力を遅延させる第2工程(S3)と、
前記所定時間の間に前記第1の風量設定情報と異なる開度を要求する第2の風量設定情報が前記制御部で受信されたときに、前記第1の風量設定情報にともなう前記開度変更指令の出力を行わずに、前記第1の風量設定情報に応じた前記開度変更指令の内容を前記第2の風量設定情報に応じた内容に変換して前記第1工程に戻る第3工程(S5,S6)とを備える、空気調和装置の室内機の制御方法。
【請求項1】
設定風量に応じて回転数の変更が可能なファン(9)と、
前記設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能な開閉パネル(4)と、
前記設定風量を示す風量設定情報を受信し、前記ファンに対して回転数の変更を指示でき、前記開閉パネルに対して開度の変更を指示できる制御部(50,50A,50B)とを備え、
前記制御部は、前記風量設定情報を受信してから前記開閉パネルの開度変更が開始されるまでの時間を長くするため、前記開閉パネルの開閉動作のタイミングを遅延させるパネル開閉遅延部(50a,50b,50d)を有する、空気調和装置の室内機。
【請求項2】
前記制御部(50A,50B)は、前記風量設定情報を受信してから前記ファンの回転数変更が開始されるまでの時間を長くするため、前記ファンの回転数変更動作のタイミングを遅延させるファン回転数変更遅延部(50c)をさらに有し、
前記ファン回転数変更遅延部と前記パネル開閉遅延部とにより、前記回転数変更の遅延と前記開度変更の遅延との関係が調整されている、請求項1に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項3】
前記制御部(50,50A,50B)は、前記風量設定情報を受信してから前記設定風量を確定するまでの間の待機時間を前記パネル開閉遅延部によって生じさせ、前記待機時間内には前記開閉パネルの開閉動作を行わせず、確定した前記設定風量について前記待機時間後に開閉動作を行わせるように制御する、請求項1または請求項2に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項4】
前記制御部(50A,50B)は、前記ファンの風量が所定風量以上になる以前に前記開閉パネルの開度が所定開度以上になるよう、前記パネル開閉遅延部による遅延が調整されている、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置の室内機。
【請求項5】
前記制御部(50A,50B)は、前記ファンの風量が所定風量以下になった以後に前記開閉パネルの開度が所定開度以下になるよう、前記パネル開閉遅延部による遅延が調整されている、請求項1から4のいずれかに記載の空気調和装置の室内機。
【請求項6】
前記制御部(50)は、前記ファンの回転数変更動作のタイミングよりも前記開閉パネルの開度変更動作のタイミングを遅くするように制御する、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置の室内機。
【請求項7】
前記制御部(50)は、前記待機時間内であっても前記ファンに対して回転数変更の指示を行う、請求項3に記載の空気調和装置の室内機。
【請求項8】
設定風量に応じて吸込口の開度の変更が可能な開閉パネル(4)と、前記開閉パネルを制御する制御部(50)とを備える空気調和装置の室内機(1)において、
第1の風量設定情報を前記制御部で受信する第1工程(S1,S4)と、
前記制御部が前記第1工程から所定時間だけ前記開閉パネルの開度を変更する開度変更指令の出力を遅延させる第2工程(S3)と、
前記所定時間の間に前記第1の風量設定情報と異なる開度を要求する第2の風量設定情報が前記制御部で受信されたときに、前記第1の風量設定情報にともなう前記開度変更指令の出力を行わずに、前記第1の風量設定情報に応じた前記開度変更指令の内容を前記第2の風量設定情報に応じた内容に変換して前記第1工程に戻る第3工程(S5,S6)とを備える、空気調和装置の室内機の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−43846(P2010−43846A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166601(P2009−166601)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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