説明

空気調和装置用分岐チャンバー

【課題】チャンバー本体内部から分岐ダクト接続口に対する風量調整を可能とするとともに、内圧がかかった状態で孔部と蓋体の隙間から熱交換空気の漏れが無いよう、確実に閉塞する空気調和装置用分岐チャンバーを提供する。
【解決手段】所定間隔を存して互いに対向する第1の壁部21aと第2の壁部21bおよび、これら壁部相互を一体に連結する側壁部22とで密閉空間を形成し、側壁部22に主ダクト7a,7bを接続するための1つの主ダクト接続口12と複数の分岐ダクト8a,8bを接続するための複数の分岐ダクト接続口13を突設したチャンバー本体20と、壁部21a,21bの一方に設けられる孔部24と、この孔部に開閉自在に嵌め込まれる栓部31およびチャンバー本体の内部において孔部の周縁に沿って接離自在に密に当接する当接部32とを有する点検用蓋30を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、空気調和装置と複数の被空調室の吹出し口と間に、ダクトを介して接続される分岐チャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
複数室を空気調和する場合、空気調和装置に主ダクトを接続し、例えば天井裏まで延出する。天井裏には分岐チャンバーを設け、主ダクトを接続する。分岐チャンバーから各空調室に設けられる吹出し口までは分岐ダクトを接続することから、分岐チャンバーには、1つの主ダクト接続口と、複数の分岐ダクト接続口を備える。
【0003】
特許文献1には、従来、分岐チャンバーがボックス状をなし、大型化が避けられない事情を考慮し、小型化を得るために、分岐ダクトの接続口(排出口)を、側面視で、上下に複数段配置する構成が開示される。さらに、接続口を千鳥状に配置し、あるいは放射状に配置することや、チャンバー本体を円筒状に形成する構成も開示される。
【0004】
特許文献2には、多室の換気を同時に行う換気システムの分岐チャンバーで、チャンバー下板、または上板に、大径の掃除穴を設け、この掃除穴を蓋で開閉自在とした構成が開示される。さらに、掃除穴の周縁3辺に、ガイド板と、ガイド板より広幅の押縁を重ね、押縁内側にガイド溝を形成して、上記蓋を挿入着脱する構成等が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−29613号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、分岐チャンバーには、空気調和装置で生成された熱交換空気が流通するために、内圧(正圧)がかかる。そのためチャンバー本体は、たとえば金属材料を用いて密閉構造をなし、ある程度、頑丈に製作されている。
【0007】
しかしながら、分岐チャンバーから各室の吹出し口を連通する分岐ダクトは、各室までの長さが互いに異なる。そのため、分岐ダクト接続口を均一な口径にすると、分岐チャンバーに近い室には必要量以上の熱交換空気が吹出され、分岐チャンバーから遠く離れた室には必要量を満たさない熱交換空気が吹出されて、吹出し風量に差が生じてしまう。
【0008】
通常、チャンバー本体内の分岐ダクト接続口に風量調整板が取付けられ、据付け時や、定期的なメンテナンス時に、これをスライド調整し、各室における吹出し風量が均一になるように分岐ダクト接続口を絞り調整する。しかるに、特許文献1のチャンバー本体は密閉構造となっているので、内部に風量調整板を取付けて調整することができない。
【0009】
特許文献2の分岐チャンバーは、蓋をスライドして掃除穴を開放すれば、内部の風量調整板を調整できる。ただし、分岐チャンバー内が負圧になる場合は、ともかく、分岐チャンバー内が正圧となる条件で用いると、ガイド板があっても、掃除穴と蓋との間に隙間が生じて熱交換空気が漏れ出てしまう。
【0010】
このような事情から、チャンバー本体内部から分岐ダクト接続口に対する風量調整等の作業を可能とするとともに、内圧がかかった状態で孔部と蓋体の隙間から熱交換空気の漏れが無いよう確実に閉塞する空気調和装置用分岐チャンバーが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態の空気調和装置用分岐チャンバーは、空気調和装置から延出される主ダクトと、複数室の各吹出し口から延出される複数の分岐ダクトとを連通し、前記空気調和装置で生成される熱交換空気を主ダクトと分岐ダクトを介して複数室の吹出し口に導く空気調和装置用分岐チャンバーであって、所定間隔を存して互いに対向する第1の壁部および第2の壁部と、これら壁部相互を一体に連結する側壁部とで密閉空間を形成し、前記側壁部に主ダクトを接続するための1つの主ダクト接続口および複数の分岐ダクトを接続するための複数の分岐ダクト接続口を突設したチャンバー本体と、前記チャンバー本体の第1の壁部または第2の壁部のどちらか一方に設けられる孔部と、前記孔部に開閉自在に嵌め込まれる栓部およびチャンバー本体の内部において孔部の周縁に沿って接離自在に密に当接する当接部と、を有する蓋体とを具備した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る、空気調和装置に接続される空気調和システムを備えた家屋内部の透視図。
【図2】同実施形態に係る、小屋裏に吊持した場合の分岐チャンバーと、分岐チャンバーに接続する主ダクト一部の正面図。
【図3】同実施形態に係る、天井下地材上に載置した場合の分岐チャンバーと、分岐チャンバーに接続する主ダクト一部の正面図。
【図4】第1の実施例に係る、分岐チャンバーの下面図。
【図5】同実施例に係る、分岐チャンバーの縦断面図。
【図6】第2の実施例に係る、分岐チャンバーの一部のみを切欠した斜視図。
【図7】第3の実施例に係る、分岐チャンバーの縦断面図。
【図8】第4の実施例に係る、分岐チャンバーの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態を図面にもとづいて説明する。
図1は、たとえば一般住宅に備えられる空気調和装置Kと、この空気調和装置Kに接続される空調システムSの説明図である。一般住宅は例えば2階建ての家屋Rであり、理解し易いように内部を透視して示している。
【0014】
空気調和装置Kは、家屋R内に配置される室内ユニット1と、家屋R外に配置される室外ユニット2からなる。これら室内ユニット1と室外ユニット2は、それぞれが内部に図示しない冷凍サイクル構成機器を収容し、互いに冷媒管およびケーブル等で連結される。
【0015】
空気調和装置Kにおける室内ユニット1の上端部に吹出し部3が設けられ、ここから熱交換空気を吹出すようになっている。室内ユニット1の前面下部には吸込み部4が設けられ、ここから室内空気を吸込むようになっている。室内ユニット1の背部には、外気取入れ用ダクト5と排気用ダクト6が接続され、それぞれ家屋Rの外に臨ませられる。
【0016】
室内ユニット1における吹出し部3には2本の主ダクト7a,7bが接続されていて、これら主ダクト7a,7bは家屋Rの内壁と外壁との隙間を介して2階の天井裏へ延出される。各主ダクト7a,7bは、屋根Raと天井との間に構成される小屋裏において直角に屈曲し、天井下地材と並行に延出される。
【0017】
互いの主ダクト7a,7bは、所定位置に設けられる分岐チャンバーA1,A2に接続される。互いの分岐チャンバーA1,A2には、それぞれ複数本の分岐ダクト8a,8bが接続される。一方の分岐チャンバーA1に接続される複数本の分岐ダクト8aは、天井裏から内壁と外壁との間を介して1階の各室まで下方に延長される。
【0018】
家屋Rの1階には、たとえば玄関、ダイニングキッチン、リビングルーム、客間、廊下、洗面所、脱衣所、トイレなどが配されている。それぞれの室には吹出しグリルで覆われる吹出し口aが設けられていて、それぞれの吹出し口aに一方の分岐チャンバーA1から延出される分岐ダクト8aが接続される。
【0019】
他方の分岐チャンバーA2に接続される複数本の分岐ダクト8bは、天井下地材と並行に設けられる。2階には、たとえば寝室、子供部屋他の複数室と、廊下などが配されている。それぞれの室には吹出しグリルで覆われる吹出し口bが設けられていて、それぞれの吹出し口bに他方の分岐チャンバーA2から延出される分岐ダクト8bが接続される。
【0020】
リビングルームにはリモコン9が取付けられ、運転−停止の切換えと、冷房、暖房、送風等の運転切換えと、設定温度の調整ができる。さらに、外気取入れ用ダクト5から新鮮外気を取入れて吹出し部3に導く新鮮外気取入れ運転や、吸込み部4から吸込んだ室内空気を排気用ダクト6から家屋外へ排出する換気運転の切換えできる。
【0021】
図2および図3は、分岐チャンバーA(図1に示す分岐チャンバーA1,A2)の配置構成を説明する図である。
すなわち、図2においては分岐チャンバーAを吊りボルト10と吊り金具11を介して小屋裏Rbに吊持した状態を示していて、この場合、分岐チャンバーAは天井下地材Tとは間隙を存する。
【0022】
分岐チャンバーAには、1本の主ダクト7(図1に示す主ダクト7a,7b)が接続する主ダクト接続口12が設けられるとともに、図示しない複数本の分岐ダクトが接続する分岐ダクト接続口13が設けられる。これら主ダクト7や分岐ダクトも適宜、吊りボルトと吊り金具を介して吊持することが望ましい。
【0023】
分岐チャンバーAばかりでなく、主ダクト7や分岐ダクトも天井下地材Tとは間隙を存しているので、これらを流通する熱交換空気の振動騒音が天井下地材Tを介して被空調室M内に伝達するのを防止できる。
天井下地材Tにおいて、分岐チャンバーAの中心線と合わせた位置には天井点検口15が設けられ、天井点検用蓋16によって開閉自在である。すなわち、分岐チャンバーAの下面に後述する点検用蓋(蓋体)が設けられる場合に選択される。
【0024】
図3においては、分岐チャンバーAを天井下地材T上に載置した状態を示している。この場合、天井下地材T上に合板17を載せし、さらに合板17上にスペーサ18を介して分岐チャンバーAを載せる。分岐チャンバーAの吊り金具11を合板17から突出する止めボルト19に固定する。一方、少なくとも主ダクト7は小梁t上に載置する。
【0025】
このことで、主ダクト7および分岐チャンバーAを流通する熱交換空気の振動騒音が、天井下地材Tから被空調室Mに伝達することを阻止できる。
天井下地材Tの上部に充分な空間(余裕)がある条件において、分岐チャンバーAの上面に後述する点検用蓋(蓋体)が設けられる場合に選択される。
【0026】
図4および図5は、分岐チャンバーAの具体的な構成を示す、第1の実施例での分岐チャンバーAの下面図および縦断面図である。
分岐チャンバーAは、チャンバー本体20と点検用蓋30とから構成される。いずれも、合成樹脂材である、たとえば発泡スチロール材からなり、軽量であるとともに、ある程度の肉厚を有するところから、強度的にも劣ることはない。
【0027】
前記チャンバー本体20は、所定間隔を存して互いに対向する第1の壁部21aと第2の壁部21bとからなる2枚の壁部21と、これら第1、第2の壁部21a,21b相互を一体に連結する側壁部22とからなる。図4に示すように、チャンバー本体20は1辺のみ大で、他の6辺が小の、変形7角状に形成されている。
【0028】
側壁部22には、1つの大の辺部に主ダクト接続口12が設けられ、複数の小の辺部に分岐ダクト接続口13が設けられる。主ダクト接続口12と分岐ダクト接続口13も合成樹脂材、たとえばABS樹脂材からなる。それぞれの接続口12,13の基端部が側壁部22にインサート(埋設)され、先端部がチャンバー本体20外方へ突出する。
【0029】
実際にチャンバー本体20は、図5における側壁部22の上下中心線を境に、上半分部分と下半分部分から製作される。各ダクト接続口12,13は、上半分部分と下半分部分のいずれか一方にインサートされる。そして、後述する点検用蓋30を内部に収容した状態で、上下半分部分を接着により一体に連結してなるものである。
【0030】
なお、分岐ダクト接続口13は、1つ置きに高さ位置が異なる。これは、分岐ダクト接続口13に分岐ダクトを接続するとき、分岐ダクト接続口13を1つ置きに高さを異ならせることで作業し易くなるばかりでなく、チャンバー本体20の径方向の大きさを可能な限り縮めて小型化できる。
【0031】
図5において上部側となる第1の壁部21aには、吊り金具11の基端部がインサートされ、この先端部がチャンバー本体20から壁部21と平行に突出する。吊り金具11の位置は、図4に示すように、主ダクト接続口12とはチャンバー本体20の中心点を介して対向する角部と、主ダクト接続口12と前記吊り金具11とを結ぶ線とは中心点を介して90度直交する方向の角部位置になる。
【0032】
これら吊り金具11が設けられる第1の壁部21aと対向する第2の壁部21b、すなわち図5において下部側となる第2の壁部21bには孔部24が設けられていて、この孔部24に上記点検用蓋30に設けられる栓部31が嵌め込まれる。さらに、第2の壁部21bに設けられる孔部24の周囲に沿って、チャンバー本体20の内部側から円環状の凹部25が設けられる。
【0033】
一方、点検用蓋30は、前記孔部24に開閉自在に嵌め込まれる栓部31と、チャンバー本体20の凹部25に、チャンバー本体20内部から嵌め込まれる当接部32を備えている。また、チャンバー本体20の孔部24と凹部25との間に形成される突堤部26に、点検用蓋30の栓部31と当接部32との間に形成される凹陥部33が載る。
【0034】
このようにして、点検用蓋30はチャンバー本体20の孔部24を閉塞するので、点検用蓋30を孔部24から開放するには、点検用蓋30をチャンバー本体20内部へ移動するしかない。
上述したように、チャンバー本体20は2分割された状態で製作され、これらを組み合せて接着固定されるので、接着加工前に点検用蓋30を一方の分割体に収容しておけば、上述の構成が得られる。
【0035】
点検用蓋30は、作業員が手で持ち易く、作業し易いように、外面側に十字状の手持ち部35が設けられる。
さらに、チャンバー本体20において、点検用蓋30が取付けられる第2の壁部21bの孔部24周囲には、等間隔で3箇所に取付け用ねじ27が取付けられる。これら取付け用ねじ27の先端部は、点検用蓋30の当接部32にインサートされるナット部36にねじ込まれる。
【0036】
図4に示すように、第2の壁部21bと点検用蓋30のそれぞれには、位置合せマーク37が設けられ、互いに位置を正しく合わせることにより、取付け用ねじ27の先端部がナット部36に対向してねじ込みが可能となる。すなわち、点検用蓋30が正しく孔部24を閉塞した状態になっていることを、外部から確認できる。
【0037】
図5に示すように、チャンバー本体20における分岐ダクト接続口13の基端部上方もしくは下方に風量調整板40が設けられる。これら風量調整板40には、上下方向に沿って長孔が設けられ、この長孔に止めねじが挿入される。
止めねじを緩めて風量調整板40を長孔に沿って移動すると、分岐ダクト接続口13の開口量が変化する。したがって、分岐ダクト接続口13から分岐ダクトを介して導かれ、吹出し口から吹出される熱交換空気の風量を調整できる。
【0038】
このようにして構成される分岐チャンバーAであり、図2に示すように吊りボルト10と吊り金具11を介して小屋裏Rbに吊り下げ固定する場合は、天井下地材Tに天井点検口15を設けるところから、点検用蓋30を下方へ向ける。図3に示すように、分岐チャンバーAを天井下地材T上に載置する場合は、点検用蓋30を上方へ向ける。
【0039】
いずれも、空気調和装置Kおよび空調システムSを設置した直後の試運転時に、点検用蓋30を外しチャンバー本体20内部を開放した状態で、チャンバー本体20内部の風量調整板40への調整を行う。あるいは、所定期間毎に行われる点検時に、同様に調整作業を行う。
【0040】
再び図1に示すように、空気調和装置Kを駆動して熱交換空気を導いた状態で、主ダクト7a,7bから導かれた熱交換空気が分岐チャンバーA1,A2内に充満し、さらに分岐ダクト8a,8bへ分流される。したがって、分岐チャンバーA1,A2の内部に内圧(正圧)がかかる。
【0041】
図4、図5に示すように、分岐チャンバーAにおいては、チャンバー本体20の孔部24を点検用蓋30の栓部31が閉塞するとともに、点検用蓋30の当接部32が孔部24周縁に形成される凹部25に、チャンバー本体20の内部から載る。
チャンバー本体20にかかる内圧は、点検用蓋30の当接部32を孔部24周縁に密に押し付ける作用をなすので、隙間の発生がなく、したがって熱交換空気の漏れがない。
【0042】
図6は、第2の実施例の分岐チャンバーAを一部切欠した斜視図である。
すなわち、第1の実施例では、内部に備えた風量調整板40を調整する際、たとえば図2に示す天井点検口15をあける。そして、分岐チャンバーAのチャンバー本体20下面に設けられる取付けねじ27を外す。
【0043】
作業員は、一方の手で点検用蓋30を押し上げ、チャンバー本体20内部へ移動して孔部24を開放する。さらに、点検用蓋30をチャンバー本体20上部側の第1の壁部21aに押し付け、その位置を保持したまま、他方の手で内部の風量調整板40を調整するなどの必要な作業を行う。両方の手を用いながらの作業となるので、手間がかかる。
【0044】
ここでは、チャンバー本体20を構成する第1の壁部21aの内部で、180°対向する位置(一方のみ図示)にガイド突部(ガイド部)51を一体に設ける。点検用蓋30には、当接部32の外方に向かって180°対向する位置にガイド溝部(掛合部)52を一体に設ける。
ただし、ガイド溝部52の幅方向寸法を、ガイド突部51の幅方向寸法よりも、若干小さく形成する。
【0045】
この状態にして、チャンバー本体20の孔部24を開放したら、そのまま点検用蓋30をチャンバー本体20上部側の第1の壁部21aに押し付ける。したがって、点検用蓋30のガイド溝部52が、チャンバー本体20のガイド突部51に対して圧入状態で嵌め込まれる。
【0046】
すなわち、ガイド溝部52とガイド突部51とが圧入されれば、点検用蓋30から手を離しても、点検用蓋30が落下することがなく、仮保持できる。孔部24から風量調整板40に対する調整作業や、必要なチャンバー本体20の内部作業が両手を使って容易に行える。
【0047】
作業終了後は、点検用蓋30を孔部24側へ引くことで、ガイド溝部52がガイド突部51から容易に離れる。したがって、点検用蓋30をチャンバー本体20に対して正規の位置に容易に合わせられる。
【0048】
図3に示すように分岐チャンバーAを取付ければ、点検用蓋30を仮保持する必要がない。ただし、単に点検用蓋30を第1の壁部21a上に置いた状態とするので、再び孔部24を閉塞しようとするとき、点検用蓋30の位置が定まらずに、位置合せに苦労する。
【0049】
この場合も、予め第1の壁部21aの内部にガイド突部51と、点検用蓋30にガイド溝部52を一体に設けることで、仮保持した点検用蓋30の位置が定まり、再び孔部24を閉塞する際の位置合せが容易になる。
【0050】
図7は、第3の実施例での分岐チャンバーの縦断面図である。
すなわち、第2の実施例(図6)に示すように、点検用蓋30をチャンバー本体20内部に仮保持でき、内部に対する作業の容易化を図れる。
【0051】
ただし、このときはチャンバー本体20の孔部24から、チャンバー本体20内部を覗き込んで、チャンバー本体20のガイド突部51に対して点検用蓋30のガイド溝部52を位置合せする必要がある。
【0052】
ここでは、チャンバー本体20の孔部24と対向する第1の壁部21a内面に、たとえばマグネット55をインサートし、点検用蓋30の周縁部に沿って磁性体56をインサートする。あるいは、チャンバー本体20に磁性体56を、点検用蓋30の周縁部に沿ってマグネット55をインサートすることでも良い。
【0053】
マグネット55を複数個、所定間隔を存して設け、磁性体56を円環状に設けることにより、点検用蓋30の位置が、ある程度回動してずれていても、点検用蓋30はチャンバー本体20に確実に磁気吸着され、仮保持される。
すなわち、点検用蓋30を仮保持するのに、余計な神経を使う必要がなく、たとえば、孔部24から風量調整板40に対する作業性の向上を得られる。
【0054】
図8は、第4の実施例における分岐チャンバーAの縦断面図である。
先に第1の実施例(図4および図5)で説明したように、チャンバー本体20を構成する第2の壁部21bに取付け用ねじ27を備え、点検用蓋30に設けられるナット部36にねじ込むことにより、点検用蓋30を確実に固定できるようにした。
【0055】
しかるに、この作業は図2および図3に示すように、天井下地材T上の狭い空間部で行う必要があり、作業姿勢が窮屈になって作業性が悪い。
ここでは、チャンバー本体20の凹部25にマグネット60をインサートし、点検用蓋30の当接部32に沿って磁性体61をインサートする。あるいは、チャンバー本体20に磁性体61を、点検用蓋30にマグネット60を、それぞれインサートすることでも良い。
【0056】
マグネット60を複数個、所定間隔を存して設け、磁性体61を円環状に設けることにより、点検用蓋30の位置が、ある程度回動してずれていても、点検用蓋30はチャンバー本体20に確実に磁気吸着される。すなわち、点検用蓋30を固定するのに、余計な神経を使う必要がなくなる。
【0057】
以上、本実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、実施形態の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
K…空気調和装置、8a,8b…主ダクト、a,b…吹出し口、7,7a,7b…分岐ダクト、21a…第1の壁部,21b…第2の壁部、22…側壁部、12…主ダクト接続口、13…分岐ダクト接続口、20…チャンバー本体、24…孔部、31…栓部、32…当接部、30…点検用蓋(蓋体)、51…ガイド突部(ガイド部)、52…ガイド溝部(掛合部)、55,60…マグネット、56,61…磁性体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置から延出される主ダクトと、複数室の各吹出し口から延出される複数の分岐ダクトとを連通し、前記空気調和装置で生成される熱交換空気を前記主ダクトと分岐ダクトを介して複数室の前記吹出し口に導く空気調和装置用分岐チャンバーであって、
所定間隔を存して互いに対向する第1の壁部と第2の壁部および、前記壁部相互を一体に連結する側壁部とで密閉空間を形成し、前記側壁部に前記主ダクトを接続するための1つの主ダクト接続口および、前記複数の分岐ダクトを接続するための複数の分岐ダクト接続口を突設したチャンバー本体と、
前記チャンバー本体の、前記第1の壁部または第2の壁部のどちらか一方に設けられる孔部と、
前記孔部に開閉自在に嵌め込まれる栓部および、前記チャンバー本体の内部において前記孔部の周縁に沿って接離自在に密に当接する当接部と、を有する蓋体と、
を具備したことを特徴とする空気調和装置用分岐チャンバー。
【請求項2】
前記チャンバー本体を構成する、前記孔部と対向する前記第1の壁部または第2の壁部のどちらか他方の内面に設けられるガイド部と、
前記蓋体の前記当接部に設けられ、前記蓋体の前記栓部が前記チャンバー本体の前記孔部を開放した状態で、前記ガイド部に掛脱自在に掛合し、前記蓋体を前記ガイド部が設けられた前記壁部に仮保持する掛合部と、
を具備したことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置用分岐チャンバー。
【請求項3】
前記チャンバー本体を構成する、前記孔部と対向する前記第1の壁部または前記第2の壁部のどちらか他方に埋設されるマグネットおよび磁性体のいずれか一方と、
前記蓋体に埋設され、前記蓋体の前記栓部が前記チャンバー本体の前記孔部を開放した状態で、前記埋設されたマグネットおよび磁性体のいずれか一方に磁気吸着し、前記蓋体を前記マグネットおよび磁性体のいずれか一方が埋設された前記壁部に仮保持する磁性体およびマグネットのいずれか他方と、
を具備したことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置用分岐チャンバー。
【請求項4】
前記チャンバー本体における前記孔部の周縁に埋設されるマグネットおよび磁性体のいずれか一方と、
前記蓋体における前記当接部に埋設され、前記蓋体の栓部を前記チャンバー本体の孔部に嵌合し閉塞するとともに、前記蓋体の当接部を前記チャンバー本体の前記孔部の周縁に沿い密に当接した状態で、前記マグネットおよび磁性体のいずれか一方に磁気吸着する磁性体およびマグネットのいずれか他方と、
を具備したことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置用分岐チャンバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100928(P2013−100928A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243932(P2011−243932)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(505461072)東芝キヤリア株式会社 (477)
【Fターム(参考)】