説明

空気調和装置用分岐型チャンバー

【課題】コンパクトに構成でき、チャンバーの各送出口から送出される空気の風量バランスも良好なチャンバーを提供する。
【解決手段】チャンバー本体は、チャンバー外箱10と、該チャンバー外箱10の内側にクリアランスを設けてほぼ同心的に配設されたチャンバー内箱40とによって二重構造をなす。チャンバー外箱10は、その側壁に、空調機から供給される調和空気を導入する一つの調和空気導入口20と、導入した調和空気が送出される複数の送出口であって、それぞれチャンバー外箱中心部をほぼ中心として異方向を指向する向きに外箱の側壁から突出形成された送出口31,32,33,34とを備える。チャンバー内箱40は、外気を導入する一つの外気導入口50と、導入した外気を分岐して送出するための複数の外気送出口であって、内箱の側壁から送出口の各位置をそれぞれ指向する向きに突出形成された外気送出口61,62,63,64とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置用分岐型チャンバー、詳しくは、空調機で調和された調和空気と外気とを混合して分岐して送出するチャンバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内からの環気(RA)と新鮮な外気(OA)とを環気チャンバーで混合し、これを空調機へ送り、さらに空調機からこの混合空気を給気チャンバーへ送り、この給気チャンバーに導入した混合空気を該給気チャンバーに設けられた複数の送出口から分岐して送出し、各部屋へと供給する方式が知られている。
しかし、上記の方式によると、空調機が停止すると外気(OA)の供給も停止し、室内が負圧になるといった不都合がある。
【0003】
特許文献1には、上記の給気チャンバーに調和空気(SA)と外気(OA)とを導入する構成が開示されている。すなわち、同文献には、「中空箱体形状のチャンバ本体の壁体部に、空調機から送給される調和空気を導入する調気導入口と、外気を導入する外気導入口と、導入した調和空気と外気との混合空気を前記チャンバ本体外へ流出させる複数の吹き出し口とを備えた空調用チャンバにおいて、
前記チャンバ本体内に、前記調気導入口から導入された調和空気が流動する調気流動路と、前記調気流動路の周囲の少なくとも一部に前記調気流動路と区画して配置された外気導入路と、前記外気導入路から前記調気流動路に外気を供給する外気供給口とを設けたことを特徴とする空調用チャンバ。」が記載されている(請求項1)。
特許文献1に記載のチャンバは、具体的には、直方体形状のチャンバ本体2の背面壁体部3及び底面壁袋部16に沿う方向に細長い外気導入路14を配置し、スリット状の外気供給口15から外気を調気流動路13へ供給するようにしており、直方体形状のチャンバ本体2の平面形はアスペクト比が大きく長手方向に細長く形成され、比較的大きなスペースを占有することとなり、また実際は、各吹き出し口の風量バランスを平均化するのが容易ではない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−331134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、空調機で調和された調和空気と外気とを混合して分岐して送出するチャンバーに関し、コンパクトに構成でき、チャンバーの各送出口から送出される空気の風量バランスも良好なチャンバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る空気調和装置用分岐型チャンバーは、ボックス状をなすチャンバー本体に、空調機から供給される調和空気を導入する調和空気導入口と、外気を導入する外気導入口と、導入した調和空気と外気との混合空気を前記チャンバー本体外へ送出させる複数の送出口とを備えた空気調和装置用分岐型チャンバーであって、
前記チャンバー本体は、チャンバー外箱と、該チャンバー外箱の内側にクリアランスを設けてほぼ同心的に配設されたチャンバー内箱とによって二重構造をなし、
前記チャンバー外箱は、その側壁に、空調機から供給される調和空気を導入する一つの調和空気導入口と、導入した調和空気が送出される複数の送出口であって、それぞれチャンバー外箱中心部をほぼ中心として異方向を指向する向きに前記外箱の側壁から突出形成された送出口とを備え、
前記チャンバー内箱は、外気を導入する一つの外気導入口と、導入した外気を分岐して送出するための複数の外気送出口であって、前記内箱の側壁から前記送出口の各位置をそれぞれ指向する向きに突出形成された外気送出口とを備え、
前記空調機から供給される調和空気と外気との混合空気を前記送出口から送出するように構成したことを主要な特徴とする。
(2)前記チャンバー外箱及び前記チャンバー内箱は、それぞれ円筒状に形成された側壁を備えてなるものである。
(3)前記チャンバー内箱の上面又は下面が開口して前記外気導入口を形成しており、前記チャンバー外箱の天井部又は底部に設けた透孔を通して前記外気導入口へ外気を導入するように構成したものである。
(4)前記チャンバー内箱の側壁に前記外気導入口が形成され、前記チャンバー外箱の側壁に設けた透孔を通して前記外気導入口へ外気を導入するように構成したものである。
(5)前記チャンバー内箱の外気送出口は、側面視、千鳥状に配置されてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
(1)本発明によれば、空調機が停止しても外気の各部屋への供給が停止することのないのは勿論のこと、コンパクトに構成でき、取り扱いやすく、設置スペースも大きくならず、チャンバーの各送出口から送出される空気の風量バランスも良好である。
また、送出口から末端の部屋の吹出口までダクトを直線状に近い状態で吊り込める。したがって、施工しやすく、また、ダクトの長さを短くできるとともに、ダクトの曲げが少なく済むため、ダクトの抵抗の差異が生じにくく、チャンバーによる良好な風量バランス性能を維持することができる。
(2)チャンバー外箱及びチャンバー内箱は、それぞれ円筒状に形成された側壁を備えてなるものとすることにより、各箱の側壁として、既存の空調ダクトを利用することができ、製造コストを大幅に削減することができる。
(3)チャンバー内箱の上面又は下面が開口して外気導入口を形成しており、チャンバー外箱の天井部又は底部に設けた透孔を通して外気導入口へ外気を導入するように構成することにより、外気導入口を簡便に形成することができる。設置作業等を行う上でも、外気導入口の位置がわかりやすくて便利である。
(4)チャンバー内箱の側壁に外気導入口が形成され、チャンバー外箱の側壁に設けた透孔を通して外気導入口へ外気を導入するように構成することにより、設置上、上下方向にダクトが突出せず、チャンバーの上下のスペースを大きくとる必要がない。
(5)前記チャンバー内箱の外気送出口は、側面視、千鳥状に配置されてなるものである構成により、チャンバー外箱の送出口を指向する、チャンバー内箱側壁の適正な位置に外気送出口を設けるとともに、チャンバー内箱の側壁において各外気送出口の位置が近接することを防ぎ、チャンバー内箱の剛性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は実施例1に係る空気調和装置用分岐型チャンバー1の平面図、(b)は同正面図である。
【図2】実施例1に係る空気調和装置用分岐型チャンバー1の説明図(平面図)である。
【図3】(a)は実施例1のチャンバー内箱を示す平面図、(b)は同正面図である。
【図4】(a)は実施例2に係る空気調和装置用分岐型チャンバー1の平面図、(b)は同正面図である。
【図5】(a)は実施例2のチャンバー内箱を示す平面図、(b)は同正面図である。
【図6】(a)は実施例3に係る空気調和装置用分岐型チャンバー1の平面図、(b)は同正面図である。
【図7】(a)は実施例3のチャンバー内箱を示す横断面図、(b)は図6B−B線におけるチャンバー内箱の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基いて説明する。チャンバーを形成する板材の厚さは省略して実線で示している。各図において同じ要素、部材には同じ符号を用い、その説明を適宜省略する場合がある。
図1(a)は実施例1に係る空気調和装置用分岐型チャンバー1の平面図、図1(b)は同正面図である。図2は実施例1に係る空気調和装置用分岐型チャンバー1の説明図(平面図)である。図3(a)は実施例1のチャンバー内箱を示す平面図、図3(b)は同正面図である。図3においてチャンバー内箱を太い実線で、チャンバー外箱を鎖線で示している(図5、図7も同様)。
【実施例1】
【0010】
<チャンバー外箱>
空気調和装置用分岐型チャンバー1のチャンバー外箱10は、側壁11、天井部12及び底部13を有し、ボックス状に形成されている。図示の例では、側壁11は円筒形に形成され、平面形状は円形をなし、全体として直径に対し、やや高さの低い円筒状に形成されている。
【0011】
チャンバー外箱10は、その側壁11に、空調機から供給される調和空気を導入する一つの調和空気導入口20と、導入した調和空気が送出される複数の送出口であって、それぞれチャンバー外箱中心部Sをほぼ中心として異方向を指向する向きに(放射状に)外箱の側壁11から突出形成された送出口31,32,33,34とを備えている。図示の例は4つの送出口を備えたものである。送出口の数は、3〜9程度の数とすることができる。各送出口31,32,33,34の径はそれぞれ同じ大きさに形成されており、調和空気導入口20の径は、これら送出口より大きい径を有している。
調和空気導入口20及び送出口31,32,33,34は、円筒状をなし、チャンバー外箱10の側壁11(開口部)から半径方向外方に向けて突出して設けられており、ダクトが外嵌固定される接続部を形成している。
また、チャンバー外箱の底部13には、後で述べるチャンバー内箱40の外気導入口50に対応する位置に透孔13aが設けられており、該透孔13aに外気導入口50が位置するものとなっている。この透孔13aには、外気を導くダクトを固定するための、エルボー管その他の適宜形状の接続部(管)を設けることができる(図示省略)。
【0012】
図2に示すように、複数の送出口31,32,33,34は、平面視、調和空気導入口20の軸線lを基準として左右対称に配置されている。各送出口31,32,33,34は、それぞれの軸線mがほぼ等角度βをなすように配置されている。しかし、調和空気導入口20とこれと隣り合う送出口31,34のそれぞれの軸線lと軸線mが交叉する角度αは、各送出口31,32,33,34軸線m同士が交叉する角度βよりも大きく形成されている。図に示す例では、各送出口31,32,33,34の軸線m同士が交叉する角度βは約60°であり、調和空気導入口20とこれと隣り合う送出口31,34のそれぞれの軸線l,mが交叉する角度は、約90°である。調和空気導入口20とこれと隣り合う送出口31,34のそれぞれの軸線l,mが交叉する角度αは、良好な風量バランスを得る上で、80°、より好ましくは90°以上である。
【0013】
チャンバー外箱10と、調和空気導入口20と、送出口31,32,33,34とのそれぞれの大きさの関係は、特に限定されるものではないが、調和空気導入口20の直径を1とした場合、送出口31,32,33,34の直径0.4〜0.7、チャンバー外箱1の直径(平面形)1.4〜2.0程度が好ましい一例として挙げられる。
【0014】
チャンバー外箱10の材質は、亜鉛メッキ鋼板等の金属材料が好ましく用いられる。円筒状のチャンバー外箱10にあっては、その側壁11として、既存の大径な空調ダクトを利用することができる利点がある。チャンバー外箱10の内面、例えば側壁11、天井部12、底部13の内面には吸音・断熱材を施すことができる。吸音・断熱材は、グラスウール、ロックウール、セラミックウール等の不燃性材料を用いて構成し得る。好ましくは、吸音・断熱材の繊維の飛散、脱落を防止するため、最内面に黒色樹脂等をコーティングして皮膜を形成したものが用いられる。なお、外箱10の側壁の上縁部の適宜箇所には例えば3箇所程度、適宜吊り金具を設けることができる(図示省略)。
【0015】
調和空気導入口20及び複数の送出口31,32,33,34を円筒状に形成する場合、これらの材質は、特に限定されるものではないが、亜鉛鋼鈑等の金属材料が好ましく用いられる。公知の管継手を利用することができる。
【0016】
<チャンバー内箱>
図3に示すように、チャンバー外箱10の内側(内周全域)にはクリアランスCを設けて、チャンバー外箱10内にチャンバー内箱40がほぼ同心的に配設され、チャンバー外箱10とチャンバー内箱40とによって二重構造をなしている。
チャンバー内箱40は、側壁41、上面42を有し、図示の例では下面43が開口して(全面的又は部分的に開口するもののいずれであってもよい。)、ボックス状に形成されている。図示の例では、側壁11は円筒形に形成され、、平面形状は円形をなし、全体として直径に対し、高さの高い円筒状に形成されている。
チャンバー外箱10とチャンバー内箱40とをそれぞれ円筒状に形成する場合、その直径の比率は1:0.2〜0.6程度である。チャンバー内箱40の高さは、チャンバー外箱10に納まればよく特に限定されない。図示の例では、チャンバー内箱40の上面42とチャンバー外箱10の天井部12との間にクリアランスを設けている。
【0017】
チャンバー内箱40は、外気を導入する一つの外気導入口50と、導入した外気を分岐して送出するための複数の外気送出口であって、内箱の側壁41(開口部)から送出口31,32,33,34の各位置をそれぞれ指向する向きに突出形成された、円筒状の外気送出口61,62,63,64とを備えている。
図示の例では、開口する下面43が外気導入口50となっている。そして、この外気導入口50が前記のとおり、チャンバー外箱の底部13に設けた透孔13aに適合する位置となるようにチャンバー内箱40はチャンバー外箱10内に配置、固定される。
各外気送出口61,62,63,64は、送出口31,32,33,34に対応して、各送出口の軸線方向の投影面内に位置するように配設されており、各外気送出口と各送出口の、空気の流れる方向は一致する。外気送出口61,62,63,64の長さは特に限定されないが、製作上、前記クリアランスCに納まる長さが好ましい。
各外気送出口61,62,63,64の径は、各送出口31,32,33,34の径よりも小さく形成される。例えば、送出口31,32,33,34の径に対し、0.1〜0.9程度とすることができる。
また、上記外気送出口61,62,63,64は、側面視、千鳥状に配置されている。これにより、チャンバー内箱40の側壁41において各外気送出口61,62,63,64の位置が近接することを防ぎ、チャンバー内箱の剛性の低下を防止することができる。
チャンバー内箱40のチャンバー外箱10に対する固定手段は限定されないが、例えば、チャンバー内箱40をチャンバー外箱10の天井部12又は底部13に溶接し固定する。また、チャンバー内箱40に取り付けた外気導入口50をチャンバー外箱10の側壁11に溶接し固定する等、可能である。
なお、外気導入口50に導入される外気は、外から直接取り入れた新鮮外気(OA)のほか、外気温度を適正温度にして、制御され「調和」された外気(調和外気:SOA)を含む。
チャンバー外箱10及びチャンバー内箱40は、円筒形の他、多角形状の筒に形成することも可能である。円筒形あるいは多角形状の筒のいずれに形成する場合も、その平面形は、縦と横の寸法がほぼ同じか、縦寸法及び横寸法それぞれの最大長さの比が1.2〜1:1の範囲にあるものがコンパクトでよい。
チャンバー内箱40の材質は、亜鉛メッキ鋼板等の金属材料、その他適宜材料を用いることができる。チャンバー内箱40の内面には、必要に応じて、チャンバー外箱10と同様に吸音・断熱材を施すことができる。
【0018】
<作用>
しかして、空調機から供給される調和空気は、チャンバー外箱10の調和空気導入口20からチャンバー外箱10に導入され、分岐して各送出口31,32,33,34から送出される。また、外気導入口50からチャンバー内箱40に導入された外気は、分岐して外気送出口61,62,63,64を通り、各送出口31,32,33,34へ送られ、この各送出口31,32,33,34からチャンバー本体外へと送出される。
すなわち、空調機から供給される調和空気と外気とが各送出口31,32,33,34で混合されて混合空気として各送出口31,32,33,34から送出される。
また、空調機停止の場合、外気のみを外気導入口50からチャンバー内箱40に導入し、外気のみを各送出口31,32,33,34から送出し、各部屋へ供給することができる。
【実施例2】
【0019】
図4,図5に示す実施例2は、送出口の数を6つ有する例を示すものである。以下、主に実施例1と相違する部分について説明する。
送出口31,32,33,34,35,36は、側面視、水平方向に複数個整列されるとともに、上下(上下方向)に複数段配置されている。この実施例では、側面視、上下に二段配置されており、上段に3つの送出口31,33,35が、また、下段に3つの送出口32,34,36が夫々配置されている。
また、送出口31,32,33,34,35,36は、側面視、千鳥状に配置されている。つまり、上段の送出口31,33,35と下段の送出口32,34,36とは、互いに水平方向の位置をずらして、ジグザグ状になるように配置されている。
【0020】
複数の送出口31,32,33,34,35,36は、平面視、調和空気導入口20の軸線lを基準として左右対称に配置されている。各送出口31,32,33,34,35,36は、それぞれの軸線mがほぼ等角度βをなすように配置されている。しかし、調和空気導入口20とこれと隣り合う送出口31,34のそれぞれの軸線lと軸線mが交叉する角度αは、各送出口31,32,33,34軸線m同士が交叉する角度βよりも大きく形成されている。図に示す例では、各送出口31,32,33,34,35,36の軸線m同士が交叉する角度βは約36°であり、調和空気導入口20とこれと隣り合う送出口31,36のそれぞれの軸線l,mが交叉する角度は、約90°である。
【0021】
チャンバー内箱40の各外気送出口61,62,63,64,65,66は、送出口31,32,33,34,35,36に対応して6個、各送出口の軸線方向の投影面内に位置するように配設されており、各外気送出口と各送出口の、空気の流れる方向は一致する。
また、上記外気送出口61,62,63,64,65,66は、側面視、上下(方向)に四段に配置されており、水平レベルが異なる4つの位置に送出口が側面視、千鳥状となるように配置されている。つまり、送出口61,62,63,64,65,66は、順次水平方向の位置をずらして、ジグザグ状になるように配置されている。
【実施例3】
【0022】
図6,図7に示す実施例3は、送出口の数を4つ有する例を示すものである。以下、主に実施例1と相違する部分について説明する。
この実施例3は、チャンバー内箱40の側壁41に外気導入口50が形成され、チャンバー外箱10の側壁11に設けた透孔15を通して外気導入口50へ外気を導入するように構成したものである。
外気導入口50は、円筒状をなし、チャンバー内箱40の側壁41(開口部)から半径方向に突出形成されている。さらに、チャンバー外箱10の側壁11に設けた透孔15を貫通して、チャンバー外箱10の外方へと突出形成されている。この突出部分に外気を導入するためのダクトが固定される。
【0023】
このタイプの実施例では、平面視、調和空気導入口20の軸線lと外気導入口50の軸線nとを一致させようとするとチャンバーの高さが必要以上に高くなるため、上記軸線lとnとをずらして(この例では60〜80°程度)、調和空気導入口20と外気導入口50とを設けている。
チャンバー外箱10に設けられる送出口31,32,33,34の各軸線mは約50°で等角度βをなすが、平面視、調和空気導入口20の軸線lと外気導入口50の軸線nとが一致しないため、これら両方の軸線を基準として左右対称な送出口を設けることは不可能である。
調和空気導入口20の軸線lと、調和空気導入口20に最も近い位置にある送出口34の軸線mとの角度α1を送出口間の角度βよりも大きくするとともに、外気導入口50の軸線nと、外気導入口50と最も近い位置にある送出口31の軸線mとの角度α2を送出口間の角度βよりも大きくして、各送出口の風量バランスの均一化を図っている。また、外気導入口50の軸線nと、各送出口の軸線m(及び各外気送出口の軸線)との水平レベルの位置を変えて各送出口の風量バランスの均一化を図っている。
各送出口31,32,33,34の水平レベルの位置は同じであり、各外気送出口61,62,63,64の水平レベルの位置も同じである。
符号45はチャンバーの内面に施された吸音・断熱材である。
【0024】
<試験例>
前記実施例2の構成を備えた空気調和装置用分岐型チャンバー1(6個の送出口)は、本発明のような二重構造を有しない直方体形状のチャンバー(比較例:同じ送出口の数で送出口及び外気導入口の径は実施例と同じであり、送出口を直方体の長手方向に整列させて配置したもの)に比べて、本体の占有体積において約3割ほど低減可能であった。
各送出口から送出される空気の風量バランスも良好な結果が得られた。
外気のみを外気導入口からチャンバー内箱に導入し、各送出口から送出する場合の風量バランスは、比較例のものでは大きな偏りが見られたのに対し、実施例のものは偏りが小さく格別に優れていた。このとき、比較例のものでは、調和空気導入口側への外気の逆流が見られたが、実施例のものでは、調和空気導入口からの誘引が確認された。
【符号の説明】
【0025】
1 空気調和装置用分岐型チャンバー
10 チャンバー外箱
11 側壁
13a 透孔
20 調和空気導入口
31,32,33,34,35,36 送出口
40 チャンバー内箱
50 外気導入口
61,62,63,64,65,66 外気送出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス状をなすチャンバー本体に、空調機から供給される調和空気を導入する調和空気導入口と、外気を導入する外気導入口と、導入した調和空気と外気との混合空気を前記チャンバー本体外へ送出させる複数の送出口とを備えた空気調和装置用分岐型チャンバーであって、
前記チャンバー本体は、チャンバー外箱と、該チャンバー外箱の内側にクリアランスを設けてほぼ同心的に配設されたチャンバー内箱とによって二重構造をなし、
前記チャンバー外箱は、その側壁に、空調機から供給される調和空気を導入する一つの調和空気導入口と、導入した調和空気が送出される複数の送出口であって、それぞれチャンバー外箱中心部をほぼ中心として異方向を指向する向きに前記外箱の側壁から突出形成された送出口とを備え、
前記チャンバー内箱は、外気を導入する一つの外気導入口と、導入した外気を分岐して送出するための複数の外気送出口であって、前記内箱の側壁から前記送出口の各位置をそれぞれ指向する向きに突出形成された外気送出口とを備え、
前記空調機から供給される調和空気と外気との混合空気を前記送出口から送出するように構成した、空気調和装置用分岐型チャンバー。
【請求項2】
前記チャンバー外箱及び前記チャンバー内箱は、それぞれ円筒状に形成された側壁を備えてなる、請求項1に記載の空気調和装置用分岐型チャンバー。
【請求項3】
前記チャンバー内箱の上面又は下面が開口して前記外気導入口を形成しており、前記チャンバー外箱の天井部又は底部に設けた透孔を通して前記外気導入口へ外気を導入するように構成した、請求項1又は2に記載の空気調和装置用分岐型チャンバー。
【請求項4】
前記チャンバー内箱の側壁に前記外気導入口が形成され、前記チャンバー外箱の側壁に設けた透孔を通して前記外気導入口へ外気を導入するように構成した、請求項1又は2に記載の空気調和装置用分岐型チャンバー。
【請求項5】
前記チャンバー内箱の外気送出口は、側面視、千鳥状に配置されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和装置用分岐型チャンバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−47606(P2011−47606A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197782(P2009−197782)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(591029921)フジモリ産業株式会社 (65)
【Fターム(参考)】