説明

空気調節装置

【課題】 吹出口から吹き出す空気流の妨げとなることなくイオンを発生させることが可能で、かつユーザー自らが容易にイオン発生電極を交換可能な空気調節装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 空気を吹き出す吹出口に設置される風向変更板30と、風向変更板30に着脱自在に取り付けられるイオン発生ユニット40とを備え、風向変更板30に凹部32が形成され、凹部32は、イオン発生ユニット40よりも一方向に大きく形成され、凹部32の一方向両端のうち一端側から離れた所定の位置でのみイオン発生ユニット40を凹部32に嵌め込み可能にするとともに、凹部32に嵌め込んだイオン発生ユニット40をスライド可能に保持するガイド機構が設けられ、ガイド機構によって凹部32に嵌め込んだイオン発生ユニット40を一方向一端側にスライド移動させることで、イオン発生ユニット40を風向変更板30に固定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を吹き出す吹出口に風向変更装置を備えた送風機、空気調和機、空気清浄機、加湿機、除湿機、冷房機、暖房機等の空気調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、付加価値の高い空気調和機として、放電により正負イオンを発生するイオン発生装置を搭載したものが登場している。正負イオンは、空気流によって送られる過程で障害物に衝突すると消滅する性質がある。
【0003】
したがって、空気調和機におけるイオン発生装置の取り付け位置としては、空気吹出口に設置されるルーバよりも下流側が望ましく、吹出口の若干上に設けたり、特許文献1に示すように、ルーバ表面にイオンを発生するイオン発生電極を形成したものが知られている。特に、特許文献1においては、ルーバは、吹出口の中央に位置するため、ルーバ表面で発生したイオンをスムーズに空気流に乗せることができ、正負イオンの供給効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−347264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、イオン発生電極は電圧を印加してイオンを発生させるため、使用条件(印加する電圧の高さや使用時間等)によってはイオン発生量が少なくなる場合がある。しかしながら、特許文献1ではイオン発生電極とルーバとが一体的に形成されているため、実際にイオン発生電極を交換するのは困難であるといった不都合があった。
【0006】
そこで、本発明においては、上記に鑑み、吹出口から吹き出す空気流の妨げとなることなくイオンを発生させることが可能で、かつユーザー自らが容易にイオン発生電極を交換可能な空気調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る空気調節装置は、空気を吹き出す吹出口に設置される風向変更板と、該風向変更板に着脱自在に取り付けられるイオン発生ユニットとを備え、前記風向変更板に凹部が形成され、前記イオン発生ユニットを前記凹部に嵌め込むようにして装着することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、イオン発生電極を他の部品とともにケーシングに収容してユニット化し、これを風向変更板に形成した凹部に嵌め込むようにして装着するようにしたため、取扱いが容易でユーザが自らイオン発生電極を交換することが可能となる。
【0009】
また、イオン発生ユニットを凹部に嵌め込むようにしたため、イオン発生ユニットが吹出口から吹き出す空気流の障害となりにくい。なお、この場合、あえて風向変更板を板厚にして凹部を形成することになるが、風向変更板の断面形状を流線形とすることにより吹出口から吹き出す空気の流れを乱すことなくスムーズに遠方まで空気を送出することができる。
【0010】
上記発明において、凹部は、前記イオン発生ユニットよりも一方向に大きく形成され、前記凹部の一方向両端のうち一端側から離れた所定の位置でのみ前記イオン発生ユニットを凹部に嵌め込み可能にするとともに、凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットをスライド可能に保持するガイド機構が設けられ、前記ガイド機構によって凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットを一方向一端側にスライド移動させることで、イオン発生ユニットを前記風向変更板に固定することができる。
【0011】
すなわち、イオン発生ユニットを単に凹部に嵌め込むだけでは風向変更板から脱落するおそれが生じるところ、上記構成のように、凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットを、嵌め込み方向に対して直交する方向にスライド移動させることにより、イオン発生ユニットの脱落を防止することができる。
【0012】
なお、イオン発生ユニットをスライド移動させる方向は、風向変更板の回動軸方向に対して平行な方向とするのが好ましい。これにより、風向変更板の回動動作によってイオン発生ユニットのスライド位置がずれるなどの影響を受けにくくすることができる。
【0013】
さらに、凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットを一方向一端側にスライド移動させ、凹部の一方向他端側の内面とイオン発生ユニットとの間にできたスペースに移動規制部材を介挿することにより、イオン発生ユニットのスライド移動を規制(ロック)するようにすれば、イオン発生ユニットが風向変更板から脱落するのを確実に防止することができる。
【0014】
移動規制部材を凹部スペースに介挿する方式については限定されるものでなく、たとえば、上記スペースに向けて進退自在にスライド可能に設けることができる。また、移動規制部材を、イオン発生ユニットの移動を規制する介挿姿勢とイオン発生ユニット移動の規制を解除する解除姿勢との間で切換回動自在に設けることも可能である。
【0015】
このように、移動規制部材の動作をイオン発生ユニットのスライド移動動作とは別の回動動作とすることで、移動規制部材が解除姿勢にあることを作業者が視認しやすくすることができる。したがって、移動規制部材を介挿姿勢にすべきことの注意を喚起しつつ確実にイオン発生ユニットの移動を規制することができる。
【0016】
移動規制部材は、イオン発生ユニットが所定の位置まで移動していない場合は、イオン発生ユニットにぶつかって介挿姿勢をとることができない。従って、移動規制部材は、介挿姿勢をとることでイオン発生ユニットが所定位置まで移動したことを保証する機能をも有している。特に、後述のごとく、イオン発生ユニットを所定位置まで移動させることでコネクタが電気的に接続されるような場合に、確実にコネクタの接続を確保することが可能となる。
【0017】
ガイド機構は、前記イオン発生ユニットの一方向両側面又は前記凹部の一方向に沿った両側内面のいずれか一方に形成された突起部と、他方に形成され、前記突起部をスライド可能に係合するガイド部とを備え、前記ガイド部は、前記一方向に沿って設けられる横案内路と、一端が前記横案内路の途中で横案内路に対して直交する方向に接続され、他端が前記凹部周縁部に開口する縦案内路とからなる構成とすることができる。この場合、突起部は、前記縦案内路を通じて前記横案内路に導入可能とされる。すなわち、縦案内路がイオン発生ユニットを凹部に嵌め込む際の突起部の案内路となり、横案内路がイオン発生ユニットをスライド移動させる際の突起部の案内路となる。
【0018】
上記構成においては、突起部が前記横案内路に導入された状態で、イオン発生ユニットを凹部の一方向一端側から他端側に向けて突き当たるまで移動させたときに、前記突起部が、前記縦案内路を通り越し、縦案内路から見て移動前とは反対側の横案内路内で止まるようにするのが望ましい。
【0019】
すなわち、イオン発生ユニットを凹部に嵌め込んで固定するだけならば、縦案内路と横案内路とを単にL字状に接続すればよい。しかし、このような構成ではイオン発生ユニットを凹部から取り外す際に、イオン発生ユニットを凹部他端側に向かって突き当りまでスライドさせたときに、突起部がそのまま縦案内路をスライドしていきなりイオン発生ユニットが外れることがある。
【0020】
これに対して、本発明においては、縦案内路を横案内路の途中に接続したため、突起部が横案内路の端部に突き当たったときには縦案内路を通り越した位置にある。従って、突起部は横案内路内で保持され、凹部から外れることはない。よっていきなりイオン発生ユニットが外れて作業者が慌てるといった事態を招くことがない。
【0021】
この場合、イオン発生ユニットを凹部から外すには、横案内路中を一方向他端側に突きあたるまで移動させたイオン発生ユニットを少し一端側へバックさせ、突起部を縦案内路の接続位置に合わせ、そこから縦案内路を通じて突起部を外部へ引き出す。このように、イオン発生ユニットを凹部から取り外す場合、取扱い方に不注意があった場合でも安全に作業を行うことができる。取り外すための作業を意識して行うことが必要とされ、作業者の注意を喚起することができる。
【0022】
イオン発生ユニットからイオンを発生させるためには、イオン発生ユニットに電源を供給することが必要となる。そこで、本発明においては、イオン発生ユニットの一方向一端面と、前記凹部の一方向一端側の内面とに、風向変更板とイオン発生ユニットとを電気的に接続する一対のコネクタが形成され、前記コネクタは雄型コネクタと雌型コネクタとからなり、前記イオン発生ユニットを凹部の一方向一端側にスライド移動させたときに、前記雄型コネクタと雌型コネクタとが係合する構成を採用した。
【0023】
上記構成によれば、イオン発生ユニットを風向変更板に装着するために凹部をスライド移動させるときに、同時にコネクタの接続を行うことが可能となる。なお、前述の移動規制部材を介挿姿勢にすることにより、コネクタを接続した状態で固定することが可能となり、安全性を向上させることができる。
【0024】
コネクタは、安全性を考慮すると、イオン発生ユニットの一方向一端面に雄型コネクタを形成し、凹部の一方向一端側の内面に雌型コネクタを形成するのが好ましい。この場合、電極端子は雄型コネクタの表面側に形成するのではなく、底面側に形成するようにすれば、イオン発生ユニットを風向変更板に対して着脱する際に、手指が電極端子に触れて感電する危険性を回避することができる。
【0025】
さらに、イオン発生ユニットを凹部に嵌め込んだ状態で、雄型コネクタの表面側に、雄型コネクタへの手指の進入を防止する保護カバーが形成された構成を採用すれば、より確実に感電の危険性を回避することが可能となる。
【0026】
ガイド機構によってイオン発生ユニットを凹部に嵌め込む際に、イオン発生ユニットを凹部のどの位置に合わせたらよいのかわかりにくい場合がある。そこで、本発明においては、イオン発生ユニットと凹部の両方に、イオン発生ユニットが前記凹部に嵌め込み可能な位置になったときに相対向するように位置合わせ表示を設けるようにした。位置合わせ表示としては、例えば、色彩を施したマークとすることができるほか、凹凸等の立体表示とすることも可能である。
【0027】
イオン発生ユニットは、ケーシングと、前記ケーシング内に収容されるイオン発生素子とを備え、前記ケーシングは、イオン発生ユニットを風向変更板に装着した状態で、前記凹部内に収容される下部ケーシングと、風向変更板の表面から突出し、内部に空間を有する上部ケーシングとからなり、前記上部ケーシングに、風向変更板の表面に沿って流れる風の向きに合わせてその上流側と下流側とに開口が形成され、前記上部ケーシング内の空間に前記イオン発生素子からイオンを発生させるようにした構成とすることができる。
【0028】
上記構成によれば、上部ケーシング内の空間にイオンを発生させつつ、発生したイオンは、2つの開口の間を通過する風に乗せてスムーズに外部に放出することができる。すなわち、上部ケーシング内の空間はイオンを発生させるための空間としての機能と、通風路としての機能を併せ持つ。
【0029】
イオン発生ユニットは、例えば、H+(H2O)m(mは任意の自然数)で表わされる正イオンおよびO2-(H2O)n(nは任意の自然数)で表わされる負イオンのいずれか一方のイオンを発生するものであればよく、同一のイオン発生部から正負イオンを交互に発生させるものであってもよいが、正イオンと負イオンとを別々に発生させるものが好ましい。
【0030】
イオン発生ユニットとして、正イオン発生部と、負イオン発生部とを別個に形成する場合、各イオン発生ユニットは、風向変更板に沿って流れる風の向きに対して間隔をおいて並列に配置するのが好ましい。これによって、各イオン発生ユニットで発生した正負イオンが互いに接触・反応して消滅することを抑制することが可能となる。なお、負イオンを発生させるイオン発生ユニットであっても良い。
【0031】
上述した風向変更板として、具体的には、キャビネットの一部として前記吹出口の前側に設けられる導風パネルを挙げることができる。また、上記導風パネルを備えた空気調和機において、導風パネルの姿勢に応じて上下方向の角度を変え、吹出口から吹き出される風を整流しながら上下方向の風向きを変える補助ルーバを風向変更板とし、ここにイオン発生ユニットを設けることも可能である。
【0032】
また、従来の空気調和機の吹出口に設置される複数のルーバからなるルーバ群の少なくとも1つのルーバを本発明でいう風向変更板とし、イオン発生ユニットを設けるようにすることも可能である。
【0033】
本発明に係る空気調節装置としては、具体的には、送風機、空気調和機、加湿機、除湿機、空気清浄機、冷房機、暖房機等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のとおり、本発明によると、風向変更板に凹部が形成され、前記イオン発生ユニットを前記凹部に嵌め込むようにして装着するようにしたため、吹出口から吹き出す空気流の妨げとなることなくイオンを発生させることが可能で、かつユーザー自らが容易にイオン発生電極を交換することが可能となる。
【0035】
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態を示す空気調和機の室内ユニットの斜視図
【図2】導風パネルが閉まっているときの室内ユニットの概略断面図
【図3】導風パネルが下開きしたときの室内ユニットの斜視図
【図4】導風パネルが上開きしたときの室内ユニットの概略断面図
【図5】補助ルーバの斜視図
【図6】補助ルーバからイオン発生ユニットを取り外した状態を示す部分斜視図
【図7】補助ルーバにイオン発生ユニットを嵌め込んだ状態を示す部分斜視図
【図8】補助ルーバに嵌め込んだイオン発生ユニットをスライド移動させて固定した状態を示す部分斜視図
【図9】図7におけるコネクタ部分を示す一部拡大断面図
【図10】図8におけるコネクタ部分を示す一部拡大断面図
【図11】移動規制部材を規制姿勢にした状態を示す部分斜視図
【図12】イオン発生ユニットを取り外す方向に突き当たるまで移動させた状態を示す部分斜視図
【図13】イオン発生装置の機能ブロックを示す図
【図14】イオン発生素子の分解斜視図
【図15】上部ケーシングを取り除いたイオン発生ユニットを示す概略平面図
【図16】図15とは別の態様のイオン発生ユニットを示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。本実施形態においては、空気調節装置として、冷暖房機能をメインとするセパレート型空気調和機の室内ユニットを用いた場合について説明する。図1は、空気調和機の室内ユニットの外観斜視図であり、図2は、図1における室内ユニットの断面図である。
【0038】
室内ユニットは、熱交換器1及び室内ファン2を備え、これらがキャビネット3に内装されている。キャビネット3は、前面から底面にかけて湾曲面とされる。キャビネット3の上面に吸込口4が形成され、湾曲面に吹出口5が形成される。
【0039】
キャビネット3の内部には、吸込口4から吹出口5に至る空気通路6が形成され、この空気通路6に熱交換器1と室内ファン2とが配設される。吸込口5と熱交換器1との間にフィルター7が配され、吸込口4から吸込んだ室内の空気から塵埃を除去する。このフィルター7を清掃する清掃装置8が設けられる。
【0040】
清掃装置8は、キャビネット3内でフィルター7を移動させて、塵埃除去部9を通過させ、塵埃除去部9において、フィルター7に付着した塵埃を除去する。キャビネット3内の前側に、側面視でU字形に湾曲したフィルター移動路10が形成され、モータ、ギアからなる移動部が、フィルター7をフィルター移動路10に沿って往復移動させる。塵埃除去部9において、回転ブラシにより、通過するフィルター7から塵埃を掻き取り、吸引ファンにより、フィルター7と略平行方向(左右方向)に空気を流して、掻き取った塵埃を吸引して排出する。
【0041】
キャビネット3の湾曲面には、吹出口5を開閉する導風パネル20が設けられる。図3及び図4に示すように、導風パネル20は、上下両開き可能で、かつキャビネット3に対して着脱自在とされる。このような構成は公知であり、例えば、特開2009−63258号公報記載の機構を採用することで実現可能である。
【0042】
導風パネル20は、湾曲した1枚のパネルによって形成され、導風パネル20の幅は、キャビネット3の幅と同寸とされ、吹出口5の幅より大とされる。そして、キャビネット3の前面には、前面の中段部分から底面にかけて、一段低くなるように前パネル21が形成される。これによって幅方向全体に凹状部が形成され、凹状部に導風パネル20が嵌るようになっている。凹状部を形成する前パネル21に開口が形成され、この開口が吹出口5である。そのため、導風パネル20は、吹出口5よりも前方に位置することになり、吹出口5および吹出口5の周囲の前パネル21を覆う。このとき、導風パネル20は図2に示す閉姿勢となる。
【0043】
導風パネル20は、その外面がキャビネット3の前面から底面に至る滑らかな湾曲面を構成する。すなわち、導風パネル20が、キャビネット3の前面の一部を構成する部材となる。言い換えれば、キャビネット3のパネルの一部を導風パネル20として利用する。これによって、導風パネル20は、従来の空気調和機に採用されているルーバに比べて全長が長いロングパネルとなる。
【0044】
導風パネル20は、上下の軸を中心にして、異なる方向に回動することにより、上下いずれかの方向に開く。上軸23及び下軸22は、キャビネット3の左右方向と平行に形成される。図3に示すように、導風パネル20は、冷房運転時には下軸22周りに下開きする。この下開き姿勢のとき、導風パネル20は、吹出口5の下壁とつながり、導風パネル20と吹出口5の上壁とによってロングノズルが形成される。導風パネル20は、冷風を斜め上方向に導き、冷風が天井に沿って吹き出す。
【0045】
図4に示すように、暖房運転時には上軸23周りに上開きする。導風パネル20は、この上開き姿勢のとき、吹出口5の前方を遮蔽し、前方に向かって吹き出される温風を押さえ込み、温風を床面方向に導く。なお、冷房運転の初期時にも、導風パネル20は上開き姿勢とされ、冷風が床面方向に吹き出され、急速冷房が行われる。導風パネル20は、図2に示すように、運転停止時には閉姿勢となり、吹出口5を覆って、キャビネット3と一体化する。
【0046】
本実施形態においては、吹出口5には縦ルーバ24のほかに補助ルーバ30が設けられる。縦ルーバ24は、左右方向に角度を変えて、左右方向の風向きを変える。補助ルーバ30は、縦ルーバ24の前方、吹出口5の出口部分に設けられ、導風パネル20の姿勢に応じて上下方向の角度を変え風を整流しながら、吹出口5から吹き出す風Wの上下方向の風向きを変える。本実施形態では、補助ルーバ30を本発明における風向変更板とし、補助ルーバ30にイオン発生ユニット40を着脱自在に装着している。以下、補助ルーバ30について詳述する。
【0047】
図5に示すように、補助ルーバ30は、左右方向Aに長い板状に形成され、前後端部は先細に形成される。すなわち、前後方向Bの断面形状が流線形に形成される。補助ルーバ30の後端部側(基端側)には、左右端部に形成された軸連結部に軸方向を左右方向とする回転軸31が固定される。この回転軸31は、吹出口5に至る空気通路6を形成する上下の壁5a,5bのうち、上壁5a側に配置されて、吹出口5の左右側壁を貫通して回転自在に軸受けされる。そして、回転軸31の軸端には図示しないルーバモータが連結され、該ルーバモータによって回転自在とされる。
【0048】
補助ルーバ30の下面には左右方向に間隔をおいて3箇所に凹部32が形成され、これらの凹部32にそれぞれイオン発生ユニット40が着脱自在に嵌め込まれる。そして、凹部32に嵌め込まれたイオン発生ユニット40は、ガイド機構によって凹部32の一方向一端側と他端側との間をスライド自在に保持される。以下、イオン発生ユニット40を含めた補助ルーバ30の構造について詳述する。なお、図5〜図12においては、補助ルーバの下面を上向きにして表している。また、本実施形態では補助ルーバ30に複数の凹部32を形成しているが、1か所のみに形成してもよい。
【0049】
図6に示すように、凹部32は、左右方向Aの長さがイオン発生ユニット40よりも大きく形成され、前後方向Bの長さがイオン発生ユニット40とほぼ同寸になるように形成されている。したがって、凹部32にイオン発生ユニットを嵌め込んだときには、前後方向Bには両者の間には僅かの隙間しか存在しないが、左右方向Aには両者の間にかなりのスペースが生じる。
【0050】
イオン発生ユニット40は、凹部32に嵌め込まれた状態で、左右方向Aに生じたスペースを利用して左右方向Aにスライド可能とされる。すなわち、本実施形態では、図5〜図12における左右方向Aをイオン発生ユニット40のスライド方向(一方向)とし、凹部の左右方向両端のうち、左端側を一方向一端側、右端側を一方向他端側としている。
【0051】
イオン発生ユニット40は、ガイド機構によって凹部32への嵌め込み及び固定が可能とされる。ガイド機構は、イオン発生ユニット40において左右方向(スライド方向)Aに沿って形成された両側面に設けられた一対の突起部34、34と、凹部32において左右方向Aに沿った両側内面に形成され、突起部34をスライド可能に係合するガイド部35とを備えている。
【0052】
ガイド部35は、凹部周縁部から凹部深さ方向に延びる縦案内路36と、縦案内路36の奥側で縦案内路36に対して直交する方向(左右方向A)に接続する横案内路37とから構成される。縦案内路36及び横案内路37は、凹部32の内面に凹状に形成される。より具体的に、縦案内路36の上端は凹部32の周縁部に露出し、その部分に凹状の開口が形成される。そして、その開口から突起部34が縦案内路36に導入可能とされる。
【0053】
前記横案内路37は、縦案内路36から左右方向Aの左側に延びる第一横案内路37aと、第一横案内路37aとは逆向きに縦案内路36から左右方向Aの右側に延びる第二横案内路37bとからなっている。すなわち、縦案内路36は、左右方向Aに沿って形成される横案内路37の途中で横案内路37に接続するように形成される。
【0054】
縦案内路36は、イオン発生ユニット40が凹部32の左側内面から離れた位置(本実施形態では凹部32の右側内面に近い位置)にあるときに、縦案内路36上端の開口位置と突起部34の位置とが合致するように形成される。その位置でイオン発生ユニット40を凹部32に押し入れることにより、突起部34が縦案内路36を通じて横案内路37に導入される。
【0055】
なお、縦案内路36の形成位置は、イオン発生ユニット40が凹部32の左側内面から離れた位置であれば特に制限はない。従って、例えば、イオン発生ユニット40が凹部32の左右方向中央に位置したときに突起部34と縦案内路36の開口の位置が重なるように形成することができる。ただ、凹部32の左右方向Aの長さをできるだけ短くするためには、イオン発生ユニット40が凹部32の右側内面に近い位置で突起部34と縦案内路36の開口の位置が重なるようにするのが好ましい。
【0056】
イオン発生ユニット40の左端面と、凹部32の左側内面には、イオン発生ユニットに電源を供給するための一対のコネクタ47,48が設けられている。詳しくは、イオン発生ユニット40の左端面に電源入力用の雄型コネクタ47が設けられ、凹部32の左側内面に電源供給用の雌型コネクタ48が設けられている。雌型コネクタ48は、キャビネット3に内蔵される電源とリード線によって接続される。なお、リード線は、回転軸31を経由してキャビネット3から補助ルーバ30内に引き込まれる。また、本実施の形態においては、第一横案内路37aは雌型コネクタ48側に延びる構成となっている。
【0057】
上記構成のガイド機構においてイオン発生ユニット40を凹部32に固定する場合、先ず、図7に示すように、突起部34をガイド部35の縦案内路36の位置に重ね合せてイオン発生ユニット40を凹部32に挿入する。なお、イオン発生ユニット40と、凹部32の周縁部には、突起部34と縦案内路36とが重なりあう位置になったときに相対向するように三角形状の位置合わせ表示33,33が設けられている。
【0058】
位置合わせ表示33,33は、周囲から浮き上がるように凸状に形成されており、イオン発生ユニット40あるいは補助ルーバ30のケーシングの成形時に、位置合わせ表示33,33も同時に形成可能とされている。
【0059】
突起部34は、イオン発生ユニット40が凹部32に嵌め込むことで、縦案内路36を通じて横案内路37に案内される。その状態から左右方向Aの左側に向かってイオン発生ユニット40をスライドさせると、突起部34は、第一横案内路37aをスライド移動する。このように、突起部34が第一横案内路37aによって縦方向への移動を規制されるため、イオン発生ユニット40は補助ルーバ30に固定され、脱落を防止することが可能となる。イオン発生ユニット40が凹部32の左端に到達すると、雄型コネクタ47が雌型コネクタ48に係合する。
【0060】
図8に示すように、イオン発生ユニット40が凹部32の左端まで移動すると、凹部32の右端部にはイオン発生ユニット40の右端面と凹部32の右側内面との間にスペースが生じる。本発明では、このスペースに移動規制部材38を充填し、イオン発生ユニット40の移動を規制するようにしている。
【0061】
具体的に、移動規制部材38は、凹部32の右端部において、凹部32に臨むように設置される。移動規制部材38は、凹部32の後側内面に近接する位置で軸方向が左右方向Aに対して平行とされた回転軸38aまわりに回転自在とされる。そして、移動規制部材38が、イオン発生ユニット40の移動を規制する介挿姿勢とイオン発生ユニットの移動の規制を解除する解除姿勢との間で切換回動自在に設けられる。
【0062】
なお、図8では、移動規制部材38が解除姿勢の状態を示している。図8でわかるように、移動規制部材38が解除姿勢にあるときは、補助ルーバ30から起き上がった状態となるため、移動規制部材38が解除姿勢にあることを視認しやすく、規制姿勢にし忘れることを防止することができる。
【0063】
図9及び図10は、それぞれ図7及び図8におけるコネクタ47,48部分を示す一部拡大断面図である。図示のように、雄型コネクタ47の電極端子47aはコネクタ表面側ではなく、底面側に形成されており、これにより手指が電極端子47aに触れて感電する危険性を回避することができる。雌型コネクタ48の電極端子48aはコネクタ内の底面に形成される。
【0064】
また、雄型コネクタ47の表面側(上方)には、雄型コネクタ47への手指の進入を防止する保護カバー49が形成され、感電の危険性をより確実に回避可能な構成とされている。保護カバー49は、イオン発生ユニット40が凹部32を左方向にスライドして、雄型コネクタ47が雌型コネクタ48に係合する位置まで近づいたときに、雌型コネクタ48が収容された補助ルーバ表面に達するように形成されている。これにより、雄型コネクタ47が通電状態になったときには、イオン発生ユニット40と凹部32の左側内面との間の隙間をなくして雄型コネクタ47への手指の進入を防止する。
【0065】
イオン発生ユニット40を凹部32の左端までスライドさせてコネクタ47、48を係合させた後は、図11に示すように、移動規制部材38を回動させて規制姿勢とし、イオン発生ユニット40のスライド移動を規制する。これにより、コネクタ47,48の接続を確実にすることが可能となる。
【0066】
なお、移動規制部材38の先端には、弾性フック部38bが形成されており、凹部32の前側内面で移動規制部材38に相対向する位置には弾性フック部38bの受け部39が形成されている。移動規制部材38が規制姿勢をとったときには、弾性フック部38bが受け部39に係合し、移動規制部材38は規制姿勢を維持する。
【0067】
イオン発生ユニット40を補助ルーバ30から取り外す場合は、弾性フック部38bを受け部39から離脱させ、移動規制部材38を解除姿勢にした後、イオン発生ユニット40を左右方向Aの右側に向けて縦案内路36の位置までスライド移動させる。これにより、図7と同じ状態となる。その位置でイオン発生ユニット40を表面側に引き上げることにより、突起部34が縦案内路37から脱離し、イオン発生ユニット40を補助ルーバ30から取り外すことができる。
【0068】
このとき、不慣れな作業者がイオン発生ユニット40を突起部34が横案内路37の右端に突き当たるまで移動させた場合には、図12に示すように、突起部34は縦案内路36を通り越して第一横案内路37aとは反対側の第二横案内路37b内で止まる。したがって、イオン発生ユニット40がいきなり凹部32から外れるという不測の事態を招くおそれがない。
【0069】
この場合、イオン発生ユニットを凹部から外すには、イオン発生ユニット40を少し左側へバックさせ、突起部34を縦案内路36の接続位置に合わせ、そこから縦案内路を通じて突起部34を外部へ引き出せばよい。上記構成は、空気調節装置が屋内上方に設置され、イオン発生ユニットの取り外し作業を、作業者がイオン発生ユニットを見上げる姿勢で行う場合に特に有用である。
【0070】
このように、縦案内路36を横案内路37の途中に接続したため、突起部34が横案内路37の端部に突き当たったときには縦案内路36を通り越した位置にある。従って、突起部34は横案内路37内で保持され、凹部32から外れることはない。
【0071】
次に、イオン発生ユニット40の構成について詳しく説明する。図13に示すように、イオン発生ユニット40は、イオン発生素子41と、電源入力コネクタ47と、駆動回路43と、高電圧発生回路44と、正高電圧生成回路45と、負高電圧生成回路46とを備えており、これらはケーシング42内に収容されている。
【0072】
図14に示すように、イオン発生素子41は、上記の誘導電極51と、放電電極52と、基板53とを有している。放電電極52は針状の先端を有している。基板53は、放電電極52を挿通させるための貫通孔53aと、基板挿入部51dの挿入部分51d2を挿通させるための貫通孔53bとを有している。
【0073】
針状の放電電極52は、貫通孔53aに挿入または圧入されて基板53を貫通した状態で基板53に支持されている。これにより、放電電極52の針状の一方端は基板53の表面側に突き出しており、また基板53の裏面側に突き出した他方端には、半田54によりリード線や配線パターンを電気的に接続することが可能となる。
【0074】
誘導電極51の挿入部分51d2は貫通孔53bに挿入されて基板53を貫通した状態で基板53に支持されている。また基板53の裏面側に突き出した挿入部分51d2の先端には半田54によりリード線や配線パターンを電気的に接続することが可能である。
【0075】
誘導電極51が基板53に支持された状態で、支持部分51d1と挿入部分51d2との境界にある段部が基板53の表面に当接する。これにより誘導電極51の天板部51aは基板53に対して所定の距離を保って支持されている。また誘導電極51の基板支持部51eの先端が基板53の表面に補助的に当接している。つまり、基板挿入部51dと基板支持部51eとにより、誘導電極51は基板53に対してその厚み方向に位置決めすることが可能である。
【0076】
また誘導電極51が基板53に支持された状態で、放電電極52は、その針状の先端が円形の貫通孔51bの中心に位置するように、かつ貫通孔51bの周縁部の厚み(つまり屈曲部51cの屈曲長さ)の範囲内に位置するように配置されている。
【0077】
正イオンと負イオンの両極性のイオンを放出させるためには、正イオンを発生させる放電電極52の針状の先端位置と負イオンを発生させる放電電極52の針状の先端位置との各々を、互いに所定の距離を確保して配置し、かつ誘導電極51の貫通孔51bの中心に合わせ、かつ誘導電極51の貫通孔51bの厚み範囲内に配置することにより、誘導電極51と放電電極52の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
【0078】
上記のイオン発生素子41において、板状の誘導電極51と針状の放電電極52とを上記のように所定の距離を確保して配置し、誘導電極51と放電電極52との間に高電圧を印加すると、針状の放電電極52の先端でコロナ放電が生じる。このコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかのイオンが発生し、このイオンが誘導電極51に設けられた貫通孔51bからイオン発生素子41の外部に放出される。さらに送風を加えることで、より効果的にイオンを放出することが可能となる。
【0079】
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表される。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)として表される。
【0080】
また正イオン及び負イオンの両極性のイオンを放出すれば、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0081】
上記のイオン発生装置においては、一方の放電電極52の先端では正コロナ放電を発生させて正イオンを発生させ、他方の放電電極52の先端では負コロナ放電を発生させて負イオンを発生させる。印加する波形はここでは、特に問わず、直流、正負にバイアスされた交流波形や正負にバイアスされたパルス波形などの高電圧とする。電圧値は放電を発生させるに十分かつ、所定のイオン種は生成させる電圧領域を選定する。
【0082】
なお、イオン発生装置は本実施形態のイオン種に限定されるものではなく、他のイオン種を発生するものであってもよく、例えば、負イオンを発生させるものであってもよい。
【0083】
電源入力コネクタ47においては、コネクタ48を通じて入力電源としての直流電源や商用交流電源の供給を受ける。電源入力コネクタ47を介して入力電圧を供給された駆動回路43は、高電圧発生回路44を駆動させることにより入力電圧を昇圧させて高電圧を発生させる。高電圧発生回路44の一端は誘導電極51に電気的に接続されている。また高電圧発生回路44は、正高電圧生成回路45を通じて、正イオンを発生させる針状の放電電極52に誘導電極51に対し正極性の高電圧を印加し、また負高電圧生成回路46を通じて、負イオンを発生させる針状の放電電極52に誘導電極51に対し負極性の高電圧を印加する。
【0084】
ケーシング42内の配置については、中央部に駆動回路43、高電圧発生回路44、正高電圧生成回路45および負高電圧生成回路46が設置されており、その左右両側にイオン発生素子41が配されている。すなわち、駆動回路43、高電圧発生回路44、正高電圧生成回路45および負高電圧生成回路46は共用とし、正高電圧生成回路45及び負高電圧生成回路46にそれぞれ2つの針状電極が接続されている。
【0085】
図8に示すように、イオン発生ユニット40のケーシング42は、イオン発生ユニット40を補助ルーバ30に装着した状態で、凹部32の開口位置(図中、二点鎖線で示す位置)を基準にして、凹部32内に収容される下部ケーシング42aと、補助ルーバ30の表面から突出し、内部に空間を有する上部ケーシング42bとから構成される。
【0086】
そして、上部ケーシング42bに、補助ルーバ30の表面に沿って流れる風Wの向きに合わせてその上流側と下流側とに開口42c,42cが形成されており、上部ケーシング42b内の空間は風Wが通過する通風路57とされる。イオン発生素子41は、下部ケーシング42a内で通風路57に臨むように配される。
【0087】
上記構成においては、イオン発生素子41で発生したイオンは、通風路57内で空気中に拡散するとともに、吹出口5か吹き出した風Wが通風路57を通過する際に、風Wに乗ってスムーズに外部に放出される。
【0088】
開口42cには、通風路57内への手指の進入をガードするガード部材58が設置されている。本実施形態におけるガード部材58としては、細長い縦桟が使用されている。ガード部材58は、前後両端部が先細形状とされ、通風路57内を流通する風の流れをできるだけ乱さないように空気抵抗の少ない形状とされる。
【0089】
本実施の形態では、風上側の縦桟58aの隙間が狭く、風下側の縦桟58bの隙間が広くなっている。これはイオン発生素子41の放電電極52が、風下側の縦桟58bよりも風上側の縦桟58aに近い位置にあることから、安全のため、指が放電電極52に触れないようにするためである。さらに、風上側の縦桟58aは、通風路57内に導入される風Wの勢いを緩和する機能を有しており、これによりイオン発生素子41から発生したイオンを通風路57内で空気中に十分に拡散させることが可能となる。
【0090】
一方、風下側の縦桟58bは、発生したイオンの邪魔にならないように、縦桟58bの間隔を広くとっている。このようにすることで、安全性と発生したイオンが縦桟58bに当たって消滅しにくくするという効果を得ることが出来る。
【0091】
図13に示すように、正高電圧生成回路45に接続された放電電極52は正イオンを発生する正イオン発生部55となり、負高電圧生成回路46に接続された放電電極52は負イオンを発生する負イオン発生部56となる。図15は、イオン発生ユニットの概略平面図であって、上部ケーシング42bを取り除いた状態を示している。図示のように、本実施形態においては、正イオン発生部55と負イオン発生部56とが左右方向Aに沿って間隔をおいて形成される。これにより、空気流に乗って運ばれるイオン数が途中で少なくなるのを抑制することができる。
【0092】
また、放電電極52の配置の別の態様としては、図16に示すように、正イオン発生部55同士と負イオン発生部56同士をケーシング42の左右で分けることも可能である。すなわち、本態様では、正高電圧生成回路45に接続された2つの放電電極52と、負高電圧生成回路46に接続された2つの放電電極52を左右どちらかにかためて配置するものである。本態様は、ケーシングの左右の長さを十分に長く形成できる場合に特に有用である。これにより、左右のイオン発生部をできるだけ離すことが可能となり、正負イオンが接触して消滅するのをより効率よく抑制することができる。
【0093】
空気調和機では、室内ユニットに対して図示しない室外ユニットが室外に設置されている。室外ユニットには、圧縮機、熱交換器、四方弁、室外ファン等が内装され、これらと室内側の熱交換器1とによって冷凍サイクルが形成される。そして、冷凍サイクル、導風パネル20、補助ルーバ等の駆動を制御する制御部が室内ユニットに設けられる。
【0094】
マイコンからなる制御部は、ユーザの指示および室温や外気温を検出する温度センサ等の各種のセンサの検出信号に基づいて冷凍サイクルを制御し、冷暖房運転を行う。このとき、制御部は、冷暖房運転に応じて開閉機構を制御し、導風パネル20を開閉し、それに合わせて補助ルーバ30を駆動する。また、制御部は、定期的に、あるいはユーザからの指示により、清掃装置8を制御して、フィルター7を清掃する。
【0095】
補助ルーバ30の動作について具体的に説明する。図2に示すように、補助ルーバ30は、上向きで上壁5aに接するような姿勢をとることで吹出口5内のスペースに収容可能とされ、導風パネル20を閉じることが可能となる。
【0096】
そして、導風パネル20が閉姿勢のときに、導風パネル20を取り外すと、イオン発生ユニット40は上部ケーシング42bを下に向けた状態となっている。よって、イオン発生ユニット40を交換する際に、補助ルーバ30を動かさずに、交換することが可能となる。なお、空気調節装置の機種によっては、導風パネル20が閉姿勢のときに、導風パネル20を取り外すと、イオン発生ユニットが上部ケーシング42bを上に向けた状態となっている場合もある。
【0097】
この場合は、イオン発生ユニットを交換する際に、例えば、リモコンなどにイオン発生ユニット交換時ボタンを設けて、該ボタンを押すと補助ルーバ30が動作し、イオン発生ユニットが上部ケーシング42bを下に向けた状態になるようにすれば良い。
【0098】
制御部は、導風パネル20の下端が上軸23周りに前側に開放した上開き姿勢で、風向を変更するように補助ルーバ30を風Wの流れに対して角度をもって配向する下向きの姿勢をとるようにルーバモータを駆動制御する。また、制御部は、導風パネル20の上端が下軸22周りに下開きした下開き姿勢で、補助ルーバ30を風Wの流れと平行に配向するようルーバモータを駆動制御する。
【0099】
より詳細には、制御部は、導風パネル20の上開き姿勢で、補助ルーバ30によって吹出口5の前方を遮蔽し、前方に向かって吹き出される空気を押さえ込んで下方に導くように補助ルーバ30の姿勢を制御する。
【0100】
図4は導風パネルが上開き姿勢で、補助ルーバ30を風の流れに対して角度を持って配向した例を示す図である。図に示すように、空気通路6を通って吹出口5から前方に吹き出す風Wに対して補助ルーバ30が下向きの姿勢をとると、補助ルーバ30の下面、すなわち、イオン発生ユニット40が装着された面に直接風Wが当たる。このとき、風Wが直接イオン発生素子に吹きつける場合には、イオンの多くが補助ルーバ30の表面に押し付けられて消滅するおそれがある。
【0101】
しかし、イオン発生素子41の上方は、図8に示すように、上部ケーシング42bによってカバーされている。従って、風Wが直接イオン発生素子に吹きつけることはない。一方、補助ルーバ30に当たった風Wは、風向きを変えて通風路57内に導入され、通風路57内に発生したイオンを補助ルーバ30の表面に沿って下流側に押し出す。これによって、正負イオンを風Wに乗せて遠方まで効率よく放出することが可能となる。
【0102】
図3は導風パネルが下開き姿勢で、補助ルーバ30を風Wの流れと平行に配向した例を示す図である。この例では、導風パネル20は下軸22周りに下回動してほぼ水平な姿勢を取る。つまり、導風パネル20は、下開き姿勢のとき、吹出口5の下壁とつながり、導風パネル20と吹出口5の上壁5aとによってロングノズルを形成する。したがって、導風パネル20により、風を斜め上方向に導き、天井に沿って遠方まで吹き出すことができる。このとき、補助ルーバ30は、風Wの流れと平行に配向するため、風Wは風向きを変えることなく通風路57に導入され、イオンとともに吹出口5から吹出した空気を遠方まで導くように作用する。
【0103】
本実施形態ではガイド機構の突起部をイオン発生ユニット側に形成し、ガイド部を凹部側に形成しているが、これに限らず、突起部を凹部側に形成し、ガイド部をイオン発生ユニット側に形成することも可能である。
【0104】
また、空気調和機として、本実施形態ではセパレート型エアコンを用いて説明しているが、空気清浄機の風向変更板、気化熱を利用して冷風を吹出す冷風扇の風向変更板、などに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 熱交換器
2 室内ファン
3 キャビネット
4 吸込口
5 吹出口
6 空気通路
7 フィルター
8 清掃装置
9 塵埃除去部
10 フィルター移動路
20 導風パネル
21 前パネル
22 下軸
23 上軸
24 縦ルーバ
30 補助ルーバ
31 回転軸
32 凹部
33 位置合わせ表示
34 突起部
35 ガイド部
36 縦案内路
37 横案内路
38 移動規制部材
40 イオン発生ユニット
41 イオン発生素子
42 ケーシング
47 雄型コネクタ
48 メス型コネクタ
49 保護カバー
51 誘電電極
52 放電電極
53 基板
55 正イオン発生部
56 負イオン発生部
57 通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吹き出す吹出口に設置される風向変更板と、該風向変更板に着脱自在に取り付けられるイオン発生ユニットとを備え、前記風向変更板に凹部が形成され、前記イオン発生ユニットを前記凹部に嵌め込むようにして装着することを特徴とする空気調節装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記イオン発生ユニットよりも一方向に大きく形成され、前記凹部の一方向両端のうち一端側から離れた所定の位置でのみ前記イオン発生ユニットを凹部に嵌め込み可能にするとともに、凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットをスライド可能に保持するガイド機構が設けられ、前記ガイド機構によって凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットを一方向一端側にスライド移動させることで、イオン発生ユニットを前記風向変更板に固定することを特徴とする請求項1記載の空気調節装置。
【請求項3】
前記凹部に嵌め込んだイオン発生ユニットを一方向一端側にスライド移動させ、凹部の一方向他端側の内面とイオン発生ユニットとの間にできたスペースに移動規制部材を介挿することにより、イオン発生ユニットのスライド移動を規制することを特徴とする請求項2記載の空気調節装置。
【請求項4】
前記移動規制部材が、イオン発生ユニットの移動を規制する介挿姿勢とイオン発生ユニットの移動の規制を解除する解除姿勢との間で切換回動自在に設けられたことを特徴とする請求項3記載の空気調節装置。
【請求項5】
前記ガイド機構は、前記イオン発生ユニットの一方向両側面又は前記凹部の一方向に沿った両側内面のいずれか一方に形成された突起部と、他方に形成され、前記突起部をスライド可能に係合するガイド部とを備え、前記ガイド部は、前記一方向に沿って設けられる横案内路と、一端が前記横案内路の途中で横案内路に対して直交する方向に接続され、他端が前記凹部周縁部に開口する縦案内路とから構成され、前記突起部は、前記縦案内路を通じて前記横案内路に導入可能とされ、前記突起部が前記横案内路に導入された状態で、前記イオン発生ユニットを凹部の一方向一端側から他端側に向けて突き当たるまで移動させたときに、前記突起部が、前記縦案内路を通り越して反対側の横案内路内で止まるようにしたことを特徴とする請求項2記載の空気調節装置。
【請求項6】
前記イオン発生ユニットの一方向一端面と、前記凹部の一方向一端側の内面とに、風向変更板とイオン発生ユニットとを電気的に接続する一対のコネクタが形成され、前記コネクタは雄型コネクタと雌型コネクタとからなり、前記イオン発生ユニットを凹部の一方向一端側にスライド移動させたときに、前記雄型コネクタと雌型コネクタとが係合することを特徴とする請求項2記載の空気調節装置。
【請求項7】
前記イオン発生ユニットの一方向一端面に雄型コネクタが形成され、前記雄型コネクタの底面側に電極端子が形成されたことを特徴とする請求項6記載の空気調節装置。
【請求項8】
前記雄型コネクタの表面側に、雄型コネクタへの手指の進入を防止する保護カバーが形成されたことを特徴とする請求項7記載の空気調節装置。
【請求項9】
前記イオン発生ユニットと凹部の両方に、イオン発生ユニットが前記凹部に嵌め込み可能な位置になったときに相対向するように位置合わせ表示を設けたことを特徴とする請求項2記載の空気調節装置。
【請求項10】
前記イオン発生ユニットは、ケーシングと、前記ケーシング内に収容されるイオン発生素子とを備え、前記ケーシングは、イオン発生ユニットを風向変更板に装着した状態で、前記凹部内に収容される下部ケーシングと、風向変更板の表面から突出し、内部に空間を有する上部ケーシングとからなり、前記上部ケーシングに、風向変更板の表面に沿って流れる風の向きに合わせてその上流側と下流側とに開口が形成され、前記上部ケーシング内の空間に前記イオン発生素子からイオンを発生させるようにしたことを特徴とする請求項2記載の空気調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−33254(P2011−33254A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179016(P2009−179016)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【特許番号】特許第4603085号(P4603085)
【特許公報発行日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】