説明

空洞共振器の構造パラメーター値決定方法

【課題】改善された温度補償特性を有するコムライン共振器用の一組の構造パラメーターを決定する方法を提供する。
【解決手段】内部導体(6)の幅寸法D及び長さLを決定するため、共振周波数が温度と構造パラメーターの組の関数として計算される。構造パラメーターの組の値が変化し、構造パラメーターの組に関して与えられた温度範囲ΔTにおいて最低温度で引き起こされる共振周波数f0の変化を生じる計算の結果から構造パラメーターの組の最適値を導き出すように計算工程が繰り返される。構造パラメーターの組は、内部導体(6)の幅寸法Dを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償空洞共振器の1組の構造パラメーターに関する値を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空洞共振器は、閉じているか、あるいは実質的に閉じられた導体表面内に含まれる空間を本質的に備える。適切な外部の励磁により、上記空間内の発振電磁界を維持する空洞共振器の能力、及び特異な共振周波数fでの特徴付けられた共振効果を空洞共振器が示し、それにより狭帯域外の周波数を排除しながら狭帯域周波数にわたり最大の応答を行うことから、上記空洞共振器は、様々な技術分野にて大きな興味を持たれている。このことは、表皮効果が標準同調回路の抵抗をあまりに高くする周波数を利用する、及びそれらの開いた構造がそれらにアンテナの役割をさせ結果として過度の放射損失となる周波数を利用する高周波の応用例に関して特に当てはまる。従って、空洞共振器は、例えば電磁スペクトルのラジオまたはマイクロ波領域における周波数を有する電磁信号を受信し、生成し、増幅し、処理し、及び又は送信する広範囲の応用例を発見する。
【0003】
例として、空洞共振器は、移動通信または衛星通信システムのような無線通信システムにてしばしば利用され、それはしばしばマイクロ波領域で作動する。これらの応用例では、空洞共振器は、選択された周波数帯における電磁波を送信し受信するためのフィルタ、又はフィルタ構造の部分として一般的に用いられる。帯域フィルタのようなマイクロ波部品を形成するために、様々な構成において、複数の空洞共振器がともに直列で、及び又は並列に接続可能である。
【0004】
他の応用例と同様にこれらでも、空洞共振器は、所定の共振周波数を有していることが必須である。共振周波数は、共振器構造のサイズ及び形によって決定されるので、特別な空洞共振器の寸法は、徹底的に計算しなければならず、又、生産工程は、注意深く制御しなければならない。いくつかの空洞共振器は、それらの共振周波数に関して調節可能であるように設計される。これは、例えば、各空洞に一つ若しくは複数の、空洞内へ又は空洞外へ金属又は誘電材料の小片を移動させるチューニングねじを用いて達成される。
【0005】
更に、デバイスの空洞共振器にとって、広範囲の作動温度にわたり安定であることは、一般に非常に重要である。マイクロ波フィルタに関して、温度安定性は、さらなる帯域幅を用いることなく全範囲にわたりフィルタ帯域要求が維持可能であるという長所を有する。結局、帯域消去要求を妨害することなく、より大きな帯域幅を備えたフィルタを設計することができ、それは挿入損失を減少させる。
【0006】
しかしながら、いずれの種類の共振器構造も、そのハウジング及び例えば内部導体のような他の部品の熱膨張及び収縮を受けやすく、このことは、温度が変化したとき、共振周波数を変化させる可能性がある。従って、そのようなシステムは温度に対して安定化させねばならず、及び又は、それらが規則的な再調整を必要とするかもしれない。それらの両方は、高いコストに帰着する。さらに、マイクロ波フィルタのような空洞共振器デバイスの最小の実際的な帯域幅は、作業温度範囲の関数となる。一般に、寸法の膨張及び収縮量は、その大きさ、温度変化、及び材料の熱膨張率(CTE)に依存し、以下の式によって表される。
【0007】
Δl=(1+α・ΔT)・l
ここで、αは材料の上記CTE、ΔTは温度の変化分、lは長さ寸法である。
【0008】
一つの材料からのみで形成された共振器構造は、以下の式により表される共振周波数の変移を受けることが示されている。
【0009】
f(ΔT)=f・(1/(1+α・ΔT))
【0010】
従って、アルミニウム(CTE 〜23.8×10−6)にてなる共振器構造は、2GHzの共振器用の47.6kHz/Kに相当する約23.8ppmの共振周波数の変移を受ける。
【0011】
例えばマイクロ波フィルタを形成するのに通常使用される空洞共振器の一つの特別なタイプは、コムライン共振器(combline resonator)として知られている。この共振器構造は、一端で短絡され他端で開路された同軸の共振器、すなわち空洞を形成し長手方向軸を有するハウジングと、一端でのみハウジングに電気的に接続された同軸の内部導体とを備える。内部導体の開放端上のある距離において、内部導体の一端とカバーの内面との間に隙間が存在するように、ハウジングは上記カバーにて囲まれる。本質的に、そのようなコムライン共振器は、一端で短絡し他端で容量性に負荷された(開いた)同軸の伝送路の部分と見なすことができる。マイクロ波エネルギーは、伝送路の短絡端にて内部導体の近くにある磁気ループアンテナによって空洞に結合可能である。内部導体の頂部とカバーとの間の自由な空間は、容量性ギャップ(capacitive gap)と呼ばれる。技術状態において、コムライン共振器の共振周波数の設定は、空洞の長さ、内部導体の長さ、及び容量性ギャップのサイズに関して適切な値を決定することにより達成されている。
【0012】
コムライン共振器を調節可能にするために、穴は、内部導体の上方のカバーに設けることができ、その穴には、チューニングねじが設けられる。チューニングねじを調整することで、容量性ギャップが変化し、よって共振周波数を制御することができる。ある場合には、内部導体は、部分的に中空な部品として設けることができ、チューニングねじは、少なくとも部分的に内部導体を貫通するように配置可能である。このような共振器構造は、リエントラント(re-entrant)コムライン共振器と呼ばれる。チューニングねじは、ハウジングの側壁又はベースに設けられた穴に配置可能である。
【0013】
コムライン共振器の温度補償を達成するため、様々な技術が提案されている。
【0014】
一つのアプローチによれば、コムライン共振器は、ハウジング及び内部導体の長さの変化を制限するために、ハウジング及び内部導体の材料としてインバール(Invar)を用いて几帳面に設計されている(参照、例えばGB 2 305 547)。インバールは、ニッケルを36%有する鉄の合金であり、その非常に低いCTE(〜2×10−6)により選択されている。しかしながら、インバールは、空洞共振器の内部の内側表面材料として満足な使用には低すぎる電気伝導率を有する。したがって、インバールを用いるときには、内側表面は、例えば銀又は金の導電材料でコーティングされねばならず、それは当該共振器を非常に高価にする。更に、インバールは比較的重い。
【0015】
空洞共振器の温度安定特性を改善するさらに知られている方法は、長さ寸法の変化の絶対値を減じるため、共振器及びその内部導体の長さを減じることにある(参照、例えばGB 2 305 547)。しかしながら、共振器は、非常に小さくなり、その結果、低いエネルギー蓄積能力(Q値(quality factor))となり、及び小さい容量性ギャップによりアーキング(arcing)の危険が増す。さらに、改良する余地がほとんどない。
【0016】
WO 98/58419は、ハウジングのカバーの下側の空洞内に追加の金属ベースの板アッセンブリーが配置されるコムライン共振器を開示する。上記板アッセンブリーは、上記内部導体の自由端を超えた距離に位置する中央部を有する細長片を備える。上記細長片の寸法及びCTEは、ハウジング及び内部導体の長さの変化を補うために、上記距離が温度変化にて変化するように選択され、それにより、温度補償を達成する。この構造は、製造コストが高くなるという不都合を有している。さらに、そのような共振器は、使用上、非実用的であり、チューニングを可能にしない。
【0017】
論文「SMA温度補償空洞共振器の設計及び試験(Design and Testing of SMA Temperature-Compensated Cavity Resonators)」、IEEE MTT、(vol.51)、2003年12月、pp.2284−2289、ブレイン F.ケーツ(Brain F. Keats)著 には、ハウジング及び内部導体の長さの変化による温度誘導周波数ドリフトを補償するために、チューニングねじの長さを制御するためアクチュエーターを形成して、バネでバイアスされた形状記憶合金(SMA)の使用が記載されている。これらの空洞共振器は、高いコストに帰着する非常に複雑な製造工程の不都合を有している。
【0018】
GB 2 305 547では、内部導体の長さの増加は、共振周波数を減少させる傾向があり、一方、容量性ギャップ寸法の増加は共振周波数を増加させる傾向があり、それは原則として、ハウジング及び内部導体に異なる材料を選択することで温度補償を達成するために、これらの効果のバランスを保つことができることを認識している。しかしながら、さらに、構成されたフィルタが許容できない周波数ドリフトを示すことが判ったことが記載されている。この理由で、GB 2 305 547は、2つの異なる材料を備えた複合内部導体を有するコムライン共振器を記載する。そのような構造は、共振器の改善された温度補償特性に帰着する内部導体の総CTEを導くことができる。しかしながら、そのような共振器の周波数ドリフトは、多くの応用例には高すぎるとまだ考えられる。
【特許文献1】英国特許出願公開第2305547号明細書
【特許文献2】国際公開第98/58419号パンフレット
【非特許文献1】論文「SMA温度補償空洞共振器の設計及び試験(Design and Testing of SMA Temperature-Compensated Cavity Resonators)」、IEEE MTT、(vol.51)、2003年12月、pp.2284−2289、ブレイン F.ケーツ(Brain F. Keats)著
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、改善された温度補償特性を有するコムライン共振器用の一組の構造パラメーターを決定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。さらに、本発明の好ましい実施形態は、従属請求項における記載内容である。
【0021】
本発明によれば、コムライン共振器の一組の構造パラメーター、即ち、ベース、該ベースから上方へ延在する側壁、及び上部カバー板を有するハウジングを備え、さらに幅寸法D(例えば直径)を有しベースから長さLにて上方に延在する内部導体を備えた空洞共振器に関する値が決定される。本発明の方法は、少なくとも一部分にて、ハウジングが第一の材料を備え、内部導体が第一の材料と異なる第二の材料を備えるように、ハウジング及び内部導体に関して異なる材料が選択されるコムライン共振器に適用可能である。上記値を決定するため、共振周波数fは、温度及び構造パラメーターの組の関数として計算される。さらに、構造パラメーターの組の値は変更され、この計算工程は、構造パラメーターの組に関する計算特別値の結果から得られるように繰り返される。上記特別値は、上記構造パラメーターの組に関して、それらが規定の温度範囲ΔTにおいて共振周波数fの最小温度誘導変化Δfを生成する最適値である。上記最適値及び最低温度誘導変化Δfは、絶対的な最小、局所的な最小、又は、少なくとも一つの境界条件あるいは制約条件(constraint)下における絶対的若しくは局所的な最小かもしれない。本発明によれば、構造パラメーターの組は、内部導体の幅寸法Dを含んでいる。
【0022】
本発明の方法は、温度補償を達成するために複雑で及び又は高価な手段を有する空洞共振器を設ける必要がないという利点を提供する。むしろ、温度補償されたコムライン共振器は、この種の共振器の基礎的な構造原理に従って構築可能である。従来知られている温度補償技術とは対照的に、本発明の方法は、内部導体の長さだけでなく、その直径のような幅寸法も考慮に入れる。従来技術では、内部導体の幅寸法Dは、単に高いQ値(quality factor)の達成のために考慮された。空洞共振器のQ値は、共振器がどれくらいの損失があるかの尺度、つまり蓄積エネルギーが消費される速度の尺度である。それは、共振サイクル当たり、消費されたエネルギーと共振器に蓄えられたエネルギーとの比率として一般に定義され、また、共振器の励磁の停止に際して、発振の振幅は、上記Q値によって決定される速度とともに指数関数的に減少するであろう。上記Q値は、ハウジングの幅寸法Aに対する幅寸法Dの比率に依存するように(例えば、円筒状の共振器及び円筒状の内部導体について、直径比率A/D=3.59は、高いQ値用の最適値であることが分かった)、幅寸法Dは、一般的に、適切な値に設定された。
【0023】
好ましい実施形態では、構造パラメーターの組は、内部導体の長さL、内部導体の外形(好ましくは断面形状)、ハウジングの高さ又は長さH、ハウジングの幅寸法A、及び又は、ハウジングの外形(好ましくは断面形状)を含んでいる。さらに、構造パラメーターの組が第一の材料、及び又は第2の材料を含むならばさらに好ましい。つまり、上記方法が、CTE、電気伝導率、及び又は熱伝導率のような共振周波数に影響があるそれらの物理的性質に基づいた材料の適切な選択を決定するならばさらに好ましい。
【0024】
本発明の方法は、さらに、それぞれが長さLi、幅寸法Di、及び断面形状のような幾何学的形状を有し、それぞれがその長さに沿って変化する材料、つまり内部導体の幅、幾何学的形状(断面の)、及び材料構成を備える少なくとも二つの部分を備えた内部導体を有するコムライン共振器に有利に適用可能である。言い換えると、内部導体が部分j=1、2、..、のn個の部分、長さ、及び幅を備えるならば、nは、それぞれLjとDjである。この場合、構造パラメーターの組は、好ましくは、内部導体の少なくとも1つの部分の長さLiを、内部導体の少なくとも1つの部分の幅寸法Diを、内部導体の少なくとも1つの部分の幾何学的形状(好ましくは断面形状)を、及び/又は、内部導体の少なくとも1つの部分の材料を含む。上記ベースに隣接して位置する内部導体の部分は、また、上記ベースと一体的に形成可能である。幾何学的形状が断面形状である場合、上記部分は、例えば、円形、長円形、正方形、六角形、若しくは長方形の断面を有することができ、又は、他の断面形状を有することができる。複数の部分を有するそのような内部導体は、最適化手順に関して、より多くの自由度を提供することから、有利である。ある部分から他の部分への移行は、徐々に又は連続的とすることができる。例えば、内部導体が2つの部分からなりその両方が同じ材料であり、直径D及びDを有する場合、電流がより短い経路に沿って流れることができるので、Q値に関して、それらの部分間で傾斜した連続的な移行が有利である。
【0025】
本発明の方法は、また、第2の材料と異なる第三の材料を備える複合素子によって形成された内部導体を有するコムライン共振器に有利に適用可能である。この場合、内部導体は、第2の材料を備える第一の部分、及び第三の材料を備える第二の部分を含むことができる。ここで、内部導体の第2の部分は、ベースと一体的に、又は別個の部品として形成することができる。第三の材料を備えるいずれかのかかる共振器について、構造パラメーターの組が第三の材料を含んでいるのが好ましい。もちろん、かかる複合内部導体は、2つを超える異なる材料を含めてもよい。又、各材料は、構造パラメーターの組に含まれていてもよい。
【0026】
又、本発明の方法は、さらに、それぞれが高さ若しくは長さHi、幅寸法Ai、及び断面形状のような幾何学的形状を有し、それぞれがその長さに沿って変化する材料、つまり内部導体の幅、幾何学的形状(断面の)、及び材料構成を備える少なくとも二つの部分を備えたハウジングに有利に適用可能である。この場合、構造パラメーターの組は、ハウジングの少なくとも一つの部分の長さLi、ハウジングの少なくとも一つの部分の幅寸法Ai、ハウジングの少なくとも一つの部分の幾何学的形状(好ましくは断面形状)、及び又はハウジングの少なくとも一つの部分の材料を含むのが好ましい。上記幾何学的形状が断面形状である場合、断面は、例えば円形、長円形、正方形、六角形、若しくは長方形の断面を有することができ、又は、他の断面形状を有することができる。長方形の断面を備えたハウジングに関して、製造工程のため、各角は一般に丸くなっている。そのようなハウジングに関して、パラメーターの組は、矩形断面の長さ、及び又は幅を含むことができ、丸まった角の曲率半径を含むことができる。複数の部分を備える上記ハウジングは、最適化手順に関してより多くの自由度を提供するので、有利である。再度、部分から他の部分への移行は、徐々に又は連続的とすることができる。
【0027】
本発明の方法は、また、内部導体、及び又はハウジングの少なくとも一つの部分では、幅寸法が内部導体及びハウジングの長さに沿った高さにそれぞれ関数的に依存するという場合に、有利に適用可能である。そして、構造パラメーターの組が内部導体の幅寸法と内部導体の長さに沿った高さとの間の関数依存性、及び又はハウジングの幅寸法と内部導体の長さに沿った高さとの間の関数依存性を含むことは好ましい。
【0028】
従って、多くの自由なパラメーター又は自由度は、共振周波数のより安定した温度挙動を達成するために使用可能である。可能であれば、最適なQ値(例えばA/D=3.59)が得られるように、内部導体の一つ若しくは複数の低部分の幅寸法を選択すること、及び最適化手順に関し残っているパラメーターのみを使用することは好ましい。
【0029】
内部導体とベースとの間、及び又は、側壁と上部カバー若しくはベースとの間の移行は、丸くしてもよい。さらに、内部導体の上端は、端部にて過度に電場が強くなるのを防ぐために円形にしてもよい。しかしながら、そのような構成があまりに顕著ではない場合、それらは最適化手順の目的のため無視可能である。
【0030】
本発明の方法の好ましいバージョンでは、構造パラメーターの組に関する最適値は、少なくとも1つの境界条件又は制約条件の下で導き出される。そのような境界条件又は制約条件は、構造パラメーターの組における幾つかの又は全てのパラメーターの可能な値のための最大値及び又は最小値であってもよい。例えば、一つの可能な境界条件は、内部導体の幅寸法がハウジングの内径を超えることができないというものである。さらに可能な境界条件は、許容値に対する最適値の感度(sensitivity)に関する最大値を含んでいる。好ましい実施形態では、上記方法は、温度の関数としてQ値及び構造パラメーターの組を計算するステップを備え、及びQ値が所定値より大きいという境界条件の下で構造パラメーターの組に関する最適値を導き出すことを備える。周波数ドリフトと空洞共振器のQ値との間のトレードオフが必要な状況が考慮可能である。
【0031】
共振周波数の計算のためにモード・マッチング法を使用するのが好ましい。この方法は、例えば、円筒状のハウジング及び円筒状の内部導体のような対称な構造に関して特に速く正確である。
【0032】
本発明の方法は、さらに、カバー板の開口に部分的に挿入され、内部導体との配列において空洞内へ突出して選択的に移動可能なチューニング要素を備えるコムライン共振器に有利に適用可能である。また、チューニング要素用の開口は、ハウジングの側壁又はベースに位置することも可能である。そのようなチューニング要素は、上述したチューニングねじの一つにより例えば構成することができる。チューニング要素が設けられたとき、構造パラメーターの組は、チューニング要素の材料、空洞内へのチューニング要素の突出深さ、及び又はチューニング要素の幅寸法若しくは直径を含むことができる。さらに、本発明の方法は、リエントラントコムライン共振器に有利に適用可能である。この場合、構造パラメーターの組は、さらに、幾何学形状、及び又は内部導体のくぼみの深さ、及び又は、部分的に中空な内部導体内へのチューニング要素の貫通深さを含むことができる。
【0033】
本発明の方法は、円筒状の内部導体、及び又は円筒状のハウジングを有するコムライン共振器に有利に適用可能である。
【0034】
本発明の方法は、さらに、空洞共振器フィルタに有利に適用可能である。
【0035】
一旦、一組の構造パラメーター用の最適値が本発明の方法によって決定されたならば、温度補償された空洞共振器は、決定した値に従って簡単にハウジングを提供し、決定した値に従って内部導体を提供し、及び内部導体をハウジングに取り付けることにより、生産可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下では、図を参照して好ましい実施形態により、本発明を詳細に説明する。
図1には、円筒状のコムライン空洞共振器1が示されている。共振器1は、長さH及び直径Aを有する中空の円筒状ハウジング2を備える。ハウジング2は、円盤状のベース3、ベース3から上方へ延在する壁4、及び壁4の上部端へ固定された円盤状のカバー5によって構成される。重さ及びコストの理由で、ハウジング2は、アルミニウムにて組み立てられるのが好ましい。しかしながら、ハウジングは、鉄、銅、真鍮、又はインバールにても有利に組み立て可能であり、又、これら若しくは他の材料の2つ以上を備える複合部品であってもよい。材料のさらに有利な選択には、PVC又はセラミック材料を含む材料の選択が含まれる。熱膨張率が知られており、及び、材料は良好な導体あるいは銀のような良好な導電性材料でメッキされているということのみが重要である。
【0037】
共振器1は、ハウジング2のベース3に、その下端7にて中心に取り付けられる円筒形の内部導体6をさらに備える。内部導体6は、円筒状のハウジング2の長手方向の軸に沿ってベース3から上方へ延在する。内部導体は、長さL及び直径Dを有している。内部導体6の上端8とハウジング2のカバー5との間に容量性ギャップが形成されるように、長さLは、ハウジング2の長さHよりも短い。内部導体6は、好ましくは、鉄、銅、真鍮又はインバールからなるか、あるいはこれらの材料の2つ以上を備える複合部品である。しかしながら、材料のさらに有利な選択には、PVC又はセラミック材料を含む材料の選択が可能である。熱膨張率が知られており、及び、材料は良好な導体あるいは銀のような良好な導電性材料でメッキされているということのみが重要である。
【0038】
例えば開口又は連結ループを備えかつ共振器の空洞へ波を放射する適宜な連結手段(不図示)を介して、共振器1を有する場(field)は、外部回路(不図示)により励磁される。
【0039】
本発明によれば、ハウジング2及び内部導体6に関し異なる材料が選択され、内部導体6の直径Dを含む共振器の寸法が温度補償を達成するために選択される。本発明の好ましいバージョンは、温度の関数として、すべての寸法、すなわちハウジング2の長さH、内部導体6の長さL、並びに、内部導体6及びハウジング2のそれぞれの直径D及び直径Aに依存する共振周波数を正確に計算するためにモード・マッチング法を利用する。標準の有限要素技術をこの目的のために用いることができるが、モード・マッチング技術と比較して、収束するのにより多くの時間を要する。
【0040】
モード・マッチング法は、共振器1内で、場は、モードと通常呼ばれる完全なベクトル波関数(vector wave functions)の組へ広げることができるという事実に基づく。モード・マッチング技術によれば、全てのモードの場は、均一の部分間の各接合部(junction)にて一致する。接合部の出力部でのセパレートモードの振幅(amplitudes)は、上記接合部への入力部でのモード・スペクトルの振幅により導き出すことができる。モード・スペクトルを知ることで、伝播の両方向におけるいずれのモードの波アドミタンス(wave-admittance)を計算することができる。したがって、接合部での波アドミタンスは、全てのモード及びその振幅の関数である。モードの全アドミタンスは、両方向にて見られる波アドミタンスの合計である。当該場合に、基準面が内部導体の端であるならば、波アドミタンスは、容量的ギャップを調査して、及び短絡を調査して得られる。基準面は、全内部導体にわたり任意に選択することができる。しかし、より速い計算のために、結合部が採用される。もしモードの総アドミタンスがゼロであれば、共振が発生する。
【0041】
上に注記したように、共振周波数の計算は、有限要素分析を用いてマクスウェルの式を解くことによっても達成することができる。必要な計算は、共振器のモードを決定可能にする様々な商用ソフトウェアを用いて実行可能である。例えば、アンソフト(Ansoft)のHFSSや、CSTのマイクロウェーブスタジオ(Microwave Studio)が含まれる。
【0042】
上述の計算は、空洞共振器の十分な応答を導き出す適切なコンピュータ・プログラムによって有利に実行可能である。
【0043】
図2及び図3は、共振器1に関する計算結果を示した例示的な輪郭線グラフであり、ここで、最適値のために計算された構造パラメーターの組は、ハウジング2の直径A、内部導体6の直径D、及び内部導体6の長さLを備える。ハウジング2は、28mmの予め決められた長さHを有しており、アルミニウムで作られている。内部導体6は、鉄で作られており、共振周波数は2.0171GHzである。図2から、容量性ギャップのサイズ及び内部導体6の長さLを導き出すことができる。また、図3から、ハウジング2及び内部導体6の直径A及び直径Dの最適値をそれぞれ導き出すことができる。
【0044】
共振器1の構造は、3つの異なった材料を補償に用いるリエントラントコムライン共振器の構造よりも簡単である。もしチューニングねじが共振器1に設けられるならば、それは内部導体6を貫通する必要はない。したがって、共振器1のサイズはより大きくなり得、より良いQ値を導く。そのようなチューニングねじは、単にチューニング要素として機能するであろう。それは、理想的な場合において、ハウジング2のカバー5の下面に平面である。したがって、容量性ギャップは、より大きくなることができ、それは、高い電場におけるアーキングに対抗する抵抗をより大きくする。更に、リエントラント共振器構造からのエッジのような鋭いエッジ、これは、高い電場におけるアーキング、及び損失を増加する表面電流を導く可能性があるエッジは、存在しない。
【0045】
本発明によれば、共振周波数は、それぞれCTE、サイズ、及び温度に依存するパラメーターH、L、A、Dの全てを変更して、温度の関数として自動的に計算することができる。全ての寸法にわたり見渡して、温度補償された構造に帰着する適切な寸法を容易に速く見つけることができる。従来の研究は、容量性ギャップのサイズとともに単に共振器の長さのみを織り込んだが、本発明は、温度補償を達成するために、半径をも掃引する。そうする際に、要求に依存して、温度に起因して引き起こされる共振周波数の変化、共振器サイズ、及びQ値間のトレードオフが必要となるかもしれない。例えば、高いQ値に関して最適値である、円筒状の共振器形状の場合における比A/D=3.59の代わりに、よりよい温度補償を達成するために、より大きい又はより小さい直径Dが選択されるかもしれない。
【0046】
図4では、本発明の方法が適用可能な、円筒状のコムライン空洞共振器1の別のタイプが示されている。この共振器は、図1に示される共振器と本質的に同一であり、同様の部分は、同じ参照符号を付している。図4に示される空洞共振器1は、図1に示される空洞共振器とは、内部導体6が2つの部分9、10を備える点、及びチューニングねじ11が共振器1のカバー板5に設けられている点で異なる。内部導体6の低部分9は、長さL及び直径Dを有し、内部導体6の上部分10は、長さL及び直径Dを有している。最適化手順は、図1〜3に関して記述した最適化と同一である。しかしながら、より多くの自由度が最適化に利用可能である。したがって、所望ならば、L、L、D、及び又はDにわたり掃引することができる。さらに、2つの部分9、10の断面形状、及び又は材料が最適化手順の目的に関する自由なパラメーターとして用いることができるかもしれない。同じことは、チューニング要素11の形、長さ、及び又は材料に適用する。一般的に、内部導体6の上部分9は、共振器1の容量に最も大きな影響を有する。高エネルギー密度の場合、容量性ギャップ及び上部分10の直径は、適宜大きくするのがよい。
【0047】
図5では、本発明による方法の好ましい実施形態の模式図が示されている。この実施形態によれば、1組の構造パラメーターに関する値は、構造パラメーターの組によって規定されたパラメーター空間を掃引することで決定される。ステップ12では、名目上の共振周波数f0,n、即ち共振器が作動する所定の共振周波数が選択される。ステップ13及びステップ14では、名目上あるいは理想的な動作温度T及び動作温度範囲ΔTがそれぞれ共振器に関して選択される。ステップ15では、パラメーター掃引にて使用するためのN個の構造パラメーターの第1組が選択される。この組におけるパラメーターは、Pi(i=1,...,n)である。さらに、M個の構造パラメーターCjの第2組が選択される(ステップ16)。第2組の目的は、ステップ19を参照して以下に記載される。
【0048】
ステップ17では、構造パラメーターの第1組によって規定されるパラメーター空間内に、グリッドが生成される。このグリッドの寸法は、各パラメーターPiに関して、掃引にて使用される最小値及び最大値を反映して選択される。さらに、各パラメーターPiに関して、グリッド空間が計算時間と正確さとを比較検討することにより選択される。次に、パラメーター掃引がグリッドを通って走ることにより実行される(ステップ18)。このプロセスでは、各グリッドポイントの値に関し、制約条件がf(Pi、T)=f,nに一致するように、第2組の構造パラメーターCiが計算される。この制約条件は、一若しくは複数のパラメーター値Piの変化において、温度とともに残り全てのパラメーターが一定に維持されるならば、共振周波数fは同様に変化するということを考慮に入れる。従って、パラメーターCiの値は、名目上の動作温度Tに関し共振周波数fが常に名目上の値であるように、変化する。これを基礎に、温度が引き起こした共振周波数の変化Δf/ΔTは、各グリッドポイントに関して計算される(ステップ20)。
【0049】
ステップ21では、Δf/ΔTに関する最小値を生成する構造パラメーターの第1組のパラメーターP, ...., Pの値によって規定されるパラメーター空間における位置を見つけるために、パラメーター・グリッドを通る掃引の結果が分析される。ステップ22では、見つけられたΔf/ΔTの最小値は、意図する応用例に必要若しくは望ましい温度補償の尺度を反映する所定値以下であるか否かをチェックするために検査される。このチェックをうまく通過した場合にのみ、ステップ23にて、温度補償が得られ、かつ第1組及び第2組の構造パラメーターのそれぞれのパラメーターP, ...., P、及びC, ...., Cに関して決定した値に従って共振器が生産される。もし上記チェックがうまくいかないときには、ステップ24にて、パラメーターの掃引に使用される構造パラメーターの新たな組が選択される。ここで、この組におけるN個のパラメーターは、先の第1組にて使用された数と等しい、又は異なるかもしれない。
【0050】
この実施形態は、解決法がすべて提供されるという利点を備える。したがって、例えば、周波数ドリフトと共振器のQ値との間のトレードオフを作るという、あまり重要でない最適化解決を選択することさえ可能である。更に、実施形態は、許容値に関するいずれかの可能な解決法の感度の分析を容易にする。この実施形態に係る方法は、図2及び図3に示されるグラフのような輪郭線グラフに帰着してもよい。
【0051】
図6では、本発明による方法のさらに好ましい実施形態の模式図が示されている。この実施形態によれば、1組の構造パラメーターに関する値は、制約条件の下、パラメーター空間を超える量の値を最小にすることができる任意の最適化アルゴリズムを用いることにより決定される。既知の方法例は、傾斜法(gradient method)である。図6では、図5に示される実施形態のステップと同一のステップは、同一の参照符号によって示されている。
【0052】
図6に示される実施形態の方法は、図5を参照して上述したステップ12、13及び14にてスタートする。ステップ25では、最小化アルゴリズムにおいて変数として使用するためのN個の構造パラメーターの組が選択される。この組におけるパラメーターは、Pi(i=1,...、n)である。ステップ26では、最小値、最大値、及びスタート値が各パラメーターPiに関して選択される。ステップ27では、f(Pi、T)=f,nという制約条件の下、選択された最小化方法に従って最小化が行なわれる。この制約条件は、図5を参照して上述された。しかしながら、本実施形態において、分離しない構造パラメーターの組がこの制約条件に一致するために選択されなければならない。むしろ、最小化方法は、それによって規定された要求が満たされるような組Piを変化することにより自動的に制約条件の明細を明らかにする。ステップ27の出力は、Δf/ΔTに関する最小値を生成するパラメーターP, .... , Pに関する一組の値である。しかしながら、この実施形態では、アルゴリズムにより自動的に見つけられた最小値は、最適な解というよりむしろ単に局所的な最小値である、という危険がある。ステップ22では、図5を参照して上述したように、温度補償が確かに達成されたかどうかがチェックされる。達成された場合には、ステップ23にて、P, .... , Pに関して決定された値に従い共振器は生産される。そうでなければ、ステップ28にて、最適化アルゴリズムにて使用する構造パラメーターの新しい組が選択される。ここで、この組におけるパラメーターの数Nは、先の組で使用された数に等しいか、あるいは異なるかもしれない。上述の計算は、一部分又はそれらの全体において有利に、適切なコンピュータ・プログラムによって実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】コムライン空洞共振器の模式的な斜視図である。
【図2】−10°Cから70°C用の特別な共振器に関する2.0171GHzの共振周波数を達成するための直径Aのハウジング及び直径Dの内部導体に依存する必要な容量性ギャップを示した例示的な輪郭線グラフである。
【図3】2.0171GHzの共振周波数用で直径Aのハウジング及び直径Dの内部導体、及び特別な共振器に依存し、−10°Cから70°Cの温度範囲における温度により引き起こされた周波数ドリフトを示した例示的な輪郭線グラフである。
【図4】異なる直径の2つの部分を有している内部導体を備えたコムライン空洞共振器の模式的な斜視図である。
【図5】本発明に従う方法の好ましい実施形態を示す模式的なフローチャートである。
【図6】本発明に従う方法のさらに好ましい実施形態を示す模式的なフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1…空洞共振器、2…ハウジング、3…ベース、4…側壁、5…カバー板、
6…内部導体、9,10…部分、11…チューニング要素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(3)、上記ベース(3)から上方に延在する側壁(4)、及び上部カバー板(5)を有するハウジング(2)と、幅寸法Dを有し長さLに沿って上記ベースから上方に延在する内部導体(6)とを備え、上記ハウジング(2)は第1材料を備え、上記内部導体(6)は上記第1材料とは異なる第2材料を備えた空洞共振器(1)の構造パラメーターの組の値を決定する方法において、上記方法は、
温度及び上記構造パラメーターの組の関数として共振周波数fを計算するステップと、
上記構造パラメーターの組の値を変化させ、かつ上記構造パラメーターの組に関して与えられた温度範囲ΔTにおいて最低温度にて引き起こされる共振周波数fの変化を生成する計算結果から上記構造パラメーターの組に関する最適値を導き出すために上記計算ステップを繰り返すステップとを備え、
上記構造パラメーターの組は、上記内部導体(6)の上記幅寸法Dを含むことを特徴とする構造パラメーター値決定方法。
【請求項2】
上記空洞共振器(1)は、空洞共振器フィルタである、請求項1記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項3】
上記構造パラメーターの組は、上記内部導体(6)の上記長さL及び/又は上記内部導体(6)の幾何学的形状を含む、請求項1又は2記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項4】
上記構造パラメーターの組は、上記ハウジング(2)の高さH、上記ハウジング(2)の幅寸法A、及び/又は上記ハウジング(2)の幾何学的形状を含む、請求項1から3のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項5】
上記構造パラメーターの組は、上記第1材料及び/又は上記第2材料を含む、請求項1から4のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項6】
上記内部導体(6)は、少なくとも2つの部分(9,10)を備え、そのそれぞれは、長さLi、幅寸法Di及び幾何学的形状を有し、そのそれぞれは材料を有する、請求項1から5のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項7】
上記構造パラメーターの組は、上記内部導体(6)の上記部分(9,10)の少なくとも一つの部分の長さLi、上記内部導体(6)の上記部分(9,10)の少なくとも一つの部分の幅寸法Di、上記内部導体(6)の上記部分(9,10)の少なくとも一つの部分の幾何学的形状、及び/又は上記内部導体(6)の上記部分(9,10)の少なくとも一つの部分の材料を含む、請求項6記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項8】
上記内部導体(6)は、上記第2材料とは異なる少なくとも第3材料を備えた複合要素である、請求項6又は7記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項9】
上記内部導体(6)の上記ベース(3)に隣接する上記部分(9)は、上記ベース(3)と一体的に形成される、請求項8記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項10】
上記ハウジング(2)は、少なくとも2つの部分を備え、そのそれぞれは、長さHi、幅寸法Ai及び幾何学的形状を有し、そのそれぞれは材料を有する、請求項1から9のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項11】
上記構造パラメーターの組は、上記ハウジング(2)の上記部分の少なくとも一つの部分の長さHi、上記ハウジング(2)の上記部分の少なくとも一つの部分の幅寸法Ai、上記ハウジング(2)の上記部分の少なくとも一つの部分の幾何学的形状、及び/又は上記ハウジング(2)の上記部分の少なくとも一つの部分の材料を含む、請求項10記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項12】
上記内部導体(6)の少なくともある部分において、幅寸法は、上記内部導体(6)の長さに沿った長手方向の位置に関数的に依存する、請求項1から11のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項13】
上記構造パラメーターの組は、上記内部導体(6)の幅寸法と上記内部導体(6)の長さに沿った長手方向の位置との間に関数的な依存性を有する、請求項12記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項14】
上記ハウジング(2)の少なくともある部分において、幅寸法は、上記ハウジング(2)の長さに沿った長手方向の位置に関数的に依存する、請求項1から13のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項15】
上記構造パラメーターの組は、上記ハウジング(2)の幅寸法と上記ハウジング(2)の長さに沿った長手方向の位置との間に関数的な依存性を有する、請求項14記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項16】
上記構造パラメーターの組の最適値は、少なくとも一つの境界条件又は制約条件の下で導き出される、請求項1から15のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項17】
さらに、温度及び構造パラメーターの組の関数としてのQ値を計算するステップを備え、ここで、上記構造パラメーターの組に関する最適値は、上記Q値が所定値よりも大きいという境界条件の下で導き出される、請求項16記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項18】
上記共振周波数の計算は、モード・マッチング法を用いて行なわれる、請求項1から17のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項19】
チューニング要素(11)は、上記カバー板(5)の開口に部分的に挿入され、内部導体(6)との配列において空洞内へ突出するように選択的に移動可能である、請求項1から18のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項20】
上記構造パラメーターの組は、上記チューニング要素(11)の材料、及び/又は上記空洞内への上記チューニング要素(11)の突出深さを含む、請求項19記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項21】
上記内部導体(6)は円筒状である、請求項1から20のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項22】
上記ハウジング(2)は円筒状である、請求項1から21のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかに記載の構造パラメーター値決定方法を使用して構造パラメーターの組の値を決定し、
決定された上記値に従いハウジング(2)を設け、
決定された上記値に従い内部導体(6)を設け、
上記内部導体(6)を上記ハウジング(2)へ取付る、
ことを特徴とする空洞共振器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−180489(P2006−180489A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−364407(P2005−364407)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】