空洞構造を備えた光学的活性基材
フォトニック結晶等の光学的活性素子は光学的活性材料を分散させた基材(1)を形成し、基材内に一つ以上の空洞構造(2、3)を生成することによって形成される。基材(1)は、ポリマー分散液晶を有することができる。空洞構造(2、3)は、レーザ除去によって生成することができる。光学的活性素子の特性は、熱的効果によって、または電界、磁界、または偏光光場を加えることによって調整することができる。この部材は、ビーム操舵、流体検出、調節可能レーザ、偏光多重化、および光スイッチングでの使用に適合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光学的活性素子と光学的活性素子の形成方法に関し、詳しくは、調節可能フォトニック結晶として使用される光学的活性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の従来技術の参照は、従来技術が共通の一般的知識の一部を構成するという承認または任意の提案形態としてではなく、そう見なすべきでもない。
光学的導波路(ファイバ)は高速伝送および広帯域情報配信可能であるので、長距離伝送ルート上で広く用いられている。現在、このような導波路は、光学的ネットワーキングがより短距離のネットワークでも選択されるようになるにつれ、さらに短い距離スケールでも用いられている。そう遠くない将来では、光学的システムは、コンピュータネットワーク用の既存の電気伝送配線、チップ間通信用回路トラック、そしておそらくデータのチップ内伝送および光学的処理と置き換えられるであろう。このような動作にはより複雑なレベルで光の伝搬をレベル制御する必要があり、これは光の波長程度の周期性を備えた周期的誘電体構造を用いて実現できる(フォトニック結晶として知られる)。
【0003】
フォトニック結晶は、誘電率の周期的変調によってスペクトル領域上で光の伝搬を抑制可能な構造である。光の伝搬を禁じられた領域は、フォトニックバンドギャップとして知られている。フォトニック結晶は、自然に規則的に観察される現象である。例えば、蝶の羽根の多彩な虹色や、宝石の「オパール」の興味深い光学的効果などがある。人工のフォトニック結晶は、自らの目的のために光の伝搬を操作するために、人がこれらの構造を生成したものである。これらの構造は周期的誘電体構成であり、誘電体格子からの微細な散乱共鳴およびブラッグ散乱用に正確に加工されている。サブミクロンサイズの構造部材を特徴として、フォトニック結晶は、例えば、三次元的に素子に出入りする光を制御可能にすることによって、電気光学的または全光学的素子で必要とされるように、ミクロンスケールで光の操作を可能とする。これらの構造は、鋭角導波路、波長分割多重化、高速光スイッチングおよび単一モードレーザ等の用途で使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォトニック結晶は半導体と非常に類似しているので、フォトニック結晶の開発に多くの研究が関わっている。一つの活発な領域は、バンドギャップの特性をいくつかの方法で変更し、その構造を通過する光の伝搬に影響を与える調節可能(tunable)フォトニック結晶の開発である。
【0005】
ブラッグの法則によると、ストップギャップの位置は構造部材のサイズ(結晶格子の寸法)と、材料の平均屈折率の関数である。従って、バンドギャップの位置を変更する可能性は、二つのカテゴリに分類される。
・結晶構造に応力を加えることによる構造的変化の導入
・結晶材料または充填材料の屈折率の変更
物理的応力を加えると格子寸法が変化し、バッドギャップ位置にシフトが生じる。これらの構造的変化は、バッドギャップの位置や特性に大きな変化を発生させるが、それらの応答時間は非常に大きいので実世界の光学的素子には一般に適さない。
【0006】
このような変化は、
1.構造および機械的クロミック効果の外部圧縮
2.ヒドロゲルの体積相転移
3.熱膨張
によってもたらされる。
【0007】
屈折率の変化は、
1.光化学制御
2.非線形材料
3.熱的相転移
4.電気的/光学的/磁気的感応型材料
を用いることで実現することができる。
【0008】
システム内に液晶を導入することは、液晶ダイレクタ(分子の長軸)の配向状態に依存して、屈折率の大きな変化を示すので、最も見込みがあると思われる。液晶は光学的異方性を有し、電界の印加により液晶ダイレクタの方向を変化させ、さらに平均屈折率を変化させる。
【0009】
ホストポリマーに液晶を導入する一つの方法は、ポリマー分散を用いることである。この材料では、液晶は固体ポリマーブロック全体に分散させる。液晶は、ポリマー基材に捕獲された小さな液滴を構成する。液滴のサイズは製造プロセス内で変更でき、数百μmから数nmまで生成することができる。しかし、この形態の材料は使用可能なバンドギャップの提供に必要な屈折率コントラストを本質的に持たず、従って、フォトニック結晶として用いることはできない。
【0010】
液晶の使用を含む調節可能フォトニック結晶の最も多くの開発は、逆オパール等の事前に生成した構造内に液晶を浸入させることに集中している。これは、外部電圧の印加によって調整可能性を提供する。しかし、空洞領域への液晶の浸入は実際には屈折率コントラストを低下させ、システムの効率を低減する。これはさらに、所定の周波数範囲にフォトニック結晶のバンドギャップを調整する必要がある市販用としてはオパールの使用を不適切にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の包括的形態では、この発明は光学的活性素子の形成方法を提供し、この方法は、(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを備える。
【0012】
通常、この方法は、放射線ビームを用いて空洞構造を形成することを含む。
通常、この方法は、レーザ微細加工プロセスを用いて焦点に局所的ミクロ爆発を誘導して前記空洞構造を形成することを含む。
【0013】
通常、この方法は、(a)ポリマーを加熱し、(b)前記ポリマーの全体に液晶を分散させて前記基材を形成することを含む。
通常、前記硬化したポリマー基材の全体に一様に分散して液滴が形成されるように、前記液晶が分散される。
【0014】
通常、ポリマーは熱硬化性樹脂である。
通常、ポリマーは不飽和架橋ポリマーである。
通常、ポリマー基材は、C=C不飽和部を有し、チオールエステルオリゴマーによって架橋されたポリウレタンオリゴマーである。
【0015】
通常、液晶は0.3〜0.9の秩序パラメータを有する。
通常、液晶は4−ペンチル4−シアノビフェニルを含む共晶混合物である。
通常、この方法は、(a)ポリマー材料を加熱してその粘度を低減させ、(b)加熱したポリマー材料に液晶を添加し、(c)得られた混合物を所定の時間撹拌し、ポリマー材料全体に液晶を分散させることを含む。
【0016】
通常、この方法は、得られた混合物を紫外線硬化炉内で硬化させて、液晶が硬化したポリマーの全体に一様に分散されて混合された液滴を形成するように、得られた混合物を固化させることを更に含む。
【0017】
通常、得られた材料は少なくとも30分間硬化される。
通常、この方法は、基材に一つ以上のドーパントを添加することを更に含み、前記ドーパントは、(a)光学的活性材料の緩和速度と、(b)基材の光学特性のうち、少なくとも一つを変更するように調整されている。
【0018】
通常、ドーパントは、(a)光吸収剤、(b)可塑剤、(c)インヒビター、(d)安定剤、(e)難燃剤、(f)硬化剤、(g)量子ドット、(h)ナノ粒子、(i)着色剤、(j)色素のうちの少なくとも一つを含む。
【0019】
通常、この方法は前記基材の両対向表面にインジウム錫酸化物層を設け、そこに電位を印加できるようにすることを含む。
通常、この方法は前記基材を基板上に形成することを含み、前記基板上には、少なくとも一つのインジウム錫酸化物層が真空蒸着を用いて設けられている。
【0020】
通常、この方法は、(a)放射線ビームを生成し、(b)放射線ビームを変調し、(c)変調した放射線ビームをポリマー基材上に集束させて空洞構造を選択的に生成することを含む。
【0021】
通常、この方法は、(a)放射線ビームをフィルタ処理し、(b)放射線ビームをコリメートすることを更に含む。
通常、この方法は所定の空洞構造を生成するように前記基材と前記放射線ビームの相対的な位置を制御することを含む。
【0022】
通常、この方法は、(a)600〜800nmの間の波長、(b)70〜90fsの間のパルス幅、(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、(e)対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力のうちの少なくとも一つを備えた放射線ビームを用いることを含む。
【0023】
通常、前記光学的活性素子は、(a)表示装置、(b)ビーム操舵、(c)流体検出、(d)調節可能レーザ、(e)偏光多重化、及び(f)光スイッチングにおける使用に適合されている。
【0024】
通常、前記空洞構造は(a)一つ以上の空洞チャネル、(b)空洞ドット、(c)複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層のうちの少なくとも一つを含む。
通常、前記空洞構造が複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層を含み、各層の空洞チャネルが実質的に平行であり、隣接する層間で空洞チャネルが実質的に直交している。
【0025】
通常、前記構造はバンドギャップを規定し、前記バンドギャップの波長が前記層の離間に少なくとも部分的に依存する。
第二の包括的形態では、この発明は光学的活性素子を形成するための装置を提供し、この装置は、(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、(b)放射線ビームを変調するためのシャッタと、(c)全体に光学的活性材料が分散された基材上に、変調した前記放射線ビームを集束して、空洞構造を選択的に生成させる対物レンズとを備える。
【0026】
通常、この装置は、(a)前記放射線ビームをフィルタ処理するためのニュートラルデンシティフィルタと、(b)前記放射線ビームをコリメートするためのコリメータを更に備える。
【0027】
通常、前記コリメータがピンホールと絞りから形成される。
通常、この装置は前記シャッタに接続されて前記放射線ビームの変調を制御するコントローラを更に備える。
【0028】
通常、この装置は、(a)前記基材を受承するための架台と、(b)前記架台と前記対物レンズの相対的な位置を制御し、それによって前記放射線ビームと前記基材の相対的な位置を制御する駆動系とを更に備える。
【0029】
通常、前記コントローラは前記駆動系を制御するように適合されている。
通常、前記装置は、(a)放射線を反射するためのビームスプリッタであって、前記放射線が、(i)前記基材から反射した放射線と、(ii)前記基材を透過したバックライト放射線とのうちの少なくとも一つである、前記ビームスプリッタと、(b)反射した放射線を検出する検出器とを更に備え、前記検出器が、(i)空洞形成の監視と、(ii)前記シャッタと前記駆動系とのうちの少なくとも一つの制御とのうちのなくとも一つを行うように前記コントローラに接続されている。
【0030】
通常、前記駆動系は、(a)前記レンズに接続され、前記レンズの第一方向における位置を制御する第一アクチュエータと、(b)前記架台に接続され、前記架台の第二および第三方向における位置を制御する第二アクチュエータとを含む。
【0031】
通常、前記放射線ビームは、(a)600〜800nmの間の波長、(b)70〜90fsの間のパルス幅、(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、(e)前記対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力のうちの少なくとも一つを有する。
【0032】
第三の包括的形態では、この発明は、(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを含む方法によって形成された光学的活性素子を提供する。
【0033】
通常、前記光学的活性素子は、(a)電界、(b)熱的変化、(c)磁界、(d)電磁波のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている。
【0034】
通常、この方法はこの発明の第一の包括的形態の方法を含む。
第四の包括的形態では、この発明は、全体に光学的活性材料が分散された基材と、放射線ビームを用いて前記基材内に形成された一つ以上の空洞構造とを備える光学的活性素子を提供する。
【0035】
通常、前記光学的活性素子が、(a)電界、(b)熱的変化、(c)磁界、(d)電磁波のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている。
【0036】
通常、光学的活性素子は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第五の包括的形態では、この発明は第一の包括的形態に記載のプロセスによって得られる製品を提供する。
【0037】
第六の包括的形態では、この発明はビーム操舵用装置を提供し、この装置は、(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、(b)放射線ビームを生成するための放射線源と、(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する前記調整機構とを備える。
【0038】
通常、光学的活性素子はこの発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第七の包括的形態では、この発明は、(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームを表面に指向させる調整機構とを備える表示装置を提供する。
【0039】
通常、光学的活性素子は、この発明の第三の包括的形態に従う方法によって形成される。
第八の包括的形態では、この発明は流体検出用の装置を提供し、この装置は、(a)放射線源と、(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子であって、前記空洞構造のうちの少なくとも1つが、そこから流体を受承するように外界に開口している、前記光学的活性素子と、(c)前記光学的活性素子を通過する光を検出し、前記少なくとも一つの空洞構造内の前記流体に関する情報を判定する検出システムとを備える。
【0040】
通常、この装置は、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)偏向電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームをスクリーンに指向させる調整機構を更に備える。
【0041】
通常、光学的活性材料は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第九の包括的形態では、この発明は、(a)二つの対向端部を有するキャビティと、(b)前記キャビティに放射線を供給するための放射線源と、(c)各端部に配置された光学的活性素子であって、各光学的活性素子が、全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成されたものである前記光学的活性素子と、(d)少なくとも一つの前記光学的活性素子の光学的活性材料の特性を変更し、得られるレーザビームの特性を制御する調整機構とを備える調節可能レーザを提供する。
【0042】
通常、前記光学的活性素子は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第十の包括的形態では、この発明は光スイッチング用装置を提供し、この装置は(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成され、放射線ビームを受承する適合された光学的活性素子と、(b)前記光学的活性材料の特性を変更し、前記光学的活性素子から出射される前記放射線ビームの方向を選択的に制御する調整機構とを備える。
【0043】
通常、光学的活性素子は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
この発明の一例を、添付の図面を参照しながらここで説明する。
調節可能フォトニック結晶を形成するプロセスの一例を以下に説明する。
結晶は光学的活性体の組み込まれた基材から形成される。詳しくは、一例では、結晶は、ポリマー分散液晶(PDLC)またはポリマー安定化液晶(PSLC)から形成され、これらはポリマーホストへの液晶の分散を説明する包括的用語である。液晶は、硬化したポリマー基材全体に分散された微小液滴を一様に形成する。液滴のサイズは、数百μmから数nmまで変化することができる。以後でより詳しく説明するように、他の材料を用いることもできる。
【0045】
ポリマー/液晶比率は変更でき、液晶の液滴のサイズも変更でき、ポリマーと液晶の種類も変更でき、可塑剤や光吸収剤等の他のドーパントも添加できるが、全てはポリマー内への液晶分散の包括的カテゴリ内にある。
【0046】
液晶ポリマーは均一構造を有するように形成され、その後、空洞チャネル微細加工を利用した修飾によって、液晶ポリマーの硬化したブロック内に任意のフォトニック結晶構造を形成する。
【0047】
この一例は図1に示されており、図1は空洞チャネル結晶構造を含む液晶ポリマーの概略図である。この例では、全体に分散させた液晶を備えたポリマー基材1は、複数の空洞チャネル2を有する。この例では、空洞チャネルは層3内に配置され、各層は図示したように平行に間隙を介して複数の空洞チャネル2から形成される。隣接する層の空洞チャネル2は直交するように構成され、ウッドパイル構造と呼ばれる構造を形成する。
【0048】
空洞チャネルはポリマー液晶バックグラウンドに対する誘電体のコントラストを生成し、バンドギャップの形成を可能にし、バンドギャップは液晶の光学特性を変更することによって調整することができる。詳しくは、ポリマー基材1に電圧を印加すると、ポリマーホスト内の液晶の平均配向が変化し屈折率を変化させ、フォトニックバンドギャップの位置を変更することができる。
【0049】
「ブラッグ方程式」がバンドギャップの特性を最も記述することができる。
【0050】
[数1]
mλgap=2δznavg (式1)
ここで、mはギャップの次数、λはギャップの波長位置、δzはz方向の構造要素の間隔、navgは材料の平均屈折率である。
【0051】
空洞チャネルの位置を調整し、バンドギャップの特性を変更することによって、結晶の構造パラメータを変更することができる。この一例は図2と3に示されており、ここでは五つの面心四面体(FCT)ウッドパイルフォトニック結晶構造が形成され、δxとδyが1.57μmであり、変数δzは0.1μmステップで1.1μmから1.5μmまで増加させている。
【0052】
図示したように、バンドギャップの位置は、構造パラメータの違いによって結晶構造毎に変化する。斜線部は、ポリマーが特性吸収を有するスペクトルの領域である。従って、この例では、バンドギャップの位置は約2.3μmから3.1μmまで移動する。さらに、基本バンドギャップおよび高次バンドギャップは、図3に示したように現れる。
【0053】
この移動は、ブラッグ方程式(式1)で予想されたものに対応する。これは図4に強調されており、図4はストップギャップの予想位置と実際の位置のグラフである。これは、ギャップの実際の位置と理論的位置の間の高い相関度を表し、理論的位置のベースラインからのわずかなシフトは、材料の平均屈折率(nave)が正確にはわからないことによって生じている。
【0054】
[基材(マトリックス)]
上記の方法に従ってフォトニック結晶を生成可能にするために、基材は光学的活性材料を一様に分散させるホスト材料となり、内部に空洞構造(void structure)を形成できなければならない。従って、使用される結晶の環境、および所望の得られる光学特性に依存して、ガラス、ポリマー等の任意の適切な材料を好適に用いることができる。
【0055】
その結果、好適には、選択される材料は必要な屈折率に依存し、さらに所望の得られる光学特性に依存する。
ポリマーを用いる場合、これは任意のポリマーであってもよいが、一般に不飽和炭素ベースのポリマーまたはオリゴマーである。適切なポリマーの例には、
・ポリウレタン、
・ポリメチルメタクリレート、
・ポリイミド、
・ポリアミド、
・ポリアミドイミド、
・ポリエーテルスルホン類、
・ポリフェニル硫化物、
・ポリビニルアルコール、
・アミンホルムアルデヒド、
・熱硬化性樹脂、
・他の架橋したポリマーが含まれる。
【0056】
一具体例では、使用されるポリマーはC=C不飽和部を備え、チオールエステルオリゴマーによって架橋されたポリウレタンオリゴマー(Norland optical adhesives社の製品番号NOA63として入手可能)であり、屈折率1.56を有する。
【0057】
基材材料には、液晶等の光学的活性材料、またはグリセロール等の他の光学的活性材料が添加される。
この点では、適切な材料には、ロッド状分子構造、長軸の剛性、強い双極性や他の容易に偏光可能な置換基を備えた任意の材料が含まれる。詳しくは、これらの特徴は、例えば、適切な外部の電界、磁界、または電磁放射を用いることによって、材料の光学特性を容易に操作可能にする。
【0058】
共通軸に沿って配向する分子の傾向、つまりダイレクタは液晶内の秩序測定として用いられ、秩序パラメータによって表される。全ての分子が配向している完全な結晶の場合、秩序パラメータは1と評価される。現在の技術での使用に適した液晶の秩序パラメータは通常では0.3〜0.9の範囲である。
【0059】
別の注意点としては、この秩序パラメータは一般に液晶温度の関数であり、従って、温度ベースの調整システム内で用いることもできる。
いずれにせよ、液晶の特性は一般に、位置的秩序、方向的秩序、および結合方向的秩序によってさらに特徴付けられ、これらも特定の用途に基づいて選択される。
【0060】
一具体例では、使用される液晶は、異常光に対する屈折率が1.74、常光に対する屈折率が1.53の4−ペンチル−4−シアノビフェニル(MerckからE49として入手可能)を含む共晶混合物(eutectic mixture)である。液晶分子の構造の一例が図5に示されている。
【0061】
この具体例では、ポリマー基材1を生成するために、NOA63樹脂を加熱して、その粘度を低減し液晶が添加される。混合比は液晶20重量%、ポリマー80重量%であった。混合物は通常は10分間撹拌され、その後、前処理された構造体にキャスト成形される。
【0062】
実験用の適切な構造の一例は、図6Aと6Bに示されている。この例では、構造は、ポリマー14を受承するのに適したウェル構造13を構成する顕微鏡ガラススライド11とスペーサ12から形成されたセル10である。前処理したガラスカバー片15はセル10上に配置され、ポリマー/液晶混合物はカバー片15で完全にカバーする。一例では、スペーサ12は、厚さ120〜140μmの範囲のアクリルテープから構成される。
【0063】
セル10は紫外線硬化炉内に40分間配置され、これにより樹脂が素早く硬化され、その結果、液晶が硬化したポリマー全体に一様に混合された微小液滴を形成する。硬化時間を短くする方法では、UV光で硬化させる際、サンプルの温度を上昇させる。これは、液晶の液滴サイズを最小にする効果を有する。小さな液滴を確保する別の方法では、UV炉で硬化させる際、超音波源にサンプルが晒される。
【0064】
いったん材料が硬化すると、以降でより詳しく説明するように、18で示したウッドパイル構造等の構造がポリマー基材内に記録される。
ポリマー基材の特性を変更可能にするために、ポリマー基材に電気信号を印加し、液晶ダイレクタを配向させることができる。図6の構成では、セルはガラススライドとカバー片15上に各々設けた透明電極16、17を有することができる。
【0065】
これは、真空蒸着を用いて堆積させたインジウム錫酸化物(ITO)の薄膜(約35nm)を用いて実現される。この導電性薄膜は赤外線および可視光に対して実質的に透明であるが、セル10の各側に電位を印加することができる。ITO被膜上には、他の絶縁性薄膜は配置しなかった。配線を電極16、17に接続して、電圧の印加を可能にしてもよい。
【0066】
透明電極(ITO)に印加した電圧は、液晶ダイレクタの配向を変化させる効果を有する。印加された電界に対するこれらの液晶の応答は、誘電異方性の符号に依存する。この場合、誘電異方性は正であり、従って、ダイレクタは印加された電界に平行に配向する。この例は図7Aと7Bに示され、図7Aと7Bは各々電界を印加した場合と印加しない場合の液晶ダイレクタの配向を示している。
【0067】
分極前状態(prepolled state)(電圧を印加しない場合)はランダムな液晶ダイレクタの配向として近似され、その分子の長軸は電界に対して任意の角度θで自由に配置される。楕円の関係を用いると、平均屈折率はnLCprepolled=1.60となる。E49は正の誘電異方性を有するので、ダイレクタは印加された電界に平行に配向し、液晶の屈折率をnLCpolled=nLC0(液晶の常光に対する屈折率)に低減する。この制御された屈折率変化は、複合材の平均屈折率navg上で動作することによって、バンドギャップの位置をより短い波長に調整する。
【0068】
内部に構造を持たないセルの特性を示すために、最大DC500Vの増大電圧を印加し、セルの透過性を記録した。閾電圧に到達するまで透過性は低いままであり、それから印加電圧に対してより多くの液晶が配向するために透過性が明確に増大する。これは、印加した電界からのトルクが現在のダイレクタ構成を変形し、急速に方向性を持ち始めるというFreedericksz遷移に起因する。図8に示したように、この急速な始まりは約DC150Vで発生する。
【0069】
[ドーパント]
基材は、光吸収剤、可塑剤、インヒビター、安定剤、難燃剤、硬化剤、着色剤、色素、衝撃調整剤等の追加のドーパントを含むことができる。ドーパントは様々な理由で利用される。
【0070】
例えば、ドーパントの存在はポリマー基材の光学的特性を変更し、その結果、得られるフォトニック結晶の光学特性を変更するために用いられる。これには、例えば、屈折率、透過率特性等の変更が含まれる。
【0071】
これはさらに、空洞構造の形成にも影響を与えることがある。そのため、上の例では、NOA63樹脂は、空洞構造の形成プロセスに役立つ光吸収剤を有する。
加えて、ドーパントは、硬化プロセス等の他の要因にも影響を与えることがある。
【0072】
加えて、ドーパントは、液晶または他の光学的活性材料と樹脂との相互作用にも影響を与えることがある。例えば、ドーパントは光学的活性材料と樹脂の間の機械的結合に影響を与え、ランダム状態と配向状態の間を移動する液晶分子の機能を変えることもできる。これはさらに、以降でより詳しく説明するように、得られるフォトニック結晶の調整特性に影響を与えることができる。
【0073】
[構造形成]
ポリマー基材内に任意の構造を形成するためのシステムの一例を図9を参照して以下に説明する。詳しくは、この装置は放射線ビームを生成するためのレーザ20を有する。放射線ビームはミラー21で反射され、シャッタ22、ニュートラルデンシティフィルタ(neutral density filter)23、ピンホール24、および絞り25を通過し、二色性ビームスプリッタ26に到達する。
【0074】
レーザ光はビームスプリッタ26を通過し、それからアクチュエータ31によって位置制御された対物レンズ30を通過し、架台33上に設けたサンプル32上に集束される。アクチュエータは対物レンズ30をz方向に移動でき(矢印31Aで示されるように)、架台はxおよびy方向に移動できる(矢印33Aで示されるように)。これは、レーザビームの焦点とサンプル32の間の相対的な位置制御を可能にする。
【0075】
矢印35で示されるように、サンプルを背面照射するために白色光源も通常設けられる。使用時には、ビームスプリッタ26は、後方散乱光と、サンプルを通過した白色光源からの光を導くことで、製造プロセスのリアルタイム監視を可能にする。ショートパスフィルタ27は、最小のレーザ光がレンズ28を介してCCDカメラ29に到達するのを確実にする。CCDアレイ29、シャッタ22、およびアクチュエータ31、架台33に接続されるコンピュータシステム34が使用される。
【0076】
使用時には、この装置は、フェムト秒レーザ微細加工プロセスを用いて任意の構造を生成する。図10に示した吸収スペクトルからわかるように、ポリマー基材の吸収は波長700nmでは無視できるため、書き込みプロセスでは波長700nmのレーザが用いられる。
【0077】
しかし、この値は基材の光学特性に依存するから、選択したポリマー、および追加のドーパントの有無等の要因に影響されることがある。
いずれにせよ、この例では、レーザ20は700nmで動作するSpectra−Physics Tsunami(Ti−サファイア)超短パルスレーザであり、パルス幅80fs、繰り返し速度82MHzの超短パルスビームを生成する。レーザビームは対物レンズによってサンプル32上に集束され、この例では対物レンズはOlympus60×1.45オイル浸漬対物レンズである。対物レンズの後方絞りにおいて、書き込み速度500μm/秒、書き込み出力14mWで用いることができる。
【0078】
多光子プロセス固有の切断特性によって深さ識別を可能にし、残りの材料に影響することなく、ポリマー内に構造を書き込むことができる。
これを実現するために、コンピュータシステム34はシャッタ22を起動し、レーザの速度と露光時間を制御し、同時にコンピュータシステム34はサンプル32と対物レンズ30の相対的な位置を制御する。一例では、xy軸で200×200μm、z軸(深さ)で350μm移動させるPhysik Instrumente(PI)微小位置決めシステムを用いて実現される。これは10nmの解像度と100nmの再現性を提供する。
【0079】
材料内に密に超短パルスレーザ光を集束し、焦点に局所的ミクロ爆発を誘導して構造を形成して、固体の液晶添加ポリマー内に空洞を生成する。ポリマーブロックを移動させることで連続的な空洞チャネルの形成を可能にし、それらは逆ウッドパイル構造を生成するように積層される。空洞チャネルの寸法は、使用される材料、レーザ波長、開口率、移動速度、レーザのパルス繰り返し速度、および使用されるパルスのパルス幅によって決められる。
【0080】
正確な書き込み出力と速度を選択するために、材料の特性を示し、空洞構造を効率的に生成するための補正パラメータを確認することができる。図11に示したこの一例は、黒四角で示したプロットであり、そのパラメータは最適な空洞構造の生成を可能にする。移動が速すぎるか、書き込み出力が低すぎる場合、一貫した空洞構造は生じない。従って、空洞ロッドまたはチャネルを形成する場合、結果は破線状になるかもしくは空洞は全く形成されない。出力が高すぎるか、速度が遅すぎる場合、材料に未制御の爆発および欠陥が発生する。後の空洞を形成するために使用される書き込み出力が高すぎる場合、前に形成した空洞が破壊されることがある。
【0081】
図12Aと12Bは、液晶添加PMMA内に形成した空洞ロッドの画像である。ロッドは、810nmのフェムト秒パルスレーザ光を用いて、200μm/秒、100×1.4NAの対物レンズを用いて書き込まれた。画像は、連続波の632.8nmのレーザ光照射を用いて、Olympus BX顕微鏡を用いて得られ、図12Aは632.6nmで照射した光学顕微鏡からの透過画像であり、図12Bは反射共焦点画像である。両図は複製の明確化のためにネガ画像とポジ画像を含む。
【0082】
いずれにせよ、これらの図は、液晶添加ポリマー内に生成されたロッド構造の高度な相関性を示している。この例では、使用した材料はポリメチルメタクリレート(PMMA)とE49液晶(E49:PMMA=5:95重量%)であった。
【0083】
構造が中空(気体を含んでもよい)のチャネルである証拠は、反射共焦点画像が非常に大きな屈折率変化を示していることであり、これはポリマー混合物と中空の空洞の間の屈折率の著しい不整合によって引き起こされている。
【0084】
図13Aと13Bは、液晶ポリマーサンプル(E49:NOA63=6.5:93.5重量%)を介して、材料の片側から書き込んだ空洞ロッド構造の電子顕微鏡画像を示している。サンプルは、6.5%のE49と93.5%のNOA63を有していた。構造は、波長700nm、60×NA1.45Olympus対物レンズを用いて書き込んだ。書き込み速度は500μm/秒、書き込み出力は60mWであった。
【0085】
以上の画像化したサンプルはアルコールで洗浄し、金で被覆した後、電子顕微鏡で画像化した。
図13Aに示した画像は、液晶ポリマーブロックに存在するロッドを示している。これらの画像は孔構造を示す角度から撮影したものであり、この場合、孔構造のサイズは約1.2μmであった。図13Bは一つの深さに存在する四本のロッドと、サンプル内のさらに2μm深いレベルに存在する別の四本のロッドを示している。
【0086】
多光子微細加工プロセスは任意の構造の容易な生成を可能にする。図14A〜14Cは、誘電体層に交互に形成したウッドパイル構造の一例を示している。このフォトニック結晶を生成するために、層間で面内間隔の半分だけオフセットされた十字交差したロッドの互い違いの層を有する逆ウッドパイル構造になるようにロッドが積層される。この形状は、面心四面体の単位格子を構成する。
【0087】
図14Aは異なる深さレベルで直交する方向に延びる層状のロッドを示し、図14Bは完全な結晶構造を示している。ロッドが構造の外部に直交して延びていることに言及しておく。これは、実際の結晶構造に関与するロッドの高い相関性と低い歪みを確保する。通常、ロッド形状とサイズの歪みはロッドの最初で生じる。従って、この方法によるフォトニック結晶の生成は、結晶構造から不要なアーチファクトを除去する。図14Cはさらに画像を、単一サンプル内に造られた多数のフォトニック結晶を示すようにさらにズームアウトした画像である。
【0088】
よって、これはポリマー基材内に様々な異なる構造を形成するのを可能にし、それにより、得られるフォトニック結晶に対しある範囲の異なる光学特性を付与することを可能にする。
【0089】
これらの技術を用いれば、20層構造において、75%を超える減衰で、波長4.5μmの近傍で観察される透過の抑制を提供するバンドギャップを生成することができる。
図15は、構造パラメータδz=1.3μm、δxおよびδy=1.57μmの場合の2650cm−1におけるバンドギャップを示している。約5000cm−1にはより高次のバンドギャップが存在することに言及しておく。この(部分的)バンドギャップはより短い波長範囲内に形成され、通信波長に関して、より有用な波長でこれらの素子を動作させる手段を提供することができる。このグラフには、背景スペクトルを除去していない生データが示されている。
【0090】
上記の製造方法の隠れた特徴は任意の構成を生成できることであり、それにより得られるフォトニック結晶の特性に影響を与えることができることである。
この一例について図16Aを参照して以下に説明する。図16Aでは、二つのウッドパイル構造4、5を生成することによって二重結晶構造が形成されており、各構造は異なるバンドギャップ特性を提供するために層3の間に異なる相対間隔を有する。
【0091】
この構造の相対的な特性を試験するために、三つの結晶を作成した。これらのうちの二つは単一のウッドパイル構造を有し、一方は層間隔δz=1.15μm(ウッドパイル構造4と同様)であり、他方は層間隔δz=1.30μm(ウッドパイル構造5と同様)である。第三結晶は図16Aに示した複合構造であり、図示したように二つのウッドパイル構造が互いの上に積層されている。
【0092】
図16Bは、三つの結晶構造の各々のバンドギャップの構成を示している。詳しくは、層間隔δz=1.15μmの構造については、バンドギャップは2734cm−1に中心があり、層間隔δz=1.30μmの構造については、バンドギャップは2329cm−1に中心がある。図16Aに示した構造の場合、フォトニック結晶は上記の波長の各々にバンドギャップを示し、図示したように二つのバンドギャップの間に細いピークもある。
【0093】
従って、この技術は欠陥の容易な処理を可能にして、意図したバンドギャップの規定を可能にする。フォトニックバンドギャップの重要な量子光学的結果は、結晶内の励起原子または分子の自発発光を完全に抑制できることである。光を結晶内に捕獲し伝搬を妨げる際、フォトニック結晶内の欠陥を制御することでバンドギャップ内に局在化状態を生成することができる。これらの結晶および欠陥の特性を調整することで、技術者はこの発明に基づいた新規なフォトニック素子を自由に設計することができる。特定の位置に空洞ロッドがない構造を生成することによって、光導波路機能を生じさせることができる。
【0094】
効率的な空洞チャネル生成が可能な液晶の最大量を見極めるために、0%、10%、24%、および30%の液晶濃度で四つのセルを製造した。高濃度のセルは次第に不安定になり、上記の例のポリマー/液晶の組み合わせでは30%以上で一貫した空洞チャネル形成が不可能になった。
【0095】
層の数及び液晶濃度の関数としてのギャップ抑制の程度は、図17に示されている。液晶の量が増加したとき、書き込みビームの散乱効果(書き込み出力の伝搬を抑制する)と材料の不均一性(微小チャネルが液晶で充填され始める)が抑制値のプラトーを生じさせる。
【0096】
従って、液晶濃度の増大は空洞形成の劣化をもたらし、さらに得られるフォトニック結晶の透過率抑制の低減をもたらす。これは図17に示されており、図17では抑制は液晶添加量が0%の結晶でより大きくなる。しかし、液晶濃度が低いと、フォトニック結晶内に存在する光学的活性材料が少なくなることがある。その結果、実現可能な基材の全体の屈折率変化が低減され、さらにバンドギャップの調整機能も低下する。従って、液晶濃度が低いほど抑制を改善可能であるが、それに応じて調整能力も低下する。
【0097】
当然のことながら、全ての用途に対して完全なバンドギャップを有する必要はない。言い換えると、完全な透過率の抑制は常に必要とは限らず、使用される液晶の濃度は得られるフォトニック結晶を用いる環境、および必要な特性に依存する。
【0098】
[後処理]
一般に、上記のプロセスによって形成した空洞構造は、形成プロセスの固有の性質によって寸法範囲が限られている。従って、いくつかの状況では、生成した構造に後処理を行い空洞構造の寸法を操作し、それらの光学特性を変更することが望ましい。
【0099】
例えば、得られたフォトニック結晶を加熱および延伸し、空洞構造の寸法を低減することができる。これはさらに空洞構造の波長応答を変更し、特にバンドギャップの波長を低減する。
【0100】
これは、電気通信で使用する等の所定の用途に対して、さらに空洞構造を操作可能にするために用いられる。
[バンドギャップ調整]
上記のように、バンドギャップ調整は、光学的活性材料の屈折率を変更することによって実現される。これを実現する方法は光学的活性材料の性質に依存し、例えば、磁場、電場、または偏光電磁場の印加によって実現することができる。しかし、これに加えて、フォトニック結晶内の熱的または機械的変化等の他の変化によっても屈折率を変更して、バンドギャップ調整を実現することもできる。
【0101】
調整の性質に影響する別の要素は、光学的活性材料と、基材の材料またはその内部のドーパントの間の相互作用である。例えば、ドーパントの存在は、分子と基材の間の結合の程度を変更でき、従って、液晶ダイレクタを配向可能な容易性に影響を与える。これはさらに、配向状態を切り替える液晶の機能を変更する。
【0102】
例えば、電界等の外部制御の印加によって、光学的活性材料が元の状態から変更屈折率状態に移動するとき、これは対応するバンドギャップの移動を引き起こす。電界を除去すると光学的活性材料は元の屈折率状態に戻り、従って、バンドギャップが元の値に戻るのにかかる時間は緩和速度によって特徴付けられる。
【0103】
基材とドーパントの適切な組み合わせを選択すれば、光学的活性材料は高い緩和速度を有する構成を提供することができる。その結果、電界等の外部制御を除去するとすぐ光学的活性材料は元の屈折率状態に戻り、その結果、バンドギャップも元の位置に戻る。従って、これは外部制御を除去したとき、フォトニック結晶が元の状態に戻る自己消去構成を提供する。
【0104】
別の方法として、外部制御を外した後、一定期間、バンドギャップが変更屈折率で留まるようにすべく、低い緩和速度を提供してもよい。極端な状況では、追加の外部制御を行うまで、光学的活性材料が実質的に変更屈折率に永続的に留まるような程度まで、緩和速度を低減してもよい。従って、これは追加の外部制御を加えることによって変更しない限り、バンドギャップ変化が実質的に固定される構成を提供する。
【0105】
このことからわかるように、構成、特にドーパント、基材、活性材料の組み合わせは、フォトニック結晶の所定の用途に基づいて設定されることができる。
従って、例えば、永続型構成(permanent arrangement)はデータ記憶用途で用いられる。このような永続型構成の一例は、TNF(2,4,7トリニトロ9フルオレノン)と可塑剤ECZを添加したE49:PMMA基材から形成される。この場合、ドーパントはE49液晶と相互作用し、緩和速度を最小化し、緩和時間を最大化し、データ記憶に適した組み合わせとなる。
【0106】
[電気的バンドギャップ調整]
上記のように、Freedericksz遷移電圧より大きな電界を加えると、液晶は印加した電界のラインに沿って回転し始める。これは屈折率を変更する効果を有し、ブラッグの法則に従ってバンドギャップ位置も変化させる。
【0107】
バンドギャップの位置は、連続波赤外線顕微鏡を備えたNicolet Nexusフーリエ変換赤外線分光器を用いて測定し、結晶構造のスペクトルスループットを解析することができる。対物および集光レンズは、ガラススライドおよびカバー片用に補正した32×NA0.65(赤外線)を用いることができる。各スペクトルは200走査からなり、解像度は4cm−1である。
【0108】
図18は、初期のバンドギャップを測定したこのような結晶例の走査の一つを示している。走査直後にセルに電圧を印加し、別のFT−IRスペクトルを測定した。この例では、約40.4nmのバンドギャップの移動、つまり3765.823nmから3725.402nmへのシフトがあった。このシフトは、セルの各表面のITO電極にDC550Vを印加して発生する。
【0109】
図16Aと16Bについての上記のフォトニック結晶への電界の影響の一例は、図16Cに示されている。同様に、これも印加した電界が増大すると、バンドギャップ波長が増大することを示している。
【0110】
別の例は図19に示され、図19では、図17について議論したセルは各々最大600Vの増大電位を印加することによって特性を調べ、結晶の赤外線透過スペクトルを記録した。同様に、約100Vの閾電圧に到達するまで、バンドギャップのスペクトル位置にはほとんど変化はなく、約100VではFreedericksz遷移のおける明確な変化がある。開始後、電位の増大に伴って、バンドギャップ位置のほぼ直線的な増加が観察される。この増加は、最大数の液晶分子が配向プロセスに関与すると安定する。
【0111】
600Vの電位では、74nmのバンドギャップの最大偏向が24%のサンプルについて観察される。74nmのスペクトルシフトは、最初のランダム配向の液晶状態から予想されるものより大きい。しかし、書き込みレーザビームの電界による液晶の初期の部分的面内配向が製造プロセス中に発生する場合、この結果が予想される。第一の高次ストップギャップも、印加電位で制御されて変化することを示している。
【0112】
この遷移は、結晶の光学特性に大きな影響を与えることができる。例えば、このフォトニック結晶をレーザ源によってバンドエッジで照射すると、バンドギャップを調整する際、透過率が著しく変化することがわかる。ギャップの両側の急峻な傾斜によって、ギャップ位置が少し動くだけで、フォトニック素子の製造および使用に大きな影響を与える。
【0113】
[光学的バンドギャップ調整]
電界を用いたバンドギャップ調整に加えて、PDLC内の液晶ダイレクタの再配向は、外部偏光光場(external polarised optical field)でサンプルを照射することによっても実現することができる。これは、フォトニック結晶の光学的調整機構を提供する。
【0114】
これは、電気的調整に関する上記の結晶構造を用いて実現され、従ってこれらはさらに詳しくは説明しない。
電気的バンドギャップ調整の場合と同様に、2光子4励起下のPDLCの蛍光性の物理的理由のため、光レーザビームの偏光方向に沿って液晶ダイレクタは再配向する。従って、光場を印加しない場合、図20Aに示したように液晶ダイレクタの配向はランダムになり、任意の角度で自由に配置されたその分子の長軸によって屈折率は1.60となる。E49は正の誘電異方性を有するので、ダイレクタは印加された電場ベクトルに平行に配向し、直線偏光の放射線ビームが積層方向に沿って入射するとダイレクタは回転し、図20Bに示したようにフォトニック結晶の積層方向に垂直に配向する。従って、レーザビームをその偏光方向に沿って走査すると、この配向プロセスは拡大し屈折率は1.74となる。
【0115】
この光学的分極(optical polling)/調整プロセスは、より長波長方向へのストップギャップのシフトをもたらす。この一例は図21に示されており、図17に関して上で議論したように、0%、10%および24%の液晶濃度のセルの場合の偏光光場に対するストップギャップ位置の変化を示している。
【0116】
光学的調整は、出力30mWのHeNeレーザ(632.8nm)を用いて実現され、二次元ラスタ方式で構造全体を走査する。光学的分極構造の赤外線スペクトルは、連続波赤外線顕微鏡を備えたNicolet Nexusフーリエ変換赤外線分光器を用いて測定し、積層方向の結晶のスペクトルスループットを解析した。分光器からの無偏光の赤外光は、液晶の配向には影響を与えない。
【0117】
図示したように、液晶添加量が0%のサンプルでは、HeNeレーザで構造を照射した後、バンドギャップ位置の変化は生じない。しかし、10%と24%のサンプルでは、最大数の液晶が配向プロセスに関与するまで、バンドギャップ位置のほぼ直線的なシフトが見られる。10%のサンプルでは最大の波長シフトは約30nmであり、24%のサンプルでは65nmの波長シフトを与える。ブラッグ方程式に従って、平均屈折率が増大にするとバンドギャップはより長波長にシフトする。
【0118】
[組み合わせ調整]
上記の光学的調整法と電気的調整法を組み合わせて、図22Aに示したように、バンドギャップの位置をより長波長に光学的にシフトさせることができる。その後、バンドギャップの波長は、図22Bに示したように、セルに電圧を印加することでより短波長にシフトさせて戻すことができる。
【0119】
光学的調整と電気的調整を組み合わせたこの方法は、光学的分極を用いてバンドギャップをより長波長にシフトさせ、電気的調整を用いてより短波長に戻すことで、バンドギャップを65nmの領域内で前後にスイープすることができる。図22Cと22Dは、この調整プロセスのFTIRスペクトルを示している。
【0120】
高密度のUV光を照射することで、ダイレクタを未配向状態に戻すこともできる。これは、液晶ダイレクタをランダム状態に再分布させる効果を有する。
[変更例]
当然のことながら、上記の技術は例示的なものにすぎず様々な変更例を実現することができる。
【0121】
例えば、上記の例は、ホスト材料に添加する際の液晶の活性特性を利用している。上記の例では、ホスト材料はポリマー(PMMA、NOA63等)であるが、空洞構造を形成可能であればガラスや結晶等の他のホスト材料を用いることもできる。同様に、他の液晶を用いることもできる。
【0122】
空洞チャネルは、細長いロッド、孔、層または他の形状であってもよい。
上記の製造プロセスは、液晶ポリマー内に空洞構造を生成する一方法としてパルスレーザを用いているが、リソグラフィ技術、エッチングまたは層毎に堆積させる等の他の方法を用いることもできる。
【0123】
「空洞チャネル」構造の内部は空の空間であってもよいが、除去プロセスのガス残渣の組み合わせであってもよい。加えて、チャネルが液晶ポリマーブロックから出る箇所においてチャネルに高屈折率の別の材料を浸入させ、フォトニックバンドギャップの特性を調整することもできる。
【0124】
チャネルが外界に開いている場合、外界のガスまたは液体を空洞に充填させ、これらの材料で構造の光学特性に影響を与えることもできる。その結果、この構造は(特性波長が構造を介して伝搬する際)所定のガスの検出に用いることができる。
【0125】
空洞構造は、一次元ブラッグ反射体、または二次元フォトニック結晶導波路内に光を注ぎ込むチャネル等、一次元、二次元または三次元構造であってもよい。
二次または三次高調波等を用いるために、バンドギャップの他の高調波を目標とし、より「通信」波長側にバンドギャップのスペクトル位置を移動させることもできる。
【0126】
液晶ポリマーは単純なブロック内に形成することも、光ファイバに延伸することもできる。空洞チャネル構造は光ファイバ内に書き込むことも、液晶の特性を用いて光ファイバの性質を調整することもできる。
【0127】
素子は、空洞チャネル液晶構造によって光のスループットを制御した表示システムの一部を構成することもできる。
液晶は異なる効果に敏感であるので、この発明はACまたはDC電位の印加によって調整することも、温度、磁界または光場によって調整することもできる。
【0128】
光吸収剤、可塑剤、インヒビター、安定剤、難燃剤、量子ドット、ナノ粒子、硬化剤、着色剤、色素、衝撃調整剤等の他の材料を液晶ポリマーに含有することもできる。
液晶添加ポリマー内の空洞構造は、光学的データ記憶や光ディスクのトラッキング機構に用いることもできる。
【0129】
フォトニック結晶は、光学的回路、集積型光学系、および活性型導波路素子内で用いられる導波路、スプリッタ、接合部およびカプラに用いることもできる。
[用途]
上記のフォトニック結晶のいくつかの所定の用途について以下に説明する。
【0130】
[流体およびガス検出]
外界に開いた空洞構造を備えたフォトニック結晶を実現することによって、外界からの流体を空洞構造に浸入させ、さらにフォトニック結晶の光学特性を変更することができる。
【0131】
詳しくは、空気と異なる屈折率を備えたガスを空洞構造に浸入させると、バンドギャップの位置が変化しガスの存在を検出することができる。さらに、バンドギャップの変化を解析することによって、ガスの性質および濃度を判定することができる。
【0132】
従って、液晶配向および光源を変更し、CO2、CO、cs、サリン、またはリシンなどの所定の種類のガスまたは試薬用に検出器を微調整することができる。所定の特性ピークを調べることで、目標化学物質の識別を可能にする。
【0133】
検出器を実現するために、通常は光ファイバ42を介して放射線源41に接続した複数のフォトニック結晶40(例示的に六つのみ示した)を提供する。フォトニック結晶は光ファイバ43を介して検出器44に接続し、さらにコントローラ45に接続することもできる。コントローラ45は、さらに光学的または電気的調整機構等の調整機構43を有する。
【0134】
使用時には、赤外光等の放射線源によって生成された放射線は、光ファイバ42を介して結晶40に送られる。これは照射放射線に影響を与え、その結果、外部要因によって変更される。フォトニック結晶40は所定の化学特性に対して調整し、その結果、接続した光ファイバを介してそれらの所定の波長をフォトダイオード検出器44に導き、検出器44で光をアナログ電気信号に変換してコントローラ45で解析する。
【0135】
その代わりに、反射放射線を検出器に戻す光ファイバを用いて後方反射を使用することもできる。
これらの信号の比が電子的に比較され、所定の比に一致する場合、ガス警報が送られる。
【0136】
二酸化炭素の特性吸収スペクトルの一例は、図24に示されている。二つのフォトニック結晶を設け、CO2スペクトルの吸収ピークに対応する波長を反射すれば、これらの反射の低減がCO2の存在を示すことができる。
【0137】
同様のシステムは、血液中のブドウ糖レベル等、他の流体の観察に用いることもできる。
[フォトニックビーム操舵(steering)]
プリズム(別名スーパープリズム)等のフォトニック結晶構造を生成し、液晶調整効果を用いることによって、フォトニック結晶に入射する光を任意の方向に操舵することができる。これは、その構造から出射する光のビーム操舵または多重化/逆多重化に用いられる。
【0138】
この目的のフォトニック結晶の一例は、図25に示されている。
この例では、結晶は、一般に平行四辺形の液晶添加ポリマー基材50から形成する。ポリマー基材は、正方形領域52に設けた空洞ロッドまたは空洞ドット構造51を有する。放射線ビームは53において平行四辺形の端部の一つに沿って入射し、所定の角度で正方形領域52に入射する。ポリマー基材の屈折率変化は、電流、または偏光させた光を加えることによって、バンドギャップの位置を変更するのと同様に実現され、光がフォトニック結晶から出射する角度を矢印54によって示したように変更することができる。
【0139】
スーパープリズム機能を実現することができる。詳しくは、スーパープリズムは既存の光学プリズムと同様であるが、二つの優れた特性を有する。第一に超分散性であり、第二に超屈折性である。既存のプリズムが光を複数の波長に分離するのと同様に、スーパープリズムはこれらの波長をより広い角度に分離し、超分散性と呼ばれる。スーパープリズムは、単一波長の光の伝搬角度を拡大し、広い角度にビームを操舵するためにも用いられ、超屈折性と呼ばれる。フォトニック結晶は、スーパープリズム効果の本質を構成する。フォトニック結晶の高い異方性は、スーパープリズムを通過する光の伝搬を方向、周波数および屈折率に対して非常に敏感する。
【0140】
以下に説明するように、このビーム操舵装置から様々な素子を開発および製造することができる。
[LIDAR]
これらの素子のフェーズドアレイは、RADARと同様の原理を用いて、LIDAR(LIght Detection and Ranging:光検出および測距)用途に十分な高速走査時間で高角度で出射ビームを接続することができる。
【0141】
[IC置き換え]
現在の技術は集積回路チップを用いてビームを操舵しており、前記集積回路チップはレーザビームを操舵するために数百万個の微小ミラーを有する。これは熱的誘導ミサイルの追跡を混乱させるために現在用いられているが、素子を航空機に積載するとミラーが振動し不安定になるので、このようなシステムは通常信頼性がない。
【0142】
従って、ビーム操舵技術は可動部品がないので、微小ミラー素子のような固有の問題による不利益を受けない。
[多重化]
出射ビームは出力ポートアレイに向かって指向されることができ、これにより、この素子が多重化器や逆多重化器として機能することが可能となる。
【0143】
[表示装置]
三つの操舵素子を組み合わせることによって、赤、青および緑のレーザビームを個別に操舵でき、これにより、このシステムがレーザベース表示システムを提供するのに用いられることが可能となる。
【0144】
表示システムの一例は、図26に示されている。この例では、システムはレーザシステム61と操舵ヘッド62に接続されたコントローラ60を有する。レーザシステム61は三つのビーム生成器63を有し、操舵ヘッド62は三つの対応するフォトニック結晶64を有する。使用時には、各フォトニック結晶64を用いてスクリーン65または壁上にビームを操舵し、異なるレーザ光を組み合わせて任意の色を生成することができる。例えば、赤、緑および青のレーザを組み合わせて白色画像セグメントを描画することができる。緑のレーザと赤のレーザの組み合わせは黄色を生成する。
【0145】
ビーム操舵はスクリーンの全体にわたってレーザスポットが移動して、選択した色の明るい画像を構成するのを可能にする。レーザはラスタパターンに走査し、レーザの出力強度を変調して投射する色強度を変化させることができる。
【0146】
代わりに、ビーム速度を変調し、所定の位置における合計時間によってスポットの輝度を判定することもできる。
[調節可能微小レンズ]
ポリマー/液晶複合材内に任意形状の空洞構造を書き込み、任意のレンズを形成することができる。レンズの焦点距離は、光が進行しなければならない光学的距離の関数であり、材料の屈折率の関数となる。従って、屈折率の変更によって、レンズ系の焦点距離を変更することができる。
【0147】
このシステムは、多層CDおよびDVDシステム用のマルチフォーカスレンズに用いることができる。
この構造は既存の微小レンズ系と同様であるが、我々の液晶ポリマーで多光子除去プロセスを用いてフォトニック結晶レンズ構造から構成することができる。
【0148】
[調節可能レーザ]
レーザは、光学的キャビティ内の光増幅を用いる。これを実現するために、キャビティの一端が部分的に透明になるようにして、得られるレーザビームをキャビティから出射可能にする。
【0149】
キャビティの片側のミラーとしてフォトニック結晶を用いると、通常の方法に従ってキャビティ内で光を生成および増幅することができる。しかし、フォトニック結晶は、例えば、印加電界を用いることによって結晶を調整することで、キャビティの光路長を変更するために用いることができる。これによって、光路長が変化し、レーザが出射する波長も変化する。屈折率の変化は、フォトニック結晶ミラーが反射する波長も変化させ、レーザ出力波長も調整することができる。
【0150】
別の変更は、各キャビティ端部で全反射を用いて、最大増幅を確保するキャビティを実現できることである。この場合、レーザビームを出射する際、フォトニック結晶の一方の特性を操作し、レーザビームビティから出射可能にする。
【0151】
素子内の液晶は蛍光発光することもでき、液晶/ポリマー混合物に別の色素レーザを含めて、素子を介して伝搬する光の利得媒体として機能させることもできる。
調節可能フォトニック結晶内に任意の欠陥を導入することによって、新規なレーザシステムを設計することもできる。欠陥は利得媒体を介した伝搬を可能にし、非常に狭い線幅の調節可能レーザを可能にする。
【0152】
[欠陥構造を用いた偏光多重化]
ロッドまたはチャネルの欠落した空洞構造を生成することによって、いわゆる「欠陥構造」を形成することができる。これらの構造は素子の特性を調整することができる。
【0153】
これは、伝搬する光を二つの異なる経路に分割するフォトニック結晶スプリッタの生成等の様々な目的に用いることができる。液晶の偏光性を用いて、所定の偏光の光を特定の経路に沿って送ることができる。
【0154】
この効果は、偏光多重化器に用いることができる。偏波維持光ファイバを用いて、異なる情報を含む別個の偏光によって異なる情報を単一の光ファイバで送信することができる。この発明は、光がその構造を進行する際、光の偏光状態を調整することもできる。
【0155】
[光スイッチ]
空洞チャネル構造内部液晶添加光ファイバは、特定の温度で光の伝搬を停止するために用いることができる。液晶は温度が特定の値に到達すると状態を変化させ、この状態の変化によって屈折率の変化、従ってバンドギャップのシフトを引き起こす。このバンドギャップのシフトはファイバを通過する光の伝搬を変化させ、すなわち光りの伝搬を停止し、これにより、特定の温度に到達した装置を変更させる。
【0156】
従って、これによって、適切な空洞チャネル構造を備えたフォトニック結晶が過酷な放射性環境や危険な環境に耐えて、これらの環境内で使用するのが可能となる。
加えて、温度検出が重要であり、重量が特に問題になる航空機構造体(スペースシャトルを含む)に用いることもできる。
【0157】
同様に、空洞構造の特性は電界、磁界および光場によっても影響を受けるので、これらの特性に基づいたスイッチングを実現することができる。
従って、上記の技術は多光子微細加工プロセスを用いて、活性媒体内で任意のフォトニック結晶構造を生成するのを可能にする。
【0158】
活性媒体はポリマーホスト内に添加した液晶から形成し、小さな液滴の形態でポリマーに液晶を添加することによって形成した液晶ポリマー複合材を形成し、前記液滴はポリマー基材全体に一様に混合してもよい。液晶の液滴サイズは製造プロセスによって変更してもよく、数nm〜数百μmで変更することができる。
【0159】
フォトニック結晶構造は必要な誘電体コントラストを提供する空洞チャネルの形成によって液晶/ポリマー複合材内に孔開けされる。印加した電界または偏光させた放射線ビームは、その構造の屈折率、従ってフォトニックバンドギャップの位置を変更する。
【0160】
その構造は、ポリマー基材内の多光子レーザのミクロ爆発によって形成する。このミクロ爆発をx、y、またはz軸に平行移動させて、空洞チャネルまたは他の構造が形成されるのを可能にする。多数の空洞チャネルを形成することによって所望の構造を生成でき、さらに任意の格子定数の一次元、二次元または三次元フォトニック結晶を生成することができる。
【0161】
液晶は光学的異方性を備え、それらの物理的位置を電界または光場の印加によって変更し、材料の屈折率を全体として変更することができる。この屈折率変化はブラッグ条件を変更させ、従ってバンドギャップ波長が移動する。
【0162】
任意の構造を生成できるので、必要に応じて構造を変更することによって、調節可能または活性型フォトニック結晶を生成することができる。従って、これは調節可能フォトニック結晶の製造方法を提供し、前記方法は制御された多光子除去プロセスの使用を含む。
【0163】
当然のことながら、様々な変形および変更形態が当業者にとって明らかである。当業者にとって明らかなこのような変形および変更形態は、上記した包括的に現れる発明の技術的思想の範囲内にあるものと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】空洞チャネル結晶構造を含む液晶ポリマーの概略図である。
【図2】異なる構造特性を備えた異なる結晶に対して、バンドギャップ位置の違いを示すグラフである。
【図3】6%のE49のPDLC材料の層間隔dzを1.1から1.5mmまで次第に増加させた場合の基本ストップギャップの位置を示す赤外線スペクトル図である。
【図4】異なる構造特性を備えた異なる結晶に対して、バンドギャップの予想位置とバンドギャップの実際の位置の関係を示すグラフである。
【図5】液晶分子の化学構造の一例である。
【図6】A、Bはポリマー基材を形成するためのセルの一例を示す概略図である。
【図7】A、Bは印加電圧のありなしでポリマー基材内の液晶ダイレクタの配向を示す概略図である。
【図8】フォトニック結晶構造を備えていないポリマー分散液晶材料の光透過性を示すグラフである。
【図9】ポリマー基材内に空洞構造を形成するための装置の一例を示す概略図である。
【図10】NOA63 E49混合物の吸収スペクトルの一例である。
【図11】ポリマー基材内に空洞構造を生成するための異なる条件を示すプロットである。
【図12A】液晶添加PMMA内に形成した空洞ロッドの透過モードの顕微鏡画像である。
【図12B】液晶添加PMMA内に形成した空洞ロッドの反射共焦点画像である。
【図13】A、Bはポリマーサンプルに存在する空洞ロッドの電子顕微鏡画像である。
【図14】A乃至Cはフォトニック結晶構造のいくつかの例の光学的透過顕微鏡画像である。
【図15】波長2650cm−1と5000cm−1においてバンドギャップを示すベースライン補正なしの生のFTIRスペクトルの一例である。
【図16A】フォトニック結晶の形成で使用される空洞構造の一例の概略図である。
【図16B】図16Aに示した空洞構造を含むフォトニック結晶の生のFTIRスペクトルである。
【図16C】図16Aに示した空洞構造を含むフォトニック結晶のバンドギャップ上での電界の影響を示すグラフである。
【図17】三つの液晶濃度に対して、空洞層数の関数としてのバンドギャップ抑制の一例である。
【図18】フォトニック結晶の一例に対して、バンドギャップの位置のシフトを示す二つのベースライン補正済みFTIRスペクトルの一例である。
【図19】0%、10%、および24%の液晶を備えたフォトニック結晶に対して、印加電圧とストップギャップ位置のシフトの関係の一例である。
【図20】A、Bは偏光ビームを印加した場合と印加しない場合のポリマー基材内の液晶ダイレクタの配向の概略図である。
【図21】0%、10%、および24%の液晶濃度に対して、偏光光場を印加した時間とストップギャップ位置の変化関係の一例である。
【図22】A、Bは光場と電界を各々加えた場合のバンドギャップ位置化の例であり、C,Dは光場と電界を各々加えた場合の透過スペクトルの例である。
【図23】フォトニック結晶を含む流体検出器の一例の概略図である。
【図24】CO2の吸収スペクトルの一例である。
【図25】ビーム操舵で使用されるフォトニック結晶の一例の概略図である。
【図26】フォトニック結晶を含む表示装置の一例の概略図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は光学的活性素子と光学的活性素子の形成方法に関し、詳しくは、調節可能フォトニック結晶として使用される光学的活性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の従来技術の参照は、従来技術が共通の一般的知識の一部を構成するという承認または任意の提案形態としてではなく、そう見なすべきでもない。
光学的導波路(ファイバ)は高速伝送および広帯域情報配信可能であるので、長距離伝送ルート上で広く用いられている。現在、このような導波路は、光学的ネットワーキングがより短距離のネットワークでも選択されるようになるにつれ、さらに短い距離スケールでも用いられている。そう遠くない将来では、光学的システムは、コンピュータネットワーク用の既存の電気伝送配線、チップ間通信用回路トラック、そしておそらくデータのチップ内伝送および光学的処理と置き換えられるであろう。このような動作にはより複雑なレベルで光の伝搬をレベル制御する必要があり、これは光の波長程度の周期性を備えた周期的誘電体構造を用いて実現できる(フォトニック結晶として知られる)。
【0003】
フォトニック結晶は、誘電率の周期的変調によってスペクトル領域上で光の伝搬を抑制可能な構造である。光の伝搬を禁じられた領域は、フォトニックバンドギャップとして知られている。フォトニック結晶は、自然に規則的に観察される現象である。例えば、蝶の羽根の多彩な虹色や、宝石の「オパール」の興味深い光学的効果などがある。人工のフォトニック結晶は、自らの目的のために光の伝搬を操作するために、人がこれらの構造を生成したものである。これらの構造は周期的誘電体構成であり、誘電体格子からの微細な散乱共鳴およびブラッグ散乱用に正確に加工されている。サブミクロンサイズの構造部材を特徴として、フォトニック結晶は、例えば、三次元的に素子に出入りする光を制御可能にすることによって、電気光学的または全光学的素子で必要とされるように、ミクロンスケールで光の操作を可能とする。これらの構造は、鋭角導波路、波長分割多重化、高速光スイッチングおよび単一モードレーザ等の用途で使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォトニック結晶は半導体と非常に類似しているので、フォトニック結晶の開発に多くの研究が関わっている。一つの活発な領域は、バンドギャップの特性をいくつかの方法で変更し、その構造を通過する光の伝搬に影響を与える調節可能(tunable)フォトニック結晶の開発である。
【0005】
ブラッグの法則によると、ストップギャップの位置は構造部材のサイズ(結晶格子の寸法)と、材料の平均屈折率の関数である。従って、バンドギャップの位置を変更する可能性は、二つのカテゴリに分類される。
・結晶構造に応力を加えることによる構造的変化の導入
・結晶材料または充填材料の屈折率の変更
物理的応力を加えると格子寸法が変化し、バッドギャップ位置にシフトが生じる。これらの構造的変化は、バッドギャップの位置や特性に大きな変化を発生させるが、それらの応答時間は非常に大きいので実世界の光学的素子には一般に適さない。
【0006】
このような変化は、
1.構造および機械的クロミック効果の外部圧縮
2.ヒドロゲルの体積相転移
3.熱膨張
によってもたらされる。
【0007】
屈折率の変化は、
1.光化学制御
2.非線形材料
3.熱的相転移
4.電気的/光学的/磁気的感応型材料
を用いることで実現することができる。
【0008】
システム内に液晶を導入することは、液晶ダイレクタ(分子の長軸)の配向状態に依存して、屈折率の大きな変化を示すので、最も見込みがあると思われる。液晶は光学的異方性を有し、電界の印加により液晶ダイレクタの方向を変化させ、さらに平均屈折率を変化させる。
【0009】
ホストポリマーに液晶を導入する一つの方法は、ポリマー分散を用いることである。この材料では、液晶は固体ポリマーブロック全体に分散させる。液晶は、ポリマー基材に捕獲された小さな液滴を構成する。液滴のサイズは製造プロセス内で変更でき、数百μmから数nmまで生成することができる。しかし、この形態の材料は使用可能なバンドギャップの提供に必要な屈折率コントラストを本質的に持たず、従って、フォトニック結晶として用いることはできない。
【0010】
液晶の使用を含む調節可能フォトニック結晶の最も多くの開発は、逆オパール等の事前に生成した構造内に液晶を浸入させることに集中している。これは、外部電圧の印加によって調整可能性を提供する。しかし、空洞領域への液晶の浸入は実際には屈折率コントラストを低下させ、システムの効率を低減する。これはさらに、所定の周波数範囲にフォトニック結晶のバンドギャップを調整する必要がある市販用としてはオパールの使用を不適切にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の包括的形態では、この発明は光学的活性素子の形成方法を提供し、この方法は、(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを備える。
【0012】
通常、この方法は、放射線ビームを用いて空洞構造を形成することを含む。
通常、この方法は、レーザ微細加工プロセスを用いて焦点に局所的ミクロ爆発を誘導して前記空洞構造を形成することを含む。
【0013】
通常、この方法は、(a)ポリマーを加熱し、(b)前記ポリマーの全体に液晶を分散させて前記基材を形成することを含む。
通常、前記硬化したポリマー基材の全体に一様に分散して液滴が形成されるように、前記液晶が分散される。
【0014】
通常、ポリマーは熱硬化性樹脂である。
通常、ポリマーは不飽和架橋ポリマーである。
通常、ポリマー基材は、C=C不飽和部を有し、チオールエステルオリゴマーによって架橋されたポリウレタンオリゴマーである。
【0015】
通常、液晶は0.3〜0.9の秩序パラメータを有する。
通常、液晶は4−ペンチル4−シアノビフェニルを含む共晶混合物である。
通常、この方法は、(a)ポリマー材料を加熱してその粘度を低減させ、(b)加熱したポリマー材料に液晶を添加し、(c)得られた混合物を所定の時間撹拌し、ポリマー材料全体に液晶を分散させることを含む。
【0016】
通常、この方法は、得られた混合物を紫外線硬化炉内で硬化させて、液晶が硬化したポリマーの全体に一様に分散されて混合された液滴を形成するように、得られた混合物を固化させることを更に含む。
【0017】
通常、得られた材料は少なくとも30分間硬化される。
通常、この方法は、基材に一つ以上のドーパントを添加することを更に含み、前記ドーパントは、(a)光学的活性材料の緩和速度と、(b)基材の光学特性のうち、少なくとも一つを変更するように調整されている。
【0018】
通常、ドーパントは、(a)光吸収剤、(b)可塑剤、(c)インヒビター、(d)安定剤、(e)難燃剤、(f)硬化剤、(g)量子ドット、(h)ナノ粒子、(i)着色剤、(j)色素のうちの少なくとも一つを含む。
【0019】
通常、この方法は前記基材の両対向表面にインジウム錫酸化物層を設け、そこに電位を印加できるようにすることを含む。
通常、この方法は前記基材を基板上に形成することを含み、前記基板上には、少なくとも一つのインジウム錫酸化物層が真空蒸着を用いて設けられている。
【0020】
通常、この方法は、(a)放射線ビームを生成し、(b)放射線ビームを変調し、(c)変調した放射線ビームをポリマー基材上に集束させて空洞構造を選択的に生成することを含む。
【0021】
通常、この方法は、(a)放射線ビームをフィルタ処理し、(b)放射線ビームをコリメートすることを更に含む。
通常、この方法は所定の空洞構造を生成するように前記基材と前記放射線ビームの相対的な位置を制御することを含む。
【0022】
通常、この方法は、(a)600〜800nmの間の波長、(b)70〜90fsの間のパルス幅、(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、(e)対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力のうちの少なくとも一つを備えた放射線ビームを用いることを含む。
【0023】
通常、前記光学的活性素子は、(a)表示装置、(b)ビーム操舵、(c)流体検出、(d)調節可能レーザ、(e)偏光多重化、及び(f)光スイッチングにおける使用に適合されている。
【0024】
通常、前記空洞構造は(a)一つ以上の空洞チャネル、(b)空洞ドット、(c)複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層のうちの少なくとも一つを含む。
通常、前記空洞構造が複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層を含み、各層の空洞チャネルが実質的に平行であり、隣接する層間で空洞チャネルが実質的に直交している。
【0025】
通常、前記構造はバンドギャップを規定し、前記バンドギャップの波長が前記層の離間に少なくとも部分的に依存する。
第二の包括的形態では、この発明は光学的活性素子を形成するための装置を提供し、この装置は、(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、(b)放射線ビームを変調するためのシャッタと、(c)全体に光学的活性材料が分散された基材上に、変調した前記放射線ビームを集束して、空洞構造を選択的に生成させる対物レンズとを備える。
【0026】
通常、この装置は、(a)前記放射線ビームをフィルタ処理するためのニュートラルデンシティフィルタと、(b)前記放射線ビームをコリメートするためのコリメータを更に備える。
【0027】
通常、前記コリメータがピンホールと絞りから形成される。
通常、この装置は前記シャッタに接続されて前記放射線ビームの変調を制御するコントローラを更に備える。
【0028】
通常、この装置は、(a)前記基材を受承するための架台と、(b)前記架台と前記対物レンズの相対的な位置を制御し、それによって前記放射線ビームと前記基材の相対的な位置を制御する駆動系とを更に備える。
【0029】
通常、前記コントローラは前記駆動系を制御するように適合されている。
通常、前記装置は、(a)放射線を反射するためのビームスプリッタであって、前記放射線が、(i)前記基材から反射した放射線と、(ii)前記基材を透過したバックライト放射線とのうちの少なくとも一つである、前記ビームスプリッタと、(b)反射した放射線を検出する検出器とを更に備え、前記検出器が、(i)空洞形成の監視と、(ii)前記シャッタと前記駆動系とのうちの少なくとも一つの制御とのうちのなくとも一つを行うように前記コントローラに接続されている。
【0030】
通常、前記駆動系は、(a)前記レンズに接続され、前記レンズの第一方向における位置を制御する第一アクチュエータと、(b)前記架台に接続され、前記架台の第二および第三方向における位置を制御する第二アクチュエータとを含む。
【0031】
通常、前記放射線ビームは、(a)600〜800nmの間の波長、(b)70〜90fsの間のパルス幅、(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、(e)前記対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力のうちの少なくとも一つを有する。
【0032】
第三の包括的形態では、この発明は、(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを含む方法によって形成された光学的活性素子を提供する。
【0033】
通常、前記光学的活性素子は、(a)電界、(b)熱的変化、(c)磁界、(d)電磁波のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている。
【0034】
通常、この方法はこの発明の第一の包括的形態の方法を含む。
第四の包括的形態では、この発明は、全体に光学的活性材料が分散された基材と、放射線ビームを用いて前記基材内に形成された一つ以上の空洞構造とを備える光学的活性素子を提供する。
【0035】
通常、前記光学的活性素子が、(a)電界、(b)熱的変化、(c)磁界、(d)電磁波のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている。
【0036】
通常、光学的活性素子は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第五の包括的形態では、この発明は第一の包括的形態に記載のプロセスによって得られる製品を提供する。
【0037】
第六の包括的形態では、この発明はビーム操舵用装置を提供し、この装置は、(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、(b)放射線ビームを生成するための放射線源と、(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する前記調整機構とを備える。
【0038】
通常、光学的活性素子はこの発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第七の包括的形態では、この発明は、(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームを表面に指向させる調整機構とを備える表示装置を提供する。
【0039】
通常、光学的活性素子は、この発明の第三の包括的形態に従う方法によって形成される。
第八の包括的形態では、この発明は流体検出用の装置を提供し、この装置は、(a)放射線源と、(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子であって、前記空洞構造のうちの少なくとも1つが、そこから流体を受承するように外界に開口している、前記光学的活性素子と、(c)前記光学的活性素子を通過する光を検出し、前記少なくとも一つの空洞構造内の前記流体に関する情報を判定する検出システムとを備える。
【0040】
通常、この装置は、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)偏向電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームをスクリーンに指向させる調整機構を更に備える。
【0041】
通常、光学的活性材料は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第九の包括的形態では、この発明は、(a)二つの対向端部を有するキャビティと、(b)前記キャビティに放射線を供給するための放射線源と、(c)各端部に配置された光学的活性素子であって、各光学的活性素子が、全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成されたものである前記光学的活性素子と、(d)少なくとも一つの前記光学的活性素子の光学的活性材料の特性を変更し、得られるレーザビームの特性を制御する調整機構とを備える調節可能レーザを提供する。
【0042】
通常、前記光学的活性素子は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
第十の包括的形態では、この発明は光スイッチング用装置を提供し、この装置は(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成され、放射線ビームを受承する適合された光学的活性素子と、(b)前記光学的活性材料の特性を変更し、前記光学的活性素子から出射される前記放射線ビームの方向を選択的に制御する調整機構とを備える。
【0043】
通常、光学的活性素子は、この発明の第一の包括的形態に従う方法によって形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
この発明の一例を、添付の図面を参照しながらここで説明する。
調節可能フォトニック結晶を形成するプロセスの一例を以下に説明する。
結晶は光学的活性体の組み込まれた基材から形成される。詳しくは、一例では、結晶は、ポリマー分散液晶(PDLC)またはポリマー安定化液晶(PSLC)から形成され、これらはポリマーホストへの液晶の分散を説明する包括的用語である。液晶は、硬化したポリマー基材全体に分散された微小液滴を一様に形成する。液滴のサイズは、数百μmから数nmまで変化することができる。以後でより詳しく説明するように、他の材料を用いることもできる。
【0045】
ポリマー/液晶比率は変更でき、液晶の液滴のサイズも変更でき、ポリマーと液晶の種類も変更でき、可塑剤や光吸収剤等の他のドーパントも添加できるが、全てはポリマー内への液晶分散の包括的カテゴリ内にある。
【0046】
液晶ポリマーは均一構造を有するように形成され、その後、空洞チャネル微細加工を利用した修飾によって、液晶ポリマーの硬化したブロック内に任意のフォトニック結晶構造を形成する。
【0047】
この一例は図1に示されており、図1は空洞チャネル結晶構造を含む液晶ポリマーの概略図である。この例では、全体に分散させた液晶を備えたポリマー基材1は、複数の空洞チャネル2を有する。この例では、空洞チャネルは層3内に配置され、各層は図示したように平行に間隙を介して複数の空洞チャネル2から形成される。隣接する層の空洞チャネル2は直交するように構成され、ウッドパイル構造と呼ばれる構造を形成する。
【0048】
空洞チャネルはポリマー液晶バックグラウンドに対する誘電体のコントラストを生成し、バンドギャップの形成を可能にし、バンドギャップは液晶の光学特性を変更することによって調整することができる。詳しくは、ポリマー基材1に電圧を印加すると、ポリマーホスト内の液晶の平均配向が変化し屈折率を変化させ、フォトニックバンドギャップの位置を変更することができる。
【0049】
「ブラッグ方程式」がバンドギャップの特性を最も記述することができる。
【0050】
[数1]
mλgap=2δznavg (式1)
ここで、mはギャップの次数、λはギャップの波長位置、δzはz方向の構造要素の間隔、navgは材料の平均屈折率である。
【0051】
空洞チャネルの位置を調整し、バンドギャップの特性を変更することによって、結晶の構造パラメータを変更することができる。この一例は図2と3に示されており、ここでは五つの面心四面体(FCT)ウッドパイルフォトニック結晶構造が形成され、δxとδyが1.57μmであり、変数δzは0.1μmステップで1.1μmから1.5μmまで増加させている。
【0052】
図示したように、バンドギャップの位置は、構造パラメータの違いによって結晶構造毎に変化する。斜線部は、ポリマーが特性吸収を有するスペクトルの領域である。従って、この例では、バンドギャップの位置は約2.3μmから3.1μmまで移動する。さらに、基本バンドギャップおよび高次バンドギャップは、図3に示したように現れる。
【0053】
この移動は、ブラッグ方程式(式1)で予想されたものに対応する。これは図4に強調されており、図4はストップギャップの予想位置と実際の位置のグラフである。これは、ギャップの実際の位置と理論的位置の間の高い相関度を表し、理論的位置のベースラインからのわずかなシフトは、材料の平均屈折率(nave)が正確にはわからないことによって生じている。
【0054】
[基材(マトリックス)]
上記の方法に従ってフォトニック結晶を生成可能にするために、基材は光学的活性材料を一様に分散させるホスト材料となり、内部に空洞構造(void structure)を形成できなければならない。従って、使用される結晶の環境、および所望の得られる光学特性に依存して、ガラス、ポリマー等の任意の適切な材料を好適に用いることができる。
【0055】
その結果、好適には、選択される材料は必要な屈折率に依存し、さらに所望の得られる光学特性に依存する。
ポリマーを用いる場合、これは任意のポリマーであってもよいが、一般に不飽和炭素ベースのポリマーまたはオリゴマーである。適切なポリマーの例には、
・ポリウレタン、
・ポリメチルメタクリレート、
・ポリイミド、
・ポリアミド、
・ポリアミドイミド、
・ポリエーテルスルホン類、
・ポリフェニル硫化物、
・ポリビニルアルコール、
・アミンホルムアルデヒド、
・熱硬化性樹脂、
・他の架橋したポリマーが含まれる。
【0056】
一具体例では、使用されるポリマーはC=C不飽和部を備え、チオールエステルオリゴマーによって架橋されたポリウレタンオリゴマー(Norland optical adhesives社の製品番号NOA63として入手可能)であり、屈折率1.56を有する。
【0057】
基材材料には、液晶等の光学的活性材料、またはグリセロール等の他の光学的活性材料が添加される。
この点では、適切な材料には、ロッド状分子構造、長軸の剛性、強い双極性や他の容易に偏光可能な置換基を備えた任意の材料が含まれる。詳しくは、これらの特徴は、例えば、適切な外部の電界、磁界、または電磁放射を用いることによって、材料の光学特性を容易に操作可能にする。
【0058】
共通軸に沿って配向する分子の傾向、つまりダイレクタは液晶内の秩序測定として用いられ、秩序パラメータによって表される。全ての分子が配向している完全な結晶の場合、秩序パラメータは1と評価される。現在の技術での使用に適した液晶の秩序パラメータは通常では0.3〜0.9の範囲である。
【0059】
別の注意点としては、この秩序パラメータは一般に液晶温度の関数であり、従って、温度ベースの調整システム内で用いることもできる。
いずれにせよ、液晶の特性は一般に、位置的秩序、方向的秩序、および結合方向的秩序によってさらに特徴付けられ、これらも特定の用途に基づいて選択される。
【0060】
一具体例では、使用される液晶は、異常光に対する屈折率が1.74、常光に対する屈折率が1.53の4−ペンチル−4−シアノビフェニル(MerckからE49として入手可能)を含む共晶混合物(eutectic mixture)である。液晶分子の構造の一例が図5に示されている。
【0061】
この具体例では、ポリマー基材1を生成するために、NOA63樹脂を加熱して、その粘度を低減し液晶が添加される。混合比は液晶20重量%、ポリマー80重量%であった。混合物は通常は10分間撹拌され、その後、前処理された構造体にキャスト成形される。
【0062】
実験用の適切な構造の一例は、図6Aと6Bに示されている。この例では、構造は、ポリマー14を受承するのに適したウェル構造13を構成する顕微鏡ガラススライド11とスペーサ12から形成されたセル10である。前処理したガラスカバー片15はセル10上に配置され、ポリマー/液晶混合物はカバー片15で完全にカバーする。一例では、スペーサ12は、厚さ120〜140μmの範囲のアクリルテープから構成される。
【0063】
セル10は紫外線硬化炉内に40分間配置され、これにより樹脂が素早く硬化され、その結果、液晶が硬化したポリマー全体に一様に混合された微小液滴を形成する。硬化時間を短くする方法では、UV光で硬化させる際、サンプルの温度を上昇させる。これは、液晶の液滴サイズを最小にする効果を有する。小さな液滴を確保する別の方法では、UV炉で硬化させる際、超音波源にサンプルが晒される。
【0064】
いったん材料が硬化すると、以降でより詳しく説明するように、18で示したウッドパイル構造等の構造がポリマー基材内に記録される。
ポリマー基材の特性を変更可能にするために、ポリマー基材に電気信号を印加し、液晶ダイレクタを配向させることができる。図6の構成では、セルはガラススライドとカバー片15上に各々設けた透明電極16、17を有することができる。
【0065】
これは、真空蒸着を用いて堆積させたインジウム錫酸化物(ITO)の薄膜(約35nm)を用いて実現される。この導電性薄膜は赤外線および可視光に対して実質的に透明であるが、セル10の各側に電位を印加することができる。ITO被膜上には、他の絶縁性薄膜は配置しなかった。配線を電極16、17に接続して、電圧の印加を可能にしてもよい。
【0066】
透明電極(ITO)に印加した電圧は、液晶ダイレクタの配向を変化させる効果を有する。印加された電界に対するこれらの液晶の応答は、誘電異方性の符号に依存する。この場合、誘電異方性は正であり、従って、ダイレクタは印加された電界に平行に配向する。この例は図7Aと7Bに示され、図7Aと7Bは各々電界を印加した場合と印加しない場合の液晶ダイレクタの配向を示している。
【0067】
分極前状態(prepolled state)(電圧を印加しない場合)はランダムな液晶ダイレクタの配向として近似され、その分子の長軸は電界に対して任意の角度θで自由に配置される。楕円の関係を用いると、平均屈折率はnLCprepolled=1.60となる。E49は正の誘電異方性を有するので、ダイレクタは印加された電界に平行に配向し、液晶の屈折率をnLCpolled=nLC0(液晶の常光に対する屈折率)に低減する。この制御された屈折率変化は、複合材の平均屈折率navg上で動作することによって、バンドギャップの位置をより短い波長に調整する。
【0068】
内部に構造を持たないセルの特性を示すために、最大DC500Vの増大電圧を印加し、セルの透過性を記録した。閾電圧に到達するまで透過性は低いままであり、それから印加電圧に対してより多くの液晶が配向するために透過性が明確に増大する。これは、印加した電界からのトルクが現在のダイレクタ構成を変形し、急速に方向性を持ち始めるというFreedericksz遷移に起因する。図8に示したように、この急速な始まりは約DC150Vで発生する。
【0069】
[ドーパント]
基材は、光吸収剤、可塑剤、インヒビター、安定剤、難燃剤、硬化剤、着色剤、色素、衝撃調整剤等の追加のドーパントを含むことができる。ドーパントは様々な理由で利用される。
【0070】
例えば、ドーパントの存在はポリマー基材の光学的特性を変更し、その結果、得られるフォトニック結晶の光学特性を変更するために用いられる。これには、例えば、屈折率、透過率特性等の変更が含まれる。
【0071】
これはさらに、空洞構造の形成にも影響を与えることがある。そのため、上の例では、NOA63樹脂は、空洞構造の形成プロセスに役立つ光吸収剤を有する。
加えて、ドーパントは、硬化プロセス等の他の要因にも影響を与えることがある。
【0072】
加えて、ドーパントは、液晶または他の光学的活性材料と樹脂との相互作用にも影響を与えることがある。例えば、ドーパントは光学的活性材料と樹脂の間の機械的結合に影響を与え、ランダム状態と配向状態の間を移動する液晶分子の機能を変えることもできる。これはさらに、以降でより詳しく説明するように、得られるフォトニック結晶の調整特性に影響を与えることができる。
【0073】
[構造形成]
ポリマー基材内に任意の構造を形成するためのシステムの一例を図9を参照して以下に説明する。詳しくは、この装置は放射線ビームを生成するためのレーザ20を有する。放射線ビームはミラー21で反射され、シャッタ22、ニュートラルデンシティフィルタ(neutral density filter)23、ピンホール24、および絞り25を通過し、二色性ビームスプリッタ26に到達する。
【0074】
レーザ光はビームスプリッタ26を通過し、それからアクチュエータ31によって位置制御された対物レンズ30を通過し、架台33上に設けたサンプル32上に集束される。アクチュエータは対物レンズ30をz方向に移動でき(矢印31Aで示されるように)、架台はxおよびy方向に移動できる(矢印33Aで示されるように)。これは、レーザビームの焦点とサンプル32の間の相対的な位置制御を可能にする。
【0075】
矢印35で示されるように、サンプルを背面照射するために白色光源も通常設けられる。使用時には、ビームスプリッタ26は、後方散乱光と、サンプルを通過した白色光源からの光を導くことで、製造プロセスのリアルタイム監視を可能にする。ショートパスフィルタ27は、最小のレーザ光がレンズ28を介してCCDカメラ29に到達するのを確実にする。CCDアレイ29、シャッタ22、およびアクチュエータ31、架台33に接続されるコンピュータシステム34が使用される。
【0076】
使用時には、この装置は、フェムト秒レーザ微細加工プロセスを用いて任意の構造を生成する。図10に示した吸収スペクトルからわかるように、ポリマー基材の吸収は波長700nmでは無視できるため、書き込みプロセスでは波長700nmのレーザが用いられる。
【0077】
しかし、この値は基材の光学特性に依存するから、選択したポリマー、および追加のドーパントの有無等の要因に影響されることがある。
いずれにせよ、この例では、レーザ20は700nmで動作するSpectra−Physics Tsunami(Ti−サファイア)超短パルスレーザであり、パルス幅80fs、繰り返し速度82MHzの超短パルスビームを生成する。レーザビームは対物レンズによってサンプル32上に集束され、この例では対物レンズはOlympus60×1.45オイル浸漬対物レンズである。対物レンズの後方絞りにおいて、書き込み速度500μm/秒、書き込み出力14mWで用いることができる。
【0078】
多光子プロセス固有の切断特性によって深さ識別を可能にし、残りの材料に影響することなく、ポリマー内に構造を書き込むことができる。
これを実現するために、コンピュータシステム34はシャッタ22を起動し、レーザの速度と露光時間を制御し、同時にコンピュータシステム34はサンプル32と対物レンズ30の相対的な位置を制御する。一例では、xy軸で200×200μm、z軸(深さ)で350μm移動させるPhysik Instrumente(PI)微小位置決めシステムを用いて実現される。これは10nmの解像度と100nmの再現性を提供する。
【0079】
材料内に密に超短パルスレーザ光を集束し、焦点に局所的ミクロ爆発を誘導して構造を形成して、固体の液晶添加ポリマー内に空洞を生成する。ポリマーブロックを移動させることで連続的な空洞チャネルの形成を可能にし、それらは逆ウッドパイル構造を生成するように積層される。空洞チャネルの寸法は、使用される材料、レーザ波長、開口率、移動速度、レーザのパルス繰り返し速度、および使用されるパルスのパルス幅によって決められる。
【0080】
正確な書き込み出力と速度を選択するために、材料の特性を示し、空洞構造を効率的に生成するための補正パラメータを確認することができる。図11に示したこの一例は、黒四角で示したプロットであり、そのパラメータは最適な空洞構造の生成を可能にする。移動が速すぎるか、書き込み出力が低すぎる場合、一貫した空洞構造は生じない。従って、空洞ロッドまたはチャネルを形成する場合、結果は破線状になるかもしくは空洞は全く形成されない。出力が高すぎるか、速度が遅すぎる場合、材料に未制御の爆発および欠陥が発生する。後の空洞を形成するために使用される書き込み出力が高すぎる場合、前に形成した空洞が破壊されることがある。
【0081】
図12Aと12Bは、液晶添加PMMA内に形成した空洞ロッドの画像である。ロッドは、810nmのフェムト秒パルスレーザ光を用いて、200μm/秒、100×1.4NAの対物レンズを用いて書き込まれた。画像は、連続波の632.8nmのレーザ光照射を用いて、Olympus BX顕微鏡を用いて得られ、図12Aは632.6nmで照射した光学顕微鏡からの透過画像であり、図12Bは反射共焦点画像である。両図は複製の明確化のためにネガ画像とポジ画像を含む。
【0082】
いずれにせよ、これらの図は、液晶添加ポリマー内に生成されたロッド構造の高度な相関性を示している。この例では、使用した材料はポリメチルメタクリレート(PMMA)とE49液晶(E49:PMMA=5:95重量%)であった。
【0083】
構造が中空(気体を含んでもよい)のチャネルである証拠は、反射共焦点画像が非常に大きな屈折率変化を示していることであり、これはポリマー混合物と中空の空洞の間の屈折率の著しい不整合によって引き起こされている。
【0084】
図13Aと13Bは、液晶ポリマーサンプル(E49:NOA63=6.5:93.5重量%)を介して、材料の片側から書き込んだ空洞ロッド構造の電子顕微鏡画像を示している。サンプルは、6.5%のE49と93.5%のNOA63を有していた。構造は、波長700nm、60×NA1.45Olympus対物レンズを用いて書き込んだ。書き込み速度は500μm/秒、書き込み出力は60mWであった。
【0085】
以上の画像化したサンプルはアルコールで洗浄し、金で被覆した後、電子顕微鏡で画像化した。
図13Aに示した画像は、液晶ポリマーブロックに存在するロッドを示している。これらの画像は孔構造を示す角度から撮影したものであり、この場合、孔構造のサイズは約1.2μmであった。図13Bは一つの深さに存在する四本のロッドと、サンプル内のさらに2μm深いレベルに存在する別の四本のロッドを示している。
【0086】
多光子微細加工プロセスは任意の構造の容易な生成を可能にする。図14A〜14Cは、誘電体層に交互に形成したウッドパイル構造の一例を示している。このフォトニック結晶を生成するために、層間で面内間隔の半分だけオフセットされた十字交差したロッドの互い違いの層を有する逆ウッドパイル構造になるようにロッドが積層される。この形状は、面心四面体の単位格子を構成する。
【0087】
図14Aは異なる深さレベルで直交する方向に延びる層状のロッドを示し、図14Bは完全な結晶構造を示している。ロッドが構造の外部に直交して延びていることに言及しておく。これは、実際の結晶構造に関与するロッドの高い相関性と低い歪みを確保する。通常、ロッド形状とサイズの歪みはロッドの最初で生じる。従って、この方法によるフォトニック結晶の生成は、結晶構造から不要なアーチファクトを除去する。図14Cはさらに画像を、単一サンプル内に造られた多数のフォトニック結晶を示すようにさらにズームアウトした画像である。
【0088】
よって、これはポリマー基材内に様々な異なる構造を形成するのを可能にし、それにより、得られるフォトニック結晶に対しある範囲の異なる光学特性を付与することを可能にする。
【0089】
これらの技術を用いれば、20層構造において、75%を超える減衰で、波長4.5μmの近傍で観察される透過の抑制を提供するバンドギャップを生成することができる。
図15は、構造パラメータδz=1.3μm、δxおよびδy=1.57μmの場合の2650cm−1におけるバンドギャップを示している。約5000cm−1にはより高次のバンドギャップが存在することに言及しておく。この(部分的)バンドギャップはより短い波長範囲内に形成され、通信波長に関して、より有用な波長でこれらの素子を動作させる手段を提供することができる。このグラフには、背景スペクトルを除去していない生データが示されている。
【0090】
上記の製造方法の隠れた特徴は任意の構成を生成できることであり、それにより得られるフォトニック結晶の特性に影響を与えることができることである。
この一例について図16Aを参照して以下に説明する。図16Aでは、二つのウッドパイル構造4、5を生成することによって二重結晶構造が形成されており、各構造は異なるバンドギャップ特性を提供するために層3の間に異なる相対間隔を有する。
【0091】
この構造の相対的な特性を試験するために、三つの結晶を作成した。これらのうちの二つは単一のウッドパイル構造を有し、一方は層間隔δz=1.15μm(ウッドパイル構造4と同様)であり、他方は層間隔δz=1.30μm(ウッドパイル構造5と同様)である。第三結晶は図16Aに示した複合構造であり、図示したように二つのウッドパイル構造が互いの上に積層されている。
【0092】
図16Bは、三つの結晶構造の各々のバンドギャップの構成を示している。詳しくは、層間隔δz=1.15μmの構造については、バンドギャップは2734cm−1に中心があり、層間隔δz=1.30μmの構造については、バンドギャップは2329cm−1に中心がある。図16Aに示した構造の場合、フォトニック結晶は上記の波長の各々にバンドギャップを示し、図示したように二つのバンドギャップの間に細いピークもある。
【0093】
従って、この技術は欠陥の容易な処理を可能にして、意図したバンドギャップの規定を可能にする。フォトニックバンドギャップの重要な量子光学的結果は、結晶内の励起原子または分子の自発発光を完全に抑制できることである。光を結晶内に捕獲し伝搬を妨げる際、フォトニック結晶内の欠陥を制御することでバンドギャップ内に局在化状態を生成することができる。これらの結晶および欠陥の特性を調整することで、技術者はこの発明に基づいた新規なフォトニック素子を自由に設計することができる。特定の位置に空洞ロッドがない構造を生成することによって、光導波路機能を生じさせることができる。
【0094】
効率的な空洞チャネル生成が可能な液晶の最大量を見極めるために、0%、10%、24%、および30%の液晶濃度で四つのセルを製造した。高濃度のセルは次第に不安定になり、上記の例のポリマー/液晶の組み合わせでは30%以上で一貫した空洞チャネル形成が不可能になった。
【0095】
層の数及び液晶濃度の関数としてのギャップ抑制の程度は、図17に示されている。液晶の量が増加したとき、書き込みビームの散乱効果(書き込み出力の伝搬を抑制する)と材料の不均一性(微小チャネルが液晶で充填され始める)が抑制値のプラトーを生じさせる。
【0096】
従って、液晶濃度の増大は空洞形成の劣化をもたらし、さらに得られるフォトニック結晶の透過率抑制の低減をもたらす。これは図17に示されており、図17では抑制は液晶添加量が0%の結晶でより大きくなる。しかし、液晶濃度が低いと、フォトニック結晶内に存在する光学的活性材料が少なくなることがある。その結果、実現可能な基材の全体の屈折率変化が低減され、さらにバンドギャップの調整機能も低下する。従って、液晶濃度が低いほど抑制を改善可能であるが、それに応じて調整能力も低下する。
【0097】
当然のことながら、全ての用途に対して完全なバンドギャップを有する必要はない。言い換えると、完全な透過率の抑制は常に必要とは限らず、使用される液晶の濃度は得られるフォトニック結晶を用いる環境、および必要な特性に依存する。
【0098】
[後処理]
一般に、上記のプロセスによって形成した空洞構造は、形成プロセスの固有の性質によって寸法範囲が限られている。従って、いくつかの状況では、生成した構造に後処理を行い空洞構造の寸法を操作し、それらの光学特性を変更することが望ましい。
【0099】
例えば、得られたフォトニック結晶を加熱および延伸し、空洞構造の寸法を低減することができる。これはさらに空洞構造の波長応答を変更し、特にバンドギャップの波長を低減する。
【0100】
これは、電気通信で使用する等の所定の用途に対して、さらに空洞構造を操作可能にするために用いられる。
[バンドギャップ調整]
上記のように、バンドギャップ調整は、光学的活性材料の屈折率を変更することによって実現される。これを実現する方法は光学的活性材料の性質に依存し、例えば、磁場、電場、または偏光電磁場の印加によって実現することができる。しかし、これに加えて、フォトニック結晶内の熱的または機械的変化等の他の変化によっても屈折率を変更して、バンドギャップ調整を実現することもできる。
【0101】
調整の性質に影響する別の要素は、光学的活性材料と、基材の材料またはその内部のドーパントの間の相互作用である。例えば、ドーパントの存在は、分子と基材の間の結合の程度を変更でき、従って、液晶ダイレクタを配向可能な容易性に影響を与える。これはさらに、配向状態を切り替える液晶の機能を変更する。
【0102】
例えば、電界等の外部制御の印加によって、光学的活性材料が元の状態から変更屈折率状態に移動するとき、これは対応するバンドギャップの移動を引き起こす。電界を除去すると光学的活性材料は元の屈折率状態に戻り、従って、バンドギャップが元の値に戻るのにかかる時間は緩和速度によって特徴付けられる。
【0103】
基材とドーパントの適切な組み合わせを選択すれば、光学的活性材料は高い緩和速度を有する構成を提供することができる。その結果、電界等の外部制御を除去するとすぐ光学的活性材料は元の屈折率状態に戻り、その結果、バンドギャップも元の位置に戻る。従って、これは外部制御を除去したとき、フォトニック結晶が元の状態に戻る自己消去構成を提供する。
【0104】
別の方法として、外部制御を外した後、一定期間、バンドギャップが変更屈折率で留まるようにすべく、低い緩和速度を提供してもよい。極端な状況では、追加の外部制御を行うまで、光学的活性材料が実質的に変更屈折率に永続的に留まるような程度まで、緩和速度を低減してもよい。従って、これは追加の外部制御を加えることによって変更しない限り、バンドギャップ変化が実質的に固定される構成を提供する。
【0105】
このことからわかるように、構成、特にドーパント、基材、活性材料の組み合わせは、フォトニック結晶の所定の用途に基づいて設定されることができる。
従って、例えば、永続型構成(permanent arrangement)はデータ記憶用途で用いられる。このような永続型構成の一例は、TNF(2,4,7トリニトロ9フルオレノン)と可塑剤ECZを添加したE49:PMMA基材から形成される。この場合、ドーパントはE49液晶と相互作用し、緩和速度を最小化し、緩和時間を最大化し、データ記憶に適した組み合わせとなる。
【0106】
[電気的バンドギャップ調整]
上記のように、Freedericksz遷移電圧より大きな電界を加えると、液晶は印加した電界のラインに沿って回転し始める。これは屈折率を変更する効果を有し、ブラッグの法則に従ってバンドギャップ位置も変化させる。
【0107】
バンドギャップの位置は、連続波赤外線顕微鏡を備えたNicolet Nexusフーリエ変換赤外線分光器を用いて測定し、結晶構造のスペクトルスループットを解析することができる。対物および集光レンズは、ガラススライドおよびカバー片用に補正した32×NA0.65(赤外線)を用いることができる。各スペクトルは200走査からなり、解像度は4cm−1である。
【0108】
図18は、初期のバンドギャップを測定したこのような結晶例の走査の一つを示している。走査直後にセルに電圧を印加し、別のFT−IRスペクトルを測定した。この例では、約40.4nmのバンドギャップの移動、つまり3765.823nmから3725.402nmへのシフトがあった。このシフトは、セルの各表面のITO電極にDC550Vを印加して発生する。
【0109】
図16Aと16Bについての上記のフォトニック結晶への電界の影響の一例は、図16Cに示されている。同様に、これも印加した電界が増大すると、バンドギャップ波長が増大することを示している。
【0110】
別の例は図19に示され、図19では、図17について議論したセルは各々最大600Vの増大電位を印加することによって特性を調べ、結晶の赤外線透過スペクトルを記録した。同様に、約100Vの閾電圧に到達するまで、バンドギャップのスペクトル位置にはほとんど変化はなく、約100VではFreedericksz遷移のおける明確な変化がある。開始後、電位の増大に伴って、バンドギャップ位置のほぼ直線的な増加が観察される。この増加は、最大数の液晶分子が配向プロセスに関与すると安定する。
【0111】
600Vの電位では、74nmのバンドギャップの最大偏向が24%のサンプルについて観察される。74nmのスペクトルシフトは、最初のランダム配向の液晶状態から予想されるものより大きい。しかし、書き込みレーザビームの電界による液晶の初期の部分的面内配向が製造プロセス中に発生する場合、この結果が予想される。第一の高次ストップギャップも、印加電位で制御されて変化することを示している。
【0112】
この遷移は、結晶の光学特性に大きな影響を与えることができる。例えば、このフォトニック結晶をレーザ源によってバンドエッジで照射すると、バンドギャップを調整する際、透過率が著しく変化することがわかる。ギャップの両側の急峻な傾斜によって、ギャップ位置が少し動くだけで、フォトニック素子の製造および使用に大きな影響を与える。
【0113】
[光学的バンドギャップ調整]
電界を用いたバンドギャップ調整に加えて、PDLC内の液晶ダイレクタの再配向は、外部偏光光場(external polarised optical field)でサンプルを照射することによっても実現することができる。これは、フォトニック結晶の光学的調整機構を提供する。
【0114】
これは、電気的調整に関する上記の結晶構造を用いて実現され、従ってこれらはさらに詳しくは説明しない。
電気的バンドギャップ調整の場合と同様に、2光子4励起下のPDLCの蛍光性の物理的理由のため、光レーザビームの偏光方向に沿って液晶ダイレクタは再配向する。従って、光場を印加しない場合、図20Aに示したように液晶ダイレクタの配向はランダムになり、任意の角度で自由に配置されたその分子の長軸によって屈折率は1.60となる。E49は正の誘電異方性を有するので、ダイレクタは印加された電場ベクトルに平行に配向し、直線偏光の放射線ビームが積層方向に沿って入射するとダイレクタは回転し、図20Bに示したようにフォトニック結晶の積層方向に垂直に配向する。従って、レーザビームをその偏光方向に沿って走査すると、この配向プロセスは拡大し屈折率は1.74となる。
【0115】
この光学的分極(optical polling)/調整プロセスは、より長波長方向へのストップギャップのシフトをもたらす。この一例は図21に示されており、図17に関して上で議論したように、0%、10%および24%の液晶濃度のセルの場合の偏光光場に対するストップギャップ位置の変化を示している。
【0116】
光学的調整は、出力30mWのHeNeレーザ(632.8nm)を用いて実現され、二次元ラスタ方式で構造全体を走査する。光学的分極構造の赤外線スペクトルは、連続波赤外線顕微鏡を備えたNicolet Nexusフーリエ変換赤外線分光器を用いて測定し、積層方向の結晶のスペクトルスループットを解析した。分光器からの無偏光の赤外光は、液晶の配向には影響を与えない。
【0117】
図示したように、液晶添加量が0%のサンプルでは、HeNeレーザで構造を照射した後、バンドギャップ位置の変化は生じない。しかし、10%と24%のサンプルでは、最大数の液晶が配向プロセスに関与するまで、バンドギャップ位置のほぼ直線的なシフトが見られる。10%のサンプルでは最大の波長シフトは約30nmであり、24%のサンプルでは65nmの波長シフトを与える。ブラッグ方程式に従って、平均屈折率が増大にするとバンドギャップはより長波長にシフトする。
【0118】
[組み合わせ調整]
上記の光学的調整法と電気的調整法を組み合わせて、図22Aに示したように、バンドギャップの位置をより長波長に光学的にシフトさせることができる。その後、バンドギャップの波長は、図22Bに示したように、セルに電圧を印加することでより短波長にシフトさせて戻すことができる。
【0119】
光学的調整と電気的調整を組み合わせたこの方法は、光学的分極を用いてバンドギャップをより長波長にシフトさせ、電気的調整を用いてより短波長に戻すことで、バンドギャップを65nmの領域内で前後にスイープすることができる。図22Cと22Dは、この調整プロセスのFTIRスペクトルを示している。
【0120】
高密度のUV光を照射することで、ダイレクタを未配向状態に戻すこともできる。これは、液晶ダイレクタをランダム状態に再分布させる効果を有する。
[変更例]
当然のことながら、上記の技術は例示的なものにすぎず様々な変更例を実現することができる。
【0121】
例えば、上記の例は、ホスト材料に添加する際の液晶の活性特性を利用している。上記の例では、ホスト材料はポリマー(PMMA、NOA63等)であるが、空洞構造を形成可能であればガラスや結晶等の他のホスト材料を用いることもできる。同様に、他の液晶を用いることもできる。
【0122】
空洞チャネルは、細長いロッド、孔、層または他の形状であってもよい。
上記の製造プロセスは、液晶ポリマー内に空洞構造を生成する一方法としてパルスレーザを用いているが、リソグラフィ技術、エッチングまたは層毎に堆積させる等の他の方法を用いることもできる。
【0123】
「空洞チャネル」構造の内部は空の空間であってもよいが、除去プロセスのガス残渣の組み合わせであってもよい。加えて、チャネルが液晶ポリマーブロックから出る箇所においてチャネルに高屈折率の別の材料を浸入させ、フォトニックバンドギャップの特性を調整することもできる。
【0124】
チャネルが外界に開いている場合、外界のガスまたは液体を空洞に充填させ、これらの材料で構造の光学特性に影響を与えることもできる。その結果、この構造は(特性波長が構造を介して伝搬する際)所定のガスの検出に用いることができる。
【0125】
空洞構造は、一次元ブラッグ反射体、または二次元フォトニック結晶導波路内に光を注ぎ込むチャネル等、一次元、二次元または三次元構造であってもよい。
二次または三次高調波等を用いるために、バンドギャップの他の高調波を目標とし、より「通信」波長側にバンドギャップのスペクトル位置を移動させることもできる。
【0126】
液晶ポリマーは単純なブロック内に形成することも、光ファイバに延伸することもできる。空洞チャネル構造は光ファイバ内に書き込むことも、液晶の特性を用いて光ファイバの性質を調整することもできる。
【0127】
素子は、空洞チャネル液晶構造によって光のスループットを制御した表示システムの一部を構成することもできる。
液晶は異なる効果に敏感であるので、この発明はACまたはDC電位の印加によって調整することも、温度、磁界または光場によって調整することもできる。
【0128】
光吸収剤、可塑剤、インヒビター、安定剤、難燃剤、量子ドット、ナノ粒子、硬化剤、着色剤、色素、衝撃調整剤等の他の材料を液晶ポリマーに含有することもできる。
液晶添加ポリマー内の空洞構造は、光学的データ記憶や光ディスクのトラッキング機構に用いることもできる。
【0129】
フォトニック結晶は、光学的回路、集積型光学系、および活性型導波路素子内で用いられる導波路、スプリッタ、接合部およびカプラに用いることもできる。
[用途]
上記のフォトニック結晶のいくつかの所定の用途について以下に説明する。
【0130】
[流体およびガス検出]
外界に開いた空洞構造を備えたフォトニック結晶を実現することによって、外界からの流体を空洞構造に浸入させ、さらにフォトニック結晶の光学特性を変更することができる。
【0131】
詳しくは、空気と異なる屈折率を備えたガスを空洞構造に浸入させると、バンドギャップの位置が変化しガスの存在を検出することができる。さらに、バンドギャップの変化を解析することによって、ガスの性質および濃度を判定することができる。
【0132】
従って、液晶配向および光源を変更し、CO2、CO、cs、サリン、またはリシンなどの所定の種類のガスまたは試薬用に検出器を微調整することができる。所定の特性ピークを調べることで、目標化学物質の識別を可能にする。
【0133】
検出器を実現するために、通常は光ファイバ42を介して放射線源41に接続した複数のフォトニック結晶40(例示的に六つのみ示した)を提供する。フォトニック結晶は光ファイバ43を介して検出器44に接続し、さらにコントローラ45に接続することもできる。コントローラ45は、さらに光学的または電気的調整機構等の調整機構43を有する。
【0134】
使用時には、赤外光等の放射線源によって生成された放射線は、光ファイバ42を介して結晶40に送られる。これは照射放射線に影響を与え、その結果、外部要因によって変更される。フォトニック結晶40は所定の化学特性に対して調整し、その結果、接続した光ファイバを介してそれらの所定の波長をフォトダイオード検出器44に導き、検出器44で光をアナログ電気信号に変換してコントローラ45で解析する。
【0135】
その代わりに、反射放射線を検出器に戻す光ファイバを用いて後方反射を使用することもできる。
これらの信号の比が電子的に比較され、所定の比に一致する場合、ガス警報が送られる。
【0136】
二酸化炭素の特性吸収スペクトルの一例は、図24に示されている。二つのフォトニック結晶を設け、CO2スペクトルの吸収ピークに対応する波長を反射すれば、これらの反射の低減がCO2の存在を示すことができる。
【0137】
同様のシステムは、血液中のブドウ糖レベル等、他の流体の観察に用いることもできる。
[フォトニックビーム操舵(steering)]
プリズム(別名スーパープリズム)等のフォトニック結晶構造を生成し、液晶調整効果を用いることによって、フォトニック結晶に入射する光を任意の方向に操舵することができる。これは、その構造から出射する光のビーム操舵または多重化/逆多重化に用いられる。
【0138】
この目的のフォトニック結晶の一例は、図25に示されている。
この例では、結晶は、一般に平行四辺形の液晶添加ポリマー基材50から形成する。ポリマー基材は、正方形領域52に設けた空洞ロッドまたは空洞ドット構造51を有する。放射線ビームは53において平行四辺形の端部の一つに沿って入射し、所定の角度で正方形領域52に入射する。ポリマー基材の屈折率変化は、電流、または偏光させた光を加えることによって、バンドギャップの位置を変更するのと同様に実現され、光がフォトニック結晶から出射する角度を矢印54によって示したように変更することができる。
【0139】
スーパープリズム機能を実現することができる。詳しくは、スーパープリズムは既存の光学プリズムと同様であるが、二つの優れた特性を有する。第一に超分散性であり、第二に超屈折性である。既存のプリズムが光を複数の波長に分離するのと同様に、スーパープリズムはこれらの波長をより広い角度に分離し、超分散性と呼ばれる。スーパープリズムは、単一波長の光の伝搬角度を拡大し、広い角度にビームを操舵するためにも用いられ、超屈折性と呼ばれる。フォトニック結晶は、スーパープリズム効果の本質を構成する。フォトニック結晶の高い異方性は、スーパープリズムを通過する光の伝搬を方向、周波数および屈折率に対して非常に敏感する。
【0140】
以下に説明するように、このビーム操舵装置から様々な素子を開発および製造することができる。
[LIDAR]
これらの素子のフェーズドアレイは、RADARと同様の原理を用いて、LIDAR(LIght Detection and Ranging:光検出および測距)用途に十分な高速走査時間で高角度で出射ビームを接続することができる。
【0141】
[IC置き換え]
現在の技術は集積回路チップを用いてビームを操舵しており、前記集積回路チップはレーザビームを操舵するために数百万個の微小ミラーを有する。これは熱的誘導ミサイルの追跡を混乱させるために現在用いられているが、素子を航空機に積載するとミラーが振動し不安定になるので、このようなシステムは通常信頼性がない。
【0142】
従って、ビーム操舵技術は可動部品がないので、微小ミラー素子のような固有の問題による不利益を受けない。
[多重化]
出射ビームは出力ポートアレイに向かって指向されることができ、これにより、この素子が多重化器や逆多重化器として機能することが可能となる。
【0143】
[表示装置]
三つの操舵素子を組み合わせることによって、赤、青および緑のレーザビームを個別に操舵でき、これにより、このシステムがレーザベース表示システムを提供するのに用いられることが可能となる。
【0144】
表示システムの一例は、図26に示されている。この例では、システムはレーザシステム61と操舵ヘッド62に接続されたコントローラ60を有する。レーザシステム61は三つのビーム生成器63を有し、操舵ヘッド62は三つの対応するフォトニック結晶64を有する。使用時には、各フォトニック結晶64を用いてスクリーン65または壁上にビームを操舵し、異なるレーザ光を組み合わせて任意の色を生成することができる。例えば、赤、緑および青のレーザを組み合わせて白色画像セグメントを描画することができる。緑のレーザと赤のレーザの組み合わせは黄色を生成する。
【0145】
ビーム操舵はスクリーンの全体にわたってレーザスポットが移動して、選択した色の明るい画像を構成するのを可能にする。レーザはラスタパターンに走査し、レーザの出力強度を変調して投射する色強度を変化させることができる。
【0146】
代わりに、ビーム速度を変調し、所定の位置における合計時間によってスポットの輝度を判定することもできる。
[調節可能微小レンズ]
ポリマー/液晶複合材内に任意形状の空洞構造を書き込み、任意のレンズを形成することができる。レンズの焦点距離は、光が進行しなければならない光学的距離の関数であり、材料の屈折率の関数となる。従って、屈折率の変更によって、レンズ系の焦点距離を変更することができる。
【0147】
このシステムは、多層CDおよびDVDシステム用のマルチフォーカスレンズに用いることができる。
この構造は既存の微小レンズ系と同様であるが、我々の液晶ポリマーで多光子除去プロセスを用いてフォトニック結晶レンズ構造から構成することができる。
【0148】
[調節可能レーザ]
レーザは、光学的キャビティ内の光増幅を用いる。これを実現するために、キャビティの一端が部分的に透明になるようにして、得られるレーザビームをキャビティから出射可能にする。
【0149】
キャビティの片側のミラーとしてフォトニック結晶を用いると、通常の方法に従ってキャビティ内で光を生成および増幅することができる。しかし、フォトニック結晶は、例えば、印加電界を用いることによって結晶を調整することで、キャビティの光路長を変更するために用いることができる。これによって、光路長が変化し、レーザが出射する波長も変化する。屈折率の変化は、フォトニック結晶ミラーが反射する波長も変化させ、レーザ出力波長も調整することができる。
【0150】
別の変更は、各キャビティ端部で全反射を用いて、最大増幅を確保するキャビティを実現できることである。この場合、レーザビームを出射する際、フォトニック結晶の一方の特性を操作し、レーザビームビティから出射可能にする。
【0151】
素子内の液晶は蛍光発光することもでき、液晶/ポリマー混合物に別の色素レーザを含めて、素子を介して伝搬する光の利得媒体として機能させることもできる。
調節可能フォトニック結晶内に任意の欠陥を導入することによって、新規なレーザシステムを設計することもできる。欠陥は利得媒体を介した伝搬を可能にし、非常に狭い線幅の調節可能レーザを可能にする。
【0152】
[欠陥構造を用いた偏光多重化]
ロッドまたはチャネルの欠落した空洞構造を生成することによって、いわゆる「欠陥構造」を形成することができる。これらの構造は素子の特性を調整することができる。
【0153】
これは、伝搬する光を二つの異なる経路に分割するフォトニック結晶スプリッタの生成等の様々な目的に用いることができる。液晶の偏光性を用いて、所定の偏光の光を特定の経路に沿って送ることができる。
【0154】
この効果は、偏光多重化器に用いることができる。偏波維持光ファイバを用いて、異なる情報を含む別個の偏光によって異なる情報を単一の光ファイバで送信することができる。この発明は、光がその構造を進行する際、光の偏光状態を調整することもできる。
【0155】
[光スイッチ]
空洞チャネル構造内部液晶添加光ファイバは、特定の温度で光の伝搬を停止するために用いることができる。液晶は温度が特定の値に到達すると状態を変化させ、この状態の変化によって屈折率の変化、従ってバンドギャップのシフトを引き起こす。このバンドギャップのシフトはファイバを通過する光の伝搬を変化させ、すなわち光りの伝搬を停止し、これにより、特定の温度に到達した装置を変更させる。
【0156】
従って、これによって、適切な空洞チャネル構造を備えたフォトニック結晶が過酷な放射性環境や危険な環境に耐えて、これらの環境内で使用するのが可能となる。
加えて、温度検出が重要であり、重量が特に問題になる航空機構造体(スペースシャトルを含む)に用いることもできる。
【0157】
同様に、空洞構造の特性は電界、磁界および光場によっても影響を受けるので、これらの特性に基づいたスイッチングを実現することができる。
従って、上記の技術は多光子微細加工プロセスを用いて、活性媒体内で任意のフォトニック結晶構造を生成するのを可能にする。
【0158】
活性媒体はポリマーホスト内に添加した液晶から形成し、小さな液滴の形態でポリマーに液晶を添加することによって形成した液晶ポリマー複合材を形成し、前記液滴はポリマー基材全体に一様に混合してもよい。液晶の液滴サイズは製造プロセスによって変更してもよく、数nm〜数百μmで変更することができる。
【0159】
フォトニック結晶構造は必要な誘電体コントラストを提供する空洞チャネルの形成によって液晶/ポリマー複合材内に孔開けされる。印加した電界または偏光させた放射線ビームは、その構造の屈折率、従ってフォトニックバンドギャップの位置を変更する。
【0160】
その構造は、ポリマー基材内の多光子レーザのミクロ爆発によって形成する。このミクロ爆発をx、y、またはz軸に平行移動させて、空洞チャネルまたは他の構造が形成されるのを可能にする。多数の空洞チャネルを形成することによって所望の構造を生成でき、さらに任意の格子定数の一次元、二次元または三次元フォトニック結晶を生成することができる。
【0161】
液晶は光学的異方性を備え、それらの物理的位置を電界または光場の印加によって変更し、材料の屈折率を全体として変更することができる。この屈折率変化はブラッグ条件を変更させ、従ってバンドギャップ波長が移動する。
【0162】
任意の構造を生成できるので、必要に応じて構造を変更することによって、調節可能または活性型フォトニック結晶を生成することができる。従って、これは調節可能フォトニック結晶の製造方法を提供し、前記方法は制御された多光子除去プロセスの使用を含む。
【0163】
当然のことながら、様々な変形および変更形態が当業者にとって明らかである。当業者にとって明らかなこのような変形および変更形態は、上記した包括的に現れる発明の技術的思想の範囲内にあるものと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】空洞チャネル結晶構造を含む液晶ポリマーの概略図である。
【図2】異なる構造特性を備えた異なる結晶に対して、バンドギャップ位置の違いを示すグラフである。
【図3】6%のE49のPDLC材料の層間隔dzを1.1から1.5mmまで次第に増加させた場合の基本ストップギャップの位置を示す赤外線スペクトル図である。
【図4】異なる構造特性を備えた異なる結晶に対して、バンドギャップの予想位置とバンドギャップの実際の位置の関係を示すグラフである。
【図5】液晶分子の化学構造の一例である。
【図6】A、Bはポリマー基材を形成するためのセルの一例を示す概略図である。
【図7】A、Bは印加電圧のありなしでポリマー基材内の液晶ダイレクタの配向を示す概略図である。
【図8】フォトニック結晶構造を備えていないポリマー分散液晶材料の光透過性を示すグラフである。
【図9】ポリマー基材内に空洞構造を形成するための装置の一例を示す概略図である。
【図10】NOA63 E49混合物の吸収スペクトルの一例である。
【図11】ポリマー基材内に空洞構造を生成するための異なる条件を示すプロットである。
【図12A】液晶添加PMMA内に形成した空洞ロッドの透過モードの顕微鏡画像である。
【図12B】液晶添加PMMA内に形成した空洞ロッドの反射共焦点画像である。
【図13】A、Bはポリマーサンプルに存在する空洞ロッドの電子顕微鏡画像である。
【図14】A乃至Cはフォトニック結晶構造のいくつかの例の光学的透過顕微鏡画像である。
【図15】波長2650cm−1と5000cm−1においてバンドギャップを示すベースライン補正なしの生のFTIRスペクトルの一例である。
【図16A】フォトニック結晶の形成で使用される空洞構造の一例の概略図である。
【図16B】図16Aに示した空洞構造を含むフォトニック結晶の生のFTIRスペクトルである。
【図16C】図16Aに示した空洞構造を含むフォトニック結晶のバンドギャップ上での電界の影響を示すグラフである。
【図17】三つの液晶濃度に対して、空洞層数の関数としてのバンドギャップ抑制の一例である。
【図18】フォトニック結晶の一例に対して、バンドギャップの位置のシフトを示す二つのベースライン補正済みFTIRスペクトルの一例である。
【図19】0%、10%、および24%の液晶を備えたフォトニック結晶に対して、印加電圧とストップギャップ位置のシフトの関係の一例である。
【図20】A、Bは偏光ビームを印加した場合と印加しない場合のポリマー基材内の液晶ダイレクタの配向の概略図である。
【図21】0%、10%、および24%の液晶濃度に対して、偏光光場を印加した時間とストップギャップ位置の変化関係の一例である。
【図22】A、Bは光場と電界を各々加えた場合のバンドギャップ位置化の例であり、C,Dは光場と電界を各々加えた場合の透過スペクトルの例である。
【図23】フォトニック結晶を含む流体検出器の一例の概略図である。
【図24】CO2の吸収スペクトルの一例である。
【図25】ビーム操舵で使用されるフォトニック結晶の一例の概略図である。
【図26】フォトニック結晶を含む表示装置の一例の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、
(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを備える、光学的活性素子の形成方法。
【請求項2】
放射線ビームを用いて前記空洞構造を形成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザ微細加工プロセスを用いて焦点に局所的ミクロ爆発を誘導して前記空洞構造を形成することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(a)ポリマーを加熱し、
(b)前記ポリマーの全体に液晶を分散させて前記基材を形成することを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
硬化した前記ポリマー基材の全体に液滴が一様に分散して形成されるように前記液晶が分散される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーが熱硬化性樹脂である請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが不飽和架橋ポリマーである請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー基材は、C=C不飽和基を有し、チオールエステルオリゴマーによって架橋されたポリウレタンオリゴマーである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液晶は0.3〜0.9の秩序パラメータを有する請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記液晶は4−ペンチル−4−シアノビフェニルを含む共晶混合物である請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(a)ポリマー材料を加熱して、その粘度を低減させ、
(b)加熱した前記ポリマー材料に前記液晶を添加し、
(c)得られた混合物を所定の時間撹拌し、前記ポリマー材料の全体に前記液晶を分散させることを含む、請求項4から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
得られた混合物を紫外線硬化炉内で硬化させて、液晶が硬化したポリマーの全体に一様に分散混合された液滴を形成するように、得られた混合物を固化させることを更に含む請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
得られた材料は少なくとも30分間硬化される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材に一つ以上のドーパントを添加することを更に含み、前記ドーパントは、
(a)光学的活性材料の緩和速度と、
(b)基材の光学特性
のうちの少なくとも一つを変更するように適合されている請求項4から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ドーパントは、
(a)光吸収剤、
(b)可塑剤、
(c)インヒビター、
(d)安定剤、
(e)難燃剤、
(f)硬化剤、
(k)量子ドット、
(l)ナノ粒子、
(m)ナノ結晶、
(g)着色剤、
(h)色素
のうちの少なくとも一つを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材の両対向表面にインジウム錫酸化物層を設け、そこに電位を印加できるようにすることを含む請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基材を基板上に形成することを含み、前記基板上には、少なくとも一つのインジウム錫酸化物層が真空蒸着を用いて設けられている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)放射線ビームを生成し、
(b)前記放射線ビームを変調し、
(c)前記変調した放射線ビームを前記ポリマー基材上に集束させて、空洞構造を選択的に生成することを含む請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記放射線ビームをフィルタ処理し、
(b)前記放射線ビームをコリメートすることを更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
所定の空洞構造を生成するように前記基材と前記放射線ビームの相対的な位置を制御することを含む請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)600〜800nmの間の波長、
(b)70〜90fsの間のパルス幅、
(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、
(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、
(e)対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力
のうちの少なくとも一つを備えた放射線ビームを用いることを含む請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記光学的活性素子は、
(a)表示装置、
(b)ビーム操舵、
(c)流体検出、
(d)調節可能レーザ、
(e)偏光多重化、及び
(f)光スイッチング
における使用に適合されている請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記空洞構造が、
(a)一つ以上の空洞チャネル、
(b)空洞ドット、
(c)複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層
のうちの少なくとも一つを有する請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記空洞構造が複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層を含み、各層の空洞チャネルが実質的に平行であり、隣接する層間で空洞チャネルが実質的に直交している請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記構造はバンドギャップを規定し、前記バンドギャップの波長が前記層の離間に少なくとも部分的に依存する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
光学的活性素子を形成するための装置であって、
(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、
(b)放射線ビームを変調するためのシャッタと、
(c)全体に光学的活性材料が分散された基材上に、変調した前記放射線ビームを集束して、空洞構造を選択的に生成させる対物レンズとを備える前記装置。
【請求項27】
(a)前記放射線ビームをフィルタ処理するためのニュートラルデンシティフィルタと、
(b)前記放射線ビームをコリメートするためのコリメータを更に備える請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記コリメータがピンホールと絞りから形成される請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記シャッタに接続されて前記放射線ビームの変調を制御するコントローラを更に備える請求項27または請求項28に記載の装置。
【請求項30】
(a)前記基材を受承するための架台と、
(b)前記架台と前記対物レンズの相対的な位置を制御し、それによって前記放射線ビームと前記基材の相対的な位置を制御する駆動系とを更に備える請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記コントローラは前記駆動系を制御するように適合されている請求項30に記載の装置。
【請求項32】
(a)放射線を反射するためのビームスプリッタであって、前記放射線が、
(i)前記基材から反射した放射線と、
(ii)前記基材を透過したバックライト放射線と
のうちの少なくとも一つである、前記ビームスプリッタと、
(b)反射した放射線を検出する検出器とを更に備え、前記検出器が、
(i)空洞形成の監視と、
(ii)前記シャッタと前記駆動系とのうちの少なくとも一つの制御と
のうちのなくとも一つを行うように前記コントローラに接続されている請求項30または請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記駆動系が、
(a)前記レンズに接続され、前記レンズの第一方向における位置を制御する第一アクチュエータと、
(b)前記架台に接続され、前記架台の第二および第三方向における位置を制御する第二アクチュエータと
を含む請求項30から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記放射線ビームが、
(a)600〜800nmの間の波長、
(b)70〜90fsの間のパルス幅、
(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、
(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、
(e)前記対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力
のうちの少なくとも一つを有する請求項29から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
光学的活性素子であって、
(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、
(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを含む方法によって形成された前記光学的活性素子。
【請求項36】
前記光学的活性素子が、
(a)電界、
(b)熱的変化、
(c)磁界、
(d)電磁波
のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている請求項35に記載の光学的活性素子。
【請求項37】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法を含む方法によって形成した請求項35または請求項36に記載の光学的活性素子。
【請求項38】
全体に光学的活性材料が分散された基材と、放射線ビームを用いて前記基材内に形成された一つ以上の空洞構造とを備える光学的活性素子。
【請求項39】
前記光学的活性素子が、
(a)電界、
(b)熱的変化、
(c)磁界、
(d)電磁波
のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている請求項38に記載の光学的活性素子。
【請求項40】
請求項1から25のいずれか一項の方法を含む方法によって形成された請求項38または請求項39に記載の光学的活性素子。
【請求項41】
請求項1に記載のプロセスによって得られる製品。
【請求項42】
ビーム操舵用の装置であって、
(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、
(b)放射線ビームを生成するための放射線源と、
(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する前記調整機構
とを備える前記装置。
【請求項43】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項42に記載の装置
【請求項44】
表示装置であって、
(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、
(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、
(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)偏光電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームを表面に指向させる調整機構
とを備える表示装置。
【請求項45】
請求項1から25のいずれか一項の方法によって、光学的活性素子を形成した請求項44に記載の表示装置。
【請求項46】
流体検出用装置であって、
(a)放射線源と、
(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子であって、前記空洞構造のうちの少なくとも1つが、そこから流体を受承するように外界に開口している、前記光学的活性素子と、
(c)前記光学的活性素子を通過する光を検出し、前記少なくとも一つの空洞構造内の前記流体に関する情報を判定する検出システムとを備える前記装置。
【請求項47】
(i)電界、
(ii)熱的変化、
(iii)磁界、
(iv)偏光電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームをスクリーンに指向させる調整機構を更に備える請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項46または請求項47に記載の装置。
【請求項49】
調節可能レーザであって、
(a)二つの対向端部を有するキャビティと、
(b)前記キャビティに放射線を供給するための放射線源と、
(c)各端部に配置された光学的活性素子であって、各光学的活性素子が、全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成されたものである前記光学的活性素子と、
(d)少なくとも一つの前記光学的活性素子の光学的活性材料の特性を変更し、得られるレーザビームの特性を制御する調整機構と
を備える前記調節可能レーザ。
【請求項50】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項49に記載の調節可能レーザ。
【請求項51】
光スイッチング用装置であって、
(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成され、放射線ビームを受承する適合された光学的活性素子と、
(b)前記光学的活性材料の特性を変更し、前記光学的活性素子から出射される前記放射線ビームの方向を選択的に制御する調整機構とを備える前記光スイッチング用装置。
【請求項52】
前記放射線は偏光され、前記スイッチングが偏光多重化を提供する請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項51または請求項52に記載の装置。
【請求項1】
(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、
(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを備える、光学的活性素子の形成方法。
【請求項2】
放射線ビームを用いて前記空洞構造を形成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザ微細加工プロセスを用いて焦点に局所的ミクロ爆発を誘導して前記空洞構造を形成することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(a)ポリマーを加熱し、
(b)前記ポリマーの全体に液晶を分散させて前記基材を形成することを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
硬化した前記ポリマー基材の全体に液滴が一様に分散して形成されるように前記液晶が分散される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーが熱硬化性樹脂である請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが不飽和架橋ポリマーである請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー基材は、C=C不飽和基を有し、チオールエステルオリゴマーによって架橋されたポリウレタンオリゴマーである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液晶は0.3〜0.9の秩序パラメータを有する請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記液晶は4−ペンチル−4−シアノビフェニルを含む共晶混合物である請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(a)ポリマー材料を加熱して、その粘度を低減させ、
(b)加熱した前記ポリマー材料に前記液晶を添加し、
(c)得られた混合物を所定の時間撹拌し、前記ポリマー材料の全体に前記液晶を分散させることを含む、請求項4から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
得られた混合物を紫外線硬化炉内で硬化させて、液晶が硬化したポリマーの全体に一様に分散混合された液滴を形成するように、得られた混合物を固化させることを更に含む請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
得られた材料は少なくとも30分間硬化される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材に一つ以上のドーパントを添加することを更に含み、前記ドーパントは、
(a)光学的活性材料の緩和速度と、
(b)基材の光学特性
のうちの少なくとも一つを変更するように適合されている請求項4から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ドーパントは、
(a)光吸収剤、
(b)可塑剤、
(c)インヒビター、
(d)安定剤、
(e)難燃剤、
(f)硬化剤、
(k)量子ドット、
(l)ナノ粒子、
(m)ナノ結晶、
(g)着色剤、
(h)色素
のうちの少なくとも一つを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材の両対向表面にインジウム錫酸化物層を設け、そこに電位を印加できるようにすることを含む請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基材を基板上に形成することを含み、前記基板上には、少なくとも一つのインジウム錫酸化物層が真空蒸着を用いて設けられている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)放射線ビームを生成し、
(b)前記放射線ビームを変調し、
(c)前記変調した放射線ビームを前記ポリマー基材上に集束させて、空洞構造を選択的に生成することを含む請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記放射線ビームをフィルタ処理し、
(b)前記放射線ビームをコリメートすることを更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
所定の空洞構造を生成するように前記基材と前記放射線ビームの相対的な位置を制御することを含む請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)600〜800nmの間の波長、
(b)70〜90fsの間のパルス幅、
(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、
(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、
(e)対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力
のうちの少なくとも一つを備えた放射線ビームを用いることを含む請求項18乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記光学的活性素子は、
(a)表示装置、
(b)ビーム操舵、
(c)流体検出、
(d)調節可能レーザ、
(e)偏光多重化、及び
(f)光スイッチング
における使用に適合されている請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記空洞構造が、
(a)一つ以上の空洞チャネル、
(b)空洞ドット、
(c)複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層
のうちの少なくとも一つを有する請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記空洞構造が複数の空洞チャネルを有する一つ以上の層を含み、各層の空洞チャネルが実質的に平行であり、隣接する層間で空洞チャネルが実質的に直交している請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記構造はバンドギャップを規定し、前記バンドギャップの波長が前記層の離間に少なくとも部分的に依存する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
光学的活性素子を形成するための装置であって、
(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、
(b)放射線ビームを変調するためのシャッタと、
(c)全体に光学的活性材料が分散された基材上に、変調した前記放射線ビームを集束して、空洞構造を選択的に生成させる対物レンズとを備える前記装置。
【請求項27】
(a)前記放射線ビームをフィルタ処理するためのニュートラルデンシティフィルタと、
(b)前記放射線ビームをコリメートするためのコリメータを更に備える請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記コリメータがピンホールと絞りから形成される請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記シャッタに接続されて前記放射線ビームの変調を制御するコントローラを更に備える請求項27または請求項28に記載の装置。
【請求項30】
(a)前記基材を受承するための架台と、
(b)前記架台と前記対物レンズの相対的な位置を制御し、それによって前記放射線ビームと前記基材の相対的な位置を制御する駆動系とを更に備える請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記コントローラは前記駆動系を制御するように適合されている請求項30に記載の装置。
【請求項32】
(a)放射線を反射するためのビームスプリッタであって、前記放射線が、
(i)前記基材から反射した放射線と、
(ii)前記基材を透過したバックライト放射線と
のうちの少なくとも一つである、前記ビームスプリッタと、
(b)反射した放射線を検出する検出器とを更に備え、前記検出器が、
(i)空洞形成の監視と、
(ii)前記シャッタと前記駆動系とのうちの少なくとも一つの制御と
のうちのなくとも一つを行うように前記コントローラに接続されている請求項30または請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記駆動系が、
(a)前記レンズに接続され、前記レンズの第一方向における位置を制御する第一アクチュエータと、
(b)前記架台に接続され、前記架台の第二および第三方向における位置を制御する第二アクチュエータと
を含む請求項30から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記放射線ビームが、
(a)600〜800nmの間の波長、
(b)70〜90fsの間のパルス幅、
(c)82MHzの範囲内の繰り返し速度、
(d)400〜600μm/秒の間の書き込み速度、
(e)前記対物レンズにおいて10〜20mWの間の出力
のうちの少なくとも一つを有する請求項29から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
光学的活性素子であって、
(a)全体に光学的活性材料が分散された基材を形成し、
(b)前記基材内に一つ以上の空洞構造を生成することを含む方法によって形成された前記光学的活性素子。
【請求項36】
前記光学的活性素子が、
(a)電界、
(b)熱的変化、
(c)磁界、
(d)電磁波
のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている請求項35に記載の光学的活性素子。
【請求項37】
請求項1から25のいずれか一項に記載の方法を含む方法によって形成した請求項35または請求項36に記載の光学的活性素子。
【請求項38】
全体に光学的活性材料が分散された基材と、放射線ビームを用いて前記基材内に形成された一つ以上の空洞構造とを備える光学的活性素子。
【請求項39】
前記光学的活性素子が、
(a)電界、
(b)熱的変化、
(c)磁界、
(d)電磁波
のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する調整機構に接続されている請求項38に記載の光学的活性素子。
【請求項40】
請求項1から25のいずれか一項の方法を含む方法によって形成された請求項38または請求項39に記載の光学的活性素子。
【請求項41】
請求項1に記載のプロセスによって得られる製品。
【請求項42】
ビーム操舵用の装置であって、
(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、
(b)放射線ビームを生成するための放射線源と、
(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更する前記調整機構
とを備える前記装置。
【請求項43】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項42に記載の装置
【請求項44】
表示装置であって、
(a)放射線ビームを生成するための放射線源と、
(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子と、
(c)調整機構であって、(i)電界、(ii)熱的変化、(iii)磁界、(iv)偏光電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームを表面に指向させる調整機構
とを備える表示装置。
【請求項45】
請求項1から25のいずれか一項の方法によって、光学的活性素子を形成した請求項44に記載の表示装置。
【請求項46】
流体検出用装置であって、
(a)放射線源と、
(b)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成された光学的活性素子であって、前記空洞構造のうちの少なくとも1つが、そこから流体を受承するように外界に開口している、前記光学的活性素子と、
(c)前記光学的活性素子を通過する光を検出し、前記少なくとも一つの空洞構造内の前記流体に関する情報を判定する検出システムとを備える前記装置。
【請求項47】
(i)電界、
(ii)熱的変化、
(iii)磁界、
(iv)偏光電磁放射のうちの少なくとも一つを加えることによって、前記光学的活性材料の特性を変更し、前記放射線ビームをスクリーンに指向させる調整機構を更に備える請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項46または請求項47に記載の装置。
【請求項49】
調節可能レーザであって、
(a)二つの対向端部を有するキャビティと、
(b)前記キャビティに放射線を供給するための放射線源と、
(c)各端部に配置された光学的活性素子であって、各光学的活性素子が、全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成されたものである前記光学的活性素子と、
(d)少なくとも一つの前記光学的活性素子の光学的活性材料の特性を変更し、得られるレーザビームの特性を制御する調整機構と
を備える前記調節可能レーザ。
【請求項50】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項49に記載の調節可能レーザ。
【請求項51】
光スイッチング用装置であって、
(a)全体に分散された光学的活性材料と内部に形成された一つ以上の空洞構造とを有する基材から形成され、放射線ビームを受承する適合された光学的活性素子と、
(b)前記光学的活性材料の特性を変更し、前記光学的活性素子から出射される前記放射線ビームの方向を選択的に制御する調整機構とを備える前記光スイッチング用装置。
【請求項52】
前記放射線は偏光され、前記スイッチングが偏光多重化を提供する請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記光学的活性素子が請求項1から25のいずれか一項の方法によって形成される請求項51または請求項52に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2007−532958(P2007−532958A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507624(P2007−507624)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000537
【国際公開番号】WO2005/101103
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506347160)ディ.ケイ. アンド イー.エル. マクフェイル エンタープライジーズ プロプライエタリー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】D.K. AND E.L. MCPHAIL ENTERPRISES PTY LTD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000537
【国際公開番号】WO2005/101103
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506347160)ディ.ケイ. アンド イー.エル. マクフェイル エンタープライジーズ プロプライエタリー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】D.K. AND E.L. MCPHAIL ENTERPRISES PTY LTD
【Fターム(参考)】
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