空調システム
【課題】除霜運転時の室温低下を極力抑制可能な空調システムを提供する。
【解決手段】室外機10と室内機9とを有し、室外機10と室内機9との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転が可能な複数の冷媒系統1と、複数の冷媒系統1の複数の室内機9が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を送風するサーキュレータ31とを備えた。
【解決手段】室外機10と室内機9とを有し、室外機10と室内機9との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転が可能な複数の冷媒系統1と、複数の冷媒系統1の複数の室内機9が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を送風するサーキュレータ31とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調システムにおいては、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張手段、室内熱交換器からなる冷凍サイクルで構成され、その冷凍サイクル内に冷媒が充填されている。暖房時は、圧縮機で圧縮された冷媒が、高温高圧のガス冷媒となり、室内熱交換器に送り込まれる。室内熱交換器に流れ込んだ冷媒は、空気に熱を放出することで液化する。一方空気は冷媒から熱をもらい、室内が暖められる。
【0003】
液化した冷媒は、膨張手段で減圧されて気液二相状態となり、室外熱交換器にて周囲空気から熱を吸収することでガス化し、圧縮機へ戻る。
【0004】
このとき、室外熱交換器周囲の空気温度が低く蒸発温度が0℃より低くなる場合は、室外熱交換器フィン表面に霜が発生する。霜が発生すると、風量低下及び熱抵抗の増大により暖房能力が低下するため、定期的に霜を取り除く除霜運転が必要となってくる。除霜運転には、冷媒の流れる向きを逆にして除霜を行うリバース除霜がある。
【0005】
リバース除霜は、冷媒の流れを逆にすることで、室内熱交換器を蒸発器、室外熱交換器を凝縮器として室外熱交換器の霜を溶かすものである。このとき、室内に冷気が吹き出されないように室内機用送風機を停止するため、暖房能力は0となり、除霜運転中は室温が低下することになる。
【0006】
そこで、冷媒循環系統(以下、冷媒系統)を複数個備え、暖房時に室外機の熱交換器を除霜する際、除霜運転を許可する室外機台数を制限するようにした技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術では、除霜運転が許可された室外機以外の室外機で暖房運転を継続することで、暖房能力低下を抑え、また、室内におけるコールドドラフトを少なくしている。
【0007】
また、冷媒系統を複数個備え、各冷媒系統の着霜状態に応じて自動的に除霜運転を実施する冷凍システムにおいて、その全ての冷媒循環系統で同時に除霜運転を行うと、冷凍能力が大きく低下することから、除霜運転を1つの冷媒循環系統ずつ順番に行い、冷凍能力の大幅低下を抑制する技術もある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−332817号公報(第3頁)
【特許文献2】特開昭61−116234号公報(第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のように除霜運転を冷媒系統毎に行った場合においても、除霜運転に入った冷媒系統の空調エリアは温調されないため、室温低下は免れなかった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、除霜運転時の室温低下を極力抑制可能な空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る空調システムは、室外機と室内機とを有し、室外機と室内機との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転が可能な複数の冷媒系統と、複数の冷媒系統の複数の室内機が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を送風するサーキュレータとを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、除霜運転時の室温低下を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1に係る空調システムが適用された部屋の平面図、(b)は(a)の側面図である。
【図2】図1の各冷媒系統における冷媒回路図である。
【図3】図2の冷媒系統における時間と暖房能力との関係を示す図である。
【図4】図3の暖房能力の場合の室温変化を示した図である。
【図5】除霜運転時の冷媒の流れを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける動作説明図(その1)である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける動作説明図(その2)である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける追加制御1のフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける追加制御2のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係る空調システムの他の構成例の説明図である。
【図12】図12(a)は、本発明の実施の形態2に係る空調システムの構成が適用された部屋の室内平面図、図12(b)は、図12(a)の室内側面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1、2の空調システムの他の構成例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る空調システムが適用された部屋の平面図、図1(b)は、図1(a)の側面図である。図1(b)の矢印は送風方向を示している。
空調システムは、複数(ここでは2個)の冷媒系統1(1−1、1−2)と、室内の空気を撹拌する1又は複数(ここでは2台)のサーキュレータ31とを備えている。各冷媒系統1のそれぞれは、室外機10と1又は複数(ここでは3台)の室内機9とを有し、室外機10と室内機9との間で後述の冷媒回路を形成している。各冷媒系統1の各室内機9は部屋の天井に設置され、サーキュレータ31と共に室内の空調を行う。
【0015】
サーキュレータ31は、図1(b)に示すように室内側面方向から見て冷媒系統1−1の室内機9と冷媒系統1−2の室内機9の間の天井部分に設置され、天井付近の空気を吸い込んでほぼ水平に吹き出すことで部屋の空気を送風する。サーキュレータ31は、送風方向を180度切り替え可能に構成され、冷媒系統1−1の空調エリア(冷媒系統1−1の室内機9の設置エリア)と冷媒系統1−2の空調エリア(冷媒系統1−2の室内機9の設置エリア)の二方向に送風可能となっている。冷媒系統1の室外機10、室内機9及びサーキュレータ31は伝送線42により集中コントローラ41に接続され、集中コントローラ41により制御される。
【0016】
集中コントローラ41は、各冷媒系統1のそれぞれの除霜運転の要否を判断する機能と、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転を実施することがないように、除霜要と判断した冷媒系統1の除霜運転の開始タイミングを所定のアルゴリズムに基づいて制御する機能を備えており、全ての冷媒系統1のそれぞれについて、暖房運転と除霜運転の相互切り替え制御を行う。
【0017】
除霜運転の開始タイミングを決定するための所定のアルゴリズムは、特に限定するものではなく、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転を実施することがないようなアルゴリズムであればよい。例えば、除霜要と判断した冷媒系統1の中から1系統ずつ順番に除霜運転を行う等であり、本例のように冷媒系統1が2系統の場合は、一方の除霜運転を終了してから他方の除霜運転を実施するように各冷媒系統それぞれの除霜運転開始タイミングを決定すればよい。なお、除霜運転を同時に実施可能な許可系統数は1系統に限られず、任意に設定可能であり、例えば冷媒系統1が全4系統の場合、許可系統を2系統として、2系統で同時に除霜運転を行うようにしてもよい。また、除霜運転開始の順番等についても特に限定するものではない。
【0018】
また、除霜運転の要否判断方法についても特に限定するものではなく、例えば、各室外熱交換器4のそれぞれに設けた着霜検知装置からの検知結果に基づいて判断してもよいし、暖房運転開始からの所定時間の経過を除霜要と判断するようにしてもよい。
【0019】
図2は、図1の各冷媒系統における冷媒回路図である。
冷媒系統1は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張弁5及び室内熱交換器6が順次配管で接続されて構成された冷媒回路を備えている。冷媒系統1は更に、室外熱交換器用送風機7及び室内熱交換器用送風機8を備えている。そして、室外機10に、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4及び室外熱交換器用送風機7が設置され、室内機9に、膨張弁5、室内熱交換器6及び室内熱交換器用送風機8が設置されている。
【0020】
このように構成された冷媒系統1では、四方弁3の切り換えにより暖房運転及び除霜運転、更には冷房運転が可能となっている。
【0021】
次に、実施の形態1に係る空調システムの冷媒系統1の動作について説明する。ここでは、室外熱交換器4に着霜が生じる暖房運転について説明する。暖房運転時は、四方弁3が図2の実線で示される状態に切り替えられる。
【0022】
(暖房運転)
冷媒系統1において、暖房時は、圧縮機2で圧縮された冷媒は高温高圧のガス冷媒となり、四方弁3を通り室内熱交換器6に送り込まれる。室内熱交換器6に流入した冷媒は、室内熱交換器用送風機8で搬送される室内空気と熱交換し、放熱することにより液化する。液化した冷媒は膨張弁5で減圧されて気液二相状態となり、室外熱交換器4に流入する。室外熱交換器4に流入した冷媒は、室外熱交換器用送風機7で搬送される室外空気と熱交換し、吸熱することによりガス化し、圧縮機2へ戻される。以上のようにして冷媒が冷媒回路を循環することにより暖房運転を行う。
【0023】
図3は、図2の冷媒系統における時間と暖房能力との関係を示す図である。図4は、図3の暖房能力の場合の室温変化を示した図である。
図2に示した冷媒系統1において、室外熱交換器4での冷媒の蒸発温度が0℃以下の場合、空気中に存在している水分が室外熱交換器4に付着し、霜となって堆積する。その堆積量は時間とともに増加する。その結果、室外熱交換器4の一部であるフィンに付着した霜による熱抵抗及び通風抵抗増加により、図3に示すように時間とともに暖房能力が低下する。そのため、室外熱交換器4に付着した霜を溶かすための除霜運転を繰り返し行う。また、除霜運転の直前は暖房能力が低下して室内機9からの吹出温度が低下するため、図4に示すように室温も低下する。
【0024】
(除霜運転)
図5は、除霜運転時の冷媒の流れを示す図である。
除霜運転では、図5に示すように四方弁3を実線で示される状態に切り替え、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒を四方弁3を介して室外熱交換器4に流し、室外熱交換器4を凝縮器として作用させることで室外熱交換器4の除霜を行っている。
【0025】
除霜運転中は、室内熱交換器6に低温低圧の冷媒が流れ、室内熱交換器6が蒸発器として作用するため、室内熱交換器用送風機8からの空気が室内熱交換器6を通過すると、室内側に冷たい空気が吹き出してしまう。このため、除霜運転中は室内熱交換器用送風機8を停止する。よって、除霜運転中の暖房能力は図3に示すように0となる。
【0026】
つまり、除霜運転中は暖房能力が不足することになる。このため、室温は図4に示すように次第に低下し、除霜運転終了時には設定温度から数℃低下した状態となり、居住者は寒いと感じてしまう。室温の低下幅は、外気負荷や建物、除霜運転時間等によって異なるが、例えば2℃等である。
【0027】
集中コントローラ41は、除霜運転後に暖房運転に復帰させる制御を行うが、暖房運転に復帰する際には、室温を早く設定温度に戻そうとして圧縮機2の周波数を高くする。このため、室外熱交換器4の蒸発温度が低下し、着霜速度が増加する。その結果、再び霜が付着してフィン間が霜で閉塞されるまでの時間が短くなり、頻繁に除霜運転が必要となり、効率が低下してしまう。よって、除霜運転中の室温低下を抑制することで、暖房復帰時の蒸発温度の低下を抑制でき、着霜速度を低減して快適性及び省エネ性を向上することが可能となる。
【0028】
そこで、本実施の形態1では、図1に示したように一つの部屋の温調を行うための冷媒系統を複数設けると共に更にサーキュレータ31を設け、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの暖気をサーキュレータ31で除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かって送風することにより、除霜運転中の室温低下の抑制を図るようにしている。以下、具体的に説明する。
【0029】
図6は、本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
集中コントローラ41は、上述したように暖房運転中の各冷媒系統1のそれぞれについて除霜運転の要否をチェックしており、ここでは、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中で冷媒系統1−1のみが除霜要の状態となり、冷媒系統1−1の除霜運転を許可した場合を想定する。本実施の形態1における空調システムは、除霜運転を許可した後の動作に特徴があり、以下、その特徴的な動作について図6を参照して説明する。
【0030】
集中コントローラ41は、図7に示すように冷媒系統1−1の除霜運転を開始する(S1)。すなわち、冷媒系統1−1の運転を暖房運転から除霜運転に切り替える。このとき、冷媒系統1−2では暖房運転を継続する。そして、冷媒系統1−1の除霜運転への切り替えと同時に、サーキュレータ31の風向きを、図7の矢印で示すように除霜運転を許可した冷媒系統1−1の空調エリア側に決定し、その決定した風向きとなるようにサーキュレータ31を駆動する(S2)。
【0031】
除霜運転を開始した冷媒系統1−1では室内熱交換器用送風機8が停止され、自己の空調エリア内の温度が低下する。このため、サーキュレータ31を駆動して、暖房運転中の冷媒系統1−2の空調エリアの空気を冷媒系統1−1の空調エリアに向かって空気を送風することで、温度低下を抑制することができる。
【0032】
ここでは、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中に冷媒系統1−1のみが除霜要となり、冷媒系統1−1が除霜運転を開始する場合について説明したが、逆に、冷媒系統1−2のみが除霜要となり冷媒系統1−2が除霜運転を開始する場合は、図8に示すように冷媒系統1−1は暖房運転を継続し、サーキュレータ31の送風方向を冷媒系統1−2側にし、冷媒系統1−1の空調エリアの暖気を冷媒系統1−2の空調エリアに送風することになる。
【0033】
そして、除霜運転終了と判定すると(S3)、サーキュレータ31を停止する(S4)と共に、除霜運転中の冷媒系統1−1の運転を暖房運転に復帰させる(S5)。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向けて暖房運転中の空調エリアの空気をサーキュレータ31により搬送するようにしたので、室内の温度低下、特に除霜運転中の空調エリアの温度低下を抑制することが可能となり、快適性及び省エネ性を向上することができる。
【0035】
また、上記動作により除霜運転終了時の室温が設定温度と同じか又は近い状態となるため、暖房復帰時に圧縮機2の周波数を高くする必要がなく、その結果、蒸発温度の低下が生じないため、暖房復帰時から蒸発温度を高い状態で運転することが可能となる。したがって、着霜速度を抑制することができて除霜運転の間隔を延ばすことができ、除霜回数を低減できて快適性向上及び省エネ向上効果を得ることができる。
【0036】
また、一般的に暖気は部屋の上方に移動するため、サーキュレータ31を天井に設置して天井付近の暖気を送風するようにしたので、効率的な送風が可能である。
【0037】
なお、本実施の形態1では、2個の冷媒系統で同一空間の空調を行う場合を例に説明したが、それ以上の冷媒系統数としてもよい。この場合も同様の制御を行うことで同様の効果を得ることができる。すなわち、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの空気を、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かってサーキュレータ31により送風するようにすればよい。
【0038】
また、実施の形態1の空調システムにおいては更に、図9及び図10に示す制御を行っても良い。
【0039】
図9は、本発明の実施の形態1の空調システムにおける追加制御1のフローチャートである。
集中コントローラ41は、除霜運転を開始した冷媒系統1が有るかどうかをチェックし(S11)、有る場合、暖房運転中の冷媒系統1の暖房能力を一時的に増加させる(S12)。暖房能力を増加させる運転とは、具体的には例えば、圧縮機周波数又は室内風量を増加させたり、室内の設定温度を予め決められた値ΔT(例えば1℃等)だけ加算する補正をしたりすることで実施できる。この制御により、更に室温低下を抑制することが可能となる。
【0040】
図10は、本発明の実施の形態1の空調システムにおける追加制御2のフローチャートである。
本例では室外機1台と室内機3台で冷媒系統1を構成しているが、例えば図1において各冷媒系統1それぞれの右端の室内機9をそれぞれ別の冷媒系統1として計4系統とし、除霜運転の許可系統を例えば2系統とした場合を想定する。この場合において、例えば2系統で除霜終了タイミングが一致することがある。この場合、除霜終了タイミングが一致した2つの冷媒系統1を同時に暖房運転に復帰させると、次回の除霜開始タイミングも略同じタイミングとなる。複数の冷媒系統1で除霜運転期間が重なることは、快適性や省エネ性の向上の観点から避けることが望ましい。また、除霜終了タイミングが一致する2つの冷媒系統1が、サーキュレータ31の送風方向に互いの空調エリアが対向する冷媒系統の場合、その2つの冷媒系統1の次の除霜運転時にサーキュレータ31を駆動しても、その2つの冷媒系統1に暖気を送風することができなくなる。
【0041】
そこで、複数の冷媒系統1で除霜運転期間が重なるのを避けるため、図10の制御を行う。すなわち、集中コントローラ41は、複数の冷媒系統1で除霜運転終了タイミングが一致するかどうかをチェックし(S21)、一致する場合、その一致する各冷媒系統1のそれぞれの次回除霜運転期間が互いに重ならないように暖房復帰タイミングを割り振る(S22)。そして、割り振った暖房復帰タイミングにしたがって各冷媒系統1を順次暖房運転に復帰させる(S23)。この制御により、複数の冷媒系統1で除霜運転期間が互いに重なることがなく、快適性や省エネ性の低下を抑制でき、また、サーキュレータ31を利用した室温低下の抑制が可能となる。
【0042】
なお、本実施の形態1では、サーキュレータ31からの風の吹き出し方向を切り替えることで、1台のサーキュレータ31で2方向に風を流す構成を示したが、図11に示すように1方向(図11(b)の矢印方向)のみに風を流すサーキュレータ31a、31bを備えた構成としてもよい。図11の例では、サーキュレータ31aは、冷媒系統1−2の空調エリアに向けた送風が可能であり、サーキュレータ31bは、冷媒系統1−1の空調エリアに向けた送風が可能である。よって、サーキュレータ31aを冷媒系統1−2と対応づけると共に、サーキュレータ31bを冷媒系統1−1と対応づけておき、除霜運転が許可された場合、許可された冷媒系統1に対応するサーキュレータ31を駆動するようにする。すなわち冷媒系統1−1の除霜運転が許可された場合、サーキュレータ31bを駆動し、冷媒系統1−2の除霜運転が許可された場合、サーキュレータ31aを駆動する。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1の構成に更に、ヒータ等の加熱装置32をサーキュレータ31に設けた構成としたものである。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図12(a)は、本発明の実施の形態2に係る空調システムの構成が適用された部屋の室内平面図、図12(b)は、図12(a)の室内側面図である。
実施の形態1との違いは、各サーキュレータ31のそれぞれに加熱装置32を設けた点である。各加熱装置32は伝送線42により集中コントローラ41に接続され、集中コントローラ41によりONOFF制御されるようになっている。実施の形態2の空調システムにおける冷媒系統1の冷媒回路や、部屋内における各冷媒系統1の配置やサーキュレータ31の配置構成は図1及び図2に示した実施の形態1と同様であり、実施の形態1とはその制御方法が異なる。実施の形態1では、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転が実施されることのないようにしていたが、実施の形態2では、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転を実施することを許可するようにしており、この場合、加熱装置32を駆動することで室内の温度低下を抑制するようにしている。
【0045】
図13は、本発明の実施の形態2に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
集中コントローラ41は、暖房運転中の各冷媒系統1のそれぞれについて除霜運転の要否を判断しており、ここでは、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中で、冷媒系統1−1のみが除霜要の状態となり、冷媒系統1−1の除霜運転を許可した場合を想定する。本実施の形態2における空調システムは、除霜運転を許可した後の動作に特徴があり、以下、その特徴的な動作について図13を参照して説明する。
【0046】
集中コントローラ41は、冷媒系統1−1の除霜運転を開始する(S31)。このとき、冷媒系統1−2では暖房運転を継続する。そして、現在の許可冷媒系統が全系統か否かをチェックする(S32)。ここでは全系統ではないため、サーキュレータ31の風向きを、除霜運転を許可した許可冷媒系統である冷媒系統1−1の空調エリア側に決定し、その決定した風向きとなるようにサーキュレータ31を駆動する(S33)。そして更に、加熱装置32を駆動する(S34)。
【0047】
そして、除霜運転中の冷媒系統1−1の除霜運転が終了すると(S35)、サーキュレータ31の送風を停止する(S36)と共に加熱装置32を停止し(S37)、冷媒系統1−1を暖房運転に復帰させる(S38)。
【0048】
なお、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中で、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方で除霜要と判断した場合、集中コントローラ41は両方の除霜運転を許可し、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方で除霜運転を開始する(S31)。これと同時に、ステップS32で許可冷媒系統が全系統であると判断し、サーキュレータ31を駆動する(S36)と共に、加熱装置32を駆動する(S37)。このとき、サーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替える設定でサーキュレータ31を駆動する。このように、全系統が除霜運転を行う場合には、サーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替え、加熱装置32で暖められた空気を部屋全体に行き渡らせるようにすることで、全系統が除霜運転に入って暖房能力が0となっても、部屋全体を暖房でき、室温低下を抑制することが可能となる。
【0049】
以上説明したように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、除霜運転の開始と同時にサーキュレータ31及び加熱装置32を駆動し、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの空気を加熱装置32で加熱し、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かってサーキュレータ31により送風するようにしたので、除霜運転中の空調エリアの室温低下を抑制することが可能となり、快適性及び省エネ性の向上になる。
【0050】
また、全ての冷媒系統1が除霜運転に入る場合、冷媒系統1による暖房能力は0となるがサーキュレータ31及び加熱装置32を駆動するため、暖房能力を確保でき、室温低下を抑制することが可能となる。また、全ての冷媒系統1が除霜運転に入る場合、サーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替えるようにしたので、部屋全体を暖房でき、室温低下の抑制効果を更に高めることができる。なお、ここでは除霜運転に入る系統数が全系統である場合にサーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替える制御を行うとしたが、必ずしも全系統に限られたものではなく、例えば全4系統のうち3系統が除霜運転に入る場合に行うようにしてもよい。
【0051】
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に図9の制御により、除霜運転を開始した冷媒系統1が有るかどうかをチェックし、有る場合、暖房運転中の冷媒系統1の暖房能力を一時的に増加させるようにしてもよい。暖房能力を増加させる運転は、例えば圧縮機2周波数又は室内風量を増加させたり、室内の設定温度を予め決められた値ΔT(例えば1℃等)だけ加算する補正をしたりすることで実施できる。この制御により、更に室温低下を抑制することが可能となる。
【0052】
なお、ここでは、2個の冷媒系統1で同一空間の空調を行う場合を例に説明したが、それ以上の冷媒系統1で同一空間の空調を行うようにしてもよい。この場合も同様の制御を行う。すなわち、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの空気を加熱装置32で加熱し、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かってサーキュレータ31により送風するようにすればよい。
【0053】
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に複数の冷媒系統1で除霜終了タイミングが一致する場合、図10の制御により、暖房復帰タイミングをずらして複数の冷媒系統1において除霜運転期間が互いに重ならないようにしてもよい。この場合、快適性や省エネ性の低下を抑制でき、また、サーキュレータ31を利用した室温低下の抑制が可能となる。
【0054】
また、図11に示すようにサーキュレータ31を配置し、更に各サーキュレータ31のそれぞれに加熱装置32を設けた場合も同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
なお、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの暖気を更に加熱装置32で加熱して除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かって送風することに限られず、加熱装置32で加熱された暖気を、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かって送風するようにしてもよい。この場合も同様に、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアの温度低下を抑制することが可能である。
【0056】
また、暖房起動時など、設定温度と室内温度の差が予め設定した所定値より大きい場合に、加熱装置32とサーキュレータ31を動作させることにより、暖房能力を増加させ、設定温度に到達する時間を短縮するといった使い方も可能である。
【0057】
また、実施の形態1、2において、図14に示すように、サーキュレータ31からの吹出し温度を検出する吹出温度検出装置33を設け、吹出温度が予め決められた温度よりも低い場合は、サーキュレータ31の送風を停止するようにしても良い。このようにすることで、温度の低い空気を送風することを防止することができ、快適性低下を抑制することが可能となる。
【0058】
また、実施の形態1、2において、サーキュレータ31の駆動で室温低下を抑制する制御については、除霜開始後だけでなく、除霜開始前で暖房能力が低下してきた段階にも適用可能である。
【0059】
また、実施の形態1、2において、複数の系統のうちの何れかが除霜運転に入ると、サーキュレータ31を駆動するようにしたが、サーキュレータ31の駆動タイミングはこれに限られたものではない。例えば、全系統が暖房運転中から常に、室内空気の撹拌を目的としてサーキュレータ31を駆動させておいてもよい。なおこの場合の送風方向は、例えば一定時間毎に送風方向を切り替える等して室内全体に空気が送風されるようにする。そして、何れかが除霜運転に入ると、その除霜運転に入った冷媒系統1の空調エリアに送風方向を固定するように切り替える。
【符号の説明】
【0060】
1(1−1,1−2) 冷媒系統、2 圧縮機、3 四方弁、4 室外熱交換器、5 膨張弁、6 室内熱交換器、7 室外熱交換器用送風機、8 室内熱交換器用送風機、9 室内機、10 室外機、31(31a,31b) サーキュレータ、32 加熱装置、33 吹出温度検出装置、41 集中コントローラ、42 伝送線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調システムにおいては、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張手段、室内熱交換器からなる冷凍サイクルで構成され、その冷凍サイクル内に冷媒が充填されている。暖房時は、圧縮機で圧縮された冷媒が、高温高圧のガス冷媒となり、室内熱交換器に送り込まれる。室内熱交換器に流れ込んだ冷媒は、空気に熱を放出することで液化する。一方空気は冷媒から熱をもらい、室内が暖められる。
【0003】
液化した冷媒は、膨張手段で減圧されて気液二相状態となり、室外熱交換器にて周囲空気から熱を吸収することでガス化し、圧縮機へ戻る。
【0004】
このとき、室外熱交換器周囲の空気温度が低く蒸発温度が0℃より低くなる場合は、室外熱交換器フィン表面に霜が発生する。霜が発生すると、風量低下及び熱抵抗の増大により暖房能力が低下するため、定期的に霜を取り除く除霜運転が必要となってくる。除霜運転には、冷媒の流れる向きを逆にして除霜を行うリバース除霜がある。
【0005】
リバース除霜は、冷媒の流れを逆にすることで、室内熱交換器を蒸発器、室外熱交換器を凝縮器として室外熱交換器の霜を溶かすものである。このとき、室内に冷気が吹き出されないように室内機用送風機を停止するため、暖房能力は0となり、除霜運転中は室温が低下することになる。
【0006】
そこで、冷媒循環系統(以下、冷媒系統)を複数個備え、暖房時に室外機の熱交換器を除霜する際、除霜運転を許可する室外機台数を制限するようにした技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術では、除霜運転が許可された室外機以外の室外機で暖房運転を継続することで、暖房能力低下を抑え、また、室内におけるコールドドラフトを少なくしている。
【0007】
また、冷媒系統を複数個備え、各冷媒系統の着霜状態に応じて自動的に除霜運転を実施する冷凍システムにおいて、その全ての冷媒循環系統で同時に除霜運転を行うと、冷凍能力が大きく低下することから、除霜運転を1つの冷媒循環系統ずつ順番に行い、冷凍能力の大幅低下を抑制する技術もある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−332817号公報(第3頁)
【特許文献2】特開昭61−116234号公報(第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のように除霜運転を冷媒系統毎に行った場合においても、除霜運転に入った冷媒系統の空調エリアは温調されないため、室温低下は免れなかった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、除霜運転時の室温低下を極力抑制可能な空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る空調システムは、室外機と室内機とを有し、室外機と室内機との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転が可能な複数の冷媒系統と、複数の冷媒系統の複数の室内機が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を送風するサーキュレータとを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、除霜運転時の室温低下を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1に係る空調システムが適用された部屋の平面図、(b)は(a)の側面図である。
【図2】図1の各冷媒系統における冷媒回路図である。
【図3】図2の冷媒系統における時間と暖房能力との関係を示す図である。
【図4】図3の暖房能力の場合の室温変化を示した図である。
【図5】除霜運転時の冷媒の流れを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける動作説明図(その1)である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける動作説明図(その2)である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける追加制御1のフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける追加制御2のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係る空調システムの他の構成例の説明図である。
【図12】図12(a)は、本発明の実施の形態2に係る空調システムの構成が適用された部屋の室内平面図、図12(b)は、図12(a)の室内側面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1、2の空調システムの他の構成例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る空調システムが適用された部屋の平面図、図1(b)は、図1(a)の側面図である。図1(b)の矢印は送風方向を示している。
空調システムは、複数(ここでは2個)の冷媒系統1(1−1、1−2)と、室内の空気を撹拌する1又は複数(ここでは2台)のサーキュレータ31とを備えている。各冷媒系統1のそれぞれは、室外機10と1又は複数(ここでは3台)の室内機9とを有し、室外機10と室内機9との間で後述の冷媒回路を形成している。各冷媒系統1の各室内機9は部屋の天井に設置され、サーキュレータ31と共に室内の空調を行う。
【0015】
サーキュレータ31は、図1(b)に示すように室内側面方向から見て冷媒系統1−1の室内機9と冷媒系統1−2の室内機9の間の天井部分に設置され、天井付近の空気を吸い込んでほぼ水平に吹き出すことで部屋の空気を送風する。サーキュレータ31は、送風方向を180度切り替え可能に構成され、冷媒系統1−1の空調エリア(冷媒系統1−1の室内機9の設置エリア)と冷媒系統1−2の空調エリア(冷媒系統1−2の室内機9の設置エリア)の二方向に送風可能となっている。冷媒系統1の室外機10、室内機9及びサーキュレータ31は伝送線42により集中コントローラ41に接続され、集中コントローラ41により制御される。
【0016】
集中コントローラ41は、各冷媒系統1のそれぞれの除霜運転の要否を判断する機能と、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転を実施することがないように、除霜要と判断した冷媒系統1の除霜運転の開始タイミングを所定のアルゴリズムに基づいて制御する機能を備えており、全ての冷媒系統1のそれぞれについて、暖房運転と除霜運転の相互切り替え制御を行う。
【0017】
除霜運転の開始タイミングを決定するための所定のアルゴリズムは、特に限定するものではなく、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転を実施することがないようなアルゴリズムであればよい。例えば、除霜要と判断した冷媒系統1の中から1系統ずつ順番に除霜運転を行う等であり、本例のように冷媒系統1が2系統の場合は、一方の除霜運転を終了してから他方の除霜運転を実施するように各冷媒系統それぞれの除霜運転開始タイミングを決定すればよい。なお、除霜運転を同時に実施可能な許可系統数は1系統に限られず、任意に設定可能であり、例えば冷媒系統1が全4系統の場合、許可系統を2系統として、2系統で同時に除霜運転を行うようにしてもよい。また、除霜運転開始の順番等についても特に限定するものではない。
【0018】
また、除霜運転の要否判断方法についても特に限定するものではなく、例えば、各室外熱交換器4のそれぞれに設けた着霜検知装置からの検知結果に基づいて判断してもよいし、暖房運転開始からの所定時間の経過を除霜要と判断するようにしてもよい。
【0019】
図2は、図1の各冷媒系統における冷媒回路図である。
冷媒系統1は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張弁5及び室内熱交換器6が順次配管で接続されて構成された冷媒回路を備えている。冷媒系統1は更に、室外熱交換器用送風機7及び室内熱交換器用送風機8を備えている。そして、室外機10に、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4及び室外熱交換器用送風機7が設置され、室内機9に、膨張弁5、室内熱交換器6及び室内熱交換器用送風機8が設置されている。
【0020】
このように構成された冷媒系統1では、四方弁3の切り換えにより暖房運転及び除霜運転、更には冷房運転が可能となっている。
【0021】
次に、実施の形態1に係る空調システムの冷媒系統1の動作について説明する。ここでは、室外熱交換器4に着霜が生じる暖房運転について説明する。暖房運転時は、四方弁3が図2の実線で示される状態に切り替えられる。
【0022】
(暖房運転)
冷媒系統1において、暖房時は、圧縮機2で圧縮された冷媒は高温高圧のガス冷媒となり、四方弁3を通り室内熱交換器6に送り込まれる。室内熱交換器6に流入した冷媒は、室内熱交換器用送風機8で搬送される室内空気と熱交換し、放熱することにより液化する。液化した冷媒は膨張弁5で減圧されて気液二相状態となり、室外熱交換器4に流入する。室外熱交換器4に流入した冷媒は、室外熱交換器用送風機7で搬送される室外空気と熱交換し、吸熱することによりガス化し、圧縮機2へ戻される。以上のようにして冷媒が冷媒回路を循環することにより暖房運転を行う。
【0023】
図3は、図2の冷媒系統における時間と暖房能力との関係を示す図である。図4は、図3の暖房能力の場合の室温変化を示した図である。
図2に示した冷媒系統1において、室外熱交換器4での冷媒の蒸発温度が0℃以下の場合、空気中に存在している水分が室外熱交換器4に付着し、霜となって堆積する。その堆積量は時間とともに増加する。その結果、室外熱交換器4の一部であるフィンに付着した霜による熱抵抗及び通風抵抗増加により、図3に示すように時間とともに暖房能力が低下する。そのため、室外熱交換器4に付着した霜を溶かすための除霜運転を繰り返し行う。また、除霜運転の直前は暖房能力が低下して室内機9からの吹出温度が低下するため、図4に示すように室温も低下する。
【0024】
(除霜運転)
図5は、除霜運転時の冷媒の流れを示す図である。
除霜運転では、図5に示すように四方弁3を実線で示される状態に切り替え、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒を四方弁3を介して室外熱交換器4に流し、室外熱交換器4を凝縮器として作用させることで室外熱交換器4の除霜を行っている。
【0025】
除霜運転中は、室内熱交換器6に低温低圧の冷媒が流れ、室内熱交換器6が蒸発器として作用するため、室内熱交換器用送風機8からの空気が室内熱交換器6を通過すると、室内側に冷たい空気が吹き出してしまう。このため、除霜運転中は室内熱交換器用送風機8を停止する。よって、除霜運転中の暖房能力は図3に示すように0となる。
【0026】
つまり、除霜運転中は暖房能力が不足することになる。このため、室温は図4に示すように次第に低下し、除霜運転終了時には設定温度から数℃低下した状態となり、居住者は寒いと感じてしまう。室温の低下幅は、外気負荷や建物、除霜運転時間等によって異なるが、例えば2℃等である。
【0027】
集中コントローラ41は、除霜運転後に暖房運転に復帰させる制御を行うが、暖房運転に復帰する際には、室温を早く設定温度に戻そうとして圧縮機2の周波数を高くする。このため、室外熱交換器4の蒸発温度が低下し、着霜速度が増加する。その結果、再び霜が付着してフィン間が霜で閉塞されるまでの時間が短くなり、頻繁に除霜運転が必要となり、効率が低下してしまう。よって、除霜運転中の室温低下を抑制することで、暖房復帰時の蒸発温度の低下を抑制でき、着霜速度を低減して快適性及び省エネ性を向上することが可能となる。
【0028】
そこで、本実施の形態1では、図1に示したように一つの部屋の温調を行うための冷媒系統を複数設けると共に更にサーキュレータ31を設け、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの暖気をサーキュレータ31で除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かって送風することにより、除霜運転中の室温低下の抑制を図るようにしている。以下、具体的に説明する。
【0029】
図6は、本発明の実施の形態1に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
集中コントローラ41は、上述したように暖房運転中の各冷媒系統1のそれぞれについて除霜運転の要否をチェックしており、ここでは、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中で冷媒系統1−1のみが除霜要の状態となり、冷媒系統1−1の除霜運転を許可した場合を想定する。本実施の形態1における空調システムは、除霜運転を許可した後の動作に特徴があり、以下、その特徴的な動作について図6を参照して説明する。
【0030】
集中コントローラ41は、図7に示すように冷媒系統1−1の除霜運転を開始する(S1)。すなわち、冷媒系統1−1の運転を暖房運転から除霜運転に切り替える。このとき、冷媒系統1−2では暖房運転を継続する。そして、冷媒系統1−1の除霜運転への切り替えと同時に、サーキュレータ31の風向きを、図7の矢印で示すように除霜運転を許可した冷媒系統1−1の空調エリア側に決定し、その決定した風向きとなるようにサーキュレータ31を駆動する(S2)。
【0031】
除霜運転を開始した冷媒系統1−1では室内熱交換器用送風機8が停止され、自己の空調エリア内の温度が低下する。このため、サーキュレータ31を駆動して、暖房運転中の冷媒系統1−2の空調エリアの空気を冷媒系統1−1の空調エリアに向かって空気を送風することで、温度低下を抑制することができる。
【0032】
ここでは、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中に冷媒系統1−1のみが除霜要となり、冷媒系統1−1が除霜運転を開始する場合について説明したが、逆に、冷媒系統1−2のみが除霜要となり冷媒系統1−2が除霜運転を開始する場合は、図8に示すように冷媒系統1−1は暖房運転を継続し、サーキュレータ31の送風方向を冷媒系統1−2側にし、冷媒系統1−1の空調エリアの暖気を冷媒系統1−2の空調エリアに送風することになる。
【0033】
そして、除霜運転終了と判定すると(S3)、サーキュレータ31を停止する(S4)と共に、除霜運転中の冷媒系統1−1の運転を暖房運転に復帰させる(S5)。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向けて暖房運転中の空調エリアの空気をサーキュレータ31により搬送するようにしたので、室内の温度低下、特に除霜運転中の空調エリアの温度低下を抑制することが可能となり、快適性及び省エネ性を向上することができる。
【0035】
また、上記動作により除霜運転終了時の室温が設定温度と同じか又は近い状態となるため、暖房復帰時に圧縮機2の周波数を高くする必要がなく、その結果、蒸発温度の低下が生じないため、暖房復帰時から蒸発温度を高い状態で運転することが可能となる。したがって、着霜速度を抑制することができて除霜運転の間隔を延ばすことができ、除霜回数を低減できて快適性向上及び省エネ向上効果を得ることができる。
【0036】
また、一般的に暖気は部屋の上方に移動するため、サーキュレータ31を天井に設置して天井付近の暖気を送風するようにしたので、効率的な送風が可能である。
【0037】
なお、本実施の形態1では、2個の冷媒系統で同一空間の空調を行う場合を例に説明したが、それ以上の冷媒系統数としてもよい。この場合も同様の制御を行うことで同様の効果を得ることができる。すなわち、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの空気を、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かってサーキュレータ31により送風するようにすればよい。
【0038】
また、実施の形態1の空調システムにおいては更に、図9及び図10に示す制御を行っても良い。
【0039】
図9は、本発明の実施の形態1の空調システムにおける追加制御1のフローチャートである。
集中コントローラ41は、除霜運転を開始した冷媒系統1が有るかどうかをチェックし(S11)、有る場合、暖房運転中の冷媒系統1の暖房能力を一時的に増加させる(S12)。暖房能力を増加させる運転とは、具体的には例えば、圧縮機周波数又は室内風量を増加させたり、室内の設定温度を予め決められた値ΔT(例えば1℃等)だけ加算する補正をしたりすることで実施できる。この制御により、更に室温低下を抑制することが可能となる。
【0040】
図10は、本発明の実施の形態1の空調システムにおける追加制御2のフローチャートである。
本例では室外機1台と室内機3台で冷媒系統1を構成しているが、例えば図1において各冷媒系統1それぞれの右端の室内機9をそれぞれ別の冷媒系統1として計4系統とし、除霜運転の許可系統を例えば2系統とした場合を想定する。この場合において、例えば2系統で除霜終了タイミングが一致することがある。この場合、除霜終了タイミングが一致した2つの冷媒系統1を同時に暖房運転に復帰させると、次回の除霜開始タイミングも略同じタイミングとなる。複数の冷媒系統1で除霜運転期間が重なることは、快適性や省エネ性の向上の観点から避けることが望ましい。また、除霜終了タイミングが一致する2つの冷媒系統1が、サーキュレータ31の送風方向に互いの空調エリアが対向する冷媒系統の場合、その2つの冷媒系統1の次の除霜運転時にサーキュレータ31を駆動しても、その2つの冷媒系統1に暖気を送風することができなくなる。
【0041】
そこで、複数の冷媒系統1で除霜運転期間が重なるのを避けるため、図10の制御を行う。すなわち、集中コントローラ41は、複数の冷媒系統1で除霜運転終了タイミングが一致するかどうかをチェックし(S21)、一致する場合、その一致する各冷媒系統1のそれぞれの次回除霜運転期間が互いに重ならないように暖房復帰タイミングを割り振る(S22)。そして、割り振った暖房復帰タイミングにしたがって各冷媒系統1を順次暖房運転に復帰させる(S23)。この制御により、複数の冷媒系統1で除霜運転期間が互いに重なることがなく、快適性や省エネ性の低下を抑制でき、また、サーキュレータ31を利用した室温低下の抑制が可能となる。
【0042】
なお、本実施の形態1では、サーキュレータ31からの風の吹き出し方向を切り替えることで、1台のサーキュレータ31で2方向に風を流す構成を示したが、図11に示すように1方向(図11(b)の矢印方向)のみに風を流すサーキュレータ31a、31bを備えた構成としてもよい。図11の例では、サーキュレータ31aは、冷媒系統1−2の空調エリアに向けた送風が可能であり、サーキュレータ31bは、冷媒系統1−1の空調エリアに向けた送風が可能である。よって、サーキュレータ31aを冷媒系統1−2と対応づけると共に、サーキュレータ31bを冷媒系統1−1と対応づけておき、除霜運転が許可された場合、許可された冷媒系統1に対応するサーキュレータ31を駆動するようにする。すなわち冷媒系統1−1の除霜運転が許可された場合、サーキュレータ31bを駆動し、冷媒系統1−2の除霜運転が許可された場合、サーキュレータ31aを駆動する。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1の構成に更に、ヒータ等の加熱装置32をサーキュレータ31に設けた構成としたものである。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図12(a)は、本発明の実施の形態2に係る空調システムの構成が適用された部屋の室内平面図、図12(b)は、図12(a)の室内側面図である。
実施の形態1との違いは、各サーキュレータ31のそれぞれに加熱装置32を設けた点である。各加熱装置32は伝送線42により集中コントローラ41に接続され、集中コントローラ41によりONOFF制御されるようになっている。実施の形態2の空調システムにおける冷媒系統1の冷媒回路や、部屋内における各冷媒系統1の配置やサーキュレータ31の配置構成は図1及び図2に示した実施の形態1と同様であり、実施の形態1とはその制御方法が異なる。実施の形態1では、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転が実施されることのないようにしていたが、実施の形態2では、全ての冷媒系統1で一斉に除霜運転を実施することを許可するようにしており、この場合、加熱装置32を駆動することで室内の温度低下を抑制するようにしている。
【0045】
図13は、本発明の実施の形態2に係る空調システムにおける制御フローチャートを示す図である。
集中コントローラ41は、暖房運転中の各冷媒系統1のそれぞれについて除霜運転の要否を判断しており、ここでは、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中で、冷媒系統1−1のみが除霜要の状態となり、冷媒系統1−1の除霜運転を許可した場合を想定する。本実施の形態2における空調システムは、除霜運転を許可した後の動作に特徴があり、以下、その特徴的な動作について図13を参照して説明する。
【0046】
集中コントローラ41は、冷媒系統1−1の除霜運転を開始する(S31)。このとき、冷媒系統1−2では暖房運転を継続する。そして、現在の許可冷媒系統が全系統か否かをチェックする(S32)。ここでは全系統ではないため、サーキュレータ31の風向きを、除霜運転を許可した許可冷媒系統である冷媒系統1−1の空調エリア側に決定し、その決定した風向きとなるようにサーキュレータ31を駆動する(S33)。そして更に、加熱装置32を駆動する(S34)。
【0047】
そして、除霜運転中の冷媒系統1−1の除霜運転が終了すると(S35)、サーキュレータ31の送風を停止する(S36)と共に加熱装置32を停止し(S37)、冷媒系統1−1を暖房運転に復帰させる(S38)。
【0048】
なお、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方が暖房運転中で、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方で除霜要と判断した場合、集中コントローラ41は両方の除霜運転を許可し、冷媒系統1−1及び冷媒系統1−2の両方で除霜運転を開始する(S31)。これと同時に、ステップS32で許可冷媒系統が全系統であると判断し、サーキュレータ31を駆動する(S36)と共に、加熱装置32を駆動する(S37)。このとき、サーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替える設定でサーキュレータ31を駆動する。このように、全系統が除霜運転を行う場合には、サーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替え、加熱装置32で暖められた空気を部屋全体に行き渡らせるようにすることで、全系統が除霜運転に入って暖房能力が0となっても、部屋全体を暖房でき、室温低下を抑制することが可能となる。
【0049】
以上説明したように本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、除霜運転の開始と同時にサーキュレータ31及び加熱装置32を駆動し、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの空気を加熱装置32で加熱し、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かってサーキュレータ31により送風するようにしたので、除霜運転中の空調エリアの室温低下を抑制することが可能となり、快適性及び省エネ性の向上になる。
【0050】
また、全ての冷媒系統1が除霜運転に入る場合、冷媒系統1による暖房能力は0となるがサーキュレータ31及び加熱装置32を駆動するため、暖房能力を確保でき、室温低下を抑制することが可能となる。また、全ての冷媒系統1が除霜運転に入る場合、サーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替えるようにしたので、部屋全体を暖房でき、室温低下の抑制効果を更に高めることができる。なお、ここでは除霜運転に入る系統数が全系統である場合にサーキュレータ31の送風方向を一定時間毎に切り替える制御を行うとしたが、必ずしも全系統に限られたものではなく、例えば全4系統のうち3系統が除霜運転に入る場合に行うようにしてもよい。
【0051】
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に図9の制御により、除霜運転を開始した冷媒系統1が有るかどうかをチェックし、有る場合、暖房運転中の冷媒系統1の暖房能力を一時的に増加させるようにしてもよい。暖房能力を増加させる運転は、例えば圧縮機2周波数又は室内風量を増加させたり、室内の設定温度を予め決められた値ΔT(例えば1℃等)だけ加算する補正をしたりすることで実施できる。この制御により、更に室温低下を抑制することが可能となる。
【0052】
なお、ここでは、2個の冷媒系統1で同一空間の空調を行う場合を例に説明したが、それ以上の冷媒系統1で同一空間の空調を行うようにしてもよい。この場合も同様の制御を行う。すなわち、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの空気を加熱装置32で加熱し、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かってサーキュレータ31により送風するようにすればよい。
【0053】
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に複数の冷媒系統1で除霜終了タイミングが一致する場合、図10の制御により、暖房復帰タイミングをずらして複数の冷媒系統1において除霜運転期間が互いに重ならないようにしてもよい。この場合、快適性や省エネ性の低下を抑制でき、また、サーキュレータ31を利用した室温低下の抑制が可能となる。
【0054】
また、図11に示すようにサーキュレータ31を配置し、更に各サーキュレータ31のそれぞれに加熱装置32を設けた場合も同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
なお、暖房運転中の冷媒系統1の空調エリアの暖気を更に加熱装置32で加熱して除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かって送風することに限られず、加熱装置32で加熱された暖気を、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアに向かって送風するようにしてもよい。この場合も同様に、除霜運転中の冷媒系統1の空調エリアの温度低下を抑制することが可能である。
【0056】
また、暖房起動時など、設定温度と室内温度の差が予め設定した所定値より大きい場合に、加熱装置32とサーキュレータ31を動作させることにより、暖房能力を増加させ、設定温度に到達する時間を短縮するといった使い方も可能である。
【0057】
また、実施の形態1、2において、図14に示すように、サーキュレータ31からの吹出し温度を検出する吹出温度検出装置33を設け、吹出温度が予め決められた温度よりも低い場合は、サーキュレータ31の送風を停止するようにしても良い。このようにすることで、温度の低い空気を送風することを防止することができ、快適性低下を抑制することが可能となる。
【0058】
また、実施の形態1、2において、サーキュレータ31の駆動で室温低下を抑制する制御については、除霜開始後だけでなく、除霜開始前で暖房能力が低下してきた段階にも適用可能である。
【0059】
また、実施の形態1、2において、複数の系統のうちの何れかが除霜運転に入ると、サーキュレータ31を駆動するようにしたが、サーキュレータ31の駆動タイミングはこれに限られたものではない。例えば、全系統が暖房運転中から常に、室内空気の撹拌を目的としてサーキュレータ31を駆動させておいてもよい。なおこの場合の送風方向は、例えば一定時間毎に送風方向を切り替える等して室内全体に空気が送風されるようにする。そして、何れかが除霜運転に入ると、その除霜運転に入った冷媒系統1の空調エリアに送風方向を固定するように切り替える。
【符号の説明】
【0060】
1(1−1,1−2) 冷媒系統、2 圧縮機、3 四方弁、4 室外熱交換器、5 膨張弁、6 室内熱交換器、7 室外熱交換器用送風機、8 室内熱交換器用送風機、9 室内機、10 室外機、31(31a,31b) サーキュレータ、32 加熱装置、33 吹出温度検出装置、41 集中コントローラ、42 伝送線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と室内機とを有し、前記室外機と前記室内機との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転が可能な複数の冷媒系統と、
前記複数の冷媒系統の複数の前記室内機が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を送風するサーキュレータと
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
室外機と室内機とを有し、前記室外機と前記室内機との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転可能な複数の冷媒系統と、
空気を加熱するための加熱装置と、
前記複数の冷媒系統の複数の前記室内機が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、前記加熱装置で加熱された暖気を送風するサーキュレータと
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項3】
前記サーキュレータにより暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を前記加熱装置で更に加熱して除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに送風することを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項4】
前記複数の冷媒系統は第一の冷媒系統と第二の冷媒系統からなり、前記サーキュレータは送風方向を180度変更可能に構成され、前記第一の冷媒系統の第一の空調エリアの空気を、前記第二の冷媒系統の第二の空調エリアへ送風する送風方向と、その逆の送風方向との2方向への送風が可能であり、
前記第一の冷媒系統が除霜運転中、前記第二の空調エリアの空気を前記第一の空調エリアに送風し、
前記第二の冷媒系統が除霜運転中、前記第一の空調エリアの空気を前記第二の空調エリアに送風することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記複数の冷媒系統の全てが除霜運転を行う場合、前記サーキュレータの空気の送風方向を一定時間毎に切り替えるようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の空調システム。
【請求項6】
前記複数の冷媒系統の中で除霜運転中の冷媒系統と暖房運転中の冷媒系統の両方が存在する運転状況のとき、暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項7】
暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させる場合に、暖房運転を行っている冷媒系統の設定温度を高めに補正することを特徴とする請求項6記載の空調システム。
【請求項8】
前記暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させる場合に、前記暖房運転を行っている冷媒系統の圧縮機周波数を一次的に増加させることを特徴とする請求項6に記載の空調システム。
【請求項9】
前記暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させる場合に、前記暖房運転を行っている冷媒系統の室内送風量を一次的に増加させることを特徴とする請求項6に記載の空調システム。
【請求項10】
前記サーキュレータからの吹出温度を検出する吹出温度検出装置を設け、前記吹出温度検出装置の検出値が予め決められた値よりも低い場合は、前記サーキュレータの送風を停止することを特徴とした請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項11】
複数の冷媒系統のうちの2以上の冷媒系統の除霜運転終了タイミングが一致する場合、次回の除霜運転期間が互いに重ならないように、それぞれの暖房運転開始タイミングをずらすことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項12】
設定温度と室温の差が所定値より大きい場合、前記加熱装置を動作させ、前記加熱装置で加熱された暖気を前記サーキュレータにより室内に送風することを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項13】
前記サーキュレータは部屋の天井に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項1】
室外機と室内機とを有し、前記室外機と前記室内機との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転が可能な複数の冷媒系統と、
前記複数の冷媒系統の複数の前記室内機が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を送風するサーキュレータと
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
室外機と室内機とを有し、前記室外機と前記室内機との間で冷媒回路を形成して暖房運転及び除霜運転可能な複数の冷媒系統と、
空気を加熱するための加熱装置と、
前記複数の冷媒系統の複数の前記室内機が配置された空間と同一空間に配置され、除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに、前記加熱装置で加熱された暖気を送風するサーキュレータと
を備えたことを特徴とする空調システム。
【請求項3】
前記サーキュレータにより暖房運転中の冷媒系統の空調エリアの暖気を前記加熱装置で更に加熱して除霜運転中の冷媒系統の空調エリアに送風することを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項4】
前記複数の冷媒系統は第一の冷媒系統と第二の冷媒系統からなり、前記サーキュレータは送風方向を180度変更可能に構成され、前記第一の冷媒系統の第一の空調エリアの空気を、前記第二の冷媒系統の第二の空調エリアへ送風する送風方向と、その逆の送風方向との2方向への送風が可能であり、
前記第一の冷媒系統が除霜運転中、前記第二の空調エリアの空気を前記第一の空調エリアに送風し、
前記第二の冷媒系統が除霜運転中、前記第一の空調エリアの空気を前記第二の空調エリアに送風することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記複数の冷媒系統の全てが除霜運転を行う場合、前記サーキュレータの空気の送風方向を一定時間毎に切り替えるようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の空調システム。
【請求項6】
前記複数の冷媒系統の中で除霜運転中の冷媒系統と暖房運転中の冷媒系統の両方が存在する運転状況のとき、暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項7】
暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させる場合に、暖房運転を行っている冷媒系統の設定温度を高めに補正することを特徴とする請求項6記載の空調システム。
【請求項8】
前記暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させる場合に、前記暖房運転を行っている冷媒系統の圧縮機周波数を一次的に増加させることを特徴とする請求項6に記載の空調システム。
【請求項9】
前記暖房運転を行っている冷媒系統の暖房能力を一次的に増加させる場合に、前記暖房運転を行っている冷媒系統の室内送風量を一次的に増加させることを特徴とする請求項6に記載の空調システム。
【請求項10】
前記サーキュレータからの吹出温度を検出する吹出温度検出装置を設け、前記吹出温度検出装置の検出値が予め決められた値よりも低い場合は、前記サーキュレータの送風を停止することを特徴とした請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項11】
複数の冷媒系統のうちの2以上の冷媒系統の除霜運転終了タイミングが一致する場合、次回の除霜運転期間が互いに重ならないように、それぞれの暖房運転開始タイミングをずらすことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の空調システム。
【請求項12】
設定温度と室温の差が所定値より大きい場合、前記加熱装置を動作させ、前記加熱装置で加熱された暖気を前記サーキュレータにより室内に送風することを特徴とする請求項2記載の空調システム。
【請求項13】
前記サーキュレータは部屋の天井に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載の空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−15262(P2013−15262A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148399(P2011−148399)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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