説明

空調機

【課題】屋外に室外機の設置スペースを設ける必要がなく、設置自在性、設計自在性に優れるだけでなく、冷房効率及び暖房効率を高めることができ、省エネルギー性に優れ、振動や騒音も少なく、環境保護性に優れた空調機の提供。
【解決手段】第1熱交換器と圧縮器と第2熱交換器と膨張弁を接続して冷媒を循環させる冷媒配管と、第1熱交換器が収容される第1収容部と第2熱交換器が収容される第2収容部とを備えた室内機と、を有し、第1収容部が、室外と連通する吸気部及び排気部と、第1熱交換器と排気部の間に配設された排熱吹出ファンと、を備え、第2収容部が、室内の空気を第2収容部の内部に取入れる空気取入部と、第2収容部の内部の空気を室内に吹出させる吹出部と、吹出部に配設された吹出ファンと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来、室外機に内蔵され凝縮器又は蒸発器として機能していた熱交換器を室内機に内蔵することにより、室外の室外機設置スペースを不要とすることができる空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷房や暖房を行う空調機(エアコン)は、圧縮器や凝縮器又は蒸発器として機能する熱交換器が内蔵された室外機と、蒸発器又は凝縮器として機能する熱交換器が内蔵された室内機を冷媒配管で接続したセパレート型が一般的であるが、室外機の設置スペースが必要で設置自在性、省スペース性に欠けるという問題があった。
そこで、(特許文献1)のように、「内部に少なくともコンプレッサー、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器及び各部品を接続する循環回路を含み、一体化されて壁の中に埋め込まれ、室内熱交換器の熱交換口が室内に向き、室内空気と熱を交換し、室外熱交換器の熱交換口が室外に向き、室外空気と熱を交換することを特徴とする一体式エアコン。」が考えられている。
【特許文献1】特表2006−526127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の一体式エアコンは室内機と室外機を一体化することにより、室外機の設置スペースが不要で省スペース性に優れるが、直接、壁の中に埋め込まれるか、窓と一体化して壁の中に埋め込まれる構造であるため、設置時に大掛かりな工事が必要であり、設置場所も限定され、設置自在性、設計自在性に欠けるという課題を有していた。
また、室外機が壁の中に埋め込まれているため、その騒音や振動により、睡眠が阻害されるという課題も有していた。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、従来のように屋外に室外機の設置スペースを設ける必要がなく、設置自在性、設計自在性に優れるだけでなく、冷房効率及び暖房効率を高めることができ、省エネルギー性に優れ、振動や騒音も少なく、環境保護性に優れた空調機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の空調機は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の空調機は、第1熱交換器と圧縮器と第2熱交換器と膨張弁を接続して冷媒を循環させる冷媒配管と、前記第1熱交換器が収容される第1収容部と前記第2熱交換器が収容される第2収容部とを備えた室内機と、を有し、前記第1収容部が、室外と連通する吸気部及び排気部と、前記第1熱交換器と前記排気部の間に配設された排熱吹出ファンと、を備え、前記第2収容部が、室内の空気を前記第2収容部の内部に取入れる空気取入部と、前記第2収容部の内部の空気を前記室内に吹出させる吹出部と、前記吹出部に配設された吹出ファンと、を備え、冷房時は前記冷媒配管により前記冷媒を前記圧縮機から前記第1熱交換器に向かって循環させ、暖房時は前記冷媒配管により前記冷媒を前記圧縮機から前記第2熱交換器に向かって循環させる構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)第1熱交換器と圧縮器と第2熱交換器と膨張弁を接続して冷媒を循環させる冷媒配管と、第1熱交換器が収容される第1収容部と第2熱交換器が収容される第2収容部とを備えた室内機を有するので、熱交換器を備えた室外機を屋外に設置する必要がなく、構成を簡素化することができ、量産性、設置作業性、設置自在性、省スペース性に優れる。
(2)室内機が、第1熱交換器が収容される第1収容部と第2熱交換器が収容される第2収容部に分割されていることにより、第1収容部と第2収容部の間の熱伝達を防ぎ、第1熱交換器及び第2熱交換器において互いに影響し合うことなく、確実に熱交換を行って冷暖房を行うことができ、動作の確実性、安定性に優れる。
(3)第1収容部が、室外と連通する吸気部及び排気部と、第1熱交換器と排気部の間に配設された排熱吹出ファンを有することにより、吸気部から取り入れられ第1熱交換器を通過した空気を確実に排気部から排気することができ、熱交換の確実性、効率性に優れるため、冷暖房の効率性を高めることができ、省エネルギー性に優れるだけでなく、冷房時の排気部からの排熱量を低減して、外気温の上昇を抑えることができ、環境保護性に優れる。
(4)第1熱交換器が室内機の第1収容部に収容されているので、風雨に晒されることがなく、フィンの腐食やフィン間の詰まりなどが発生し難く、熱交換の効率が経時的に変化することを防止でき、耐久性、長寿命性、動作の安定性に優れる。
(5)第2収容部が、室内の空気を第2収容部の内部に取入れる空気取入部と、第2収容部の内部の空気を室内に吹出させる吹出部と、吹出部に配設された吹出ファンを有することにより、空気取入部から取り入れた室内の空気を確実に第2熱交換器に通過させ、所望の温度に冷却又は加熱された熱交換後の空気を吹出部から室内に吹出させて、冷暖房を行うことができ、動作の確実性、安定性に優れる。
(6)冷房時は冷媒配管により冷媒を圧縮機から第1熱交換器に向かって循環させることにより、第1収容部に取り込まれた外気で第1熱交換器を流れる高温高圧の冷媒ガスを冷却することができ、第2収容部に取り込まれた室内の空気は、膨張弁を通過して低温低圧となった冷媒液が流れる第2熱交換器によって冷却され、室内に送風されて、室内を所定の温度に冷やすことができる。
(7)暖房時は冷媒配管により冷媒を圧縮機から第2熱交換器に向かって循環させることにより、第2収容部に取り込まれた室内の空気が、高温高圧の冷媒ガスが流れる第2熱交換器によって加熱され、室内に送風されて、室内を所定の温度に温めることができる。
【0006】
ここで、この空調機は、室内機に複数の熱交換器を内蔵することにより、従来、屋外に設置されていた室外機を省略したものである。
室内機は、第1収容部と第2収容部を別々に分離する(独立させる)ようにして形成してもよいし、1つの筐体の内部を仕切部で分割して形成してもよい。第1収容部と第2収容部に仕切る(分割する)仕切部は、第1収容部と第2収容部の間の空気の流通を防ぐことができればよいが、断熱性を有することが好ましい。一体に形成された室内機の第1収容部と第2収容部との間の熱伝達を防止するためである。尚、仕切部自体を断熱性材料で形成してもよいし、仕切部の表面に断熱材を貼着するなどして断熱層を形成してもよい。また、第1収容部の内部の空気と室内の空気との間で熱が伝達することを防止するために、第1収容部の筐体も仕切部と同様に形成することが望ましい。尚、第1収容部と第2収容部を分離した場合は、設置自在性に優れる。
【0007】
第1収容部の吸気部及び排気部は、筐体に孔を穿設して形成され、室内機を設置する部屋の壁等に設けられた開口孔と連結されることにより、室外と連通する。尚、吸気部及び排気部には異物などの侵入を防ぐためにフィルタなどを配設してもよい。
吸気部、排気部及び排熱吹出ファンの位置は、適宜、選択することができるが、第1熱交換器の中央部に正対するように排熱吹出ファンと排気部を一直線上に配置することにより、第1熱交換器の全面に斑無く空気を通過させると共に、排気部からスムーズに排出することができ、熱交換の効率性に優れる。
第2収容部の空気取入部の位置や大きさは、適宜、選択することができるが、第2熱交換器と仕切部との間に空気取入部を設けることにより、第2収容部に取り入れた室内の空気を確実に第2熱交換器に通過させて効率的に熱交換を行うことができる。空気取入部は筐体の側壁部や天井部に孔をあけて形成してもよいし、側壁部や天井部の一部を金網などのメッシュ状の部材で形成してもよい。
尚、従来の室外機に内蔵されていた圧縮器は室内機に内蔵することが好ましいが、室外に設置してもよい。
【0008】
この空調機の温度の制御は、従来の空調機と同様に、サーモスタットによって行われ、温度センサで検出した室内の温度と設定温度(目標温度)に基づいて圧縮器、排熱吹出ファン、吹出ファンなどの運転を制御する。
従来の空調機では、室内の温度が設定温度に達した時には圧縮器の運転を停止して送風のみを行い、時間経過と共に室内の温度が変化し始めると、再び圧縮器の運転を開始するという動作を繰り返しているため、室内の温度が安定せず、部屋の隅々まで設定温度に達することが困難で、温度斑が発生し易いが、この空調機においては、制御部により常に圧縮機を運転して冷媒を循環させながら、設定温度と室内の温度に応じて、冷房運転と暖房運転を切り替えることにより、設定温度(目標温度)に対して、±2℃程度の範囲で温度を制御することが可能で、室内の温度斑が少なく、温湿度制御の安定性、確実性に優れる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空調機であって、前記第1収容部が、一端が前記吸気部に連結され、他端が前記第1熱交換器を挟んで前記吸気部と反対側に開口した吸気ダクトを備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)第1収容部が、一端が吸気部に連結され、他端が第1熱交換器を挟んで吸気部と反対側に開口した吸気ダクトを有することにより、吸気部から吸入される外気を漏れなく確実に第1熱交換器まで案内して、有効に利用することができ、熱交換の確実性、効率性に優れる。
(2)吸気部と、第1熱交換器を挟んで吸気部と反対側が、吸気ダクトにより連結されているので、第1熱交換器と排気部の間に配設された排熱吹出ファンによって吸気部から外気を吸引し、確実に第1熱交換器に案内することができ、動作の安定性、運転の効率性に優れる。
【0010】
ここで、第1熱交換器は、一方の面が第1収容部の筐体の壁(第1収容部と第2収容部が一体に形成される場合は、第1収容部と第2収容部との間を仕切る仕切壁を含む)と離間して対向し、他方の面が排熱吹出ファンを挟んで排気部に対向するように配置される。これにより、吸気ダクトで案内された外気は、第1熱交換器の一方の面(排気部に面する側と反対側の筐体の壁に面する側)から他方(排気部側)の面へ通過し、冷媒配管を流れる冷媒との間で熱交換を行う。
吸気ダクトの開口部の面積は適宜、選択することができるが、開口部の幅を第1熱交換器の幅と同等に形成することにより、吸気部から取り入れられた外気を第1熱交換器のほぼ全面から通過させることができ、熱交換の効率性に優れる。
尚、吸気ダクトの開口部の周縁を第1熱交換器の外周部と連結した場合、吸気部から取り入れられた全ての外気を漏れなく確実に第1熱交換器に通過させることができ、熱交換の効率性を著しく向上させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の空調機であって、前記排気部が前記第1熱交換器の中央部に対向して形設され、前記吸気部が前記排気部と離間して形設された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)排気部が第1熱交換器の中央部に対向して形設されることにより、吸気部から取り入れられた外気を排熱吹出ファンの吸引によって第1熱交換器のほぼ全面に通過させて排気部から排出することができ、熱交換の効率化を図り、冷暖房の性能を向上させることができ、省エネルギー性に優れる。
(2)吸気部が排気部と離間して形設されることにより、吸気部から取り入れられた外気を吸気ダクトを通して第1熱交換器の吸気部と反対の面側にスムーズに案内することができ、熱交換の確実性に優れる。
(3)排気部を第1熱交換器の中央部に対向して配置し、吸気部を排気部と離間して配置することにより、第1熱交換器から排気部に向かう排気の流れが、吸気ダクトによって阻害されることがなく、吸気部から排気部までの空気の流れをスムーズにすることができ、熱交換の安定性、冷暖房運転の制御の確実性に優れる。
【0012】
ここで、吸気部は排気部と離間して設けられるが、その位置は、室内機の設置状態に応じて、第1収容部の背面部、側面部、天井部などから、適宜、選択することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)熱交換器を備えた室外機を屋外に設置する必要がなく、構成を簡素化することができ、量産性、設置作業性、設置自在性、省スペース性に優れるだけでなく、熱交換の確実性、効率性に優れ、冷暖房の効率性を高めることができ、省エネルギー性に優れると共に、冷房時の排気部からの排熱量を低減して、外気温の上昇を抑えることができ、環境保護性に優れる空調機を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)吸気部から吸入される外気を漏れなく確実に第1熱交換器まで案内して、有効に利用することができ、熱交換の確実性、効率性に優れる空調機を提供することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)第1熱交換器から排気部に向かう排気の流れが、吸気ダクトによって阻害されることがなく、吸気部から排気部までの空気の流れをスムーズにすることができ、熱交換の安定性、冷暖房運転の制御の確実性に優れる空調機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1の空調機の構成を示す要部断面模式平面図
【図2】図1のA−A線矢視断面模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における空調機について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1の空調機の構成を示す要部断面模式平面図であり、図2は図1のA−A線矢視断面模式図である。
図1中、1は実施の形態1の空調機、1aは空調機1の室内機、2は室内機1aの筐体、2aは筐体2の内部を第1熱交換器4が収容される第1収容部3aと第2熱交換器5が収容される第2収容部3bに仕切る仕切部、9は室内機1aの前面に形成され第2収容部3bの内部の空気を室内に吹出させる吹出部、10は吹出部9に配設された吹出ファン、11は第1熱交換器4と後述する圧縮器13と第2熱交換器5と後述する膨張弁15を接続して冷媒を循環させる空調機1の冷媒配管、12は圧縮器13の上流側に配設されたアキュムレータ、13は冷媒配管11の内部を流れる冷媒を圧縮する圧縮器、14は圧縮器13の下流側に配設された電磁弁、15は冷媒配管11の第1熱交換器4と第2熱交換器5の間に配設される膨張弁、16は冷媒配管11の分岐部に配設され冷媒の流れを切り替える四方弁を用いた切替部である。
尚、説明の都合上、冷媒配管11、アキュムレータ12、圧縮器13、電磁弁14、膨張弁15、切替部16を筐体2の外部に配置したが、これらは通常、室内機1aに内蔵することが好ましい。
【0018】
次に、第1収容部3a及び第2収容部3bの詳細について説明する。
図1及び図2中、6aは第1収容部3aの背面部で第1熱交換器4の上端側に形成され空調機1が設置される部屋の壁面20に設けられた開口孔20aを通して室外と連通する吸気部(図2)、6bは第1収容部3aの背面部で第1熱交換器4の中央部に対向して形成され空調機1が設置される部屋の壁面20に設けられた開口孔20bを通して室外と連通する排気部(図2)、6cは一端が吸気部6aに連結され他端が第1熱交換器4と仕切部2aとの間に開口した吸気ダクト、7は第1熱交換器4と排気部6bの間に配設された排熱吹出ファン(図2)、8は第2収容部3bの側壁部(図1)や天井部(図2)に形成され室内の空気を第2収容部3bの内部に取入れる空気取入部である。
【0019】
室内機1aの筐体2の内部を仕切る(分割する)仕切部2aは、第1収容部3aと第2収容部3bとの間の空気の流通を防止すると共に、断熱層により、第1収容部3aと第2収容部3bとの間で熱が伝達されることを防止した。尚、第1収容部3aの筐体2にも仕切部2aと同様に断熱層を形成し、第1収容部3aの内部の空気と室内の空気との間で熱が伝達することを防止することが好ましい。
第1収容部3aの吸気部6a及び排気部6bは、筐体2に孔を穿設して形成し、室内機1aを設置する部屋の壁面20に設けられた開口孔20a,20bと連結して室外と連通させた。尚、吸気部6a及び排気部6bと開口孔20a,20bとの間(接続部)には空気の漏れを防止するためにパッキン(図示せず)が配設される。また、吸気部6a及び排気部6bには異物などの侵入を防ぐためにフィルタなどを配設してもよい。尚、吸気部6a及び排気部6bを筒状に形成し、開口孔20a,20bに挿通するようにして連結してもよいし、吸気部6a及び排気部6bと開口孔20a,20bとの間を蛇腹状の配管などで連結してもよい。
【0020】
第1熱交換器4は、一方の面が仕切部2aに対向し、他方の面が排熱吹出ファン7を挟んで排気部6bに対向するように配置した。これにより、吸気ダクト6cによって第1熱交換器4と仕切部2aとの間に案内された外気は、第1熱交換器4の一方(仕切部2a側)の面から他方(排気部6b側)の面へ通過し、冷媒配管11を流れる冷媒との間で効果的に熱交換を行うことができる。
尚、第1熱交換器4と仕切部2aとの間に開口する吸気ダクト6cの開口部の幅を第1熱交換器4の幅と同等に形成することにより、吸気部6aから取り入れられた外気を第1熱交換器4のほぼ全面から通過させることができ、熱交換の効率性に優れる。また、第1熱交換器4の中央部に正対するように排熱吹出ファン7と排気部6bを一直線上に配置することにより、第1熱交換器4の全面に斑無く空気を通過させると共に、第1熱交換器4を通過した空気を排気部6bからスムーズに排出させて、熱交換の効率性を向上させることができる。
空気取入部8は筐体2の側壁部や天井部に孔をあけて形成してもよいし、側壁部や天井部の一部を金網などのメッシュ状の部材で形成してもよい。
尚、本実施の形態では1つの筐体2の内部を仕切部2aによって仕切ったが、第1収容部3aと第2収容部3bを別々に(分離して)形成してもよい。
【0021】
以上のように構成された実施の形態1の空調機の動作について説明する。尚、図1中、破線の矢印は冷房時の冷媒の流れを示し、実線の矢印は暖房時の冷媒の流れを示している。
まず、冷房運転について説明する。
図1及び図2において、空調機1の冷房運転を開始すると、外気が排熱吹出ファン7によって吸気部6aから吸気ダクト6cを通って第1収容部3aの内部に取り込まれる。第1収容部3aの内部に取り込まれた空気(外気)が第1熱交換器4を通過することにより、第1熱交換器4を流れる高温高圧の冷媒ガスが放熱して低温高圧の冷媒液となる。そして、第1熱交換器4を通過する空気は冷媒ガスから吸熱し、排熱吹出ファン7によって排気部6bから屋外に排出される。
図1において、第1熱交換器4から出た低温高圧の冷媒液は膨張弁10を通過することにより低温低圧の冷媒液となって第2熱交換器5へと送られる。また、図1において、室内の空気は吹出ファン10によって空気取入部8から第2収容部3bの内部に取り込まれる。第2収容部3bの内部に取り込まれた空気は、低温低圧の冷媒液が流れる第2熱交換器5を通過することにより除湿、冷却され、室内に送風されて冷房が行われる。このとき、第2熱交換器5を流れる低温低圧の冷媒液が熱を吸収して蒸発し、低温低圧の冷媒ガスとなり、切替部16を通ってアキュムレータ12へ送られ、圧縮器13で圧縮されて高温高圧の冷媒ガスとなって、再び切替部16を通り、第1熱交換器4へと送られる。
【0022】
暖房運転では、従来の空調機と同様に、切替部16を切り替えることにより、実線の矢印で示すように冷媒の流れる向きが変わるだけである。
図1及び図2において、空調機1の暖房運転を開始すると、外気が排熱吹出ファン7によって吸気部6aから吸気ダクト6cを通って第1収容部3aの内部に取り込まれる。第1収容部3aの内部に取り込まれた空気(外気)が第1熱交換器4を通過することにより、第1熱交換器4を流れる低温低圧の冷媒液が吸熱して蒸発し、低温低圧の冷媒ガスとなる。そして、第1熱交換器4を通過する空気は冷媒液に放熱し、排熱吹出ファン7によって排気部6bから屋外に排出される。
図1において、第1熱交換器4から出た低温低圧の冷媒ガスは、切替部16を通ってアキュムレータ12へ送られ、圧縮器13で圧縮されて高温高圧の冷媒ガスとなって、再び切替部16を通り、第2熱交換器4へと送られる。また、図1において、室内の空気は吹出ファン10によって空気取入部8から第2収容部3bの内部に取り込まれる。第2収容部3bの内部に取り込まれた空気は、高温高圧の冷媒ガスが流れる第2熱交換器5を通過することにより加熱、乾燥され、室内に送風されて暖房が行われる。このとき、第2熱交換器5を流れる高温高圧の冷媒ガスが放熱して低温高圧の冷媒ガスとなり、膨張弁15を通過することにより低温低圧の冷媒液となって再び第1熱交換器4へと送られる。
【0023】
実施の形態1の空調機1の温度の制御は、従来の空調機と同様にサーモスタット(図示せず)によって行われ、温度センサ(図示せず)で検出した室内の温度と設定温度(目標温度)に基づいて、排熱吹出ファン7,吹出ファン10,圧縮器13などの運転を制御する。そして、設定温度と室内の温度を比較し、設定温度が室内の温度よりも低い場合と、設定温度が室内の温度よりも高い場合とで、制御部(図示せず)の指示に基づいて切替部16を切り替え、冷媒の流れを変えることによって冷房運転と暖房運転の選択を行い、常に室内の温度を設定温度に近づけるように動作し、室内を設定温度を中心とした一定の温度範囲に維持することができる。
【0024】
実施の形態1における空調機によれば、以下の作用を有する。
(1)第1熱交換器と圧縮器と第2熱交換器と膨張弁を接続して冷媒を循環させる冷媒配管を有し、室内機の筐体の内部に、第1熱交換器が収容される第1収容部と第2熱交換器が収容される第2収容部を仕切る仕切部が配設されるので、熱交換器を備えた室外機を屋外に設置する必要がなく、構成を簡素化することができ、量産性、設置作業性、設置自在性、省スペース性に優れる。
(2)室内機が、第1熱交換器が収容される第1収容部と第2熱交換器が収容される第2収容部に分割されることにより、第1収容部と第2収容部の間の熱伝達を防ぎ、第1熱交換器及び第2熱交換器において互いに影響し合うことなく、確実に熱交換を行って冷暖房を行うことができ、動作の確実性、安定性に優れる。
(3)第1収容部が、室外と連通する吸気部及び排気部と、第1熱交換器と排気部の間に配設された排熱吹出ファンを有することにより、吸気部から取り入れられ第1熱交換器を通過した空気を確実に排気部から排気することができ、熱交換の確実性、効率性に優れるため、冷暖房の効率性を高めることができ、省エネルギー性に優れるだけでなく、冷房時の排気部からの排熱量を低減して、外気温の上昇を抑えることができ、環境保護性に優れる。
(4)第1熱交換器が第1収容部に収容されているので、風雨に晒されることがなく、フィンの腐食やフィン間の詰まりなどが発生し難く、熱交換の効率が経時的に変化することを防止でき、耐久性、長寿命性、動作の安定性に優れる。
(5)第2収容部が、室内の空気を第2収容部の内部に取入れる空気取入部と、第2収容部の内部の空気を室内に吹出させる吹出部と、吹出部に配設された吹出ファンを有することにより、空気取入部から取り入れた室内の空気を確実に第2熱交換器に通過させ、所望の温度に冷却又は加熱された熱交換後の空気を吹出部から室内に吹出させて、冷暖房を行うことができ、動作の確実性、安定性に優れる。
(6)冷房時は冷媒配管により冷媒を圧縮機から第1熱交換器に向かって循環させることにより、第1収容部に取り込まれた外気で第1熱交換器を流れる高温高圧の冷媒ガスを冷却することができ、第2収容部に取り込まれた室内の空気は、膨張弁を通過して低温低圧となった冷媒液が流れる第2熱交換器によって冷却され、室内に送風されて、室内を所定の温度に冷やすことができる。
(7)暖房時は冷媒配管により冷媒を圧縮機から第2熱交換器に向かって循環させることにより、第2収容部に取り込まれた室内の空気が、高温高圧の冷媒ガスが流れる第2熱交換器によって加熱され、室内に送風されて、室内を所定の温度に温めることができる。
(8)第1収容部が、一端が吸気部に連結され他端が第1熱交換器と仕切部との間に開口した吸気ダクトを有することにより、吸気部から吸入される外気を漏れなく確実に第1熱交換器まで案内して、有効に利用することができ、熱交換の確実性、効率性に優れる。
(9)吸気部と、第1熱交換器と仕切部との間が、吸気ダクトにより連結されているので、第1熱交換器と排気部の間に配設された排熱吹出ファンによって吸気部から外気を吸引し、確実に第1熱交換器に案内することができ、動作の安定性、運転の効率性に優れる。
(10)排気部が第1熱交換器の中央部に対向して形設されることにより、吸気部から取り入れられた外気を排熱吹出ファンの吸引によって第1熱交換器のほぼ全面に通過させて排気部から排出することができ、熱交換の効率化を図り、冷暖房の性能を向上させることができ、省エネルギー性に優れる。
(11)吸気部が排気部より上方に形設されることにより、吸気部から取り入れられた外気を吸気ダクトを通して第1熱交換器と仕切部との間にスムーズに案内することができ、熱交換の確実性に優れる。
(12)排気部を第1熱交換器の中央部に対向して配置し、吸気部を排気部より上方に配置することにより、第1熱交換器から排気部に向かう排気の流れが、吸気ダクトによって阻害されることがなく、吸気部から排気部までの空気の流れをスムーズにすることができ、熱交換の安定性、冷暖房運転の制御の確実性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、従来のように屋外に室外機の設置スペースを設ける必要がなく、設置自在性、設計自在性に優れるだけでなく、冷房効率及び暖房効率を高めることができ、省エネルギー性に優れ、振動や騒音も少なく、環境保護性に優れた空調機の提供を行うことができ、一般家庭だけでなく、病院や工場などの温湿度を年間を通じて最適に管理することが可能で、快適な生活環境、作業環境を実現することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 空調機
1a 室内機
2 筐体
2a 仕切部
3a 第1収容部
3b 第2収容部
4 第1熱交換器
5 第2熱交換器
6a 吸気部
6b 排気部
6c 吸気ダクト
7 排熱吹出ファン
8 空気取入部
9 吹出部
10 吹出ファン
11 冷媒配管
12 アキュムレータ
13 圧縮器
14 電磁弁
15 膨張弁
16 切替部
20 壁面
20a,20b 開口孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱交換器と圧縮器と第2熱交換器と膨張弁を接続して冷媒を循環させる冷媒配管と、前記第1熱交換器が収容される第1収容部と前記第2熱交換器が収容される第2収容部とを備えた室内機と、を有し、
前記第1収容部が、室外と連通する吸気部及び排気部と、前記第1熱交換器と前記排気部の間に配設された排熱吹出ファンと、を備え、
前記第2収容部が、室内の空気を前記第2収容部の内部に取入れる空気取入部と、前記第2収容部の内部の空気を前記室内に吹出させる吹出部と、前記吹出部に配設された吹出ファンと、を備え、
冷房時は前記冷媒配管により前記冷媒を前記圧縮機から前記第1熱交換器に向かって循環させ、暖房時は前記冷媒配管により前記冷媒を前記圧縮機から前記第2熱交換器に向かって循環させることを特徴とする空調機。
【請求項2】
前記第1収容部が、一端が前記吸気部に連結され、他端が前記第1熱交換器を挟んで前記吸気部と反対側に開口した吸気ダクトを備えたことを特徴とする請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記排気部が前記第1熱交換器の中央部に対向して形設され、前記吸気部が前記排気部と離間して形設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空調機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−100929(P2013−100929A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244017(P2011−244017)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(595117471)
【Fターム(参考)】