空調装置
【課題】 温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された分岐された供給路や排出路を給排気用の開閉手段で開閉することにより、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気できるようにした空調装置を提供する。
【解決手段】 全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニット４に、外気を吸入する吸気路５および吸入され熱交換された空気を複数の部屋ＡおよびＢ毎に分岐して供給する供給路６からなる給気経路と、前記複数の部屋ＡおよびＢ毎に分岐した排出路８から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路９からなる排気経路とを備え、前記分岐した供給路６に、同供給路６を開閉する第一給気開閉ダクト15a からなる給気開閉手段を設けると共に、前記分岐した排出路８に、同排出路８を開閉する第一排気開閉ダクト15b からなる排気開閉手段を設けた。
【解決手段】 全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニット４に、外気を吸入する吸気路５および吸入され熱交換された空気を複数の部屋ＡおよびＢ毎に分岐して供給する供給路６からなる給気経路と、前記複数の部屋ＡおよびＢ毎に分岐した排出路８から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路９からなる排気経路とを備え、前記分岐した供給路６に、同供給路６を開閉する第一給気開閉ダクト15a からなる給気開閉手段を設けると共に、前記分岐した排出路８に、同排出路８を開閉する第一排気開閉ダクト15b からなる排気開閉手段を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、空調装置に関わり、より詳細には、温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された複数の吸気路や排出路を、これら吸気路や排出路に設けられた開閉手段で開閉したり、切替手段で切替えることにより、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気できるようにした構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の空調装置として、各部屋の大きさや使用条件に応じた換気能力を設定すると共に希望の換気量に自由に変化させることにより、室内環境を常に快適に維持することが出来ると共に換気装置の設置計画の自由度を高め、高気密および高断熱住宅など気密性が高く換気の不可欠な住宅に最適な住宅用熱交換式換気装置が開示されていた（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
熱交換ユニットと、各給気端末毎の給気ユニットとを組み合わせたことにより、従来では住宅用換気装置において殆んど考慮されていなかった各吹出口毎の細やかな風量調節ができるようになっており、また、喫煙時などの急速限定換気や多人数在室時の重点換気が可能となり、また、給気風量が個別に調整可能なため、快適性の向上・冷暖房機の負荷低減につながって、例えば給気吹出口の近くにいる場合、暑い／寒いを感じることがあるが好みの風量・風向に変更して改善をはかることができるようになっている。
【０００４】
しかしながら、例えばビル用の空調装置として、室温が異なる複数の部屋を熱交換および換気するような場合、一つの熱交換ユニットによって、互いに異なる室内温度の影響をうけることなく熱交換および換気を行なえるようには構成されていないことから、各部屋とも同じ温度で給気されるようになるため、各部屋の空調負荷を最適に軽減できることにはならず、部屋によっては、時として不快な温度で給気をすることになってしまうという問題点を有していた。
【０００５】
そこで、室温が異なる複数の部屋を熱交換および換気する際、図３および図５に示すように、例えば室温が２５℃に調節された一室Ａと、室温が５℃に調節された他室Ｂとに、全熱交換素子１と、給気ファン２および排気ファン３とを備えた熱交換ユニット４に、矢印ａのように外気を導入する吸気路５、および導入され熱交換された空気を矢印ｂのように複数の部屋ＡおよびＢに供給する供給路６からなる給気経路と、前記複数の部屋ＡおよびＢから矢印ｃのように空気を排出する排出路８、および排出され熱交換された空気を矢印ｄのように室外に排気する排気路９からなる排気経路とを備えた空調装置を夫々設置するようにしていた。
【０００６】
しかしながら、この場合は、前記熱交換ユニット４を部屋数に応じて設置するようにした構成であることから、初期投資によるコストが甚大になってしまうと共に、前記熱交換ユニット４には換気のためのダクトが夫々４本（吸気路５、供給路６、排出路８および排気路９）は必要となり、天井裏のダクトの配回しやスペースに制限ができたり、また、前記熱交換ユニット４一台に対し給排気用の孔を最低２ケ所づつ壁に貫通させなければならないことから、作業が大掛かりになってしまうという問題点を有していた。
【０００７】
そのため、図４および図５に示すように、全熱交換素子１と、給気ファン２および排気ファン３とを備えた熱交換ユニット４に、外気を吸入する吸気路５、および吸入され熱交換された空気を複数の部屋ＡおよびＢに供給する供給路６からなる給気経路と、例えば室温が２５℃に調節された一室Ａおよび室温が５℃に調節された他室Ｂから、空気を排出する排出路８、および排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路９からなる排気経路とを夫々備えた空調装置を設置するようにしていた。
【０００８】
この場合、前記熱交換ユニット４を部屋数に応じて設置しない構成であることから、初期投資によるコストを抑え、作業が大掛かりになってしまわないという効果を奏することになるが、例えば矢印ｃのように一室Ａから２５℃の空気が、他室Ｂからは５℃の空気が夫々排出され混合することにより１５℃の空気になって前記熱交換ユニット４に流入する一方、同熱交換ユニット４に０℃の外気が流入して１５℃の空気と熱交換したのち、室温２５℃の一室Ａおよび室温５℃の他室Ｂに対し、吸入され熱交換されて１０．５℃になった外気が矢印ｂのように前記供給路６によって供給され、排出され熱交換されて４．５℃になった一室Ａおよび他室Ｂの空気が、矢印ｄのように前記排気路９によって室外に排気される。
【０００９】
その際、熱交換されて１０．５℃になった外気が、室温２５℃の一室Ａおよび室温５℃の他室Ｂに供給されることになるが、この場合、室温が異なる一室Ａおよび他室Ｂに対し同じ温度に熱交換された外気が供給されることで、上述したように、各部屋の空調負荷を最適に軽減できることにはならず、また部屋によっては、時として不快な温度で供給をすることになってしまうという問題点を有していた。
【００１０】
【特許文献１】特開平８−１７８３８６公報（第１頁〜第６頁、第１図〜第２図）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は上記問題点に鑑み、温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された複数の吸気路や排出路を、これら吸気路や排出路に設けられた開閉手段で開閉したり、切替手段で切替えることにより、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気できるようにした空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は上記課題を解決するため、全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記分岐した供給路に、同供給路を開閉する給気開閉手段を設けると共に、前記分岐した排出路に、同排出路を開閉する排気開閉手段を設けてなる構成となっている。
【００１３】
また、全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記供給路の分岐部に、同供給路の流路を切替える給気切替手段を設けると共に、前記排出路の分岐部に、同排出路の流路を切替える排気切替手段を設けてなる構成となっている。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によれば、温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された複数の吸気路や排出路を、これら吸気路や排出路に設けられた開閉手段によって開閉するようにしたので、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気を行なえるようになると共に、初期投資によるコストを抑えることができるようになり、作業が大掛かりにならないように簡略化できるようにした空調装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図１は本発明による空調装置の第一の実施例を示す斜視図であり、図２は本発明による空調装置の第二の実施例を示す斜視図であり、図３は本発明による空調装置の第三の実施例を示す斜視図である。
【実施例１】
【００１６】
本発明による空調装置は、実施例１として図１に示すように、全熱交換素子１と、給気ファン２および排気ファン３とを備えた熱交換ユニット４に、外気を矢印ａのように導入する吸気路５、および導入され熱交換された空気を、室温の異なる複数の部屋ＡおよびＢ毎に矢印ｂのように分岐して給気する供給路６からなる給気経路と、前記複数の部屋ＡおよびＢ毎に分岐した排出路８から排出し、排出され熱交換された空気を室外に向けて矢印ｄのように排気する排気路９からなる排気経路とを備えてなる構成になっている。
【００１７】
なお、前記全熱交換素子１と、前記給気ファン２および前記排気ファン３とを備えた前記熱交換ユニット４についての説明は、図４に基づいて上記背景技術で説明した内容と重複するので省略する。
【００１８】
前記熱交換ユニット４は、前記一つの全熱交換素子１と、前記給気ファン２および前記排気ファン３とを備えると共に、前記吸気路５および前記分岐した供給路６からなる前記給気経路と、前記分岐した排出路８および前記排気路９からなる前記排気経路とを備えてなる構成によって、室温が互いに異なる一室Ａおよび他室Ｂの温度変化を抑えながら換気を行なえるようになっている。
【００１９】
前記熱交換ユニット４内の空気通路は、図１に示す矢印ａおよび矢印ｂのように、前記吸気路５から前記全熱交換素子１を流通して前記分岐した供給路６に連なる給気通路と、矢印ｃおよび矢印ｄのように、前記分岐した排出路８から前記全熱交換素子１を流通して前記排気路９に連なる排気通路とで構成され、互いに隣接した前記全熱交換素子１の空気流路を流通する外気と室内空気との間において熱交換が行なわれるようになっている。
【００２０】
これにより、給排気間で熱交換を行なうことによって、室内温度とできるだけ温度差のない外気を給気できるようにすることで、空調損失を抑え、室内の空調負荷を軽減できるようになり、部屋によっては、時として不快な温度で給気をすることになってしまうということがなくなり、且つ、前記一つの熱交換ユニット４を備えるようにしたことで、初期投資によるコストを抑え、作業が大掛かりにならないように簡略化した構成でなる空調装置となり、室温が互いに異なる一室Ａおよび他室Ｂに対応して快適な換気を行なえるようになる。
【００２１】
前記一室Ａおよび前記他室Ｂ毎に夫々連通させた前記分岐した供給路６には、同分岐した供給路６を夫々開閉する第一給気開閉ダンパ15a からなる給気開閉手段が設けられており、同第一給気開閉ダンパ15a を開閉することによって、前記一室Ａおよび前記他室Ｂに対し、またはその何れか一方に対して熱交換されて高められた外気を供給できるようになる。
【００２２】
また同様に、前記一室Ａおよび前記他室Ｂ毎に夫々連通させた前記分岐した排出路８には、同分岐した排出路８を夫々開閉する第一排気開閉ダンパ15b からなる排気開閉手段が設けられており、同第一排気開閉ダンパ15b を開閉することによって、前記一室Ａおよび前記他室Ｂから、またはその何れか一方から空気を排出して前記熱交換ユニット４で熱交換されたのち前記排気路９によって排気されるようになっている。
【００２３】
これにより、例えば前記一室Ａが暖房された居住用の広い部屋であって、前記他室Ｂが暖房されていない狭い機械室であるような場合、前記一室Ａのみ重点的に温度変化を抑えて換気を行なえるようになる。
【００２４】
また、前記第一給気開閉ダンパ15a および前記第一排気開閉ダンパ15b を適宜間欠的に切り替えるように開閉することにより、前記一室Ａと前記他室Ｂとを交互に換気できるようになる。
その際、前記第一給気開閉ダンパ15a および前記第一排気開閉ダンパ15b は、例えば長時間にわたって換気したい側の部屋に連なる前記給気路６および前記排出路８を長く開放すればよい。
【００２５】
なお、前記第一給気開閉ダンパ15a および前記第一排気開閉ダンパ15b を夫々全開にしたり、または一方を全開にし他方を半開にするなどにより、前記一室Ａと前記他室Ｂとを同時に熱交換および換気できるようにしてもよい。
【００２６】
次に、上記構成でなる空調装置により、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの異なる室温の影響を互いにうけることなく、前記一つの熱交換ユニット４によって、給排気間で効果的に行なわれる熱交換について説明する。
【００２７】
例えば、前記一室Ａの室温が２５℃、前記他室Ｂの室温が５℃であって、外気温度が０℃である場合、前記一室Ａからの排出路８を一方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって開放し、前記他室Ｂからの排出路８を他方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって閉塞することにより、前記吸気路５から吸入された０℃の外気は、前記熱交換ユニット４によって、前記一室Ａからの排出路８で排出された２５℃の空気と熱交換され、約１７．５℃の温度に高められて前記一室Ａに連通する前記給気通路によって給気される。
【００２８】
また、前記一室Ａからの排出路８を一方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって閉塞し、前記他室Ｂからの排出路８を他方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって開放することにより、前記吸気路５から吸入された０℃の外気は、前記熱交換ユニット４によって、前記他室Ｂからの排出路８で排出された５℃の空気と熱交換され、約３．５℃の温度に熱交換されて前記他室Ｂに連通する前記給気通路によって給気される。
【００２９】
その際、前記一室Ａから排出された２５℃の空気は、前記吸気路５から吸入された０℃の外気と熱交換されて約７．５℃になったのちに前記排気路９によって排気され、前記他室Ｂから排出された５℃の空気は、前記吸気路５から吸入された０℃の外気と熱交換されて約１．５℃になったのちに前記排気路９によって排気される。
【００３０】
これによって、前記一室Ａには、２５℃の室温に対し０℃から約１７．５℃に高められた外気を給気できるようになり、前記他室Ｂには、５℃の室温に対し約３．５℃に熱交換された外気を給気できるようになり、前記一つの熱交換ユニット４によって、互いに室温の影響をうけることなく快適な換気を行なえるようになる。
【実施例２】
【００３１】
次に、実施例２として図２に示すように、第二給気開閉ダンパ15c からなる給気開閉手段が前記分岐した供給路６の吹出部に設けられ、第二排気開閉ダンパ15d からなる排気開閉手段が前記分岐した排出路８の吸込部に夫々設けられた場合に、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの異なる室温の影響を互いにうけることなく、前記一つの熱交換ユニット４によって、給排気間で効果的に行なわれる熱交換について説明する。
【００３２】
前記第二給気開閉ダンパ15c を前記分岐した供給路６の吹出部に設けたことで、同吹出部において同供給路６の開閉ができるので、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの室内側から、例えば手動によって容易に開閉可能になるため便利である。
【００３３】
また同様に、前記第二排気開閉ダンパ15d を前記分岐した排出路８の吸込部に設けたことで、同吸込部において同排出路８の開閉ができるので、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの室内側から、例えば手動によって容易に開閉可能になるため便利である。
【実施例３】
【００３４】
次に、実施例３として図３に示すように、給気切替ダンパ15e からなる給気切替手段が前記供給路６の分岐部に設けられ、排気切替ダンパ15f からなる排気切替手段が前記排出路８の分岐部に設けられた場合に、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの異なる室温の影響を互いにうけることなく、前記一つの熱交換ユニット４によって、給排気間で効果的に行なわれる熱交換について説明する。
【００３５】
前記給気切替ダンパ15e を前記供給路６の分岐部に設けたことで、同分岐部において同供給路６の切り替えができるので、例えば上記に説明した実施例１の場合のように、前記一室Ａおよび前記他室Ｂ毎に夫々連通させるように分岐した前記供給路６に、同供給路６を夫々開閉するために前記第一給気開閉ダンパ15a を複数設けるという必要がなくなる。
【００３６】
また同様に、前記排気切替ダンパ15f を前記排出路８の分岐部に設けたことで、同分岐部において同排出路８の切り替えができるので、例えば上記に説明した実施例１の場合のように、前記一室Ａおよび前記他室Ｂに夫々連通させるように分岐した前記排出路８に、同排出路８を夫々開閉するために前記第一排気開閉ダンパ15b を複数設けるという必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本発明による空調装置の第一の実施例を示す斜視図である。
【図２】本発明による空調装置の第二の実施例を示す斜視図である。
【図３】本発明による空調装置の第三の実施例を示す斜視図である。
【図４】従来技術による空調装置の要部説明図である。
【図５】従来技術による空調装置の一例を示す斜視図である。
【図６】従来技術による空調装置の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【００３８】
Ａ 一室
Ｂ 他室
１ 全熱交換素子
２ 給気ファン
３ 排気ファン
４ 熱交換ユニット
５ 吸気路
６ 供給路
８ 排出路
９ 排気路
15a 第一給気開閉ダンパ
15b 第一排気開閉ダンパ
15c 第二給気開閉ダンパ
15d 第二排気開閉ダンパ
15e 給気切替ダンパ
15f 排気切替ダンパ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、空調装置に関わり、より詳細には、温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された複数の吸気路や排出路を、これら吸気路や排出路に設けられた開閉手段で開閉したり、切替手段で切替えることにより、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気できるようにした構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の空調装置として、各部屋の大きさや使用条件に応じた換気能力を設定すると共に希望の換気量に自由に変化させることにより、室内環境を常に快適に維持することが出来ると共に換気装置の設置計画の自由度を高め、高気密および高断熱住宅など気密性が高く換気の不可欠な住宅に最適な住宅用熱交換式換気装置が開示されていた（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
熱交換ユニットと、各給気端末毎の給気ユニットとを組み合わせたことにより、従来では住宅用換気装置において殆んど考慮されていなかった各吹出口毎の細やかな風量調節ができるようになっており、また、喫煙時などの急速限定換気や多人数在室時の重点換気が可能となり、また、給気風量が個別に調整可能なため、快適性の向上・冷暖房機の負荷低減につながって、例えば給気吹出口の近くにいる場合、暑い／寒いを感じることがあるが好みの風量・風向に変更して改善をはかることができるようになっている。
【０００４】
しかしながら、例えばビル用の空調装置として、室温が異なる複数の部屋を熱交換および換気するような場合、一つの熱交換ユニットによって、互いに異なる室内温度の影響をうけることなく熱交換および換気を行なえるようには構成されていないことから、各部屋とも同じ温度で給気されるようになるため、各部屋の空調負荷を最適に軽減できることにはならず、部屋によっては、時として不快な温度で給気をすることになってしまうという問題点を有していた。
【０００５】
そこで、室温が異なる複数の部屋を熱交換および換気する際、図３および図５に示すように、例えば室温が２５℃に調節された一室Ａと、室温が５℃に調節された他室Ｂとに、全熱交換素子１と、給気ファン２および排気ファン３とを備えた熱交換ユニット４に、矢印ａのように外気を導入する吸気路５、および導入され熱交換された空気を矢印ｂのように複数の部屋ＡおよびＢに供給する供給路６からなる給気経路と、前記複数の部屋ＡおよびＢから矢印ｃのように空気を排出する排出路８、および排出され熱交換された空気を矢印ｄのように室外に排気する排気路９からなる排気経路とを備えた空調装置を夫々設置するようにしていた。
【０００６】
しかしながら、この場合は、前記熱交換ユニット４を部屋数に応じて設置するようにした構成であることから、初期投資によるコストが甚大になってしまうと共に、前記熱交換ユニット４には換気のためのダクトが夫々４本（吸気路５、供給路６、排出路８および排気路９）は必要となり、天井裏のダクトの配回しやスペースに制限ができたり、また、前記熱交換ユニット４一台に対し給排気用の孔を最低２ケ所づつ壁に貫通させなければならないことから、作業が大掛かりになってしまうという問題点を有していた。
【０００７】
そのため、図４および図５に示すように、全熱交換素子１と、給気ファン２および排気ファン３とを備えた熱交換ユニット４に、外気を吸入する吸気路５、および吸入され熱交換された空気を複数の部屋ＡおよびＢに供給する供給路６からなる給気経路と、例えば室温が２５℃に調節された一室Ａおよび室温が５℃に調節された他室Ｂから、空気を排出する排出路８、および排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路９からなる排気経路とを夫々備えた空調装置を設置するようにしていた。
【０００８】
この場合、前記熱交換ユニット４を部屋数に応じて設置しない構成であることから、初期投資によるコストを抑え、作業が大掛かりになってしまわないという効果を奏することになるが、例えば矢印ｃのように一室Ａから２５℃の空気が、他室Ｂからは５℃の空気が夫々排出され混合することにより１５℃の空気になって前記熱交換ユニット４に流入する一方、同熱交換ユニット４に０℃の外気が流入して１５℃の空気と熱交換したのち、室温２５℃の一室Ａおよび室温５℃の他室Ｂに対し、吸入され熱交換されて１０．５℃になった外気が矢印ｂのように前記供給路６によって供給され、排出され熱交換されて４．５℃になった一室Ａおよび他室Ｂの空気が、矢印ｄのように前記排気路９によって室外に排気される。
【０００９】
その際、熱交換されて１０．５℃になった外気が、室温２５℃の一室Ａおよび室温５℃の他室Ｂに供給されることになるが、この場合、室温が異なる一室Ａおよび他室Ｂに対し同じ温度に熱交換された外気が供給されることで、上述したように、各部屋の空調負荷を最適に軽減できることにはならず、また部屋によっては、時として不快な温度で供給をすることになってしまうという問題点を有していた。
【００１０】
【特許文献１】特開平８−１７８３８６公報（第１頁〜第６頁、第１図〜第２図）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は上記問題点に鑑み、温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された複数の吸気路や排出路を、これら吸気路や排出路に設けられた開閉手段で開閉したり、切替手段で切替えることにより、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気できるようにした空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は上記課題を解決するため、全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記分岐した供給路に、同供給路を開閉する給気開閉手段を設けると共に、前記分岐した排出路に、同排出路を開閉する排気開閉手段を設けてなる構成となっている。
【００１３】
また、全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記供給路の分岐部に、同供給路の流路を切替える給気切替手段を設けると共に、前記排出路の分岐部に、同排出路の流路を切替える排気切替手段を設けてなる構成となっている。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によれば、温度の異なる複数の部屋において、一つの熱交換ユニットに接続された複数の吸気路や排出路を、これら吸気路や排出路に設けられた開閉手段によって開閉するようにしたので、室温の影響を互いにうけることなく効果的に換気を行なえるようになると共に、初期投資によるコストを抑えることができるようになり、作業が大掛かりにならないように簡略化できるようにした空調装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図１は本発明による空調装置の第一の実施例を示す斜視図であり、図２は本発明による空調装置の第二の実施例を示す斜視図であり、図３は本発明による空調装置の第三の実施例を示す斜視図である。
【実施例１】
【００１６】
本発明による空調装置は、実施例１として図１に示すように、全熱交換素子１と、給気ファン２および排気ファン３とを備えた熱交換ユニット４に、外気を矢印ａのように導入する吸気路５、および導入され熱交換された空気を、室温の異なる複数の部屋ＡおよびＢ毎に矢印ｂのように分岐して給気する供給路６からなる給気経路と、前記複数の部屋ＡおよびＢ毎に分岐した排出路８から排出し、排出され熱交換された空気を室外に向けて矢印ｄのように排気する排気路９からなる排気経路とを備えてなる構成になっている。
【００１７】
なお、前記全熱交換素子１と、前記給気ファン２および前記排気ファン３とを備えた前記熱交換ユニット４についての説明は、図４に基づいて上記背景技術で説明した内容と重複するので省略する。
【００１８】
前記熱交換ユニット４は、前記一つの全熱交換素子１と、前記給気ファン２および前記排気ファン３とを備えると共に、前記吸気路５および前記分岐した供給路６からなる前記給気経路と、前記分岐した排出路８および前記排気路９からなる前記排気経路とを備えてなる構成によって、室温が互いに異なる一室Ａおよび他室Ｂの温度変化を抑えながら換気を行なえるようになっている。
【００１９】
前記熱交換ユニット４内の空気通路は、図１に示す矢印ａおよび矢印ｂのように、前記吸気路５から前記全熱交換素子１を流通して前記分岐した供給路６に連なる給気通路と、矢印ｃおよび矢印ｄのように、前記分岐した排出路８から前記全熱交換素子１を流通して前記排気路９に連なる排気通路とで構成され、互いに隣接した前記全熱交換素子１の空気流路を流通する外気と室内空気との間において熱交換が行なわれるようになっている。
【００２０】
これにより、給排気間で熱交換を行なうことによって、室内温度とできるだけ温度差のない外気を給気できるようにすることで、空調損失を抑え、室内の空調負荷を軽減できるようになり、部屋によっては、時として不快な温度で給気をすることになってしまうということがなくなり、且つ、前記一つの熱交換ユニット４を備えるようにしたことで、初期投資によるコストを抑え、作業が大掛かりにならないように簡略化した構成でなる空調装置となり、室温が互いに異なる一室Ａおよび他室Ｂに対応して快適な換気を行なえるようになる。
【００２１】
前記一室Ａおよび前記他室Ｂ毎に夫々連通させた前記分岐した供給路６には、同分岐した供給路６を夫々開閉する第一給気開閉ダンパ15a からなる給気開閉手段が設けられており、同第一給気開閉ダンパ15a を開閉することによって、前記一室Ａおよび前記他室Ｂに対し、またはその何れか一方に対して熱交換されて高められた外気を供給できるようになる。
【００２２】
また同様に、前記一室Ａおよび前記他室Ｂ毎に夫々連通させた前記分岐した排出路８には、同分岐した排出路８を夫々開閉する第一排気開閉ダンパ15b からなる排気開閉手段が設けられており、同第一排気開閉ダンパ15b を開閉することによって、前記一室Ａおよび前記他室Ｂから、またはその何れか一方から空気を排出して前記熱交換ユニット４で熱交換されたのち前記排気路９によって排気されるようになっている。
【００２３】
これにより、例えば前記一室Ａが暖房された居住用の広い部屋であって、前記他室Ｂが暖房されていない狭い機械室であるような場合、前記一室Ａのみ重点的に温度変化を抑えて換気を行なえるようになる。
【００２４】
また、前記第一給気開閉ダンパ15a および前記第一排気開閉ダンパ15b を適宜間欠的に切り替えるように開閉することにより、前記一室Ａと前記他室Ｂとを交互に換気できるようになる。
その際、前記第一給気開閉ダンパ15a および前記第一排気開閉ダンパ15b は、例えば長時間にわたって換気したい側の部屋に連なる前記給気路６および前記排出路８を長く開放すればよい。
【００２５】
なお、前記第一給気開閉ダンパ15a および前記第一排気開閉ダンパ15b を夫々全開にしたり、または一方を全開にし他方を半開にするなどにより、前記一室Ａと前記他室Ｂとを同時に熱交換および換気できるようにしてもよい。
【００２６】
次に、上記構成でなる空調装置により、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの異なる室温の影響を互いにうけることなく、前記一つの熱交換ユニット４によって、給排気間で効果的に行なわれる熱交換について説明する。
【００２７】
例えば、前記一室Ａの室温が２５℃、前記他室Ｂの室温が５℃であって、外気温度が０℃である場合、前記一室Ａからの排出路８を一方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって開放し、前記他室Ｂからの排出路８を他方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって閉塞することにより、前記吸気路５から吸入された０℃の外気は、前記熱交換ユニット４によって、前記一室Ａからの排出路８で排出された２５℃の空気と熱交換され、約１７．５℃の温度に高められて前記一室Ａに連通する前記給気通路によって給気される。
【００２８】
また、前記一室Ａからの排出路８を一方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって閉塞し、前記他室Ｂからの排出路８を他方の前記第一排気開閉ダンパ15b によって開放することにより、前記吸気路５から吸入された０℃の外気は、前記熱交換ユニット４によって、前記他室Ｂからの排出路８で排出された５℃の空気と熱交換され、約３．５℃の温度に熱交換されて前記他室Ｂに連通する前記給気通路によって給気される。
【００２９】
その際、前記一室Ａから排出された２５℃の空気は、前記吸気路５から吸入された０℃の外気と熱交換されて約７．５℃になったのちに前記排気路９によって排気され、前記他室Ｂから排出された５℃の空気は、前記吸気路５から吸入された０℃の外気と熱交換されて約１．５℃になったのちに前記排気路９によって排気される。
【００３０】
これによって、前記一室Ａには、２５℃の室温に対し０℃から約１７．５℃に高められた外気を給気できるようになり、前記他室Ｂには、５℃の室温に対し約３．５℃に熱交換された外気を給気できるようになり、前記一つの熱交換ユニット４によって、互いに室温の影響をうけることなく快適な換気を行なえるようになる。
【実施例２】
【００３１】
次に、実施例２として図２に示すように、第二給気開閉ダンパ15c からなる給気開閉手段が前記分岐した供給路６の吹出部に設けられ、第二排気開閉ダンパ15d からなる排気開閉手段が前記分岐した排出路８の吸込部に夫々設けられた場合に、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの異なる室温の影響を互いにうけることなく、前記一つの熱交換ユニット４によって、給排気間で効果的に行なわれる熱交換について説明する。
【００３２】
前記第二給気開閉ダンパ15c を前記分岐した供給路６の吹出部に設けたことで、同吹出部において同供給路６の開閉ができるので、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの室内側から、例えば手動によって容易に開閉可能になるため便利である。
【００３３】
また同様に、前記第二排気開閉ダンパ15d を前記分岐した排出路８の吸込部に設けたことで、同吸込部において同排出路８の開閉ができるので、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの室内側から、例えば手動によって容易に開閉可能になるため便利である。
【実施例３】
【００３４】
次に、実施例３として図３に示すように、給気切替ダンパ15e からなる給気切替手段が前記供給路６の分岐部に設けられ、排気切替ダンパ15f からなる排気切替手段が前記排出路８の分岐部に設けられた場合に、前記一室Ａおよび前記他室Ｂの異なる室温の影響を互いにうけることなく、前記一つの熱交換ユニット４によって、給排気間で効果的に行なわれる熱交換について説明する。
【００３５】
前記給気切替ダンパ15e を前記供給路６の分岐部に設けたことで、同分岐部において同供給路６の切り替えができるので、例えば上記に説明した実施例１の場合のように、前記一室Ａおよび前記他室Ｂ毎に夫々連通させるように分岐した前記供給路６に、同供給路６を夫々開閉するために前記第一給気開閉ダンパ15a を複数設けるという必要がなくなる。
【００３６】
また同様に、前記排気切替ダンパ15f を前記排出路８の分岐部に設けたことで、同分岐部において同排出路８の切り替えができるので、例えば上記に説明した実施例１の場合のように、前記一室Ａおよび前記他室Ｂに夫々連通させるように分岐した前記排出路８に、同排出路８を夫々開閉するために前記第一排気開閉ダンパ15b を複数設けるという必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本発明による空調装置の第一の実施例を示す斜視図である。
【図２】本発明による空調装置の第二の実施例を示す斜視図である。
【図３】本発明による空調装置の第三の実施例を示す斜視図である。
【図４】従来技術による空調装置の要部説明図である。
【図５】従来技術による空調装置の一例を示す斜視図である。
【図６】従来技術による空調装置の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【００３８】
Ａ 一室
Ｂ 他室
１ 全熱交換素子
２ 給気ファン
３ 排気ファン
４ 熱交換ユニット
５ 吸気路
６ 供給路
８ 排出路
９ 排気路
15a 第一給気開閉ダンパ
15b 第一排気開閉ダンパ
15c 第二給気開閉ダンパ
15d 第二排気開閉ダンパ
15e 給気切替ダンパ
15f 排気切替ダンパ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記分岐した供給路に、同供給路を開閉する給気開閉手段を設けると共に、前記分岐した排出路に、同排出路を開閉する排気開閉手段を設けてなることを特徴とする空調装置。
【請求項２】
全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記供給路の分岐部に、同供給路の流路を切替える給気切替手段を設けると共に、前記排出路の分岐部に、同排出路の流路を切替える排気切替手段を設けてなることを特徴とする空調装置。
【請求項１】
全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記分岐した供給路に、同供給路を開閉する給気開閉手段を設けると共に、前記分岐した排出路に、同排出路を開閉する排気開閉手段を設けてなることを特徴とする空調装置。
【請求項２】
全熱交換素子と、給気ファンおよび排気ファンとを備えた熱交換ユニットに、外気を吸入する吸気路および吸入され熱交換された空気を複数の部屋毎に分岐して供給する供給路からなる給気経路と、前記複数の部屋毎に分岐した排出路から排出され熱交換された空気を室外に排気する排気路からなる排気経路とを備え、
前記供給路の分岐部に、同供給路の流路を切替える給気切替手段を設けると共に、前記排出路の分岐部に、同排出路の流路を切替える排気切替手段を設けてなることを特徴とする空調装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−２０７９４１（Ｐ２００６−２０７９４１Ａ）
【公開日】平成１８年８月１０日（２００６．８．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２０８７１（Ｐ２００５−２０８７１）
【出願日】平成１７年１月２８日（２００５．１．２８）
【出願人】（０００００６６１１）株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【公開日】平成１８年８月１０日（２００６．８．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１月２８日（２００５．１．２８）
【出願人】（０００００６６１１）株式会社富士通ゼネラル (1,266)
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