空調装置
【課題】室内を十分に空調することが可能な空調装置を提供する。
【解決手段】実施例1の空調装置は、空調コア100を備えている。この空調コア100は、一面側が吸熱面又は放熱面となり、他面側が放熱面又は吸熱面となるペルチェ素子7と、ペルチェ素子7の一面7a側に設けられた一面側流路9と、他面7b側に設けられた他面側流路10とを有する。一面側流路9には、室内の空調を行う第1空調用空気が流通可能な配管17が接続されている。他面側流路10は互いに隣接する第1流路11及び第2流路13を有している。第1流路11には、熱交換媒体としての冷却水を流通可能な配管21が接続されている。第2流路13には、室内の空調を行う第2空調用空気が流通可能な配管29が接続されている。
【解決手段】実施例1の空調装置は、空調コア100を備えている。この空調コア100は、一面側が吸熱面又は放熱面となり、他面側が放熱面又は吸熱面となるペルチェ素子7と、ペルチェ素子7の一面7a側に設けられた一面側流路9と、他面7b側に設けられた他面側流路10とを有する。一面側流路9には、室内の空調を行う第1空調用空気が流通可能な配管17が接続されている。他面側流路10は互いに隣接する第1流路11及び第2流路13を有している。第1流路11には、熱交換媒体としての冷却水を流通可能な配管21が接続されている。第2流路13には、室内の空調を行う第2空調用空気が流通可能な配管29が接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の空調装置が開示されている。この空調装置は空調コアを備えている。空調コアは、一面側が吸熱面となり、他面側が放熱面となるペルチェ素子と、ペルチェ素子の一面側に設けられた一面側流路と、ペルチェ素子の他面側に設けられた他面側流路とを有している。一面側流路には、ファンを介して室内の空調を行う第1空調用空気を流通可能な第1空調通路が接続されている。また、他面側流路にも、ファンを介して室内の空調を行う第2空調用空気を流通可能な第2空調通路が接続されている。また、この空調装置には、第1空調通路と第2空調通路とを連通又は非連通とする開閉弁が設けられている。
【0003】
この空調装置では、空調コアにおいて、ペルチェ素子が一面側流路内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第2流路内の第2空調用空気に対して放熱を行う。このため、第1空調用空気は冷却され、第2空調用空気は加熱される。こうして、この空調装置では、第1空調用空気によって室内を冷房することが可能であるとともに、第2空調空気によって室内を暖房することが可能である。
【0004】
また、この空調装置では、開閉弁を開くことで、第1空調通路と第2空調通路とを連通させれば、冷却されて除湿された第1空調空気を第2空調空気によって再加熱、すなわち調温することができる。このため、この空調装置によれば、室内の温度を調節しつつ室内の除湿を行う除湿運転も行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−200877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の空調装置では、ペルチェ素子による吸熱及び放熱の対象、すなわち、熱移動の対象が空気に限定されている。このため、この空調装置では、空調コアにおいて、ペルチェ素子が移動させる熱量が小さいことから、第1空調用空気を好適に冷却し難く、かつ第2空調用空気を好適に加熱し難い。このため、この空調装置では、室内を十分に冷房又は暖房することができないことが懸念される。また、この空調装置では、同様の理由から、除湿運転時における室内の除湿能力も不十分となることが懸念される。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、室内を十分に空調することが可能な空調装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空調装置は、一面側及び他面側の一方が吸熱面となり、他方が放熱面となるペルチェ素子と、該一面側に設けられた一面側流路と、該他面側に設けられた他面側流路とを有する空調コアを備え、
該一面側流路には、室内の空調を行う第1空調用空気を流通可能な第1空調通路が接続され、
該他面側流路は相互間で熱移動可能に設けられた第1流路及び第2流路からなり、
該第1流路には、熱交換媒体としての液体を流通可能な液体通路が接続され、
該第2流路には、該室内の空調を行う第2空調用空気を流通可能な第2空調通路が接続されていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明の空調装置では、空調コアの第1流路に液体が存在すれば、液体は空気よりも熱容量が大きいため、ペルチェ素子の他面側が液体に対して移動させる熱量は、ペルチェ素子の他面側が空気に対して移動させる熱量と比べ、大きくなる。このため、ペルチェ素子の他面側がより大きな熱量で放熱又は吸熱を行うことができることから、ペルチェ素子の一面側もより大きな熱量で吸熱又は放熱を行うことができる。このため、この空調装置では、第1空調用空気によって好適に室内を冷房又は暖房することができる。
【0010】
また、第1流路の液体の熱は第2流路の第2空調用空気に伝達され、第2空調用空気はその熱によって除湿時に活用される。このため、この空調装置では、好適に室内を除湿することができる。
【0011】
したがって、本発明の空調装置によれば、室内を十分に空調することが可能となる。
【0012】
一面側流路は一面側に隣接して設けられても良く、一面側に伝熱が可能な熱伝達部材を介して設けられても良い。また、他面側流路は他面側に隣接して設けられても良く、他面側に熱伝達部材を介して設けられても良い。
【0013】
一面側流路及び第2流路の下流側は、それぞれ室内に開いても良く、連通した後に室内に開いても良い。一面側流路及び第2流路の下流側が連通した後に室内に開くのであれば、冷却された第1空調用空気を第2空調用空気によって再加熱し、室内を除湿することが可能となる。
【0014】
第1、2空調用空気は、それぞれ空調を行う室内の空気、すなわち内気であっても良く、室外の空気、すなわち外気であっても良い。第1、2空調用空気の双方が内気又は外気であっても良く、第1空調用空気及び第1空調用空気の一方を内気とし、他方を外気としても良い。
【0015】
熱交換媒体としての液体は、水や不凍液等を採用することができる。この水等は、ペルチェ素子による吸熱又は放熱のために専用に用いられる水等であっても良く、例えば、車両の空調装置としてこの空調装置を用いる場合には、エンジン等の冷却水等を利用しても良い。
【0016】
第1流路は大気開放弁を介して大気に連通していることが好ましい(請求項2)。この場合には、第1流路内に液体を充満させる状態だけでなく、第1流路内で液体の上方に空気を介在させる状態としたり、第1流路内に空気を充満させる状態としたりすることも可能となる。空気は液体に対して熱容量が小さいため、この空調装置では、第1流路内の液体を利用し、ペルチェ素子によって移動する熱量を多くする場合と、第1流路内の空気を利用し、ペルチェ素子によって移動する熱量を少なくする場合とを使い分けることが可能となる。大気開放弁の開度を調節することで、第1流路内の液体の量を調節し、第1流路側の熱容量を調節することが可能である。このため、この空調装置では、温度調節の幅を広くすることが可能となる。
【0017】
第2流路には、第2流路と第2空調通路とを連通又は非連通とする開閉弁が設けられていることが好ましい(請求項3)。この場合には、例えば、冷房運転及び暖房運転時に第2流路と第2空調通路とを非連通とし、除湿運転時に第2流路と第2空調通路とを連通させることが可能となる。このため、冷房運転時において第2空調用空気によって室内が温められたり、また暖房運転時において第2空調用空気によって室内が冷却されたりすることが生じない。このため、この空調装置では、室内をより好適に空調することが可能となる。
【0018】
開閉弁としては、開状態と閉状態とを切替可能な開閉弁に加えて、例えば、フラッパなどを採用することもできる。また、開度を調節可能とすれば、第2流路内を流通する第2空調用空気の流通量を調節することも可能である。
【0019】
第1流路及び第2流路は、第1流路が他面側に近く、第2流路が他面側から遠い位置で積層され得る(請求項4)。つまり、ペルチェ素子、第1流路及び第2流路が重畳的に配置される。この場合、ペルチェ素子は、第1流路内の液体又は空気に対して放熱又は吸熱を行うこととなる。これにより、第1流路内の液体又は空気は加熱又は冷却される。そして、この加熱又は冷却された第1流路内の液体又は空気によって、第2流路内の第2空調用空気が加熱又は冷却されることとなる。なお、他面側と第1流路との間や第1流路と第2流路との間に熱伝導部材が介在されていても良い。
【0020】
また、この場合、ペルチェ素子の一面側を下面とし、他面側を上面としておれば、第1流路内の液体は、ペルチェ素子の一面側で加熱されて上方に移動し、第2流路内の第2空調用空気に放熱して冷却されて下方に移動するため、対流を生じる。このため、第2流路内の第2空調用空気を加熱する際、第1流路内の液体の対流を利用して熱伝達を促進することができる。この場合には、第2空調用空気を効率よく加熱又は冷却することが可能となる。
【0021】
また、第1流路及び第2流路は、第1流路及び第2流路の一方が右側流路と左側流路とからなり得る。そして、第1流路及び第2流路の他方が右側流路と左側流路との間に挟持され得る(請求項5)。この場合には、第1流路内の液体又は空気と、第2流路内の第2空調用空気とが共にペルチェ素子による放熱又は吸熱によって加熱又は冷却されることとなる。
【0022】
例えば、第2流路が右側流路と左側流路とからなり、第1流路が右側流路と左側流路とに挟持された場合、右側流路内及び左側流路内を流通する第2空調用空気は、第1流路内を流通する液体又は空気によっても加熱又は冷却されることとなる。また例えば、第1流路が右側流路と左側流路とからなり、第2流路が右側流路と左側流路とに挟持された場合、第2流路内を流通する第2空調用空気は、右側流路及び左側流路内を流通する液体又は空気によっても加熱又は冷却されることとなる。なお、第1流路が右側流路と左側流路とに挟持される部分と、第2流路が右側流路と左側流路とに挟持される部分とが組み合わされて、他面側流路が構成されても良い。また、各流路間に熱伝導部材が介在されていても良い。
【0023】
一面側流路には第1空調用フィンが設けられ、第1流路には熱源側フィンが設けられ、第2流路には第2空調用フィンが設けられていることが好ましい(請求項6)。この場合には、それぞれのフィンによって、一面側流路及び第2流路内の各空調用空気や第1流路内の液体や空気がそれぞれ効率よく冷却又は加熱されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の空調装置を示す模式構造図である。
【図2】実施例1の空調装置に係り、コントローラ等の模式構造図である。
【図3】実施例1の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す部分拡大模式断面図である。
【図4】実施例1の空調装置に係り、冷房運転又は暖房運転時の空調コアを示す部分拡大模式断面図である。
【図5】実施例1の空調装置に係り、除湿運転時の空調コアを示す部分拡大模式断面図である。
【図6】実施例1の空調装置に係り、除湿運転時における第1流路内の対流の状態を示す部分拡大模式断面図である。
【図7】実施例2の空調装置を示す模式構造図である。
【図8】実施例2の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す斜視図である。
【図9】実施例2の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図10】実施例2の空調装置に係り、冷房運転又は暖房運転時の空調コアを示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図11】実施例2の空調装置に係り、除湿運転時の空調コアを示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図12】実施例2の空調装置に係り、除湿運転時における第1流路内の対流の状態を示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図13】実施例3の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’と同様の位置における矢視断面図である。
【図14】実施例4の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’と同様の位置における矢視断面図である。
【図15】実施例5の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’と同様の位置における矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
実施例1の空調装置は、車両に搭載されて車室内の空調を行う。この空調装置は、図1に示すように、空調コア100と、ラジエータ3と、第1空調通路としての配管17、19と、液体通路としての配管21、25、33、35と、第2空調通路としての配管29、31と、図2に示すコントローラ5とを備えている。コントローラ5は電源としてのバッテリ5aに接続されている。なお、図1等に示すように、この空調コア100では、紙面の上方から下方に向かって重力Gが作用する(後述の実施例2〜5も同様である)。
【0027】
図3に示すように、空調コア100は、ペルチェ素子7と、ペルチェ素子7の下面である一面7a側に設けられた一面側流路9と、他面7b側に設けられた他面側流路10とを有する。ペルチェ素子7は、一面7a及び他面7bを形成する絶縁基板8a、8bと、絶縁基板8aと絶縁基板8bとで挟持された複数の熱電変換素子8cとで構成されている。また、他面側流路10は相互間で熱移動が可能な第1流路11及び第2流路13とで構成されている。第2流路13内には、電動フラッパ15が設けられている。この電動フラッパ15及びペルチェ素子7は、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。
【0028】
図3に示すように、ペルチェ素子7、第1流路11及び第2流路13は重畳的に配置されている。第1流路11はペルチェ素子7に隣接し、第2流路13は第1流路11に隣接している。つまり、第2流路13は、第1流路11の上側に位置し、ペルチェ素子7から遠い位置となっている。また、一面側流路9には第1空調用フィン9aが設けられ、第1流路11には熱源側フィン11aが設けられ、第2流路13には第2空調用フィン13aがそれぞれ設けられている。これらの各フィン9a、11a、13aは、断面が波形状に形成されており、冷却水や空気が流れる方向に延びている。また、各フィン9a、11a、13aは、それぞれ一面側流路9、第1流路11及び第2流路13内を上端から下端にまで延びるように形成されている。なお、各フィン9a、11a、13aとして、例えば、断面が板状の放熱板を複数枚有するものを採用することもできる。
【0029】
一面側流路9は、上流側で配管17の一端側と接続している。配管17の他端側は図示しない車室内に開いており、配管17の他端側から車室内の空気である内気を空調装置内に供給可能となっている。空調装置内に供給された内気は、第1空調用空気として配管17内を流通可能となっている。また、一面側流路9は、下流側で配管19の一端側と接続している。配管19の他端側は図示しない車室側に開いている。この配管19の他端側には、図1に示すように、空調用ファン19aが設けられている。この空調用ファン19aは、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。なお、空調用ファン19aを配管17の他端側に設けても良い。
【0030】
第1流路11は、図3に示すように、上流側で配管21の一端側と接続している。配管21は他端側で後述する大気開放弁23と接続している。この配管21内には熱交換媒体としての冷却水又は空気が流通可能となっている。また、第1流路11は、下流側で配管25の一端側と接続している。配管25の他端側は図1に示す分岐弁27と接続している。この分岐弁27及び大気開放弁23は、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。
【0031】
第2流路13は、図3に示すように、上流側で配管29の一端側と接続している。この配管29は、図1に示すように、他端側で配管17と接続しており、空気取入口から空調装置内に取り入れられた空気が第2空調用空気として配管29内を流通可能となっている。第1流路13は、図3に示すように、下流側で配管31の一端側と接続している。配管31の他端側は、図1に示すように、配管19と接続している。
【0032】
大気開放弁23は内部に流路23aが形成されており、この流路23aに弁体23bが設けられている。この大気開放弁23は弁体23bを介して大気、すなわち空気と連通可能となっている。
【0033】
図1に示すように、ラジエータ3は流入口3a及び流出口3bを有している。このラジエータ3は、内部を冷却水が流通可能に構成されており、ラジエータ3内の冷却水と、ラジエータ3周りの空気との間で熱交換を行うことで冷却水を冷却又は加熱することが可能となっている。また、ラジエータ3の近傍にはラジエータ用ファン3cが設けられている。このラジエータ用ファン3cは、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。
【0034】
図1に示すように、ラジエータ3の流出口3bと大気開放弁23とは、配管33によって接続されている。また、ラジエータ3の流入口3aと分岐弁27とは、配管35によって接続されている。これらの配管33、35内には冷却水が流通している。また、配管35には電動ポンプP1が設けられている。この電動ポンプP1は、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。なお、電動ポンプP1を配管33側に設けることもできる。
【0035】
図1に示すように、分岐弁27には、さらに配管37の一端側が接続されている。この配管37の他端側は車室外に開いている。
【0036】
図2に示すように、コントローラ5は、ペルチェ素子7に通電する電力の強弱や方向等を適宜変更可能な制御装置として機能する他、電動フラッパ15や大気開放弁23等の制御を行う。バッテリ5aは、ペルチェ素子7等に対する電源として機能する。なお、コントローラ5及びバッテリ5aの構成は公知のものと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0037】
以上のように構成されたこの空調装置では、以下のように冷房運転、暖房運転及び除湿運転を行う。
【0038】
〈冷房運転〉
冷房運転時には、図2に示すコントローラ5が空調用ファン19aを作動させるとともに、分岐弁27を作動させて、図1に示す配管25と配管35とを連通させ、配管25、35と配管37とを非連通とさせる。さらに、コントローラ5は、図4に示すように、電動フラッパ15を閉じるとともに、大気開放弁23を制御し、配管21と配管33とを連通させる。そして、図2に示すコントローラ5は、電動ポンプP1及びラジエータ用ファン3cをそれぞれ作動させる。これにより、この空調装置では、図1に示す空調コア100とラジエータ3との間で冷却水が循環する。
【0039】
より詳細には、ラジエータ3の流出口3bから流出した冷却水は配管33、配管21、第1流路11、配管25、分岐弁27、配管35、電動ポンプP1の順で循環して流入口3aに至る。これにより、空調コア100では、第1流路11内を冷却水が図4に示す実線矢印方向で流通する。また、配管17を介して一面側流路9内に供給された第1空調用空気は同図中の破線矢印方向で流通する。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が吸熱面となり、他面7b側を放熱面となるように電流の向きを制御しつつ、ペルチェ素子7への給電を開始する。
【0040】
こうして、この空調装置では、ペルチェ素子7が一面側流路9内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第1流路11内の冷却水に対して放熱を行う。そして、冷却水は空気と比べて熱容量が大きいため、ペルチェ素子7の他面7b側が第1流路11内の冷却水に対して移動させる熱量は、ペルチェ素子7の他面7b側が空気に対して移動させる熱量と比べ、大きくなる。このため、ペルチェ素子7の他面7b側がより大きな熱量で放熱を行うことから、ペルチェ素子の一面7a側もより大きな熱量で吸熱を行うことができる。このため、この空調装置では、第1空調用空気を好適に冷却することが可能である。そして、この空調装置では、このように冷却された第1空調用空気を配管19から空調用ファン19aを介して車室内に供給することにより、車室内の冷房を行う。
【0041】
なお、第2空調用空気は第1流路11内の冷却水によって加熱されるが、電動フラッパ15が閉じられているため、この第2空調用空気は車室内には供給されない。また、ペルチェ素子7による放熱を受けて加熱された冷却水は、ラジエータ3内においてラジエータ3周りの空気との熱交換によって冷却される。
【0042】
〈暖房運転〉
暖房運転時も上記の冷房運転時と同じ状態として、空調コア100において、一面側流路9内には第1空調用空気を流通させ、第1流路11内に冷却水を流通させる。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が放熱面となり、他面7b側が吸熱面となるように電流の向きを制御しつつ、ペルチェ素子7への給電を開始する。
【0043】
これにより、第2流路13の第2空調用空気には、ペルチェ素子7の他面7b側が空気のみである場合と比較し、より大きな熱量で吸熱が行われる。また、ペルチェ素子7の他面7b側が大きな熱量で吸熱を行うことから、ペルチェ素子7の一面7a側もより大きな熱量で放熱を行うことができる。このため、この空調装置では、第1空調用空気を好適に加熱することが可能である。そして、この空調装置では、このように加熱された第1空調用空気を配管19から空調用ファン19aを介して車室内に供給することにより、車室内の暖房を行う。
【0044】
なお、第2空調用空気は第1流路11内の冷却水によって冷却されるが、電動フラッパ15が閉じられているため、この第2空調用空気は車室内には供給されない。また、ペルチェ素子7による吸熱を受けて冷却された冷却水は、ラジエータ3内においてラジエータ3周りの空気との熱交換によって加熱される。
【0045】
〈除湿運転〉
除湿運転時には、図2に示すコントローラ5が空調用ファン19aを作動させるとともに、分岐弁27を作動させて、図1に示す配管25と配管37とを連通し、配管25、37と配管35とを非連通とする。さらに、コントローラ5は、図5に示すように電動フラッパ15を開くとともに、大気開放弁23を制御し、配管21と配管33とを非連通とする。これにより、図5に示すように、弁体23bが流路23a内に沈下する。このため、流路23aと大気とが連通し、図5中の破線で示すように、配管21内に空気が充満する。
【0046】
こうして、空調コア100では、配管17を介して一面側流路9内に第1空調用空気が供給され、配管21を介して第1流路11内に空気が供給される。また、配管29を介して第2流路13内に第2空調用空気が供給され、第2流路13内を同図中の破線矢印方向に流通する。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が吸熱面となり、他面7b側が放熱面となるように電流の向きを制御しつつ、ペルチェ素子7への給電を開始する。
【0047】
これにより、空調コア100では、ペルチェ素子7が一面側流路9内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第1流路11内の空気に対して放熱を行なう。また、第1流路11内の加熱された空気から第2流路13の第2空調用空気への放熱が行われる。この際、第1流路11内の空気は上記の冷却水と比較して熱容量が小さいことから、第2空調用空気はさほど加熱されない。
【0048】
こうして、この空調装置では、冷却された第1空調用空気と好適に加熱された第2空調用空気とが配管19から空調用ファン19aを介して車室内に供給される。この際、配管19において、第1空調用空気と第2空調用空気とが混合される。このため、好適な温度に温調された湿度の低い空気によって、車室内が好適に除湿される。なお、第1流路11内の空気は配管37を介して車室外に放出される。
【0049】
また、この空調装置では、除湿運転時において、第1流路11内の冷却水に対してペルチェ素子7によって放熱を行うことも可能である。この場合には、上記の冷房運転時と同様、コントローラ5は、配管33と配管21とを連通し、配管25と配管27とを連通させる。また、制御装置は電動フラッパ15を開き、空調ファン19a、電動ポンプP1及びラジエータ用ファン3cをそれぞれ作動させる。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が吸熱面となり、他面7b側が放熱面となるように電流の向きを制御して、ペルチェ素子7に対する給電を行う。
【0050】
そして、第1流路11内が冷却水で満たされた後、コントローラ5が第1ポンプP1の作動を停止させる。これにより、この空調装置では、空調コア100とラジエータ3との間での冷却水の循環が停止され、第1流路11内の冷却水が流通しない状態となる。この状態において、ペルチェ素子7は、一面側流路9内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第1流路11内の冷却水に対して放熱を行う。これにより、第1空調用空気が冷却されるとともに、冷却水が加熱される。
【0051】
この際、加熱された冷却水が重力Gに抗して第1流路11内を上昇することから、図6中の破線矢印で示すように、第1流路11内において対流が生じる。上記のように、空調コア100において、第2流路13は第1流路11の上側に配置されていることから、この冷却水の対流を好適に利用でき、第2流路13内の第2空調用空気に対する第1流路9内の冷却水の熱伝達が促進される。このため、第2流路13内の第2空調用空気がより高い温度に加熱される。このため、この場合の除湿運転では、上記のような第1流路11内の空気を利用した場合と比較して、より高い温度で車室内が除湿することが可能となる。また、一面側流路9内の第1空調用空気は熱容量の大きい冷却水に放熱することから、除湿能力も比較的高くなっている。
【0052】
以上のように、この空調装置では、空調コア100において、ペルチェ素子15の一面7a側と他面7b側とにそれぞれ一面側流路9と第1流路11及び第2流路13とが設けられている。そして、第1流路11には、熱交換媒体として、空気よりも熱容量の大きい冷却水が流通可能となっている。このため、この空調装置では、好適に冷却された第1空調用空気によって室内を十分に冷房することが可能となるとともに、好適に加熱された第1空調空気によって室内を十分に暖房することが可能となっている。
【0053】
また、この空調装置では、上記のように、ペルチェ素子7の他面7b側に第1流路11に加えて第2流路13も設けられている。このため、この空調装置では、除湿運転時に、第1空調用空気と第2空調用空気とによって、車室内の温度を調節しつつ、十分にその室内の除湿を行うことが可能となっている。
【0054】
特に、この空調装置では、コントローラ5が大気開放弁23を制御することにより、第1流路9について、内部に冷却水を充満させる状態と、空気を充満させる状態とを切り替えることが可能となっている。このため、この空調装置では、除湿運転時において、第1流路11内の冷却水を利用し、ペルチェ素子7によって移動する熱量を多くする場合と、第1流路11内の空気を利用し、ペルチェ素子7によって移動する熱量を少なくする場合とを使い分けることが可能となっている。このため、この空調装置では、温度調節の幅を広くすることが可能となっている。
【0055】
したがって、この空調装置によれば、車室内を十分に空調することが可能である。
【0056】
また、この空調装置では、一面側流路9内には第1空調用フィン9aが設けられ、第1流路11には熱源側フィン11aが設けられ、第2流路13には第2空調用フィン13aが設けられている。このため、この空調装置ではそれぞれのフィン9a、11a、13aによって、一面側流路9及び第2流路13内の各空調用空気や第1流路9の冷却水や空気がそれぞれ効率よく冷却又は加熱されることとなる。
【0057】
(実施例2)
実施例2の空調装置は、図7、8に示すように、空調コア200を備えている。この空調コア200では、他面側流路10が第1流路39と、右側第2流路41と、左側第2流路43とで構成されている。第1流路39は、右側第2流路41と左側第2流路43との間に挟持されている。これらの右側第2流路41及び左側第2流路43は、それぞれの上流側で配管29の一端側と接続しており、また、それぞれの下流側で配管31の一端側と接続している。第1流路39は、上流側で配管21の一端側と接続し、下流側で配管25の一端側と接続している。
【0058】
図8に示すように、一面側流路9はペルチェ素子7の一面7a側に隣接しており、第1流路39、右側第2流路41及び左側第2流路43はペルチェ素子7の他面7b側にそれぞれ隣接している。また、右側第2流路41及び左側第2流路43のそれぞれ上流側には、図7に示すように、電動フラッパ15が設けられている。
【0059】
また、図9に示すように、一面側流路9には第1空調用フィン9aが設けられ、第1流路39には熱源側フィン39aが設けられている。また、右側第2流路41には第2空調用フィン41aが設けられており、左側第2流路43には第2空調用フィン43aがそれぞれ設けられている。これらの各フィン9a、39a、41a、43aは、断面が波形状に形成されている。なお、各フィン9a、39a、41a、43aについては、実施例1における空調コア100と同様、他の構成のフィンを採用することもできる。空調コア200の他の構成は実施例1における空調コア100と同様である。また、この空調装置の他の構成も実施例1の空調装置と同様であり、同一の構成に関しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0060】
この空調装置では、冷房運転時及び暖房運転時において、コントローラ5がペルチェ素子7や大気開放弁23等に対し、実施例1の空調装置における冷房運転及び暖房運転時と同様の制御(図4参照)を行う。これにより、空調コア200では、図10に示すように、一面側流路9に第1空調用空気が流通し、第1流路39内に冷却水が流通する。そして、冷房運転時には、ペルチェ素子7が第1空調用空気から吸熱を行うとともに、冷却水に対して放熱を行う。一方、暖房運転時には、ペルチェ素子7が第1空調用空気に対して放熱を行うとともに、冷却水から吸熱を行う。
【0061】
この空調コア200では、ペルチェ素子7の他面7b側に第1流路39、右側第2流路41及び左側第2流路43が配置されることから、第1流路39におけるペルチェ素子7の他面側に隣接する面、すなわち伝熱面の面積が小さくなっている。しかし、冷却水に対する熱伝達は空気と比較して大きいことから、熱源側フィン39aを介して好適に冷却水に対する吸熱又は放熱が行われる。このため、この空調コア200では、第1流路39における伝熱面の面積が小さくても、冷房運転時及び暖房運転時において、ペルチェ素子7が第1空調用空気を好適に冷却し又は加熱することが可能となっている。
【0062】
また、この空調装置における除湿運転時において、コントローラ5がペルチェ素子7や大気開放弁23等に対し、実施例1の空調装置における除湿運転時と同様の制御(図5参照)を行う。これにより、空調コア200では、図11に示すように、一面側流路9内に第1空調用空気が流通し、第1流路39内に空気が流通する。また、右側第2流路41及び左側第2流路43に第2空調用空気が流通する。そして、ペルチェ素子7が第1空調用空気から吸熱を行うとともに、第1流路39内の空気に対して放熱を行う。この際、ペルチェ素子7は、右側第2流路41及び左側第2流路43のそれぞれを流通する第2空調用空気に対しても放熱を行う。これにより、第2空調用空気が加熱される。さらに、第2空調用空気は第1流路11内の加熱された空気の熱によっても加熱されることとなる。このため、この空調コア200では効率よく第2空調用空気を加熱することが可能となっている。
【0063】
この空調装置においても、図12に示すように、除湿運転を行う際、第1流路39内の冷却水に対して放熱を行うことが可能となっている。この際、コントローラ5がペルチェ素子7や大気開放弁23等に対して行う制御は、実施例1の空調装置と同様である(図6参照)。この場合も、ペルチェ素子7の放熱により、右側第2流路41及び左側第2流路43の第2空調用空気は加熱される。さらに、第2空調用空気は第1流路39内の加熱された冷却水の熱によっても加熱されることとなる。このため、第2空調用空気は、第1流路39内の空気を利用した場合と比較して、より高い温度となる。他の作用効果は実施例1の空調装置と同様である。
【0064】
(実施例3)
実施例3の空調装置は、図13に示すように、空調コア300を備えている。この空調コア300では、他面側流路10が右側第2流路41と、左側第2流路43と、中央第2流路45と、右側第1流路47と、左側第1流路49とで構成されている。右側第1流路47は、右側第2流路41と中央第2流路45との間に挟持されており、左側第1流路49は、左側第2流路43と中央第2流路45との間に挟持されている。また、中央第2流路45は、右側第1流路47と左側第1流路49との間に挟持されている。
【0065】
これらの右側第2流路41、左側第2流路43及び中央第2流路45は、それぞれの上流側で配管29の一端側と接続しており、また、それぞれの下流側で配管31の一端側と接続している。また、右側第1流路47及び左側第1流路49は、それぞれの上流側で配管21の一端側と接続し、それぞれの下流側で配管25の一端側と接続している。
【0066】
中央第2流路45には、第2空調用フィン45aが設けられており、右側第1流路47及び左側第1流路49には、熱源側フィン47a、49aがそれぞれ設けられている。他の構成は実施例2の空調コア200及び空調装置と同様である。
【0067】
この空調装置における空調コア300でも、除湿運転時において右側第2流路41、左側第2流路43及び中央第2流路45内をそれぞれ流通する第2空調空気は、ペルチェ素子7の放熱によって加熱される。また、この際、右側第1流路47及び左側第2流路49内を流通し、ペルチェ素子7の放熱で加熱された空気又は冷却水によっても、右側第2流路41、左側第2流路43及び中央第2流路45内をそれぞれ流通する第2空調空気は加熱されることとなる。
【0068】
特に、中央第2流路45内を流通する第2空調用空気は、ペルチェ素子7と、右側第1流路47内を流通する空気又は冷却水と、左側第1流路49内を流通する空気又は冷却水とによって加熱されるため、右側第2流路41及び左側第2流路内を流通する第2空調用空気と比較して、より高い温度となる。他の作用効果は実施例2の空調装置と同様である。
【0069】
(実施例4)
実施例4の空調装置は、図14に示すように、空調コア400を備えている。この空調コア400では、二つのペルチェ素子7が互の他面7bを対向させつつ上下に配置され、各ペルチェ素子7の間、すなわち、各ペルチェ素子7の他面7b側には、他面側流路10が隣接している。この他面側流路10は、第1流路39と、右側第2流路41と、左側第2流路43とで構成されている。また、各ペルチェ素子の一面7a側には、それぞれ一面側流路9が隣接している。
【0070】
各一面側流路9には空調用フィン9aが設けられており、第1流路39には上下に熱源側フィン39aが設けられている。また、右側第2流路41には上下に第2空調用フィン41aが設けられており、左側第2流路43には上下に第2空調用フィン43aが設けられている。
【0071】
各一面側流路9は、それぞれの上流側で配管17の一端側と接続しており、また、それぞれの下流側で配管19の一端側と接続している。右側第2流路41及び左側第2流路43についても、同図中では図示を省略するが、それぞれ上流側で配管29の一端側と接続しており、それぞれの下流側で配管31との一端側と接続している。第1流路39についても同様に、上流側で配管21の一端側と接続しており、下流側で配管25の一端側と接続している。他の構成は実施例2の空調コア200及び空調装置と同様である。
【0072】
この空調装置における空調コア400では、一面側流路9が複数設けられているため、冷房運転又は暖房運転時において、各一面側流路9内を流通する第1空調用空気によって、より好適に車室内の冷房又は暖房することが可能となる。
【0073】
また、除湿運転時において、第1流路39内を流通する空気又は冷却水の他、右側第2流路41及び左側第2流路43内を流通する第2空調用空気は、各ペルチェ素子7によって上下方向から放熱を受けて加熱される。さらに、右側第2流路41及び左側第2流路43内を流通する第2空調用空気は、第1流路39内を流通する加熱された空気又は冷却水によっても一層加熱されることとなる。このため、この空調コア400を備えた空調装置では、除湿運転時に第2空調用空気をより高い温度に加熱することが可能となり、より高い温度で車室内の除湿を行うことが可能となる。他の作用効果は実施例2の空調装置と同様である。
【0074】
(実施例5)
実施例5の空調装置は、図15に示すように、空調コア500を備えている。この空調コア500は、実施例4の空調装置における空調コア400(図14参照)の構成を一部変更している。図15に示すように、空調コア500では、一面側流路9が右一面側流路51と左一面側流路53とで構成されており、各ペルチェ素子7の一面7a側に右一面側流路51と左一面側流路53とがそれぞれ隣接している。また、各ペルチェ素子7の一面7a側には、一面側第1流路55がそれぞれ隣接している。一面側第1流路55は、第1流路右一面側流路51と左一面側流路53との間に挟持されている。
【0075】
各右一面側流路51及び各左一面側流路53には、それぞれ空調用フィン51a、53aが設けられており、一面側第1流路55には熱源側フィン55aが設けられている。また、各右一面側流路51及び各左一面側流路53は、それぞれの上流側で配管17の一端側と接続しており、それぞれの下流側で配管19の一端側と接続している。一面側第1流路55は、上流側で配管21の一端側と接続しており、下流側で配管25の一端側と接続している。他の構成は実施例2、4の空調コア200、400及び空調装置と同様である。
【0076】
この空調装置における空調コア500では、冷房運転時又は暖房運転時において、各右一面側流路51及び各左一面側流路53内を流通する第1空調用空気が各ペルチェ素子7による吸熱又は放熱によって冷却又は加熱される。この際、各右一面側流路51及び各左一面側流路53によって挟持された一面側第1流路55内を流通する空気又は冷却水によっても、一面側流路51及び各左一面側流路53内を流通する第1空調用空気は、冷却又は加熱されることとなる。このため、この空調装置では、冷房運転又は暖房運転時において、より好適に車室内の冷房又は暖房することが可能となる。他の作用効果は実施例2、4の空調装置と同様である。
【0077】
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜5に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0078】
例えば、第1空調用空気及び第2空調用空気について、車室外の空気である外気を利用することもできる。また、例えば、第1空調用空気には内気を利用し、第2空調用空気には外気を利用する等、それぞれ内気と外気とを選択的に利用することもできる。
【0079】
また、大気解放弁23を設けずに空調装置を構成して、第1流路9、39、右側第1流路47、左側第1流路49、一面側第1流路55内に空気を流通させないこともできる。この場合には、配管21を設けず、第1流路9、39、右側第1流路47、左側第1流路49、一面側第1流路55のそれぞれと配管33とを接続させ、同様に、配管25、37及び分岐弁27及を設けず、右側第1流路47、左側第1流路49、一面側第1流路55のそれぞれと配管35とを接続させることが好ましい。これにより、空調装置の構成を簡略化することが可能になる。
【0080】
さらに、実施例2、3における空調コア200、300について、上下を反転させ、ペルチェ素子7の一面7a側がペルチェ素子7の他面7b側よりも上方に位置した状態で構成することも可能である。
【0081】
また、空調コア200〜500におけるペルチェ素子7について、右側第2流路41及び左側第2流路43と隣接する位置には熱電変換素子8cを設けずに構成することもできる。空調コア300にあっては、中央第2流路45と隣接する位置の熱電変換素子8cについても同様である。このような場合であっても、第1流路39、空調コア300では右側第1流路47及び左側第1流路49内を流通する空気又は冷却水によって、右側第2流路41及び左側第2流路43内を流通する第2空調用空気は加熱されることとなる。、空調コア300では、右側第1流路47及び左側第1流路49内を流通する空気又は冷却水によって、中央第2流路45内を流通する第2空気も同様に加熱されることとなる。
【0082】
さらに、ラジエータ3について、エンジンやモータ等の駆動装置の冷却を兼ねることもできる。この場合には、エンジンやモータ等の排熱によって冷却水を加熱することが可能となる。また、バッテリ5aについて、モータ等の電源を兼ねることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の空調装置は車両の空調装置の他、建物の空調装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
7a…一面
7b…他面
7…ペルチェ素子
9…一面側流路
11、39…第1流路
13…第2流路
100、200…空調コア
17、19、21、25、33、35、29、31…配管(17、19…第1空調通路、21、25、33、35…液体通路、29、31…第2空調通路)
23…大気開放弁
15…電動フラッパ(開閉弁)
41…右側第2流路(右側流路)
47…右側第1流路(右側流路)
43…左側第2流路(左側流路)
49…左側第1流路(左側流路)
9a、51a、53a…空調用フィン
11a、39a、47a、49a、55a…熱源側フィン
13a、41a、43a、45a…第2空調用フィン
【技術分野】
【0001】
本発明は空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の空調装置が開示されている。この空調装置は空調コアを備えている。空調コアは、一面側が吸熱面となり、他面側が放熱面となるペルチェ素子と、ペルチェ素子の一面側に設けられた一面側流路と、ペルチェ素子の他面側に設けられた他面側流路とを有している。一面側流路には、ファンを介して室内の空調を行う第1空調用空気を流通可能な第1空調通路が接続されている。また、他面側流路にも、ファンを介して室内の空調を行う第2空調用空気を流通可能な第2空調通路が接続されている。また、この空調装置には、第1空調通路と第2空調通路とを連通又は非連通とする開閉弁が設けられている。
【0003】
この空調装置では、空調コアにおいて、ペルチェ素子が一面側流路内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第2流路内の第2空調用空気に対して放熱を行う。このため、第1空調用空気は冷却され、第2空調用空気は加熱される。こうして、この空調装置では、第1空調用空気によって室内を冷房することが可能であるとともに、第2空調空気によって室内を暖房することが可能である。
【0004】
また、この空調装置では、開閉弁を開くことで、第1空調通路と第2空調通路とを連通させれば、冷却されて除湿された第1空調空気を第2空調空気によって再加熱、すなわち調温することができる。このため、この空調装置によれば、室内の温度を調節しつつ室内の除湿を行う除湿運転も行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−200877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の空調装置では、ペルチェ素子による吸熱及び放熱の対象、すなわち、熱移動の対象が空気に限定されている。このため、この空調装置では、空調コアにおいて、ペルチェ素子が移動させる熱量が小さいことから、第1空調用空気を好適に冷却し難く、かつ第2空調用空気を好適に加熱し難い。このため、この空調装置では、室内を十分に冷房又は暖房することができないことが懸念される。また、この空調装置では、同様の理由から、除湿運転時における室内の除湿能力も不十分となることが懸念される。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、室内を十分に空調することが可能な空調装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空調装置は、一面側及び他面側の一方が吸熱面となり、他方が放熱面となるペルチェ素子と、該一面側に設けられた一面側流路と、該他面側に設けられた他面側流路とを有する空調コアを備え、
該一面側流路には、室内の空調を行う第1空調用空気を流通可能な第1空調通路が接続され、
該他面側流路は相互間で熱移動可能に設けられた第1流路及び第2流路からなり、
該第1流路には、熱交換媒体としての液体を流通可能な液体通路が接続され、
該第2流路には、該室内の空調を行う第2空調用空気を流通可能な第2空調通路が接続されていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明の空調装置では、空調コアの第1流路に液体が存在すれば、液体は空気よりも熱容量が大きいため、ペルチェ素子の他面側が液体に対して移動させる熱量は、ペルチェ素子の他面側が空気に対して移動させる熱量と比べ、大きくなる。このため、ペルチェ素子の他面側がより大きな熱量で放熱又は吸熱を行うことができることから、ペルチェ素子の一面側もより大きな熱量で吸熱又は放熱を行うことができる。このため、この空調装置では、第1空調用空気によって好適に室内を冷房又は暖房することができる。
【0010】
また、第1流路の液体の熱は第2流路の第2空調用空気に伝達され、第2空調用空気はその熱によって除湿時に活用される。このため、この空調装置では、好適に室内を除湿することができる。
【0011】
したがって、本発明の空調装置によれば、室内を十分に空調することが可能となる。
【0012】
一面側流路は一面側に隣接して設けられても良く、一面側に伝熱が可能な熱伝達部材を介して設けられても良い。また、他面側流路は他面側に隣接して設けられても良く、他面側に熱伝達部材を介して設けられても良い。
【0013】
一面側流路及び第2流路の下流側は、それぞれ室内に開いても良く、連通した後に室内に開いても良い。一面側流路及び第2流路の下流側が連通した後に室内に開くのであれば、冷却された第1空調用空気を第2空調用空気によって再加熱し、室内を除湿することが可能となる。
【0014】
第1、2空調用空気は、それぞれ空調を行う室内の空気、すなわち内気であっても良く、室外の空気、すなわち外気であっても良い。第1、2空調用空気の双方が内気又は外気であっても良く、第1空調用空気及び第1空調用空気の一方を内気とし、他方を外気としても良い。
【0015】
熱交換媒体としての液体は、水や不凍液等を採用することができる。この水等は、ペルチェ素子による吸熱又は放熱のために専用に用いられる水等であっても良く、例えば、車両の空調装置としてこの空調装置を用いる場合には、エンジン等の冷却水等を利用しても良い。
【0016】
第1流路は大気開放弁を介して大気に連通していることが好ましい(請求項2)。この場合には、第1流路内に液体を充満させる状態だけでなく、第1流路内で液体の上方に空気を介在させる状態としたり、第1流路内に空気を充満させる状態としたりすることも可能となる。空気は液体に対して熱容量が小さいため、この空調装置では、第1流路内の液体を利用し、ペルチェ素子によって移動する熱量を多くする場合と、第1流路内の空気を利用し、ペルチェ素子によって移動する熱量を少なくする場合とを使い分けることが可能となる。大気開放弁の開度を調節することで、第1流路内の液体の量を調節し、第1流路側の熱容量を調節することが可能である。このため、この空調装置では、温度調節の幅を広くすることが可能となる。
【0017】
第2流路には、第2流路と第2空調通路とを連通又は非連通とする開閉弁が設けられていることが好ましい(請求項3)。この場合には、例えば、冷房運転及び暖房運転時に第2流路と第2空調通路とを非連通とし、除湿運転時に第2流路と第2空調通路とを連通させることが可能となる。このため、冷房運転時において第2空調用空気によって室内が温められたり、また暖房運転時において第2空調用空気によって室内が冷却されたりすることが生じない。このため、この空調装置では、室内をより好適に空調することが可能となる。
【0018】
開閉弁としては、開状態と閉状態とを切替可能な開閉弁に加えて、例えば、フラッパなどを採用することもできる。また、開度を調節可能とすれば、第2流路内を流通する第2空調用空気の流通量を調節することも可能である。
【0019】
第1流路及び第2流路は、第1流路が他面側に近く、第2流路が他面側から遠い位置で積層され得る(請求項4)。つまり、ペルチェ素子、第1流路及び第2流路が重畳的に配置される。この場合、ペルチェ素子は、第1流路内の液体又は空気に対して放熱又は吸熱を行うこととなる。これにより、第1流路内の液体又は空気は加熱又は冷却される。そして、この加熱又は冷却された第1流路内の液体又は空気によって、第2流路内の第2空調用空気が加熱又は冷却されることとなる。なお、他面側と第1流路との間や第1流路と第2流路との間に熱伝導部材が介在されていても良い。
【0020】
また、この場合、ペルチェ素子の一面側を下面とし、他面側を上面としておれば、第1流路内の液体は、ペルチェ素子の一面側で加熱されて上方に移動し、第2流路内の第2空調用空気に放熱して冷却されて下方に移動するため、対流を生じる。このため、第2流路内の第2空調用空気を加熱する際、第1流路内の液体の対流を利用して熱伝達を促進することができる。この場合には、第2空調用空気を効率よく加熱又は冷却することが可能となる。
【0021】
また、第1流路及び第2流路は、第1流路及び第2流路の一方が右側流路と左側流路とからなり得る。そして、第1流路及び第2流路の他方が右側流路と左側流路との間に挟持され得る(請求項5)。この場合には、第1流路内の液体又は空気と、第2流路内の第2空調用空気とが共にペルチェ素子による放熱又は吸熱によって加熱又は冷却されることとなる。
【0022】
例えば、第2流路が右側流路と左側流路とからなり、第1流路が右側流路と左側流路とに挟持された場合、右側流路内及び左側流路内を流通する第2空調用空気は、第1流路内を流通する液体又は空気によっても加熱又は冷却されることとなる。また例えば、第1流路が右側流路と左側流路とからなり、第2流路が右側流路と左側流路とに挟持された場合、第2流路内を流通する第2空調用空気は、右側流路及び左側流路内を流通する液体又は空気によっても加熱又は冷却されることとなる。なお、第1流路が右側流路と左側流路とに挟持される部分と、第2流路が右側流路と左側流路とに挟持される部分とが組み合わされて、他面側流路が構成されても良い。また、各流路間に熱伝導部材が介在されていても良い。
【0023】
一面側流路には第1空調用フィンが設けられ、第1流路には熱源側フィンが設けられ、第2流路には第2空調用フィンが設けられていることが好ましい(請求項6)。この場合には、それぞれのフィンによって、一面側流路及び第2流路内の各空調用空気や第1流路内の液体や空気がそれぞれ効率よく冷却又は加熱されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の空調装置を示す模式構造図である。
【図2】実施例1の空調装置に係り、コントローラ等の模式構造図である。
【図3】実施例1の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す部分拡大模式断面図である。
【図4】実施例1の空調装置に係り、冷房運転又は暖房運転時の空調コアを示す部分拡大模式断面図である。
【図5】実施例1の空調装置に係り、除湿運転時の空調コアを示す部分拡大模式断面図である。
【図6】実施例1の空調装置に係り、除湿運転時における第1流路内の対流の状態を示す部分拡大模式断面図である。
【図7】実施例2の空調装置を示す模式構造図である。
【図8】実施例2の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す斜視図である。
【図9】実施例2の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図10】実施例2の空調装置に係り、冷房運転又は暖房運転時の空調コアを示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図11】実施例2の空調装置に係り、除湿運転時の空調コアを示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図12】実施例2の空調装置に係り、除湿運転時における第1流路内の対流の状態を示す図7のA−A’矢視断面図である。
【図13】実施例3の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’と同様の位置における矢視断面図である。
【図14】実施例4の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’と同様の位置における矢視断面図である。
【図15】実施例5の空調装置に係り、停車時の空調コアを示す図7のA−A’と同様の位置における矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
実施例1の空調装置は、車両に搭載されて車室内の空調を行う。この空調装置は、図1に示すように、空調コア100と、ラジエータ3と、第1空調通路としての配管17、19と、液体通路としての配管21、25、33、35と、第2空調通路としての配管29、31と、図2に示すコントローラ5とを備えている。コントローラ5は電源としてのバッテリ5aに接続されている。なお、図1等に示すように、この空調コア100では、紙面の上方から下方に向かって重力Gが作用する(後述の実施例2〜5も同様である)。
【0027】
図3に示すように、空調コア100は、ペルチェ素子7と、ペルチェ素子7の下面である一面7a側に設けられた一面側流路9と、他面7b側に設けられた他面側流路10とを有する。ペルチェ素子7は、一面7a及び他面7bを形成する絶縁基板8a、8bと、絶縁基板8aと絶縁基板8bとで挟持された複数の熱電変換素子8cとで構成されている。また、他面側流路10は相互間で熱移動が可能な第1流路11及び第2流路13とで構成されている。第2流路13内には、電動フラッパ15が設けられている。この電動フラッパ15及びペルチェ素子7は、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。
【0028】
図3に示すように、ペルチェ素子7、第1流路11及び第2流路13は重畳的に配置されている。第1流路11はペルチェ素子7に隣接し、第2流路13は第1流路11に隣接している。つまり、第2流路13は、第1流路11の上側に位置し、ペルチェ素子7から遠い位置となっている。また、一面側流路9には第1空調用フィン9aが設けられ、第1流路11には熱源側フィン11aが設けられ、第2流路13には第2空調用フィン13aがそれぞれ設けられている。これらの各フィン9a、11a、13aは、断面が波形状に形成されており、冷却水や空気が流れる方向に延びている。また、各フィン9a、11a、13aは、それぞれ一面側流路9、第1流路11及び第2流路13内を上端から下端にまで延びるように形成されている。なお、各フィン9a、11a、13aとして、例えば、断面が板状の放熱板を複数枚有するものを採用することもできる。
【0029】
一面側流路9は、上流側で配管17の一端側と接続している。配管17の他端側は図示しない車室内に開いており、配管17の他端側から車室内の空気である内気を空調装置内に供給可能となっている。空調装置内に供給された内気は、第1空調用空気として配管17内を流通可能となっている。また、一面側流路9は、下流側で配管19の一端側と接続している。配管19の他端側は図示しない車室側に開いている。この配管19の他端側には、図1に示すように、空調用ファン19aが設けられている。この空調用ファン19aは、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。なお、空調用ファン19aを配管17の他端側に設けても良い。
【0030】
第1流路11は、図3に示すように、上流側で配管21の一端側と接続している。配管21は他端側で後述する大気開放弁23と接続している。この配管21内には熱交換媒体としての冷却水又は空気が流通可能となっている。また、第1流路11は、下流側で配管25の一端側と接続している。配管25の他端側は図1に示す分岐弁27と接続している。この分岐弁27及び大気開放弁23は、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。
【0031】
第2流路13は、図3に示すように、上流側で配管29の一端側と接続している。この配管29は、図1に示すように、他端側で配管17と接続しており、空気取入口から空調装置内に取り入れられた空気が第2空調用空気として配管29内を流通可能となっている。第1流路13は、図3に示すように、下流側で配管31の一端側と接続している。配管31の他端側は、図1に示すように、配管19と接続している。
【0032】
大気開放弁23は内部に流路23aが形成されており、この流路23aに弁体23bが設けられている。この大気開放弁23は弁体23bを介して大気、すなわち空気と連通可能となっている。
【0033】
図1に示すように、ラジエータ3は流入口3a及び流出口3bを有している。このラジエータ3は、内部を冷却水が流通可能に構成されており、ラジエータ3内の冷却水と、ラジエータ3周りの空気との間で熱交換を行うことで冷却水を冷却又は加熱することが可能となっている。また、ラジエータ3の近傍にはラジエータ用ファン3cが設けられている。このラジエータ用ファン3cは、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。
【0034】
図1に示すように、ラジエータ3の流出口3bと大気開放弁23とは、配管33によって接続されている。また、ラジエータ3の流入口3aと分岐弁27とは、配管35によって接続されている。これらの配管33、35内には冷却水が流通している。また、配管35には電動ポンプP1が設けられている。この電動ポンプP1は、図2に示すバッテリ5aに電気的に接続されている。なお、電動ポンプP1を配管33側に設けることもできる。
【0035】
図1に示すように、分岐弁27には、さらに配管37の一端側が接続されている。この配管37の他端側は車室外に開いている。
【0036】
図2に示すように、コントローラ5は、ペルチェ素子7に通電する電力の強弱や方向等を適宜変更可能な制御装置として機能する他、電動フラッパ15や大気開放弁23等の制御を行う。バッテリ5aは、ペルチェ素子7等に対する電源として機能する。なお、コントローラ5及びバッテリ5aの構成は公知のものと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0037】
以上のように構成されたこの空調装置では、以下のように冷房運転、暖房運転及び除湿運転を行う。
【0038】
〈冷房運転〉
冷房運転時には、図2に示すコントローラ5が空調用ファン19aを作動させるとともに、分岐弁27を作動させて、図1に示す配管25と配管35とを連通させ、配管25、35と配管37とを非連通とさせる。さらに、コントローラ5は、図4に示すように、電動フラッパ15を閉じるとともに、大気開放弁23を制御し、配管21と配管33とを連通させる。そして、図2に示すコントローラ5は、電動ポンプP1及びラジエータ用ファン3cをそれぞれ作動させる。これにより、この空調装置では、図1に示す空調コア100とラジエータ3との間で冷却水が循環する。
【0039】
より詳細には、ラジエータ3の流出口3bから流出した冷却水は配管33、配管21、第1流路11、配管25、分岐弁27、配管35、電動ポンプP1の順で循環して流入口3aに至る。これにより、空調コア100では、第1流路11内を冷却水が図4に示す実線矢印方向で流通する。また、配管17を介して一面側流路9内に供給された第1空調用空気は同図中の破線矢印方向で流通する。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が吸熱面となり、他面7b側を放熱面となるように電流の向きを制御しつつ、ペルチェ素子7への給電を開始する。
【0040】
こうして、この空調装置では、ペルチェ素子7が一面側流路9内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第1流路11内の冷却水に対して放熱を行う。そして、冷却水は空気と比べて熱容量が大きいため、ペルチェ素子7の他面7b側が第1流路11内の冷却水に対して移動させる熱量は、ペルチェ素子7の他面7b側が空気に対して移動させる熱量と比べ、大きくなる。このため、ペルチェ素子7の他面7b側がより大きな熱量で放熱を行うことから、ペルチェ素子の一面7a側もより大きな熱量で吸熱を行うことができる。このため、この空調装置では、第1空調用空気を好適に冷却することが可能である。そして、この空調装置では、このように冷却された第1空調用空気を配管19から空調用ファン19aを介して車室内に供給することにより、車室内の冷房を行う。
【0041】
なお、第2空調用空気は第1流路11内の冷却水によって加熱されるが、電動フラッパ15が閉じられているため、この第2空調用空気は車室内には供給されない。また、ペルチェ素子7による放熱を受けて加熱された冷却水は、ラジエータ3内においてラジエータ3周りの空気との熱交換によって冷却される。
【0042】
〈暖房運転〉
暖房運転時も上記の冷房運転時と同じ状態として、空調コア100において、一面側流路9内には第1空調用空気を流通させ、第1流路11内に冷却水を流通させる。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が放熱面となり、他面7b側が吸熱面となるように電流の向きを制御しつつ、ペルチェ素子7への給電を開始する。
【0043】
これにより、第2流路13の第2空調用空気には、ペルチェ素子7の他面7b側が空気のみである場合と比較し、より大きな熱量で吸熱が行われる。また、ペルチェ素子7の他面7b側が大きな熱量で吸熱を行うことから、ペルチェ素子7の一面7a側もより大きな熱量で放熱を行うことができる。このため、この空調装置では、第1空調用空気を好適に加熱することが可能である。そして、この空調装置では、このように加熱された第1空調用空気を配管19から空調用ファン19aを介して車室内に供給することにより、車室内の暖房を行う。
【0044】
なお、第2空調用空気は第1流路11内の冷却水によって冷却されるが、電動フラッパ15が閉じられているため、この第2空調用空気は車室内には供給されない。また、ペルチェ素子7による吸熱を受けて冷却された冷却水は、ラジエータ3内においてラジエータ3周りの空気との熱交換によって加熱される。
【0045】
〈除湿運転〉
除湿運転時には、図2に示すコントローラ5が空調用ファン19aを作動させるとともに、分岐弁27を作動させて、図1に示す配管25と配管37とを連通し、配管25、37と配管35とを非連通とする。さらに、コントローラ5は、図5に示すように電動フラッパ15を開くとともに、大気開放弁23を制御し、配管21と配管33とを非連通とする。これにより、図5に示すように、弁体23bが流路23a内に沈下する。このため、流路23aと大気とが連通し、図5中の破線で示すように、配管21内に空気が充満する。
【0046】
こうして、空調コア100では、配管17を介して一面側流路9内に第1空調用空気が供給され、配管21を介して第1流路11内に空気が供給される。また、配管29を介して第2流路13内に第2空調用空気が供給され、第2流路13内を同図中の破線矢印方向に流通する。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が吸熱面となり、他面7b側が放熱面となるように電流の向きを制御しつつ、ペルチェ素子7への給電を開始する。
【0047】
これにより、空調コア100では、ペルチェ素子7が一面側流路9内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第1流路11内の空気に対して放熱を行なう。また、第1流路11内の加熱された空気から第2流路13の第2空調用空気への放熱が行われる。この際、第1流路11内の空気は上記の冷却水と比較して熱容量が小さいことから、第2空調用空気はさほど加熱されない。
【0048】
こうして、この空調装置では、冷却された第1空調用空気と好適に加熱された第2空調用空気とが配管19から空調用ファン19aを介して車室内に供給される。この際、配管19において、第1空調用空気と第2空調用空気とが混合される。このため、好適な温度に温調された湿度の低い空気によって、車室内が好適に除湿される。なお、第1流路11内の空気は配管37を介して車室外に放出される。
【0049】
また、この空調装置では、除湿運転時において、第1流路11内の冷却水に対してペルチェ素子7によって放熱を行うことも可能である。この場合には、上記の冷房運転時と同様、コントローラ5は、配管33と配管21とを連通し、配管25と配管27とを連通させる。また、制御装置は電動フラッパ15を開き、空調ファン19a、電動ポンプP1及びラジエータ用ファン3cをそれぞれ作動させる。この状態において、コントローラ5は、ペルチェ素子7の一面7a側が吸熱面となり、他面7b側が放熱面となるように電流の向きを制御して、ペルチェ素子7に対する給電を行う。
【0050】
そして、第1流路11内が冷却水で満たされた後、コントローラ5が第1ポンプP1の作動を停止させる。これにより、この空調装置では、空調コア100とラジエータ3との間での冷却水の循環が停止され、第1流路11内の冷却水が流通しない状態となる。この状態において、ペルチェ素子7は、一面側流路9内の第1空調用空気に対して吸熱を行うとともに、第1流路11内の冷却水に対して放熱を行う。これにより、第1空調用空気が冷却されるとともに、冷却水が加熱される。
【0051】
この際、加熱された冷却水が重力Gに抗して第1流路11内を上昇することから、図6中の破線矢印で示すように、第1流路11内において対流が生じる。上記のように、空調コア100において、第2流路13は第1流路11の上側に配置されていることから、この冷却水の対流を好適に利用でき、第2流路13内の第2空調用空気に対する第1流路9内の冷却水の熱伝達が促進される。このため、第2流路13内の第2空調用空気がより高い温度に加熱される。このため、この場合の除湿運転では、上記のような第1流路11内の空気を利用した場合と比較して、より高い温度で車室内が除湿することが可能となる。また、一面側流路9内の第1空調用空気は熱容量の大きい冷却水に放熱することから、除湿能力も比較的高くなっている。
【0052】
以上のように、この空調装置では、空調コア100において、ペルチェ素子15の一面7a側と他面7b側とにそれぞれ一面側流路9と第1流路11及び第2流路13とが設けられている。そして、第1流路11には、熱交換媒体として、空気よりも熱容量の大きい冷却水が流通可能となっている。このため、この空調装置では、好適に冷却された第1空調用空気によって室内を十分に冷房することが可能となるとともに、好適に加熱された第1空調空気によって室内を十分に暖房することが可能となっている。
【0053】
また、この空調装置では、上記のように、ペルチェ素子7の他面7b側に第1流路11に加えて第2流路13も設けられている。このため、この空調装置では、除湿運転時に、第1空調用空気と第2空調用空気とによって、車室内の温度を調節しつつ、十分にその室内の除湿を行うことが可能となっている。
【0054】
特に、この空調装置では、コントローラ5が大気開放弁23を制御することにより、第1流路9について、内部に冷却水を充満させる状態と、空気を充満させる状態とを切り替えることが可能となっている。このため、この空調装置では、除湿運転時において、第1流路11内の冷却水を利用し、ペルチェ素子7によって移動する熱量を多くする場合と、第1流路11内の空気を利用し、ペルチェ素子7によって移動する熱量を少なくする場合とを使い分けることが可能となっている。このため、この空調装置では、温度調節の幅を広くすることが可能となっている。
【0055】
したがって、この空調装置によれば、車室内を十分に空調することが可能である。
【0056】
また、この空調装置では、一面側流路9内には第1空調用フィン9aが設けられ、第1流路11には熱源側フィン11aが設けられ、第2流路13には第2空調用フィン13aが設けられている。このため、この空調装置ではそれぞれのフィン9a、11a、13aによって、一面側流路9及び第2流路13内の各空調用空気や第1流路9の冷却水や空気がそれぞれ効率よく冷却又は加熱されることとなる。
【0057】
(実施例2)
実施例2の空調装置は、図7、8に示すように、空調コア200を備えている。この空調コア200では、他面側流路10が第1流路39と、右側第2流路41と、左側第2流路43とで構成されている。第1流路39は、右側第2流路41と左側第2流路43との間に挟持されている。これらの右側第2流路41及び左側第2流路43は、それぞれの上流側で配管29の一端側と接続しており、また、それぞれの下流側で配管31の一端側と接続している。第1流路39は、上流側で配管21の一端側と接続し、下流側で配管25の一端側と接続している。
【0058】
図8に示すように、一面側流路9はペルチェ素子7の一面7a側に隣接しており、第1流路39、右側第2流路41及び左側第2流路43はペルチェ素子7の他面7b側にそれぞれ隣接している。また、右側第2流路41及び左側第2流路43のそれぞれ上流側には、図7に示すように、電動フラッパ15が設けられている。
【0059】
また、図9に示すように、一面側流路9には第1空調用フィン9aが設けられ、第1流路39には熱源側フィン39aが設けられている。また、右側第2流路41には第2空調用フィン41aが設けられており、左側第2流路43には第2空調用フィン43aがそれぞれ設けられている。これらの各フィン9a、39a、41a、43aは、断面が波形状に形成されている。なお、各フィン9a、39a、41a、43aについては、実施例1における空調コア100と同様、他の構成のフィンを採用することもできる。空調コア200の他の構成は実施例1における空調コア100と同様である。また、この空調装置の他の構成も実施例1の空調装置と同様であり、同一の構成に関しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0060】
この空調装置では、冷房運転時及び暖房運転時において、コントローラ5がペルチェ素子7や大気開放弁23等に対し、実施例1の空調装置における冷房運転及び暖房運転時と同様の制御(図4参照)を行う。これにより、空調コア200では、図10に示すように、一面側流路9に第1空調用空気が流通し、第1流路39内に冷却水が流通する。そして、冷房運転時には、ペルチェ素子7が第1空調用空気から吸熱を行うとともに、冷却水に対して放熱を行う。一方、暖房運転時には、ペルチェ素子7が第1空調用空気に対して放熱を行うとともに、冷却水から吸熱を行う。
【0061】
この空調コア200では、ペルチェ素子7の他面7b側に第1流路39、右側第2流路41及び左側第2流路43が配置されることから、第1流路39におけるペルチェ素子7の他面側に隣接する面、すなわち伝熱面の面積が小さくなっている。しかし、冷却水に対する熱伝達は空気と比較して大きいことから、熱源側フィン39aを介して好適に冷却水に対する吸熱又は放熱が行われる。このため、この空調コア200では、第1流路39における伝熱面の面積が小さくても、冷房運転時及び暖房運転時において、ペルチェ素子7が第1空調用空気を好適に冷却し又は加熱することが可能となっている。
【0062】
また、この空調装置における除湿運転時において、コントローラ5がペルチェ素子7や大気開放弁23等に対し、実施例1の空調装置における除湿運転時と同様の制御(図5参照)を行う。これにより、空調コア200では、図11に示すように、一面側流路9内に第1空調用空気が流通し、第1流路39内に空気が流通する。また、右側第2流路41及び左側第2流路43に第2空調用空気が流通する。そして、ペルチェ素子7が第1空調用空気から吸熱を行うとともに、第1流路39内の空気に対して放熱を行う。この際、ペルチェ素子7は、右側第2流路41及び左側第2流路43のそれぞれを流通する第2空調用空気に対しても放熱を行う。これにより、第2空調用空気が加熱される。さらに、第2空調用空気は第1流路11内の加熱された空気の熱によっても加熱されることとなる。このため、この空調コア200では効率よく第2空調用空気を加熱することが可能となっている。
【0063】
この空調装置においても、図12に示すように、除湿運転を行う際、第1流路39内の冷却水に対して放熱を行うことが可能となっている。この際、コントローラ5がペルチェ素子7や大気開放弁23等に対して行う制御は、実施例1の空調装置と同様である(図6参照)。この場合も、ペルチェ素子7の放熱により、右側第2流路41及び左側第2流路43の第2空調用空気は加熱される。さらに、第2空調用空気は第1流路39内の加熱された冷却水の熱によっても加熱されることとなる。このため、第2空調用空気は、第1流路39内の空気を利用した場合と比較して、より高い温度となる。他の作用効果は実施例1の空調装置と同様である。
【0064】
(実施例3)
実施例3の空調装置は、図13に示すように、空調コア300を備えている。この空調コア300では、他面側流路10が右側第2流路41と、左側第2流路43と、中央第2流路45と、右側第1流路47と、左側第1流路49とで構成されている。右側第1流路47は、右側第2流路41と中央第2流路45との間に挟持されており、左側第1流路49は、左側第2流路43と中央第2流路45との間に挟持されている。また、中央第2流路45は、右側第1流路47と左側第1流路49との間に挟持されている。
【0065】
これらの右側第2流路41、左側第2流路43及び中央第2流路45は、それぞれの上流側で配管29の一端側と接続しており、また、それぞれの下流側で配管31の一端側と接続している。また、右側第1流路47及び左側第1流路49は、それぞれの上流側で配管21の一端側と接続し、それぞれの下流側で配管25の一端側と接続している。
【0066】
中央第2流路45には、第2空調用フィン45aが設けられており、右側第1流路47及び左側第1流路49には、熱源側フィン47a、49aがそれぞれ設けられている。他の構成は実施例2の空調コア200及び空調装置と同様である。
【0067】
この空調装置における空調コア300でも、除湿運転時において右側第2流路41、左側第2流路43及び中央第2流路45内をそれぞれ流通する第2空調空気は、ペルチェ素子7の放熱によって加熱される。また、この際、右側第1流路47及び左側第2流路49内を流通し、ペルチェ素子7の放熱で加熱された空気又は冷却水によっても、右側第2流路41、左側第2流路43及び中央第2流路45内をそれぞれ流通する第2空調空気は加熱されることとなる。
【0068】
特に、中央第2流路45内を流通する第2空調用空気は、ペルチェ素子7と、右側第1流路47内を流通する空気又は冷却水と、左側第1流路49内を流通する空気又は冷却水とによって加熱されるため、右側第2流路41及び左側第2流路内を流通する第2空調用空気と比較して、より高い温度となる。他の作用効果は実施例2の空調装置と同様である。
【0069】
(実施例4)
実施例4の空調装置は、図14に示すように、空調コア400を備えている。この空調コア400では、二つのペルチェ素子7が互の他面7bを対向させつつ上下に配置され、各ペルチェ素子7の間、すなわち、各ペルチェ素子7の他面7b側には、他面側流路10が隣接している。この他面側流路10は、第1流路39と、右側第2流路41と、左側第2流路43とで構成されている。また、各ペルチェ素子の一面7a側には、それぞれ一面側流路9が隣接している。
【0070】
各一面側流路9には空調用フィン9aが設けられており、第1流路39には上下に熱源側フィン39aが設けられている。また、右側第2流路41には上下に第2空調用フィン41aが設けられており、左側第2流路43には上下に第2空調用フィン43aが設けられている。
【0071】
各一面側流路9は、それぞれの上流側で配管17の一端側と接続しており、また、それぞれの下流側で配管19の一端側と接続している。右側第2流路41及び左側第2流路43についても、同図中では図示を省略するが、それぞれ上流側で配管29の一端側と接続しており、それぞれの下流側で配管31との一端側と接続している。第1流路39についても同様に、上流側で配管21の一端側と接続しており、下流側で配管25の一端側と接続している。他の構成は実施例2の空調コア200及び空調装置と同様である。
【0072】
この空調装置における空調コア400では、一面側流路9が複数設けられているため、冷房運転又は暖房運転時において、各一面側流路9内を流通する第1空調用空気によって、より好適に車室内の冷房又は暖房することが可能となる。
【0073】
また、除湿運転時において、第1流路39内を流通する空気又は冷却水の他、右側第2流路41及び左側第2流路43内を流通する第2空調用空気は、各ペルチェ素子7によって上下方向から放熱を受けて加熱される。さらに、右側第2流路41及び左側第2流路43内を流通する第2空調用空気は、第1流路39内を流通する加熱された空気又は冷却水によっても一層加熱されることとなる。このため、この空調コア400を備えた空調装置では、除湿運転時に第2空調用空気をより高い温度に加熱することが可能となり、より高い温度で車室内の除湿を行うことが可能となる。他の作用効果は実施例2の空調装置と同様である。
【0074】
(実施例5)
実施例5の空調装置は、図15に示すように、空調コア500を備えている。この空調コア500は、実施例4の空調装置における空調コア400(図14参照)の構成を一部変更している。図15に示すように、空調コア500では、一面側流路9が右一面側流路51と左一面側流路53とで構成されており、各ペルチェ素子7の一面7a側に右一面側流路51と左一面側流路53とがそれぞれ隣接している。また、各ペルチェ素子7の一面7a側には、一面側第1流路55がそれぞれ隣接している。一面側第1流路55は、第1流路右一面側流路51と左一面側流路53との間に挟持されている。
【0075】
各右一面側流路51及び各左一面側流路53には、それぞれ空調用フィン51a、53aが設けられており、一面側第1流路55には熱源側フィン55aが設けられている。また、各右一面側流路51及び各左一面側流路53は、それぞれの上流側で配管17の一端側と接続しており、それぞれの下流側で配管19の一端側と接続している。一面側第1流路55は、上流側で配管21の一端側と接続しており、下流側で配管25の一端側と接続している。他の構成は実施例2、4の空調コア200、400及び空調装置と同様である。
【0076】
この空調装置における空調コア500では、冷房運転時又は暖房運転時において、各右一面側流路51及び各左一面側流路53内を流通する第1空調用空気が各ペルチェ素子7による吸熱又は放熱によって冷却又は加熱される。この際、各右一面側流路51及び各左一面側流路53によって挟持された一面側第1流路55内を流通する空気又は冷却水によっても、一面側流路51及び各左一面側流路53内を流通する第1空調用空気は、冷却又は加熱されることとなる。このため、この空調装置では、冷房運転又は暖房運転時において、より好適に車室内の冷房又は暖房することが可能となる。他の作用効果は実施例2、4の空調装置と同様である。
【0077】
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜5に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0078】
例えば、第1空調用空気及び第2空調用空気について、車室外の空気である外気を利用することもできる。また、例えば、第1空調用空気には内気を利用し、第2空調用空気には外気を利用する等、それぞれ内気と外気とを選択的に利用することもできる。
【0079】
また、大気解放弁23を設けずに空調装置を構成して、第1流路9、39、右側第1流路47、左側第1流路49、一面側第1流路55内に空気を流通させないこともできる。この場合には、配管21を設けず、第1流路9、39、右側第1流路47、左側第1流路49、一面側第1流路55のそれぞれと配管33とを接続させ、同様に、配管25、37及び分岐弁27及を設けず、右側第1流路47、左側第1流路49、一面側第1流路55のそれぞれと配管35とを接続させることが好ましい。これにより、空調装置の構成を簡略化することが可能になる。
【0080】
さらに、実施例2、3における空調コア200、300について、上下を反転させ、ペルチェ素子7の一面7a側がペルチェ素子7の他面7b側よりも上方に位置した状態で構成することも可能である。
【0081】
また、空調コア200〜500におけるペルチェ素子7について、右側第2流路41及び左側第2流路43と隣接する位置には熱電変換素子8cを設けずに構成することもできる。空調コア300にあっては、中央第2流路45と隣接する位置の熱電変換素子8cについても同様である。このような場合であっても、第1流路39、空調コア300では右側第1流路47及び左側第1流路49内を流通する空気又は冷却水によって、右側第2流路41及び左側第2流路43内を流通する第2空調用空気は加熱されることとなる。、空調コア300では、右側第1流路47及び左側第1流路49内を流通する空気又は冷却水によって、中央第2流路45内を流通する第2空気も同様に加熱されることとなる。
【0082】
さらに、ラジエータ3について、エンジンやモータ等の駆動装置の冷却を兼ねることもできる。この場合には、エンジンやモータ等の排熱によって冷却水を加熱することが可能となる。また、バッテリ5aについて、モータ等の電源を兼ねることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の空調装置は車両の空調装置の他、建物の空調装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
7a…一面
7b…他面
7…ペルチェ素子
9…一面側流路
11、39…第1流路
13…第2流路
100、200…空調コア
17、19、21、25、33、35、29、31…配管(17、19…第1空調通路、21、25、33、35…液体通路、29、31…第2空調通路)
23…大気開放弁
15…電動フラッパ(開閉弁)
41…右側第2流路(右側流路)
47…右側第1流路(右側流路)
43…左側第2流路(左側流路)
49…左側第1流路(左側流路)
9a、51a、53a…空調用フィン
11a、39a、47a、49a、55a…熱源側フィン
13a、41a、43a、45a…第2空調用フィン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側及び他面側の一方が吸熱面となり、他方が放熱面となるペルチェ素子と、該一面側に設けられた一面側流路と、該他面側に設けられた他面側流路とを有する空調コアを備え、
該一面側流路には、室内の空調を行う第1空調用空気を流通可能な第1空調通路が接続され、
該他面側流路は相互間で熱移動可能に設けられた第1流路及び第2流路からなり、
該第1流路には、熱交換媒体としての液体を流通可能な液体通路が接続され、
該第2流路には、該室内の空調を行う第2空調用空気を流通可能な第2空調通路が接続されていることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記第1流路は大気開放弁を介して大気に連通している請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記第2流路には、該第2流路と前記第2空調通路とを連通又は非連通とする開閉弁が設けられている請求項1又は2記載の空調装置。
【請求項4】
前記第1流路及び前記第2流路は、該第1流路が前記他面側に近く、該第2流路が該他面側から遠い位置で積層されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の空調装置。
【請求項5】
前記第1流路及び前記第2流路は、該第1流路及び該第2流路の一方が右側流路と左側流路とからなり、該第1流路及び該第2流路の他方が該右側流路と該左側流路との間に挟持されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の空調装置。
【請求項6】
前記一面側流路には第1空調用フィンが設けられ、前記第1流路には熱源側フィンが設けられ、前記第2流路には第2空調用フィンが設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の空調装置。
【請求項1】
一面側及び他面側の一方が吸熱面となり、他方が放熱面となるペルチェ素子と、該一面側に設けられた一面側流路と、該他面側に設けられた他面側流路とを有する空調コアを備え、
該一面側流路には、室内の空調を行う第1空調用空気を流通可能な第1空調通路が接続され、
該他面側流路は相互間で熱移動可能に設けられた第1流路及び第2流路からなり、
該第1流路には、熱交換媒体としての液体を流通可能な液体通路が接続され、
該第2流路には、該室内の空調を行う第2空調用空気を流通可能な第2空調通路が接続されていることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記第1流路は大気開放弁を介して大気に連通している請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記第2流路には、該第2流路と前記第2空調通路とを連通又は非連通とする開閉弁が設けられている請求項1又は2記載の空調装置。
【請求項4】
前記第1流路及び前記第2流路は、該第1流路が前記他面側に近く、該第2流路が該他面側から遠い位置で積層されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の空調装置。
【請求項5】
前記第1流路及び前記第2流路は、該第1流路及び該第2流路の一方が右側流路と左側流路とからなり、該第1流路及び該第2流路の他方が該右側流路と該左側流路との間に挟持されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の空調装置。
【請求項6】
前記一面側流路には第1空調用フィンが設けられ、前記第1流路には熱源側フィンが設けられ、前記第2流路には第2空調用フィンが設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−112563(P2012−112563A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260849(P2010−260849)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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