説明

空調装置

【課題】タービンがコンプレッサを駆動する駆動力の低下や冷房能力の低下を招くことなく、効果的にタービン入口における空気の温度を上昇させる。
【解決手段】内部でエンジン抽気を断熱膨張させることにより駆動されるタービン3、及びこのタービンとともに回転しエンジン抽気を圧縮し、タービンに吐出するコンプレッサ4を結合したエアサイクルマシンACMと、コンプレッサの出口とタービンの入口とを連通するブートストラップ回路6と、タービンの出口3bと予圧室2とを接続する給気ライン中に設けられた水分離器11と、ブートストラップ回路中に配され、コンプレッサで圧縮し昇温させた空気を冷却する熱交換器8,9と、外気を2次熱交換器9に供給するためのラムエア通路10とを具備する空調装置において、外部の高温空気を利用してブートストラップ回路6を流通する空気の過冷却を抑制する3次熱交換器16をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機等に主に用いられる空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図4に示すように、航空機等に主に用いられる空調装置において、内部でエンジン抽気を断熱膨張させることにより駆動されるタービンa3及びこのタービンa3とともに回転しエンジンa1から抽出した抽気を圧縮し前記タービンa3に吐出するコンプレッサa4を結合したエアサイクルマシンaACMと、このエアサイクルマシンaACMにエンジン抽気を供給する抽気ラインa5と、前記コンプレッサa4の出口(以下、コンプレッサ出口a4aと称する)と前記タービンa3の入口(以下、タービン入口a3aと称する)とを連通するブートストラップ回路a6と、前記タービンa3の出口(以下、タービン出口a3bと称する)と予圧室a2とを接続する給気ラインa7と、この給気ラインa7に設けられ空気中の水分を取り除く水分離器a11と、前記コンプレッサa4に供給するエンジン抽気を外気(以下、ラムエアと称する)との熱交換により冷却する予冷却用熱交換器たる1次熱交換器a8と、前記ブートストラップa6回路中に配され前記コンプレッサa4で圧縮し昇温させた空気をラムエアとの熱交換により冷却する冷却用熱交換器たる2次熱交換器a9と、ラムエアを前記1次熱交換器a8及び2次熱交換器a9に供給するための外気通路たるラムエア通路a10とを具備する構成が広く採用されている。また、この空調装置aACは、タービン出口a3bにおける空気の温度を測定可能なタービン出口温度センサa12と、抽気ラインa5と給気ラインa7とを連通するアンチアイスラインa13と、このアンチアイスラインa13中に設けてなるアンチアイスバルブa14と、このアンチアイスバルブa14の開閉させる制御を行う制御装置a15とをさらに具備する。詳述すると、タービン出口温度センサa12は、タービン出口a3bの温度を示す信号aを制御装置a15に出力する。制御装置a15は、前記タービン出口温度センサa12から出力される信号aが示す空気の温度が所定温度以下である場合にアンチアイスバルブa14を開弁させるための信号pを出力し、その他の場合にはアンチアイスバルブa14を閉弁させるための信号pを出力する。(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような空調装置aACにおいて、タービン入口a3aにおける空気の温度が低い場合には、タービンa3内部で空気が断熱膨張する際に空気中の水分が氷結し、氷結した水分がタービン翼等に付着する結果、エアサイクルマシンaACMの運転状態が不安定となって故障するなどの不具合が発生しうる。このような不具合の発生を防止するために、2次熱交換器a9とタービンa3との間に空気の温度を上昇させるための過冷却抑制手段を設けることが考えられている。このような過冷却抑制手段の一例として、例えば以下に述べるようなものが考えられる。このものは、前記図4に示すように、コンプレッサa4と2次熱交換器a9との間に一端部を接続してなるとともに2次熱交換器a9とタービンa3との間に他端部を接続してなるバイパス流路a21と、このバイパス流路a21中に設けられるバイパス弁a22と、タービン入口a3aの空気の温度を測定可能なタービン入口温度センサa23とを備えている。そして、前記制御装置a15は、タービン入口温度センサa23からの信号bを受け付けこの信号bが示す温度が所定温度以下である場合に前記バイパス弁a21を開弁するための信号qを出力する。
【0004】
しかし、このような構成では、バイパス流路a21の上流側端部と下流側端部との間の差圧は2次熱交換器a9の圧力損失分のみであるので小さく、バイパス流路a21の流量を十分確保できないことがある。一方で、この差圧を大きくすべく、2次熱交換器a9とバイパス流路a21の下流側端部との間に絞りを設けると、タービン入口a3aに達する空気流量が低下することに伴うタービンa3がコンプレッサa4を駆動する駆動力の低下や、絞りを設けたことによるこの空調装置aACを通過する空気流量の低下に伴い、この空調装置aACの冷房能力が低下するという別の不都合が生じる。さらに、バイパス流路a21を通過する流量が大きくなると、2次熱交換器a9に導かれる空気の流量は小さくなるので、2次熱交換器a9を通過する空気の温度が大きく低下し、「タービン入口における空気の温度を上昇させる」効果が相殺されてしまうというさらに別の不都合も生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−44376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に着目し、タービンがコンプレッサを駆動する駆動力の低下や冷房能力の低下を招くことなく、効果的にタービン入口における空気の温度を上昇させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る空調装置は、内部でエンジン抽気を断熱膨張させることにより駆動されるタービン及びこのタービンとともに回転しエンジン抽気を圧縮し前記タービンに吐出するコンプレッサを結合したエアサイクルマシンと、前記コンプレッサの出口と前記タービンの入口とを連通するブートストラップ回路と、前記タービンの出口と予圧室とを接続する給気ライン中に設けられ空気中の水分を取り除く水分離器と、前記ブートストラップ回路中に配され前記コンプレッサで圧縮し昇温させた空気を外気との熱交換により冷却する冷却用熱交換器と、外気を前記冷却用熱交換器に供給するための外気通路とを具備する空調装置であって、外部の高温空気を利用して前記ブートストラップ回路内を流通する空気の過冷却を抑制する過冷却抑制手段をさらに具備することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、ブートストラップ回路中の冷却用熱交換器より上流部分の空気のみを利用してタービン入口における空気温度を上昇させる従来のものと比較して、外部の高温空気を直接利用してブートストラップ回路を流通する空気の過冷却を抑制することにより、タービンがコンプレッサを駆動する駆動力の低下や冷房能力の低下を招くことなく、効果的にタービン入口における空気の温度を上昇させることができる。
【0009】
このような空調装置の一例として、前記過冷却抑制手段が、前記冷却用熱交換器を通過した空気と外部の高温空気との熱交換を行う過冷却抑制用熱交換器であるものが挙げられる。このようなものであれば、前記冷却用熱交換器を通過した空気がさらに過冷却抑制用熱交換器を通過する際に、外部の高温空気との熱交換により温度が上昇するので、コンプレッサと冷却用熱交換器との間に一端部を接続してなるとともに冷却用熱交換器とタービンとの間に他端部を接続してなるバイパス流路を省略してもタービン入口における空気の温度を上昇させることができる。
【0010】
このような空調装置の他の一例として、前記過冷却抑制手段が、前記外気通路内に外部の高温空気を導入するための外部高温空気導入路と、タービン入口の空気の温度を測定可能なタービン入口温度センサと、前記外部高温空気導入路中に設けられ前記タービン入口温度センサが示す温度が所定温度を下回る場合に開弁し外気通路内への外部の高温空気の導入を許可する高温空気弁とを備えているものが挙げられる。このようなものであれば、タービン入口を通過する空気の温度が所定温度を下回る場合に高温空気弁が開弁して外気通路内へ外部の高温空気が導入されるので、熱交換器においてブートストラップ回路内の空気と熱交換を行う空気の温度が上昇することによりブートストラップ回路内の空気の過冷却を防止できる。従って、簡単な構成によりタービン入口における空気の温度を上昇させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タービンがコンプレッサを駆動する駆動力の低下や冷房能力の低下を招くことなく、効果的にタービン入口における空気の温度を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態に係る空調装置を概略的に示す図。
【図2】本発明の第二実施形態に係る空調装置を概略的に示す図。
【図3】本発明の第三実施形態に係る空調装置を概略的に示す図。
【図4】従来の空調装置を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一実施形態について、図1を参照しつつ以下に示す。
【0014】
本実施形態に係る空調装置AC1は、図1に概略図を示すように、エンジン1と与圧室2との間に設けられる。具体的には、この空調装置AC1は、内部でエンジン抽気を断熱膨張させることにより駆動されるタービン3及びこのタービン3とともに回転しエンジン1から抽出した抽気を圧縮し前記タービン3に吐出するコンプレッサ4を単軸結合したエアサイクルマシンACMと、このエアサイクルマシンACMにエンジン抽気を供給する抽気ライン5と、前記コンプレッサ4の出口(以下、コンプレッサ出口4aと称する)とタービン3の入口(以下、タービン入口3aと称する)とを連通するブートストラップ回路6と、前記タービン3の出口(以下、タービン出口3bと称する)と予圧室2とを接続する給気ライン7と、前記抽気ライン5中に設けられ外気との熱交換によりエンジン抽気を冷却する1次熱交換器8と、前記ブートストラップ回路6中に設けられコンプレッサ4で圧縮し昇温させた空気を外気との熱交換により冷却する2次熱交換器9と、外気を前記1次熱交換器8及び2次熱交換器9に供給する外気通路たるラムエア通路10と、前記給気ライン7に設けられ空気中の水分を取り除く水分離器11とを具備する。ここで、2次熱交換器9が請求項中の冷却用熱交換器である。
【0015】
また、この空調装置AC1は、タービン出口3bにおける空気の温度を測定可能なタービン出口温度センサ12と、抽気ライン5と給気ライン7とを連通するアンチアイスライン13と、このアンチアイスライン13中に設けてなるアンチアイスバルブ14と、このアンチアイスバルブ14の開閉させる制御を行う制御装置15と、ブートストラップ回路6を流通する空気の過冷却を抑制すべく前記2次熱交換器9を通過した空気と外部の高温空気、具体的にはアンチアイスライン13内を流通する空気との熱交換を行う過冷却抑制手段である過冷却抑制用熱交換器すなわち3次熱交換器16とをさらに具備する。詳述すると、タービン出口温度センサ12は、タービン出口3bの温度を示す信号aを制御装置15に出力する。制御装置15は、前記タービン出口温度センサ12から出力される信号aが示す空気の温度が所定温度以下である場合にアンチアイスバルブ14を開弁させるための信号pを出力し、その他の場合にはアンチアイスバルブ14を閉弁させるための信pを出力する。
【0016】
すなわち本実施形態においては、エンジン抽気は、まず抽気ライン5内を流通し、この抽気ライン5中に設けられた1次熱交換器8を通過する際にラムエア通路10を流通するラムエアと熱交換を行い冷却される。次いで、コンプレッサ4内で断熱圧縮されてコンプレッサ出口4aからブートストラップ回路6に導かれる。このブートストラップ回路6中に設けられた2次熱交換器9を通過する際に再度ラムエア通路10を流通するラムエアと熱交換を行い冷却される。その後、3次熱交換器16を通過し、タービン3内で断熱膨張して給気ライン7に導入される。ここで、タービン入口3aにおける空気の温度が低い場合には、タービン3内で空気が断熱膨張してその温度が氷点下に低下して空気中に含まれる水分が氷結し、氷結した水分がタービン3のタービン翼に付着することがあり得るが、この場合は、タービン出口温度センサ12の出力信号aが示すタービン出口3bにおける空気温度も所定温度を下回るので、制御装置15がアンチアイスバルブ14を開弁するための信号pを出力する制御を行う。このとき、アンチアイスライン13内を高温のエンジン抽気が流通し、3次熱交換器16を通過しタービン入口3aに達するブートストラップ回路6内の空気は加熱されることになる。
【0017】
以上に述べたように、本実施形態に係る空調装置AC1の構成によれば、少なくともタービン出口温度センサ12が示すタービン出口3bにおける空気温度が所定温度を下回る際に、3次熱交換器16にエンジン抽気を直接導入してブートストラップ回路6を流通する空気を加熱、すなわち空気の過冷却を抑制している。従って、コンプレッサ4と2次熱交換器9との間に一端部を接続してなるとともに2次熱交換器9とタービン3との間に他端部を接続してなるバイパス流路、及びこのバイパス流路の両端の差圧を大きくしバイパス通路の流量を確保するための絞りを設ける構成で生じる、タービン3がコンプレッサ4を駆動する駆動力の低下や冷房能力の低下といった不都合を招くことなく、効果的にタービン入口3aにおける空気の温度を上昇させることにより、氷結した水分がタービン3のタービン翼に付着することを防ぐことができる。
【0018】
次いで、本発明の第二実施形態について、図2を参照しつつ以下に示す。
【0019】
本実施形態に係る空調装置AC2は、以下の点を除いて、上述した第一実施形態に係る空調装置AC1と同一の構成を有する。なお、上述した第一実施形態に係る空調装置AC1におけるものに対応する部位には、同一の符号及び名称を付している。
【0020】
具体的には、この空調装置AC2は、第一実施形態に係る空調装置AC1におけるものに対応する各部に加えて、コンプレッサ4と2次熱交換器9との間に一端部を接続してなるとともに2次熱交換器9とタービン3との間に他端部を接続してなるバイパス流路21と、このバイパス流路21中に設けられるバイパス弁22と、タービン入口3aの空気温度を検知可能なタービン入口温度センサ23とをさらに有する。また、制御装置15は、タービン入口温度センサ23からの信号bを受け付けこの信号bが示すタービン入口3aの空気温度が所定温度を下回る場合に前記バイパス弁22を開弁させるための信号qを出力する制御をも行う。
【0021】
この実施形態においても、タービン3を通過する空気の温度が低い場合には3次熱交換器16を通過する空気がエンジン抽気と熱交換を行うことにより加熱されるので、バイパス流路21の両端の差圧を大きくすべく設けられる絞りを設けなくともタービン入口3aに達する空気の温度を高くしタービン3内での空気中の水分の氷結を防ぐことができるという効果が得られる。
【0022】
次いで、本発明の第三実施形態について、図3を参照しつつ以下に示す。
【0023】
本実施形態に係る空調装置AC3は、以下の点を除いて、上述した第二実施形態に係る空調装置AC2と同一の構成を有する。なお、上述した第二実施形態に係る空調装置AC2におけるものに対応する部位には、同一の符号及び名称を付している。
【0024】
具体的には、この空調装置AC3は、第二実施形態に係る空調装置AC2における3次熱交換器16に代えて、前記ラムエア通路10内に外部の高温空気、具体的にはエンジン抽気を導入するための外部高温空気導入路32と、タービン入口3aの排気の温度を測定可能なタービン入口温度センサ23と、前記外部高温空気導入路32中に設けられ前記タービン入口温度センサ23が示す温度が所定温度を下回る場合に開弁しラムエア通路10内への外部の高温空気の導入を許可する高温空気弁33とを有する過冷却抑制手段31を具備する。制御装置15は、タービン入口温度センサ23からの信号bを受け付けこの信号が示すタービン入口3aの空気温度が所定温度を下回る場合に前記高温空気弁33を開弁させるための信号rを出力する制御をも行う。
【0025】
また、この空調装置AC3は、上述した第二実施形態に係る空調装置AC2と同様に、コンプレッサ4と2次熱交換器9との間に一端部を接続してなるとともに2次熱交換器9とタービン3との間に他端部を接続してなるバイパス流路21と、このバイパス流路21中に設けられるバイパス弁22とをさらに有し、制御装置15は、タービン入口温度センサ23からの信号bを受け付けこの信号が示すタービン入口3aの空気温度が所定温度を下回る場合に前記バイパス弁22を開弁させるための信号qを出力する制御をも行う。但し、これらバイパス流路21及びバイパス弁22は省略してよい。
【0026】
すなわち本実施形態においては、エンジン抽気は、まず抽気ライン5内を流通し、この抽気ライン5中に設けられた1次熱交換器8を通過する際にラムエア通路10内を流通するラムエアと熱交換を行い冷却される。次いで、コンプレッサ4内で断熱圧縮されてコンプレッサ出口4aからブートストラップ回路6に導かれる。このブートストラップ回路6中に設けられた2次熱交換器9を通過する際に再度ラムエア通路10内を流通するラムエアと熱交換を行い冷却される。その後、タービン3内で断熱膨張して給気ライン7に導入される。ここで、タービン入口3aにおける空気の温度が低い場合には、制御装置15が高温空気弁33を開弁する制御を行う。このとき、ラムエア通路10に高温のエンジン抽気が導入されるので、1次熱交換器8及び2次熱交換器9においてブートストラップ回路6内を流通する空気と熱交換を行うラムエアの温度が上昇する。
【0027】
以上に述べたように、本実施形態によれば、少なくともタービン入口温度センサ23が示すタービン入口3aにおける空気温度が所定温度を下回る際に、高温空気弁33が開弁し、1次熱交換器8及び2次熱交換器9においてブートストラップ回路6内を流通する空気と熱交換を行う空気の温度が上昇するので、1次熱交換器8及び2次熱交換器9におけ空気の過冷却を防止でき、タービン3がコンプレッサ4を駆動する駆動力の低下や冷房能力の低下といった不都合を招くことなく、簡単な構成で効果的にタービン入口3aにおける空気の温度を上昇させることができる。
【0028】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0029】
例えば、上述した第一実施形態及び第二実施形態では、タービン出口の温度が所定温度以下である場合にアンチアイスバルブ14を開弁し、タービン出口3bの温度が所定温度を上回る場合にアンチアイスバルブを閉弁するようにしているが、全閉状態と全開状態との間で開度を連続的又は段階的に変更可能な弁をアンチアイスバルブ14として採用し、タービン出口3bの温度が第一の所定温度を下回る場合にアンチアイスバルブ14を開弁するとともにタービン出口3bの温度が第一の所定温度より高温側の第二の所定温度を上回る場合にアンチアイスバルブ14を閉弁し、タービン出口3bの温度が第一の所定温度を上回り第二の所定温度を下回る場合にはタービン出口3bの温度が低下するにつれアンチアイスバルブ14の開度を増大させる制御を行うようにしてもよい。
【0030】
また、上述した第三実施形態では、タービン入口3aの温度が所定温度以下である場合に高温空気弁33を開弁し、タービン入口3aの温度が所定温度を上回る場合に高温空気弁33を閉弁するようにしているが、全閉状態と全開状態との間で開度を連続的又は段階的に変更可能な弁を高温空気弁33として採用し、タービン入口3aの温度が第一の所定温度を下回る場合に高温空気弁33を開弁するとともにタービン入口3aの温度が第一の所定温度より高温側の第二の所定温度を上回る場合に高温空気弁33を閉弁し、タービン入口3aの温度が第一の所定温度を上回り第二の所定温度を下回る場合にはタービン出口の温度が低下するにつれ高温空気弁33の開度を増大させる制御を行うようにしてもよい。
【0031】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0032】
3…タービン
3a…タービン入口
3b…タービン出口
4…コンプレッサ
4a…コンプレッサ出口
6…ブートストラップ回路
7…給気ライン
9…2次熱交換器(冷却用熱交換器)
10…ラムエア通路(外気通路)
11…水分離器
12…タービン出口温度センサ
15…制御装置
16…3次熱交換器(過冷却抑制手段、過冷却抑制用熱交換器)
23…タービン入口温度センサ
31…過冷却抑制手段
32…外部高温空気導入路
33…高温空気弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でエンジン抽気を断熱膨張させることにより駆動されるタービン及びこのタービンとともに回転しエンジン抽気を圧縮し前記タービンに吐出するコンプレッサを結合したエアサイクルマシンと、前記コンプレッサの出口と前記タービンの入口とを連通するブートストラップ回路と、前記タービンの出口と予圧室とを接続する給気ライン中に設けられ空気中の水分を取り除く水分離器と、前記ブートストラップ回路中に配され前記コンプレッサで圧縮し昇温させた空気を外気との熱交換により冷却する冷却用熱交換器と、外気を前記冷却用熱交換器に供給するための外気通路とを具備する空調装置であって、外部の高温空気を利用して前記ブートストラップ回路内を流通する空気の過冷却を抑制する過冷却抑制手段をさらに具備することを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記過冷却抑制手段が、前記冷却用熱交換器を通過した空気と外部の高温空気との熱交換を行う過冷却抑制用熱交換器である請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記過冷却抑制手段が、前記外気通路内に外部の高温空気を導入するための外部高温空気導入路と、タービン入口の空気の温度を測定可能なタービン入口温度センサと、前記外部高温空気導入路中に設けられ前記タービン入口温度センサが示す温度が所定温度を下回る場合に開弁し外気通路内への外部の高温空気の導入を許可する高温空気弁とを備えている請求項1記載の空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255613(P2012−255613A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129567(P2011−129567)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】