説明

空調装置

【目的】 空調対象域で換気面での快適性の向上を図りながら外気条件に応じた正確な必要立ち上げ時間を容易に、かつ合理的な検出形態で得る。
【構成】 空調対象域2への給気SAの空気状態を調整する手段5,6,7及び給気SA、又は対象域2、還気RAの空気状態の検出手段13,14を設け、検出手段13,14による検出空気状態ts,trに基づき調整手段5,6,7の出力を調整する定常運転と、この定常運転に先立って調整手段5,6,7を所定の立ち上げ出力で運転する立ち上げ運転とに、切り換え手段をもち、調整手段5,6,7を停止状態で外気OAを給気SAとして供給し、かつ還気RAを屋外へ排気する換気運転可能に構成、換気運転時には検出手段13,14の検出空気状態to,trと対象域2の目標空気状態tii,trrとに基づき換気運転後の立ち上げ運転で対象域を目標値にするまでの必要時間算出の演算手段を有す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空調対象域へ供給する給気の空気状態を調整する調整手段、及び、給気の空気状態、又は、前記空調対象域の空気状態、又は、前記空調対象域からの還気の空気状態を検出する検出手段を設け、前記検出手段による検出空気状態に基づき前記調整手段の出力を調整する定常運転と、この定常運転の実施に先立って前記調整手段を所定の立ち上げ出力で運転する立ち上げ運転とに、運転状態を切り換える切り換え手段を設けた空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記空調装置の立ち上げ運転において、空調対象域の空気状態を所定の目標空気状態にまで立ち上げるのに要する時間は外気条件の違いによって大きく変化するが、従来、オフィスや作業場における就業開始時刻等を定常運転の開始予定時刻として、その定常運転開始予定時刻に丁度、立ち上げ運転を完了させるように立ち上げ運転の開始時刻を決定する場合、運転管理者が外気条件に基づき必要立ち上げ時間を経験的に判断していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、運転管理者が外気条件の観察に基づき必要立ち上げ時間を一々判断するのは面倒な作業であった。
【0004】そこで、過去の蓄積データから過去における同時期(同季節や同月、あるいは、同月日)の平均的な必要立ち上げ時間を読み取らせて、この必要立ち上げ時間だけ定常運転開始予定時刻よりも以前に立ち上げ運転を自動的に開始させるといったことも考えられるが、このように過去における同時期の平均的な必要立ち上げ時間を採用する場合では、日々の天候による外気条件の違いに起因する大きな時間誤差を生じる。
【0005】そして、この日々の天候による大きな時間誤差のため、立ち上げ運転の完了が定常運転開始予定時刻よりも大きく遅れて、前記の如く就業開始時刻を定常運転開始予定時刻とする場合等では、未だ域内空気状態が充分に調整されていない状態から就業を開始しなければならなくなったり、又、立ち上げ運転が定常運転開始予定時刻よりもかなり以前の時刻に完了してしまって、その立ち上げ完了時点から定常運転開始時刻に至るまでにおける域内の空気状態維持に動力を浪費するといった問題が生じる。
【0006】殊に、このような時間誤差に起因する立ち上げ運転完了の遅れを回避するために、過去のデータからの読み取り時間に対し常に所定の余裕時間を加えた時間を必要立ち上げ時間として採用する場合では、天候による大きな時間誤差を見込んだ大きな余裕時間を設定する必要があるため、定常運転開始予定時刻よりも大巾に早い時刻に立ち上げが完了してしまうといったことが頻繁に生じるようになって、上記の動力浪費の問題が一層顕著となる。
【0007】本発明の目的は、換気面での快適性の向上を図りながら、必要立ち上げ時間を容易、かつ、正確に得られるようにする点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による空調装置の第1の特徴構成は、空調対象域へ供給する給気の空気状態を調整する調整手段、及び、給気の空気状態、又は、前記空調対象域の空気状態、又は、前記空調対象域からの還気の空気状態を検出する検出手段を設け、前記検出手段による検出空気状態に基づき前記調整手段の出力を調整する定常運転と、この定常運転の実施に先立って前記調整手段を所定の立ち上げ出力で運転する立ち上げ運転とに、運転状態を切り換える切り換え手段を設けた構成において、前記調整手段を停止した状態で、外気を給気として前記空調対象域へ供給し、かつ、前記空調対象域からの還気を屋外へ排気する換気運転を可能に構成し、この換気運転の実施時における前記検出手段の検出空気状態と前記空調対象域の目標空気状態とに基づいて、この換気運転後の立ち上げ運転で前記空調対象域の空気状態を目標空気状態に調整するまでに要する必要立ち上げ時間を算出する演算手段を設けたことにあり、その作用・効果は次の通りである。
【0009】
【作用】つまり、定常運転の際に用いる上記検出手段が、給気の空気状態を検出対象とするもの、あるいは、空調対象域の空気状態を検出対象とするもの、あるいは、空調対象域からの還気の空気状態を検出対象とするもののいずれであるにしても、上記の換気運転においては調整手段を停止した状態で、外気を給気として空調対象域へ供給し、かつ、空調対象域からの還気を屋外へ排気するから、この換気運転の実施時において上記検出手段により外気の状態を検出できる。
【0010】従って、換気運転の実施時における検出手段の検出空気状態と空調対象域の目標空気状態とに基づき、その換気運転後における立ち上げ運転の必要立ち上げ時間を算出する上記の演算手段では、必要立ち上げ時間が外気条件によって大きく変化することにかかわらず、その時の外気条件に応じた必要立ち上げ時間を正確に算出できる。
【0011】又、立ち上げ運転に先立つ上記の換気運転の実施により、前回の空調運転終了後から域内に残存するよどんだ空気や空調運転停止期間中における域内の発生臭気等を除去するとともに、空調対象域に対し充分な新鮮外気供給を施して、空調対象域を新鮮域に再生できる。
【0012】
【発明の効果】以上、作用の結果、本発明の第1特徴構成によれば、空調対象域を通常運転開始に先立って新鮮域に再生できることで換気面での快適性の向上を達成しながら、必要立ち上げ時間を容易かつ正確に得ることができて、立ち上げ運転を運転管理者の面倒な判断作業を必要とすることなく定常運転開始予定時刻に精度良く完了できるようになる。
【0013】そして、このように立ち上げ運転を定常運転の開始予定時刻に精度良く完了できることから、オフィスや作業場において未だ域内空気状態が充分に調整されていない状態から就業を開始しなければならなくなったり、又、必要以上に早い時刻に立ち上げ運転を完了してしまって、その後、定常運転開始予定時刻までの域内空気状態維持に多大の動力浪費を招くといった事態を回避し得るに至った。
【0014】ちなみに、必要立ち上げ時間を正確に判定するのに、別法として、外気状態を検出する専用の外気検出手段を別途装備して、この外気検出手段の検出情報に基づき必要立ち上げ時間を演算するといったことも考えられるが、本発明の第1特徴構成においては、給気の空気状態や空調対象域の空気状態、あるいは換気の空気状態を検出対象として定常運転の際に用いる本来装備の検出手段を、立ち上げ運転に先立つ換気運転の実施により換気面での快適性の向上を合わせ図りながら外気状態の検出に兼用利用するから、上記の別法の如く専用の外気検出手段を別途付加装備するに比べ、制御構成を簡略にできて装置コストを安価にできる。
【0015】〔本発明の第2特徴構成〕本発明による空調装置の第2の特徴構成は、定常運転開始予定時刻よりも所定時間以前に前記換気運転を自動的に実施し、かつ、この換気運転において前記演算手段により算出される必要立ち上げ時間だけ定常運転開始予定時刻よりも早い時刻に立ち上げ運転を自動的に開始するタイマ手段を設けたことにある。
【0016】つまり、この第2特徴構成を採用すれば、定常運転開始予定時刻の設定操作だけで、あるいは、換気運転開始時刻と定常運転開始予定時刻の設定操作だけで、定常運転の開始予定時刻には空調対象域の新鮮域への再生を既に完了した状態で、その定常運転開始予定時刻に立ち上げ運転を精度良く完了できる。
【0017】
【実施例】次に実施例を説明する。
【0018】図1において1はパッケージ型の空調機を示し、複数の対象室2aから成る空調対象域2からの還気RAを導く還気路3を機内において循環用還気路3aと排気用還気路3bとに分岐し、又、屋外から外気OAを導く外気路4を機内において換気用外気路4aと熱源用外気路4bとに分岐してある。
【0019】そして、循環用還気路3aと換気用外気路4aとを合流させて、除湿用熱交換器5、温調用熱交換器6及び加湿器7をその順に介し空調対象域2への給気路8に接続し、又、排気用還気路3bと熱源用外気路4bとを合流させて、熱源用熱交換器9を介し屋外への排気路10に接続してある。
【0020】D1〜D4は夫々、風路切り換え用のダンパであり、これらダンパD1〜D4の開閉操作により風路状態を下記(イ)〜(ハ)の3状態に切り換えるようにしてある。
【0021】(イ)外気路4からの外気OAの全量を換気用外気路4aを介して給気路8に導き、かつ、還気路3からの還気RAの全量を排気用還気路3bを介して排気路10に導く全外気風路状態。
【0022】(ロ)外気路4からの外気OAの全量を熱源用外気路4bを介して排気路10に導き、かつ、還気路3からの還気RAの全量を循環用還気路3aを介して給気路8に導く全循環風路状態。
(ニ)外気路4から換気用外気路4aへ導く外気OAの一部と還気路3から循環用還気路3aへ導く還気RAの一部とを合流させて、その合流気を給気路8に導き、かつ、外気路4から熱源用外気路4bへ導く外気OAの残部と還気路3から排気用還気路3bへ導く還気RAの残部とを合流させて、その合流気を排気路10に導く一部換気循環風路状態。
【0023】除湿用熱交換器5、温調用熱交換器6、及び、熱源用熱交換器9は夫々、冷媒蒸発器や冷媒凝縮器として機能し圧縮機や膨張弁とともにヒートポンプを構成する。
【0024】11は給気ファン、12は排気ファンであり、又、13は給気SAの温度tsを検出する給気温センサ、14は還気RAの湿度rを検出する湿度センサ、15は空調機1の運転制御を司る制御器である。
【0025】一方、空調対象域2側において、16は各対象室2aの室温tiを検出する室温センサ、17は室温センサ16の検出室温に基づき各対象室2aへの給気量を調整して各対象室2aの室温tiを目標室温tiiに調整する変風量装置である。
【0026】次に制御器15による運転制御形態を図2に基づいて説明する。
【0027】前日の空調運転停止の後、次の日の換気運転開始時刻T1(後述の室使用開始時刻T2よりも所定の立ち上げ見込み時間だけ早い時刻、例えば、T2=AM9:00に設定されるのに対してT1=AM8:00)になると、全外気風路状態で給気ファン11及び排気ファン12を運転する換気運転を所定時間ΔTaだけ実施する。
【0028】この換気運転により、前日から各対象室2aに残存するよどみ空気や空調運転停止中の室内発生臭気を除去するとともに、各対象室2aに新鮮外気OAを供給して、各対象室2aを新鮮域に再生する。
【0029】又、この換気運転の実施時に、給気温センサ13を利用して給気路8における送給外気OAの温度toを検出するとともに、湿度センサ14を利用して還気路3における送出外気OAの湿度roを検出する。
【0030】制御器15は、その演算部において検出外気温toと目標室温tiiとの差Δoi(=to−tii)を変数とする所定の関数式ΔTt=Ft(Δtoi)に基づき、換気運転の後の温度立ち上げ運転で室温tiを目標室温tiiに調整するのに要する温度立ち上げ時間ΔTtを算出する。
【0031】又、検出外気温toと検出外気湿度roとから外気OAの比エンタルピhoを算出するとともに、その外気OAの比エンタルピhoと、目標室温tii及び目標湿度rrから決まる目標比エンタルピhiiとの差Δhoi(=ho−hii)を変数とする所定の関数式ΔTr=Fr(Δhoi)に基づき、温度立ち上げ運転に続く湿度立ち上げ運転で還気RAの湿度r(すなわち対象室2aの湿度)を目標湿度rrに調整するのに要する湿度立ち上げ時間ΔTrを算出する。
【0032】尚、温度立ち上げ時間ΔTtを算出するのに用いる関数式Ftは装置の試験データから決定してあり、冷房モードでは図3において実線のグラフで示され、又、暖房モードでは図3において破線のグラフで示される如きものである。
【0033】湿度立ち上げ時間ΔTrを算出する関数式Frも装置の試験データから決定してあり、又、この式の決定にあたっては、湿度立ち上げ運転に先立つ温度立ち上げ運転で室内外気OAの湿度roが変化する場合に対する湿度立ち上げ時間ΔTrの補正も考慮してある。
【0034】そして、制御器15は、上記の如く算出した温度立ち上げ時間ΔTt、湿度立ち上げ時間ΔTr、及び、所定の余裕時間ΔTx(例えばΔTx=15min)の和を必要立ち上げ時間ΔTb(=ΔTt+ΔTr+ΔTx)として算出し、その後、室使用開始時刻T2よりも上記の必要立ち上げ時間ΔTbだけ以前の時刻(T2−ΔTb)になると、温度立ち上げ運転を開始する。
【0035】この温度立ち上げ運転では、全循環風路状態で給気ファン11及び排気ファン12を運転するとともに、圧縮機を最大出力で運転する。
【0036】そして、冷房モードでは、熱源用熱交換器9を冷媒凝縮器として機能させて排熱を外気OAに対し放熱しながら、温調用熱交換器6及び除湿用熱交換器5の両方を(又は、一方を機能停止させて他方のみを)冷媒蒸発器として機能させて循環空気を冷却し、又、暖房モードでは、熱源用熱交換器9を冷媒蒸発器として機能させて外気OAから吸熱しながら、温調用熱交換器6及び除湿用熱交換器5の両方を(又は、一方を機能停止させて他方のみを)冷媒凝縮器として機能させて循環空気を加熱する。
【0037】温度立ち上げ運転の開始の後、温度立ち上げ時間ΔTtを経て検出室温tiが目標室温tiiに達すると、温度立ち上げ運転を終了し、続いて、湿度立ち上げ運転を開始する。
【0038】この湿度立ち上げ運転では、温度立ち上げ運転と同様に全循環風路状態で給気ファン11及び排気ファン12を運転する。
【0039】そして、冷房モードでは、熱源用熱交換器9を冷媒凝縮器として機能させて排熱を外気OAに対し放熱しながら、除湿用熱交換器5を最大出力で冷媒蒸発器として機能させて循環空気を冷却除湿し、さらに、給気温センサ13による給気温検出に基づき給気温tsを目標給気温tssに調整・維持するように、温調用熱交換器6を出力調整しながら冷媒凝縮器として機能させて、循環空気を冷却除湿に続き再熱温調する。
【0040】又、暖房運転では、除湿用熱交換器5を機能停止させた状態で熱源用熱交換器9を冷媒蒸発器として機能させて外気OAから吸熱するとともに、給気温センサ13による給気温検出に基づき給気温tsを目標給気温tssに調整・維持するように、温調用熱交換器6を出力調整しながら冷媒凝縮器として機能させて循環空気を加熱温調し、加えて、加湿器7を最大出力で運転して循環空気を加熱温調に続き加湿する。
【0041】すなわち、この湿度立ち上げ運転では、温調用熱交換器6の出力調整により給気温tsを目標給気温tssに調整・維持することと、変風量装置17の給気量調整機能とをもって、各対象室2aの室温tiを目標室温tiiに維持しながら、除湿用熱交換器5による最大出力での冷却除湿や加湿器7による最大出力での加湿で各対象室2aの湿度rを目標湿度rrに調整する。
【0042】尚、湿度立ち上げ運転では各熱交換器5,6,9の必要出力に応じた圧縮機の出力調整を実施する。
【0043】湿度立ち上げ運転の開始後、湿度立ち上げ時間ΔTrを経て室使用開始時刻T2までには未だ数分の時間を残した時点で湿度センサ14の検出湿度rが目標湿度rrになると、又は、温度立ち上げ運転を開始してから必要立ち上げ時間ΔTbが経過して室使用開始時刻T2となると、湿度立ち上げ運転を終了し、続いて定常運転を開始する。
【0044】つまり、換気運転時に外気条件に基づき算出した必要立ち上げ時間ΔTbだけ室使用開始時刻T2よりも早い時刻から温度立ち上げ運転、及び、湿度立ち上げ運転を順次、自動的に実施することで、室温tiの目標室温tiiへの立ち上げ、及び、湿度rの目標湿度rrへの立ち上げの両方を室使用開始時刻T2においてほぼ正確に完了し、これにより、室使用者が一日における室使用期間の当初から快適な空調状態を享受できるように、又、温度・湿度の立ち上げを室使用開始時刻T2よりも必要以上に早く完了してしまって、その立ち上げ完了から室使用開始時刻T2に至るまでの空調状態維持のために動力の大きな浪費を招くといったことが無いようにしてある。
【0045】定常運転では、一部換気循環風路状態として給気ファン11及び排気ファン12を運転し、冷房モード及び暖房モードの夫々において、各熱交換機5,6,9及び加湿器7を前記の湿度立ち上げ運転と同様の形態で運転するが、異なる点として、冷房モードでは、除湿用熱交換器5を最大出力で冷媒蒸発器として機能させるに代えて、湿度センサ14の検出情報に基づき湿度rを目標湿度rrに維持するように、除湿用熱交換器5を出力調整しながら冷媒蒸発器として機能させて冷却除湿量を調整する。
【0046】又、暖房モードでは、加湿器7を最大出力で加湿機能させるに代えて、湿度センサ14の検出情報に基づき湿度rを目標湿度rrに維持するように、加湿器7を出力調整しながら加湿機能させて加湿量を調整する。
【0047】上記の定常運転の継続後、室使用終了時刻T3になると、制御器15はヒートポンプ、加湿器7、各ファン11,12の運転を停止し、次日の換気運転開始時刻T1まで空調運転停止状態とする。
【0048】〔別実施例〕次に別実施例を列記する。
【0049】前述の実施例では温度ti及び湿度rの両方を調整対象としたが、いずれか一方のみを調整対象としてもよく、又、温度ti及び湿度rの両方を調整対象とする場合、前述実施例の如く、それらを順に立ち上げるに代えて、並行して立ち上げるようにしてもよい。
【0050】森林浴剤等により給気SAに対し香り付け装置を設けて、必要立ち上げ時間ΔTb中に香り付け時間を見込んでもよい。
【0051】必要立ち上げ時間ΔTbを算出するに、前日における外気OAの検出空気状態xo’(温度や湿度、又、エンタルピ等)と前日における目標空気状態xx’との差Δx’、及び、前日の立ち上げ運転において空調対象域2の空気状態xを目標空気状態xx’にまで立ち上げるのに実際に要した時間ΔTb’を記憶させ、そして、次日における外気OAの検出空気状態xoと次日おける目標空気状態xxとの差Δx、及び、前日の記憶値Δx’,ΔTb’を用いて、次式等により次日の必要立ち上げ時間ΔTbを算出するようにしてもよい。
ΔTb=ΔTb’(Δx/Δx’)
【0052】又、この場合、当日が初期運転で前日の記憶値Δx’,ΔTb’が無いときや、停電等により前日の記憶値Δx’,ΔTb’を消失したときには、それら記1値Δx’,ΔTb’に代わる所定の平均的な値Δx'',ΔTb''を採用するようにすればよい。
【0053】換気運転の実施時に外気OAの空気状態を検出する検出手段は、定常運転において給気SAの空気状態を検出対象とするもの、空調対象域2の空気状態を検出対象とするもの、あるいは、還気RAの空気状態を検出対象とするもののいずれであってもよい。
【0054】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするため符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置構成図
【図2】制御フローを示す図
【図3】立ち上げ時間算出用の関数を示すグラフ
【符号の説明】
2 空調対象域
5,6,7 調整手段
13,14 検出手段
15 演算手段,タイマ手段
OA 外気
RA 還気
SA 給気
T2 定常運転開始予定時刻
ΔTb 必要立ち上げ時間
ts,r 検出空気状態
to,ro 検出空気状態
tii,rr 目標空気状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】 空調対象域(2)へ供給する給気(SA)の空気状態を調整する調整手段(5),(6),(7)、及び、給気(SA)の空気状態、又は、前記空調対象域(2)の空気状態、又は、前記空調対象域(2)からの還気(RA)の空気状態を検出する検出手段(13),(14)を設け、前記検出手段(13),(14)による検出空気状態(ts),(r)に基づき前記調整手段(5),(6),(7)の出力を調整する定常運転と、この定常運転の実施に先立って前記調整手段(5),(6),(7)を所定の立ち上げ出力で運転する立ち上げ運転とに、運転状態を切り換える切り換え手段を設けた空調装置であって、前記調整手段(5),(6),(7)を停止した状態で、外気(OA)を給気(SA)として前記空調対象域(2)へ供給し、かつ、前記空調対象域(2)からの還気(RA)を屋外へ排気する換気運転を可能に構成し、この換気運転の実施時における前記検出手段(13),(14)の検出空気状態(to),(ro)と前記空調対象域(2)の目標空気状態(tii),(rr)とに基づいて、この換気運転後の立ち上げ運転で前記空調対象域(2)の空気状態を目標空気状態(tii),(rr)に調整するまでに要する必要立ち上げ時間(ΔTb)を算出する演算手段(15)を設けた空調装置。
【請求項2】 定常運転開始予定時刻(T2)よりも所定時間以前に前記換気運転を自動的に実施し、かつ、この換気運転において前記演算手段(15)により算出される必要立ち上げ時間(ΔTb)だけ定常運転開始予定時刻(T2)よりも早い時刻に立ち上げ運転を自動的に開始するタイマ手段(15)を設けた請求項1記載の空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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