説明

空調運転時間計算システム及び空調運転時間計算方法

【課題】本発明の課題は、利用者に不公平感のない空調利用の課金を行うための空調運転時間を計算することにある。
【解決手段】データ取得部13は、所定間隔で、少なくとも、空調機の運転状態を示す第1データ、空調機との通信の状態を示す第2データ、及び空調機の状態を示す第3データを取得する。カウント部は、第1データ、第2データ及び第3データから、空調機が運転状態であるか否かを決定し、運転カウント値データを更新する。判定部15は、所定単位時間における運転カウント値データと所定回数とを比較する。第4データ生成部16は、判定部よる比較の結果により、所定単位時間において空調機は運転状態であるか否かを示す第4データを生成する。第4データ格納部12eは、第4データを複数格納する。空調運転時間積算部21は、空調機が運転状態であるとする第4データの所定単位時間を積算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の運転時間を計算するシステム及び方法に関し、特に、空調利用の課金計算のための空調運転時間計算システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物のテナント等の空調機の利用者に対し、空調機の利用量に応じた課金が行われている。その方法としては、空調機の使用電力量を室内機の数等により按分する方法や、空調機の運転時間に応じて料金を計算する方法が知られている。
【0003】
使用電力量を按分する課金システムは、使用電力に応じた料金を正確かつ簡単に把握することができるが、電力計を設置する等、導入するのに初期コストがかかるというデメリットがある。一方、運転時間に応じた課金システムは、初期コストがかからないため、導入が低コストで済む上、既存の設備に対しても導入し易い(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平06−229611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転時間に応じて料金を計算する課金システムでは、テナント等の利用者がビル管理者等に空調機を利用する時間を予め連絡し、その利用時間を月毎等に集計し、その集計した時間に応じて課金している。したがって、利用者にとっては、予め管理者に連絡をしなければならず、手間がかかり、また空調機の利用時間の融通がきかないというデメリットがある。
【0005】
このようなデメリットを解消するため、管理PC等によって空調機の運転状態及び停止状態を示すデータを自動的に取得することも考えられるが、次のような不都合が生じる。例えば、空調機の運転状態及び停止状態を示すデータを常時保持することは、ローカルコントローラ等のメモリ資源の制限上、実質的に不可能である。一方、所定単位時間毎に、空調機が運転状態か停止状態かのデータを取得し、保持することにすると、例えば、運転の間に短い停止状態が存在していた場合、連続した運転として記録されてしまうことになる。このような場合、実際の運転時間以上を課金されることになるため、利用者側に不公平感を生じさせることになる。
【0006】
そこで、本発明は、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うために空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持する空調運転時間計算システム及び空調運転時間計算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る空調運転時間計算システムは、空調利用の課金計算に用いるデータとして、空調機の運転時間を計算する空調運転時間計算システムであって、データ取得部と、カウント部と、判定部と、第4データ生成部と、第4データ格納部と、空調運転時間積算部と、を備える。データ取得部は、所定間隔で、少なくとも、空調機の運転状態を示す第1データ、空調機との通信の状態を示す第2データ、及び空調機の状態を示す第3データを取得する。カウント部は、第1データ、前記第2データ及び前記第3データから、空調機が運転状態であるか否かを決定し、運転カウント値データを更新する。判定部は、所定単位時間における運転カウント値データと所定回数とを比較する。第4データ生成部は、判定部による比較の結果により、上記所定単位時間において空調機は運転状態であるか否かを示す第4データを生成する。第4データ格納部は、第4データを複数格納する。空調運転時間積算部は、空調機が運転状態であるとする第4データの上記所定単位時間を積算する。
【0008】
ここで、空調機の運転状態を示す第1データとは、空調機が運転状態か停止状態かを示すデータである。空調機との通信の状態を示す第2データとは、空調機との通信が異常であるか正常であるかを示すデータである。空調機の状態を示す第3データとは、空調機自体が正常か異常かを示すデータである。
【0009】
ここでは、空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持し、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うことができる。
【0010】
第2発明に係る空調運転時間計算システムは、第1発明に係る空調運転時間計算システムであって、空調運転時間計算システムにおける時刻を制御し保持する時刻管理部を更に備える。同空調料金計算システムにおいては更に、判定部は、上記所定単位時間内に、時刻の変更があったかどうかを判定する。また、第4データ生成部は、前記時刻の変更があった場合は、上記所定単位時間において空調機は停止状態であることを示す第4データを生成する。
【0011】
ここでは、システムの全部または一部において時刻の変更があった場合は、第1〜第3データの取得が欠落したり重複したりする場合があり、空調機が運転状態か停止状態かが正確に把握できないため、空調機の停止状態があったものと推定する。これにより、確実に空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持し、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うことができる。
【0012】
第3発明に係る空調運転時間計算システムは、第1発明に係る空調運転時間計算システムであって、カウント部は、第1データ、第2データ及び第3データのいずれかが欠落している場合は、前記空調機が停止状態であると決定する。
【0013】
ここでは、データが取得できていない場合、例えばデータ取得中にシステムの一部または全部の電源がオフになった場合は、空調機が運転状態か停止状態かが正確に把握できないため、空調機の停止状態があったものと推定する。これにより、確実に空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持し、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うことができる。
【0014】
第4発明に係る空調運転時間計算システムは、第1発明に係る空調運転時間計算システムであって、カウント部は、第1データにおいて空調機が運転状態であり、第2データにおいて空調機との通信が正常であり、かつ第3データにおいて空調機が正常である場合のみ、空調機が運転状態であると決定する。
【0015】
ここでは、空調機が確実に運転状態にあった場合のみ運転時間を計算することにより、空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持し、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うことができる。
【0016】
第5発明に係る空調運転時間計算システムは、第1発明に係る空調運転時間計算システムであって、少なくとも、データ取得部、カウント部、判定部、第4データ生成部、及び第4データ格納部を含む制御装置と、空調運転時間積算部を含む管理装置と、を備え、同制御装置と管理装置とはネットワークを介して接続されている。
【0017】
第6発明に係る空調運転時間計算方法は、空調利用の課金計算に用いるデータとして、空調機の運転時間を計算する空調運転時間計算方法であって、データ取得ステップと、カウントステップと、判定ステップと、第4データ生成ステップと、第4データ格納ステップと、空調運転時間積算ステップと、を備える。データ取得ステップにおいては、所定間隔で、少なくとも、空調機の運転状態を示す第1データ、空調機との通信の状態を示す第2データ、及び空調機の状態を示す第3データを取得する。カウントステップでは、前記第1データ、第2データ及び第3データから、空調機が運転状態であるか否かを決定し、運転カウント値データを更新する。判定ステップにおいては、所定単位時間における運転カウント値データと所定回数とを比較する。第4データ生成ステップにおいては、前記判定ステップにおける比較の結果により、上記所定単位時間において空調機は運転状態であるか否かを示す第4データを生成する。第4データ格納ステップにおいては、第4データを複数格納する。空調運転時間積算ステップにおいては、空調機が運転状態であるとする第4データの上記所定単位時間を積算する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うために空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1.実施形態
1.1.システムの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空調運転時間計算システム1を含む空調システム全体を示す。
【0020】
図1に示す空調システムは、コントローラ10と、室外機31群及び室内機32群からなる空調機群30とを含み、ネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続されている。このネットワークは全て空調通信専用線やLAN等のローカルネットワークである。これに代えて、管理PC20のみイーサネット(登録商標)等の内部ネットワークを介して、コントローラ10と通信可能に接続されている。また、本実施形態においては、一台のコントローラ10に対し、複数の空調機30が接続され、一台の管理PC20に一台のコントローラ10が接続されている。また、本実施形態においては、コントローラ10は室外機31を介して室内機32に接続されているが、室内機32に直接接続されていてもよい。また一台の管理PCに複数台のコントローラが接続されていてもよい。
【0021】
コントローラ10と管理PC20とは本実施形態による空調運転時間計算システム1を構成する。空調運転時間計算システム1は、各室内機32のデータから各室内機32の運転時間を計算する。
【0022】
1.2.コントローラの構成
コントローラ10は、室外機31を介して室内機32の運転データ等を受信し、保持し、あるいは管理PC20に送信する。本実施形態に係るコントローラ10は、メモリ12、CPU等を含む制御部11、表示部41、及び入力部42を含む制御装置である。
【0023】
メモリ12は、運転状態データ格納部12a、通信状態データ格納部12b、空調機状態データ格納部12c、運転実績データ格納部12e、及び運転カウント値データ格納部12fを備える。運転状態データは、所定の時刻において各室内機32が運転状態か停止状態かを示すデータである。通信状態データは、所定の時刻においてコントローラ10と各室内機32との通信が正常であったか異常であったかを示すデータである。空調機状態データは、所定時刻において各室内機32が正常であったか異常であったかを示すデータである。
【0024】
これらのデータは、フラグの有無等、任意の二値で示される。なお、通信状態データにおいて室内機32との通信が異常である場合、及び空調機状態データにおいて室内機32自体が異常である場合は、いずれも当該室内機32が運転状態であるか停止状態であるかが正確に把握できないため、当該室内機32が停止状態であったものと推定するものである。
【0025】
運転カウント値データ格納部12fは、運転カウント値データを格納する。後述するカウント部17は、運転状態データ、通信状態データ、空調機状態データから空調機の運転状態を決定し、運転状態のときのみ、運転カウント値をインクリメントする。
【0026】
運転実績データ格納部12eは、運転実績データを格納する。運転実績データは、各室内機32の運転実績、すなわち各室内機32が所定の単位時間(ここでは5分)において運転状態であったか停止状態であったかを示すデータ、及びその記録日時(運転実績判定時刻)である。具体的には、図4に示すように、室内機32について、運転状態データ、通信状態データ、空調機状態データを集計したものであり、各時刻における状態は、運転/停止、正常/異常を示す二値で示されている。この運転実績データ格納部12eでは、所定日数分(例えば2ヶ月分)の運転実績データを格納しておき、空調利用料金の請求時等にまとめて管理PC20に送信するようにしてもよい。
【0027】
制御部11は、データ通信部13、判定部15、運転実績データ生成部16、カウント部17、リセット部18及び送信部19を含む。データ通信部13は、空調機群30より、上述した運転状態データ、通信状態データ、空調機状態データを含むデータを取得し、一時的にメモリ上に保持する。データ通信部13は、空調機群30にポーリング通信を所定間隔(例えば、20秒毎)で行うことによりデータを取得する。
【0028】
判定部15は、所定単位時間(図4では、17:00から17:05の時間や17:05から17:10の時間)のうち、空調機が継続して運転していたかどうかを運転カウント値データ格納部12fのデータと運転状態所定回数との比較から判定する。判定部15は、運転状態データ、通信状態データ、空調機状態データに欠落した値、すなわちデータがとれていない部分があるかどうかを運転カウント値データと運転状態所定回数との比較から判定する。ここで、データがとれていないとは、例えば、コントローラ10の電源オフ又はコントローラの異常によりその時刻にデータがとれなかった場合をいう。判定部15はまた、時刻管理部15aの情報より、上記所定単位時間内に、コントローラ10に時刻変更があったかどうかを判定する。コントローラ10の時刻の変更があった場合は、時刻が進んだり遅くなったりすることで各データの取得が欠落したり重複したりすると、室内機32が運転状態か停止状態かが正確に把握できない。したがって、上記所定単位時間内に時刻の変更があった場合は、室内機32の停止状態があったものと推定する。時刻管理部15aは、コントローラ10の時刻を制御し保持する。
【0029】
運転実績データ生成部16は、上記所定単位時間内に空調機が継続して運転していなかったとする判定部15の判定を受けて、上記所定単位時間における室内機32の状態を“停止”状態であることを示す運転実績データを作成する。一方、運転実績データ生成部16は、上記所定単位時間内に空調機が継続して運転していたとする判定部15の判定を受けて、上記所定単位時間における室内機32の状態を“運転”状態であることを示す運転実績データを作成する。
【0030】
カウント部17は、上記所定単位時間の開始から終了までデータ通信部11により取得された通信状態データが“正常”かつ、空調機状態データが“正常” かつ運転状態データが“運転”の場合のみカウントする。リセット部18は、カウント数をリセットする。なお、本実施形態においては、運転状態所定回数とは15回である。例えば、図4において、所定単位時間(17:00〜17:05)までのカウントは、17:00:20に最初のカウントがあり、17:05:00のカウントで同所定回数に至る。
【0031】
送信部19は、管理PC20からの要求を受け、運転実績データ格納部12eから運転実績データを取得し、管理PC20に送信する。
【0032】
表示部41は、液晶パネル等のディスプレイ部である。表示部41は、利用者が時刻管理部15aに対し入力を行い、コントローラ10の時刻変更を行うときのメニュー表示等を行う。入力部42はコントローラ10に対する入力を受け付ける。
【0033】
1.3.運転実績データ作成の具体例
図4は、運転実績データが作成されるときの具体例を示す。運転実績データは、図4に示すように、室内機Aは、17:00から17:05の所定単位時間である5分の間に、運転状態データが全て運転状態で、通信異常データ及び機器異常データが全て正常である。したがって、その5分は運転時間として加算される。一方17:05から17:10の5分の間には、通信異常データが一度異常と示されている。したがって、室内機Aは停止状態であったとみなされ、当該5分は運転時間として加算されない。
【0034】
1.4.管理PC及び空調運転時間管理ツール
管理PC20は、空調運転時間管理ツール21と管理時間データ格納部22とを備える。空調運転時間管理ツール21は、コントローラ10から送信される運転実績データを取得し、その運転実績データから得られる室内機32の運転時間を合算するツールである。空調運転時間管理ツール21は、所定のプログラムにより実行される。この運転時間は、運転実績データにおいて室内機32が運転状態にあったとする単位所定時間の累積時間を合算した時間である。
【0035】
管理時間データ格納部22は、管理時間データを格納する。管理時間データは、たとえば、コアタイムの設定を行う。通常、本実施形態に係る空調運転時間計算システム1を利用した課金システムでは、テナント等の利用者の営業時間(例えば、平日9時〜17時)はコアタイムとして設定する。コアタイムでは、室内機32を運転状態として固定料金が課金される。一方、コアタイム以外の時間、例えば残業時間や休日出勤時間における運転時間は、変動時間であるため、本システムを利用した課金処理を行なうことができる。
【0036】
1.5.空調料金計算システムの処理
図3は、本実施形態に係る空調運転時間計算システム1の各処理の流れを示すフローチャートである。図3(A)は、各種データ(運転状態データ、通信状態データ、空調機状態データ)を、20秒毎に取得し、データの内容に応じて運転カウント値をインクリメントする処理を示す。図3(B)は、運転実績データを5分毎に保存する際の処理を示す。図3(C)は管理PC20がコントローラ10から運転実績データを取得する処理を示す。図3(A)〜(C)の処理はマルチタスクにより互いに関連しつつ実行される。
【0037】
まず図3(A)について説明する。
【0038】
S101ステップ:各室内機32について、運転状態データ、通信状態データ、空調機状態データの各種データをそれぞれ取得する。なお、このデータ取得は上述したように所定間隔(ここでは、20秒毎)に行われる。取得されたデータは、運転状態データ格納部12a、通信状態データ格納部12b及び空調機状態データ格納部12cにそれぞれ一時的に保存される。
【0039】
S102ステップ:取得された通信状態データは、カウント部17により通信状態が“正常”かどうかを判断され、“正常”であればS103ステップに進み、“異常”であれば処理を終了する。
【0040】
S103ステップ:取得された空調機状態データは、カウント部17により空調機30の状態が“正常”かどうかを判断され、“正常”であればS104ステップに進み、“異常”であれば処理を終了する。
【0041】
S104ステップ:取得された運転状態データ12aは、カウント部17により空調機30が“運転”かどうかを判断され、“運転”であればS105ステップに進み、“停止”であれば処理を終了する。
【0042】
S105ステップ:運転カウント値が、カウント部17によりインクリメントされることにより、運転カウント値データ格納部12fのデータが更新され、処理を終了する。
【0043】
図3(B)の処理について説明する。
【0044】
S201ステップ:各室内機32について、運転カウント値データ格納部12fより、運転カウント値を取得する。なお、このデータ取得は上述したように所定間隔(例えば、5分毎)に行われる。
【0045】
S202ステップ:判定部15により、取得した運転カウント値と運転状態所定回数(ここでは、15回)とを比較する。運転カウント値が運転状態所定回数であればS203ステップに進み、運転状態所定回数でなければS205ステップに進む。
【0046】
S203ステップ:判定部15により、所定単位時間(ここでは、5分)に、時刻管理部15aによる時刻変更が有ったかどうかを判定する。有る場合はS204ステップに進み、ない場合はS205ステップに進む。
【0047】
S204ステップ:運転実績データ作成部16は、当該データの運転実績を“運転”とするデータを作成する。
【0048】
S205ステップ:運転実績データ作成部16は、当該データの運転実績を“停止”とするデータを作成する。
【0049】
S206ステップ:作成された運転実績データは、運転実績データ格納部12eに保存され、送信部19を介して管理PC20に送信される。
【0050】
S207ステップ:運転カウント値データの運転カウント値は、リセット部18によりリセットされる。
【0051】
図3(C)の処理について説明する。
【0052】
S301ステップ:運転実績データは、コントローラ10から管理PC20へ送信される。
【0053】
S302ステップ:管理PC20において、取得された運転実績データは、空調機運転時間管理ツール21により処理され、空調運転時間が積算される。
【0054】
なお、上記処理は一例であり、その処理手順は上記のものに限定されるものではない。
【0055】
1.6.本実施形態の効果
本実施形態に係る空調運転時間計算システム1によれば、室内機32が停止であったかどうか定かでない時間があっても、その時間は室内機32が停止であったと推定し、空調運転時間に加えない。したがって、確実に室内機32の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持することができ、確実に利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態に係る空調運転時間計算システム1によれば、コントローラ10の時刻が変更になった場合やコントローラ10の電源がオフになった場合も、室内機32が運転状態か停止状態かが正確に把握できないため、室内機32が停止状態にあったものと推定する。これにより、更に確実に室内機32の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持し、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うことができる。
【0057】
2.変形例
2.1.
上記実施形態において、空調機運転時間管理ツール21は管理PC20に設けられているが、コントローラ10に設けられてもよい。
【0058】
2.2.
上記実施形態においては、運転状態データ、通信状態データ及び空調機状態データは他の目的のための通常の運転データとしても用いられるものとし、コアタイム内外問わず蓄積されてもよい。
【0059】
2.3.
上記実施形態においては、判定部15は、運転状態データ、通信状態データ及び空調機状態データに欠落があるかどうかを運転カウント値データと運転状態所定回数との比較から判定し、コントローラ10の電源オフがあったときに空調機30を停止状態であったと推定している。これに代えて、コントローラ10の電源オン/オフの管理情報を取得することにより、判定してもよい。例えば、データを取得した所定単位時間に電源のオン/オフがあったかどうかを、上記管理情報から判定してもよい。
【0060】
2.4.
上記実施形態においては、データ通信部13は、各室内機32の運転状態データ、通信状態データ及び空調機状態データを同時に取得しているが(図4)、これに限定されない。各データは、時間をずらして取得されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、利用者にとって不公平感のない空調利用の課金を行うために空調機の運転・停止状態のデータを利用者側に不都合にならないように作成、保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る空調運転時間計算システムを含む空調システム全体の概略構成図
【図2】本発明の実施形態に係る空調運転時間計算システムの構成図
【図3】本発明の実施形態に係る空調運転時間計算システムの処理の流れを示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態に係る空調運転時間計算システムにより作成されるデータの構成図
【符号の説明】
【0063】
1 空調運転時間計算システム
10 コントローラ(制御装置)
11 制御部
12 記憶部
12a 運転状態データ(第1データ)格納部
12b 通信状態データ(第2データ)格納部
12c 空調機状態データ(第3データ)格納部
12e 運転実績データ格納部(第4データ格納部)
12f 運転カウント値データ格納部
13 データ通信部(データ取得部)
15 判定部
15a 時刻管理部
16 運転実績データ生成部(第4データ生成部)
17 カウント部
18 リセット部
19 送信部
20 管理PC(管理装置)
21 空調機運転時間管理ツール(空調運転時間積算部)
22 管理時間データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調利用の課金計算に用いるデータとして、空調機(30)の運転時間を計算する空調運転時間計算システム(1)であって、
所定間隔で、少なくとも、前記空調機(30)の運転状態を示す第1データ、前記空調機(30)との通信の状態を示す第2データ、及び前記空調機(30)の状態を示す第3データを取得するデータ取得部(13)と、
前記第1データ、前記第2データ及び前記第3データから、前記空調機が運転状態であるか否かを決定し、運転カウント値データを更新するカウント部(17)と、
所定単位時間における運転カウント値データと所定回数とを比較する判定部(15)と、
前記判定部(15)による比較の結果により、前記所定単位時間において前記空調機(30)は運転状態であるか否かを示す第4データを生成する、第4データ生成部(16)と、
前記第4データを複数格納する第4データ格納部(12e)と、
前記空調機(30)が運転状態であるとする前記第4データの前記所定単位時間を積算する空調運転時間積算部(21)と、
を備える、空調運転時間計算システム。
【請求項2】
前記空調運転時間計算システム(1)における時刻を制御し保持する時刻管理部(15a)、を更に備え、
前記判定部(15)は、前記所定単位時間内に、前記時刻の変更があったかどうかを判定し、
前記第4データ生成部(15)は、前記時刻の変更があった場合は、前記所定単位時間において前記空調機(30)は停止状態であることを示す前記第4データを生成する、
請求項1に記載の空調運転時間計算システム。
【請求項3】
前記カウント部(17)は、第1データ、前記第2データ及び前記第3データのいずれかが欠落している場合は、前記空調機が停止状態であると決定する、
請求項1に記載の空調運転時間計算システム。
【請求項4】
前記カウント部(17)は、前記第1データにおいて前記空調機(30)が運転状態であり、前記第2データにおいて前記空調機(30)との通信が正常であり、かつ前記第3データにおいて前記空調機(30)が正常である場合のみ、前記空調機が運転状態であると決定する、
請求項1に記載の空調運転時間計算システム。
【請求項5】
少なくとも、前記データ取得部(11)、前記カウント部(17)、前記判定部(15)、前記第4データ生成部(16)、及び前記第4データ格納部(12e)を含む制御装置(10)と、
前記空調運転時間積算部(21)を含む管理装置(20)と、
を備え、
前記制御装置(10)と前記管理装置(20)とはネットワークを介して接続されている、
請求項1に記載の空調運転時間計算システム。
【請求項6】
空調利用の課金計算に用いるデータとして、空調機(30)の運転時間を計算する空調運転時間計算方法であって、
所定間隔で、少なくとも、前記空調機(30)の運転状態を示す第1データ、前記空調機(30)との通信の状態を示す第2データ、及び前記空調機(30)の状態を示す第3データを取得するデータ取得ステップと、
前記第1データ、前記第2データ及び前記第3データから、前記空調機が運転状態であるか否かを決定し、運転カウント値データを更新するカウントステップと、
所定単位時間における前記運転カウント値データと前記所定回数とを比較する判定ステップと、
前記判定ステップにおける比較の結果により、前記所定単位時間において前記空調機(30)は運転状態であるか否かを示す第4データを生成する、第4データ生成ステップと、
前記第4データを複数格納する第4データ格納ステップと、
前記空調機(30)が運転状態であるとする前記第4データの前記所定単位時間を積算する空調機運転時間積算ステップと、
を備える、空調運転時間計算方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−168400(P2009−168400A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9319(P2008−9319)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】