空間断面形状の計測方法
【課題】 多様な空間形状を容易かつ精度良く計測する。
【解決手段】 位置決め用レーザ光を計測対象の縦断方向へ照射し、レーザ測距計を計測対象の縦断方向と略平行となるように位置決めし(S12)、レーザ測距計から照射されるレーザ光が、位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計の向きを調整し(S13)、基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して第1の計測を行い(S14)、レーザ測距計を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第2の計測を行い(S15)、レーザ測距計を、基準方向から第2の計測とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第3の計測を行う(S16)。最小計測値を当該空間断面の計測値として採用する(S17)。
【解決手段】 位置決め用レーザ光を計測対象の縦断方向へ照射し、レーザ測距計を計測対象の縦断方向と略平行となるように位置決めし(S12)、レーザ測距計から照射されるレーザ光が、位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計の向きを調整し(S13)、基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して第1の計測を行い(S14)、レーザ測距計を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第2の計測を行い(S15)、レーザ測距計を、基準方向から第2の計測とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第3の計測を行う(S16)。最小計測値を当該空間断面の計測値として採用する(S17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間断面形状の計測方法に関するものであり、特に多様な空間形状を容易かつ精度良く計測することが可能な空間断面形状の計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事における覆工コンクリート、場所打ちコンクリート杭、場所打ち擁壁等の建設工事では、レーザ測距計を用いて空間断面形状を計測する必要がある。この際、正確な計測を行うためには、座標が既知である基準点が必要となる。例えば、トンネル断面を正確に計測する場合には、トンネルの縦断線形や横断方向を特定するために、予め座標が測量されている基準点を設け、計測方向に対して精密にレーザ光を照射できるようにレーザ測距計を設置する必要があり、作業効率が悪いという問題があった。
【0003】
そこで、このような問題に対応するため、トンネル施工時及び施工後の形状確認を容易かつ迅速に行うための計測装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されているトンネル内空断面形状計測装置は、所定の計測断面におけるトンネル側壁及び天井に反射部材を複数個周設し、トンネル床面にレールを敷設し、レール上にメインフレームを駆動輪により移動自在な形で設け、レーザ光を計測断面内に射出走査する2個のボックスをメインフレーム上に設けたものである。
【0004】
【特許文献1】特開平6−307863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術は、レール及び大がかりな装置を設置可能なトンネルに適用することはできるが、小規模のトンネル等には適用することができない。また、予めトンネル側壁及び天井に反射部材を設置しなければならず、作業効率という面ではさらなる改善が必要であった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、多様な空間形状を容易かつ精度良く計測することが可能な空間断面形状の計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空間断面形状の計測方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明の空間断面形状の計測方法は、任意の位置にレーザ測距計を設置する工程と、位置決め用レーザ光を計測対象の縦断方向へ照射し、この位置決め用レーザ光に基づいてレーザ測距計を計測対象の縦断方向と略平行となるように位置決めする工程と、レーザ測距計から照射されるレーザ光が、位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計の向きを調整する工程と、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う計測工程と、を含んでいる。
そして、計測工程は、基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第1の計測工程と、レーザ測距計を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第2の計測工程と、レーザ測距計を、基準方向から前記第2の計測工程とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第3の計測工程と、を含み、第1の計測工程、第2の計測工程、及び第3の計測工程における計測結果の中から最小となる計測値を当該空間断面の計測値として採用する、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、上述した特徴点に加えて、第2の計測工程と第3の計測工程とにおいて、レーザ測距計を水平方向に回転させる角度は、それぞれ基準方向から逆方向に同一角度であることを特徴とするものである。ここで、基準方向から逆方向に同一角度とは、基準方向からの角度の絶対値が同一であることをいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空間断面形状の計測方法では、1断面につき、基準方向で行う計測と、この基準方向からそれぞれ逆方向にレーザ測距計を回転させて行う計測との合計3回の計測を行うことにより、レーザ測距計の設置時における設計縦断面線形とのずれを補完して、空間断面形状を容易かつ精度良く計測することができる
また、1断面につき合計3回の計測を行うことにより、例えばトンネルの変形や、覆工コンクリートの劣化状況を推測するための有用なデータを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る空間断面形状の計測方法の実施形態を説明する。
まず初めに、本発明の実施形態に係る空間断面形状の計測方法に用いる測定装置について説明する。
【0011】
<測定装置>
本発明の実施形態に係る空間断面形状の計測方法に用いる測定装置は、山岳トンネルにおいて覆工コンクリートの必要量を算出する場合に好適に用いるものである。図1は、測定装置を示す模式図である。
【0012】
この測定装置レーザ測距計を支持するための支持装置と、支持装置に対してレーザ測距計を回動可能に取り付けるための回動装置と、測定データを取得して空間容積の演算処理を行うための演算装置と、を備えている。
すなわち、測定装置10は、図1に示すように、三脚11と、三脚11の上部に回動可能に取り付けられた回動テーブル12と、回動テーブル12上に載置されたレーザ測距計30と、レーザ測距計30との間で無線通信によりデータの送受信を行うとともに取得した測定データに基づいて空間容積の演算処理を行う携帯情報端末40とを備えている。
【0013】
三脚11は、レーザ測距計30を支持するための支持装置として機能する装置であって、一般的な測量に用いる三脚11を使用することができる。なお、支持装置として機能する装置は三脚11に限定されるものではなく、レーザ測距計30を支持できればどのような構造であってもよい。
【0014】
回動テーブル12は、支持装置に対してレーザ測距計30を回動可能に取り付けるための回動装置として機能するものである。この回動テーブル12は、トンネルの軸方向に対して略鉛直な平面に沿って回動可能となっている。また、回動テーブル12は、ステッピングモータ(図示せず)の駆動により、回動テーブル12をトンネルの軸方向に対して水平方向及び略鉛直な平面に沿って回動させることができる。このように、ステッピングモータを用いて回動テーブル12を回動させる構成とすることにより、測定操作が自動化して測定の手間を軽減することができるとともに、各測定点に関する正確な座標管理を行うことができる。なお、回動テーブル12には、外方へ向かって突出したハンドル13が取り付けられているため、このハンドル13を操作することにより、回動テーブル12を手動で回動させてもよい。
【0015】
レーザ測距計30は、計測対象物に対してレーザ光を発射し、計測対象物で反射されてきたレーザ光を受光し、レーザ光を発射してから受光するまでの時間を計測することにより、レーザ送受光部から計測対象物までの距離を測定するための装置である。このレーザ測距計30は、周知のものを用いることができる。
【0016】
携帯情報端末40は、バッテリ駆動可能な小型のコンピュータで、CPU、ROM、RAM等を備えており、ROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従ってCPU等が動作することにより、簡易な演算機能を発揮できるようになっている。また、携帯情報端末40は、データの記憶機能や通信機能を備えている。なお、通信手段は、irDAやBluetooth(登録商標)等の短距離無線通信技術を用いたものであってもよいし、有線通信によりデータの送受信を行うものであってもよい。この携帯情報端末40は、周知のものを用いることができる。
【0017】
<空間断面形状の計測>
次に、図2及び図3を参照して、上述した測定装置10を用いてトンネルの断面形状を計測する方法を説明する。図2は、トンネル工事における断面形状の計測方法を説明する説明図であり、(a)はトンネルの縦断面を示す説明図、(b)はトンネルの平面を示す説明図である。また、図3は、トンネル工事における断面形状の計測方法の概略を示すフローチャートである。
【0018】
上述した測定装置10を用いてトンネルの断面形状を計測するには、トンネル掘削が終了した後に、図2及び図3に示すように、任意の位置に測定装置10を設置する(S11)。この際、気泡管で測定装置10のレベルを水平にセットする程度の簡便な作業が行われる。また、測定装置10を設置する位置は、図2(a)及び(b)に示すように、トンネルの中央部に限られず、中央部から左右いずれかにずれた位置であってもよい。すなわち、測定装置10をどのような位置に設置した場合であっても、トンネルの断面形状を計測することができるため、トンネルの底面の状態(水が貯留している等)に応じて、測定装置10の設置位置を適宜変更することができる。
【0019】
続いて、位置決め用レーザ光をトンネル縦断方向へ照射し、この位置決め用レーザ光に基づいて測定装置10がトンネル縦断方向と略平行となるように位置決めする(S12)。具体的には、任意の覆工コンクリート(1ブロック)の両妻の同程度のエレベーション(高さ)や、検査窓や矢板の跡100等を目安として目視により位置決めを行う。このようにして、同一のエレベーション位置E1−E1(E2−E2)に測定装置10を設置することができる。
【0020】
そして、レーザ測距計30から照射される計測用レーザ光が、位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計30の向きを調整する(S13)。すなわち、回動テーブル12がトンネルの線形方向(軸方向)に対して略鉛直な平面に沿って回動するように測定装置10の向きを合わせる。具体的には、位置決め用レーザ光の向きと計測用レーザ光の向きとが直角となるように測定装置10がセットされている場合には、そのまま計測を開始するが、位置決め用レーザ光の向きと計測用レーザ光の向きとが同一方向(平行)となるように測定装置10がセットされている場合には、レーザ測距計30を90度回転させた後に計測を開始する。
【0021】
続いて、基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して第1回目の計測を行う(S14)。続いて、レーザ測距計30を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第2回目の計測を行う(S15)。さらに、レーザ測距計30を、基準方向から第2回目の計測工程とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第3回目の計測を行う(S16)。
【0022】
そして、第1回目の計測、第2回目の計測、及び第3回目の計測における計測結果の中から最小となる計測値を当該トンネル断面50の形状として採用して(S17)、レーザ測距計30と携帯情報端末40との間で無線通信を行い、携帯情報端末40に測定データを蓄積する(S18)。
【0023】
各計測工程では、回動テーブル12を測定断面に沿って回動させるためのステッピングモータ(図示せず)を用いて、回動テーブル12を所定角度ずつ回転させながら計測を行う。また、レーザ測距計30を水平方向へ回動させるためのステッピングモータ(図示せず)を用いて、レーザ測距計30の向きを変更しながら第1回目、第2回目、及び第3回目の計測を行う。レーザ測距計30を水平方向に回転させる角度は、例えば、200STEPのステッピングモータを使用した場合に、1.8(度/STEP)×α(STEP)となる。例えば、α=1とした場合には、レーザ測距計30を基準方向から水平方向にそれぞれ1.8度回転させて、第1回目及び第3回目の計測を行うことになる。
【0024】
そして、トンネルの掘削が進むと、例えば3m毎に上述した作業を繰り返して、計測すべきすべての範囲において計測を行う。なお、ステッピングモータを用いずに、ハンドル13を操作して回動テーブル12を所定角度ずつ鉛直方向に回転させながらレーザ測距計30によりトンネル断面50までの距離を測定してもよい。
【0025】
上述したように、位置決め用レーザ光を用いて目視により測定装置10を設置した場合には、角度誤差が生じる可能性がある。ここで、現場で計測を行った実績では、トンネルの断面形状や大きさに影響されるものの、5度未満の角度誤差に抑えられることがわかっている。このため、測定装置10を基準方向から左右に5度程度振ってやることで、トンネル線形法線方向にほぼ一致した断面の計測を行うことができる。
【0026】
仮にトンネル線形法線方向に対して4°ずれた状態で測定装置10が設置された場合に、測定装置10を基準方向から左右に5度程度振ってやると、トンネル線形法線方向に対して1度、4度、5度ずれた断面を計測することができる。この際、計測値が最小となる断面を採用することにより、誤差1度という精度の高い断面形状を得ることができる。
【0027】
ここで、3回の計測を行って、その計測結果の中から最小となる計測値を当該空間断面の計測値として採用する理由について説明する。
各計測におけるトンネル内空幅B′は、以下の式で表すことができる。
B′=B/cosθ
なお、
B′:計測される内空幅
B :設計上の内空幅
θ :トンネル線形法線方向に対する角度
上述した式から、cosθ=1の場合、すなわちθ=0°の場合に、計測される内空幅B′と設計上の内空幅Bとが等しいことがわかる。そして、θが90°に近づくに従って計測される内空幅B′が大きくなる。したがって、計測値が最小となった際におけるトンネル線形法線方向に対する計測用レーザ光の照射方向が、最もトンネル線形法線方向に近似することになる。このため、計測結果の中から最小となる計測値を空間断面の計測値として採用することにより、精度よく断面形状を計測することができる。
【0028】
また、計測結果を設計値と比較することにより、以下の考察を得ることができる。
第1に、設計値と比較して周長が長く、内空幅や内空高さが小さい、若しくは同等の場合には、当該断面の表面は凹凸が大きく、コンクリートであれば劣化や浸食がされている可能性があると考えられる。
第2に、設計値と比較して周長が小さい、若しくは同等で、内空幅や内空高さが大きい場合には、局所的に洗掘や肌落ちが発生している可能性があると考えられる。
第3に、設計断面(形状)と計測した内空断面(形状)とを比較することにより、変形の方向や変形の原因となる外力の採用方向を推定することができる。但し、変形については、水分や地質条件等の環境条件を十分に考慮する必要がある。
【0029】
トンネル工事では、掘削作業及び一次支保工に続いて、覆工コンクリートを流し込むために、防水シート及び型枠を設置する。この型枠設置等に要する時間を利用して、携帯情報端末に蓄積した測定データに基づき地山を掘削した空間容積を演算し、型枠により形成される空間容積を差し引いて必要な覆工コンクリート量を算出する。携帯情報端末における演算処理は、携帯情報端末に搭載されたアプリケーションソフトウェアの機能により行われる。また、携帯情報端末に蓄積した測定データをパーソナルコンピュータに取り込み、パーソナルコンピュータに搭載されたアプリケーションソフトウェアを用いて、携帯情報端末では行うことができない複雑な演算処理を行い、トンネル断面形状を可視的に出力する等の処理を行うこともできる。
【0030】
<空間容積の計測方法の基本概念>
次に、図4及び図5を参照して、上述した測定装置10を用いて空間容積を計測する方法を説明する。図4は測定モードが計測所要時間に与える影響の説明図、図5はグループ化した測定モードの説明図である。
【0031】
上述した測定装置10に用いるレーザ測距計30は、レーザ照射位置の照度、明度、乾湿状態、及び凹凸状態に応じて複数の測定モードが設定されている。以下、複数の測定モードについて説明する。
レーザ測距計30を用いた計測では、レーザ照射位置の状態に応じて計測所要時間が変化することが知られている。レーザ照射位置の状態とは、例えば、照度、明度、乾湿状態、及び凹凸状態のことである。ここで、照度を「明」「暗」の2種類に区分し、明度を「白」「黒」の2種類に区分し、乾湿状態を「乾燥」「湿潤」の2種類に区分し、凹凸状態を「平滑」「凹凸」の2種類に区別した場合について説明する。
【0032】
計測所要時間に影響を与える条件として、2パラメータずつ4水準があるとすると、これらの組み合わせは、24=16通りとなる。すなわち、レーザ照射位置の照度、明度、乾湿状態、及び凹凸状態に応じて区別すると、16通りの組み合わせとなる。
ここで、8つの変数を計測所要時間に与える影響が小さいグループと大きいグループとに区別する。計測所要時間に与える影響が小さいグループである「影響小g」として「明」、「白」、「乾燥」、「平滑」の4つの関数があり、計測時間に与える影響が大きいグループである「影響大g」として「暗」、「黒」、「湿潤」、「凹凸」の4つの変数がある。なお、各グループ内では、各変数が計測所要時間に与える影響は同じであると仮定する。また、「影響小g」が計測時間に与える影響の計数を「1」と仮定し、「影響大g」が計測時間に与える影響の計数を「2」と仮定する。
【0033】
以上の仮定から、16通りの測定モードが計測所要時間に与える影響は、図4に示すようになる。図4において、影響計数が大きいほど計測所要時間が長くなる。そして、図4に基づいて、16通りの測定モードが計測所要時間に与える影響をグループ化すると、図5に示すようになる。
【0034】
測定モードの選定では、図5に示す測定モードの中から測定箇所に最も適した測定モードを選定すればよい。この際、測定モードを自動選定することができる。測定モードを自動選定するには、任意数の測定点(例えば5点)に対して、16通りの測定モードの中から最適な測定モードを判別し測定を実施する。そして、優位数(例えば、5点のうちの3点以上)を計測することができ、かつ最短時間で計測することができる測定モードを自動的に選定する。また、測定者が、16通りの測定モードの中から任意の測定モードを選定し、この測定モードで優位数が計測できることを確認して、実際の計測を開始してもよい。この際、測定モードの自動選定は、携帯情報端末やパーソナルコンピュータの機能として実施される。すなわち、測定モードの自動選定を行うためのアプリケーションプログラムを携帯端末情報やパーソナルコンピュータの記憶手段(例えば、ROMやハードディスク記憶装置)に格納しておき、携帯端末情報やパーソナルコンピュータの構成要素であるCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより、測定モードの自動選定が行われる。
【0035】
なお、測定モードの選定数及び優位数は、測定箇所の状況や要求される測定精度等に応じて適宜変更して設定することができる。また、測定モードの数は16通りに限られず、測定箇所の状況や要求される測定精度等に応じて適宜増減して設定することができる。
【0036】
<計測方法:第1の実施形態>
第1の実施形態に係る計測方法は、計測対象物の状態が一定であるものの形状を計測する場合に適した計測方法であり、測定モード及び運転モードを選定して測定を行うようにしたものである。
上述したように、レーザ測距計30を用いて距離を測定する場合には、計測対象物の状態に応じて計測所要時間が変化する。そこで、ステッピングモータ等を組み込んだ自動測定装置10に、16通りの測定モードを搭載しておき、測定対象物の状態に応じて測定モードを選定して計測を行う。
【0037】
図6を参照して、第1の実施形態に係る計測方法を説明する。図6は、第1の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第1の実施形態では、まず初めに、任意数の測定点に対して予備計測を行う(S1−1)。そして、予備計測の結果に基づき、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から、測定対象物に最適な測定モードを選定する(S1−2)。
【0038】
続いて、選定した測定モードで本計測を行い(S1−3)、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S1−4)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S1−5)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S1−6)、計測を継続する。
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S1−7)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよい。
【0039】
<計測方法:第2の実施形態>
第2の実施形態に係る計測方法は、概ね正確な形状を短時間で計測する場合に適した計測方法であり、測定モードを自動判別し、単一測定モード及び単一運転モードで計測を行うようにしたものである。
【0040】
図7を参照して、第2の実施形態に係る計測方法を説明する。図7は、第2の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
【0041】
第2の実施形態では、まず初めに、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)を選定し(S2−1)、各測定点に対して、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から最適な測定モードを選定する(S2−2)。そして、選定した測定モードで、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)に対して予備計測を行う(S2−3)。なお、測定モードの選定に際して、最短時間で計測することができる測定モードを自動的に選定してもよいし、測定者が16通りの測定モードの中から任意の測定モードを選定し、この測定モードで優位数が計測できることを確認して行ってもよい。
【0042】
続いて、予備計測の結果に基づいて、優位数(例えば5点のうちの3点以上)を占める優位な測定モードを自動判別する(S2−4)。ここで、優位な測定モードとは、優位数を計測することができ、かつ最短時間で計測することができる測定モードのことである。
【0043】
続いて、自動判別した測定モードで本計測を行い(S2−5)、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S2−6)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S2−7)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S2−8)、計測を継続する。
【0044】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S2−9)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよい。
【0045】
<計測方法:第3の実施形態>
第3の実施形態に係る計測方法は、データ取得率を向上させて、より正確な形状を計測する場合に適した方法であり、第2の発明の計測手順に加えて、運転モードを可変として計測を行うようになっている。
【0046】
この第3の実施形態に係る計測方法は、選定した測定モードにおける計測が実施できなかった場合に、当該測定点において計測が可能となるまで計測所要時間を段階的に増加させて再計測を試みる。さらに、計測所要時間が予め定めた上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、当該上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる。続いて、計測試行回数が予め定めた上限値に達した場合には、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測に移行するものである。
【0047】
図8を参照して、第3の実施形態に係る計測方法を説明する。図8は、第3の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第3の実施形態では、まず初めに、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)を選定し(S3−1)、各測定点に対して、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から最適な測定モードを選定する(S3−2)。そして、選定した測定モードで、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)に対して予備計測を行う(S3−3)。なお、測定モードの選定に際して、最短時間で計測することができる測定モードを自動的に選定してもよいし、測定者が16通りの測定モードの中から任意の測定モードを選定し、この測定モードで優位数が計測できることを確認して行ってもよい。
【0048】
続いて、予備計測の結果に基づいて、優位数(例えば5点のうちの3点以上)を占める優位な測定モードを自動判別する(S3−4)。ここで、優位な測定モードとは、優位数を計測することができ、かつ最短時間で計測することができる測定モードのことである。
【0049】
続いて、自動判別した測定モードで本計測を行い(S3−5)、計測が実施できたか否かを判断する(S3−6)。ここで、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S3−7)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S3−8)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S3−9)、計測を継続する。
【0050】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S3−10)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S3−11)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を通信時間の上限値とする。
【0051】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S3−12)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S3−13)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S3−7)へ移行する。
【0052】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S3−14)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S3−12)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S3−9)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、データの再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。
【0053】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S3−15)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第2の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0054】
上述した計測所要時間の増加処理(S3−11)において、携帯情報端末やパーソナルコンピュータに接続された表示装置の表示画面に、計測条件の再設定中である旨の表示、及び再計測に要している時間を表示する構成としてもよい。具体的には、計測所要時間を増加させている場合には、表示装置の表示画面に「計測条件再設定中」及び「再計測時間:1.4秒」等の表示を行う。
【0055】
<計測方法:第4の実施形態>
第4の発明は、全測定点に対して、測定モード及び運転モードを可変とすることにより、厳密な形状を計測する場合に適した計測方法である。この第4の発明は、測定点毎に複数の測定モードの中から最適な測定モードを選定して計測を行う。続いて、選定した測定モードにおける計測が実施できなかった場合には、段階的に計測所要時間を増加させて再計測を試みる。ここで、計測所要時間が予め定めた上限値に達しても測定データが取得できなかった場合には、当該上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる。さらに、計測試行回数が予め定めた上限値に達した場合には、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測を行うものである。
【0056】
図9を参照して、第4の実施形態に係る計測方法を説明する。図9は、第4の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第4の実施形態では、まず初めに、各測定点において、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から任意の測定モードを選定し(S4−1)、選定した測定モードで計測を行う(S4−2)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S4−3)、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S4−4)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S4−5)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S4−6)、計測を継続する。
【0057】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S4−7)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S4−8)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を計測所要時間の上限値とする。
【0058】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S4−9)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S4−10)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S4−4)へ移行する。
【0059】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S4−11)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S4−9)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S4−6)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。
【0060】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S4−12)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第1の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0061】
上述した計測所要時間の増加処理(S4−8)において、携帯情報端末やパーソナルコンピュータに接続された表示装置の表示画面に、計測条件の再設定中である旨の表示、及び再計測に要している時間を表示することができることは、上述した第3の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0062】
<計測方法:第5の実施形態>
第5実施形態に係る計測方法は、測定対象物が所定の規則に基づき大きく変化する場合に適する計測方法であり、いわゆるセミオート測定モードにより計測を行うようになっている。具体的には、L型擁壁に生コンクリートを充填する際に空間容積を計測する場合等、計測対象物が所定の規則に基づいて大きく変化する場合に優位となる方法である。すなわち、L型擁壁に生コンクリートを充填する場合は、コンクリート面と地山面が計測対象物となるため、第5の実施形態に係る計測方法が優位となる。
【0063】
この第5の実施形態に係る計測方法は、測定箇所の状態に応じて測定箇所を複数に分割する。続いて、分割された測定箇所毎に最適な測定モードと、レーザ照射による計測所要時間及び計測試行回数に関する最適な運転モードとを選定して計測を行うようになっている。ここで、測定箇所の分割は、計測対象物の深度や高さ、方位などの範囲を指定して行われる。なお、セミオート測定モードには、分割された測定箇所毎に、計測所要時間や計測試行回数を任意選定して計測を行う方法も含まれる。
【0064】
図10を参照して、第5の実施形態に係る計測方法を説明する。図10は、第5の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第5の実施形態では、まず初めに、測定箇所の状態に応じて測定箇所を複数に分割する(S5−1)。続いて、分割された測定箇所毎に、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から最適な測定モードを選定するとともに、運転モードを選定し(S5−2)、選定した測定モード及び運転モードで計測を行う(S5−3)。
【0065】
そして、計測が実施できたか否かを判断し(S5−4)、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S5−5)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S5−6)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S5−7)、計測を継続する。
【0066】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S5−8)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S5−9)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を計測所要時間の上限値とする。なお、測定箇所毎に、計測所要時間が選定されている場合には、上述したステップ5−8(S5−8)及びステップ5−9(S5−9)の処理は省略される。
【0067】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S5−10)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S5−11)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S5−5)へ移行する。
【0068】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S5−12)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S5−10)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S5−7)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。また、計測所要時間及び計測試行回数を選定しない場合には、単一の運転モードで計測を行うことになる。
【0069】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S5−13)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第1の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0070】
<計測方法:第6の実施形態>
第6の実施形態に係る計測方法は、一般的な測定対象物とは極端に条件が異なった測定対象物に適する計測方法であり、いわゆるマニュアル測定モードにより測定を行うようになっている。この第6の実施形態に係る計測方法は、測定点毎に最適な測定モードと、計測所要時間及び計測試行回数に関する最適な運転モードとを選定して、計測を行うものである。
【0071】
図11を参照して、第6の実施形態に係る計測方法を説明する。図11は、第6の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第6の実施形態では、まず初めに、測定点毎に、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から測定モードを選定するとともに、計測所要時間及び計測試行回数に関する最適な運転モードを選定し(S6−1)、選定した測定モード及び運転モード計測を行う(S6−2)。
【0072】
そして、計測が実施できたか否かを判断し(S6−3)、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S6−4)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S6−5)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S6−6)、計測を継続する。
【0073】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S6−7)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S6−8)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を計測所要時間の上限値とする。なお、測定点毎に、計測所要時間が選定されている場合には、上述したステップ6−7(S6−7)及びステップ6−8(S6−8)の処理は省略される。
【0074】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S6−9)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S6−10)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S6−4)へ移行する。
【0075】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S6−11)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S6−9)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S6−6)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。また、計測所要時間及び計測試行回数を選定しない場合には、単一の運転モードで計測を行うことになる。
【0076】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S6−12)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第1の実施形態に係る計測方法と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る空間断面形状の計測方法に用いる測定装置の模式図。
【図2】トンネル工事における空間断面形状の計測方法を説明する説明図。
【図3】トンネル工事における空間断面形状の計測方法の概略を示すフローチャート。
【図4】測定モードが計測所要時間に与える影響の説明図。
【図5】グループ化した測定モードの説明図。
【図6】第1の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図9】第4の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図10】第5の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図11】第6の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0078】
10 測定装置
11 三脚
12 回動テーブル
13 ハンドル
30 レーザ測距計
40 携帯情報端末
50 トンネル断面
100 検査窓(矢板)の跡
E1−E1,E2−E2 同一のエレベーション位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間断面形状の計測方法に関するものであり、特に多様な空間形状を容易かつ精度良く計測することが可能な空間断面形状の計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事における覆工コンクリート、場所打ちコンクリート杭、場所打ち擁壁等の建設工事では、レーザ測距計を用いて空間断面形状を計測する必要がある。この際、正確な計測を行うためには、座標が既知である基準点が必要となる。例えば、トンネル断面を正確に計測する場合には、トンネルの縦断線形や横断方向を特定するために、予め座標が測量されている基準点を設け、計測方向に対して精密にレーザ光を照射できるようにレーザ測距計を設置する必要があり、作業効率が悪いという問題があった。
【0003】
そこで、このような問題に対応するため、トンネル施工時及び施工後の形状確認を容易かつ迅速に行うための計測装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されているトンネル内空断面形状計測装置は、所定の計測断面におけるトンネル側壁及び天井に反射部材を複数個周設し、トンネル床面にレールを敷設し、レール上にメインフレームを駆動輪により移動自在な形で設け、レーザ光を計測断面内に射出走査する2個のボックスをメインフレーム上に設けたものである。
【0004】
【特許文献1】特開平6−307863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術は、レール及び大がかりな装置を設置可能なトンネルに適用することはできるが、小規模のトンネル等には適用することができない。また、予めトンネル側壁及び天井に反射部材を設置しなければならず、作業効率という面ではさらなる改善が必要であった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、多様な空間形状を容易かつ精度良く計測することが可能な空間断面形状の計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空間断面形状の計測方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明の空間断面形状の計測方法は、任意の位置にレーザ測距計を設置する工程と、位置決め用レーザ光を計測対象の縦断方向へ照射し、この位置決め用レーザ光に基づいてレーザ測距計を計測対象の縦断方向と略平行となるように位置決めする工程と、レーザ測距計から照射されるレーザ光が、位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計の向きを調整する工程と、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う計測工程と、を含んでいる。
そして、計測工程は、基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第1の計測工程と、レーザ測距計を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第2の計測工程と、レーザ測距計を、基準方向から前記第2の計測工程とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第3の計測工程と、を含み、第1の計測工程、第2の計測工程、及び第3の計測工程における計測結果の中から最小となる計測値を当該空間断面の計測値として採用する、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、上述した特徴点に加えて、第2の計測工程と第3の計測工程とにおいて、レーザ測距計を水平方向に回転させる角度は、それぞれ基準方向から逆方向に同一角度であることを特徴とするものである。ここで、基準方向から逆方向に同一角度とは、基準方向からの角度の絶対値が同一であることをいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空間断面形状の計測方法では、1断面につき、基準方向で行う計測と、この基準方向からそれぞれ逆方向にレーザ測距計を回転させて行う計測との合計3回の計測を行うことにより、レーザ測距計の設置時における設計縦断面線形とのずれを補完して、空間断面形状を容易かつ精度良く計測することができる
また、1断面につき合計3回の計測を行うことにより、例えばトンネルの変形や、覆工コンクリートの劣化状況を推測するための有用なデータを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る空間断面形状の計測方法の実施形態を説明する。
まず初めに、本発明の実施形態に係る空間断面形状の計測方法に用いる測定装置について説明する。
【0011】
<測定装置>
本発明の実施形態に係る空間断面形状の計測方法に用いる測定装置は、山岳トンネルにおいて覆工コンクリートの必要量を算出する場合に好適に用いるものである。図1は、測定装置を示す模式図である。
【0012】
この測定装置レーザ測距計を支持するための支持装置と、支持装置に対してレーザ測距計を回動可能に取り付けるための回動装置と、測定データを取得して空間容積の演算処理を行うための演算装置と、を備えている。
すなわち、測定装置10は、図1に示すように、三脚11と、三脚11の上部に回動可能に取り付けられた回動テーブル12と、回動テーブル12上に載置されたレーザ測距計30と、レーザ測距計30との間で無線通信によりデータの送受信を行うとともに取得した測定データに基づいて空間容積の演算処理を行う携帯情報端末40とを備えている。
【0013】
三脚11は、レーザ測距計30を支持するための支持装置として機能する装置であって、一般的な測量に用いる三脚11を使用することができる。なお、支持装置として機能する装置は三脚11に限定されるものではなく、レーザ測距計30を支持できればどのような構造であってもよい。
【0014】
回動テーブル12は、支持装置に対してレーザ測距計30を回動可能に取り付けるための回動装置として機能するものである。この回動テーブル12は、トンネルの軸方向に対して略鉛直な平面に沿って回動可能となっている。また、回動テーブル12は、ステッピングモータ(図示せず)の駆動により、回動テーブル12をトンネルの軸方向に対して水平方向及び略鉛直な平面に沿って回動させることができる。このように、ステッピングモータを用いて回動テーブル12を回動させる構成とすることにより、測定操作が自動化して測定の手間を軽減することができるとともに、各測定点に関する正確な座標管理を行うことができる。なお、回動テーブル12には、外方へ向かって突出したハンドル13が取り付けられているため、このハンドル13を操作することにより、回動テーブル12を手動で回動させてもよい。
【0015】
レーザ測距計30は、計測対象物に対してレーザ光を発射し、計測対象物で反射されてきたレーザ光を受光し、レーザ光を発射してから受光するまでの時間を計測することにより、レーザ送受光部から計測対象物までの距離を測定するための装置である。このレーザ測距計30は、周知のものを用いることができる。
【0016】
携帯情報端末40は、バッテリ駆動可能な小型のコンピュータで、CPU、ROM、RAM等を備えており、ROM等に格納されたアプリケーションプログラムに従ってCPU等が動作することにより、簡易な演算機能を発揮できるようになっている。また、携帯情報端末40は、データの記憶機能や通信機能を備えている。なお、通信手段は、irDAやBluetooth(登録商標)等の短距離無線通信技術を用いたものであってもよいし、有線通信によりデータの送受信を行うものであってもよい。この携帯情報端末40は、周知のものを用いることができる。
【0017】
<空間断面形状の計測>
次に、図2及び図3を参照して、上述した測定装置10を用いてトンネルの断面形状を計測する方法を説明する。図2は、トンネル工事における断面形状の計測方法を説明する説明図であり、(a)はトンネルの縦断面を示す説明図、(b)はトンネルの平面を示す説明図である。また、図3は、トンネル工事における断面形状の計測方法の概略を示すフローチャートである。
【0018】
上述した測定装置10を用いてトンネルの断面形状を計測するには、トンネル掘削が終了した後に、図2及び図3に示すように、任意の位置に測定装置10を設置する(S11)。この際、気泡管で測定装置10のレベルを水平にセットする程度の簡便な作業が行われる。また、測定装置10を設置する位置は、図2(a)及び(b)に示すように、トンネルの中央部に限られず、中央部から左右いずれかにずれた位置であってもよい。すなわち、測定装置10をどのような位置に設置した場合であっても、トンネルの断面形状を計測することができるため、トンネルの底面の状態(水が貯留している等)に応じて、測定装置10の設置位置を適宜変更することができる。
【0019】
続いて、位置決め用レーザ光をトンネル縦断方向へ照射し、この位置決め用レーザ光に基づいて測定装置10がトンネル縦断方向と略平行となるように位置決めする(S12)。具体的には、任意の覆工コンクリート(1ブロック)の両妻の同程度のエレベーション(高さ)や、検査窓や矢板の跡100等を目安として目視により位置決めを行う。このようにして、同一のエレベーション位置E1−E1(E2−E2)に測定装置10を設置することができる。
【0020】
そして、レーザ測距計30から照射される計測用レーザ光が、位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計30の向きを調整する(S13)。すなわち、回動テーブル12がトンネルの線形方向(軸方向)に対して略鉛直な平面に沿って回動するように測定装置10の向きを合わせる。具体的には、位置決め用レーザ光の向きと計測用レーザ光の向きとが直角となるように測定装置10がセットされている場合には、そのまま計測を開始するが、位置決め用レーザ光の向きと計測用レーザ光の向きとが同一方向(平行)となるように測定装置10がセットされている場合には、レーザ測距計30を90度回転させた後に計測を開始する。
【0021】
続いて、基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して第1回目の計測を行う(S14)。続いて、レーザ測距計30を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第2回目の計測を行う(S15)。さらに、レーザ測距計30を、基準方向から第2回目の計測工程とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して第3回目の計測を行う(S16)。
【0022】
そして、第1回目の計測、第2回目の計測、及び第3回目の計測における計測結果の中から最小となる計測値を当該トンネル断面50の形状として採用して(S17)、レーザ測距計30と携帯情報端末40との間で無線通信を行い、携帯情報端末40に測定データを蓄積する(S18)。
【0023】
各計測工程では、回動テーブル12を測定断面に沿って回動させるためのステッピングモータ(図示せず)を用いて、回動テーブル12を所定角度ずつ回転させながら計測を行う。また、レーザ測距計30を水平方向へ回動させるためのステッピングモータ(図示せず)を用いて、レーザ測距計30の向きを変更しながら第1回目、第2回目、及び第3回目の計測を行う。レーザ測距計30を水平方向に回転させる角度は、例えば、200STEPのステッピングモータを使用した場合に、1.8(度/STEP)×α(STEP)となる。例えば、α=1とした場合には、レーザ測距計30を基準方向から水平方向にそれぞれ1.8度回転させて、第1回目及び第3回目の計測を行うことになる。
【0024】
そして、トンネルの掘削が進むと、例えば3m毎に上述した作業を繰り返して、計測すべきすべての範囲において計測を行う。なお、ステッピングモータを用いずに、ハンドル13を操作して回動テーブル12を所定角度ずつ鉛直方向に回転させながらレーザ測距計30によりトンネル断面50までの距離を測定してもよい。
【0025】
上述したように、位置決め用レーザ光を用いて目視により測定装置10を設置した場合には、角度誤差が生じる可能性がある。ここで、現場で計測を行った実績では、トンネルの断面形状や大きさに影響されるものの、5度未満の角度誤差に抑えられることがわかっている。このため、測定装置10を基準方向から左右に5度程度振ってやることで、トンネル線形法線方向にほぼ一致した断面の計測を行うことができる。
【0026】
仮にトンネル線形法線方向に対して4°ずれた状態で測定装置10が設置された場合に、測定装置10を基準方向から左右に5度程度振ってやると、トンネル線形法線方向に対して1度、4度、5度ずれた断面を計測することができる。この際、計測値が最小となる断面を採用することにより、誤差1度という精度の高い断面形状を得ることができる。
【0027】
ここで、3回の計測を行って、その計測結果の中から最小となる計測値を当該空間断面の計測値として採用する理由について説明する。
各計測におけるトンネル内空幅B′は、以下の式で表すことができる。
B′=B/cosθ
なお、
B′:計測される内空幅
B :設計上の内空幅
θ :トンネル線形法線方向に対する角度
上述した式から、cosθ=1の場合、すなわちθ=0°の場合に、計測される内空幅B′と設計上の内空幅Bとが等しいことがわかる。そして、θが90°に近づくに従って計測される内空幅B′が大きくなる。したがって、計測値が最小となった際におけるトンネル線形法線方向に対する計測用レーザ光の照射方向が、最もトンネル線形法線方向に近似することになる。このため、計測結果の中から最小となる計測値を空間断面の計測値として採用することにより、精度よく断面形状を計測することができる。
【0028】
また、計測結果を設計値と比較することにより、以下の考察を得ることができる。
第1に、設計値と比較して周長が長く、内空幅や内空高さが小さい、若しくは同等の場合には、当該断面の表面は凹凸が大きく、コンクリートであれば劣化や浸食がされている可能性があると考えられる。
第2に、設計値と比較して周長が小さい、若しくは同等で、内空幅や内空高さが大きい場合には、局所的に洗掘や肌落ちが発生している可能性があると考えられる。
第3に、設計断面(形状)と計測した内空断面(形状)とを比較することにより、変形の方向や変形の原因となる外力の採用方向を推定することができる。但し、変形については、水分や地質条件等の環境条件を十分に考慮する必要がある。
【0029】
トンネル工事では、掘削作業及び一次支保工に続いて、覆工コンクリートを流し込むために、防水シート及び型枠を設置する。この型枠設置等に要する時間を利用して、携帯情報端末に蓄積した測定データに基づき地山を掘削した空間容積を演算し、型枠により形成される空間容積を差し引いて必要な覆工コンクリート量を算出する。携帯情報端末における演算処理は、携帯情報端末に搭載されたアプリケーションソフトウェアの機能により行われる。また、携帯情報端末に蓄積した測定データをパーソナルコンピュータに取り込み、パーソナルコンピュータに搭載されたアプリケーションソフトウェアを用いて、携帯情報端末では行うことができない複雑な演算処理を行い、トンネル断面形状を可視的に出力する等の処理を行うこともできる。
【0030】
<空間容積の計測方法の基本概念>
次に、図4及び図5を参照して、上述した測定装置10を用いて空間容積を計測する方法を説明する。図4は測定モードが計測所要時間に与える影響の説明図、図5はグループ化した測定モードの説明図である。
【0031】
上述した測定装置10に用いるレーザ測距計30は、レーザ照射位置の照度、明度、乾湿状態、及び凹凸状態に応じて複数の測定モードが設定されている。以下、複数の測定モードについて説明する。
レーザ測距計30を用いた計測では、レーザ照射位置の状態に応じて計測所要時間が変化することが知られている。レーザ照射位置の状態とは、例えば、照度、明度、乾湿状態、及び凹凸状態のことである。ここで、照度を「明」「暗」の2種類に区分し、明度を「白」「黒」の2種類に区分し、乾湿状態を「乾燥」「湿潤」の2種類に区分し、凹凸状態を「平滑」「凹凸」の2種類に区別した場合について説明する。
【0032】
計測所要時間に影響を与える条件として、2パラメータずつ4水準があるとすると、これらの組み合わせは、24=16通りとなる。すなわち、レーザ照射位置の照度、明度、乾湿状態、及び凹凸状態に応じて区別すると、16通りの組み合わせとなる。
ここで、8つの変数を計測所要時間に与える影響が小さいグループと大きいグループとに区別する。計測所要時間に与える影響が小さいグループである「影響小g」として「明」、「白」、「乾燥」、「平滑」の4つの関数があり、計測時間に与える影響が大きいグループである「影響大g」として「暗」、「黒」、「湿潤」、「凹凸」の4つの変数がある。なお、各グループ内では、各変数が計測所要時間に与える影響は同じであると仮定する。また、「影響小g」が計測時間に与える影響の計数を「1」と仮定し、「影響大g」が計測時間に与える影響の計数を「2」と仮定する。
【0033】
以上の仮定から、16通りの測定モードが計測所要時間に与える影響は、図4に示すようになる。図4において、影響計数が大きいほど計測所要時間が長くなる。そして、図4に基づいて、16通りの測定モードが計測所要時間に与える影響をグループ化すると、図5に示すようになる。
【0034】
測定モードの選定では、図5に示す測定モードの中から測定箇所に最も適した測定モードを選定すればよい。この際、測定モードを自動選定することができる。測定モードを自動選定するには、任意数の測定点(例えば5点)に対して、16通りの測定モードの中から最適な測定モードを判別し測定を実施する。そして、優位数(例えば、5点のうちの3点以上)を計測することができ、かつ最短時間で計測することができる測定モードを自動的に選定する。また、測定者が、16通りの測定モードの中から任意の測定モードを選定し、この測定モードで優位数が計測できることを確認して、実際の計測を開始してもよい。この際、測定モードの自動選定は、携帯情報端末やパーソナルコンピュータの機能として実施される。すなわち、測定モードの自動選定を行うためのアプリケーションプログラムを携帯端末情報やパーソナルコンピュータの記憶手段(例えば、ROMやハードディスク記憶装置)に格納しておき、携帯端末情報やパーソナルコンピュータの構成要素であるCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより、測定モードの自動選定が行われる。
【0035】
なお、測定モードの選定数及び優位数は、測定箇所の状況や要求される測定精度等に応じて適宜変更して設定することができる。また、測定モードの数は16通りに限られず、測定箇所の状況や要求される測定精度等に応じて適宜増減して設定することができる。
【0036】
<計測方法:第1の実施形態>
第1の実施形態に係る計測方法は、計測対象物の状態が一定であるものの形状を計測する場合に適した計測方法であり、測定モード及び運転モードを選定して測定を行うようにしたものである。
上述したように、レーザ測距計30を用いて距離を測定する場合には、計測対象物の状態に応じて計測所要時間が変化する。そこで、ステッピングモータ等を組み込んだ自動測定装置10に、16通りの測定モードを搭載しておき、測定対象物の状態に応じて測定モードを選定して計測を行う。
【0037】
図6を参照して、第1の実施形態に係る計測方法を説明する。図6は、第1の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第1の実施形態では、まず初めに、任意数の測定点に対して予備計測を行う(S1−1)。そして、予備計測の結果に基づき、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から、測定対象物に最適な測定モードを選定する(S1−2)。
【0038】
続いて、選定した測定モードで本計測を行い(S1−3)、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S1−4)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S1−5)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S1−6)、計測を継続する。
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S1−7)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよい。
【0039】
<計測方法:第2の実施形態>
第2の実施形態に係る計測方法は、概ね正確な形状を短時間で計測する場合に適した計測方法であり、測定モードを自動判別し、単一測定モード及び単一運転モードで計測を行うようにしたものである。
【0040】
図7を参照して、第2の実施形態に係る計測方法を説明する。図7は、第2の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
【0041】
第2の実施形態では、まず初めに、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)を選定し(S2−1)、各測定点に対して、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から最適な測定モードを選定する(S2−2)。そして、選定した測定モードで、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)に対して予備計測を行う(S2−3)。なお、測定モードの選定に際して、最短時間で計測することができる測定モードを自動的に選定してもよいし、測定者が16通りの測定モードの中から任意の測定モードを選定し、この測定モードで優位数が計測できることを確認して行ってもよい。
【0042】
続いて、予備計測の結果に基づいて、優位数(例えば5点のうちの3点以上)を占める優位な測定モードを自動判別する(S2−4)。ここで、優位な測定モードとは、優位数を計測することができ、かつ最短時間で計測することができる測定モードのことである。
【0043】
続いて、自動判別した測定モードで本計測を行い(S2−5)、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S2−6)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S2−7)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S2−8)、計測を継続する。
【0044】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S2−9)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよい。
【0045】
<計測方法:第3の実施形態>
第3の実施形態に係る計測方法は、データ取得率を向上させて、より正確な形状を計測する場合に適した方法であり、第2の発明の計測手順に加えて、運転モードを可変として計測を行うようになっている。
【0046】
この第3の実施形態に係る計測方法は、選定した測定モードにおける計測が実施できなかった場合に、当該測定点において計測が可能となるまで計測所要時間を段階的に増加させて再計測を試みる。さらに、計測所要時間が予め定めた上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、当該上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる。続いて、計測試行回数が予め定めた上限値に達した場合には、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測に移行するものである。
【0047】
図8を参照して、第3の実施形態に係る計測方法を説明する。図8は、第3の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第3の実施形態では、まず初めに、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)を選定し(S3−1)、各測定点に対して、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から最適な測定モードを選定する(S3−2)。そして、選定した測定モードで、任意の数の測定点(例えば5つの測定点)に対して予備計測を行う(S3−3)。なお、測定モードの選定に際して、最短時間で計測することができる測定モードを自動的に選定してもよいし、測定者が16通りの測定モードの中から任意の測定モードを選定し、この測定モードで優位数が計測できることを確認して行ってもよい。
【0048】
続いて、予備計測の結果に基づいて、優位数(例えば5点のうちの3点以上)を占める優位な測定モードを自動判別する(S3−4)。ここで、優位な測定モードとは、優位数を計測することができ、かつ最短時間で計測することができる測定モードのことである。
【0049】
続いて、自動判別した測定モードで本計測を行い(S3−5)、計測が実施できたか否かを判断する(S3−6)。ここで、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S3−7)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S3−8)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S3−9)、計測を継続する。
【0050】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S3−10)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S3−11)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を通信時間の上限値とする。
【0051】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S3−12)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S3−13)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S3−7)へ移行する。
【0052】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S3−14)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S3−12)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S3−9)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、データの再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。
【0053】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S3−15)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第2の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0054】
上述した計測所要時間の増加処理(S3−11)において、携帯情報端末やパーソナルコンピュータに接続された表示装置の表示画面に、計測条件の再設定中である旨の表示、及び再計測に要している時間を表示する構成としてもよい。具体的には、計測所要時間を増加させている場合には、表示装置の表示画面に「計測条件再設定中」及び「再計測時間:1.4秒」等の表示を行う。
【0055】
<計測方法:第4の実施形態>
第4の発明は、全測定点に対して、測定モード及び運転モードを可変とすることにより、厳密な形状を計測する場合に適した計測方法である。この第4の発明は、測定点毎に複数の測定モードの中から最適な測定モードを選定して計測を行う。続いて、選定した測定モードにおける計測が実施できなかった場合には、段階的に計測所要時間を増加させて再計測を試みる。ここで、計測所要時間が予め定めた上限値に達しても測定データが取得できなかった場合には、当該上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる。さらに、計測試行回数が予め定めた上限値に達した場合には、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測を行うものである。
【0056】
図9を参照して、第4の実施形態に係る計測方法を説明する。図9は、第4の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第4の実施形態では、まず初めに、各測定点において、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から任意の測定モードを選定し(S4−1)、選定した測定モードで計測を行う(S4−2)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S4−3)、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S4−4)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S4−5)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S4−6)、計測を継続する。
【0057】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S4−7)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S4−8)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を計測所要時間の上限値とする。
【0058】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S4−9)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S4−10)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S4−4)へ移行する。
【0059】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S4−11)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S4−9)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S4−6)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。
【0060】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S4−12)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第1の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0061】
上述した計測所要時間の増加処理(S4−8)において、携帯情報端末やパーソナルコンピュータに接続された表示装置の表示画面に、計測条件の再設定中である旨の表示、及び再計測に要している時間を表示することができることは、上述した第3の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0062】
<計測方法:第5の実施形態>
第5実施形態に係る計測方法は、測定対象物が所定の規則に基づき大きく変化する場合に適する計測方法であり、いわゆるセミオート測定モードにより計測を行うようになっている。具体的には、L型擁壁に生コンクリートを充填する際に空間容積を計測する場合等、計測対象物が所定の規則に基づいて大きく変化する場合に優位となる方法である。すなわち、L型擁壁に生コンクリートを充填する場合は、コンクリート面と地山面が計測対象物となるため、第5の実施形態に係る計測方法が優位となる。
【0063】
この第5の実施形態に係る計測方法は、測定箇所の状態に応じて測定箇所を複数に分割する。続いて、分割された測定箇所毎に最適な測定モードと、レーザ照射による計測所要時間及び計測試行回数に関する最適な運転モードとを選定して計測を行うようになっている。ここで、測定箇所の分割は、計測対象物の深度や高さ、方位などの範囲を指定して行われる。なお、セミオート測定モードには、分割された測定箇所毎に、計測所要時間や計測試行回数を任意選定して計測を行う方法も含まれる。
【0064】
図10を参照して、第5の実施形態に係る計測方法を説明する。図10は、第5の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第5の実施形態では、まず初めに、測定箇所の状態に応じて測定箇所を複数に分割する(S5−1)。続いて、分割された測定箇所毎に、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から最適な測定モードを選定するとともに、運転モードを選定し(S5−2)、選定した測定モード及び運転モードで計測を行う(S5−3)。
【0065】
そして、計測が実施できたか否かを判断し(S5−4)、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S5−5)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S5−6)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S5−7)、計測を継続する。
【0066】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S5−8)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S5−9)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を計測所要時間の上限値とする。なお、測定箇所毎に、計測所要時間が選定されている場合には、上述したステップ5−8(S5−8)及びステップ5−9(S5−9)の処理は省略される。
【0067】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S5−10)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S5−11)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S5−5)へ移行する。
【0068】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S5−12)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S5−10)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S5−7)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。また、計測所要時間及び計測試行回数を選定しない場合には、単一の運転モードで計測を行うことになる。
【0069】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S5−13)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第1の実施形態に係る計測方法と同様である。
【0070】
<計測方法:第6の実施形態>
第6の実施形態に係る計測方法は、一般的な測定対象物とは極端に条件が異なった測定対象物に適する計測方法であり、いわゆるマニュアル測定モードにより測定を行うようになっている。この第6の実施形態に係る計測方法は、測定点毎に最適な測定モードと、計測所要時間及び計測試行回数に関する最適な運転モードとを選定して、計測を行うものである。
【0071】
図11を参照して、第6の実施形態に係る計測方法を説明する。図11は、第6の実施形態に係る計測方法を示すフローチャートである。
第6の実施形態では、まず初めに、測定点毎に、予め設定された複数の測定モード(例えば16通りの測定モード)の中から測定モードを選定するとともに、計測所要時間及び計測試行回数に関する最適な運転モードを選定し(S6−1)、選定した測定モード及び運転モード計測を行う(S6−2)。
【0072】
そして、計測が実施できたか否かを判断し(S6−3)、計測が実施できた場合には、測定データを携帯情報端末に送信して蓄積する(S6−4)。続いて、すべての測定点における計測が終了したか否かを判断し(S6−5)、すべての測定点における計測が終了していなければ、次の測定点へ移動して(S6−6)、計測を継続する。
【0073】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測所要時間が上限値となるまで(S6−7)、段階的に(例えば10%程度ずつ)計測所要時間を増加させる(S6−8)。なお、計測所要時間が予め定めた上限値に達した場合には、それ以上、計測所要時間を増加させない。ここで、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有している場合には、この最大値が計測所要時間の上限値となる。また、レーザ測距計30が内部設定値として計測所要時間の最大値を有していない場合には、例えば2秒程度を計測所要時間の上限値とする。なお、測定点毎に、計測所要時間が選定されている場合には、上述したステップ6−7(S6−7)及びステップ6−8(S6−8)の処理は省略される。
【0074】
そして、計測所要時間が上限値に達しても計測が実施できなかった場合には、上限値の計測所要時間で当該測定点における再計測を試みる(S6−9)。続いて、計測が実施できたか否かを判断し(S6−10)、計測が実施できた場合には、測定データの送信処理(S6−4)へ移行する。
【0075】
一方、計測が実施できなかった場合には、計測試行回数が予め定めた上限値(例えば3回)に達したか否かを判断し(S6−11)、計測試行回数が予め定めた上限値となるまで、再計測(S6−9)を繰り返す。ここで、計測試行回数が予め定めた上限値となったら、当該測定点における計測を中止して、次の測定点における計測へ移行する(S6−6)。なお、計測試行回数の上限値を1回とした場合には、再計測を行わずに次の測定点における計測へ移行することになる。また、計測所要時間及び計測試行回数を選定しない場合には、単一の運転モードで計測を行うことになる。
【0076】
そして、すべての測定点における計測が終了したら、任意のタイミング(例えば型枠等の設置工事中)で、携帯情報端末のデータ処理機能により空間容積を算出する(S6−12)。なお、携帯情報端末における演算処理能力に応じて、計測データの送信及び蓄積と空間容積の演算処理とを並行して行ってもよいことは、上述した第1の実施形態に係る計測方法と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る空間断面形状の計測方法に用いる測定装置の模式図。
【図2】トンネル工事における空間断面形状の計測方法を説明する説明図。
【図3】トンネル工事における空間断面形状の計測方法の概略を示すフローチャート。
【図4】測定モードが計測所要時間に与える影響の説明図。
【図5】グループ化した測定モードの説明図。
【図6】第1の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図9】第4の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図10】第5の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【図11】第6の実施形態に係る計測方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0078】
10 測定装置
11 三脚
12 回動テーブル
13 ハンドル
30 レーザ測距計
40 携帯情報端末
50 トンネル断面
100 検査窓(矢板)の跡
E1−E1,E2−E2 同一のエレベーション位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ測距計を用いて空間断面形状を計測する方法であって、
任意の位置にレーザ測距計を設置する工程と、
位置決め用レーザ光を計測対象の縦断方向へ照射し、この位置決め用レーザ光に基づいてレーザ測距計を計測対象の縦断方向と略平行となるように位置決めする工程と、
レーザ測距計から照射されるレーザ光が、前記位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計の向きを調整する工程と、
計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う計測工程と、
を含み、
前記計測工程は、
基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第1の計測工程と、
レーザ測距計を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第2の計測工程と、
レーザ測距計を、基準方向から前記第2の計測工程とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第3の計測工程と、を含み、
前記第1の計測工程、前記第2の計測工程、及び前記第3の計測工程における計測結果の中から最小となる計測値を当該空間断面の計測値として採用する、
ことを特徴とする空間断面形状の計測方法。
【請求項2】
前記第2の計測工程と前記第3の計測工程とにおいて、レーザ測距計を水平方向に回転させる角度は、それぞれ基準方向から逆方向に同一角度であることを特徴とする請求項1に記載の空間断面形状の計測方法。
【請求項1】
レーザ測距計を用いて空間断面形状を計測する方法であって、
任意の位置にレーザ測距計を設置する工程と、
位置決め用レーザ光を計測対象の縦断方向へ照射し、この位置決め用レーザ光に基づいてレーザ測距計を計測対象の縦断方向と略平行となるように位置決めする工程と、
レーザ測距計から照射されるレーザ光が、前記位置決め用レーザ光の照射方向と直角となる基準方向へレーザ測距計の向きを調整する工程と、
計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う計測工程と、
を含み、
前記計測工程は、
基準方向で計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第1の計測工程と、
レーザ測距計を、基準方向から所定角度だけ水平方向に回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第2の計測工程と、
レーザ測距計を、基準方向から前記第2の計測工程とは逆方向へ所定角度だけ回転させて、計測対象に計測用レーザ光を照射して計測を行う第3の計測工程と、を含み、
前記第1の計測工程、前記第2の計測工程、及び前記第3の計測工程における計測結果の中から最小となる計測値を当該空間断面の計測値として採用する、
ことを特徴とする空間断面形状の計測方法。
【請求項2】
前記第2の計測工程と前記第3の計測工程とにおいて、レーザ測距計を水平方向に回転させる角度は、それぞれ基準方向から逆方向に同一角度であることを特徴とする請求項1に記載の空間断面形状の計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−79953(P2009−79953A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248374(P2007−248374)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
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