説明

穿孔カバーおよび着脱自在な構成部品による履物製品

【課題】接合作業の数を減らすことができる履物製品を提供する。
【解決手段】履物製品10は、着用者の足の少なくとも一部を包むように形成された柔軟なカバー12を含む。カバーは、内面と外面とを備えたソール領域を有し、内面は着用者の足裏に面するように配置され、外面は逆方向に面するように配置される。更に、カバーはソール領域に複数の孔22が形成されている。更に本製品は、カバー内に重ね入れられる着脱自在のアウトソール16を含む。アウトソールは、着用者の足裏に面するように配置された上面と、カバーの内側のソール領域の面に面する下面と、下面に設けられカバーの複数の孔へと突出する複数の突起20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物製品に関するものである。具体的には、本発明は任意に着脱または交換可能な複数の構成部品を有する履物製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
履物は、しばしば特定の活動に関連して機能的な役割をはたす。履物の機能として最もよく知られた例の1つは、外部環境からの着用者の足の保護である。具体的には、人は自分の足底を自分が歩く表面から保護するために靴を履く。更に、履物は、着用者が歩く際の追加のトラクション(牽引)作用、着用者の足のサポート作用、暖気、等を提供することができる。履物はしばしばこれらおよび他の機能を種々の程度に担う。例えば、人は屋外を歩く際には相対的に頑丈な靴を必要とすることもあるが、屋内を歩く際には軽い上靴だけで十分である。
【0003】
履物が担う多様な機能のため、人はしばしば各種状況での使用向けに設計された靴を複数足所有する。これは不便な場合もある。種類の異なる靴の使用が適切な多様な環境に遭遇すると予想される場合、現在履いている靴に加えて一足以上の靴を持ち運ばざるを得なくなるかもしれない。
多くの分野でもそうあるように、製造加工は履物業界においても多くの課題を呈する。上述したように、着用者の足をサポートするため、トラクション作用を与えるためおよび/または耐久性のため、靴はしばしばアウトソール領域で頑丈な表面を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、往々にして靴の他の部分はより柔らかくかつより可撓性を有することが望ましい。これら異なる要件のため、靴はしばしば多種類の材料から製造される。これらの多様な材料は通常何らかの方法、例えば縫合、接着等で接合される。異なる種類の構成部品を接合するには、しばしば追加の製造工程を要する。接合作業の数を減らせば製造工程は減り、結果としてコストが削減される。
【0005】
使い古した靴の処分は、履物業界におけるまた別の課題である。靴の商品寿命の最後には、接合された構成部品は大抵分離されなければならない。具体的には、靴の構成に用いられる異なる材料は大抵それぞれ異なるリサイクル要件を有する。接着、縫合、または他の方法で接着された構成部品の分離は、リサイクルの不便および負担を増す。リサイクルの便宜が良くなければ、単純に靴をリサイクルされないゴミと一緒に捨てることもある。靴がより簡単に個々の構成部品に分離出来れば、人はその靴をリサイクルする気になるだろう。
【0006】
本発明は、上記および他の課題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、本発明はいくつかの構成部品を有する靴を含む。着用者は任意にこれらの構成部品を分離し、次にいくつかまたは全ての構成部品を再び組み合わせてもよい。1つの実施形態では、本発明は人間の着用者の足に装着されるように構成された製品を含む。本製品は着用者の足の少なくとも一部を包むように形成した柔軟なカバーを含む。カバーは互いに反対向きの外面および内面を有するソール領域を有し、内面は着用者の足裏に面するように配置されている。更にカバーはソール領域に複数の孔を形成してある。本製品はカバー内に重ね入れられる着脱自在のアウトソールを更に含む。アウトソールは互いに反対向きの上面および下面を有し、下面はソール領域の内面に面する。更にアウトソールは下面上に、カバーの複数の孔へと突出する複数の突起を有する。
【0008】
他の実施形態において、本発明は人間の着用者の足に装着されるように構成された製品を更に含む。本実施形態は、着用者の足の少なくとも一部を包むように形成され、ソール領域を有する柔軟なカバーを更に含む。更にカバーは、ソール領域に取り付けられ、足の上部および側部の少なくとも一部を覆うよう配置されたアッパー領域を有する。ソール領域およびアッパー領域には複数の孔が形成されている。本実施形態は、互いに反対向きである上面および下面、ならびに下面上にカバーの複数の孔の一部へと突出する複数の突起を有し、カバー内に重ね入れられる着脱自在のアウトソールを含む。本実施形態はソールとアッパーとを有し、ソールがアウトソール上面に面する、カバー内に重ね入れられる着脱自在の上靴を更に含む。
【0009】
本発明の上述のおよび他の特徴および効果は、添付の図面を参照して以下に述べる好適な実施形態の詳細な説明から容易に明らかになり、また十分に理解されるであろう。
本発明の上述の概要、および以下の好適な実施形態の詳細な説明は添付図面とあわせて読むことにより、よりよく理解される。図面は特許請求の範囲に記載されている発明を限定するものとしてではなく、例示として含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態は、上述の課題の多くに対処する。少なくとも1つの実施形態において、本発明は着用者が分離できる複数の構成部品を有する靴を含む。着用者は任意にこれらの構成部品のいくつかまたは全てを選択し、組み合わせてもよい。1つの実施形態において、靴は着用者の足を包み、靴の他の構成部品を着脱自在に収める一体型の柔軟な外部カバーを有する。それらの構成部品の1つは、カバーの内側に入り込み、カバーのソール領域(履物の底領域)に据わる。内部上靴構成部品もカバー内に嵌り、アウトソールの上に据わる。インソール構成部品もカバー内側、すなわち上靴内または上靴とアウトソールとの間に嵌め込んでもよい。
【0011】
図1は、本発明の少なくとも1つの実施形態にかかる組み立てられた靴10の上部の斜視図である。靴10は、右靴である(すなわち着用者の右足用に形成されている)。図1の実施形態による左靴は実質的に同様であるが、着用者の左足用に形成されている。靴10は、一体型の穿孔された外部カバー(または「ケージ」)12を含む。ケージ12は、概して着用者の足の踝より下を包み、ケージ表面に多数の孔22が形成されている。ケージ12内に含まれているのは上靴(スリッパ)14である。上靴14とケージ12との間に挟み込まれているのはアウトソール16である。アウトソール16は図1ではわずかに見えるだけであるが、以降の図ではより明瞭に見える。アウトソール16は、ケージ12の下部の孔22を貫いて突出する複数の突起20を更に含む。図1では見られないが、靴10はインソール18も含む。インソール18は上靴14とアウトソール16との間、または完全に上靴14内に配置することができ、図9、図11、図18、図18A、図19および図19Aとあわせて以下に更に詳細に説明される。
【0012】
本発明の理解を容易にするため、図面において靴10の各構成部品に異なる陰影付け(シェーディング)が用いられている。具体的には、ケージ12は全図面において陰影(シェーディング)なしで示されている。上靴14は全図面において、網目模様(メッシュパターン)で示されている。同模様は、繊維面を表すため他の状況において時折用いられる。アウトソール16は、全図面において点描で示されている。点描および網目模様は図において各構成部品をより明瞭に区別する目的で加えられている。陰影付けはこれらのいかなる構成部品に対しても表面の組織や製造に用いられる材料を制限することを意図するものではない。
【0013】
図2は、図1の靴の内側(両足の中央側に対応する側)の側面図である。図2で部分的に見られるように、アウトソール16は(少なくとも、本実施形態において)着用者の足の端でやや上に立ち上がっている。アウトソールの縁32(図9に関連して記述する)の上端は、図1〜図5および図15の一部で隠れ線によって示される。図3は、靴10の外側(両足の外側に対応する側)の側面図である。図4および図5は、それぞれ靴10の背部および正面の図面である。図6は、靴10の上面図であり、かかと領域における上靴14のソール領域内面を示す。以下に更に詳細に説明するが、靴10はインソール18が上靴14内に据わるような代替構成としてもよい。図7は、突起20がケージ12のソールの孔22を貫いて突出しているところを示す靴10の底面図である。
【0014】
図8は、ケージ12のみ(すなわち、アウトソール16、インソール18および上靴14なしで)の斜視図である。ケージ12は、靴10内で着用者の足をぴったりと、かつ快適に保持する。少なくともいくつかの実施形態において、また図14、図15および図17で示すように、ケージ12は足の開口部を除いて完全に着用者の足を包む。以下に更に詳細に述べるが、靴10の選択された構成部品は全ての構成部品より少ない構成部品を用いて種々の構成に組み合わせてもよい。これらのいくつかの構成において、ケージ12は構成部品を一体的に保持する機能を果たす。例えば、ケージ12が図15で示すようにアウトソール16と一緒に(上靴14なしで)着用される場合、ケージ12はアウトソール16を着用者の足のソールに押しあてて保持する。
【0015】
少なくともいくつかの実施形態において、ケージ12は着用者の足にすっとはけるには十分に柔軟でありながらも、着用者が歩くかもしれない硬い表層との繰返し接触に対して十分に耐久性がある材料から形成されている。少なくとも1つの実施形態において、ケージ12は熱可塑性ポリウレタン(例えばペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社から入手可能なDESMOPAN 9370 AU)から成型される。いくつかの実施形態において、ケージ12のソール領域は、アッパー領域(すなわち着用者の足の側部および上部を覆っているケージ12の部分)よりやや厚い。1つの実施形態において、ケージ12は側部領域および上部領域では約1.5mm〜約2.0mmの厚みを有し、ソール領域では約2.0mm〜約2.5mmの厚さを有する。ケージ12の厚みは、他の実施形態において異なる。ここで示す実施形態において、ケージ12はその表面の大部分に円形の孔22が形成されている。少なくともいくつかの実施形態において、孔のサイズは直径約5.0mm〜直径約15.0mmにわたる。他の実施形態では孔の直径が約4.5mm〜約13.5mmにわたり、更に他の実施形態では孔の直径は5.5mm〜約16.5mmにわたる。また更に他の実施形態においては他の大きさの孔を有していてもよい。種々の実施形態において、ケージ12のソール領域は、約90個〜約95個の孔を有する。他の実施形態では、ケージ12はソール領域に約80個〜約86個の孔を有していてもよく、更に他の実施形態ではソール領域に約99個〜約105個の孔を有していてもよい。また更に他の実施形態においてはソール領域の孔の数は異なっていてもよい。同様に、ケージ12のアッパー領域は、種々の実施形態において約230個〜約235個の孔を有する。他の実施形態では、ケージ12はアッパー領域に約207個〜約212個の孔を有していてもよく、更に他の実施形態ではアッパー領域に約253個〜約259個の孔を有していてもよい。また更に他の実施形態においてはアッパー領域の孔の数は異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、また図8に示すように、孔の数は踝カラー24近くの領域では減らされている。他の実施形態において、ケージ12はソール領域の一部もしくは全体でのみ、ソール領域およびアッパー領域の一部もしくは全体でのみ、または他の位置の組合せで孔を形成してもよい。
【0016】
図9は、アウトソール16およびインソール18の上から見た「分解」斜視図である。アウトソール16は、上面26と下面28(図10)とを有する。突起20を除き、下面28はケージ12のソール領域内面に接触する。下方へ延びる複数の突起20は、下面28全体に分布している。アウトソール16がケージ12内に配置される場合、突起20はケージ12の対応する孔22を貫いて突出する。突起20の先端はその後着用者が歩く際、地面に接触し、トラクション(牽引)作用を提供する。いくつかの実施形態において、着用者が比較的硬い表面を歩く際、突起20だけが地面に接触する。他の実施形態では、突起20およびケージ12のソール領域外面の一部が、着用者が比較的硬い表面を歩く際、地面に接触する。突起20およびそれらの突起20が貫いて突出するところの対応する孔22は、相対的なサイズにされている。これは靴10を組み立てる際、ユーザーがアウトソール16の上面26に適度な力を及ぼすことで突起20をそれぞれ対応する孔22に押し入れるためである。その結果、突起は、個々の突起が突出する各孔22の周辺端部において摩擦力により保持される。いくつかの実施形態においては下面28の全面に突起20が形成される。他の実施形態においては、例えば下面の一部が滑らかであるか突起がない様に、突起20は下面28全面にわたらない範囲で形成されていてもよい。ここに示す実施形態において、突起20は円形であり、その直径はさまざまである。少なくともいくつかの実施形態において、突起20の直径は約6.0mm〜約13.0mmにわたる。他の実施形態では突起20の直径は約5.4mm〜約11.7mmにわたり、更に他の実施形態では突起20の直径は約6.6mm〜約14.3mmにわたる。また更に他の実施形態では突起20は他の大きさの直径を持っていてもよい。非円形の突起を有する実施形態において、同様な突起先端の表面積を有する寸法であれば用いることができ、丸みのあるもの、先がとがったものおよび他の形の突起先端も本発明の範囲にある。種々の実施形態において、アウトソール16は約104個の突起を有する。他の実施形態では、アウトソール16は約90個〜約95の突起を有していてもよく、更に他の実施形態では約110個〜約115個の突起を有していてもよい。また更に他の実施形態では、他の数の突起を有していてもよい。突起は、規則的なパターンで配置される必要はない。着用者に更なるサポート作用を提供するため、下面28のかかと領域の特定の突起20は、下面28の他の領域に配置された突起20よりやや高い。少なくともいくつかの実施形態において、突起20の高さ(突起が下面28と交わる点から突起の接地面までを測ったもの)は約3.0mm〜約8.5mmにわたる。いくつかの実施形態では突起20の高さは約2.7mm〜約7.7mmにわたる。他の実施形態では突起20の高さは約3.3mm〜約9.4mmにわたる。更に他の実施形態では他の高さの突起を有していてもよい。
【0017】
前述したように、突起20は他の実施形態では他の形および/またはサイズを有していてもよい。図20は、2つの代替実施形態を示す。図20の左側は、本発明の別の実施形態にかかる靴10’のかかと領域の底面図を示す。靴10’のケージ12’は、四角い突起20’がそこから突出する複数の四角い孔22’を有する。図20の右側は、本発明の更に別の実施形態にかかる靴10’’の足の中央領域およびつま先領域の底面図を示す。靴10’’のケージ12’’は、六角形の突起20’’がそこから突出する複数の六角形の孔22’’を有する。ある実施形態では突起20の形が2つ以上あってもよい。異なるサイズおよび/または形の突起を有する実施形態において、ケージ12の対応する孔は同様に異なるサイズおよび/または形を有することができる。
【0018】
図9に見られるように、アウトソール16は上面26を囲む縁32を有する。いくつかの実施形態において、縁32はつま先領域およびかかと領域でやや大きくなっている。以下に更に詳細に説明するが、ケージ12とアウトソール16とは上靴14なしで着用してもよい。このような構成の場合、高くなったつま先領域およびかかと領域は着用者に一層の防護を施すことができる。複数の凹部34が上面26に分布している。凹部34は、インソール18の下面38(図11)の突出部36に対応している。ある構成では、インソール18はアウトソール16の上面26と縁32とにより形成される領域に重ね入れられる。この構成の場合、突出部36は凹部34に嵌まり込む。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、アウトソール16は圧縮成型ゴムのような耐磨耗性材料から成型される。好ましくは、アウトソール16は1つの材料から成型される。しかしながらある実施形態においては、アウトソール16は複数の材料から成形されてもよい(例えば、接地する突起20の先端にはより耐磨耗性を有する材料を用い、アウトソールの他の部分にはより柔軟な材料を用いる)。少なくとも1つの実施形態において、インソール18はポリウレタンから成型される。
【0020】
図12は、上靴14の上から見た斜視図である。1つの実施形態において、上靴14は繊維材料から形成されている。いくつかの実施形態において、「ブーティー(ブーツ)」靴の構成部品の形成に一般的に用いられる1つ以上の織物が用いられる。ある実施形態では、LYCRA(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能)のような伸長可能な繊維、またはLYCRA/ネオプレンの組合せが用いられる。いくつかの実施形態において、上靴14は靴型の周囲を1枚以上のシートまたは他の形態の材料で包み、1箇所以上の合わせ目40で接合して形成される。合わせ目40は、縫合、高周波溶接または他の適切な技術で接合される。いくつかの実施形態において、踝カラー42はシールおよび/または縫合される。かかとタブ44は、縫合、高周波溶接、接着または他の適切な技術で付着される。かかとタブ44は革または同様の材料から形成されてもよく、上靴14のソールまで延びる細長片(図示せず)を含んでもよい。他の実施形態において、かかとタブは含まれず、革または同様の材料の細長片のみが上靴の後側に付着される。図13は、上靴14の底面図である。ある実施形態においては、滑りやすい屋内表層上を歩く際にトラクション作用を提供するため、また下面46の早期摩耗を防止するために、追加のトラクションパッド45(破線で示される)が下面46に付着されてもよい。このようなトラクションパッド用の材料にはゴムコート繊維が含まれる。他の実施形態では下面46はゴムコート繊維、または他の耐久性および/もしくは高摩擦素材から形成される。更に他の実施形態では、下面46の材料からトラクションパッドを形成するためにレーザエッチングが実施される。
【0021】
ケージ12、アウトソール16、上靴14およびインソール18の種々の組み合せは、着用者に対し異なる状況に適切な履物を提供する。図14に示される1つの構成において、ケージ12のみを着用してもよい。図14の構成は、着用者がいくばくかのソール保護および/もしくはトラクション作用を必要とし、または足の上部に多少の保護を要するが、孔22により砂および他の物質をケージ12内から簡単に洗い落とせるといった、浜辺または他の水辺の環境に有益である。
【0022】
図15の構成において、アウトソール16なしでケージ12を着用してもよい。図15の構成は、少なくとも2つの変形例を含む。1つの変形例では、アウトソール16はインソール18なしでケージ12内に組み入れられる。別のバリエーションでは、例えば着用者がソール領域に一層のサポート作用を求めるのであれば、ケージ12とアウトソール16とに加えてインソール18をも含めてもよい(この場合も上靴14はなし)。図15の構成は、着用者が追加のサポート機能、ソール保護および/またはトラクション作用を要するといった場合の、浜辺または他の水辺の環境にも有益である。図15の構成は、サンダル型の靴としての使用にも適している。
【0023】
図16の構成において、ケージ12またはアウトソール16なしで上靴14を着用してもよい。この構成の場合、インソール18は上靴14内に挿入されていても挿入されていなくてもよい。図16の構成は例えば屋内での着用に適している。別の構成が図17に示される。この構成の場合、上靴14(上靴内におけるインソール18の有無にかかわらず)はケージ12有りアウトソール16なしで着用される。
【0024】
図18は、一つの完全に組み立てられた構成の靴10の断面図である。図18の構成において、アウトソール16はケージ12のソール領域内面に据わる。突起20は、ケージ12のソール領域の孔22を貫いて突出する。限られた数の突起20も、ケージ12のソール領域およびアッパー領域の境界上または近傍の孔22を貫いて突出する。インソール18はアウトソール16の上に直接重ねられており、突出部36は対応する凹部34に据わる。明確にするため、図18および図18Aでは各突出部36とそれぞれの突出部に対応する凹部34との間に小さな空間を表示する。しかしながらいくつかの実施形態において、突出部36と突出部に対応する凹部34とは接触していてもよい。次に上靴14の下面46はインソール18上に据わる。図18Aは図18の断面の一部を拡大した図であり、ケージ12、アウトソール16、インソール18および上靴14の相対的な配置を示す。少なくともいくつかの実施形態において、凹部34は通常(図18および図18Aに示すように)対応する突起20に位置合わせをされる。他の実施形態において、いくつかまたは全ての凹部20は対応する突起と位置が合わない。
【0025】
図19は、完全に組み立てられた代替構成の靴10の断面図である。図19の構成は大略的に図18の構成と類似しているが、インソール18は上靴14内に収容されている。すなわち、上靴14の下面46はアウトソール16の上面26に直接据わる。図19の構成において、着用者(図示せず)の重量により、インソール18上の突出部36が上靴14の材料をアウトソール16の凹部34に押し込むこととなる。このことにより上靴14はアウトソール16およびケージ12に相対的に固定される。図19Aは図19の断面の一部を拡大した図であり、ケージ12、アウトソール16、上靴14およびインソール18の相対的な配置を示す。
【0026】
いくつかの実施形態において、靴10の構成部品のいくつかまたは全ては、靴の有効寿命の最後にリサイクルが容易になるよう製造される。具体的には、ケージ12は第1の材料(またはリサイクル要件が類似した材料の組合せ)から作られ、アウトソール16は第2の材料(またはリサイクル要件が類似した材料の組合せ)から作られる。インソール18も1つの材料(またはリサイクル要件が類似した材料の組合せ)から作られるが、その材料はアウトソール16の材料と同じであってもなくてもよい。いくつかの実施形態において、上靴14も1つの材料から、またはリサイクル要件が類似した材料の組合せから形成されてもよい。このように、靴10の構成部品はリサイクルのために容易に切り離すことができる。他の実施形態においては、ケージ12、上靴14、アウトソール16およびインソール18のうち1つ以上がリサイクル要件が類似しない複数の材料から作られる。
【0027】
前述したように、各々の構成部品は種々の代替実施形態により製造され得る。例えば、より軽い用途(および/または着用者の特定の好み)を意図する靴10の実施形態においては、より耐久性を要する用途(および/または着用者の他の好み)を意図する実施形態と比較してより柔軟でより耐磨耗性がある第1の材料から形成されるケージ12を含めてもよい。同様に、アウトソール16は特定の用途および/もしくは着用者の好みに合った、より柔軟な材料から製造されてもよいし、かつ/またはより小さく、より短くかつ/もしくはより少ない突起を有してもよい。より耐久性を要する状況(および/もしくは着用者の他の好み)に合わせて、アウトソール16はより硬い材料から作ってもよいし、かつ/またはより大きく、より高くかつ/もしくはより多くの突起を有してもよい。インソール18も、靴の使用目的または着用者の好み(例えば、一部の着用者はより柔軟なインソールを好み、一方他の着用者はより硬いインソールを好むこともあり得る)により、複数の材料から作られてもよい。異なる形(例えば足をしっかりとサポートするための矯正用の表面)も組み入れることができる。上靴14は、温暖な気候での使用には、より薄くより軽い材料から作られてもよいし、寒冷な気候での使用には、より厚くかつ/または着用することでより暖かい材料から作られてもよい。靴が主に屋外で着用されるのであれば、より耐久性のある材料から作り、靴が主に屋内で着用されるのであれば耐久性はより少ないがよりお洒落な材料から作る、等着用者の好みに基づいて異なる材料から作ってもよい。ケージ12、アウトソール16および/またはインソール18は透明でも、半透明でも、不透明でもよく、様々な色で製造してもよい。同様に、上靴14も種々の色で製造してもよい。
【0028】
靴10の種々の構成部品が任意に取り外しできかつ再び組み合わせることができるため、異なる靴の構成部品を更に組み合わせることができる。例えば、アッパーに孔がない厚めのケージ12、相対的に長い突起を有するアウトソール12、および寒冷な気候用の材料から作られた上靴を備える1対の靴10を所有する人がいるとする。その人は、次にアッパーに孔が有り厚みの少ないケージ12、短めの突起を有するアウトソール12、および温暖な気象用の材料から作られた上靴を備えるもう1対の靴10を所有するかもしれない。その人は、その後更に特化した靴を1足得るために2組の靴から種々の構成部品を組み合わせることができる。同様に、異なる色の靴10を何足か所有している人は、異なる色の組合せを得るためにこれらの靴から構成部品を組み合わせることができる。
【0029】
本発明の特定の実施形態が図示かつ説明されたが、当業者には種々の変更が思い当たるであろう。したがって、本明細書で説明された発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の少なくとも1つの実施形態にかかる組み立てられた靴の上から見た斜視図である。
【図2】図1の組み立てられた靴の内側の側面図である。
【図3】図1の組み立てられた靴の外側の側面図である。
【図4】図1の組み立てられた靴の背部から見た側面図である。
【図5】図1の組み立てられた靴の正面から見た側面図である。
【図6】図1の組み立てられた靴の上面図である。
【図7】図1の組み立てられた靴の底面図である。
【図8】図1の靴のケージ構成部品の上から見た斜視図である。
【図9】図1のインソール構成部品およびアウトソール構成部品の上から見た「分解」斜視図である。
【図10】図1の靴のアウトソール構成部品の底面図である。
【図11】図1の靴のインソール構成部品の底面図である。
【図12】図1の靴の上靴構成部品の斜視図である。
【図13】図1の靴の上靴構成部品の底面図である。
【図14】着用者の足を破線で示した、図1の靴のケージ構成部品の上から見た斜視図である。
【図15】着用者の足を破線で示した、ケージ構成部品およびアウトソール構成部品の上から見た斜視図である。
【図16】着用者の足を破線で示した、図1の靴の上靴構成部品の上から見た斜視図である。
【図17】着用者の足を破線で示した、ケージ構成部品および上靴構成部品の上から見た斜視図である。
【図18】第一の構成で完全に組み立てられた靴の内側の断面図である。
【図18A】図18の断面の一部を拡大した図である。
【図19】第2の構成で完全に組み立てられた靴の内側の断面図である。
【図19A】図19の断面の一部を拡大した図である。
【図20】本発明の2つの代替実施形態を示す分割図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の着用者の足に装着されるように構成された製品であって、
足裏に面するように配置された内面、およびこの内面とは反対向きの外面を有するソール領域、ならびに前記ソール領域に形成された複数の孔、を含み、少なくとも足の一部を包むように形成された柔軟なカバーと、
前記ソール領域の前記内面に面する下面および前記下面とは反対向きの上面、ならびに前記下面上に形成され前記複数の孔へと突出する複数の突起、を含み、前記カバー内に重ね入れられる着脱自在のアウトソールとを具備する製品。
【請求項2】
前記複数の突起と前記複数の孔とは、前記孔の縁が前記突起に合致し摩擦抵抗により前記突起を保持するような相対的なサイズおよび形状にされていることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記複数の突起の少なくとも一部が前記複数の孔の少なくとも一部を貫いて突出し、前記複数の突起の前記一部が前記ソール領域の前記外面を越えて延びることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記カバーが、着用者の足において踝の下を実質的に全部包むように形成され、前記カバーにおいて足の上部および側部を覆うアッパー領域に更なる孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項5】
前記アウトソールは第一材料から形成され、前記カバーは第二材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項6】
前記第二材料が熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項7】
ソールおよびアッパーを有し、前記カバー内に重ね入れられる着脱自在の上靴を更に具備し、前記上靴の前記ソールが前記アウトソールの前記上面に面することを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項8】
前記上靴が繊維材料から形成されていることを特徴とする請求項7に記載の製品。
【請求項9】
前記上靴の前記ソールがトラクション面を具備することを特徴とする請求項8に記載の製品。
【請求項10】
互いに反対向きの上面および下面を有する、着脱自在のインソールを更に具備し、前記インソールの前記下面が前記アウトソールの前記上面に面することを特徴とする請求項7に記載の製品。
【請求項11】
前記インソールの前記下面が複数の突出部を含み、
前記アウトソールの前記上面に、前記突出部に対応するよう配置され、かつ前記突出部を受ける凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記インソールが、前記上靴内または前記上靴とアウトソールとの間に配置できるサイズにされていることを特徴とする請求項11に記載の製品。
【請求項13】
上面および下面を有する着脱自在のインソールを更に具備し、前記インソールの前記下面が前記アウトソールの前記上面に面することを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項14】
前記インソールの前記下面が複数の突出部を含み、
前記アウトソールの前記上面に、前記突出部に対応するよう配置され、かつ前記突出部を受ける凹部を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の製品。
【請求項15】
人間の着用者の足に装着されるように構成された製品であって、
足裏に面するように配置された内面、およびこの内面とは反対向きの外面を有するソール領域、前記ソール領域に取り付けられ、少なくとも足の上部および側部の一部を覆うよう配置されたアッパー領域、ならびに前記ソール領域および前記アッパー領域に形成された複数の孔、を含み、少なくとも足の一部を包むように形成された柔軟なカバーと、
前記ソール領域の前記内面に面する下面、およびこの下面とは反対向きの上面、ならびに前記下面上に設けられ前記複数の孔の一部へと突出する複数の突起と、を含み、前記カバー内に重ね入れられる着脱自在のアウトソールと、
ソールおよびアッパーを有する上靴であって、前記上靴の前記ソールがアウトソールの前記上面に面し、前記カバー内に重ね入れられる着脱自在の上靴と、を具備する製品。
【請求項16】
前記上靴が繊維材料から形成されていることを特徴とする請求項15に記載の製品。
【請求項17】
上面および下面を有する着脱自在のインソールを更に具備し、前記下面が前記アウトソールの前記上面に面することを特徴とする請求項15に記載の製品。
【請求項18】
前記インソールが、前記上靴内または前記上靴と前記アウトソールとの間に重ね入れできるサイズにされていることを特徴とする請求項17に記載の製品。
【請求項19】
前記インソールの前記下面が複数の突出部を含み、
前記アウトソールの前記上面に前記突出部に対応するよう配置され、かつ前記突出部を受ける凹部を有する、ことを特徴とする請求項18に記載の製品。
【請求項20】
履物製品であって、
上靴と、
前記上靴を収容できるサイズにされ、前記上靴を繰り返し着脱できるよう構成された穿孔カバーと、
前記カバーと前記上靴との間に着脱自在であり、前記上靴と前記カバーとの間に配置される際に、対応する前記カバーの穿孔と重なり合い前記穿孔を突き抜けて突出する複数の延長部分を有する中間部材と、を具備する履物製品。
【請求項21】
前記複数の延長部分が、少なくとも100個の延長部分を具備することを特徴とする請求項20に記載の製品。
【請求項22】
当該製品を履いた人間が歩行する際、前記延長部分が接地するよう配置されていることを特徴とする請求項20に記載の製品。
【請求項23】
前記カバーが、前記複数の延長部分を上回る数の穿孔を含むことを特徴とする請求項20に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図18A】
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【図19】
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【図19A】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−525282(P2007−525282A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500854(P2007−500854)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/004080
【国際公開番号】WO2005/092136
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(592228398)ナイキ・インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Nike Inc
【Fターム(参考)】