穿孔時記録音響計測のための装置
困難な記録状況において、高品質の計測結果を得ることができる、坑井環境に音響計測のための装置が開示される。例示の装置は、本体上に配置された複数の送信機をともなった本体を有するダウンホールツールを含む。受信機は、本体上に送信機と離間して配置され、減衰器区分は、少なくとも一つの送信機と受信機との間に、本体に一体に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して音波記録システムに関し、より詳細には、記録が困難な状況において高品質の音響計測結果を得られる穿孔時記録(logging while drilling)器具に関する。
【背景技術】
【0002】
地層特性は、坑井の掘削の間、又は、その直後に、穿孔時記録(LWD)として知られる工程において孔底アセンブリに組み込まれた器具を用いることにより、計測することができる。LWD工程により、掘削流体が深く浸透する前に地層の特性を計測することが可能になる。さらに、多くの坑井、特に、大きく偏向した坑井は、従来の有線の器具による計測が困難である。これらの状況において、LWD計測の使用により、有線による作業では不可能な、少なくともいくつかの地下計測結果を結果的に得ることができる。タイムリーなLWDデータは、坑井が対象の領域内や、例えば、非常に価値のある頁岩層などの層の最も生産性の高い部分に維持されるように、坑井の配置を案内するためにも使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、LWD器具は、高速地層(fast formation)かつ小さな坑井の特性の計測に必要なエネルギを生成することができる。しかしながら、例えば、低速地層(slow formation)かつ大きな坑井のような、困難な記録条件において、計測精度を向上するためには、大きなエネルギが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施の形態が上記の図面に示され、以下に詳細に記載される。これらの実施の形態を記載する際に、同様又は同じ参照番号は、共通又は同様の要素を特定するために用いられる。図面は必ずしも寸法決めされておらず、特定の図及び特定の図の描写は、明確さ及び/又は理解のために寸法又は概略的に誇張されている。さらに、ここでは、特定の好適な実施形態が開示されるが、他の実施形態を使用でき、本発明の範囲から離れることなく、構造を変更してもよい。
【0005】
ここに記載される例示の音響計測器具は、例えば、低速地層かつ大きな坑井のような困難な記録状況において高品質の計測を可能とするために、例えば、穿孔時記録システムなどの音波記録システムとともに用いられる。低速地層及び大きな坑井において、例えば、四極子及びスタンレー計測などの様々な計測結果を収集するため、記録器具は、通常、高速地層かつ小さい坑井で必要なエネルギよりも、より大きなエネルギを地層へと放出する必要がある。加えて、低速地層及び/又は大きな坑井では、高速地層又は小さな坑井における周波数よりも低い周波数で、四極子エアリ相が生じる。ここに記載する例示の音響計測器具は、低速地層とともに、高速地層においても、例えば、単極子モード、スタンレーモード及び四極子モードなどの高品質の音響計測を実施するために必要な周波数及びエネルギを有する音響信号を発生する。
【0006】
ここに記載された例示の音響計測器具は、一又は二以上の送信機/受信機構成又は形態を有し、上記のような状況などの記録が困難な状況で、質の高い音波計測を実施するのに必要な特性を有する音響信号を発生する。例えば、これらの音響計測器具のいくつかは、器具本体又はカラー(つば)に配置された複数の送信機を含んでもよい。器具本体は、坑底アセンブリにおいてドリルカラーとして機能し、これにより、これらの用語は、相互変更可能に用いられる。しかしながら、以下の記載では、「器具本体」を使用する。
【0007】
器具本体に配置された複数の送信機は、それぞれ、特定のファイアリング(発信)モードに最適化されている。一般的に、各送信機のファイアリングモードは、高いモード純度での送信機の励起を実現するため、送信機は特定の形状であり、かつ/又は、例えば、チタン酸鉛又はジルコン酸チタン酸鉛などの所定のタイプの圧電性材料からなることを必要とする。これにより、複数の送信機を利用する構成は、各送信機の設計がそれぞれ、特定のファイアリングモードに対して最適化されることを可能とする。例えば、第1の送信機は単極子ファイアリングモード作動に対して最適化されるとともに、第2の送信機は多極子ファイアリングモード作動に対して最適化されるように、器具を形成できる。
【0008】
ここに記載される例示の音響計測器具は、上記の各送信機が、受信機から異なる軸方向距離だけ離間するように、器具本体に配置されている。より具体的には、複数の送信機を有する器具の成形は、送信機と受信機の間隔を特定のファイアリングモードに対して最適化することができる。例えば、単極子ファイアリングモードに対する器具本体に沿った伝播を減衰するための最適な送信機と受信機の間隔は、四極子ファイアリングモードのための最適な間隔よりも長い。この例では、受信機の外径は、伝播する音波の減衰に影響を与えることなく、器具本体の外径と同じ又は異なることが可能である。
【0009】
追加の構成要素をここに記載する例示の器具に追加することができる。例えば、器具本体の、上記の送信機及び受信機の少なくとも一つの間に、減衰器区分を一体に形成してもよい。この減衰器は、音響コントラストとともに、カラー延長モードの特性を減衰させるため、器具ハウジングに複数の溝を形成してもよい。このような溝は、器具本体の内側及び外側に形成することができ、音響減衰材料で充填してもよい。この音響減衰材料は、カラーアライバル(collar arrival)などの、構造により伝達される望まない音響信号をより効率的に減衰できるように、タングステン粒子などのゆるい粒状材料であってもよい。より詳細な、減衰技術は、米国特許第6643221号明細書、米国特許出願公開第2008/0066965号に記載され、これらは、その全体を参照することにより、ここに組み込まれる。これに代えて、四極子モード計測のため、器具本体に溝を形成することなく、減衰区分を形成してもよい。
【0010】
また、例示の器具は、送信機、受信機及び減衰器がスタビライザの間に位置するように、器具本体に配置されたスタビライザを備えることができる。これらのスタビライザは、坑井の径に対して調整可能であり、ドリルビットの寸法及び穿孔状況に応じて変化する。このようにスタビライザを配置することにより、送信機及び受信機を最大限に中心化することができる。この結果、計測データへの器具の影響が予測でき、処理において形状することができるため、波形計測のより高い正確性及び質が得られる。
【0011】
加えて、送信機のワイヤを収容し、器具本体の外側と内側の間の電気接続を強固にするため、器具ハウジングに溝を配置することができる。これにより、電気接続のための穴が送信機及び受信機の区分の外側に位置し、計測データに対する孔の影響を最小化できる。
【0012】
ある実施の形態では、音響計測器具は、器具本体に沿って、受信機の一方の側に配置された複数の送信機を備えるように構成できる。この構成は、減衰器区分からの反射波が受信機区分に到達しないことを確実にする。加えて、この構成は、複数の送信機を駆動するために必要な電気接続を、互いに近くに配置することを可能にする。この構成によれば、送信機回路と受信機回路のクロストークの可能性を減らすことができる。また、この送信機の構成は、器具の長さを、受信機の両側に送信機が装着された器具の長さよりも短くできる。
【0013】
他の実施の形態では、音響計測器具は、器具本体の受信機の両側に配置された少なくとも二つの送信機と、二つの送信機の間に配置された減衰器とを有するように構成できる。この構成は、送信機と受信機の間の器具本体のデザインを、それぞれの側で独立して最適化することができる。さらに、第2の送信機の外径が、坑井モードの伝播に影響を与えることなく、器具本体全体の径よりも大きくできる。加えて、器具本体は、複数の延長ブロックを備えることができる。この実施の形態では、複数の方位角方向に離間した音響駆動要素又は送信機要素を用いて形成された送信機の少なくとも一つは、それぞれ延長ブロックのうちの対応する一つに結合する各駆動要素を含む。これらの延長ブロックは、送信機駆動要素が、坑井壁面の近くの場所で、坑井を振動することを可能にする。
【0014】
他の実施の形態では、音響計測器具は、器具本体の減衰区分に配置された送信機を有するように構成できる。この実施の形態では、減衰区分に配置された送信機の外径は、減衰区分の外径とほぼ等しい外径を有する。この構成は、減衰区分に配置された送信機が、第1の送信機とともに励起した坑井モードの伝播に影響を与えることがない。この構成は、送信機の正面で伝播のいくらかを反射する、減衰区分に配置された送信機における音響コントラストを防止できる。器具本体における送信機の形成に関するより詳細な情報は、米国特許第7470435号明細書に記載され、その全てを参照することにより本願に組み込まれる。
【0015】
ここで記載される例示の音響計測器具は、困難な記録状況において質の高い音波計測を達成するのに必要なエネルギを生成するため、上記の特徴に加えて、一又は二以上の送信機及び受信機の構成を含む。例えば、器具は、四極子波を得るために、四つの方位角の受信機を備えることができる。この場合、記録された信号は、空間フーリエ変換を用いて、単極子、双極子、及び四極子モードへと分解できる。これに代えて、例示の器具は、少なくとも8つの受信機アレイを備えて構成できる。この構成によれば、クロスライン四極子計測が可能となり、非等方性の媒体内での四極子分割(quadrupole splitting)を探知できる。加えて、この構成によれば、例えば、単極子モードの操作中における八極子モードなどの、不要な高い次数のモードを拒否できる可能性が増加する。さらに、この構成によれば、イメージングの適用のための、より高品質な方位角分解性能が確実になる。この構成において、音源は単極子、双極子、四極子又は他の多極子音源にできる。一体化された音響送信機及び受信機組立体に関するさらなる情報は、米国特許第7364007号明細書及び米国特許出願公開2010/0000311に含まれ、これらはその全てを参照することによりここに組み込まれる。
【0016】
上記のあらゆる送信機は、複数の音響駆動要素又は送信機要素を用いて形成できる。ここに記載したように、「音響駆動要素」及び「送信機要素」は、トランスデューサなどの、電気エネルギを音波へ変換する送信機の要素をいう。「音響駆動要素」は、これに従って、以下使用される。
【0017】
各音響駆動要素は、別々、すなわち、別個であり、円筒の一部を形成する。例えば、送信機は、それぞれ、反円弧状の輪郭を有し、器具本体に設置される二つの円筒形状の音響駆動要素を用いて、送信機を形成できる。代わりの実施の形態では、送信機は、それぞれ、反円弧状の輪郭を有する二つの円筒形状の音響駆動要素を用いて形成してもよいし、同じ器具本体の第2の送信機を、それぞれ4分割の円弧輪郭を有する4つの円筒形状の駆動要素を用いて物理的又は電気的に形成してもよい。これら4つの駆動要素は、例えば、単極子モードを励起するため、同じ極性の圧力波、又は、四極子モードを励起するため交流極性の圧力波を発するのに使用される。これにより、一つの送信機を単極子音源として作動するように構成し、他の送信機を多極子音源として作動するように構成できる。この例示の構成では、第2の送信機のそれぞれが四分割の円弧輪郭を湯酢売る4つの円筒形状要素が、4つの受信機アレイと整列している。これにより、送信機は、それぞれ受信機アレイと方位角方向に整列するように、器具本体に配向されている。この構成により、インライン四極子信号を記録することが可能になる。加えて、この例示の構成では、それぞれ半円弧輪郭を有する二つの円筒形状の要素を用いて形成下第1の送信機は、受信機に対して、45度、方位角方向又は半径方向にオフセットするように、器具本体に配列されている。この第1の送信機は、単極子ファイアリングを目的とするものだが、ある四極子モードを励起することもできる。第1の送信機は、第1の送信機により供給されるよりも、高い次数のモードが受信機アレイにより受信されるのを減らすように、器具本体において受信機アレイに対して配向されている。方位角のオフセットにより受信機における四極子信号を最小化できるため、この実施の形態の配列によれば、受信機における単極子信号に対する四極子混合(contamination)を最小化する。
【0018】
他の実施の形態では、両送信機は、それぞれ四分割の円弧輪郭を有し、例示の器具本体に設置された4つの円筒形状の音響駆動要素を用いて形成されている。この実施の形態では、二つの送信機のうちの一つが、器具本体において、受信機に対して45度の方位角のオフセットを有するように整列されている。この実施の形態の構成によれば、両送信機が、単極子、双極子、または四極子モードを励起することが可能となる。さらに、この構成によれば、四極子モードの二つの信号(互いに直交している)を受信機により記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ここで記載される例示の方法及び装置を実施するための、送信機及び受信機を含む、例示の坑井サイトシステムを示す。
【図2】例示の音響穿孔時記録器具を示す。
【図3】器具本体に沿って、受信機の片側に配置された複数の送信機を有する、例示の音響計測器具を示す。
【図4】送信機の間に減衰器が位置するように、器具本体の受信機の両側に送信機を配置する例示の音響計測器具を示す。
【図5a】器具本体の減衰器に送信機を配置する例示の音響計測器具を示す。
【図5b】図5aの例示の音響計測器具の断面図を示す。
【図6a】複数の延長ブロックに結合された送信機を有する例示の音響計測器具を示す。
【図6b】図6aに示された例示の音響計測器具の断面図を示す。
【図7a】音響計測器具の受信機区分の断面図を示す。
【図7b】送信機が単極子音源である場合の、図7aの音響計測器具の送信機区分の断面図を示す。
【図7c】送信機が多極子音源である場合の、図7aの音響計測器具の送信機区分の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、例示の方法及び装置が実装された坑井サイトシステム100を示す。坑井サイトシステム100は、陸上であっても、海上であってもよい。図1の例示の坑井サイトシステムにおいて、回転及び/又は指向性の穿孔により、一又は二以上の地下層内に坑井102が形成される。ドリルストリング104は、坑井102内に懸下されており、下端にドリルビット108を含む坑底アセンブリ106を有する。坑井システム100は、地表に、坑井102を覆うように配置されたプラットホーム及びデリックアセンブリ110を含む。デリックアセンブリ110は回転テーブル112を有し、回転テーブル112は、ドリルストリング104の上端においてケリー114と噛み合い、回転をドリルストリング104へ伝達する。回転テーブル112は、図示しない装置又はシステムによりエネルギ供給される。例示のドリルストリング104は、トラベリングブロック(不図示)に取り付けられたフック116から垂下している。加えて、ドリルストリング104は、ケリー114及び回転スイベル118を貫通して位置決めされており、これにより、フック116に対するドリルストリング104の回転が可能になる。加えて、又はこれに変えて、トップ駆動システム(不図示)を、ドリルストリング104に回転を伝達するために使用できる。
【0021】
図1に示された例では、坑井システム100は、さらに、穿孔流体120を含む。例えば、穿孔流体120は、他の坑井の圧力を維持し、かつ/又はドリルビット108を取り囲む領域から切削物を除去するため、ウォーターベースマッド、オイルベースマッド、ガス穿孔流体、水、ガス、又は、他の流体を備える。穿孔流体120は、坑井サイトに形成されたピット122内に貯蔵される。ポンプ124は、穿孔流体120を回転スイベル118のポートを介してドリルストリング104の内部へ送り出し、矢印126で示されているように、穿孔流体120を、ドリルストリング104を通して、下方に流れさせる。穿孔流体120は、ドリルビット108のポートを介してドリルストリング104から排出され、矢印128で示されているように、ドリルストリング104と坑井102の壁面との間の環状領域を通って上方へ循環する。穿孔流体120は、ドリルビット108を滑らかにし、再循環のためにピット122へ戻される際に地層からの切断物を地表へ運び、坑井102の壁面にマッドケーキ層(不図示、すなわちフィルターケーキ)を作り出す。
【0022】
加えて、坑井システムは、通信リレー130及び記録・制御プロセッサ132を含む。例示の通信リレー130は、孔底アセンブリ106内に配置されたセンサ、送信機及び/又は受信機からの、情報及び/又はデータを受信する。情報は、ドリルストリング104を通る有線通信経路を介して、及び/又は無線通信経路を介して、通信リレー130により受信される。通信リレー130は、受信した情報及び/又はデータを記録・制御プロセッサ132へ送信する。加えて、通信リレー130は、記録・制御プロセッサ132からデータ及び/又は情報を受信する。通信リレー130は、データ及び/又は情報を受信すると、データ及び/又は情報を、孔底アセンブリ106内の適切なセンサ、送信機及び/又は受信機へ送信する。
【0023】
例示の記録・制御プロセッサ132は、パラメータを入力し、かつ/又は出力を表示することを可能にするユーザインターフェースを含む。加えて、記録・制御プロセッサ132は、岩層の境界のイメージングを制御する。例えば、記録・制御プロセッサ132は、坑井102内に孔底アセンブリ106、及び/又は、音響かつ/又は振動イメージングツールを配置し、送信機に受信機へ信号を送信させ、かつ/又はセンサに受信させる。
【0024】
加えて、記録・制御プロセッサ132は、坑井102から岩石境界の位置までの距離を送信信号及び受信信号に基づき計算する。さらに、記録・制御プロセッサ132は、坑井102から岩層の境界までの距離を計算しながら、岩層内の異方性を補償する。記録・制御プロセッサ132は、地表の坑井上、かつ、坑井サイトシステム100内に記載しているが、記録・制御プロセッサ132の一部又は全体を、坑井アセンブリ106及び/又は離間した場所に配置してもよい。
【0025】
ある例では、図1の坑底アセンブリの器具は、それぞれの器具本体に収容される、どのような数及び/又はタイプの、穿孔時記録モジュール又は器具(そのうちの一つは、参照番号134で示される)を含んでもよい。図1に示されるLWDモジュール134は、以下に記載される例示の装置である。坑底アセンブリ106は、穿孔時計測(measuring-while-drilling:MWD)モジュール(そのうちの一つは参照番号136で示される)、及び、回転操縦可能システム又はマッドモータ138を含んでもよい。MWDモジュール136は、例えば、坑井の軌道を観測するためにドリルビット108の包囲及び傾きを計測してもよい。
【0026】
坑底アセンブリ106は、例えば、送信機140A、140B及び/又は受信機142A−Cを介して情報を通信するための性能とともに、計測、処理、及び/又は情報を記録する性能を含む。送信機140A−Bは、LWDモジュール134内に示されている。しかしながら、送信機140は、MWDモジュール136、及び/又は、別個の音響かつ/又は振動イメージング器具内に含まれてもよい。加えて、受信機142A−CはLWDモジュール134内に示されている。しかしながら、受信機142A−Cは、MWDモジュール136、及び/又は、別個の音響かつ/又は振動イメージング器具内に含まれてもよい。送信機140A−B及び/又は受信機142A−Cは、通信リレー130及び/又は記録・制御プロセッサ132に通信可能に結合されている。さらに、二つの送信機140A−Bが示されているが、他の実施の形態では、一又は二以上の送信機を含んでもよい。加えて、3つのみの受信機142A−Cが示されているが、他の実施の形態では、より多くの、又はより少ない受信機を含んでもよい。
【0027】
受信機140A−Bは、これに限定されないが、音響信号、振動信号、音波信号、超音波信号、及び/又は、他の圧縮及び/又はせん断信号を含むどのような信号でも送信することができる。受信機142A−Cは、送信機で発生した信号タイプを受信することができるセンサを含む。例えば、送信機140A−Bが、中心周波数が8kHzの振動又は音響信号を発生する場合には、受信機142A−C内のセンサは、中心周波数が8kHzの振動信号を探知しながら、他の信号タイプをフィルタリングするように形成されるとよい。送信機140A−Bは、信号を発生することができる、あらゆるタイプの装置を含むことができ、受信機142A−Cは、信号を探知でき、記録・制御プロセッサ132により処理できるように、信号を電子データへと変換できるように構成されたセンサを含む。
【0028】
図1の構成要素は、特定の伝達タイプで実装されて、示され、かつ、記載されているが、ここで記載する例示の方法及び装置は、特定の伝達タイプには限定されず、かわりに、例えば、渦巻状チュービング、電線、有線ドリルパイプ、及び/又は産業界で知られている他の伝達タイプを含む、異なる伝達タイプに関連して実装されてもよい。加えて、又はこれに変えて、ここに記載された例示は、スマートウェル(smart well)、及び/又はインテリジェントコンプリション(intelligent completion)とともに実装されている。
【0029】
図2は、音波式穿孔時記録器具を示し、これはLWD器具134であってもよく、米国特許第6308137号明細書に記載されたタイプのLWD器具群134Aの一部であってもよい。米国特許第6308137号明細書は、参照して本願に組み込まれる。開示された実施形態では、図2に示すように、沿岸リグ200が用いられており、音波送信音源又はアレイ202が水面近くに配置されている。これに変えて、いかなる他の好適なタイプの坑井上(uphole)又は坑井内(downhole ダウンホール)の音源又は送信機が提供される。坑井上プロセッサは、送信機202のファイアリングを制御する。坑井上装置は、発信源の近くに基準信号を補足するための音響受信機及び記録装置を含むことができる。坑井上装置は、さらに、坑井内装置(ダウンホール装置)からのMWD信号を受信するための遠隔制御装置を含む。遠隔制御装置及び記録装置は、典型的には、記録が坑井上及び坑井内のクロックの使用と同期するように、プロセッサに接続されている。坑井内LWDモジュール204は、少なくとも音響受信機206、208を含み、これらは、受信機により探知された信号が、信号源のファイアリングと同期した状態で記録されるように、信号プロセッサに接続されている。
【0030】
図3は、器具本体308に沿って受信機306の一方の側に配置された複数の受信装置302、304を有する例示の音響計測器具300を示す。また、例示の音響計測器具300は、器具本体308に、送信機302、304と受信機306との間に一体に形成された減衰器310と、スタビライザ312、314とを含む。スタビライザ312、314は、送信機302、304、受信機306及び減衰器310がスタビライザ312、314の間に位置するように、器具本体308に配置されている。
【0031】
本実施の形態では、受信機306は、各送信機302、304が、受信機306から異なる軸方向距離に離間するように、器具本体308に配置されている。例示の音響計測器具300は、上記したような困難な記録状況における良質の音波計測を実施するのに必要な性能を有する音響信号を生成するため、この送信機/受信機の形態を採用している。特に、複数の送信機302、304を受信機306から異なる軸方向距離に配置することにより、それぞれの送信機と受信機の間隔を特定のファイアリングモードに対して最適化することができる。例えば、単極子ファイアリングに対して、器具本体308に沿った伝播を減衰させるための好適な送信機と受信機の間隔は、四極子ファイアリングモードに対する好適な間隔よりも長い。このように、本実施の形態では、送信機304は、単極子モードで発振するように形成され、送信機302は、四極子モード又は他の単極子モードで発振するように形成されている。しかしながら、概して、送信機302、304は、単極源、双極源又はこれらのいかなる組合せとして動作するように構成できる。送信機302、304が単極子又は多極子ファイアリングモードで作動するように構成することについてのより詳細な情報は、図7b−7cに関連して以下に記載される。
【0032】
スタビライザ312、314は、坑井の径に合わせて調整可能であり、ドリルビットの寸法及び穿孔状況に応じて変えることができる。音響計測器具300へのスタビライザ312、314の配置は、送信機302、304及び受信機306を最大限中心へ集中できる。これにより、計測データに対する器具300の影響が予測可能になり、処理において計上することができるため、すぐれた正確性と高品質の計測結果を収集することが可能になる。
【0033】
図3に示すように、器具本体308に沿った受信機306の一方の側へ送信機302、304を配置することにより、減衰器310により反射した音波が受信機306へ到達するのを防止できる。より具体的には、送信機302、304から音波が伝播されたときに、減衰器310により反射された波は送信機302、304へ戻るように向かう。加えて、送信機302、304を受信機306の一方の側に配置することにより、送信機302、304を駆動するのに必要な電気接続が互いに近くに位置する。結果として、送信機302、304の電気接続も、受信機306の電気接続から離間し、これにより、送信機回路と、受信機回路とのクロストークの可能性を減らすことができる。また、送信機302、304を受信機306の一方の側に配置することにより、音響計測器具300の長さを、他の例示的な音響計測器具の長さよりも短くできる。
【0034】
図4は、減衰器310が送信機302、304の間に位置するように、送信機302、304を器具本体308の受信機306の両側に配置する例示的音響計測器具400を示す。スタビライザ312、314の配置は、図3に示す配置と同様である。本実施の形態で用いられている複数の送信機302、304は、図3に関連して上記した利点と同様の利点を音響計測に与える。
【0035】
しかしながら、送信機302、304を器具本体310の受信機306の両側へ配置し、減衰器310を二つの送信機302、304の間に配置することにより、送信機302、304と、受信機306との間の器具本体308の設計を各側において独立して最適化できる。例えば、坑井モードの伝播に影響を及ぼすことなく、送信機302、304の外径を、器具本体308の全直径よりも大きくできる。より具体的には、送信機302、304が受信機306の両側に配置されたため、送信機302の寸法は、送信機304から伝播され、受信機306により受信される音波に影響を及ぼさない。加えて、送信機302、304は、坑井地層へさらに近くすることができ、地層へより大きなエネルギーを放出できる。本実施の形態は、また、器具本体308の強度を増加できる。
【0036】
図5aは、送信機302を器具本体308の減衰器310に配置した、例示の音響計測器具500を示す。本実施の形態では、送信機302の外径は、減衰器310の外径とほぼ等しい。送信機304及びスタビライザ312、314の配置は、図3の配置と同様である。また、本実施の形態で用いられる複数の送信機302、304は、図3に関連して上述した利点と同様の利点を与える。
【0037】
しかしながら、図5aに示す器具本体308の減衰器310への送信機302の配置は、送信機302が、送信機304により励起される坑井モードの特性に影響を及ぼさないことを確実にする。例えば、送信機302は、送信機304により発生させられた音波が、受信機306へ到達するのを妨げる。送信機302を減衰器310に配置することにより、さもなければ、送信機304により伝播された波の一部を、送信機304へ向かって戻るように反射するであろう送信機302における音響コントラストを防止する。本実施の形態では、一つの送信機302が減衰器310に配置されているが、さらなる送信機を減衰器310に配置し、特定の実施に対して、器具の構成を最適化できる。
【0038】
音響計測器具500は、また、送信機302、304への電線を収容する溝を器具本体308に有する。音響計測器具500は、一の溝518しか示していないが、一又は二以上の溝518を器具本体308に形成してもよい。溝518は、器具本体308の外側と内側の間の電気接続を確実にし、送信機302、304及び受信機306から離れて位置する電位接続のための孔を可能にし、これにより、これらの孔の計測データへの影響を最小化する。電線を収容する溝及びさらなる構成要素に関するより詳細な情報は、米国特許第7367392号明細書に含まれており、その全てを参照してここに組み込まれる。
【0039】
図5bは、図5aの例示的な音響計測器具500の断面図を示す。この図は、不要な音波モードの特性を減衰するように、減衰器310が、器具本体308の送信機304と受信機306との間に一体に形成された様子を示す。図5aの例示の音響計測器具500に関連してここでは減衰器310が示されているが、ここで記載されている、他の実施の形態の音響計測器具へ同様に形成できる。本実施の形態では、送信機302が減衰器310の隣接する溝520の間の空間に形成される。これに代えて、送信機302は減衰器310の溝520が形成される。本実施の形態では、音響コントラスト及びばね−質量効果をともなったカラー延長モードなどの、不要な音波モードの特性を減衰するため、減衰器310は、器具本体308の内側の複数の溝520により形成される。これに代えて、減衰器310を、器具本体308の外側の複数の溝520により形成することができる。図5bに示す溝520は等間隔であるが、これに代えて、溝520は非等間隔で形成することができる。くわえて、例えば、カラーアライバル(collar arrivals)などの不要な構造によって伝達される音響信号をより効果的に減衰することができるように、溝520を、例えば、上述のゆるい粒状材料などの音響減衰材料で充填してもよい。他のかわりの実施の形態では、四極子モード計測結果を収集するときには、器具本体308の溝なしで、減衰器310を形成してもよい。
【0040】
例示の音響計測器具500は、さらに、上記の送信機302、304を駆動するため、器具本体308内に収容された電気カートリッジを含む。加えて、電気カートリッジ522は、他の器具と通信できるととともに、受信機306からデータを取得し記録できる。
【0041】
図6aは、延長されたブロック624に結合された送信機304を有する例示の計測器具600を示す。送信機302、減衰器310、受信機306及びスタビライザ312、314の配置は、図3の示す配置と同様である。しかしながら、これら構成要素の配置は、ここに記載された例示の音響計測器具の全てにおいて使用されていた配置と同様である。送信機304の駆動要素が坑井壁面の近くの位置で坑井を励起できるように、送信機304が延長ブロック624内に形成されるように、送信機304は延長ブロック624と結合されている。加えて、延長ブロック624を、土砂の流れを確かにするために、スタビライザ314のブレード626と整列させることができる。
【0042】
図6bは、図6aの例示的な音響計測器具600の断面図を示す。本実施の形態では、坑井壁の近傍の位置で坑井を励起するため、送信機304は、角方向に間隔をあけた音響駆動要素630を用いて形成されており、各音響駆動要素630は、それぞれ、複数の延長ブロック624の対応する一つに結合されている。方位角方向に間隔をあけた複数の音響駆動要素630を用いた送信機302、304の形成に関するより詳細な情報は、以下、図7b、7cに関連している。
【0043】
図7a−7cは、音響計測器具700の断面図である。図7aは、音響計測器具700の受信機306部分の断面図を示す。ここで示す受信機306は、例示の音響計測器具700と関連しているが、ここに記載された全ての例示の音響計測器具と同様に形成してもよい。本実施の形態では、受信機306は、単極子又は多極子の波を得るように、器具本体308に形成されている。概して、送信された波の伝播及び記録に影響することなく、受信機306の外径は、器具本体308の外径と同じ又はそれよりも大きな径を有するように形成できる。受信機306は、複数の受信機アレイ726を用いて、器具本体308に形成できる。本実施の形態では、受信機306は、4つの受信機アレイ726を用いて、器具本体308に形成されている。これらの受信機アレイ726により記録された信号は、空間フーリエ変換を用いて、単極子、双極子、及び四極子モードへと分解される。他の実施の形態では、受信機304は、8つの受信機アレイ726を用いて、器具本体308に形成してもよい。8つの受信機アレイ726を用いて受信機304を形成することにより、十字線四極子計測結果をえることができる。さらに、8つの受信機アレイ726の使用は、例えば、単極子モードでの操作中における八極子モードなどの、高い次数の不要なモードを退ける可能性を増大させる。加えて、8つの受信機アレイ726の使用は、イメージングの適用に対して、高品質の角度分解能を確実にする。
【0044】
図7bは、音響計測器具700の送信機302部分の断面図を示す。送信機302は、ここでは、例示の音響計測器具700と関連して示されているが、ここに記載された全ての例示の音響計測器具と同様に形成することができる。本実施の形態では、送信機302は、単極子音源として作動するように、器具本体308に形成されている。送信機302は、複数の音響駆動要素728を用いて形成することができ、各音響駆動要素は、別個、すなわち、別々であり、円筒の一部を形成している。本実施の形態では、送信機302は、二つの円筒形状の音響駆動要素728を用いて形成されており、音響駆動要素728のそれぞれは、半円形の輪郭を有し、器具本体308に設置されている。これらの二つの駆動要素728とともに送信機302を形成することにより、送信機302を単極子ファイアリングモードで作動できる。
【0045】
送信機302は、単極子ファイアリングモードのためのものであるが、ある四極子モードが混合として励起することがありうる。受信信号における四極子混合を削減するため、円筒状音響駆動要素728は、器具本体308に設置され、図7aの受信機アレイ726からオフセットしている。例えば、受信機302は、音響計測器具700に整列され、受信機アレイ726に対して45度の方位角のオフセットを有する。このように、受信機302を配向することにより、受信機アレイ726による送信機302から供給されるよりも高い次数のモードの受信が減る。方位角のオフセットは、四極子信号を受信機306で最小化させるため、特に、駆動要素728をオフセットすることにより、受信機306における単極子信号への四極子混合(contamination)を最小化する。
【0046】
音響計測器具700の代わりの実施の形態では、受信機アレイ726に対して45度の方位角オフセットを維持しながら、送信機302は、図7cにおいて以下に記載された送信機304と同じ方法で、多極子音源として動作できるように形成されている。これにより、送信機302、304は、単極子、双極子、又は四極子モードを励起することができる。結果として、四極子モードのインライン及びクロスライン信号を受信機306により記録できる。
【0047】
図7cは、音響計測器具700の送信機304部分の断面図である。送信機304は、ここでは、例示の音響計測器具700と関連して示されているが、ここに記載された、いかなる例示の音響計測器具と同様の方法で形成してもよい。本実施の形態では、送信機304は、器具本体308に形成され、多極子音源として作動する。送信機304は、複数の音響駆動要素730を用いて形成され、各音響駆動要素730は、別々、すなわち、別個であり、円筒の一部を形成する。本実施の形態では、送信機304は、4つの円筒形状の音響駆動要素730を用いて形成され、各音響駆動要素730は四分の一の円弧形状を有する。これら四つの駆動要素730を用いて送信機304を形成することにより、送信機304は、単極子ファイアリングモードで作動するための同じ極性、又は、四極子ファイアリングモードで作動するための交互に変化する交流極性の圧力波を発することができる。これらの円筒形状の音響駆動要素730は、器具本体308に設置され、図7aの4つの受信機アレイ726と整列している。これにより、送信機304は、各受信機アレイ726と方位角が整列するように器具本体308に配向され、これにより、インライン四極子信号を記録することが可能になる。
【0048】
これに代えて、受信機アレイ726の方位角方向の整列は維持したまま、送信機304は図7bで上述した送信機302と同じ方法で単極子として作動するようにすることができる。概していえば、送信機が高いモード純度での励起を実現するためには、単極子又は双極子といった、送信機ファイアリングモードのそれぞれは、典型的には、送信機が特定の形状であり、かつ/又は、例えば、チタン酸鉛や、チタン酸ジルコン酸鉛などの、特定のタイプの圧電材料から構成されることを必要とする。
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して音波記録システムに関し、より詳細には、記録が困難な状況において高品質の音響計測結果を得られる穿孔時記録(logging while drilling)器具に関する。
【背景技術】
【0002】
地層特性は、坑井の掘削の間、又は、その直後に、穿孔時記録(LWD)として知られる工程において孔底アセンブリに組み込まれた器具を用いることにより、計測することができる。LWD工程により、掘削流体が深く浸透する前に地層の特性を計測することが可能になる。さらに、多くの坑井、特に、大きく偏向した坑井は、従来の有線の器具による計測が困難である。これらの状況において、LWD計測の使用により、有線による作業では不可能な、少なくともいくつかの地下計測結果を結果的に得ることができる。タイムリーなLWDデータは、坑井が対象の領域内や、例えば、非常に価値のある頁岩層などの層の最も生産性の高い部分に維持されるように、坑井の配置を案内するためにも使用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、LWD器具は、高速地層(fast formation)かつ小さな坑井の特性の計測に必要なエネルギを生成することができる。しかしながら、例えば、低速地層(slow formation)かつ大きな坑井のような、困難な記録条件において、計測精度を向上するためには、大きなエネルギが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施の形態が上記の図面に示され、以下に詳細に記載される。これらの実施の形態を記載する際に、同様又は同じ参照番号は、共通又は同様の要素を特定するために用いられる。図面は必ずしも寸法決めされておらず、特定の図及び特定の図の描写は、明確さ及び/又は理解のために寸法又は概略的に誇張されている。さらに、ここでは、特定の好適な実施形態が開示されるが、他の実施形態を使用でき、本発明の範囲から離れることなく、構造を変更してもよい。
【0005】
ここに記載される例示の音響計測器具は、例えば、低速地層かつ大きな坑井のような困難な記録状況において高品質の計測を可能とするために、例えば、穿孔時記録システムなどの音波記録システムとともに用いられる。低速地層及び大きな坑井において、例えば、四極子及びスタンレー計測などの様々な計測結果を収集するため、記録器具は、通常、高速地層かつ小さい坑井で必要なエネルギよりも、より大きなエネルギを地層へと放出する必要がある。加えて、低速地層及び/又は大きな坑井では、高速地層又は小さな坑井における周波数よりも低い周波数で、四極子エアリ相が生じる。ここに記載する例示の音響計測器具は、低速地層とともに、高速地層においても、例えば、単極子モード、スタンレーモード及び四極子モードなどの高品質の音響計測を実施するために必要な周波数及びエネルギを有する音響信号を発生する。
【0006】
ここに記載された例示の音響計測器具は、一又は二以上の送信機/受信機構成又は形態を有し、上記のような状況などの記録が困難な状況で、質の高い音波計測を実施するのに必要な特性を有する音響信号を発生する。例えば、これらの音響計測器具のいくつかは、器具本体又はカラー(つば)に配置された複数の送信機を含んでもよい。器具本体は、坑底アセンブリにおいてドリルカラーとして機能し、これにより、これらの用語は、相互変更可能に用いられる。しかしながら、以下の記載では、「器具本体」を使用する。
【0007】
器具本体に配置された複数の送信機は、それぞれ、特定のファイアリング(発信)モードに最適化されている。一般的に、各送信機のファイアリングモードは、高いモード純度での送信機の励起を実現するため、送信機は特定の形状であり、かつ/又は、例えば、チタン酸鉛又はジルコン酸チタン酸鉛などの所定のタイプの圧電性材料からなることを必要とする。これにより、複数の送信機を利用する構成は、各送信機の設計がそれぞれ、特定のファイアリングモードに対して最適化されることを可能とする。例えば、第1の送信機は単極子ファイアリングモード作動に対して最適化されるとともに、第2の送信機は多極子ファイアリングモード作動に対して最適化されるように、器具を形成できる。
【0008】
ここに記載される例示の音響計測器具は、上記の各送信機が、受信機から異なる軸方向距離だけ離間するように、器具本体に配置されている。より具体的には、複数の送信機を有する器具の成形は、送信機と受信機の間隔を特定のファイアリングモードに対して最適化することができる。例えば、単極子ファイアリングモードに対する器具本体に沿った伝播を減衰するための最適な送信機と受信機の間隔は、四極子ファイアリングモードのための最適な間隔よりも長い。この例では、受信機の外径は、伝播する音波の減衰に影響を与えることなく、器具本体の外径と同じ又は異なることが可能である。
【0009】
追加の構成要素をここに記載する例示の器具に追加することができる。例えば、器具本体の、上記の送信機及び受信機の少なくとも一つの間に、減衰器区分を一体に形成してもよい。この減衰器は、音響コントラストとともに、カラー延長モードの特性を減衰させるため、器具ハウジングに複数の溝を形成してもよい。このような溝は、器具本体の内側及び外側に形成することができ、音響減衰材料で充填してもよい。この音響減衰材料は、カラーアライバル(collar arrival)などの、構造により伝達される望まない音響信号をより効率的に減衰できるように、タングステン粒子などのゆるい粒状材料であってもよい。より詳細な、減衰技術は、米国特許第6643221号明細書、米国特許出願公開第2008/0066965号に記載され、これらは、その全体を参照することにより、ここに組み込まれる。これに代えて、四極子モード計測のため、器具本体に溝を形成することなく、減衰区分を形成してもよい。
【0010】
また、例示の器具は、送信機、受信機及び減衰器がスタビライザの間に位置するように、器具本体に配置されたスタビライザを備えることができる。これらのスタビライザは、坑井の径に対して調整可能であり、ドリルビットの寸法及び穿孔状況に応じて変化する。このようにスタビライザを配置することにより、送信機及び受信機を最大限に中心化することができる。この結果、計測データへの器具の影響が予測でき、処理において形状することができるため、波形計測のより高い正確性及び質が得られる。
【0011】
加えて、送信機のワイヤを収容し、器具本体の外側と内側の間の電気接続を強固にするため、器具ハウジングに溝を配置することができる。これにより、電気接続のための穴が送信機及び受信機の区分の外側に位置し、計測データに対する孔の影響を最小化できる。
【0012】
ある実施の形態では、音響計測器具は、器具本体に沿って、受信機の一方の側に配置された複数の送信機を備えるように構成できる。この構成は、減衰器区分からの反射波が受信機区分に到達しないことを確実にする。加えて、この構成は、複数の送信機を駆動するために必要な電気接続を、互いに近くに配置することを可能にする。この構成によれば、送信機回路と受信機回路のクロストークの可能性を減らすことができる。また、この送信機の構成は、器具の長さを、受信機の両側に送信機が装着された器具の長さよりも短くできる。
【0013】
他の実施の形態では、音響計測器具は、器具本体の受信機の両側に配置された少なくとも二つの送信機と、二つの送信機の間に配置された減衰器とを有するように構成できる。この構成は、送信機と受信機の間の器具本体のデザインを、それぞれの側で独立して最適化することができる。さらに、第2の送信機の外径が、坑井モードの伝播に影響を与えることなく、器具本体全体の径よりも大きくできる。加えて、器具本体は、複数の延長ブロックを備えることができる。この実施の形態では、複数の方位角方向に離間した音響駆動要素又は送信機要素を用いて形成された送信機の少なくとも一つは、それぞれ延長ブロックのうちの対応する一つに結合する各駆動要素を含む。これらの延長ブロックは、送信機駆動要素が、坑井壁面の近くの場所で、坑井を振動することを可能にする。
【0014】
他の実施の形態では、音響計測器具は、器具本体の減衰区分に配置された送信機を有するように構成できる。この実施の形態では、減衰区分に配置された送信機の外径は、減衰区分の外径とほぼ等しい外径を有する。この構成は、減衰区分に配置された送信機が、第1の送信機とともに励起した坑井モードの伝播に影響を与えることがない。この構成は、送信機の正面で伝播のいくらかを反射する、減衰区分に配置された送信機における音響コントラストを防止できる。器具本体における送信機の形成に関するより詳細な情報は、米国特許第7470435号明細書に記載され、その全てを参照することにより本願に組み込まれる。
【0015】
ここで記載される例示の音響計測器具は、困難な記録状況において質の高い音波計測を達成するのに必要なエネルギを生成するため、上記の特徴に加えて、一又は二以上の送信機及び受信機の構成を含む。例えば、器具は、四極子波を得るために、四つの方位角の受信機を備えることができる。この場合、記録された信号は、空間フーリエ変換を用いて、単極子、双極子、及び四極子モードへと分解できる。これに代えて、例示の器具は、少なくとも8つの受信機アレイを備えて構成できる。この構成によれば、クロスライン四極子計測が可能となり、非等方性の媒体内での四極子分割(quadrupole splitting)を探知できる。加えて、この構成によれば、例えば、単極子モードの操作中における八極子モードなどの、不要な高い次数のモードを拒否できる可能性が増加する。さらに、この構成によれば、イメージングの適用のための、より高品質な方位角分解性能が確実になる。この構成において、音源は単極子、双極子、四極子又は他の多極子音源にできる。一体化された音響送信機及び受信機組立体に関するさらなる情報は、米国特許第7364007号明細書及び米国特許出願公開2010/0000311に含まれ、これらはその全てを参照することによりここに組み込まれる。
【0016】
上記のあらゆる送信機は、複数の音響駆動要素又は送信機要素を用いて形成できる。ここに記載したように、「音響駆動要素」及び「送信機要素」は、トランスデューサなどの、電気エネルギを音波へ変換する送信機の要素をいう。「音響駆動要素」は、これに従って、以下使用される。
【0017】
各音響駆動要素は、別々、すなわち、別個であり、円筒の一部を形成する。例えば、送信機は、それぞれ、反円弧状の輪郭を有し、器具本体に設置される二つの円筒形状の音響駆動要素を用いて、送信機を形成できる。代わりの実施の形態では、送信機は、それぞれ、反円弧状の輪郭を有する二つの円筒形状の音響駆動要素を用いて形成してもよいし、同じ器具本体の第2の送信機を、それぞれ4分割の円弧輪郭を有する4つの円筒形状の駆動要素を用いて物理的又は電気的に形成してもよい。これら4つの駆動要素は、例えば、単極子モードを励起するため、同じ極性の圧力波、又は、四極子モードを励起するため交流極性の圧力波を発するのに使用される。これにより、一つの送信機を単極子音源として作動するように構成し、他の送信機を多極子音源として作動するように構成できる。この例示の構成では、第2の送信機のそれぞれが四分割の円弧輪郭を湯酢売る4つの円筒形状要素が、4つの受信機アレイと整列している。これにより、送信機は、それぞれ受信機アレイと方位角方向に整列するように、器具本体に配向されている。この構成により、インライン四極子信号を記録することが可能になる。加えて、この例示の構成では、それぞれ半円弧輪郭を有する二つの円筒形状の要素を用いて形成下第1の送信機は、受信機に対して、45度、方位角方向又は半径方向にオフセットするように、器具本体に配列されている。この第1の送信機は、単極子ファイアリングを目的とするものだが、ある四極子モードを励起することもできる。第1の送信機は、第1の送信機により供給されるよりも、高い次数のモードが受信機アレイにより受信されるのを減らすように、器具本体において受信機アレイに対して配向されている。方位角のオフセットにより受信機における四極子信号を最小化できるため、この実施の形態の配列によれば、受信機における単極子信号に対する四極子混合(contamination)を最小化する。
【0018】
他の実施の形態では、両送信機は、それぞれ四分割の円弧輪郭を有し、例示の器具本体に設置された4つの円筒形状の音響駆動要素を用いて形成されている。この実施の形態では、二つの送信機のうちの一つが、器具本体において、受信機に対して45度の方位角のオフセットを有するように整列されている。この実施の形態の構成によれば、両送信機が、単極子、双極子、または四極子モードを励起することが可能となる。さらに、この構成によれば、四極子モードの二つの信号(互いに直交している)を受信機により記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ここで記載される例示の方法及び装置を実施するための、送信機及び受信機を含む、例示の坑井サイトシステムを示す。
【図2】例示の音響穿孔時記録器具を示す。
【図3】器具本体に沿って、受信機の片側に配置された複数の送信機を有する、例示の音響計測器具を示す。
【図4】送信機の間に減衰器が位置するように、器具本体の受信機の両側に送信機を配置する例示の音響計測器具を示す。
【図5a】器具本体の減衰器に送信機を配置する例示の音響計測器具を示す。
【図5b】図5aの例示の音響計測器具の断面図を示す。
【図6a】複数の延長ブロックに結合された送信機を有する例示の音響計測器具を示す。
【図6b】図6aに示された例示の音響計測器具の断面図を示す。
【図7a】音響計測器具の受信機区分の断面図を示す。
【図7b】送信機が単極子音源である場合の、図7aの音響計測器具の送信機区分の断面図を示す。
【図7c】送信機が多極子音源である場合の、図7aの音響計測器具の送信機区分の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、例示の方法及び装置が実装された坑井サイトシステム100を示す。坑井サイトシステム100は、陸上であっても、海上であってもよい。図1の例示の坑井サイトシステムにおいて、回転及び/又は指向性の穿孔により、一又は二以上の地下層内に坑井102が形成される。ドリルストリング104は、坑井102内に懸下されており、下端にドリルビット108を含む坑底アセンブリ106を有する。坑井システム100は、地表に、坑井102を覆うように配置されたプラットホーム及びデリックアセンブリ110を含む。デリックアセンブリ110は回転テーブル112を有し、回転テーブル112は、ドリルストリング104の上端においてケリー114と噛み合い、回転をドリルストリング104へ伝達する。回転テーブル112は、図示しない装置又はシステムによりエネルギ供給される。例示のドリルストリング104は、トラベリングブロック(不図示)に取り付けられたフック116から垂下している。加えて、ドリルストリング104は、ケリー114及び回転スイベル118を貫通して位置決めされており、これにより、フック116に対するドリルストリング104の回転が可能になる。加えて、又はこれに変えて、トップ駆動システム(不図示)を、ドリルストリング104に回転を伝達するために使用できる。
【0021】
図1に示された例では、坑井システム100は、さらに、穿孔流体120を含む。例えば、穿孔流体120は、他の坑井の圧力を維持し、かつ/又はドリルビット108を取り囲む領域から切削物を除去するため、ウォーターベースマッド、オイルベースマッド、ガス穿孔流体、水、ガス、又は、他の流体を備える。穿孔流体120は、坑井サイトに形成されたピット122内に貯蔵される。ポンプ124は、穿孔流体120を回転スイベル118のポートを介してドリルストリング104の内部へ送り出し、矢印126で示されているように、穿孔流体120を、ドリルストリング104を通して、下方に流れさせる。穿孔流体120は、ドリルビット108のポートを介してドリルストリング104から排出され、矢印128で示されているように、ドリルストリング104と坑井102の壁面との間の環状領域を通って上方へ循環する。穿孔流体120は、ドリルビット108を滑らかにし、再循環のためにピット122へ戻される際に地層からの切断物を地表へ運び、坑井102の壁面にマッドケーキ層(不図示、すなわちフィルターケーキ)を作り出す。
【0022】
加えて、坑井システムは、通信リレー130及び記録・制御プロセッサ132を含む。例示の通信リレー130は、孔底アセンブリ106内に配置されたセンサ、送信機及び/又は受信機からの、情報及び/又はデータを受信する。情報は、ドリルストリング104を通る有線通信経路を介して、及び/又は無線通信経路を介して、通信リレー130により受信される。通信リレー130は、受信した情報及び/又はデータを記録・制御プロセッサ132へ送信する。加えて、通信リレー130は、記録・制御プロセッサ132からデータ及び/又は情報を受信する。通信リレー130は、データ及び/又は情報を受信すると、データ及び/又は情報を、孔底アセンブリ106内の適切なセンサ、送信機及び/又は受信機へ送信する。
【0023】
例示の記録・制御プロセッサ132は、パラメータを入力し、かつ/又は出力を表示することを可能にするユーザインターフェースを含む。加えて、記録・制御プロセッサ132は、岩層の境界のイメージングを制御する。例えば、記録・制御プロセッサ132は、坑井102内に孔底アセンブリ106、及び/又は、音響かつ/又は振動イメージングツールを配置し、送信機に受信機へ信号を送信させ、かつ/又はセンサに受信させる。
【0024】
加えて、記録・制御プロセッサ132は、坑井102から岩石境界の位置までの距離を送信信号及び受信信号に基づき計算する。さらに、記録・制御プロセッサ132は、坑井102から岩層の境界までの距離を計算しながら、岩層内の異方性を補償する。記録・制御プロセッサ132は、地表の坑井上、かつ、坑井サイトシステム100内に記載しているが、記録・制御プロセッサ132の一部又は全体を、坑井アセンブリ106及び/又は離間した場所に配置してもよい。
【0025】
ある例では、図1の坑底アセンブリの器具は、それぞれの器具本体に収容される、どのような数及び/又はタイプの、穿孔時記録モジュール又は器具(そのうちの一つは、参照番号134で示される)を含んでもよい。図1に示されるLWDモジュール134は、以下に記載される例示の装置である。坑底アセンブリ106は、穿孔時計測(measuring-while-drilling:MWD)モジュール(そのうちの一つは参照番号136で示される)、及び、回転操縦可能システム又はマッドモータ138を含んでもよい。MWDモジュール136は、例えば、坑井の軌道を観測するためにドリルビット108の包囲及び傾きを計測してもよい。
【0026】
坑底アセンブリ106は、例えば、送信機140A、140B及び/又は受信機142A−Cを介して情報を通信するための性能とともに、計測、処理、及び/又は情報を記録する性能を含む。送信機140A−Bは、LWDモジュール134内に示されている。しかしながら、送信機140は、MWDモジュール136、及び/又は、別個の音響かつ/又は振動イメージング器具内に含まれてもよい。加えて、受信機142A−CはLWDモジュール134内に示されている。しかしながら、受信機142A−Cは、MWDモジュール136、及び/又は、別個の音響かつ/又は振動イメージング器具内に含まれてもよい。送信機140A−B及び/又は受信機142A−Cは、通信リレー130及び/又は記録・制御プロセッサ132に通信可能に結合されている。さらに、二つの送信機140A−Bが示されているが、他の実施の形態では、一又は二以上の送信機を含んでもよい。加えて、3つのみの受信機142A−Cが示されているが、他の実施の形態では、より多くの、又はより少ない受信機を含んでもよい。
【0027】
受信機140A−Bは、これに限定されないが、音響信号、振動信号、音波信号、超音波信号、及び/又は、他の圧縮及び/又はせん断信号を含むどのような信号でも送信することができる。受信機142A−Cは、送信機で発生した信号タイプを受信することができるセンサを含む。例えば、送信機140A−Bが、中心周波数が8kHzの振動又は音響信号を発生する場合には、受信機142A−C内のセンサは、中心周波数が8kHzの振動信号を探知しながら、他の信号タイプをフィルタリングするように形成されるとよい。送信機140A−Bは、信号を発生することができる、あらゆるタイプの装置を含むことができ、受信機142A−Cは、信号を探知でき、記録・制御プロセッサ132により処理できるように、信号を電子データへと変換できるように構成されたセンサを含む。
【0028】
図1の構成要素は、特定の伝達タイプで実装されて、示され、かつ、記載されているが、ここで記載する例示の方法及び装置は、特定の伝達タイプには限定されず、かわりに、例えば、渦巻状チュービング、電線、有線ドリルパイプ、及び/又は産業界で知られている他の伝達タイプを含む、異なる伝達タイプに関連して実装されてもよい。加えて、又はこれに変えて、ここに記載された例示は、スマートウェル(smart well)、及び/又はインテリジェントコンプリション(intelligent completion)とともに実装されている。
【0029】
図2は、音波式穿孔時記録器具を示し、これはLWD器具134であってもよく、米国特許第6308137号明細書に記載されたタイプのLWD器具群134Aの一部であってもよい。米国特許第6308137号明細書は、参照して本願に組み込まれる。開示された実施形態では、図2に示すように、沿岸リグ200が用いられており、音波送信音源又はアレイ202が水面近くに配置されている。これに変えて、いかなる他の好適なタイプの坑井上(uphole)又は坑井内(downhole ダウンホール)の音源又は送信機が提供される。坑井上プロセッサは、送信機202のファイアリングを制御する。坑井上装置は、発信源の近くに基準信号を補足するための音響受信機及び記録装置を含むことができる。坑井上装置は、さらに、坑井内装置(ダウンホール装置)からのMWD信号を受信するための遠隔制御装置を含む。遠隔制御装置及び記録装置は、典型的には、記録が坑井上及び坑井内のクロックの使用と同期するように、プロセッサに接続されている。坑井内LWDモジュール204は、少なくとも音響受信機206、208を含み、これらは、受信機により探知された信号が、信号源のファイアリングと同期した状態で記録されるように、信号プロセッサに接続されている。
【0030】
図3は、器具本体308に沿って受信機306の一方の側に配置された複数の受信装置302、304を有する例示の音響計測器具300を示す。また、例示の音響計測器具300は、器具本体308に、送信機302、304と受信機306との間に一体に形成された減衰器310と、スタビライザ312、314とを含む。スタビライザ312、314は、送信機302、304、受信機306及び減衰器310がスタビライザ312、314の間に位置するように、器具本体308に配置されている。
【0031】
本実施の形態では、受信機306は、各送信機302、304が、受信機306から異なる軸方向距離に離間するように、器具本体308に配置されている。例示の音響計測器具300は、上記したような困難な記録状況における良質の音波計測を実施するのに必要な性能を有する音響信号を生成するため、この送信機/受信機の形態を採用している。特に、複数の送信機302、304を受信機306から異なる軸方向距離に配置することにより、それぞれの送信機と受信機の間隔を特定のファイアリングモードに対して最適化することができる。例えば、単極子ファイアリングに対して、器具本体308に沿った伝播を減衰させるための好適な送信機と受信機の間隔は、四極子ファイアリングモードに対する好適な間隔よりも長い。このように、本実施の形態では、送信機304は、単極子モードで発振するように形成され、送信機302は、四極子モード又は他の単極子モードで発振するように形成されている。しかしながら、概して、送信機302、304は、単極源、双極源又はこれらのいかなる組合せとして動作するように構成できる。送信機302、304が単極子又は多極子ファイアリングモードで作動するように構成することについてのより詳細な情報は、図7b−7cに関連して以下に記載される。
【0032】
スタビライザ312、314は、坑井の径に合わせて調整可能であり、ドリルビットの寸法及び穿孔状況に応じて変えることができる。音響計測器具300へのスタビライザ312、314の配置は、送信機302、304及び受信機306を最大限中心へ集中できる。これにより、計測データに対する器具300の影響が予測可能になり、処理において計上することができるため、すぐれた正確性と高品質の計測結果を収集することが可能になる。
【0033】
図3に示すように、器具本体308に沿った受信機306の一方の側へ送信機302、304を配置することにより、減衰器310により反射した音波が受信機306へ到達するのを防止できる。より具体的には、送信機302、304から音波が伝播されたときに、減衰器310により反射された波は送信機302、304へ戻るように向かう。加えて、送信機302、304を受信機306の一方の側に配置することにより、送信機302、304を駆動するのに必要な電気接続が互いに近くに位置する。結果として、送信機302、304の電気接続も、受信機306の電気接続から離間し、これにより、送信機回路と、受信機回路とのクロストークの可能性を減らすことができる。また、送信機302、304を受信機306の一方の側に配置することにより、音響計測器具300の長さを、他の例示的な音響計測器具の長さよりも短くできる。
【0034】
図4は、減衰器310が送信機302、304の間に位置するように、送信機302、304を器具本体308の受信機306の両側に配置する例示的音響計測器具400を示す。スタビライザ312、314の配置は、図3に示す配置と同様である。本実施の形態で用いられている複数の送信機302、304は、図3に関連して上記した利点と同様の利点を音響計測に与える。
【0035】
しかしながら、送信機302、304を器具本体310の受信機306の両側へ配置し、減衰器310を二つの送信機302、304の間に配置することにより、送信機302、304と、受信機306との間の器具本体308の設計を各側において独立して最適化できる。例えば、坑井モードの伝播に影響を及ぼすことなく、送信機302、304の外径を、器具本体308の全直径よりも大きくできる。より具体的には、送信機302、304が受信機306の両側に配置されたため、送信機302の寸法は、送信機304から伝播され、受信機306により受信される音波に影響を及ぼさない。加えて、送信機302、304は、坑井地層へさらに近くすることができ、地層へより大きなエネルギーを放出できる。本実施の形態は、また、器具本体308の強度を増加できる。
【0036】
図5aは、送信機302を器具本体308の減衰器310に配置した、例示の音響計測器具500を示す。本実施の形態では、送信機302の外径は、減衰器310の外径とほぼ等しい。送信機304及びスタビライザ312、314の配置は、図3の配置と同様である。また、本実施の形態で用いられる複数の送信機302、304は、図3に関連して上述した利点と同様の利点を与える。
【0037】
しかしながら、図5aに示す器具本体308の減衰器310への送信機302の配置は、送信機302が、送信機304により励起される坑井モードの特性に影響を及ぼさないことを確実にする。例えば、送信機302は、送信機304により発生させられた音波が、受信機306へ到達するのを妨げる。送信機302を減衰器310に配置することにより、さもなければ、送信機304により伝播された波の一部を、送信機304へ向かって戻るように反射するであろう送信機302における音響コントラストを防止する。本実施の形態では、一つの送信機302が減衰器310に配置されているが、さらなる送信機を減衰器310に配置し、特定の実施に対して、器具の構成を最適化できる。
【0038】
音響計測器具500は、また、送信機302、304への電線を収容する溝を器具本体308に有する。音響計測器具500は、一の溝518しか示していないが、一又は二以上の溝518を器具本体308に形成してもよい。溝518は、器具本体308の外側と内側の間の電気接続を確実にし、送信機302、304及び受信機306から離れて位置する電位接続のための孔を可能にし、これにより、これらの孔の計測データへの影響を最小化する。電線を収容する溝及びさらなる構成要素に関するより詳細な情報は、米国特許第7367392号明細書に含まれており、その全てを参照してここに組み込まれる。
【0039】
図5bは、図5aの例示的な音響計測器具500の断面図を示す。この図は、不要な音波モードの特性を減衰するように、減衰器310が、器具本体308の送信機304と受信機306との間に一体に形成された様子を示す。図5aの例示の音響計測器具500に関連してここでは減衰器310が示されているが、ここで記載されている、他の実施の形態の音響計測器具へ同様に形成できる。本実施の形態では、送信機302が減衰器310の隣接する溝520の間の空間に形成される。これに代えて、送信機302は減衰器310の溝520が形成される。本実施の形態では、音響コントラスト及びばね−質量効果をともなったカラー延長モードなどの、不要な音波モードの特性を減衰するため、減衰器310は、器具本体308の内側の複数の溝520により形成される。これに代えて、減衰器310を、器具本体308の外側の複数の溝520により形成することができる。図5bに示す溝520は等間隔であるが、これに代えて、溝520は非等間隔で形成することができる。くわえて、例えば、カラーアライバル(collar arrivals)などの不要な構造によって伝達される音響信号をより効果的に減衰することができるように、溝520を、例えば、上述のゆるい粒状材料などの音響減衰材料で充填してもよい。他のかわりの実施の形態では、四極子モード計測結果を収集するときには、器具本体308の溝なしで、減衰器310を形成してもよい。
【0040】
例示の音響計測器具500は、さらに、上記の送信機302、304を駆動するため、器具本体308内に収容された電気カートリッジを含む。加えて、電気カートリッジ522は、他の器具と通信できるととともに、受信機306からデータを取得し記録できる。
【0041】
図6aは、延長されたブロック624に結合された送信機304を有する例示の計測器具600を示す。送信機302、減衰器310、受信機306及びスタビライザ312、314の配置は、図3の示す配置と同様である。しかしながら、これら構成要素の配置は、ここに記載された例示の音響計測器具の全てにおいて使用されていた配置と同様である。送信機304の駆動要素が坑井壁面の近くの位置で坑井を励起できるように、送信機304が延長ブロック624内に形成されるように、送信機304は延長ブロック624と結合されている。加えて、延長ブロック624を、土砂の流れを確かにするために、スタビライザ314のブレード626と整列させることができる。
【0042】
図6bは、図6aの例示的な音響計測器具600の断面図を示す。本実施の形態では、坑井壁の近傍の位置で坑井を励起するため、送信機304は、角方向に間隔をあけた音響駆動要素630を用いて形成されており、各音響駆動要素630は、それぞれ、複数の延長ブロック624の対応する一つに結合されている。方位角方向に間隔をあけた複数の音響駆動要素630を用いた送信機302、304の形成に関するより詳細な情報は、以下、図7b、7cに関連している。
【0043】
図7a−7cは、音響計測器具700の断面図である。図7aは、音響計測器具700の受信機306部分の断面図を示す。ここで示す受信機306は、例示の音響計測器具700と関連しているが、ここに記載された全ての例示の音響計測器具と同様に形成してもよい。本実施の形態では、受信機306は、単極子又は多極子の波を得るように、器具本体308に形成されている。概して、送信された波の伝播及び記録に影響することなく、受信機306の外径は、器具本体308の外径と同じ又はそれよりも大きな径を有するように形成できる。受信機306は、複数の受信機アレイ726を用いて、器具本体308に形成できる。本実施の形態では、受信機306は、4つの受信機アレイ726を用いて、器具本体308に形成されている。これらの受信機アレイ726により記録された信号は、空間フーリエ変換を用いて、単極子、双極子、及び四極子モードへと分解される。他の実施の形態では、受信機304は、8つの受信機アレイ726を用いて、器具本体308に形成してもよい。8つの受信機アレイ726を用いて受信機304を形成することにより、十字線四極子計測結果をえることができる。さらに、8つの受信機アレイ726の使用は、例えば、単極子モードでの操作中における八極子モードなどの、高い次数の不要なモードを退ける可能性を増大させる。加えて、8つの受信機アレイ726の使用は、イメージングの適用に対して、高品質の角度分解能を確実にする。
【0044】
図7bは、音響計測器具700の送信機302部分の断面図を示す。送信機302は、ここでは、例示の音響計測器具700と関連して示されているが、ここに記載された全ての例示の音響計測器具と同様に形成することができる。本実施の形態では、送信機302は、単極子音源として作動するように、器具本体308に形成されている。送信機302は、複数の音響駆動要素728を用いて形成することができ、各音響駆動要素は、別個、すなわち、別々であり、円筒の一部を形成している。本実施の形態では、送信機302は、二つの円筒形状の音響駆動要素728を用いて形成されており、音響駆動要素728のそれぞれは、半円形の輪郭を有し、器具本体308に設置されている。これらの二つの駆動要素728とともに送信機302を形成することにより、送信機302を単極子ファイアリングモードで作動できる。
【0045】
送信機302は、単極子ファイアリングモードのためのものであるが、ある四極子モードが混合として励起することがありうる。受信信号における四極子混合を削減するため、円筒状音響駆動要素728は、器具本体308に設置され、図7aの受信機アレイ726からオフセットしている。例えば、受信機302は、音響計測器具700に整列され、受信機アレイ726に対して45度の方位角のオフセットを有する。このように、受信機302を配向することにより、受信機アレイ726による送信機302から供給されるよりも高い次数のモードの受信が減る。方位角のオフセットは、四極子信号を受信機306で最小化させるため、特に、駆動要素728をオフセットすることにより、受信機306における単極子信号への四極子混合(contamination)を最小化する。
【0046】
音響計測器具700の代わりの実施の形態では、受信機アレイ726に対して45度の方位角オフセットを維持しながら、送信機302は、図7cにおいて以下に記載された送信機304と同じ方法で、多極子音源として動作できるように形成されている。これにより、送信機302、304は、単極子、双極子、又は四極子モードを励起することができる。結果として、四極子モードのインライン及びクロスライン信号を受信機306により記録できる。
【0047】
図7cは、音響計測器具700の送信機304部分の断面図である。送信機304は、ここでは、例示の音響計測器具700と関連して示されているが、ここに記載された、いかなる例示の音響計測器具と同様の方法で形成してもよい。本実施の形態では、送信機304は、器具本体308に形成され、多極子音源として作動する。送信機304は、複数の音響駆動要素730を用いて形成され、各音響駆動要素730は、別々、すなわち、別個であり、円筒の一部を形成する。本実施の形態では、送信機304は、4つの円筒形状の音響駆動要素730を用いて形成され、各音響駆動要素730は四分の一の円弧形状を有する。これら四つの駆動要素730を用いて送信機304を形成することにより、送信機304は、単極子ファイアリングモードで作動するための同じ極性、又は、四極子ファイアリングモードで作動するための交互に変化する交流極性の圧力波を発することができる。これらの円筒形状の音響駆動要素730は、器具本体308に設置され、図7aの4つの受信機アレイ726と整列している。これにより、送信機304は、各受信機アレイ726と方位角が整列するように器具本体308に配向され、これにより、インライン四極子信号を記録することが可能になる。
【0048】
これに代えて、受信機アレイ726の方位角方向の整列は維持したまま、送信機304は図7bで上述した送信機302と同じ方法で単極子として作動するようにすることができる。概していえば、送信機が高いモード純度での励起を実現するためには、単極子又は双極子といった、送信機ファイアリングモードのそれぞれは、典型的には、送信機が特定の形状であり、かつ/又は、例えば、チタン酸鉛や、チタン酸ジルコン酸鉛などの、特定のタイプの圧電材料から構成されることを必要とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の送信機と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機と、
少なくとも一つの送信機と受信機との間に、前記本体と一体に形成された減衰器と、を備える装置。
【請求項2】
各送信機が、前記受信機から異なる軸方向距離だけ離間している、請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記減衰器は、複数の溝により形成される、請求項1に記載された装置。
【請求項4】
さらに、前記溝内に音響減衰材料を備える、請求項3に記載された装置。
【請求項5】
前記減衰器は、少なくとも二つの音響送信機の間に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項6】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項7】
前記送信機の外径は、前記本体の外径と、ほぼ等しい、請求項6に記載された装置。
【請求項8】
前記送信機の少なくとも二つは、前記本体の受信機の一方の側に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項9】
少なくとも二つの送信機は、前記本体の前記受信機の両側に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項10】
前記減衰器は、四極子計測のため、前記本体の溝がない、請求項9に記載された装置。
【請求項11】
前記複数の送信機の少なくとも一つは、本体全体の外径よりも、大きな外径を有する、請求項9に記載された装置。
【請求項12】
少なくとも一つの送信機は、単極子音源として作動するように構成され、送信機の他の一つは、単極子又は多極子音源として作動するように構成されている、請求項1に記載された装置。
【請求項13】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、複数の音響駆動要素を備える、請求項1に記載された装置。
【請求項14】
前記複数の駆動要素のそれぞれは別個であって、前記複数の音響駆動要素により画成される円筒の一部を形成する、請求項13に記載された装置。
【請求項15】
前記受信機は、複数の受信機アレイからなり、
少なくとも一つの受信機アレイによる、少なくとも一つの送信機から供給されるのよりも、高い次数のモードの受信を減らすため、前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記受信機アレイのうちの少なくとも一つに対して前記本体に配向されている、請求項1に記載された装置。
【請求項16】
少なくとも一つの送信機は、複数の音響駆動要素を備え、
前記音響駆動要素のそれぞれは受信機アレイの夫々に対して、方位角方向にオフセットして、前記本体に配向されている、請求項15に記載された装置。
【請求項17】
前記送信機の他の少なくとも一つは、第2の複数の音響駆動要素を有し、第2の複数の音響駆動要素のそれぞれは、前記受信機アレイのそれぞれと方位角方向に整列するように、前記本体に配向されている、請求項16に記載された装置。
【請求項18】
少なくとも一つの送信機は、それぞれ四分割の円弧輪郭を有する4つの円筒形状の駆動要素からなり、
他の送信機は、それぞれ半円弧輪郭を有する2つの円筒形状音響駆動要素からなり、
前記4つの円筒形状要素は、前記受信アレイの夫々と、方位角方向に整列しており、
前記2つの円筒形状要素は、前記受信アレイの夫々に対して、方位角方向にオフセットしている、請求項17に記載された装置。
【請求項19】
前記複数の送信機は、それぞれ、四分割された円弧状輪郭を有する4つの円筒形状駆動要素からなり、前記4つの円筒形状要素は、前記受信アレイの夫々と方位角方向に整列している、請求項17に記載された装置。
【請求項20】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、方位角方向に離間した複数の音響駆動要素からなり、前記音響駆動要素のそれぞれは、前記本体の複数の延長ブロックにそれぞれ結合されている、請求項1に記載された装置。
【請求項21】
さらに、前記本体に配置された少なくとも二つのスタビライザを備え、送信機、受信機及び減衰器が前記少なくとも二つのスタビライザの間に位置している、請求項1に記載された装置。
【請求項22】
前記少なくとも二つのスタビライザは、坑井の径に対して調整可能である、請求項21に記載された装置。
【請求項23】
少なくとも一つの送信機のための電線を収容するためのハウジングに配置された溝を更に備える、請求項1に記載された装置。
【請求項24】
前記本体は、穿孔時記録器具の一部である、請求項1に記載された装置。
【請求項25】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の送信機と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機と、
前記送信機の一つと受信機との間に、前記本体と一体に形成された溝と、を備え、前記送信機は、隣接する溝の間の空間を越えて配置されている、装置。
【請求項26】
前記送信機の他の一つは、前記溝の少なくとも一つを越えて配置されている、請求項25に記載された装置。
【請求項27】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の音響駆動要素と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機アレイと、
前記音響駆動要素と、前記受信機アレイとの間に、前記本体と一体に形成された減衰器と、を備える装置。
【請求項1】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の送信機と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機と、
少なくとも一つの送信機と受信機との間に、前記本体と一体に形成された減衰器と、を備える装置。
【請求項2】
各送信機が、前記受信機から異なる軸方向距離だけ離間している、請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記減衰器は、複数の溝により形成される、請求項1に記載された装置。
【請求項4】
さらに、前記溝内に音響減衰材料を備える、請求項3に記載された装置。
【請求項5】
前記減衰器は、少なくとも二つの音響送信機の間に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項6】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項7】
前記送信機の外径は、前記本体の外径と、ほぼ等しい、請求項6に記載された装置。
【請求項8】
前記送信機の少なくとも二つは、前記本体の受信機の一方の側に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項9】
少なくとも二つの送信機は、前記本体の前記受信機の両側に配置されている、請求項1に記載された装置。
【請求項10】
前記減衰器は、四極子計測のため、前記本体の溝がない、請求項9に記載された装置。
【請求項11】
前記複数の送信機の少なくとも一つは、本体全体の外径よりも、大きな外径を有する、請求項9に記載された装置。
【請求項12】
少なくとも一つの送信機は、単極子音源として作動するように構成され、送信機の他の一つは、単極子又は多極子音源として作動するように構成されている、請求項1に記載された装置。
【請求項13】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、複数の音響駆動要素を備える、請求項1に記載された装置。
【請求項14】
前記複数の駆動要素のそれぞれは別個であって、前記複数の音響駆動要素により画成される円筒の一部を形成する、請求項13に記載された装置。
【請求項15】
前記受信機は、複数の受信機アレイからなり、
少なくとも一つの受信機アレイによる、少なくとも一つの送信機から供給されるのよりも、高い次数のモードの受信を減らすため、前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記受信機アレイのうちの少なくとも一つに対して前記本体に配向されている、請求項1に記載された装置。
【請求項16】
少なくとも一つの送信機は、複数の音響駆動要素を備え、
前記音響駆動要素のそれぞれは受信機アレイの夫々に対して、方位角方向にオフセットして、前記本体に配向されている、請求項15に記載された装置。
【請求項17】
前記送信機の他の少なくとも一つは、第2の複数の音響駆動要素を有し、第2の複数の音響駆動要素のそれぞれは、前記受信機アレイのそれぞれと方位角方向に整列するように、前記本体に配向されている、請求項16に記載された装置。
【請求項18】
少なくとも一つの送信機は、それぞれ四分割の円弧輪郭を有する4つの円筒形状の駆動要素からなり、
他の送信機は、それぞれ半円弧輪郭を有する2つの円筒形状音響駆動要素からなり、
前記4つの円筒形状要素は、前記受信アレイの夫々と、方位角方向に整列しており、
前記2つの円筒形状要素は、前記受信アレイの夫々に対して、方位角方向にオフセットしている、請求項17に記載された装置。
【請求項19】
前記複数の送信機は、それぞれ、四分割された円弧状輪郭を有する4つの円筒形状駆動要素からなり、前記4つの円筒形状要素は、前記受信アレイの夫々と方位角方向に整列している、請求項17に記載された装置。
【請求項20】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、方位角方向に離間した複数の音響駆動要素からなり、前記音響駆動要素のそれぞれは、前記本体の複数の延長ブロックにそれぞれ結合されている、請求項1に記載された装置。
【請求項21】
さらに、前記本体に配置された少なくとも二つのスタビライザを備え、送信機、受信機及び減衰器が前記少なくとも二つのスタビライザの間に位置している、請求項1に記載された装置。
【請求項22】
前記少なくとも二つのスタビライザは、坑井の径に対して調整可能である、請求項21に記載された装置。
【請求項23】
少なくとも一つの送信機のための電線を収容するためのハウジングに配置された溝を更に備える、請求項1に記載された装置。
【請求項24】
前記本体は、穿孔時記録器具の一部である、請求項1に記載された装置。
【請求項25】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の送信機と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機と、
前記送信機の一つと受信機との間に、前記本体と一体に形成された溝と、を備え、前記送信機は、隣接する溝の間の空間を越えて配置されている、装置。
【請求項26】
前記送信機の他の一つは、前記溝の少なくとも一つを越えて配置されている、請求項25に記載された装置。
【請求項27】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の音響駆動要素と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機アレイと、
前記音響駆動要素と、前記受信機アレイとの間に、前記本体と一体に形成された減衰器と、を備える装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【公表番号】特表2013−508737(P2013−508737A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535947(P2012−535947)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002716
【国際公開番号】WO2011/051776
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002716
【国際公開番号】WO2011/051776
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
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