説明

突起物の塗装工具

【課題】ボルトやナットなどの突起物の塗装を簡易に行え、構造が簡単で低コストの工具を提供する。
【解決手段】突起物の塗装工具1は、電動ドリルドライバなどと脱着可能に連結する連結部10と、この連結部10に連設され連結部10と一体となって回転する環状のねじりブラシ部20とを備えている。ねじりブラシ部20は、2本の芯線21の間にブラシ毛材22を挟み、ねじり上げてブラシ毛材22を固定している。この環状のねじりブラシ部20に塗料を含ませ、突起物に被せて回転させると、突起物の側面を一度に塗装することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトやナットなどの突起物を塗装するための工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場の屋根や橋梁などにはボルトやナットが突出している。従来、これらを塗装するには手刷毛を用いて行わなければならず、多くの労力が必要であった。
【0003】
このため、突起物の塗装を簡易に行えるよう、特許文献1記載の刷毛器具が提案されている。この器具は、電動ドリルドライバなどの回転操作体に取り付けられる回転軸と、取付け部材を介し回転軸と一体となって回転する2本の刷毛本体とを有し、2本の刷毛本体の毛先面は、回転軸の軸線を中心にして180°回転対称の関係に位置し、毛先面が互いに向き合うように回転軸の軸線に対して傾斜しているものである。そして、これにより連続して突起物を塗装することが可能となっている。
【0004】
しかし、特許文献1記載の刷毛器具では、部品点数が多いため、コストが高くなるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、円筒形手回し塗装用具が提案されている。この用具は、前方が開口し、後方が空気穴のみを有して閉じた円筒形容器と、円筒形容器の後方に位置し、円筒形容器内に空気を送り込むゴムキャップと、容器の前方内部側面に取り付けられたブラシ毛材と、ブラシ毛材の後方に配設されたスポンジと、スポンジの後方に設けられた塗料溜とを備えたものである。そして、これにより一回の作業で突起物を塗装することが可能となっている。
【0006】
しかし、特許文献2の円筒形手回し塗装用具は、何より用具自体を手で回転させなければならないため、作業者の疲労の原因となっていた。また、内部構造が複雑なため、用具を洗う際に手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−46150号公報
【特許文献2】特開2006−102725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ボルトやナットなどの突起物の塗装を簡易に行え、構造が簡単で低コストの工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明では、
電動ドリルドライバなどのように回転駆動する機械の駆動軸と脱着可能に連結する連結部と、この連結部に連設され、連結部と一体となって回転する環状のねじりブラシ部と、を備えている。なお、ねじりブラシとは、2本の芯線の間にブラシ毛材を挟み、ねじり上げてブラシ毛材を固定したものである。
【0010】
請求項2に係る発明では、
ねじりブラシ部のブラシ毛材のうち、所定の部分をカットしている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、環状のねじりブラシ部に塗料を含ませ、ナットやボルトなどの突起物にこれを被せて回転させると、突起物の側面を一度に塗装することができる。なお、ねじりブラシの性質上、ブラシ毛材は螺旋状に配設されるため、塗装時の摩擦抵抗を抑えることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、所定の部分のブラシ毛材をカットしているため、ねじりブラシ部を回転させたときに塗料が飛び散ることを抑えることができる。また、ねじりブラシ部に塗料が付きすぎないようにし、塗装品質を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の斜視図である。
【図2】使用時の側面図である。
【図3】連結部とねじりブラシ部を連設する方法の一例を示した図である。
【図4】連結部とねじりブラシ部を連設する方法の一例を示した図である。
【図5】実施例2の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明である突起物の塗装工具を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、実施例1の突起物の塗装工具1の構成について、主に図1を参照して説明する。突起物の塗装工具1は連結部10、ねじりブラシ部20、連設部30で構成される。
【0016】
連結部10は、図2に示すように電動ドリルドライバ100に脱着可能に連結される。
【0017】
ねじりブラシ部20は、2本の芯線21の間にブラシ毛材22を挟み、ねじり上げてブラシ毛材22を固定するとともに、留め具40によって全体が環状に閉じている。そして、連結部10と中心軸が同軸となるように連設部30を介して連結部10に連設されている。本実施例では、芯線21の材料はステンレスであり、ブラシ毛材22の材料は樹脂であるが、材料はこれに限られるものではない。
【0018】
連設部30は、ねじりブラシ部20の芯線21を延長し、それを図3に示すように折り曲げて形成されている。これにより、部品点数を減らしコストを抑えることに貢献している。なお、本実施例では、連設部30は片持ちになっているが、図4のようにしてもよく、連設部の全部または一部をねじりブラシ部20の芯線21とは別部材としてもよい。
【0019】
つぎに、突起物の塗装工具1の使用方法を、工場の屋根に上向きに突出するナットとボルトねじを塗装する場合を具体例として説明する。
【0020】
前提として、突起物の塗装工具1は、ナットとボルトねじのサイズに合ったものを使用する。ねじりブラシ部20に塗料を含ませ、ナットとボルトねじに上から被せて電動ドリルドリルを回転させる。そうすると、ねじりブラシ部20のブラシ毛材22がナットおよびボルトネジの側面に接しながら回転する。これをそのまましばらく保持するとナットおよびボルトネジを塗装することができる。
【実施例2】
【0021】
つぎに、実施例2の突起物の塗装工具2の構成について、主に図5を参照して説明する。なお、実施例1の突起物の塗装工具1と同様の構成については、突起物の塗装工具1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0022】
突起物の塗装工具2は連結部10、ねじりブラシ部25、連設部30で構成される。
【0023】
ねじりブラシ部25は、2本の芯線21の間にブラシ毛材26を挟み、ねじり上げてブラシ毛材26を固定するとともに、留め具40によって全体が環状に閉じている。
【0024】
突起物の塗装工具2のブラシ毛材26は、塗装に影響しない部分、すなわち、ねじりブラシ部25を軸線方向から見たときに、環状の芯線21の外側部分がカットされている。これにより、回転時に塗料の飛散を抑えることができる。また、ブラシ毛材26の全体の量が減ることによって、ねじりブラシ部を洗浄する際に洗浄液を少なくすることができる。
【0025】
また、突起物の塗装工具2のブラシ毛材26は、塗装に影響する部分、すなわち、ねじりブラシ部25を軸線方向から見たときに、環状の芯線21の内側部分が間引きされるようカットされている。これにより、塗料が付きすぎないようにし塗装品質を上げることができる。
【0026】
突起物の塗装工具2の使用方法は、突起物の塗装工具1の使用方法と同じである。
【符号の説明】
【0027】
1:突起物の塗装工具1(実施例1)、 2:突起物の塗装工具2(実施例2)
10:連結部、
20:ねじりブラシ部、 21:芯線、 22:ブラシ毛材
25:ねじりブラシ部、 26:ブラシ毛材
30:連設部、 40:留め具、 100:電動ドリルドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ドリルドライバなどのように回転駆動する機械の駆動軸と脱着可能に連結する連結部と、
この連結部に連設され、連結部と一体となって回転する環状のねじりブラシ部と、
を備えたことを特徴とする突起物の塗装工具。
【請求項2】
請求項1において、
前記ねじりブラシ部のブラシ毛材のうち、所定の部分をカットしていることを特徴とする突起物の塗装工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−218242(P2011−218242A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86617(P2010−86617)
【出願日】平成22年4月3日(2010.4.3)
【出願人】(397002692)
【Fターム(参考)】