説明

窓ユニット

【課題】額縁の表面側に当接される部位を備えた枠材に中間枠を溶着しても美観に優れた窓ユニットを提供する。
【解決手段】室内外を連通する開口に設けられ一対の縦枠と一対の横枠とが矩形状に枠組みされた四周枠と、前記一対の縦枠または前記一対の横枠間に掛け渡された中間枠と、を有する枠体を備えた窓ユニットであって、前記一対の縦枠または前記一対の横枠には、長手方向に沿って室内側に突出し額縁が当接される額縁当接部が設けられ、前記中間枠が掛け渡される部位に形成されて前記額縁当接部を分断して当該額縁当接部より前記四周枠の外周側に至る切り込み部に、前記中間枠の端部が当接されて溶着されており、分断された前記額縁当接部間には、当該額縁当接部間を覆うカバー部材が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を連通する開口に設けられた四周枠に掛け渡された中間枠を有する枠体を備えた窓ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外を連通する開口に設けられた四周枠に掛け渡された中間枠を有する枠体を備えた窓ユニットとしては、例えば、連窓に用いられる枠体であって、下枠にV字状の切り欠き部を形成し、このV字状の切り欠き部の傾斜角度に合わせて、端部をV字状に形成した方立を、下枠の切り欠き部に当接させて溶着し一体化した枠体を有するサッシが知られている (例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−12152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
窓ユニットの枠体を構成する縦枠及び横枠(以下、枠材ともいう)には、内装壁との取り合い部分をきれいに納めるために、室内側に突出されて額縁の表面側に当接される部位を備えたものがある。このように額縁の表面側に当接される部位が設けられた枠材に、方立てや無目のような中間枠を溶着する際に、枠材に従来のようなV字状の切り欠き部を形成すると、切り欠き部により額縁の表面側に当接される部位が分断されて美観が損なわれる虞があるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、額縁の表面側に当接される部位を備えた枠材に中間枠を溶着しても美観に優れている窓ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の窓ユニットは、室内外を連通する開口に設けられ一対の縦枠と一対の横枠とが矩形状に枠組みされた四周枠と、前記一対の縦枠または前記一対の横枠間に掛け渡された中間枠と、を有する枠体を備えた窓ユニットであって、前記一対の縦枠または前記一対の横枠には、長手方向に沿って室内側に突出し額縁が当接される額縁当接部が設けられ、前記中間枠が掛け渡される部位に形成されて前記額縁当接部を分断して当該額縁当接部より前記四周枠の外周側に至る切り込み部に、前記中間枠の端部が当接されて溶着されており、分断された前記額縁当接部間には、当該額縁当接部間を覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする窓ユニットである。
【0007】
このような窓ユニットによれば、一対の縦枠または一対の横枠に掛け渡して中間枠を備える際に、一対の縦枠または一対の横枠に形成される切り込み部を、額縁当接部より四周枠の外周側に至るように形成することにより額縁当接部が分断されたとしても、分断された額縁当接部間をカバー部材で覆うので、額縁当接部の分断された部分においても額縁当接部と同様に額縁が当接される部位を設けることが可能である。また、カバー部材が額縁当接部間を覆うので、額縁当接部の分断された端部はカバー部材に覆われて露出しない。このため、額縁当接部を備えた枠材に、額縁当接部より四周枠の外周側に至るような切り込み部を形成して中間枠を溶着しても美観に優れている窓ユニットを提供することが可能である。
【0008】
かかる窓ユニットであって、前記一対の縦枠または前記一対の横枠は、前記切り込み部より前記四周枠の外周側に前記カバー部材が係止される係止部を有し、前記カバー部材は、前記長手方向の端部が前記四周枠の内周側にて、分断された前記額縁当接部間に掛け渡された覆い部と、前記覆い部の、前記額縁当接部の基端側から前記覆い部と交差する方向であって前記四周枠の外周側に延出された外側延出部と、前記外側延出部から室外側に突出されて前記係止部に係止される係止片とを有していることが望ましい。
このような窓ユニットによれば、カバー部材は、覆い部の長手方向の端部が、四周枠の内周側にて、分断された額縁当接部間に掛け渡され、額縁当接部の基端側から四周枠の外周側に延出された外側延出部が有する係止片が、一対の縦枠または一対の横枠の、切り込み部より四周枠の外周側に形成された係止部に係止されるので、覆い部を分断された額縁当接部間に四周枠の内周側から掛け渡して係止片を係止部に係止するだけで、カバー部材を容易に取り付けることが可能である。
【0009】
かかる窓ユニットであって、前記カバー部材は、前記係止片が前記係止部に係止されると、当該カバー部材の弾性により前記覆い部が前記額縁当接部側に付勢されることが望ましい。
このような窓ユニットによれば、カバー部材は、係止片が係止部に係止されると、当該カバー部材の弾性により覆い部が額縁当接部側に付勢されることにより覆い部の額縁当接部と重なる部位が額縁当接部に押圧されるので、覆い部と額縁当接部とが密着して安定し外れにくい状態でカバー部材を取り付けることが可能である。
【0010】
かかる窓ユニットであって、前記中間枠は、見込み方向に貫通する開孔を有し、前記カバー部材は、前記長手方向の端部が前記四周枠の内周側にて、分断された前記額縁当接部間に掛け渡された覆い部と、前記覆い部の、前記額縁当接部の基端側から前記覆い部と交差する方向であって前記四周枠の内周側に延出された内側延出部と、内側延出部から室外側に突出されて前記開孔に嵌合される嵌合片とを有していることとしてもよい。
このような窓ユニットによれば、カバー部材は、覆い部の長手方向の端部が、四周枠の内周側にて、分断された額縁当接部間に掛け渡され、額縁当接部の基端側から四周枠の内周側に延出された内側延出部が有する嵌合片が、中間枠に設けられた見込み方向に貫通する開孔に係止されるので、覆い部を分断された額縁当接部間に四周枠の内周側から掛け渡すとともに、そのまま中間枠側に押圧して嵌合片を開孔に係止することが可能である。このため、カバー部材を容易に取り付けることが可能である。
【0011】
かかる窓ユニットであって、前記カバー部材は樹脂製であることが望ましい。
このような窓ユニットによれば、係止される部位が弾性変形しやすいカバー部材を形成することが可能であり、取り付けが容易なカバー部材を提供することが可能である。
【0012】
かかる窓ユニットであって、前記一対の縦枠、前記一対の横枠、前記中間枠は、いずれも樹脂製であることが望ましい。
このような窓ユニットによれば、樹脂製の、一対の縦枠または一対の横枠と中間枠とは溶着し易く仕上がりがきれいなので、容易により美観に優れた窓ユニットを提供することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、額縁の表面側に当接される部位を備えた枠材に中間枠を溶着しても美観に優れた窓ユニットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る窓ユニット室内側から見た外観図である。
【図2】第1実施形態に係る窓ユニットの枠体とカバー部材を説明するための斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るカバー部材の取り付け状態を示す断面図である。
【図4】第2実施形態に係る窓ユニットの枠体とカバー部材を説明するための斜視図である。
【図5】第2実施形態に係るカバー部材の取り付け状態を示す断面図である。
【図6】第2実施形態に係るカバー部材を覆い部側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1実施形態に係る窓ユニットについて図面を参照して説明する。
本実施形態では、窓ユニットとして、図1に示すような、建物の開口の一部を閉塞するFIX窓21と回動されて開閉自在に構成された開閉窓22とが、上枠と下枠との間に設けられた方立により見付け方向に連ねて設けられた連窓用の窓ユニット10を例に挙げて説明する。
【0016】
以下の説明においては、窓ユニット10を室内側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向(奥行き方向)を見込み方向として示す。
【0017】
本実施形態の窓ユニット10は、例えば室内外を連通する開口に設けられ、一対の縦枠と一対の横枠とが矩形状に枠組みされた四周枠11内にて、一対の横枠、すなわち、上枠12と下枠13との間に掛け渡されて、隣接するガラスに共用され一対の横枠間に掛け渡される中間枠としての方立17を備えた枠体20を有している。
【0018】
四周枠を構成する上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14、15は、いずれも樹脂製の押出成形部材であり、隣接する上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14、15の斜めに切断された両端部が、互いに突き合わされて溶着されることにより矩形状に接合されている。
また、矩形状に枠組みされた四周枠11の見付け方向におけるほぼ中央に方立17が溶着されて枠体20が形成されている。
【0019】
上枠12と方立17との溶着部、及び、下枠13と方立17との溶着部は、同一の構造なので、ここでは下枠13と方立17との接合部について説明する。
【0020】
下枠13は、図2、図3に示すように、見付け方向に連通し断面がほぼ矩形状の中空部を有し、上部にガラス3が設けられる枠本体部13aと、枠本体部13a室内側の上部から上方に突出し、室内側からガラス3を保持するための室内側横壁部13bと、枠本体部13aの下端側から室外側に突出された棚部13cと、枠本体部13aにおける見込み方向の中央部から下方に突出されて躯体(不図示)に固定される下取付部13dと、枠本体部13aの上面と同じ高さにて長手方向に沿って形成され室内側に突出されて額縁18の上面に当接される額縁当接部13eとを有している。
【0021】
枠本体部13aの室外側の上部には下方に窪ませて、ガラス3の室外側の部位を押さえる押縁19が嵌合される押縁嵌合部13fが設けられている。また、枠本体部13aの室内側の面には、室内側に開放された溝部13gが長手方向に沿って設けられており、室内側の面における溝部13gの上縁には、僅かに下方に突出させて、後述するカバー部材30が係止される係止部13hが形成されている。
【0022】
方立17は、上下方向に連通する断面がほぼ矩形状の中空部を有し、見付け方向に設けられるガラス3と並ぶように配置される方立本体17aと、方立本体17aの側部であって室内側の部位から見付け方向の左右にそれぞれ突出し、室内側からガラス3を保持するための室内側縦壁部17bと、を有している。方立本体17aの側部であって室外側には、方立本体の内方に窪ませて、ガラス3の室外側の部位を押さえる押縁(不図示)が嵌合される押縁嵌合部17cが設けられている。
【0023】
そして、下枠13に方立17を接合する際には、方立17の下端を、方立17の見付け方向の幅における中央から45度ずつ振り分けて先端が90度になるように切断しておく。下枠13は、上枠12と対向する側であって方立17を接合する部位の見付け方向における中央から45度ずつ振り分けて90度をなすような切り込み部13iを形成しておく。このとき、下枠13の切り込み部13iに上方から方立17の下端を載置すると、室内側横壁部13bと室内側縦壁部17bとの切断面において、下枠13の枠本体部13aの上面及び室外側面と方立17の方立本体17aの左右の側面及び室外側の面との切り口とが重なり、方立17が下枠13上にて鉛直に立つように下枠13及び方立17を切断しておく。
【0024】
また、下枠13に切り込み部13iを形成した際には、下枠13が有する額縁当接部13eより下側、すなわち額縁当接部13eより四周枠11の外周側に至る位置まで切り込み部13iが形成されているので、方立17が溶着されている部位では、額縁当接部13eが分断されている。このため、額縁当接部13eが分断されている部位を覆うための樹脂製のカバー部材30が設けられている。
【0025】
カバー部材30は、分断された額縁当接部13eの端部間に掛け渡されて、見付け方向の両端部30hが分断された額縁当接部13eの端部13kにそれぞれ載置される覆い部30aと、覆い部30aの室外側の縁30bから下方に垂設された垂設壁部30cと、垂設壁部30cの下端に設けられ室外側に突出された係止片30dと、覆い部30aの室内側の縁30eから額縁当接部13eの厚みとほぼ同じ長さだけ下方に延出された延出部30fとを有している。ここで、垂設壁部30cは、額縁当接部13eの基端側としての室外側の縁30bから覆い部30aと交差する方向であって四周枠11の外周側に延出された外側延出部の一例に相当する。
【0026】
覆い部30aは、見付け方向において、分断された額縁当接部13eの端部13kの間隔より長く形成されており、上面は室内側の縁30eと見付け方向の両端部との近傍に中央側から端部に向かって厚みが薄くなるような傾斜が設けられている。
【0027】
垂設壁部30cと延出部30fとは、分断された額縁当接部13eの端部13kの間隔より僅かに狭く形成されており、覆い部30aが分断された額縁当接部13eの端部13k間に掛け渡された際に、垂設壁部30cは額縁当接部13eの端部13k間から下枠13の枠本体部13aの室内側の面に沿って配置され、延出部30fは、額縁当接部13eの端部13k間に位置している。
【0028】
垂設壁部30cの下端から室外側に突出された係止片30dは、覆い部30aが分断された額縁当接部13eの端部13k間に掛け渡された際に下枠13の係止部13hとほぼ同じ高さに配置されるように構成され、係止片30dの先端には上方に突出する突起30gが設けられている。
【0029】
また、覆い部30aと垂設壁部30cとがなす角度は、下枠13の枠本体部13aの室内側の面と額縁当接部13eの上面とがなす角度より僅かに小さく形成されている。例えば、下枠13の枠本体部13aの室内側の面と額縁当接部13eの上面とがなす角度が90度であれば、覆い部30aと垂設壁部30cとがなす角度は1度小さい89度に形成されている。
【0030】
カバー部材30の取り付けは、まず、下枠13と方立17とが溶着された後に、分断されている額縁当接部13eの端部13k間を覆うように、覆い部30aの見付け方向における両端部30hを額縁当接部13eの端部13k上に載置し、垂設壁部30cと延出部30fとが分断された額縁当接部13eの端部13k間に位置するように上方または室内側から配置する。
【0031】
次に、垂設壁部30cを枠本体部13a側に押圧すると、係止片30dは係止部13hが設けられている溝部13gに挿入されて、係止片30dの先端に設けられた突起30gが係止部13hと係合して係止片30dが係止される。このとき、覆い部30aと垂設壁部30cとがなす角度は、下枠13の枠本体部13aの室内側の面と額縁当接部13eの上面とがなす角度より僅かに小さく形成されているので、覆い部30aと垂設壁部30cとが開かれるようにカバー部材30が弾性変形することにより、覆い部30aが額縁当接部13e側に付勢されて額縁当接部13eの上面に押圧されるため、カバー部材30が安定した状態で下枠13に取り付けられる。
【0032】
第1実施形態の窓ユニット10によれば、一対の横枠としての上枠12と下枠13とに掛け渡して方立17を取り付ける際に、上枠12及び下枠13に形成される切り込み部13iは、額縁当接部13eを分断して当該額縁当接部13eより四周枠11の外周側に至るように形成されているので、上枠12及び下枠13と方立17とが溶着される溶着部分の長さをより長くすることが可能である。このため、十分な強度を備えた枠体20を形成することが可能である。
【0033】
また、上枠12及び下枠13に形成される切り込み部13iを、額縁当接部13eより四周枠11の外周側に至るように形成することにより額縁当接部13eが分断されたとしても、分断された額縁当接部13e間をカバー部材30で覆うので、額縁当接部13eの分断された部分においても額縁当接部13eと同様に額縁18が当接される部位を設けることが可能である。そして、カバー部材30が額縁当接部13e間を覆うことにより額縁18と枠本体部13aとの境界部分を、窓ユニット10における見付け方向の全域に渡って覆うことが可能であり、また、額縁当接部13eの分断された端部13kをカバー部材30にて覆うことが可能である。このため、額縁当接部13eを備えた上枠12及び下枠13に、額縁当接部13eより四周枠11の外周側に至るような切り込み部13iを形成して方立17を溶着しても美観に優れている窓ユニット10を提供することが可能である。
【0034】
また、カバー部材30は覆い部30aを、分断された額縁当接部13e間に四周枠11の内周側からから掛け渡して係止片30dを係止部13hに係止するだけで、カバー部材30を容易に取り付けることが可能である。
【0035】
また、カバー部材30は樹脂製なので弾性変形しやすく、係止片30dが係止部13hに係止されると、当該カバー部材30の弾性により覆い部30aが額縁当接部13e側に付勢されることにより覆い部30aの額縁当接部13eと重なる部位が額縁当接部13eに押圧されるので、覆い部30aと額縁当接部13eとが密着して安定した状態でカバー部材30を取り付けることが可能である。
【0036】
上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14、15は、いずれも樹脂製なので溶着し易く仕上がりがきれいなので、容易に形成可能で、かつ、より美観に優れた窓ユニット10を提供することが可能である。
【0037】
第2実施形態の窓ユニット10においても、図1に示すように、上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14、15の両端部が斜めに切断されて互いに突き合わされて溶着された四周枠11の上枠12と下枠13に、額縁当接部13eより四周枠11の外周側に至るように形成された切り込み部13iに方立17が溶着されている構成は、上記第1実施形態と同様である。以下の説明においては、上記第1実施形態と同様の部材には同符号を付して、その説明を省略する。また、第2実施形態においても、下枠13と方立17との接合部について説明する。
【0038】
第2実施形態の方立17には、図4に示すように、先端が90度になるように切断された部位の見付け方向における中央に、第2実施形態のカバー部材32を取り付けるための見込み方向に貫通する開孔としての嵌合孔17dが設けられている。
【0039】
第2実施形態のカバー部材32は、図5、図6に示すように、分断された額縁当接部13eの端部13k間に掛け渡されて、見付け方向の両端部32fが分断された額縁当接部13eの端部13kにそれぞれ載置される覆い部32aと、覆い部32aの室外側の縁から上方に立設された立設壁部32bと、立設壁部32bの室外側の面から突出された嵌合片32cと、覆い部32aの室内側の縁から額縁当接部13eの厚みとほぼ同じ長さだけ下方に延出された延出部32dとを有している。ここで、立設壁部32bは、額縁当接部13eの基端側としての室外側の縁から覆い部32aと交差する方向であって四周枠11の内周側に延出された内側延出部の一例に相当する。
【0040】
立設壁部32bは、見付け方向における覆い部32aの幅のほぼ半分であり、見付け方向において覆い部32aの中央に設けられ、枠体20に取り付けられた際に方立17に設けられた嵌合孔17dを室内側から覆うように形成されている。
【0041】
嵌合片32cは、立設壁部32bから室外側に向かって突出され、見付け方向に互いに間隔を隔てて配置された対をなす部材であり、嵌合片32cの先端には、嵌合片32cが嵌合孔17dに挿入されて係止される係止突部32eが、対をなす嵌合片32cが対向する側とは反対方向に向かって突出されている。
【0042】
また、覆い部32aと立設壁部32bとがなす角度は、下枠13の枠本体部13aの室内側の面と額縁当接部13eの上面とがなす角度より僅かに大きく形成されている。例えば、下枠13の枠本体部13aの室内側の面と額縁当接部13eの上面とがなす角度が90度であれば、覆い部32aと立設壁部32bとがなす角度は1度大きい91度に形成されている。
【0043】
カバー部材32の取り付けは、まず、下枠13と方立17とが溶着された後に、分断されている額縁当接部13eの端部13k間を覆うように覆い部32aの見付け方向における両端部32fを、額縁当接部13eの端部13k上に載置し、延出部32dが分断された額縁当接部13eの端部13k間に位置するように上方または室内側から配置する。
【0044】
次に、立設壁部32bを下枠13側に押圧すると、嵌合片32cは方立17に設けられている嵌合孔17dに挿入されて、嵌合片32cの先端に設けられた係止突部32eが嵌合孔17dと係合して嵌合片32cか係止される。このとき、覆い部32aと立設壁部32bとがなす角度は、下枠13の室内側横壁部13bの室内側の面と額縁当接部13eの上面とがなす角度より僅かに大きく形成されているので、覆い部32aと立設壁部32bとが圧縮されるようにカバー部材32が弾性変形することにより、覆い部32aが額縁当接部13e側に付勢されて額縁当接部13eの上面に押圧されるため、カバー部材32が安定した状態にて枠体20に取り付けられる。
【0045】
第2実施形態の窓ユニット10によれば、第1実施形態と同様に、溶着部分の長さが長く、十分な強度を備え、分断された額縁当接部13e間を覆い部32aにて覆って額縁当接部13eの分断された端部13kが露出しない美観に優れた窓ユニット10を提供することが可能である。
【0046】
また、カバー部材32は樹脂製なので、嵌合片32cが弾性変形しやすいカバー部材32を形成することが可能であり、カバー部材32を容易に取り付けることが可能である。また、上枠12、下枠13、及び左右の縦枠14、15は、いずれも樹脂製なので溶着し易く仕上がりがきれいなので、容易に形成可能で、かつ、より美観に優れた窓ユニット10を提供することが可能である。
【0047】
さらに、カバー部材32は、覆い部32aの長手方向の端部32fが、四周枠11の内周側にて、分断された額縁当接部13e間に掛け渡され、額縁当接部13eの基端側から四周枠11の内周側に延出された立設壁部32bが有する嵌合片32cが、方立17に設けられた見込み方向に貫通する嵌合孔17dに挿入されて係止突部32eが係止されるので、覆い部32aを分断された額縁当接部13e間に四周枠11の内周側から掛け渡すとともに、そのまま方立17側に押圧してカバー部材32を嵌合孔17dに係止することが可能である。このため、カバー部材32を容易に取り付けることが可能である。
【0048】
上記実施形態においては、四周枠11に方立17が設けられた連窓用の窓ユニット10について説明したが、これに限らず、四周枠の縦枠間に掛け渡された無目を有する段窓用の窓ユニットであっても構わない。
【0049】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
10 窓ユニット、11 四周枠、12 上枠、13 下枠、
13e 額縁当接部、13h 係止部、13i 切り込み部、
13k 分断された端部、17 方立、17d 嵌合孔、
20 枠体、30 カバー部材、30a 覆い部、30c 垂設壁部、
30d 係止片、30g 突起、30h 長手方向の端部、
32 カバー部材、32a 覆い部、32b 立設壁部、
32c 嵌合片、32e 係止突部、32f 長手方向の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を連通する開口に設けられ一対の縦枠と一対の横枠とが矩形状に枠組みされた四周枠と、前記一対の縦枠または前記一対の横枠間に掛け渡された中間枠と、を有する枠体を備えた窓ユニットであって、
前記一対の縦枠または前記一対の横枠には、長手方向に沿って室内側に突出し額縁が当接される額縁当接部が設けられ、前記中間枠が掛け渡される部位に形成されて前記額縁当接部を分断して当該額縁当接部より前記四周枠の外周側に至る切り込み部に、前記中間枠の端部が当接されて溶着されており、
分断された前記額縁当接部間には、当該額縁当接部間を覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする窓ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の窓ユニットであって、
前記一対の縦枠または前記一対の横枠は、前記切り込み部より前記四周枠の外周側に前記カバー部材が係止される係止部を有し、
前記カバー部材は、前記長手方向の端部が前記四周枠の内周側にて、分断された前記額縁当接部間に掛け渡された覆い部と、前記覆い部の、前記額縁当接部の基端側から前記覆い部と交差する方向であって前記四周枠の外周側に延出された外側延出部と、前記外側延出部から室外側に突出されて前記係止部に係止される係止片とを有していることを特徴とする窓ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の窓ユニットであって、
前記カバー部材は、前記係止片が前記係止部に係止されると、当該カバー部材の弾性により前記覆い部が前記額縁当接部側に付勢されることを特徴とする窓ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の窓ユニットであって、
前記中間枠は、見込み方向に貫通する開孔を有し、
前記カバー部材は、前記長手方向の端部が前記四周枠の内周側にて、分断された前記額縁当接部間に掛け渡された覆い部と、前記覆い部の、前記額縁当接部の基端側から前記覆い部と交差する方向であって前記四周枠の内周側に延出された内側延出部と、内側延出部から室外側に突出されて前記開孔に嵌合される嵌合片とを有していることを特徴とする窓ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の窓ユニットであって、
前記カバー部材は樹脂製であることを特徴とする窓ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の窓ユニットであって、
前記一対の縦枠、前記一対の横枠、前記中間枠は、いずれも樹脂製であることを特徴とする窓ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−196359(P2010−196359A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42351(P2009−42351)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】