窓台
【課題】窓の下枠を利用して既存側への加工を最小限にとどめ、且つ、強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができるようにする。
【解決手段】少なくとも床より高いところにある既存の窓1の下枠2の見付け部3に取り付けられる窓台10であって、見付け部3から屋内側に向けて水平に突出する板状の台本体20と、該台本体20と下枠2とを固定する取付け部材30とからなり、取付け部材30は、下枠2の厚さ及び幅よりも小さい高さと幅を有して当該下枠2の見付け部3に固定される下枠取付き部31と、該下枠取付き部31から屋内に向けて水平方向に突出する水平取付け部32と、を備え、台本体20は、下枠2に設置された状態で下枠取付き部31の少なくとも上面部が覆われた状態とする。
【解決手段】少なくとも床より高いところにある既存の窓1の下枠2の見付け部3に取り付けられる窓台10であって、見付け部3から屋内側に向けて水平に突出する板状の台本体20と、該台本体20と下枠2とを固定する取付け部材30とからなり、取付け部材30は、下枠2の厚さ及び幅よりも小さい高さと幅を有して当該下枠2の見付け部3に固定される下枠取付き部31と、該下枠取付き部31から屋内に向けて水平方向に突出する水平取付け部32と、を備え、台本体20は、下枠2に設置された状態で下枠取付き部31の少なくとも上面部が覆われた状態とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓台に関する。さらに詳述すると、本発明は、既存の窓の下枠の見付け部に取り付け可能な窓台の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
猫のようなペットは、床より高いところにある窓の下枠にスペースがある場合、日射や通風を得るため当該スペースに寝そべる習性がある。ところが、一般に出窓ではない通常の窓の下枠の見込み(屋内から屋外へ向かう方向の長さ、奥行き)は当該ペットの体の大きさに比べて狭いため、ペットの身体が下枠よりも外方にはみ出し、ペットにとっては居心地が悪く、場合によっては落下してしまう危険がある。また、このように下枠の見込みが狭いとペットが爪を網戸にかけてしまい、これによって網戸を壊してしまうことも考えられる。
【0003】
上記のような問題を解決するものとして、従来、窓に沿って所定の高さに棚を配設することによってスペースを構成するようにした住宅(特許文献1参照)、窓ガラスへ容易に取り付けることができる吸盤付きの補助板や支柱を付設するようにしたペット用見晴台(特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−194905号公報
【特許文献2】特開2003−134956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成においては、既成の窓に対してリフォームなどで棚を取り付ける場合は、棚を支持する脚や棚を壁に固定する方杖が必要である。この場合、方杖が窓下空間の使い勝手を制限して邪魔であり、また、当該方杖の下端部を取り付けるための下地を壁側に予め設けておく必要があり、リフォームには向かないという問題や、窓の下枠のみならず壁面までねじ孔等が形成されてしまい、当該棚を取り外す場合には、特に壁面のねじ孔等が目立ってしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の構成においては、ペットの着座台を窓のガラス面に取り付けるので、窓枠などや壁の下地と無関係に付けられるが、ガラス面に付けるために着座台上のペットは日射や眺望は得られても通風を得ることができない。また、窓のガラス面に吸盤だけを介して固定するのは支持強度に乏しく、見晴台自体が落下してしまうことが考えられる。また、着座台を支柱で補助的に支持した構成も開示されているが、当該支柱は着座台の下方に突出することとなるので邪魔であるばかりでなく、そこに家人が足を引っ掛けてしまうことが考えられ、さらには、これによって支柱が外れ、これによってやはり着座台自体が落下してしまうことが考えられる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、窓の下枠を利用して既存側への加工を最小限にとどめ、且つ、強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができる窓台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決すべく、本発明の具体的構成は、少なくとも床より高い位置に設けられる窓の下枠の見付け部に取り付けられる窓台であって、前記下枠の見付け部から屋内側に向けて水平に突出する板状の台本体と、該台本体と前記下枠とを固定する取付け部材とからなり、前記取付け部材は、前記下枠の厚さ及び幅よりも小さい高さと幅を有して当該下枠の見付け部に固定される下枠取付き部と、該下枠取付き部から屋内に向けて水平方向に突出する水平取付け部と、を備え、前記台本体は、前記下枠の見付け部に当接した状態で前記下枠取付き部に係合する係合部を備えており、前記下枠に当該台本体が設置された状態で前記下枠取付き部の少なくとも上面部が当該台本体に覆われた状態とする。
【0009】
本発明に係る窓台においては、台本体が窓の下枠から突出した状態で取り付けられることとなるため、窓の開放/閉鎖とは無関係に当該窓前に設置することができ、台本体上に存するペットは通風を得ることができるものとなる。また、下枠の見付け部(正面から(本明細書の場合には屋内から屋外を向いた方向から)見える部分やその部材)に取付け部材が取り付けられ、当該取付け部材に台本体が係合する構成となっているため、下枠に加工を要するのみで、当該窓下方の壁面等には加工を要せず、既存側の加工を最小限にとどめることができる。また、当該窓台は、下枠取り付き部を介して下枠に連結された状態となるので、台本体の下方は当該台本体の一方の側方から他方の側方に亘って開放状とすることができる。
【0010】
この窓台において、前記台本体は、前記下枠の上面を覆う延長部を備えていることが好ましい。このような延長部によって、台本体から窓の下枠に亘って連続した水平面が形成されることとなるので、段差が不存在となって花瓶等も安定した状態で設置することができるものとなる。また、下枠と台本体との間の継ぎ目が延長部によって覆われることとなるので、当該継ぎ目にペットの毛等の埃が溜まってしまうことも防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る窓台において、前記延長部を含む前記台本体の上面が面一であることが好ましい。これによれば、台本体を取り付けるだけで、窓の下枠に亘って連続した面一の水平面が形成される。
【0012】
また、本発明に係る窓台において、前記台本体の縁部に沿った段部が形成されていることも好ましい。段部は、例えば猫のようなペットが窓台に飛び乗ったり降りたりする際に爪を引っ掛けることができる段、あるいは花瓶等の滑落を防ぐことができる段として機能しうる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、窓の下枠を利用して既存側への加工を最小限にとどめ、且つ、強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができる窓台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す斜視図である。
【図2】窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す断面図である。
【図3】下枠の見付け部に取り付けられた取付け部材の側面図である。
【図4】台本体の欠き込み部(係合部)および溝部の一例を示す断面図である。
【図5】上面で猫が寝そべっている窓台と該窓台が設置された窓の下枠の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す断面図である。
【図8】段部が形成された台本体の一例を示す斜視図である。
【図9】凹部からなる段部の一例を示す断面図である。
【図10】凸部からなる段部の一例を示す断面図である。
【図11】下枠取付き部と水平取付け部とがL字形に接続された取付け部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る窓台の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
本発明に係る窓台10は、少なくとも床より高いところにある既存の窓1の下枠2の見付け部(正面から(本明細書の場合には屋内から屋外を向いた方向から)見える面部)3に取り付け可能に設けられているものである。本実施形態の窓台10は、台本体20と取付け部材30とを備えた構成となっている(図1、図2等参照)。
【0017】
台本体20は、下枠2の見付け部3から屋内(室内)側に向けて水平に突出する板状部材であり、当該見付け部に後付け可能である。本実施形態では屋内側の縁部23が円弧状に形成された台本体20を示しているが(図1参照)、形状や大きさが特に限定されることはない。ただし、図示するように屋内側の縁部23が湾曲していれば、家人が接触したりぶつかったりしたときの衝撃や反力集中を和らげることができる。また、台本体20の厚みは、少なくとも取付け部材30の高さ(鉛直方向厚さ)よりも厚いものであれば特に限定されることはない。取付け部材30よりも厚みのある台本体20によれば、見付け部への取付け後、当該取付け部材30が外部から視認できないように覆った状態とすることが可能となる(図2等参照)。
【0018】
取付け部材30は、台本体20と下枠2とを固定する部材である。取付け部材30自体の詳細な構造や大きさは特に限定されないが、上述したように、台本体20を下枠2の見付け部3へ取付けた後は当該取付け部材30が外部から視認できないように覆われた状態となるものであることが好ましい。本実施形態では、この取付け部材30を、下枠取付き部31と水平取付け部32とを備えた構造としている(図3参照)。
【0019】
下枠取付き部31は、下枠2の厚さ(見付け部の鉛直方向高さ)よりも小さい高さであり、尚かつ下枠2の水平方向幅よりも小さい幅に形成されている。具体的数値を挙げて例示すれば、下枠2の厚さは一般的に20〜30mm程度であるので、下枠取付き部31の高さはこの数値より小さい値に設定されている。本実施形態の下枠取付き部31は板状であり(図2、図3参照)、下枠2にネジ止めで固定される際に利用可能なネジ孔が設けられている。
【0020】
水平取付け部32は、上述した下枠取付き部31から屋内に向けて水平方向に突出するように形成されている。詳述すると、本実施形態の水平取付け部32は下枠取付き部31から水平方向に突出する板状部材からなり、当該水平取付け部32の上下方向中途部から下枠取付き部31を突出させることにより、取付け部材30は側面視T字形を呈するものとなる(図3参照)。特に詳しく図示していないが、この水平取付け部32と下枠取付き部31とにブラケットを設けて補強するようにしてもよい。また、ここでいう水平方向は、完全な水平方向ばかりでなく、下枠取付き部31の基端側から先端側に向けて僅か上向きに傾斜しているようなものも含む。
【0021】
また、台本体20には、下枠2の見付け部3に対向する面に下枠取付き部31に係合する欠き込み部(係合部)21が設けられている(図4参照)。欠き込み部21は、下枠取付き部31を収容可能な程度の開口部と深さを有した形状となっており(図4参照)、当該窓台10が下枠2に取り付けられた状態で下枠取付き部31に係合した状態となる。なお、ここでいう係合とは、欠き込み部(係合部)21の少なくとも一部が下枠取付き部31に対して接している状態ばかりでなく、欠き込み部(係合部)21が下枠取付き部31の一部又は全部を収容した状態も含む。
【0022】
さらに、台本体20の欠き込み部(係合部)21の奥部には、水平取付け部32を収容する溝部22が設けられている(図4参照)。該溝部22の幅は、水平取付け部32の厚さよりも僅かに小さく形成されている。これによって溝部22に収容される際の水平取付け部32と当該溝部22との間に摩擦力による抵抗が生じ、該抵抗は取付け後の台本体20が下枠2から外れにくくする力となりうる。
【0023】
取付け部材30に対して台本体20を固定するための手段は特に限定されないが、例えば本実施形態では、台本体20の底面(裏面)から水平取付け部32を貫通するネジやビスを打ち込んで固定するようにしている。ネジやビスを打ち込むやすくするガイドとして機能する小孔を設けておけば、大きな遊びがつくられず、またネジ等を綺麗に打ち込みやすくなって好ましい。
【0024】
上述した本実施形態の窓台10は、台本体20が窓1の下枠2に取り付けられることとなるため、窓1が開いているか閉じているか、あるいはその開閉機構がどのようなものかにかかわらず、当該窓1の前に設置することが可能である(図1参照)。これによれば、猫のようなペットが寝そべって日射や通風を得ることができ、あるいは観賞用植物や小物を載置できるスペースを家人の所望に応じて事後的に形成することができる(図5参照)。
【0025】
また、本実施形態の窓台10によれば、下枠2の見付け部3に取付け部材30が固定され、当該取付け部材30に台本体20が取り付けられる構成となっているため、下枠2に加工を要するのみで、当該窓1の下方の壁面等には加工を要せず、既存側の加工を最小限にとどめることができる。しかも、このような構造の場合、まずは取付け部材30を固定してから台本体20を取り付ければよく、台本体20を下枠2に直接取り付ける必要がないため作業の簡便である。
【0026】
また、当該窓台10は、下枠取付き部31を介して下枠2によってキャンティレバー状態(片持ち状態)で支持されることが可能であるため、台本体20の下方は当該台本体20の一方の側方から他方の側方に亘って開放状となり、窓台10下方のペットの通行を可能とすると共に、当該窓台10よりも大きな幅を有するたんす等の家具の設置も可能となる。
【0027】
また、当該窓台10が設置された状態では、取付け部材30は台本体20の係合や欠き込み部に収容された状態となり、外部から視認できない状態となる(図2参照)。つまり、窓台10の設置後は取付け部材30が露出しないので意匠的にも優れる。
【0028】
<第2の実施形態>
本実施形態では、台本体20に、既存窓1の下枠2の上面を覆うように延長部24を形成している(図6、図7参照)。延長部24は、台本体20の一部が屋外方向へ延びるように形成されており、台本体20から窓1の下枠2に亘って連続した面一の水平面を形成する。このような窓台10は、上面における段差がなく、観賞用植物や花瓶等も安定した状態で飾ることが可能な飾り棚や花瓶置き場としても機能しうる。また、下枠2と台本体20との間の継ぎ目が延長部24によって覆われることとなるので、当該継ぎ目にペットの毛等の埃が溜まってしまうことも防止することができる。
【0029】
このような延長部24の具体的形状等は特に限定されないが、既存の窓1の下枠2の見込み(屋内から屋外へ向かう方向の長さ、奥行き)に対応して形状が設定されていれば取付け作業以外の加工が不要であり便宜である。また、下枠3に窓1の開閉用のハンドル4やギヤ等を内蔵したボックス5が設けられている場合(図2等参照)、ボックス5と下枠2との隙間に滑り込み可能な形状と厚さの延長部24とすることも好ましい。
【0030】
<第3の実施形態>
本実施形態では、台本体20の上面に、例えば円弧状の縁部23に沿った形状の段部25を形成している(図8参照)。段部25は、凹部であってもよいし(図9参照)、凸部であってもよい(図10参照)。このような段部25は、外観を向上させるばかりでなく、例えば猫のようなペットが窓台10に飛び乗ったり降りたりする際に爪を引っ掛けることができ、あるいは花瓶等の滑落を防ぐことができる部材としても機能しうる。
【0031】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態では、下枠取付き部31と水平取付け部32とがT字形に接続された取付け部材30を例示したが(図3等参照)、これ以外の形態たとえば下枠取付き部31と水平取付け部32とがL字形となるように接続されて形態であってもよい(図11参照)。このようにL字形となっている場合、上述したような欠き込み部を設けずに、水平取付け部32に対して台本体20を腰掛け状態で載置させる取付け構造とすることもでき、コスト低減が図りやすいという利点がある。このような取付け部材30と取付け構造を採用した場合、下枠取付き部31の少なくとも上面部を台本体20によって覆った状態とすることが可能である。
【0032】
また、上述した実施形態や図面では特に示さなかったが、当該窓台10の縁部23等の縁(へり)や角等に適宜丸みを付すことができることはいうまでもない。
【0033】
また、本発明を実施するにあたり、窓1に設置される窓台10の幅が当該窓1の幅によって限定されることはない。例えば、窓1の幅の半分程度の幅を有する窓台10を設置する場合でも、上述した実施形態と同様、窓1の下枠2を利用して加工を最小限にとどめながら当該窓台10を強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に介在する建具枠調整具に適用して好適である。
【符号の説明】
【0035】
1…窓、2…窓の下枠、3…見付け部、10…窓台、20…台本体、21…欠き込み(係合部)、23…縁部、24…延長部、25…縁部、30…取付け部材、31…下枠取付き部、32…水平取付け部
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓台に関する。さらに詳述すると、本発明は、既存の窓の下枠の見付け部に取り付け可能な窓台の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
猫のようなペットは、床より高いところにある窓の下枠にスペースがある場合、日射や通風を得るため当該スペースに寝そべる習性がある。ところが、一般に出窓ではない通常の窓の下枠の見込み(屋内から屋外へ向かう方向の長さ、奥行き)は当該ペットの体の大きさに比べて狭いため、ペットの身体が下枠よりも外方にはみ出し、ペットにとっては居心地が悪く、場合によっては落下してしまう危険がある。また、このように下枠の見込みが狭いとペットが爪を網戸にかけてしまい、これによって網戸を壊してしまうことも考えられる。
【0003】
上記のような問題を解決するものとして、従来、窓に沿って所定の高さに棚を配設することによってスペースを構成するようにした住宅(特許文献1参照)、窓ガラスへ容易に取り付けることができる吸盤付きの補助板や支柱を付設するようにしたペット用見晴台(特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−194905号公報
【特許文献2】特開2003−134956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成においては、既成の窓に対してリフォームなどで棚を取り付ける場合は、棚を支持する脚や棚を壁に固定する方杖が必要である。この場合、方杖が窓下空間の使い勝手を制限して邪魔であり、また、当該方杖の下端部を取り付けるための下地を壁側に予め設けておく必要があり、リフォームには向かないという問題や、窓の下枠のみならず壁面までねじ孔等が形成されてしまい、当該棚を取り外す場合には、特に壁面のねじ孔等が目立ってしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の構成においては、ペットの着座台を窓のガラス面に取り付けるので、窓枠などや壁の下地と無関係に付けられるが、ガラス面に付けるために着座台上のペットは日射や眺望は得られても通風を得ることができない。また、窓のガラス面に吸盤だけを介して固定するのは支持強度に乏しく、見晴台自体が落下してしまうことが考えられる。また、着座台を支柱で補助的に支持した構成も開示されているが、当該支柱は着座台の下方に突出することとなるので邪魔であるばかりでなく、そこに家人が足を引っ掛けてしまうことが考えられ、さらには、これによって支柱が外れ、これによってやはり着座台自体が落下してしまうことが考えられる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、窓の下枠を利用して既存側への加工を最小限にとどめ、且つ、強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができる窓台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決すべく、本発明の具体的構成は、少なくとも床より高い位置に設けられる窓の下枠の見付け部に取り付けられる窓台であって、前記下枠の見付け部から屋内側に向けて水平に突出する板状の台本体と、該台本体と前記下枠とを固定する取付け部材とからなり、前記取付け部材は、前記下枠の厚さ及び幅よりも小さい高さと幅を有して当該下枠の見付け部に固定される下枠取付き部と、該下枠取付き部から屋内に向けて水平方向に突出する水平取付け部と、を備え、前記台本体は、前記下枠の見付け部に当接した状態で前記下枠取付き部に係合する係合部を備えており、前記下枠に当該台本体が設置された状態で前記下枠取付き部の少なくとも上面部が当該台本体に覆われた状態とする。
【0009】
本発明に係る窓台においては、台本体が窓の下枠から突出した状態で取り付けられることとなるため、窓の開放/閉鎖とは無関係に当該窓前に設置することができ、台本体上に存するペットは通風を得ることができるものとなる。また、下枠の見付け部(正面から(本明細書の場合には屋内から屋外を向いた方向から)見える部分やその部材)に取付け部材が取り付けられ、当該取付け部材に台本体が係合する構成となっているため、下枠に加工を要するのみで、当該窓下方の壁面等には加工を要せず、既存側の加工を最小限にとどめることができる。また、当該窓台は、下枠取り付き部を介して下枠に連結された状態となるので、台本体の下方は当該台本体の一方の側方から他方の側方に亘って開放状とすることができる。
【0010】
この窓台において、前記台本体は、前記下枠の上面を覆う延長部を備えていることが好ましい。このような延長部によって、台本体から窓の下枠に亘って連続した水平面が形成されることとなるので、段差が不存在となって花瓶等も安定した状態で設置することができるものとなる。また、下枠と台本体との間の継ぎ目が延長部によって覆われることとなるので、当該継ぎ目にペットの毛等の埃が溜まってしまうことも防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る窓台において、前記延長部を含む前記台本体の上面が面一であることが好ましい。これによれば、台本体を取り付けるだけで、窓の下枠に亘って連続した面一の水平面が形成される。
【0012】
また、本発明に係る窓台において、前記台本体の縁部に沿った段部が形成されていることも好ましい。段部は、例えば猫のようなペットが窓台に飛び乗ったり降りたりする際に爪を引っ掛けることができる段、あるいは花瓶等の滑落を防ぐことができる段として機能しうる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、窓の下枠を利用して既存側への加工を最小限にとどめ、且つ、強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができる窓台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す斜視図である。
【図2】窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す断面図である。
【図3】下枠の見付け部に取り付けられた取付け部材の側面図である。
【図4】台本体の欠き込み部(係合部)および溝部の一例を示す断面図である。
【図5】上面で猫が寝そべっている窓台と該窓台が設置された窓の下枠の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す窓台と該窓台が設置された窓の下枠を示す断面図である。
【図8】段部が形成された台本体の一例を示す斜視図である。
【図9】凹部からなる段部の一例を示す断面図である。
【図10】凸部からなる段部の一例を示す断面図である。
【図11】下枠取付き部と水平取付け部とがL字形に接続された取付け部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る窓台の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
本発明に係る窓台10は、少なくとも床より高いところにある既存の窓1の下枠2の見付け部(正面から(本明細書の場合には屋内から屋外を向いた方向から)見える面部)3に取り付け可能に設けられているものである。本実施形態の窓台10は、台本体20と取付け部材30とを備えた構成となっている(図1、図2等参照)。
【0017】
台本体20は、下枠2の見付け部3から屋内(室内)側に向けて水平に突出する板状部材であり、当該見付け部に後付け可能である。本実施形態では屋内側の縁部23が円弧状に形成された台本体20を示しているが(図1参照)、形状や大きさが特に限定されることはない。ただし、図示するように屋内側の縁部23が湾曲していれば、家人が接触したりぶつかったりしたときの衝撃や反力集中を和らげることができる。また、台本体20の厚みは、少なくとも取付け部材30の高さ(鉛直方向厚さ)よりも厚いものであれば特に限定されることはない。取付け部材30よりも厚みのある台本体20によれば、見付け部への取付け後、当該取付け部材30が外部から視認できないように覆った状態とすることが可能となる(図2等参照)。
【0018】
取付け部材30は、台本体20と下枠2とを固定する部材である。取付け部材30自体の詳細な構造や大きさは特に限定されないが、上述したように、台本体20を下枠2の見付け部3へ取付けた後は当該取付け部材30が外部から視認できないように覆われた状態となるものであることが好ましい。本実施形態では、この取付け部材30を、下枠取付き部31と水平取付け部32とを備えた構造としている(図3参照)。
【0019】
下枠取付き部31は、下枠2の厚さ(見付け部の鉛直方向高さ)よりも小さい高さであり、尚かつ下枠2の水平方向幅よりも小さい幅に形成されている。具体的数値を挙げて例示すれば、下枠2の厚さは一般的に20〜30mm程度であるので、下枠取付き部31の高さはこの数値より小さい値に設定されている。本実施形態の下枠取付き部31は板状であり(図2、図3参照)、下枠2にネジ止めで固定される際に利用可能なネジ孔が設けられている。
【0020】
水平取付け部32は、上述した下枠取付き部31から屋内に向けて水平方向に突出するように形成されている。詳述すると、本実施形態の水平取付け部32は下枠取付き部31から水平方向に突出する板状部材からなり、当該水平取付け部32の上下方向中途部から下枠取付き部31を突出させることにより、取付け部材30は側面視T字形を呈するものとなる(図3参照)。特に詳しく図示していないが、この水平取付け部32と下枠取付き部31とにブラケットを設けて補強するようにしてもよい。また、ここでいう水平方向は、完全な水平方向ばかりでなく、下枠取付き部31の基端側から先端側に向けて僅か上向きに傾斜しているようなものも含む。
【0021】
また、台本体20には、下枠2の見付け部3に対向する面に下枠取付き部31に係合する欠き込み部(係合部)21が設けられている(図4参照)。欠き込み部21は、下枠取付き部31を収容可能な程度の開口部と深さを有した形状となっており(図4参照)、当該窓台10が下枠2に取り付けられた状態で下枠取付き部31に係合した状態となる。なお、ここでいう係合とは、欠き込み部(係合部)21の少なくとも一部が下枠取付き部31に対して接している状態ばかりでなく、欠き込み部(係合部)21が下枠取付き部31の一部又は全部を収容した状態も含む。
【0022】
さらに、台本体20の欠き込み部(係合部)21の奥部には、水平取付け部32を収容する溝部22が設けられている(図4参照)。該溝部22の幅は、水平取付け部32の厚さよりも僅かに小さく形成されている。これによって溝部22に収容される際の水平取付け部32と当該溝部22との間に摩擦力による抵抗が生じ、該抵抗は取付け後の台本体20が下枠2から外れにくくする力となりうる。
【0023】
取付け部材30に対して台本体20を固定するための手段は特に限定されないが、例えば本実施形態では、台本体20の底面(裏面)から水平取付け部32を貫通するネジやビスを打ち込んで固定するようにしている。ネジやビスを打ち込むやすくするガイドとして機能する小孔を設けておけば、大きな遊びがつくられず、またネジ等を綺麗に打ち込みやすくなって好ましい。
【0024】
上述した本実施形態の窓台10は、台本体20が窓1の下枠2に取り付けられることとなるため、窓1が開いているか閉じているか、あるいはその開閉機構がどのようなものかにかかわらず、当該窓1の前に設置することが可能である(図1参照)。これによれば、猫のようなペットが寝そべって日射や通風を得ることができ、あるいは観賞用植物や小物を載置できるスペースを家人の所望に応じて事後的に形成することができる(図5参照)。
【0025】
また、本実施形態の窓台10によれば、下枠2の見付け部3に取付け部材30が固定され、当該取付け部材30に台本体20が取り付けられる構成となっているため、下枠2に加工を要するのみで、当該窓1の下方の壁面等には加工を要せず、既存側の加工を最小限にとどめることができる。しかも、このような構造の場合、まずは取付け部材30を固定してから台本体20を取り付ければよく、台本体20を下枠2に直接取り付ける必要がないため作業の簡便である。
【0026】
また、当該窓台10は、下枠取付き部31を介して下枠2によってキャンティレバー状態(片持ち状態)で支持されることが可能であるため、台本体20の下方は当該台本体20の一方の側方から他方の側方に亘って開放状となり、窓台10下方のペットの通行を可能とすると共に、当該窓台10よりも大きな幅を有するたんす等の家具の設置も可能となる。
【0027】
また、当該窓台10が設置された状態では、取付け部材30は台本体20の係合や欠き込み部に収容された状態となり、外部から視認できない状態となる(図2参照)。つまり、窓台10の設置後は取付け部材30が露出しないので意匠的にも優れる。
【0028】
<第2の実施形態>
本実施形態では、台本体20に、既存窓1の下枠2の上面を覆うように延長部24を形成している(図6、図7参照)。延長部24は、台本体20の一部が屋外方向へ延びるように形成されており、台本体20から窓1の下枠2に亘って連続した面一の水平面を形成する。このような窓台10は、上面における段差がなく、観賞用植物や花瓶等も安定した状態で飾ることが可能な飾り棚や花瓶置き場としても機能しうる。また、下枠2と台本体20との間の継ぎ目が延長部24によって覆われることとなるので、当該継ぎ目にペットの毛等の埃が溜まってしまうことも防止することができる。
【0029】
このような延長部24の具体的形状等は特に限定されないが、既存の窓1の下枠2の見込み(屋内から屋外へ向かう方向の長さ、奥行き)に対応して形状が設定されていれば取付け作業以外の加工が不要であり便宜である。また、下枠3に窓1の開閉用のハンドル4やギヤ等を内蔵したボックス5が設けられている場合(図2等参照)、ボックス5と下枠2との隙間に滑り込み可能な形状と厚さの延長部24とすることも好ましい。
【0030】
<第3の実施形態>
本実施形態では、台本体20の上面に、例えば円弧状の縁部23に沿った形状の段部25を形成している(図8参照)。段部25は、凹部であってもよいし(図9参照)、凸部であってもよい(図10参照)。このような段部25は、外観を向上させるばかりでなく、例えば猫のようなペットが窓台10に飛び乗ったり降りたりする際に爪を引っ掛けることができ、あるいは花瓶等の滑落を防ぐことができる部材としても機能しうる。
【0031】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態では、下枠取付き部31と水平取付け部32とがT字形に接続された取付け部材30を例示したが(図3等参照)、これ以外の形態たとえば下枠取付き部31と水平取付け部32とがL字形となるように接続されて形態であってもよい(図11参照)。このようにL字形となっている場合、上述したような欠き込み部を設けずに、水平取付け部32に対して台本体20を腰掛け状態で載置させる取付け構造とすることもでき、コスト低減が図りやすいという利点がある。このような取付け部材30と取付け構造を採用した場合、下枠取付き部31の少なくとも上面部を台本体20によって覆った状態とすることが可能である。
【0032】
また、上述した実施形態や図面では特に示さなかったが、当該窓台10の縁部23等の縁(へり)や角等に適宜丸みを付すことができることはいうまでもない。
【0033】
また、本発明を実施するにあたり、窓1に設置される窓台10の幅が当該窓1の幅によって限定されることはない。例えば、窓1の幅の半分程度の幅を有する窓台10を設置する場合でも、上述した実施形態と同様、窓1の下枠2を利用して加工を最小限にとどめながら当該窓台10を強固に取り付けることができ、また、取付け後は上部空間のみならず下方空間も有効に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に介在する建具枠調整具に適用して好適である。
【符号の説明】
【0035】
1…窓、2…窓の下枠、3…見付け部、10…窓台、20…台本体、21…欠き込み(係合部)、23…縁部、24…延長部、25…縁部、30…取付け部材、31…下枠取付き部、32…水平取付け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも床より高い位置に設けられる窓の下枠の見付け部に取り付けられる窓台であって、
前記下枠の見付け部から屋内側に向けて水平に突出する板状の台本体と、
該台本体と前記下枠とを固定する取付け部材とからなり、
前記取付け部材は、前記下枠の厚さ及び幅よりも小さい高さと幅を有して当該下枠の見付け部に固定される下枠取付き部と、該下枠取付き部から屋内に向けて水平方向に突出する水平取付け部と、を備え、
前記台本体は、前記下枠の見付け部に当接した状態で前記下枠取付き部に係合する係合部を備えており、前記下枠に当該台本体が設置された状態で前記下枠取付き部の少なくとも上面部が当該台本体に覆われた状態とする
ことを特徴とする窓台。
【請求項2】
前記台本体は、前記下枠の上面を覆う延長部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の窓台。
【請求項3】
前記延長部を含む前記台本体の上面が面一であることを特徴とする請求項2に記載の窓台。
【請求項4】
前記台本体の縁部に沿った段部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の窓台。
【請求項1】
少なくとも床より高い位置に設けられる窓の下枠の見付け部に取り付けられる窓台であって、
前記下枠の見付け部から屋内側に向けて水平に突出する板状の台本体と、
該台本体と前記下枠とを固定する取付け部材とからなり、
前記取付け部材は、前記下枠の厚さ及び幅よりも小さい高さと幅を有して当該下枠の見付け部に固定される下枠取付き部と、該下枠取付き部から屋内に向けて水平方向に突出する水平取付け部と、を備え、
前記台本体は、前記下枠の見付け部に当接した状態で前記下枠取付き部に係合する係合部を備えており、前記下枠に当該台本体が設置された状態で前記下枠取付き部の少なくとも上面部が当該台本体に覆われた状態とする
ことを特徴とする窓台。
【請求項2】
前記台本体は、前記下枠の上面を覆う延長部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の窓台。
【請求項3】
前記延長部を含む前記台本体の上面が面一であることを特徴とする請求項2に記載の窓台。
【請求項4】
前記台本体の縁部に沿った段部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の窓台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−154126(P2012−154126A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15613(P2011−15613)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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