説明

窓戸開閉管理システム、セキュリティシステムおよび施錠ユニット

【課題】固定窓枠に設けられた窓戸の閉戸状態をより確実に検知するとともに、該固定窓枠が設けられ管理の対象となる空間の防犯性や安全性を高める。
【解決手段】一の固定窓枠2に開閉可能に設けられた一又は複数の窓戸3(3a、3b)の開閉状態を管理する窓戸開閉管理システムであって、窓戸の各々に対応して固定窓枠側に設けられる施錠ユニット10(10a、10b)と、施錠ユニット10の各々に対して施錠等の指示を行う施錠制御部と、を備え、施錠ユニットの各々は、対応する窓戸が固定窓枠に対して閉戸状態になっているか否かを検知する開閉検知部と、該窓戸が閉戸状態になっているときに施錠状態とする窓戸施錠部と、を固定窓枠側に設けられたユニット本体内に有し、施錠制御部は、窓戸の全てが閉戸状態になっていると検知されたとき、窓戸施錠部によって該窓戸の全てを施錠状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定窓枠に開閉可能に設けられた窓戸の開閉状態を管理する窓戸開閉管理システム、該窓戸開閉管理システムを用いたセキュリティシステム、および該窓戸開閉管理システムで用いられる施錠のための施錠ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から住居や病院等の生活空間で防犯や危険防止の目的で、窓や戸の施錠や解錠に関する施錠状態を管理する装置が利用されている。例えば、スライド開閉式の窓戸において、窓戸の開いている状態を検知する検知部と、窓戸の開閉動作を制限する係止部とを有する管理装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。この管理装置においては、検知部で窓戸が所定量以上に開いている状態であるときには係止部の動作が制限される。このようにすることで、係止部が過って作動して、窓戸を完全に閉じることができない状態に至ることを回避することができる。
【0003】
また、窓戸の開閉状態を検知する装置として、ローラーを用いた検知装置が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。この技術では、ローラーを介して窓戸と機械的に接触するとともに、このローラーは窓戸の見込み方向に引き込み可能に配置されているため、窓戸の開閉状態検知を精度良く且つ安全に行うことが可能となる。
【0004】
ここで、電子錠を用いた従来の窓戸のセキュリティシステムについて、図21および図22に基づいて説明する。先ず図21に示すセキュリティシステムは、固定窓枠2に二枚の引き違い窓戸(右側の引き違い窓戸を3a、左側の引き違い窓戸を3bとする。)が設けられ、これらの引き違い窓戸の開閉状態を管理する。引き違い窓戸3a、3bが閉戸状態にあるとき、固定窓枠の中央部近傍で両者が部分的に重複する位置で両者のスライド動作を制限するように、クレセント錠50が設けられている。このクレセント錠50では、フック部が引き違い窓戸3a側に設けられ、フック受け部が引き違い窓戸3b側に設けられている。更に、このクレセント錠50とは別に電子錠60が設けられ、この電子錠60はコントローラ70により無線制御される。
【0005】
このように構成される図21のセキュリティシステムでは、ユーザによりクレセント錠50で引き違い窓戸3a、3bが施錠され、更にコントローラ70を介して電子錠60による施錠が行われる。この後、コントローラ70による引き違い窓戸3a、3bのセキュリティ管理が開始され、例えば当該管理下において何らかの理由で引き違い窓戸3a、3bの閉戸状態が崩れ、何れかの窓戸が開いた状態となると、それを検知してユーザに対してアラームを発生する。
【0006】
また図22には、同様に固定窓枠2に設けられた引き違い窓3a、3bのセキュリティシステムが示されている。この引き違い窓3a、3bにも同様にクレセント錠50が設けられているが、図21に示すような電子錠は設けられていない。その代わりに、各引き違い窓の上側隅にマグネットスイッチ80がそれぞれ設けられている。このマグネットスイッチ80は、引き違い窓が所定の閉戸状態に至ったとき、ON信号(或いはOFF信号)が出力されるスイッチである。また、これらのマグネットスイッチ80とコントローラ90が通信線81で結ばれており、マグネットスイッチ80からの出力信号をコントローラ90が受信する。
【0007】
このように構成される図22のセキュリティシステムでは、ユーザによりクレセント錠50で引き違い窓3a、3bが施錠されると、両マグネットスイッチ80からON信号、
即ち各引き違い窓が閉戸状態になっていることを意味する信号がコントローラ90に出される。その信号をコントローラ90が受信すると、コントローラ90による引き違い窓戸3a、3bのセキュリティ管理が開始され、例えば当該管理下において何らかの理由で引き違い窓戸3a、3bの閉戸状態が崩れ、マグネットスイッチ80からのON信号(或いはOFF信号)が途絶えると、それを検知してユーザに対してアラームを発生する。
【特許文献1】特開2003−74247号公報
【特許文献2】実開平7−35690号公報
【特許文献3】実用新案登録第3110270号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
窓戸の開閉状態を管理する場合、管理の対象となる全ての窓戸においてその閉戸状態を確実に検知するとともに、その閉戸状態において各窓戸の開戸動作を制限し施錠状態としなければならない。このようにしなければ、管理の対象となる窓戸を有する空間(以下、「所定空間」と言う。)の防犯性や安全性を確かなものとすることが困難となるからである。
【0009】
ここで、固定窓枠に設けられた窓戸については、その開戸動作を円滑に行うために固定窓枠と窓戸との間にはある程度のクリアランスが設けられるのが通常である。しかし、窓枠の取り付け状態等によってはこのクリアランスが大きくなり、固定窓枠に対して窓戸の相対位置が若干ながら不確か状態となることは避けられない。この場合、窓戸の閉戸状態を正確に検知することが難しくなり、またより正確に検知しようとすればそのための検知装置が大きくならざるを得ない。
【0010】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、固定窓枠に設けられた窓戸の閉戸状態をより確実に検知するとともに、該固定窓枠が設けられ管理の対象となる所定空間の防犯性や安全性を高めるための窓戸の開閉状態を管理する管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明は管理の対象となる窓戸毎に、その窓戸の施錠および解錠を行う施錠ユニットを設け、全ての施錠ユニットを一括で制御することとした。そして、この施錠ユニットは窓戸が設けられる固定窓枠側に設けることとした。このようにすることで、窓戸の閉戸状態をより確実に検知し、窓戸の施錠を安全に制御することが可能となる。
【0012】
詳細には、本発明は、一の固定窓枠に開閉可能に設けられた一又は複数の窓戸の開閉状態を管理する窓戸開閉管理システムであって、前記窓戸のそれぞれに対応して前記固定窓枠側に設けられ、該それぞれの窓戸の施錠および解錠を行う一又は複数の施錠ユニットと、前記施錠ユニットのそれぞれに対して、該施錠ユニットの施錠及び解錠の指示を行う施錠制御部と、を備え、前記施錠ユニットのそれぞれは、対応する窓戸が前記固定窓枠に対して閉戸状態になっているか否かを検知する開閉検知部と、該窓戸が閉戸状態になっているときに該固定窓枠に対して該窓戸の開戸動作を制限して施錠状態とする窓戸施錠部と、を前記固定窓枠側に設けられたユニット本体内に有し、前記施錠制御部は、前記施錠ユニットのそれぞれが有する前記開閉検知部によって前記窓戸の全てが閉戸状態になっていると検知されたとき、該施錠ユニットのそれぞれが有する前記窓戸施錠部によって該窓戸の全てを施錠状態とする。
【0013】
本発明に係る窓戸開閉管理システムにおいては、一の固定窓枠に設けられた開閉可能な一又は複数の窓戸の開閉状態が管理の対象となる。そして、このシステムの特徴点は、各
窓戸に対応して一又は複数の施錠ユニットが固定窓枠側に設けられ、且つこの一又は複数の施錠ユニットを一括して施錠制御部が制御する点である。この施錠ユニットは、対応する窓戸が閉戸状態、即ち施錠を行うに適した状態となっているか否かを検知する開閉検知部と、この開閉検知部によって窓戸が閉戸状態になっていると検知されたときにその窓戸を施錠状態とする窓戸施錠部とを、ユニット本体内に一まとめにした状態で有している。この施錠ユニットは、上記の通り固定窓枠側に設けられるため当然に施錠ユニット内の各構成要素も固定窓枠側に対して相対位置が厳密に管理され得る。
【0014】
ここで、上述したように窓戸と固定窓枠の間にはある程度のクリアランスが存在するが、本発明に係る窓戸開閉管理システムにおいては施錠ユニットを固定窓枠側に設けているため、このクリアランスの影響を可及的に小さくできる。即ち、窓戸の位置のセンシングを行う開閉検知部を固定窓枠側に固定することで、該クリアランスの影響を抑制し得るものである。更に、各窓戸毎にこの開閉検知部を有する施錠ユニットを設けることで、クリアランスの影響を避け、窓戸の閉戸状態検出の精度を高精度に維持することが可能である。また、このように、施錠ユニットを各窓戸毎に設けることになるが、これらの施錠ユニットは施錠制御部によって一括して管理されるため、本システムのユーザの操作は煩雑とはならない。
【0015】
尚、施錠制御部による各施錠ユニットの制御は、開閉検知部によって窓戸の全てが閉戸状態になっていると検知されたとき、窓戸施錠部を介した窓戸の全ての施錠状態化を許可するものである。このようにすることで、窓戸が閉戸状態に至っていない状態で生じる施錠忘れもしくは施錠失敗を確実に回避することができ、固定窓枠が設けられ管理の対象となる所定空間の防犯性や安全性を高めることが可能となる。尚、この施錠制御部による施錠状態化に失敗した場合は、ユーザに対してその失敗した旨を通知するのが好ましい。
【0016】
ここで、上記の窓戸開閉管理システムにおいて、前記施錠ユニットのそれぞれが有する開閉検知部は、前記施錠ユニットが対応する前記窓戸が閉戸状態に至るときに該窓戸と接触して外力を受ける外力受け部と、前記外力受け部が前記外力を受けたとき、前記窓戸が閉戸状態にあると検知する閉戸状態検知部と、を有するようにしてもよい。
【0017】
即ち、開閉検知部を、窓戸と機械的に接触することで生じる外力を利用することで、窓戸の閉戸状態をより確実に検知しようとするものである。窓戸が開戸状態から閉戸状態に至ると、外力受け部が窓戸と接触し、該窓戸から外力を受ける。そして、この受けた外力を基準に、窓戸が閉戸状態、即ち窓戸を施錠するに適した状態に至っているか否かを検知するものである。このように機械的な接触を介することで、窓戸の閉戸状態の検知を確かなものとすることができる。
【0018】
更に、上記窓戸開閉管理システムにおいて、前記施錠ユニットのそれぞれが有する開閉検知部は、前記外力受け部に連結された弾性部材で形成され該外力受け部によって受けられた外力に対し付勢する付勢部を、更に有し、前記閉戸状態検知部は、前記外力受け部によって受けられ且つ前記付勢部により付勢された前記外力に基づいて、前記窓戸の閉戸状態を検知するようにしてもよい。
【0019】
開閉検知部が上記のように窓戸との機械的接触により、該窓戸の閉戸状態を検知しようとする場合、窓戸から外力受け部に伝達される外力の衝撃により、開閉検知部に好ましくない影響を及ぼす可能性がある。そこで、上記のように付勢部を設けることで外力受け部が受ける外力を付勢部によってある程度吸収することで、外力の衝撃を和らげることが可能となり、以て施錠ユニットの故障回避に寄与する。
【0020】
ここで、上述までの窓戸開閉管理システムにおいて、前記外力受け部は、前記外力を受
けたとき一の方向に変位し、前記閉戸状態検知部は、前記外力受け部の前記一の方向への変位に関連する力であって、該一の方向とは一致する方向ではない所定の方向に作用する力に基づいて、前記窓戸の閉戸状態を検知するようにしてもよい。即ち、外力受け部に関する一の方向と閉戸状態検知部による閉戸状態の検知に関する所定方向とを一致させると、結果的に外力受け部と閉戸状態検知部とを一直線上に配置することになり、配置に要するスペースが大きくならざるを得ない。そこで、該一の方向と該所定方向とを一致させないようにすることで、施錠ユニットのユニット本体内における外力受け部と閉戸状態検知部の配置を、省スペース的に行うことができる。例えば、前記一の方向は、前記窓戸の見込み方向とし、前記所定の方向は、前記窓戸の見付け方向としてもよい。尚、窓戸の見付け方向とは、窓戸の見付け面における垂直方向又は平行方向を示す。
【0021】
ここで、上述までの窓戸開閉管理システムにおいて、前記外力受け部は、前記窓戸が閉戸状態に至るときの該窓戸の移動方向と同一の方向に回転可能なローラー部を有し、前記窓戸が閉戸状態に至るときに該窓戸は前記ローラー部と接触して該ローラー部が回転するとともに、該ローラー部が該窓戸の移動方向とは異なる方向に押し込まれ、前記閉戸状態検知部がその押し込みを検知することで前記窓戸の閉戸状態の検知が為されるようにしてもよい。外力受け部がローラー部を有することで、窓戸の移動によって生じる該窓戸とローラー部との摩擦を効率的に逃がして、外力受け部に不要な外力(例えば、せん断力)が働くのを回避して外力受け部の耐久性を維持することが可能となる。また、窓戸の閉戸状態検知に必要な外力によっては、ローラー部が、その回転動作とは違う動作、即ち押し込み動作を為されることで、閉戸状態に関連する外力をその押し込みを介して検知することが可能である。
【0022】
ここで、上述までの窓戸開閉管理システムにおいては、前記施錠ユニットのそれぞれは、前記窓戸施錠部によって前記窓戸が施錠状態とされたときに採られる施錠位置に変位するとともに、該窓戸施錠部による施錠状態が解除されたときに採られる解錠位置に変位することで、該施錠ユニットが対応する窓戸が施錠状態にあるか否かを示す施錠状態表示部を、更に有し、ユーザの手動操作によって、前記施錠位置にある前記施錠状態表示部を前記解錠位置に強制的に変位させたとき、前記窓戸施錠部による施錠状態は解除されるようにしてもよい。
【0023】
このように窓戸の施錠状態と解錠状態を示す施錠状態表示部を設けることで、ユーザは全ての窓戸がどちらの状態に置かれているのかを容易に知ることが可能となる。更に、この施錠状態表示部において施錠位置を解錠位置に強制的に、ユーザが手動で切換えることで、施錠ユニットにおける窓戸施錠部による施錠状態は解除される。このようにすることで、ユーザが過って全窓戸を施錠状態にしたとき、容易にその解除を行うことができる。
【0024】
ここで、上述までの窓戸開閉管理システムにおいて、前記固定窓枠には前記窓戸として室外側に位置する窓外障子と室内側に位置する窓内障子が設けられ、該窓外障子と該窓内障子とは相対的にスライド動作することで開閉状態を形成し、前記窓外障子に対応する前記施錠ユニットは、前記固定窓枠の内部であって前記窓外障子のスライド動作と干渉しない位置に配置され、前記窓内障子に対応する前記施錠ユニットは、前記固定窓枠の室内側表面上に配置されるようにしてもよい。このように、本発明に係る窓戸開閉管理システムでは、施錠ユニットを、通常よく使用される二枚引戸(窓外障子と窓内障子)に対して、容易に設けることができる。
【0025】
ここで、上述までの窓戸開閉管理システムは、所定空間のセキュリティを管理するセキュリティシステムに容易に適用できる。例えば、上記窓戸開閉管理システムを含んで構成され、前記施錠制御部によって前記窓戸の全てが施錠状態とされた後に、前記一の固定窓枠を含んで形成される所定空間のセキュリティを管理するセキュリティシステムであって
、前記施錠制御部に対してユーザの施錠指示を入力する施錠指示入力部と、施錠状態にある前記窓戸のいずれかにおいて、該施錠状態が解除又は該窓戸と前記固定窓枠との相対位置関係のずれを検知し、その検知結果に基づいて前記所定空間のセキュリティ状態を表示するセキュリティ状態表示部と、前記施錠指示入力部と前記セキュリティ状態表示部とが並べて配置されるコントロール部と、を備えるようにしてもよい。
【0026】
上述したように、施錠制御部によって固定窓枠に設けられた窓戸を確実に施錠状態にできるのであるから、上記の施錠指示入力部とセキュリティ状態表示部を設けることで、ユーザは容易に所定空間のセキュリティを管理することが可能である。ここで、コントロール部に施錠指示入力部とセキュリティ状態表示部を並べて配置することで、ユーザの利便性は更に向上する。
【0027】
本発明を、窓戸開閉管理システムとは異なる側面から捉えることも可能である。例えば、窓戸開閉管理システムで用いられる施錠ユニットの側面から捉えると、本発明は、一の固定窓枠に開閉可能に設けられた一又は複数の窓戸の開閉状態を管理する窓戸開閉管理システムにおいて、該窓戸の施錠および解錠を行う施錠ユニットであって、前記固定窓枠側に設けられるユニット本体と、前記ユニット本体内に設けられ、前記窓戸が閉戸状態に至るときに該窓戸と機械的に接触して外力を受け、該外力により変位する接触変位部と、前記接触変位部と係合する係合部を有し、前記窓戸が閉戸状態ではないときには該係合部と該接触変位部とが係合し、該窓戸が閉戸状態に至ると該接触変位部の変位により該係合部と該接触変位部との係合が解消する、前記ユニット本体内に設けられた伝達部と、前記伝達部における前記係合部と前記接触変位部との係合が解消されると、前記伝達部を、前記接触変位部の変位方向とは異なる所定方向に変位させる、前記ユニット本体内に設けられた変位駆動部と、前記変位駆動部による前記伝達部の変位に伴って変位し、前記窓戸を前記固定窓枠に対して施錠および解錠する、前記ユニット本体内に設けられた施錠部と、を備える。
【0028】
本発明に係る施錠ユニットは、上記の窓戸開閉管理システムの場合と同様に、固定窓枠側に設けられる。そして、この施錠ユニットは、ユニット本体内に接触変位部と、伝達部と、変位駆動部と、施錠部とを一まとめに有している。接触変位部と伝達部とは窓戸が閉戸状態であるか否かに応じて、係合部を介した係合状態、非係合状態が選択的に切換えられる。この係合部を介した両者の関係が非係合状態であるとき、伝達部が変位可能な状態となり、その状態で変位駆動部によって伝達部を変位させることで、施錠部を介して窓戸の施錠および解錠が可能となる。即ち、本発明に係る施錠ユニットでは、接触変位部と伝達部との相対関係を、窓戸と接触部位との機械的な接触により切換えることで、窓戸の施錠および解錠を可能とする。従って、当該施錠ユニットによれば、窓戸が閉戸状態になったときに窓戸の施錠が確実に可能になるため、施錠による、固定窓枠が設けられ管理の対象となる所定空間の防犯性や安全性を確かなものすることができる。
【0029】
上記の施錠ユニットにおいて、前記変位駆動部による前記伝達部の変位の開始を決定するスイッチ部を更に備える場合、前記接触変位部は、前記窓戸からの外力により変位されるとき、該変位に従って該接触変位部と前記係合部との係合が解消されるとともに、前記スイッチ部に接触し、前記スイッチ部は、前記接触変位部との接触により前記変位駆動部による前記伝達部の変位を許可するようにしてもよい。即ち、変位駆動部において、該変位駆動部と伝達部の係合の解消と、スイッチ部を介した変位駆動部による駆動の開始のタイミングを同期させることで、窓戸の閉戸状態と施錠を連動させることが可能となる。
【0030】
尚、前記接触変位部の変位方向は、前記窓戸の見込み方向であって、前記伝達部の変位方向である前記所定方向は、前記窓戸の見付け方向であるようにしてもよい。このように接触変位部の変位方向と所定方向とを一致させないようにすることで、施錠ユニットの省
スペース化を図ることができる。この点は、既に述べたとおりである。尚、窓戸の見付け方向とは、窓戸の見付け面における垂直方向又は平行方向を示す。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、固定窓枠に設けられた窓戸の閉戸状態をより確実に検知するとともに、該固定窓枠が設けられ管理の対象となる所定空間の防犯性や安全性を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る窓戸開閉管理システム、該システムを含んで構成されるセキュリティシステム、およびこれらのシステムで用いられる施錠ユニットの実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る窓戸開閉管理システムおよび該システムを含んで構成されるセキュリティシステム(以下、単に「セキュリティシステム」と言う。)1の概略構成を示す図である。セキュリティシステム1は、固定窓枠2に設けられた引き違い式の窓戸(以下、単に「窓戸」と言う。)3a、3bの開閉状態を管理し、これらの窓戸が設けられる所定空間の安全性を維持する。尚、二つの窓戸について区別して表現する必要がない場合には、以降では「窓戸3」のように参照番号のアルファベットを省略する場合がある。この固定窓枠2は、住居等の居室やその他防犯性や安全性が求められる所定空間の出入り口等を形成するために設けられる。従って、固定された固定窓枠2に対して窓戸3a、3bがそれぞれ互いにスライド動作することで、当該所定空間への出入りが可能となる。
【0034】
セキュリティシステム1では、窓戸3a、3bに対してそれぞれ施錠ユニット10a、10bが設けられる。尚、窓戸3の場合と同様に、二つの施錠ユニットについて区別して表現する必要がない場合には、以降では「施錠ユニット10」のように参照番号のアルファベットを省略する場合がある。施錠ユニット10は、固定窓枠2側に設けられ、対応する窓戸を、閉戸状態において固定窓枠2に対して連結し、その相対移動を制限するように機能する。以下に施錠ユニット10の機能について、図2に基づいて説明する。
【0035】
図2(a)は、窓戸3が閉戸状態に至っていないとき、即ち施錠ユニット10による窓戸3の施錠を行うべき状態に至っていないときの、施錠ユニット10の概略構成を示す図であり、図2(b)は、窓戸3が閉戸状態に至ったときの施錠ユニット10の概略構成を示す図である。尚、施錠ユニット10のより詳細な構成については後述し、図2においてはその構成を簡潔に説明する。施錠ユニット10は、ユニット本体であるケーシング11の内部に、窓戸3が閉戸状態にあるか否かを検知するための開閉検知センサ12と、窓戸3に対して施錠を行う施錠鍵部14とが一まとめに収められている。そして、このケーシング11は、固定窓枠2側に固定されるものである。
【0036】
開閉検知センサ12は、窓戸3が閉戸状態に至るとその窓戸3と接触部12aが機械的に接触することで、窓戸3の閉戸状態を検知することが可能となる。そこで、図2(b)に示すように、窓戸3が施錠ユニット10に対して接近して閉戸状態になると、窓戸3の表面が接触部12aをセンサ本体内に押し込む結果となり、その押し込みによって開閉検知センサ12は窓戸3の閉戸状態を検知する。そして、その検知後、施錠鍵部14が窓戸3に対して駆動され、窓戸3が施錠鍵部14を介して固定窓枠2側に連結固定される。このとき、図2(b)に示すように施錠鍵部14が窓戸3を施錠した状態となると、施錠鍵部14が、ケーシング11内に設けられた施錠確認センサ13の接触部13aと接触する。この施錠確認センサ13も開閉検知センサ12と同じ原理で、接触部13aと施錠鍵部
14とが接触することで接触部13aが押し込まれ、その押し込みを以て窓戸の施錠状態を確認するセンサである。以上より、施錠ユニット10は、窓戸3の閉戸状態の検知と該窓戸の施錠とを行う機能を有するものであり、それは固定窓枠2側に設置される。
【0037】
ここで、再び図1に戻ると、施錠ユニット10a、10bは、施錠指示部5およびセキュリティ制御部6に、通信線4を介して電気的に接続されている。施錠指示部5は、図3に示すように、施錠指示ボタン5aと、窓戸3の施錠状態を表示する施錠表示部5bと解錠表示部5cが並べて配されている。施錠指示ボタン5aは、ユーザが各施錠ユニット10に対して施錠指示を出すためのボタンである。また、施錠表示部5bと解錠表示部5cは、施錠ユニット10が施錠又は解錠の何れの状態になっているか表示するための表示部であり、該当する状態に対応する何れかの表示部が点灯することでユーザに施錠状態を知らせる。
【0038】
また、セキュリティ制御部6は、施錠ユニット10によって窓戸3が施錠状態となったとき、窓戸3の閉戸状態が崩されたり、窓戸3が固定窓枠2に対して相対移動したりすることを検知して、ユーザにアラームを出す。これによりセキュリティシステム1は、上記所定空間の防犯性、安全性を高く維持できる。尚、セキュリティ制御部6は、既存の防犯システム(例えば、セキュリティインターホン等)であってもよく、また施錠指示部5とシステムを接続することも可能である。
【0039】
ここで、図4〜図11および図12A、12Bに基づいて、施錠ユニット10の具体的な構造について説明する。尚、これらの図面おいて示される施錠ユニットは、施錠ユニット100と表す。図4は、窓戸3が閉戸状態にあるときの施錠ユニット100と窓戸3の相対関係を、窓戸3の上部からの視点で示した図であり、図5は、図4に示す状態を窓戸3の横断面側からの視点で示した図である。
【0040】
図4に示すように、施錠ユニット100は固定窓枠2に取り付けられ、施錠ユニット100の一部を構成するローラー部101が、窓戸3の一部であってその側部に設けられた窓戸縁部150と接触可能となるように、施錠ユニット100から飛び出した状態で配置されている。尚、後述するように、ローラー部101は窓戸縁部150と接触すると施錠ユニット100側に押し込まれるように動作するが、図4では押し込まれた状態ではなく、敢えてローラー部101と窓戸縁部150とを重ねて示している。この点は、図5においても同様である。
【0041】
施錠ユニット100は、主に、ケーシングと、そのケーシング内に設けられるローラー部101、ローラー保持部102、ローラー変位部103、施錠鍵部104、付勢バネ105、可動板106、第一のマイクロスイッチ107、第二のマイクロスイッチ108、ソレノイド109、付勢バネ110、連結板111、解錠ボタン112とで構成される。ここで、制御ユニット100の理解のために、施錠ユニット100を、窓戸の閉戸状態を検知するための閉戸状態検知部と、窓戸3に施錠を行う施錠部と、施錠ユニット100における施錠状態を示す施錠表示部とに区分けして、以下にそれぞれを説明する。
【0042】
<閉戸状態検知部について>
閉戸状態検知部は、ローラー部101、ローラー保持部102、ローラー変位部103、付勢バネ105、可動板106、第一のマイクロスイッチ107で構成される。ローラー部101は、引き違い式である窓戸3のスライド方向に回転可能なようにローラー保持部102によって軸支されている。更に、このローラー保持部102は、軸状のローラー変位部103と連結されるとともに、その端部において付勢バネ105によって付勢されている。従って、窓戸3がスライド動作によって閉戸状態へ至ろうとすると、窓戸3の窓戸縁部150がこのローラー部101と接触する。その結果、ローラー部101は、窓戸
縁部150との摩擦により回転するとともに、窓戸3側から施錠ユニット100内に押し込まれる外力(以下、「押し込み力」と言う。)を受ける。
【0043】
更に、押し込み力を受けたローラー部101は、ローラー変位部103を、施錠ユニット100内に押し込む方向であり窓戸3の見込み方向に変位させる。このとき、ローラー変位部103は、付勢バネ105による付勢力に抗しながら変位することになる。ここで、ローラー変位部103には可動板106が連結されており、ローラー変位部103の変位にともなって、同一方向に変位する。図6に基づいて、以下に可動板106の説明を行う。
【0044】
図6(a)は、可動板106の正面図であり、図6(b)は、その側面図である。尚、図5に示す可動板106の状態は、図6(b)に示す状態と同じである。可動板106は、側面側から見たとき、コの字形状をした本体部106bと、それに連続する脚部106cから構成される。本体部106bの先端部106aは、コの字形状の内部に若干折れ曲がった状態となっており、この先端部106aは、マイクロスイッチ107の感知部に接触し得る。また、脚部106cには貫通穴106eが設けられ、この貫通穴106eを介してローラー変位部103と可動板106が連結されている。従って、押し込み力によってローラー変位部103が窓戸3の見込み方向に変位すると、同様に可動板106も窓戸3の見込み方向に変位する。その結果、先端部106aがマイクロスイッチ107の検知部と接触、押し込むことで、マイクロスイッチ107がON状態になる。このON状態を表すON信号は、通信線4を経て施錠指示部5に伝わり、そこでON信号の受信をもって窓戸3が閉戸状態に至ったと判断される。
【0045】
<施錠部について>
施錠部は、施錠鍵部104、ソレノイド109、付勢バネ110、連結板111で構成される。連結板111は、先に説明した可動板106と連動して動作するものであり、図7〜図9に基づいて連結板111の説明を行う。図7(a)は連結板111の側面図であり、図7(b)は連結板111の正面図であり、図5に示す連結板111の状態は、図7(b)に示す状態と同様である。尚、連結板111は、図5に示すように施錠ユニット100内の上部から下部までの大部分にわたって位置するが、図7には、上記閉戸状態検知部および施錠鍵部104の近傍の連結板111の下部を部分的に示している。
【0046】
連結板111は、その最下部において、第一脚部111aと第二脚部111bとから形成される二股形状を有している。第二脚部111bは、第一脚部111aと比べて長く、両脚部の先端部には、突起部111cと111dが設けられている。更に、連結板111は、この二股形状の部分に繋がる第一胴部111eと第二胴部111fが設けられるとともに、両胴部の間は比較的幅細く繋がれることで、切欠部111gが形成されている。ここで、図6に示すように可動板106の脚部106cには、その側部方向に突出する突起部106dが設けられており、この突起部106dは、切欠部111gに対して係合状態又は非係合状態を選択的に採ることができるように形成されている。即ち、突起部106dが切欠部111gと係合状態を形成している場合、連結板111の動作は可動板106によって制限されている。しかし、突起部106dが切欠部111gと非係合状態となると、連結板111の動作は可動板106によって制限されなくなり、この係合状態から非係合状態への移行は、上述した押し込み力によるローラー変位部103の、窓戸3の見込み方向への変位によって発生する。従って、切欠部111gの開口部は、そのローラー変位部103の変位方向である、窓戸3の見込み方向に開口している。
【0047】
ここで、図8に基づいて、可動板106と連結板111の係合状態の移行について説明する。図8(a)は、可動板106と連結板111とが、突起部106dと切欠部111gとを介して係合状態にある状態を示している。即ち、この状態においては、ローラー部
101が窓戸3の窓戸縁部150から押し込み力をまだ受けていない状態であるから、窓戸3は「閉戸状態にない状態」である。尚、この状態では、可動板106の先端部106aは、マイクロスイッチ107の検知部107aに極めてかすかに接触している状態であって、マイクロスイッチ107はOFF状態にあるので、施錠指示部5は、窓戸3は「閉戸状態にない状態」であることを確かに認識している。
【0048】
このとき、突起部106d(図中斜線で示されている)は、係合部111gに係合している状態である。図9はその係合状態を立体的に示しており(連結板111および可動板106以外の構成要素は図示省略)、そのうち図9(a)は連結板111側から見た状態、図9(b)は可動板106側から見た状態を表す。この係合状態によって、連結板111は、後述する施錠のためのスライド動作(図面の上下方向のスライド動作)が制限されている状態である。換言すると、窓戸3が閉戸状態にないときは、連結板111を介した施錠を行うことはできず、以て無用な施錠による窓戸等の破損や、不十分な施錠による安全性、防犯性の低下を十分に回避できる。
【0049】
次に、窓戸3の窓戸縁部150から押し込み力がローラー部101に伝えられると、ローラー部101や可動板106等が窓戸3の見込み方向に変位する。この変位方向は、図9では白抜き矢印で示されている。そして可動板106等が変位した結果、図8(b)に示す状態に至る。この状態では、突起部106dが係合部111gから完全に飛び出し、且つ連結板111の第一胴部111eの右側側部よりも若干飛び出した状態となる。更に、図8(b)の状態では、可動板106の先端部106aが、マイクロスイッチ107の検知部107aと完全に接触し、それを垂直方向に押し込むことで、マイクロスイッチ107がON状態になる。その結果、ON状態を示すON信号が通信線4を経て施錠指示部5に至り、該施錠指示部5は、窓戸3が「閉戸状態」であることを認識する。以上より、窓戸3の閉戸状態の認識と、可動板106と連結板111との係合状態の解除はほぼ同時に発生する。
【0050】
更に、窓戸3の閉戸状態が認識されると、施錠指示部5はソレノイド109に対して励磁指示を出す。その結果、ソレノイド109は励磁されて連結板111を上方に持ち上げる動作を行う。ソレノイド109の励磁による作用については、図10に示されている。図10(a)および(b)は、消磁状態におけるソレノイド109近傍の、施錠ユニット100内の構成要素の状態を、それぞれ側面図、正面図として示しており、図10(c)は、励磁状態における各構成要素の状態を(b)と同様に正面図として示している。連結板111の上部側の先端部に当たる第二胴部111fは、付勢バネ110を介してソレノイド109の出力軸に連結されており、ソレノイド109が消磁状態から励磁状態に至ると、付勢バネ110からの付勢力のサポートとともにその出力軸がソレノイド109本体から突出して、結果的に連結板111の第二胴部111fをΔhだけ垂直方向に持ち上げる。その結果、図8(c)に示すように、可動板106の突起部106dは、相対的に、連結板111の第一胴部111eの右側側部を沿って第二脚部111bの基部辺りに変位する。即ち、可動板106と連結板111との係合状態の解除後に、ソレノイド109の作用により連結板111が施錠を行うための位置に変位した状態が、図8(c)に示す状態である。以上のソレノイド109による、連結板111の施錠のための変位を、以下では「施錠変位」と言う。
【0051】
ここで、連結板111の施錠変位による施錠鍵部104の施錠動作について、図11に基づいて説明する。図11(a)は、施錠鍵部104による施錠が行われていないときの、連結板111と施錠鍵部104との相対関係を示す図であり、図10(a)、(b)や図8(a)、(b)に対応する。一方で、図11(b)は、施錠鍵部104による施錠が行われたときの、連結板111と施錠鍵部104との相対関係を示す図であり、図10(c)や図8(c)に対応する。
【0052】
施錠鍵部104は、回転軸104dを中心として回転可能に軸支されており、回転して鍵部104eが図11(a)に示す鉛直状態から図11(b)に示す水平状態に至ることで、鍵部104eが窓戸3側に設けられた鍵受け113内の鍵穴114に挿入され、窓戸3が施錠状態に至る。ここで、この施錠鍵部104の回転動作は、連結板111の上記施錠変位によって生じる。図11(a)に示すように、施錠鍵部104には、切欠側部104aと切欠側部104bで形成された、斜め左下方向に開口した切欠部が設けられている。また、ケーシング11にも切欠溝104cが設けられている。前者の切欠部には連結板111の第一脚部111a先端に設けられた突起部111cが嵌めこまれており、後者の切欠溝104cには連結板111の第二脚部111b先端に設けられた突起部111dが、比較的広めの遊びを含む状態で嵌めこまれている。
【0053】
このような状態で、連結板111がソレノイド109によって施錠変位すると、各突起部と切欠部、切欠溝との相対関係から、突起部111cは施錠鍵部104を回転させ、突起部111dは連結板111の垂直方向の動きをガイドすることで、施錠鍵部104が図11(b)の状態に回転変位させられる。尚、図11(b)の状態では、連結板111が拘束要因となっているため、施錠鍵部104が逆回転して図11(a)の状態に戻ることが制限される。施錠鍵部104を図11(a)の状態に戻すためには、ソレノイドを消磁状態にすることで、連結板111が下方に変位(上記施錠変位とは逆方向の変位であって、以降「解錠変位」と言う。)し、以て施錠鍵部104が逆回転する。
【0054】
以上より、ローラー部101が押し込み力を受けて窓戸3の見込み方向に変位することで、可動板106と連結板111との係合状態が解除され、その時点でソレノイド109が励磁されると連結板111が施錠変位して施錠鍵部104が回転変位し、以て窓戸3の施錠が実行される。尚、窓戸3の解錠は、施錠された状態においてソレノイド109が消磁されることで連結板111が解錠変位することで、図8(b)に示す状態に至る。この状態で更に窓戸3が開いた状態となると、図8(a)に示す状態にまで戻る。
【0055】
<施錠表示部について>
施錠ユニット100においては、施錠表示部は、解錠ボタン112によって機械的に施錠状態を表示する表示部と、マイクロスイッチ108および施錠指示部5によって電気的処理を介して施錠状態を表示する表示部とがある。先ず、前者の表示部について説明する。解錠ボタン112は、図5に示すように連結板111の第二胴部111fの上部に連結されている。そして、施錠鍵部104による施錠が行われていないときは、図10(b)に示すように連結板111は施錠ユニット100のより内部に位置しているため、解錠ボタン112も施錠ユニット100内に収納された状態となる(図10においては、解錠ボタン112は図示省略)。その後、連結板111の施錠変位により連結板111の高さがΔh高くなると、解錠ボタン112が施錠ユニット100から飛び出した状態となり、図5に示す状態となる。このように、解錠ボタン112が機械的に施錠ユニット100から飛び出した状態となることで、ユーザは窓戸3に対して施錠が行われていることを確認することができる。
【0056】
尚、ユーザはこの施錠ユニット100から飛び出した解錠ボタン112に対して、強制的にそれを施錠ユニット100内に押し込む方向に力を加えることで、連結板111を強制的に解錠変位させて、施錠ユニット100による施錠を解除させることも可能である。
【0057】
次に後者の表示部について説明する。図10(a)、(b)に示すように、連結板111の第二胴部111fには、突起部111hが設けられている。この突起部111hは、図10(a)、(b)の状態では、マイクロスイッチ108の検知部108aを押し込んだ状態、即ちマイクロスイッチ108のON状態が形成されている。そして、ソレノイド
109によって連結板111が施錠変位されると、図10(c)に示す状態に至り、突起部111hが検知部108aと離れマイクロスイッチ108のOFF状態が形成される。このマイクロスイッチ108の状態の変化が通信線4を経て施錠指示部5に伝えられ、施錠表示部5bが点灯される。これにより、ユーザは窓戸3に対して施錠が行われていることを確認することができる。
【0058】
<施錠ユニットの取り付けについて>
本発明に係る施錠ユニット100は、上述したとおり各窓戸3a、3bに対応するように設けられる。そこで、図12Aおよび図12Bに、各窓戸3a、3b用の施錠ユニット100の取り付けの具体例を示す。図12Aは、引き違い式の窓戸において外障子となる窓戸3bに対応する施錠ユニット100の取付けを示し、図12Bは、引き違い式の窓戸において内障子となる窓戸3aに対応する施錠ユニット100の取付けを示している。
【0059】
先ず外障子となる窓戸3bに対しては、図12Aに示すように施錠ユニット100は、固定窓枠2の内側であって、窓戸3bと干渉しない室内側の場所に配置される。施錠ユニット100がこの位置に配置されることで、窓戸3bが図12Aに示すように閉戸状態に至ると、施錠鍵部104が鍵穴114に挿入されて、窓戸3bは施錠状態に至る。一方で内障子となる窓戸3aに対しては、図12Bに示すように施錠ユニット100は、固定窓枠2の室内側表面上に配置される。施錠ユニット100がこの位置に配置されることで、窓戸3aが図12Bに示すように閉戸状態に至ると、施錠鍵部104が鍵穴114に挿入されて、窓戸3aは施錠状態に至る。
【0060】
このように各窓戸に対応させて施錠ユニット100を固定窓枠2側に取り付けることで、窓戸3と固定窓枠2との間に存在するクリアランスの影響を可及的に小さく抑えることが可能となり、窓戸3の閉戸状態をより正確に検知することが可能となり、結果的には窓戸の確実な施錠に帰結する。尚、図12A、図12Bに示す施錠ユニット100の取り付け態様は一例であり、各窓戸3a、3bのそれぞれに対応させて施錠ユニット100を固定窓枠2側に取り付ける限りにおいては、それ以外の取り付け態様も採用し得る。
【0061】
<セキュリティシステム1のセキュリティ制御について>
以上のように構成される施錠ユニット100(10)を用いて形成される、図1に示したセキュリティシステム1で行われる窓戸3の施錠に関するセキュリティ制御について、図13に基づいて説明する。このセキュリティ制御は、上記所定空間のセキュリティを維持するために行われる制御であり、施錠指示部5およびセキュリティ制御部6の内部に設けられた処理装置が連動して実行する。先ず、S101では、ユーザからの窓戸3の施錠指示を受け付ける。具体的には、ユーザが施錠指示ボタン5aを押したとき、S101の処理が行われる。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0062】
S102では、セキュリティシステム1の管理対象である全ての窓戸3が閉戸状態にあるか否かが判定される。具体的には、施錠指示部5が、各窓戸に対応して設けられた施錠ユニット100の全てから、それぞれが有するマイクロスイッチ107からのON信号を受信したとき、全ての窓戸が閉戸状態であると判定される。S102で肯定判定されるとS103へ進み、否定判定されるとS109へ進む。尚、本実施例において、上記マイクロスイッチ107の場合を含め、以降で表示されるマイクロスイッチからの信号は、ON信号又はOFF信号の何れかが一例として記載されているが、その記載とは逆の信号(例えば、ON信号と記載されている場合はOFF信号あり、OFF信号と記載されている場合はON信号ある。)に基づいて各処理が実行されるようにしてもよい。従って、上記の場合、ユニット100のそれぞれが有するマイクロスイッチ107からの「OFF信号」を受信したとき、全ての窓戸が閉戸状態であると判定されるようにしてもよく、以下に示す各処理でも同様である(尚、個別具体的な記載は割愛する。)。
【0063】
S103では、各窓戸に対応して設けられた施錠ユニット100の全てに対して、施錠指示部5から施錠指示が出される。具体的には、施錠指示部5から各施錠ユニット100のソレノイド109に対して励磁指示が出される。この結果、ソレノイド109が励磁することで連結板111が施錠変位して、各施錠ユニット100の有する施錠鍵部104が回転動作して、各窓戸の施錠が実行される。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0064】
S104では、全ての窓戸において施錠が完了したか否かが判定される。具体的には、施錠指示部5が、各窓戸に対応して設けられた施錠ユニット100の全てから、それぞれが有するマイクロスイッチ108からのOFF信号を受信したとき、全ての窓戸において施錠が完了したと判定される。S104で肯定判定されるとS105へ進み、否定判定されるとS109へ進む。
【0065】
S105では、施錠指示部5の施錠表示部5bを点灯させて、ユーザに対して施錠状態であることを示している。尚、上述したように、これと同時に各施錠ユニット100では解錠ボタン112が施錠ユニット100から飛び出すことでもユーザに対する通知が行われる。S105の処理が終了すると、S106へ進む。また、S102又はS104で否定判定されたとき進むS109では、ユーザに対して、窓戸が閉戸状態になっていない、もしくは窓戸で完全に施錠が行われていないことを示すために、アラーム表示が行われる。例えば、施錠指示部5の施錠表示部5bと解錠表示部5cとを点滅させることで、アラーム表示とする。S109の処理後、本セキュリティ制御を終了する。
【0066】
S106では、窓戸3の全てが施錠状態になったことをトリガーとして、セキュリティ制御部6によるセキュリティ管理を開始する。このセキュリティ管理については、従来から行われている管理であるため、その詳細な説明は割愛するが、例えば、セキュリティ管理実行中に窓戸3が固定窓枠2に対して相対移動した場合等には、S107においてセキュリティ異常と判定して、S110でアラーム表示を行う。このS110におけるアラーム表示は、セキュリティ制御部6によるアラーム表示で、ユーザへのアラーム音での通知や、警察や警備会社への自動通知等が行われる。一方で、セキュリティ管理中に異常が生じない場合には、S107で否定判定されてS108へ進み、そこでセキュリティ管理の終了指示が、セキュリティ制御部6から出されたか否かが判定される。S108で肯定判定されると本制御を終了し、否定判定されるとS107以降の処理が繰り返して行われ、セキュリティ管理が継続される。
【0067】
本セキュリティ制御によると、施錠ユニット100を用いた精度の高い窓戸の閉戸状態の検知結果に基づいて、全窓戸の確実な施錠を実行することが可能となる。更には、その施錠状態に基づいてセキュリティ管理が行われることで、窓戸3が備えられる上記所定空間の安全性、防犯性を高く維持することが可能となる。
【実施例2】
【0068】
本発明に係るセキュリティシステム1で採用可能な施錠ユニットの第二の実施例を、図14および図15に基づいて説明する。本実施例においては、施錠ユニットには200の参照番号を付して、以下に説明する。施錠ユニット200は、ロックスイッチ201、モータ202、手動レバー203、カム204、フック205、開閉スイッチ206で構成される。また、施錠ユニット200は、上記の実施例1の場合と同様に、窓戸3のそれぞれに対応するように固定窓枠2に設けられる。更に、施錠ユニット200に対応して窓戸3側には、図14に示すような階段状の係合突起250が設けられている。この係合突起250は、施錠ユニット200のそれぞれに対応するように窓戸3側に設けられ、突起の高い部分と低い部分の二段構成となっている。
【0069】
施錠ユニット200においては、フック205と係合突起250とが係合することで、窓戸3が固定窓枠2に対して施錠されることになる。ここで、図15に基づいて、施錠ユニット200の動きについて説明する。図15(a)は窓戸3が開いた状態であって、即ち施錠ユニット200と係合突起250とが接触していない状態である。この状態で窓戸3が閉戸状態に至ると、図15(b)に示す状態となり開閉スイッチ206が係合突起250の側端部分で押される。これにより、開閉スイッチ206が、窓戸3が閉戸状態に至ったことを確実に検知することができ、その検知をトリガーとしてモータ202がカム204を回転させ、そのカム204に連結されているフック205が回転支持軸を中心として回転駆動する。この結果、フック205が係合突起250の高段部分を挟み、フック205と係合突起250との係合が完了し、図15(c)の状態に至る。
【0070】
ここで、フック205と係合突起250とが係合するとロックスイッチ201がON状態となり、モータ202の駆動が停止する。このロックスイッチ201のON状態を示すON信号が施錠指示部5に伝わることで、施錠表示部5bが点灯しユーザに施錠状態であることを知らせる。一方で、モータ202によるカム204の回転に連動して、手動レバー203も回転駆動される。従って、ユーザは手動レバー203の状態を確認することでも、施錠ユニット200が施錠状態になっているか否かを判断することができる。
【0071】
また、この手動レバー203は、カム204との間でワンウェイクラッチによって連結されており、施錠状態から解錠状態に至る方向への回転が手動で可能である。そこで、ユーザが施錠状態を示す位置にある手動レバー204を解錠状態を示す位置へ強制的に回転させると、フック205と係合突起250との係合が解除されるとともにロックスイッチ201はOFF状態となり、図15(b)に示す状態に強制的に戻すことが可能である。尚、この状態では、更に制御指示部5からの指示によりモータ202を駆動して、再びフック205と係合突起250とを係合させることも可能である。
【実施例3】
【0072】
本発明に係るセキュリティシステム1で採用可能な施錠ユニットの第三の実施例を、図16〜図20に基づいて説明する。本実施例においては、施錠ユニットには300の参照番号を付して、以下に説明する。上記の実施例1における施錠ユニット100および実施例2における施錠ユニット200は、窓戸3の閉戸状態を機械的接触によって検知するものであるが、本実施例に係る施錠ユニット300はその検知を非接触で行うものである。当然に、この施錠ユニット300も固定窓枠2側に設けられる。
【0073】
図16は、施錠ユニット300の概略構成を示す斜視図であり、図17は、施錠ユニット300の概略構成を示す断面図である。施錠ユニット300は、窓戸3の閉戸状態を検知するためのマグネットセンサ305、窓戸3の施錠を行うロック部307、ロック部307による施錠を制御するソレノイド304とソレノイド受け部306、ロック部307による施錠状態を検知するための施錠検知スイッチ302、ロック部307による施錠状態に連動して表示位置を変え、ユーザに対して施錠状態か解錠状態のどちらであるかを明確に示すつまみ部303、このつまみ部303に対して付勢力を与えるバネ301で構成される。
【0074】
施錠ユニット300に対応する窓戸3側には、マグネット350が設置されている。図18(a)に示すように、窓戸3が閉戸状態にないときは窓戸3と施錠ユニット300とは離れているため、マグネット350の磁力をマグネットセンサ305が検知することができない。従って、この場合は、マグネットセンサ305からの信号はOFF信号である。この状態から、図18(b)に示すように窓戸3が閉戸状態となると、マグネットセンサ305の直前に窓戸3側のマグネット350が位置することになる。これにより、マグ
ネットセンサ305からの信号がON信号となり、施錠ユニット300は、窓戸3が閉戸状態になったことを非接触で検知し、この検知結果は上記施錠指示部5に送られる。
【0075】
ここで、ロック部307による施錠と、施錠検知スイッチ302によるその施錠状態の検知について、図19に基づいて説明する。ロック部307は、本体部307b内で飛び出し自在に移動可能な施錠鍵部307cと、この施錠鍵部307cの側方から飛び出した横棒307aを有する。更に、このロック部307の本体部307bに対して図面上下方向にスライド可能となるように、つまみ部303を形成するつまみケーシング303aが設けられている。このつまみケーシング303aの側方には、斜めに切り込まれた切欠溝303bが設けられており、上記ロック部307の横棒307aは、この切欠溝303bを貫通するように、ロック部307とつまみ部303とが配されている。
【0076】
ここで、マグネットセンサ305からの信号がON信号となると、施錠指示部5からソレノイド304に対して励磁指示が出され、ソレノイド304がソレノイド受け部306を押し出す。その結果つまみ部303がつまみケーシング303aとともに下に押し出されることで、図19(a)に示す状態から図19(b)に示す状態に至る。このとき、本体部307bとつまみケーシング303aとがスライドするとき、横棒307aが斜めに切り込まれた切欠溝303bをスライドするため、該横棒307aと連結された施錠鍵部307cが本体部307bから前方に飛び出す。その結果、窓戸3に設けられた鍵穴にこの施錠鍵部307cがはめ込まれることで、窓戸3を固定窓枠に対して施錠することが可能となる。
【0077】
尚、このとき図19(b)に示すように、施錠状態では本体部307bに対して下方にスライドしたつまみケーシング303aが、施錠検知スイッチ302と接触し、当該スイッチをON状態とする。そして、このON状態を示すON信号を施錠指示部5が受信することで、ロック部307による施錠が行われたことを検知し、施錠表示部5bを点灯しユーザに知らせることができる。
【0078】
また、施錠ユニット300においては、図20に示すように、つまみ部303が施錠ユニット300のケーシングから飛び出して、ユーザがつまみ部303の位置を確認することができる状態にある。従って、図19(a)に対応する図20(a)では、つまみ部303の位置が上側にあり、且つつまみ部303の下側の窓308の色が赤色に表示される。この赤色はつまみケーシング303aの対応する箇所に塗られている。これにより、ユーザは、簡単に施錠ユニット300は解錠状態にあることが分かる。一方で、図19(b)に対応する図20(b)では、つまみ部303の位置が下側にあり、且つつまみ部303の上側の窓308の色が青色に表示される。この青色はつまみケーシング303aの対応する箇所に塗られている。これにより、ユーザは、簡単に施錠ユニット300は施錠状態にあることが分かる。
【0079】
また、ユーザが図20(b)に示す状態から図20(a)に示す状態になるように、強制的につまみ部303の位置を変更しようとすると、上記とは逆の工程を経て施錠鍵部307cが本体部307bに収納されるため、施錠ユニット300による施錠は解除される。このとき、つまみケーシング303aは、つまみ部303の移動とともに図19(a)に示す状態に至るため、施錠検知スイッチ302とつまみケーシング303aとの接触が解除されて、該スイッチから施錠指示部5へ送られる信号がOFF状態を示すOFF信号となる。そこで、施錠指示部5はこのOFF信号を受信すると、施錠ユニット300は解錠されたと判断して、解錠表示部5cを点灯させてユーザに知らせる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係る窓戸開閉管理システムおよび該システムを利用したセキュリティシステムの概略構成図である。
【図2】図1に示すシステムの基本構成を示す図である。
【図3】図1に示すシステムにおいて、ユーザが施錠指示を出す施錠指示部の構成を示す図である。
【図4】図1に示すシステムにおいて使用される施錠ユニットと、その施錠対象である窓戸との関係を示す第一の図である。
【図5】図1に示すシステムにおいて使用される施錠ユニットと、その施錠対象である窓戸との関係を示す第二の図である。
【図6】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットで使用される可動板の構成を示す図である。
【図7】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットで使用される連結板の構成を示す図である。
【図8】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットにおける窓戸の閉戸状態を検知するための閉戸状態検知部の動きを示す図である。
【図9】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットにおける窓戸の閉戸状態を検知するための閉戸状態検知部を構成する可動板と連結板との相対関係を示す図である。
【図10】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットにおいて、施錠を行う際の連結板の動きを説明するための図である。
【図11】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットにおいて、施錠を行う際の施錠鍵部の動きを説明するための図である。
【図12A】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットの固定窓枠への取り付け態様を示す第一の図である。
【図12B】本発明の第一の実施例に係る施錠ユニットの固定窓枠への取り付け態様を示す第二の図である。
【図13】図1に示すシステムにおいて実行されるセキュリティ制御のフローチャートである。
【図14】本発明の第二の実施例に係る施錠ユニットの構成を示す図である。
【図15】図14で示す施錠ユニットの動きを示す図である。
【図16】本発明の第三の実施例に係る施錠ユニットの構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の第三の実施例に係る施錠ユニットの構成を示す断面図である。
【図18】本発明の第三の実施例に係る施錠ユニットにおいて、窓戸を検知するためのマグネットセンサの動作を示す図である。
【図19】本発明の第三の実施例に係る施錠ユニットにおいて、施錠を行うロック部と施錠状態を検知するための施錠検知スイッチの動作を示す図である。
【図20】本発明の第三の実施例に係る施錠ユニットにおいて、施錠状態を表示するつまみの動きを示す図である。
【図21】従来の窓戸のセキュリティシステムの概略構成を示す第一の図である。
【図22】従来の窓戸のセキュリティシステムの概略構成を示す第二の図である。
【符号の説明】
【0081】
1 セキュリティシステム
2 固定窓枠
3、3a、3b 窓戸
4 通信線
5 施錠指示部
5a 施錠指示ボタン
5b 施錠表示部
5c 解錠表示部
6 セキュリティ制御部
10、10a、10b 施錠ユニット
11 ケーシング
12 開閉検知センサ
13 施錠確認センサ
14 施錠鍵部
100 施錠ユニット
101 ローラー部
102 ローラー保持部
103 ローラー変位部
104 施錠鍵部
105 付勢バネ
106 可動板
107 第一のマイクロスイッチ
108 第二のマイクロスイッチ
109 ソレノイド
110 付勢バネ
111 連結板
112 解錠ボタン
113 鍵受け
114 鍵穴
150 窓戸縁部
200 施錠ユニット
201 ロックスイッチ
202 モータ
203 手動レバー
204 カム
205 フック
206 開閉スイッチ
250 係合突起
300 施錠ユニット
301 バネ
302 施錠検知スイッチ
303 つまみ部
304 ソレノイド
305 マグネットセンサ
306 ソレノイド受け部
307 ロック部
308 窓
350 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の固定窓枠に開閉可能に設けられた一又は複数の窓戸の開閉状態を管理する窓戸開閉管理システムであって、
前記窓戸のそれぞれに対応して前記固定窓枠側に設けられ、該それぞれの窓戸の施錠および解錠を行う一又は複数の施錠ユニットと、
前記施錠ユニットのそれぞれに対して、該施錠ユニットの施錠及び解錠の指示を行う施錠制御部と、を備え、
前記施錠ユニットのそれぞれは、対応する窓戸が前記固定窓枠に対して閉戸状態になっているか否かを検知する開閉検知部と、該窓戸が閉戸状態になっているときに該固定窓枠に対して該窓戸の開戸動作を制限して施錠状態とする窓戸施錠部と、を前記固定窓枠側に設けられたユニット本体内に有し、
前記施錠制御部は、前記施錠ユニットのそれぞれが有する前記開閉検知部によって前記窓戸の全てが閉戸状態になっていると検知されたとき、該施錠ユニットのそれぞれが有する前記窓戸施錠部によって該窓戸の全てを施錠状態とする
ことを特徴とする窓戸開閉管理システム。
【請求項2】
前記施錠ユニットのそれぞれが有する開閉検知部は、
前記施錠ユニットが対応する前記窓戸が閉戸状態に至るときに該窓戸と接触して外力を受ける外力受け部と、
前記外力受け部が前記外力を受けたとき、前記窓戸が閉戸状態にあると検知する閉戸状態検知部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項3】
前記施錠ユニットのそれぞれが有する開閉検知部は、前記外力受け部に連結された弾性部材で形成され該外力受け部によって受けられた外力に対し付勢する付勢部を、更に有し、
前記閉戸状態検知部は、前記外力受け部によって受けられ且つ前記付勢部により付勢された前記外力に基づいて、前記窓戸の閉戸状態を検知する
ことを特徴とする請求項2に記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項4】
前記外力受け部は、前記外力を受けたとき一の方向に変位し、
前記閉戸状態検知部は、前記外力受け部の前記一の方向への変位に関連する力であって、該一の方向とは一致する方向ではない所定の方向に作用する力に基づいて、前記窓戸の閉戸状態を検知する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項5】
前記一の方向は、前記窓戸の見込み方向であって、
前記所定の方向は、前記窓戸の見付け方向である
ことを特徴とする請求項4に記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項6】
前記外力受け部は、前記窓戸が閉戸状態に至るときの該窓戸の移動方向と同一の方向に回転可能なローラー部を有し、
前記窓戸が閉戸状態に至るときに該窓戸は前記ローラー部と接触して該ローラー部が回転するとともに、該ローラー部が該窓戸の移動方向とは異なる方向に押し込まれ、前記閉戸状態検知部がその押し込みを検知することで前記窓戸の閉戸状態の検知が為される
ことを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項7】
前記施錠ユニットのそれぞれは、前記窓戸施錠部によって前記窓戸が施錠状態とされたときに採られる施錠位置に変位するとともに、該窓戸施錠部による施錠状態が解除された
ときに採られる解錠位置に変位することで、該施錠ユニットが対応する窓戸が施錠状態にあるか否かを示す施錠状態表示部を、更に有し、
ユーザの手動操作によって、前記施錠位置にある前記施錠状態表示部を前記解錠位置に強制的に変位させたとき、前記窓戸施錠部による施錠状態は解除される
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項8】
前記固定窓枠には前記窓戸として室外側に位置する窓外障子と室内側に位置する窓内障子が設けられ、該窓外障子と該窓内障子とは相対的にスライド動作することで開閉状態を形成し、
前記窓外障子に対応する前記施錠ユニットは、前記固定窓枠の内部であって前記窓外障子のスライド動作と干渉しない位置に配置され、
前記窓内障子に対応する前記施錠ユニットは、前記固定窓枠の室内側表面上に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の窓戸開閉管理システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の窓戸開閉管理システムを含んで構成され、前記施錠制御部によって前記窓戸の全てが施錠状態とされた後に、前記一の固定窓枠を含んで形成される所定空間のセキュリティを管理するセキュリティシステムであって、
前記施錠制御部に対してユーザの施錠指示を入力する施錠指示入力部と、
施錠状態にある前記窓戸のいずれかにおいて、該施錠状態が解除又は該窓戸と前記固定窓枠との相対位置関係のずれを検知し、その検知結果に基づいて前記所定空間のセキュリティ状態を表示するセキュリティ状態表示部と、
前記施錠指示入力部と前記セキュリティ状態表示部とが並べて配置されるコントロール部と、
を備えることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項10】
一の固定窓枠に開閉可能に設けられた一又は複数の窓戸の開閉状態を管理する窓戸開閉管理システムにおいて、該窓戸の施錠および解錠を行う施錠ユニットであって、
前記固定窓枠側に設けられるユニット本体と、
前記ユニット本体内に設けられ、前記窓戸が閉戸状態に至るときに該窓戸と機械的に接触して外力を受け、該外力により変位する接触変位部と、
前記接触変位部と係合する係合部を有し、前記窓戸が閉戸状態ではないときには該係合部と該接触変位部とが係合し、該窓戸が閉戸状態に至ると該接触変位部の変位により該係合部と該接触変位部との係合が解消する、前記ユニット本体内に設けられた伝達部と、
前記伝達部における前記係合部と前記接触変位部との係合が解消されると、前記伝達部を、前記接触変位部の変位方向とは異なる所定方向に変位させる、前記ユニット本体内に設けられた変位駆動部と、
前記変位駆動部による前記伝達部の変位に伴って変位し、前記窓戸を前記固定窓枠に対して施錠および解錠する、前記ユニット本体内に設けられた施錠部と、
を備えることを特徴とする施錠ユニット。
【請求項11】
前記変位駆動部による前記伝達部の変位の開始を決定するスイッチ部を更に備え、
前記接触変位部は、前記窓戸からの外力により変位されるとき、該変位に従って該接触変位部と前記係合部との係合が解消されるとともに、前記スイッチ部に接触し、
前記スイッチ部は、前記接触変位部との接触により前記変位駆動部による前記伝達部の変位を許可する
ことを特徴とする請求項10に記載の施錠ユニット。
【請求項12】
前記接触変位部の変位方向は、前記窓戸の見込み方向であって、
前記伝達部の変位方向である前記所定方向は、前記窓戸の見付け方向である
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の施錠ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−223377(P2008−223377A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64808(P2007−64808)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)