説明

窓開閉装置

【課題】折畳み可能なハンドルを回転して窓障子を開閉する窓開閉装置において、外部から目立たないようにハンドルを折畳むことができ、回転操作中はハンドルが折畳まれないようにした窓開閉装置およびそれを使用した窓を提供する。
【解決手段】横長形状の装置本体1に沿って並行に折畳みできるようハンドル4を横長形状に構成する。ハンドル4は折畳み可能にソケット5に連結され、基部には係合部21が設けられている。ソケットは回転軸6に取付けられ、この回転軸の周りには、起立状態のハンドルを折畳み方向へ回動するとき上記係合部が当接するよう当接部22が形成されている。上記ハンドルが装置本体と並行する位置では、上記当接部と係合部の係合が外れるよう非当接部23が設けられている。ハンドルの回転中は係合部が当接部に当って折畳むことができない。装置本体と並行する位置では、係合部が当接部に当らないから、ハンドルを折畳むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠に吊金具で開閉自在に取り付けた窓障子を、ハンドルの回転操作により開閉できるようにした窓開閉装置に関し、特にハンドルを折畳み式にした窓開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窓枠に吊金具で開閉自在に取り付けられた窓障子の開閉装置として、ハンドルを回転し駆動機構を介して窓障子を開閉する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような窓開閉装置として、ウオーム歯車機構を用いた上記特許文献1に記載の装置は、室内側の窓枠に装置本体を取り付け、この本体に、ハンドルで駆動されるウオームと、該ウオームで駆動されるホイール歯車と、該ホイール歯車で駆動され窓障子を開閉する駆動アームを具備している。上記ウオームの回転軸は、先端が本体から突出し、この回転軸に形成されたスプラインに折畳みハンドルのソケットが接続され、折畳みハンドルを起こし、つまみを持ってハンドルを回すと、ウオーム、ホイール歯車、駆動アームを介して窓障子が開閉する。このように従来の装置は本体とハンドルが別々に設計され、ハンドルを折畳んだ状態でも本体から該ハンドルが大きく飛び出しているので、カーテンが引っかかったりして邪魔になり、また窓開閉用ハンドルであることが外部から明らかに判るので、防犯上からも好ましくない。
【0003】
さらに、折畳み式のハンドルでは、回転軸の回転中どの位置でも折畳可能であるので、折り畳んだハンドルを起こした状態で回転するとき、ハンドルが折り畳まれる方向に力が作用すると、簡単に屈曲して回転操作がむずかしくなり、ハンドルをうまく操作できなくなる。そこで、ハンドル操作中に簡単にハンドルが折り畳まれないよう折畳み防止機構を組み込んだ種々の装置が提案されている(例えば上記特許文献1、特許文献2参照)。しかし、そうような防止機構を組み込むと、折畳み部の構造が複雑になり、経済的に得られないし、ハンドル操作も面倒になる。例えば、折畳みハンドルを起こしたとき、自動的にロックが掛かり、折畳みを防止するようにした装置では、窓の開閉操作後、ハンドルを折畳むとき、ロック機構を解除するための押しボタンや切り替え摘みを操作しなければ、ハンドルを折畳むことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2929098号公報(特許請求の範囲、図2〜図24)
【特許文献2】特許第4182275号公報(特許請求の範囲、図面)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、上記のように折畳みハンドルを用いた窓開閉装置において、折畳み状態で本体からハンドルが大きく突出することがなく本体と一体化して見られ、またハンドルを起こして回転する際、起立状態に保持するためのロックボタンのようなロック機構を組み込む必要がなく、支障なくハンドル操作をできるようにした窓開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、折畳み可能にソケットに枢着されたハンドルを起立して回転軸を回転し駆動機構を介して窓障子を開閉するようにした窓開閉装置において、装置本体は横長形状に形成され、上記ハンドルは折畳み状態で該装置本体に沿って並行して収納されるよう横長形状に形成されかつ基端には係合部が設けられ、該ハンドルのソケットは装置本体から突出した回転軸の先端に取り付けられ、該回転軸の周囲の装置本体には起立状態のハンドルを折畳み方向に回動するとき上記係合部が当接するよう当接部が形成され、該当接部にはハンドルが装置本体に沿って並行する位置に存するとき上記ハンドルの係合部が当接しないよう非当接部が設けられていることを特徴とする窓開閉装置が提供され、上記課題が解決される。
【0007】
また、本発明によれば、上記係合部は図7に示す如き略山形状の突出片21(24)若しくは図9に示す如きフック状の係合突片21(31)であり、上記当接部は平坦面に形成され若しくは環状の突縁に形成され、上記ハンドルはつまみを有し、装置本体にはつまみ収納部が形成され、上記駆動機構は、上記回転軸に形成されたウオームと、該ウオームに係合するホイール歯車と、該ホイール歯車により回動する駆動アームを含んでいる上記窓開閉装置が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記のように構成され、折畳み可能にソケットに枢着されたハンドルを起立して回転軸を回転し駆動機構を介して窓障子を開閉するようにした窓開閉装置において、装置本体は横長形状に形成され、上記ハンドルは折畳み状態で該装置本体に沿って並行して収納されるよう横長形状に形成されかつ基端には係合部が設けられ、該ハンドルのソケットは装置本体から突出した回転軸の先端に取り付けられ、該回転軸の周囲の装置本体には起立状態のハンドルを折畳み方向に回動するとき上記係合部が当接するよう当接部が形成され、該当接部の一部にハンドルが装置本体に沿って並行する位置に存するとき上記ハンドルの係合部が当接しないよう非当接部を設けたので、不使用時には装置本体と並行する位置でハンドルを折畳むことができるとともに並行状態で装置本体に収納され、邪魔にならないし、体裁もよく、装置本体と一体化して見られるから、外部から見られても防犯上も安全である。
【0009】
その上、窓の開閉に際し、起立させたハンドルを回転すると、ハンドルを折畳み方向に回動しようとしても係合部が当接部に当接してハンドルの起立状態が維持されるから、回転操作中にハンドルを折畳む方向に力が作用しても、ハンドルが折畳まれるおそれはなく、安定状態で操作することができる。なお、ハンドルを360度回転するとき、装置本体と並行する位置を通過するが、連続回転しているので、この位置は一瞬で通過してしまい、不用意に折畳まれることもない。そして、上記のように不使用時には装置本体に沿って並行する位置でハンドルの回転を停止させれば、係合部が非当接部に対応するので、ハンドルを折畳むことができ、上述のようにハンドルを装置本体に沿って収納することができる。また、従来のように起立状態をロックするための特別なロック機構が不要であるので、経済的に得られ、取り扱い操作を容易である。さらに、折畳み状態でハンドルがソケットを覆うようにしたので、起立状態でのハンドルの開き角度を大きく、例えば140度にすることができ、使い易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示し、ハンドルを折畳んだ状態の斜視図。
【図2】ハンドルを起立させた状態の斜視図。
【図3】起立状態のハンドルを回転した状態の斜視図。
【図4】カバー本体を外したメカ本体の斜視図。
【図5】ソケットを外した状態の斜視図。
【図6】一部の断面図
【図7】起立状態のハンドルで回転軸を回転している状態の説明図。
【図8】起立状態からハンドルを折畳む際の説明図。
【図9】当接部の他の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施例を示す図1から図6を参照し、装置本体1は窓枠に沿って取り付けられるよう横長形状に形成され、駆動機構を内蔵するメカ本体2と該メカ本体の前面を覆うカバー本体3で構成され、実施例に示す駆動機構は、ハンドル4のソケット5が連結される回転軸6と、該回転軸により回転されるウオーム7と、該ウオームに噛み合って回転するホイール歯車8と、該ホイール歯車と一体的に形成された駆動アーム9を具備し、該駆動アームにより、窓枠に吊金具で開閉自在に取り付けられた窓障子(図示略)を開閉する。また、ホイール歯車の回転を制御して窓障子の開き位置を全開若しくは半開位置に選択するための選択レバー10を設けてある。なお、回転軸以外の駆動機構は、窓障子の種類やその開閉構造により適宜の構成にすることができる。
【0012】
上記回転軸6には、スプライン11が形成され、該スプラインにハンドル4のソケット5が嵌着され、止めねじ12で固定される。ハンドル4は、折畳み状態で上記装置本体1と略並行状態に沿うよう横長形状に形成され、内部には上記ソケット5とその側面に突設したブラケット13を覆うことができるようソケット収納部14を有し、該ブラケット13とハンドル4の側壁をハンドル軸15で枢着して折畳み可能に形成され、端部にはつまみ16が設けられている。
【0013】
上記装置本体1のカバー本体3には、回転軸6の先端を挿通させるための貫通孔17があり、折畳んだ状態の上記ハンドルを装置本体と一体化して見られるように収納するため平面部18が形成され、該平面部18に隣接して上記つまみ16を収納するつまみ収納部19が形成されている。この平面部18およびつまみ収納部19は、ハンドルを折畳んだとき、ハンドル4が装置本体1と一体化して見られるようハンドル及びつまみの形状に応じた適宜の形状に形成され、また折畳み状態から該ハンドルを引き起し易くするため、指先を少し挿入できるよう適宜のガイド凹み20がカバー本体3とハンドル4に設けられている。
【0014】
上記ハンドル軸15よりソケット5の外周面側に延びるハンドル4の基端には、係合部21が形成されている。一方、回転軸6の貫通孔17の周りのカバー本体3には、起立させた上記ハンドルを折畳み方向に回動しようとするとき、この係合部21が当接するよう当接部22が形成されている。したがって、起立状態でハンドルを回わして回転軸を回転させるとき、係合部が当接部に摺接している状態では、ハンドルは折畳み方向への動きが阻止され、ハンドルは起立位置に保持される。この当接部22は、上記貫通孔17の周りのほぼ全周に形成されているが、ハンドル4が装置本体1と略並行する位置では、上記係合部が当接しないよう非当接部23が形成されている。したがって、非当接部23に対応する位置では、ハンドル4の係合部21と当接部22の当接が外れるから、ハンドル4を折畳み方向へ動かすことができる。
【0015】
上記係合部、当接部、非当接部等は種々の形態に構成することができ、図1等に示す実施例では、上記係合部21はハンドル4の基端方向に略山形状に延びる突出片24であり、上記当接部22は平坦面25に形成され、上記非当接部23は上記突出片24の通過を許容する凹み部26に形成されている。この構成により、ハンドルを起こして回転軸の周りで回転させると、該突出片24の山形状の一方の側縁27がソケットのブラケット間の内側面に当って図7に示すようにハンドルを約140度の開き角度に保持することができる。また、この状態で矢印28方向にハンドル4を折畳もうとしても、他方の側縁29が当接部22に接し、特に突出片24の先端部が平坦面25に当るので、折畳むことはできない。したがって、ハンドル4を回転軸4を中心として円滑に回転させることができる。なお、ハンドルの回転中、装置本体と並行になる位置を通過するが、この位置は360度ハンドルを回転させるときの一瞬であるから、回転操作に支障を来たすおそれは非常に少ない。
【0016】
また、ハンドル4を折畳む際は、上記装置本体に並行する位置でハンドルの回転を停止させると、図8に示すように上記突出片24はカバー本体3に設けた凹み部26に対応するから、ハンドル4を矢印30方向に回転させても突出片の先端部が凹み部26に当らず、支障なく折畳むことができる。この折畳み状態で上記ソケット5はハンドル4のソケット収納部14に入り込み、つまみ16がつまみ収納部19内に入り込んだ状態でハンドル4は装置本体1とほぼ一体化した状態に収納され、外部から目立つように突出することはない。
【0017】
図9は係合部、当接部、非当接部の他の実施例を示し、係合部21はフック状に形成された係合突片31であり、当接部22は該係合突片31が係合するようカバー本体3の貫通孔17の周囲に起立させた環状の突縁32であり、非当接部23はハンドル4を折畳む際、係合突片31との係合が外れるよう上記環状の突縁32の一部に形成した切り欠き部33である。この構成によりハンドル4が起立状態のとき、図9実線に示すように係合突片31と環状の突縁32が係合しているので、矢印34方向に折畳むことができず、円滑に回転操作することができる。一方、図9鎖線に示すように装置本体と並行する位置にハンドルが位置すると、係合突片31は切り欠き部33に対応するから、ハンドル4を矢印35方向に折畳むことができ、ハンドルを装置本体に沿う状態に折りたたんで収納することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 装置本体
4 ハンドル
5 ソケット
6 回転軸
15 ハンドル軸
16 つまみ
21 係合部
22 当接部
23 非当接部
24 突出片
25 平坦部
26 凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳み可能にソケットに枢着されたハンドルを起立して回転軸を回転し駆動機構を介して窓障子を開閉するようにした窓開閉装置において、装置本体は横長形状に形成され、上記ハンドルは折畳み状態で該装置本体に沿って並行して収納されるよう横長形状に形成されかつ基端には係合部が設けられ、該ハンドルのソケットは装置本体から突出した回転軸の先端に取り付けられ、該回転軸の周囲の装置本体には起立状態のハンドルを折畳み方向に回動するとき上記係合部が当接するよう当接部が形成され、該当接部にはハンドルが装置本体に沿って並行する位置に存するとき上記ハンドルの係合部が当接しないよう非当接部が設けられていることを特徴とする窓開閉装置。
【請求項2】
上記係合部は、ハンドル基端よりソケット方向に略山形状に延びる突出片であり、上記当接部は該突出片が当接するよう平坦面に形成され、非当接部は上記ハンドルを折畳む際上記突出片の通過を許容するよう平坦部の一部に形成した凹み部である請求項1に記載の窓開閉装置。
【請求項3】
上記係合部は、ハンドルの基端に形成されたフック状の係合突片であり、上記当接部は該係合突片が係合するよう装置本体の平面より起立する環状の突縁であり、非当接部は上記ハンドルを折畳む際上記係合突片と突縁の係合が外れるよう突縁の一部に形成された切り欠き部である請求項1に記載の窓開閉装置。
【請求項4】
上記ハンドルは折畳み状態で上記ソケットを覆っている請求項1から請求項3のいずれかに記載の窓開閉装置。
【請求項5】
上記ハンドルはつまみを有し、装置本体にはつまみ収納部が形成されている請求項1から4のいずれかに記載の窓開閉装置。
【請求項6】
上記駆動機構は、上記回転軸に形成されたウオームと、該ウオームに係合するホイール歯車と、該ホイール歯車により回動する駆動アームを含む請求項1から5のいずれかに記載の窓開閉装置。
【請求項7】
上記請求項1から6のいずれかに記載の窓開閉装置を具備する窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−281041(P2010−281041A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133072(P2009−133072)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(501433619)中西産業株式会社 (12)