説明

立体ナプキン及びその製造方法

【課題】ナプキンの長手方向の中心線上に後方又は/及び前方端部に着用者の身体の曲面に沿って挿入される立体構造を形成する摺紙部を設けることで、着用者の健康に影響することなく、着こなしを改善でき、昼間の活動時及び就寝時に月経血が前又は後方へ洩れ出るのを防止できる立体ナプキン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、吸収層と、前記吸収層を覆うカバーからなるナプキンにおいて、前記ナプキンの後方中央部に後方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を備える後方摺紙部が形成され、前記後方摺紙部は着用のために広げた際に前記第1、2摺紙面がその共通斜辺を中心として広がりながら三角錐状に内向き突出して身体の曲面に沿って立体的に挿入されることで密着して着用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体ナプキン及びその製造方法に関し、特にナプキンの長手方向の中心線上にその後方又は/及び前方端部に向けて一定長さの立体構造を形成する摺紙部を設けることで、昼間の活動時及び就寝時に月経血が洩れ出るのを防止することができ、着用者の着こなしを改善できる立体ナプキン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、女性用ナプキンは月経血のような分泌物を吸収するためのものであって、吸収力や着用感を向上させるための材質面における改善及びユーザの着用時に要求される機能を満足させるために、多様な材質のナプキンが多様なサイズ、厚さ及び形状で開発され市販されている。
【0003】
しかしながら、このような多様な種類のナプキンが開発されているが、着用者の下着に重ね当てて用いられるという特性のため、着用前と比較して着用後のユーザのボディラインがすっきりと見えないのが現状である。これを解消するために、タンポンなどのような代替品も発売されたが、体内に挿入して着用する形となっていることから、未婚女性の場合には気軽に使い難いという問題があるほか、健康に深刻な悪影響を及ぼすという研究結果のため、使用が敬遠されている状況である。
【0004】
また、就寝時のように、着用者の臀部が底に向かう場合に、月経血が後方へ洩れ出るのを防止するための用途として、通常のものよりも長さが長く延びた形態の夜用ナプキンが市販されている。このように延びた長さの夜用ナプキンを通じて就寝時の月経血の洩れ防止効果をある程度達成できるのは事実である。しかしながら、前記従来の夜用ナプキンは長くなったサイズによる違和感のある着用感のため、昼間の活動時と区分して着用せざるを得ないという問題があった。
【0005】
更に、椅子に長時間座って仕事をする事務職女性や学生の場合、昼間の活動時でもその姿勢により月経血が後方へ洩れ出ることがあり、これを意識していれば、ともすると硬直した姿勢で長時間を過ごすことになり、仕事及び学習による疲れを増幅させるおそれがあるという問題があった。
【0006】
そのため、女性着用者の健康及びボディラインを崩すことなく、昼間の活動時及び就寝時に月経血が前又は後方へ洩れ出るのを防止できる女性用ナプキンの開発が求められてきた。
【特許文献1】実開H06−077724
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ナプキンの長手方向の中心線上に後方又は/及び前方端部に着用者の身体の曲面に沿って挿入される立体構造を形成する摺紙部を設けることで、着用者の健康に影響を及ぼすことなく、着こなしを改善でき、昼間の活動時及び就寝時に月経血が前又は後方へ洩れ出るのを防止できる立体ナプキン及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る立体ナプキンは、吸収層と、前記吸収層を覆うカバーからなるナプキンにおいて、前記ナプキンの後方中央部に後方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を備える後方摺紙部が形成され、前記後方摺紙部は着用のために広げた際に前記第1、2摺紙面がその共通斜辺を中心として広がりながら三角錐状に内向き突出して身体の曲面に沿って立体的に挿入されることで密着して着用されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記後方摺紙部の第1、2摺紙面は、ナプキンの後方端部から一定の長さだけ突出して延在形成されることを特徴とする立体ナプキンを提供する。
【0010】
また本発明は、前記第1摺紙面と第2摺紙面の共通斜辺は、着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理されることを特徴とする立体ナプキンを提供する。
【0011】
また本発明は、前記後方摺紙部はナプキンを前方部、中間部、後方部の3段に折り畳んだとき、前記後方部の開始地点からナプキンの後方端部にかけて形成されることを特徴とするナプキンを提供する。
【0012】
また、前記ナプキンの前方中央部に前方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第3、4摺紙面を備える前方摺紙部が更に形成され、前記前方摺紙部は着用のために広げた際に前記第3、4摺紙面がその共通斜辺を中心として広がりながら三角錐状に内向き突出して身体の曲面に沿って挿入されることで立体的に密着して着用されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第1摺紙面と第2摺紙面の共通斜辺及び前記第3摺紙面と第4摺紙面の共通斜辺は、着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理されることを特徴とする立体ナプキンを提供する。
【0014】
そして、本発明に係る立体ナプキンの製造方法は、吸収層とカバーからなる生地を前方及び後方部の幅が一定の通常のナプキン形状に裁断する段階と、前記裁断されたナプキン形状からなり、前方又は/及び後方中央部に端部に向かうほど上方に傾斜する三角錐状の立体構造が設けられているモールド上に前記裁断した生地を位置させる段階と、前記モールドの形状に沿って前記裁断した生地の前方又は/及び後方部位を、中心部から左右の両側端に向かう方向に力を加えて拡張させることで、前記生地の前方又は/及び後方中心部に扇形状の余裕分を設ける段階と、生地からモールドを除去する段階と、生地に形成された前記扇形状の余裕分を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し、その状態で突出した前記余裕分部位をエッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成する段階とを含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記生地を裁断する段階は、生地を前方及び後方部の幅が一定のナプキン形状に裁断し、通常長さのナプキンより後方部が長手方向に延びた形状に裁断し、前記第1、2摺紙面を形成する段階は、前記長手方向に延びた後方部を、通常長さのナプキンでその後方端部の中央部から半楕円形の突出部が延在形成されるように裁断し、前記突出部は生地の前記扇形状の余裕分に形成されるように裁断する段階を更に含むことを特徴とする立体ナプキンの製造方法を提供する。
【0016】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る立体ナプキンの製造方法は、 吸収層とカバーからなる生地上に、通常のナプキンより前方又は/及び後方部位が端部に向かうほど横方向に拡張した形状に製作された型を位置させる段階と、前記型に沿って生地を裁断することで、ナプキンの前方及び後方部が一定の幅で形成される通常のナプキンと比較してナプキンの前方又は/及び後方部に扇形状の余裕分が設けられるように生地を裁断する段階と、前記裁断された生地に設けられている扇形状の余裕分を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し、その状態で突出した前記余裕分部位をエッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成する段階と、前記第1、2摺紙面からなる前方又は/及び後方摺紙部に隣接した皺の発生部分を平坦に伸ばす段階とを含むことを特徴とする。
【0017】
更に、前記目的を達成するために、本発明に係る立体ナプキンの製造方法は、吸収層とカバーからなる生地上に、通常のナプキンより前方又は/及び後方部位が端部に向かうほど横方向に拡張し、ナプキンの後方端部の中央部から半楕円形の突出部が延在形成された形状に製作された型を位置させる段階と、前記型に沿って生地を裁断することで、ナプキンの前方及び後方部が一定の幅からなる通常のナプキンと比較してナプキンの前方又は/及び後方部に扇形状の余裕分とナプキン後方端部の中央部から半楕円形に延びた突出部が設けられるように生地を裁断する段階と、前記裁断された生地に設けられている扇形状の余裕分と突出部を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し、その状態で前記エッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成する段階と、前記第1、2摺紙面からなる前方又は/及び後方摺紙部に隣接した皺の発生部分を平坦に伸ばす段階とを含むことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記第1、2摺紙面を形成する段階は、中心部に形成されたエッジをナプキンの着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理する過程を更に含むことを特徴とする立体ナプキンの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の立体ナプキンによれば、前方又は/及び後方摺紙部が形成する立体構造によって、ナプキンが着用者の身体の対応屈曲面、即ち、股座に沿って自然に挿入されて密着するので、昼間の活動時及び就寝時に着用者の姿勢に関係なく、股座に沿って流れる月経血の洩れ防止作用において優れた作用効果を達成できるという効果を奏する。また、左・右臀部の間の谷に該当する屈曲が自然に表出されるので、着用者の健康に影響を及ぼさずに、生理中でない時と同様にすっきりとしたボディラインに見せることができ、三角錐状の立体構造が股座に挿入されて股座とナプキンが自然に噛み合う構造となるので、ナプキンの固定効果まで得ることができる。
【0020】
本発明の立体ナプキンの製造方法によれば、ナプキンの前方又は/及び後方中心部に股座の屈曲に沿って挿入密着される立体構造を形成する摺紙部を容易に製造できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態についてより具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体ナプキンを示す。
図1(a)に示すように、本発明の第1実施形態に係る立体ナプキンは、吸収層とカバーからなる一般的な形態のナプキン20において、ナプキンの後方R中央部に後方摺紙部100が形成されている構造からなる。また、具体的に前記後方摺紙部100は、ナプキンの後方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面101、102を備える。
【0023】
このとき、前記第1、2摺紙面は、図1(c)に示すように、着用のために広げたとき、第1摺紙面101と第2摺紙面102の境界面に該当する共通斜辺103を中心として左・右側に広がりながら三角錐状にナプキンの内側に突出して股座(股間)の後方部に沿って挿入されることで、身体に立体的に密着するように構成される。ここで、股座とは、特に左右臀部の筋肉の間の凹んだ谷部分を指す用語として用いた。
【0024】
一方、前記第1実施形態において、第1摺紙面101と第2摺紙面102の共通斜辺103は、ユーザの股座に更に密着せしめるために、上方に緩やかにラウンド処理されることができる。このように、三角形状の第1、2摺紙面101、102の共通斜辺103がラウンド処理された場合の例を図1(b)に示す。
【0025】
前述した第1実施形態において、後方摺紙部100及び後方摺紙部100を構成する三角形状の第1、2摺紙面101、102の共通斜辺103は、着用者の体型別に多様な長さ及び多様な傾斜度と屈曲度を有するように製作され得る。
【0026】
例えば、前記後方摺紙部100は、ナプキンを長手方向に前方部、中間部、後方部の3段に折り畳んだとき、後方部の開始地点から後方端部にかけて形成される構造で形成され得る。また、前記後方摺紙部100をナプキンの中間部の中央から後方端部にかけて形成される構造で構成することも可能である。
【0027】
図2は、本発明の第2実施形態に係る立体ナプキンの構成を示す。
図2(a)に示すように、本発明の第2実施形態に係る立体ナプキンは、前記第1実施形態に係る立体ナプキンの構成において後方摺紙部200の第1、2摺紙面201、202がナプキンの後方端部から一定の長さだけ突出して延在形成されている構成からなる。
【0028】
このように、ナプキンの後方側に延びて突出形成された第1、2摺紙面201、202は、図2(c)に示すように、着用のために広げたとき、第1摺紙面201と第2摺紙面202の境界面に該当する共通斜辺203を中心として左・右側に広がりながら三角錐状にナプキンの内側に隆起されて股座の後方部に沿って挿入されることで、身体に立体的に密着すると同時に、その延びた後方部の第1、2摺紙面201、202が股座の後方部側に更に延びて密着することで、股座に沿って月経血が臀部側に洩れ出るおそれを更に減少させることができるという特徴がある。
【0029】
前記第2実施形態においても、第1摺紙面201と第2摺紙面202の共通斜辺203は、ユーザの股座の屈曲に沿ってより密着して挿入されるようにするために、上方に緩やかにラウンド処理されることができる。このように、第1、2摺紙面201、202の共通斜辺203がラウンド処理された場合の例を図2(b)に示す。
【0030】
図3は、本発明の第3実施形態に係る立体ナプキンの構成を示す。
図3(a)に示すように、本発明の第3実施形態に係る立体ナプキンは、吸収層とカバーからなる一般的な形態のナプキンにおいて、ナプキン20の後方R中央部に後方摺紙部100が形成された構成に加えて、ナプキン20の前方F中央部に前傍摺紙部300が形成されている構造からなる。第1実施形態と同様に、前記後方摺紙部100はナプキンの後方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面101、102を備える。また、前記前方摺紙部300は、ナプキンの前方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第3、4摺紙面301、302を備える。
【0031】
図3(c)に示すように、本発明の第3実施形態に係る立体ナプキンを着用のために広げたとき、後方摺紙部100の第1、2摺紙面は、第1摺紙面101と第2摺紙面102の境界面に該当する共通斜辺103を中心として左・右側に広がりながら三角錐状にナプキンの内側に突出して股座の後方部に沿って挿入されることで、身体の曲面に沿って立体的に密着するように構成され、前方摺紙部300の第3、4摺紙面は、第3摺紙面301と第4摺紙面302の境界面に該当する共通斜辺303を中心として左・右側に広がりながら三角錐状にナプキンの内側に突出して股座の前方部に沿って挿入されることで、身体の曲面に沿って立体的に密着するように構成される。
【0032】
一方、第3実施形態においても、第1摺紙面101と第2摺紙面102の共通斜辺103及び第3摺紙面301と第4摺紙面302の共通斜辺303は、ユーザの股座の屈曲に沿って更に密着する構造で形成するために、上方に緩やかにラウンド処理されることができる。第1、2摺紙面101、102の共通斜辺103と、第3、4摺紙面301、302の共通斜辺303がラウンド処理された場合の実施形態を図3(b)に示す。
【0033】
また、前記第3実施形態において、前・後方摺紙部300、100及び前記前・後方摺紙部300、100を構成する三角形状の第3、4摺紙面301、302と第1、2摺紙面101、102の共通斜辺303、103は、着用者の体型別に多様な長さ及び多様な傾斜角度と屈曲度を有してもよいことはもちろんである。更に、後方摺紙部100の第1、2摺紙面101、102を前記第2実施形態と同様に、ナプキンの後方端部から一定の長さだけ突出させて延在形成することも可能であり、必要に応じては、前方摺紙部300の第3、4摺紙面301、302をナプキンの前方端部から一定の長さだけ突出させて延在形成することも可能である。
【0034】
図4には、本発明の第1実施形態に係る立体ナプキンの側面図(図4(a))及び着用状態の背面図(図4(b))を示す。図4を参照して本発明に係る立体ナプキンの作用効果について説明する。
【0035】
図示のように、本発明の立体ナプキンの着用時に後方摺紙部100は、ユーザの股座に向けて(+z軸方向)挿入される三角錐の立体構造を形成して股座の長さ方向(±y軸方向)に沿って挿入密着することで、股座に沿って流れる月経血が前記後方摺紙部の第1、2摺紙面101、102に直ぐ吸収されて月経血の微細な洩れまで防止できるようになる。
【0036】
また、本発明の後方摺紙部100は、後述する製造方法に関する第1〜4実施形態と同様の方法で製造されるため、着用時に三角錐状に内向きに隆起されて股座の後方部の曲面構造に沿って皺が生じないように自然に挿入されて密着する構造となる。即ち、後方摺紙部が形成する立体構造は、身体の曲面の形状に対応して隆起される構造であって、着用時に内側ナプキン面の前記隆起された構造は股座の後方部に自然に挿入されて密着するため、外側のナプキン面を通じて身体の屈曲が自然に表出され得る。従って、着用者がズボンなどを履いたときに違和感がなく、生理中でない時と同様にすっきりとしたボディラインに見せることができる。また、後傍摺紙部のなす三角錐状の立体構造は股座に挿入されることで、股座と自然に噛み合う構造となるので、ナプキンの固定機能も共に行う。
【0037】
以上、第1実施形態の構成に係る作用効果を説明したが、第2実施形態及び第3実施形態に係る立体ナプキンの構成によっても着用者の着こなしの改善と、前・後方の股座に沿って流れる月経血の洩れ防止及びナプキンの固定効果が得られることは自明であるので、具体的な説明は省略する。
【0038】
特に、第2実施形態で説明したように、ナプキンの後方部に臀部側へ延びて密着し得る後方摺紙部を具備させた場合、着こなしには影響を及ぼさずに、股座に沿って臀部側に月経血が洩れ出るおそれをより一層減少させることができる。また、第1〜第3実施形態において、着用者の身体の屈曲した谷部分に挿入される部位に該当する共通斜辺103、203、303の構造がラウンド処理される場合には、身体の曲面により密接、かつ、適合するように挿入されることができ、着用したとき、ナプキンの外側の側面からも挿入されて密着した斜辺部分103、203、303のラウンドした陰刻形状が現れるので、ズボンなどの衣類を着たとき、ナプキンが衣類の形状(曲線)により圧迫されて身体に作用し得る圧迫感などを軽減させることができ、衣類に似た曲線を形成してボディラインを更によく見せるという作用効果が得られる。
【0039】
図5〜図8は、本発明に係る立体ナプキンの製造過程を例示的に示す図である。前記図は、後方摺紙部を形成する過程と関連するものであるが、これと同様の方法が前方摺紙部にも適用され得るので、以下では前方摺紙部が追加された場合においても前記図を参照して説明する。
【0040】
本発明に係る立体ナプキンの製造方法は、ナプキンの前方又は/及び後方に摺紙部を形成し得る余裕分が備えられた生地を用意する過程と、前記余裕分で摺紙部を形成する過程とに大別される。
【0041】
まず、本発明の立体ナプキンの製造方法に関する第1実施形態では、ナプキンの前方又は/及び後方中央部に摺紙部を形成し得る余裕分が備えられた生地を加工するために、通常のナプキン形状からなり、前方又は/及び後方中央部に端部に向かうほど上方に傾斜する三角錐状の立体構造が設けられているモールドを用いる。
【0042】
即ち、立体ナプキンの製造方法に関する第1実施形態によれば、まず吸収層とカバーからなる生地をナプキンの前方及び後方部が一定の幅からなる通常のナプキン形状20に裁断した後(図5(a))、前方又は/及び後方中央部に端部に向かうほど上方に傾斜する三角錐状の立体構造が備えられた前記モールド上に前記裁断された生地を位置させる。
【0043】
次に、前記モールドの形状に沿って生地の前方又は/及び後方部を中心部から左右の両側端に向けて力を加えて拡張させる方式によって、生地の前方又は/及び後方に扇形状の余裕分105を形成する(図5(b))。即ち、プレスなど機械を用いてモールド上の三角錐状の立体構造に沿って生地の前方又は/及び後方中央部を拡張させることで、生地の前方又は/及び後方に立体摺紙部を形成する扇形状の余裕分105を形成する。このとき、三角錐状の立体構造が形成されたモールド上に前記モールドと同じ形状の陰刻モールドを圧力を加えて押す方式によって生地の前方又は/及び後方に扇形状の余裕分を設けることも可能である。
【0044】
その後、生地からモールドを除去した後、前記扇形状の余裕分105を左右両方向からナプキンの前方又は/及び後方の中心部方向に力を加えて上方に隆起させながら圧着させて中央にエッジ103を形成する(図5(c))。この状態で突出した前記余裕分部位105をエッジ103を基準に左側と右側のナプキン平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面101、102を形成することで(図5(d))、立体ナプキンの前方又は/及び後方摺紙部を形成する。
【0045】
前述した第1実施形態の場合、三角錐の母線部分がナプキンの着用時に対向する身体の曲線に沿って上方に緩やかにラウンドされた形状のモールドを用いてナプキンの前方又は/及び後方摺紙部を形成すれば、後述するラウンド処理過程を別途に行う必要がなくなる。
【0046】
また、図6に示す第2実施形態と同様に、ナプキンの前方又は/及び後方中央部に摺紙部を形成し得る余裕分を設けるために、通常のナプキンより前方又は/及び後方部位が端部に向かうほど広くなる形状の紙型のような型(pattern)などを用いることも可能である。
【0047】
即ち、図6に示すように、第2実施形態では吸収層とカバーからなる生地上に型を位置させ、前記型に沿って生地を裁断することで、ナプキンの前方及び後方部が一定の幅からなる通常のナプキンと比較するとき、ナプキンの前方又は/及び後方部に扇形状の余裕分105が設けられるようにする(図6(a))。その他、裁断された生地に設けられている扇形状の余裕分を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し(図6(b))、その状態で突出した前記余裕分部位をエッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成(図6(c))する過程は、第1実施形態と同様である。
【0048】
但し、前記第2実施形態では前記第1、2摺紙面からなる前方又は/及び後方摺紙部を形成する工程を経た後、前記前方又は/及び後方摺紙部の開始地点を基準に左側と右側の扇形状領域にかけてB方向に力を加えて拡張させることで、前記前方又は/及び後方摺紙部に隣接した皺の発生部分Aを平坦に伸ばす段階(図6(d)、図6(e))を更に備える。このような工程を通じて、前方又は/及び後方摺紙部を三角錐状に内向きに突出させたとき、前方又は/及び後方摺紙部の開始地点部分が身体の曲線に沿って密着せずに皺が生じるのを防止できるようになる。
【0049】
また、前記第1、2実施形態において、第1、2摺紙面を形成する段階では前方又は/及び後方中心部に形成されたエッジ103をナプキンの着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理する過程が更に備えられ得る。
【0050】
一方、ナプキンの後方摺紙部が延びて突出形成された本発明の立体ナプキンの製造方法に関する第3、4実施形態を図7及び図8にそれぞれ示す。即ち、立体ナプキンの製造方法に関する第3実施形態は第1実施形態と同様に、モールドを用いてナプキンの前方又は/及び後方中央部に摺紙部を形成する工程を備え、第4実施形態は第2実施形態と同様に、型を用いて摺紙部を形成する工程を備える。
【0051】
図7に示すように、本発明の立体ナプキンの製造方法に関する第3実施形態は、生地の裁断段階で通常長さのナプキンより後方部が長手方向に延びた形状30となるように裁断する(図7(a))。その他、モールド上に裁断した生地を位置させ、モールドの形状に沿って裁断した生地の前方又は/及び後方部位を中心部から左右の両側端に向かう方向に力を加えて拡張させることで、生地の前方又は/及び後方中心部に扇形状の余裕分205を形成する段階(図7(b))及び生地からモールドを除去する段階は第1実施形態と同様である。
【0052】
但し、前記第3実施形態では、裁断された生地が通常長さのナプキンより後方部が長手方向へ延びた形状となっているため、モールドも前記裁断されたナプキンの形状に対応する形状となっており、前方又は/後方中央部に端部に向かうほど上方に傾斜する三角錐状の立体構造を備え、延びた後方部の長さだけその後方部の立体構造も延びて形成された構造からなる。これにより、生地の後方中心部に形成された扇形状の余裕分も延びた後方部の長さに比例して後方部が延びた形状205となる。
【0053】
次の段階として、ナプキンの前方又は/及び後方部に第1、2摺紙面を形成する段階では、ナプキン後方部の延びた部分を用いてナプキンを通常長さのナプキンでその後方端部の中央部から半楕円形の突出部206が延在形成された形状となるように裁断する段階を更に備える。このとき、前記半楕円形の突出部206は生地の扇形状の余裕分205に位置する(図7(c))。その他、扇形状の余裕分205と突出部206の中心部にエッジ203を形成し(図7(d))、前記エッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、三角形状の第1、2摺紙面201、202を形成する過程(図7(e))は、第1実施形態と同様である。
【0054】
前記実施形態では扇形状の余裕分で楕円形突出部206を裁断した後、その中心部にエッジ203を形成し、第1、2摺紙面201、202を形成する順に工程を記述したが、選択的に前記楕円形突出部の裁断過程を第1、2摺紙面201、202の形成後に行われるようにすることも可能である。
【0055】
一方、図8に示すように、本発明の立体ナプキンの製造方法に関する第4実施形態は、型(pattern)を用いて扇形状の余裕分を設ける方式を採用し、前記型は通常のナプキンより前方又は/及び後方部位が端部に向かうほど横方向に拡張し、ナプキンの後方端部の中央部から半楕円形の突出部が延在形成された形状からなる。
【0056】
前記型に沿って生地を裁断することで、ナプキン30の前方又は/及び後方部に扇形状の余裕分205と、ナプキン後方端部の中央部から半楕円形に延びた突出部206を形成する(図8(a))。その他、扇形状の余裕分205と突出部206の中心部にエッジ203を形成し(図8(b))、前記エッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、三角形状の第1、2摺紙面201、202を形成する過程(図8(c))及び前記第1、2摺紙面201、202からなる前方又は/及び後方摺紙部の開始地点を基準に左側と右側の扇形状領域にかけてB方向に力を加えて拡張させることで、前記前方又は/及び後方摺紙部に隣接した皺の発生部分Aの皺を除去する段階(図8(d)、図8(e))は、第2実施形態と同様である。
【0057】
前記第3、4実施形態でのような立体ナプキンの製造方法を通じて、ナプキンの後方部に着用者の臀部側に延びて密着し得る立体構造を設けることで、着こなしには影響を及ぼさずに、ユーザの後方の股座に沿って臀部側に月経血が洩れ出るおそれをより一層減少させることができる。
【0058】
前述した立体ナプキンの製造方法に関する第1〜4実施形態では、立体ナプキンの前方又は/及び後方中央部に摺紙部を形成するために、モールドや紙型などを用いる方式を採用しているが、ナプキンの前方又は/及び後方に摺紙部のための余裕分を形成できる構成であれば、前記方式に限定されない。
【0059】
このように、ナプキンの前方又は/及び後方部に余裕分を設ける過程は、通常、余裕分が形成される部位が綿又は綿混紡などのように形態の変形が可能な生地からなる場合に適用され得る。しかしながら、前記材質に限定されず、ナプキンの前方又は/及び後方部に余裕分を設け、これを用いて摺紙部を形成できる生地であれば、特に制約なしに適用され得る。また、本発明では、前記余裕分で立体構造を形成する摺紙部を構成しているため、立体ナプキンの摺紙部の形成部位に皺が生じることなく、全体的に平らな形状に製作され得、着用時にも身体の対向面に凹凸のない全体的に緩やかな曲線形を形成できるようになる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)及び(b)は本発明の第1実施形態に係る立体ナプキンを示す図、(c)は前記第1実施形態に係る立体ナプキンの摺紙部が着用時に隆起される時の構造を示す図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の第2実施形態に係る立体ナプキンを示す図、(c)は前記第2実施形態に係る立体ナプキンの摺紙部が着用時に隆起される時の構造を示す図である。
【図3】(a)及び(b)は本発明の第3実施形態に係る立体ナプキンを示す図、(c)は前記第3実施形態に係る立体ナプキンの摺紙部が着用時に隆起される時の構造を示す図である。
【図4】(a)は本発明の第1実施形態に係る立体ナプキンの側面図、(b)は前記第1実施形態に係る立体ナプキンの着用状態の背面図である。
【図5】(a) ないし(d)は本発明の第1実施形態に係る立体ナプキンの製造過程を概略的に示す図である。
【図6】(a) ないし(d)は本発明の第2実施形態に係る立体ナプキンの製造過程を示す図である。
【図7】(a) ないし(e)は本発明の第3実施形態に係る立体ナプキンの製造過程を示す図である。
【図8】(a) ないし(e)は本発明の第4実施形態に係る立体ナプキンの製造過程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収層と、前記吸収層を覆うカバーからなるナプキンにおいて、
前記ナプキンの後方中央部に後方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を備える後方摺紙部が形成され、前記後方摺紙部は着用のために広げた際に前記第1、2摺紙面がその共通斜辺を中心として広がりながら三角錐状に内向き突出して身体の曲面に沿って立体的に挿入されることで密着して着用されることを特徴とする立体ナプキン。
【請求項2】
前記後方摺紙部の第1、2摺紙面は、ナプキンの後方端部から一定の長さだけ突出して延在形成されることを特徴とする請求項1に記載の立体ナプキン。
【請求項3】
前記第1摺紙面と第2摺紙面の共通斜辺は、着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理されることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体ナプキン。
【請求項4】
前記後方摺紙部はナプキンを前方部、中間部、後方部の3段に折り畳んだとき、前記後方部の開始地点からナプキンの後方端部にかけて形成されることを特徴とする請求項3に記載の立体ナプキン。
【請求項5】
前記ナプキンの前方中央部に前方端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第3、4摺紙面を備える前方摺紙部が更に形成され、前記前方摺紙部は着用のために広げた際に前記第3、4摺紙面がその共通斜辺を中心として広がりながら三角錐状に内向き突出して身体の曲面に沿って挿入されることで立体的に密着して着用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体ナプキン。
【請求項6】
前記第1摺紙面と第2摺紙面の共通斜辺及び前記第3摺紙面と第4摺紙面の共通斜辺は、着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理されることを特徴とする請求項5に記載の立体ナプキン。
【請求項7】
吸収層とカバーからなる生地を前方及び後方部の幅が一定の通常のナプキン形状に裁断する段階と、
前記裁断されたナプキン形状からなり、前方又は/及び後方中央部に端部に向かうほど上方に傾斜する三角錐状の立体構造が設けられているモールド上に前記裁断した生地を位置させる段階と、
前記モールドの形状に沿って前記裁断した生地の前方又は/及び後方部位を、中心部から左右の両側端に向かう方向に力を加えて拡張させることで、前記生地の前方又は/及び後方中心部に扇形状の余裕分を設ける段階と、
生地からモールドを除去する段階と、
生地に形成された前記扇形状の余裕分を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し、その状態で突出した前記余裕分部位をエッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成する段階と
を含むことを特徴とする立体ナプキンの製造方法。
【請求項8】
前記生地を裁断する段階は、生地を前方及び後方部の幅が一定のナプキン形状に裁断し、通常長さのナプキンより後方部が長手方向に延びた形状に裁断し、
前記第1、2摺紙面を形成する段階は、前記長手方向に延びた後方部を、通常長さのナプキンでその後方端部の中央部から半楕円形の突出部が延在形成されるように裁断し、前記突出部は生地の前記扇形状の余裕分に形成されるように裁断する段階を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の立体ナプキンの製造方法。
【請求項9】
吸収層とカバーからなる生地上に、通常のナプキンより前方又は/及び後方部位が端部に向かうほど横方向に拡張した形状に製作された型を位置させる段階と、
前記型に沿って生地を裁断することで、ナプキンの前方及び後方部が一定の幅で形成される通常のナプキンと比較してナプキンの前方又は/及び後方部に扇形状の余裕分が設けられるように生地を裁断する段階と、
前記裁断された生地に設けられている扇形状の余裕分を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し、その状態で突出した前記余裕分部位をエッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成する段階と、
前記第1、2摺紙面からなる前方又は/及び後方摺紙部に隣接した皺の発生部分を平坦に伸ばす段階と
を含むことを特徴とする立体ナプキンの製造方法。
【請求項10】
吸収層とカバーからなる生地上に、通常のナプキンより前方又は/及び後方部位が端部に向かうほど横方向に拡張し、ナプキンの後方端部の中央部から半楕円形の突出部が延在形成された形状に製作された型を位置させる段階と、
前記型に沿って生地を裁断することで、ナプキンの前方及び後方部が一定の幅からなる通常のナプキンと比較してナプキンの前方又は/及び後方部に扇形状の余裕分とナプキン後方端部の中央部から半楕円形に延びた突出部が設けられるように生地を裁断する段階と、
前記裁断された生地に設けられている扇形状の余裕分と突出部を左右両方向から中心部方向に力を加えて上方に突出させながら圧着させて中心部にエッジを形成し、その状態で前記エッジを基準に左側と右側の水平面に対して押すことにより、ナプキンの前方又は/及び後方部位に端部に向かうほど上方に傾斜する三角形状の第1、2摺紙面を形成する段階と、
前記第1、2摺紙面からなる前方又は/及び後方摺紙部に隣接した皺の発生部分を平坦に伸ばす段階と
を含むことを特徴とする立体ナプキンの製造方法。
【請求項11】
前記第1、2摺紙面を形成する段階は、中心部に形成されたエッジをナプキンの着用時に対向する身体の曲線に沿って上方にラウンド処理する過程を更に含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の立体ナプキンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−511161(P2009−511161A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535462(P2008−535462)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004136
【国際公開番号】WO2007/043836
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508110146)
【Fターム(参考)】