説明

立体画像消失評価用試験パターン、立体画像クロストーク評価方法及びコンピュータ記憶装置

【課題】立体画像の左右クロストークを評価する。
【解決手段】試験パターンは、左目画像中の複数校正チップと対応し、第1偏光、白又は第1カラーを有する右目画像中の第1ストリップと、右目画像中の複数校正チップと対応し、第1偏光と直交な第2偏光、黒又は第1カラーの反対色の第2カラーを有する左目画像中の第2ストリップとを具え、左目及び右目画像を重ねたとき、一方の画像のストリップが他方の画像の校正チップと重なるように配置される。一方の目を交互に遮蔽しつつ重ねられた画像を他方の目で観測すると、クロストークがある場合、遮蔽された目の画像のストリップの一部が、見えている目の画像の複数校正チップを横切って現れる。遮蔽された目の画像のストリップの一部と最も合致する見えている目の画像の校正チップを特定し、その対応する消失比の値を左右クロストークと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像試験装置に関し、特に、左右(L/R)クロストーク評価のための立体画像消失評価用試験パターン及び立体画像クロストーク評価等の技術に関する。
【0002】
3次元(3D)の立体映像及び3D映画の問題の1つに、左右の目の画像のクロストークがある。3D映像及び映画は、2つの独立した画像が必要で、1つは左目で見るためのものであり、もう1つは右目で見るためのものである。2つの画像を一緒に見ると、視聴者には3次元の立体画像が見える。一方の目が何らかの手段で3D画像から遮断されると、見えている目に提供される画像だけが見えることとなる。しかし、左右のクロストークは、いつもある程度は存在し、この場合、左目が遮蔽されているときに、ある量の左目画像が右目に見えるし、その逆も同様で、これによって「ゴースト」が見える。遮蔽技術は、各目がその目のために意図した画像だけを見るようにするために使われるが、ゴーストは、遮蔽技術で他方の目のための画像が充分に減衰しないときに生じる。3次元立体画像の技術毎にクロストークの程度は異なるが、この問題が完全にないものは存在しない。現在のいくつかの技術について、以下に記述する。
【0003】
「アクティブ・シャッター」方式は、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、プロジェクタ/スクリーン・ディスプレイなどのような表示装置上に時分割で左右の画像を表示し、アクティブ・シャッター眼鏡を視聴者がかけるものである。画像更新レートは、60〜120Hzより高く、人の目のフリッカー融合周波数(flicker fusion frequency:フリッカーを人が感じなくなる周波数)より充分に高くし、ラージ・エリア・フリッカー(large area flicker)が生じない値にする。アクティブ・シャッター眼鏡は、表示装置と同期し、左目用のシャッターがアクティブのときは、表示装置上に左目画像だけが現れるようにし、右目についても同様に動作する。言い換えると、左目には左目画像だけが見え、右目には右目画像だけが見えるというように、各目には適当な画像だけが見える。アクティブ・シャッター眼鏡は、完全ではないものの、光を良く遮断するので、この技術は、左右分離が最良であり、ゴーストや左右クロストークも最小である。最新のテレビ装置の多くが、既にこの機能を備えている。しかし、アクティブ・シャッター眼鏡はかさばり、コンタクト・レンズならいいとしても、度付き眼鏡を既にかけている視聴者には問題である。この点は、映画館における短時間の使用であれば許容できるかもしれないが、自宅のリビング・ルームで個人的にテレビを見たり、映画を見るには許容できないかもしれない。
【0004】
別の技術としては、パッシブ(passive:受動の)眼鏡を用いた偏光技術によるものがある。この方法では、映像又は表示された光の画像が、2つの直交偏光画像を1つに合成したものである。最近の方法では、時計方向及び半時計方向にそれぞれ円偏光された左目画像及び右目画像が同時に表示される。過去には、+45度及び−45度に直線偏光するものも使われて来たが、共通要素は、偏光が互いに直交なことである。しかし、円偏光技術は、プロジェクタ・スクリーンにおいて優れた特性を示し、クロストークが視聴者の頭の傾きに依存しない。現在では、マイクロ偏光LCDラップトップ及びデスクトップ・パネル・ディスプレイが入手可能となっており、これは、ライン毎に円偏光の回転の向きを変えてある。また、映画館では、偏光を保持する専用映写スクリーンを用いて、互いに反対方向に円偏光した左右画像を重ねている。どちらの場合も、アクティブ・シャッター眼鏡よりはかさばらないパッシブ眼鏡が用いられるが、各レンズは回転方向が互いに反対の円偏光子である。こうした偏光レンズは完全ではなく、専用映写スクリーンも完全ではないので、ある程度の左目画像が右目に漏れ、その逆も同様なので、ゴースト又はクロストークが生じる。
【0005】
3番目のアナグリフ技術は、カラー・フィルタのパッシブ眼鏡を使用する。この方法では、表示装置からの光の画像が左右の画像を含み、これらは重なっているが、別々の色になっており、一方の画像は、他方の画像に対して補色となっている。アナグリフ眼鏡は、各目のレンズについて反対色のフィルタを有しており、これらは一方の色は通過させるが、他方の色は遮断する。これは、例えば、映画「コララインとボタンの魔女(原題:Coraline)」のDVD(デジタル・ビデオ・ディスク)の3D版ように、マゼンタと緑の組合せもあるが、多くは赤とシアンの組合せである。アナグリフ眼鏡は大変安く、そして、現行のテレビ、プロジェクタといった2次元(2D)カラー表示装置を用いることができる。これは、上述した偏光方式やアクティブ・シャッター方式に比較した大きな利点である。しかし、アナグリフ眼鏡は、カラーの映像/映画に適したものではなく、各目のフィルタにおけるクロストークは、もっと多くなってしまう。このため、ゴーストに関しては更に悪化してしまう。
【0006】
3次元映像を表示する更に別の技法又は技術は、眼鏡をまったく必要としないもので、これは一般に「裸眼立体方式(auto-stereoscopic)」と呼ばれる。いくつかの方法が存在するが、もっとも一般的なのはパララックス・バリア方式に基づくもので、これは画素の前に置かれた画素遮蔽板で右目映像用画素が左目には見えないように遮蔽するとともに、その逆も同様とするものである(詳しくは、http://en.wikipedia.org/wiki/Autostereoscopy#Parallax_barrierを参照、又は「3次元ディスプレイ」をWikipedia(日本語版)で検索)。こうした表示では、視聴者が眼鏡をかける必要はないが、多くの場合、表示装置からの距離と角度的な位置という2つの観点から視聴可能な位置(範囲)に制限がある。最適な視聴範囲の中心から視聴者が動いた場合に起こる主要なひずみは、上述の如く、クロストークである。実際、利用可能な視聴範囲の限界は、クロストークの観点から特定され、視聴範囲の中央領域ではクロストークが5%、視聴範囲を広めにとった場合でクロストークが15%などというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「3次元ディスプレイ」、[online]、Wikipedia(日本語版)[平成23年11月24日検索]インターネット(URL: http://ja.wikipedia.org/wiki/3%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
偏光方式及びアナグリフ方式における左右両眼間のクロストーク又は立体画像消失比は、いつくかの要因によって定まる。それらは、眼鏡の品質(偏光子又は帯域通過カラー・フィルタ)や、プロジェクタでの表示においてはスクリーン(表示画面)が偏光を保持する能力又は正しく色比測定されるよう維持される能力である。映画館の表示では、偏光クロストークは、視聴角度やスクリーンの均一性/品質によっても変わる。米国の映画テレビ技術者協会(SMPTE)の会議で議論されているように、左右クロストークは1%未満が望ましいが、3D映画館の多くでは実現できていない。
【0009】
こうしたことから、上述した現在の技術での利用に適した3次元立体表示における左右クロストークを評価するためのシンプルな試験パターンが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明を第1の観点から述べれば、それは左右クロストークによる3次元立体画像の消失を評価するための試験パターンであって、第1特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する左目画像と、第2特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域とを有する右目画像とを具え、上記左目画像及び上記右目画像を重ねたときに、上記左目画像の上記基準領域が上記右目画像の上記校正領域の上に重なり、その逆も同様となるように、上記基準領域及び上記校正領域を配置することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2観点は、第1観点の試験パターンにおいて、上記第1特性が、第1偏光、白及び特定の第1カラーの中から選択されたもので、上記第2特性が、上記第1偏光と直交な第2偏光、黒及び上記特定第1カラーと反対色の特定第2カラーの中から選択されたものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3観点は、第2観点の試験パターンにおいて、上記第1偏光を+45度線形偏光又は時計回り円偏光から選択し、上記第2偏光を−45度線形偏光又は反時計回り円偏光から選択することを特徴としている。
【0013】
本発明の第4観点は、第2観点の試験パターンにおいて、上記特定第1カラーが赤、マゼンタとこれらのネガの中から選択され、上記特定第2カラーが緑、シアンとこれらのネガの中から選択されることを特徴とする。
【0014】
本発明の第5観点は、第1観点の試験パターンにおいて、上記左目画像及び上記右目画像の上記校正チップが上記第1及び第2特性を特定の比率で有していることを特徴とする。
【0015】
本発明の第6観点は、第5観点の試験パターンにおいて、上記第1特性が第1偏光、白及び特定第1カラーの中から選択され、上記第2特性が上記第1偏光と直交な第2偏光、黒及び上記特定第1カラーの反対色の特定第2カラーの中から選択されることを特徴とする。
【0016】
本発明の第7観点は、第6観点の試験パターンにおいて、上記第1偏光を+45度線形偏光又は時計回り円偏光から選択し、上記第2偏光を−45度線形偏光又は反時計回り円偏光から選択することを特徴としている。
【0017】
本発明の第8観点は、第6観点の試験パターンにおいて、上記特定第1カラーが赤、マゼンタとこれらのネガから選択され、上記特定第2カラーが緑、シアンとこれらのネガから選択されることを特徴とする。
【0018】
本発明の第9観点は、立体画像中の左右クロストークを評価する方法であって、
立体画像を生成するために表示画面上の左目画像及び右目画像を重ねるステップであって、左目画像及び右目画像は、試験パターンを対比するための鏡像となっており、上記試験パターンは、上記左目画像中の第1特性を有する基準領域が上記右目画像中の校正領域を形成する複数の校正チップの第1グループの上に重なり、上記第1特性と対比される上記右目画像中の第2特性を有する基準領域が上記左目画像中の校正領域を形成する複数の校正チップの第2グループの上に重なり、複数の上記校正チップのそれぞれは上記第1及び第2特性を異なる比率で有すると共に対応する消失比が隣接して表示されることを特徴とする上記左目画像及び上記右目画像を重ねるステップと、
評価者が重ねられた画像を一方の目を閉ざして観測し、次に他方の目を閉ざして観測し、左目を閉ざしたときに上記左目画像の上記基準領域の一部が上記右目画像の上記校正領域上に見えるかどうか判断し、右目を閉ざしたときに上記右目画像の上記基準領域の一部が上記左目画像の上記校正領域上に見えるかどうか判断するステップと、
上記他方の目を閉ざしたときに、上記左目画像及び上記右目画像の一方の上記基準領域の上記一部に最も合致する上記左目及び右目画像の他方の上記校正チップに隣接して表示される上記消失比の値を上記消失比として判断するステップと、
を具えている。
【0019】
本発明の第10観点は、左右クロストークによる3D立体画像消失を評価するための試験パターンを記憶するコンピュータ記憶装置であって、このとき、上記試験パターンが、
第1特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する左目画像と、
第2特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する右目画像とを具え、
上記左目画像及び上記右目画像を重ねたときに、上記左目画像の上記基準領域が上記右目画像の上記校正領域の上に重なり、その逆も同様であるように、上記基準領域と上記校正領域が配置されることを特徴としている。
【0020】
本発明の第11観点は、第10観点のコンピュータ記憶装置において、上記第1特性が第1偏光、白及び特定第1カラーの中から選択され、上記第2特性が上記第1偏光と直交な第2偏光、黒及び上記特定第1カラーの反対色の特定第2カラーの中から選択されることを特徴とする。
【0021】
本発明の第12観点は、第11観点のコンピュータ記憶装置において、上記第1偏光を+45度線形偏光又は時計回り円偏光から選択し、上記第2偏光を−45度線形偏光又は反時計回り円偏光から選択することを特徴としている。
【0022】
本発明の第13観点は、第11観点のコンピュータ記憶装置において、上記特定第1カラーが赤、マゼンタとこれらのネガの中から選択され、上記特定第2カラーが緑、シアンとこれらのネガの中から選択されることを特徴とする。
【0023】
本発明の第14観点は、第10観点のコンピュータ記憶装置において、上記左目画像及び上記右目画像の校正チップが上記第1及び第2特性を特定の比率で有していることを特徴とする。
【0024】
本発明の第15観点は、第14観点のコンピュータ記憶装置において、上記第1特性が第1偏光、白及び特定第1カラーの中から選択され、上記第2特性が上記第1偏光と直交な第2偏光、黒及び上記特定第1カラーの反対色の特定第2カラーの中から選択されることを特徴とする。
【0025】
本発明の第16観点は、第15観点のコンピュータ記憶装置において、上記第1偏光を+45度線形偏光又は時計回り円偏光から選択し、上記第2偏光を−45度線形偏光又は反時計回り円偏光から選択することを特徴としている。
【0026】
本発明の第17観点は、第15観点のコンピュータ記憶装置において、上記特定第1カラーが赤、マゼンタとこれらのネガの中から選択され、上記特定第2カラーが緑、シアンとこれらのネガの中から選択されることを特徴とする。
【0027】
本発明の目的、効果及び他の新規な点は、以下の詳細な説明を添付の特許請求の範囲及び図面とともに読むことによって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1a】図1aは、3次元立体画像の左右クロストークを評価するための本発明による左目用試験パターン画像を示す図である。
【図1b】図1bは、3次元立体画像の左右クロストークを評価するための本発明による右目用試験パターン画像を示す図である。
【図2】図2は、右目を閉ざして、図1a及び図1bに示す試験パターンを組み合わせて見たときの本発明による説明図である。
【図3】図3は、パッシブ・アナグリフ眼鏡なしで、2色組み合わせの試験パターンを重ねたときにどのように見えるかを示す本発明による説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1a及び図1bは、左目画像10及び右目画像20をそれぞれ示す。この図面においては、グレー・スケールを用いている。各画像には、1つ以上の左右消失比(L/R extinction ratio)パターン18及び26があり、各パターンには基準ストリップ(strip:細長い帯状パターン)として100%ホワイト(白)のストリップ12及び22や、領域が隣接する複数の連続グレー・スケール・チップ(chip:小片パターン)14a、14b、14c、24a、24b、24cがあり、これらは校正ストリップ又は校正領域を形成する。基準ストリップと校正ストリップの組合せで、左右消失比パターンが形成される。チップ14及び24のそれぞれは、暗い色(dark)から明るい色(light)まで、校正された異なる白/黒(輝度)比を有している。左右画像10及び20が重ねられると、左画像のホワイト・ストリップ12が、右画像の連続する複数チップ24の上に重なり、同様に、右画像のホワイト・ストリップ22が、左画像の連続する複数チップ14の上に重なる。立体画像の消失が完全にゼロ(3D消失比がゼロ)になるのは、合成した画像を左目で見たときに図1aの画像10(左目画像)が見えて、合成した画像を右目で見たときに図1bの画像20(右目画像)が見える場合である。
【0030】
しかし、一般的に多いのは、視聴者/評価者の右目を閉じたときに、図2に示すような若干劣化した画像10’が見られる場合である。これは、図1aの左目画像10と、ほとんど同じように見える。しかし、ぼんやりしたストリップ22’が複数チップ14を横切っているのが見られ、これは右目画像20が左目画像10に漏れている(リークしている)ということ、つまり、クロストークである。複数のチップ14のそれぞれは、クロストーク(消失比)値16で校正されており、これら値は過去の実験(経験)に基づいて定めても良い。この例では、最も暗い校正チップ14aから最も明るい校正チップ14cまで、0.5%から2%までの範囲となっている。リーク・ストライプ22’とグレー・スケールに関して最も合致する校正チップ14が、左右クロストーク比を示す。視聴者/評価者が、両目を交互に閉ざす(目を閉じたり、遮蔽手段で目を遮蔽する)と、リーク・ストライプ22’が校正チップ14の上に重なることで、各目で独立に、画像リーク又はゴースト画像に関し、最も近いチップ値16と視覚的に比較できる。このようにして、各目に関する消失比をうまく評価できる。図2では、右上のパターン16は消失比が約1%であることを示す一方、右下のパターンは消失比が約2%であることを示している。
【0031】
もっと高い分解能で消失比又は画像リークを定量化するために、もっと多数の校正チップ14及び24を用いても良い。表示領域の位置によって3Dの消失が均一でない場合では、左消失比パターン18及び右消失比パターン26を画面上で上述とは異なる位置に配置するようにしても良い。左右消失比パターン18及び26は、その他の重ね合わせ(registration:複数画像の正確な重ね合わせのための)パターンと一緒に用いてもよく、これにより、左右の重なり及び3D奥行き不一致(depth disparity)に加えて、消失比を1つの組合せパターンで評価できるようになる。特別な例では、例えば、表示領域の4つのコーナー(角)に4つの左右消失比パターン18及び26があり、中央部分は左右重ね合わせ評価パターン及び3D奥行き不一致評価パターン(図示せず)で利用できる。この利用可能領域は、スタジオ映像カラー・バー・ラインアップ・パターンにおける「Pluge(Picture line-up generation equipment)信号」のようなコントラスト及び黒レベル調整パターンとして一般に利用されているものにも利用できる。なお、「Pluge信号」については、例えば、インターネット上の「http://www.poynton.com/PDFs/Brightness_and_Contrast.pdf」や「http://en.wikipedia.org/wiki/Picture_line-up_generation_equipment」(Wikipedia英語版)に詳しい。実際、左右パターン18及び26を用いてクロストーク・レベルを最も良い精度で得るには、標準的な手段で表示ガンマ及び黒レベルを名目値に調整しておくのが望ましい。また、静止画及び動画の両方について、アクティブ・シャッター、つまり、時間的に多重化された左及び右の立体表示について読み取った消失比が正しいことを確認するために、左右パターン18及び26を動かすように又はアニメーションにしても良い。
【0032】
図3は、左右合成又は重ね合わせ画像30を示し、これは、4つのコーナー(角)に左右のパターン32及び32’があり、中央領域34は他の評価パターン(左右重ね合わせ評価パターン、3D奥行き不一致評価パターン、モーション(motion)評価パターンなど)のために確保してある。図に示すように、左右パターン32及び32’のそれぞれには、ある1色からなるカラー・ストリップ36及び36’(=基準ストリップ又は基準領域)があり、別の色の隣接する複数の校正チップ38及び38’(=校正ストリップ又は校正領域)に対して重ねられており、各校正チップは2つの色の比が異なっている。適切なアナグリフ眼鏡で見ると3次元立体カラー画像が現れるが、一方の目で(又は他方の目を閉ざした状態で)見たときに、顕著なクロストークもいくらか見られ、このクロストークは、リーク・ストリップによって定まり、反対色の校正チップ38及び38’に対して現れる。色の組合せは、赤/緑、赤/シアン、マゼンタ/緑、などや、これらのネガ(negative:補色又は反対色)になるものとしても良い。
【0033】
図示する都合上、基準領域及び校正領域はストリップ(帯状パターン)として示しているが、これら領域は、重ねた時に、基準領域の1つの画像が校正領域の他の画像の上に重なり、これによって、一方の目の画像から他の目の画像へのリークを比較できる、つまり、一方の画像(閉じた目の画像)からのリーク領域が観察されている画像(開いた目の画像)の校正領域の上に重なるような望ましい構成であれば、どのような構成としても良い。立体画像を構成する1対の画像のそれぞれは、偏光方向や色など、互いに反対(色の場合なら互いに反対色、偏光方向なら互いに直交)の特性を有している。白黒画像については、反対色、つまり、反対特性は、黒に対する白である。なお、反対色とは、色相関(color circle)において正反対の色となる補色も含むが、補色よりもやや広い範囲の色まで含むものを意味している。
【0034】
このように、左右クロストークによる3次元(3D)立体の消失の評価においては、左目画像及び右目画像の両方について対応する位置に1つ以上の左パターン及び右パターンを有する立体画像が表示される。左右パターンには、一方の偏光方向/色/白のストリップのような基準領域があり、また、複数の校正チップが校正領域を形成している。この校正領域は、例えば、1つのストリップ中に隣接して連続する複数の校正チップがあって、これらは一方の偏光方向/色/白に対して、他方の直交な偏光方向/色/黒に対する比率が異なっている。左目画像及び右目画像について左右パターンは、互いに背中合わせであり、重ねた時に、一方の画像の基準領域のそれぞれは、他方の画像の複数の校正チップの対応するそれぞれの上に重なる。評価者が、必要なら適切な3D眼鏡を使い、一方の目を閉ざし、それから他方の目で重なった画像を見て、その観察している目で見て、閉ざした目の画像からのリーク領域と、どの校正チップが最も合致するかを観察する。その最も合致した校正チップに関するパーセントの値が、消失比となる。
【0035】
このように、本発明は、左右クロストークによる3次元(3D)立体画像の消失を評価するための左右パターンを提供する。この評価では、1つ以上の左パターン及び右パターンを有する左目画像及び右目画像が重ねられるが、各パターンには基準領域と校正領域がある。この校正領域には、複数の連続する校正チップがあって、各校正チップは異なる消失比を表し、消失比の値が校正チップと共に表示される。左目画像及び右目画像を重ねたとき、一方の画像の基準領域は、他方の画像の校正領域の上に重ねられ、その逆も同様にされる。
【符号の説明】
【0036】
10 左目画像
12 左ストリップ
14 左校正チップ
16 クロストーク(3D消失比)値
18 左消失比パターン
20 右目画像
22 右ストリップ
22’リーク・ストリップ
24 右校正チップ
26 右消失比パターン
28 クロストークが現れた右消失比パターン
30 左右重ね合わせ画像
32 左パターン
32’右パターン
34 中央領域
36 左カラー・ストリップ
36’右カラー・ストリップ
38 左校正チップ
38’右校正チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右クロストークによる3次元立体画像の消失を評価するための試験パターンであって、
第1特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する左目画像と、
第2特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する右目画像と
を具え、
上記左目画像及び上記右目画像を重ねたときに、上記左目画像の上記基準領域が上記右目画像の上記校正領域の上に重なり、その逆も同様となるように、上記基準領域及び上記校正領域を配置することを特徴とする立体画像消失評価用試験パターン。
【請求項2】
立体画像中の左右クロストークを評価する方法であって、
立体画像を生成するために表示画面上の左目画像及び右目画像を重ねるステップであって、上記左目画像及び上記右目画像は、試験パターンを対比するための鏡像となっており、上記試験パターンは、上記左目画像中の第1特性を有する基準領域が上記右目画像中の校正領域を形成する複数の校正チップの第1グループの上に重なり、上記第1特性と対比される上記右目画像中の第2特性を有する基準領域が上記左目画像中の校正領域を形成する複数の校正チップの第2グループの上に重なり、複数の上記校正チップのそれぞれは上記第1及び第2特性を異なる比率で有すると共に対応する消失比が隣接して表示されることを特徴とする上記左目画像及び上記右目画像を重ねるステップと、
評価者が重ねられた画像を一方の目を閉ざして観測し、次に他方の目を閉ざして観測し、左目を閉ざしたときに上記左目画像の上記基準領域の一部が上記右目画像の上記校正領域上に見えるかどうか判断し、右目を閉ざしたときに上記右目画像の上記基準領域の一部が上記左目画像の上記校正領域上に見えるかどうか判断するステップと、
上記他方の目を閉ざしたときに、上記左目画像及び上記右目画像の一方の上記基準領域の上記一部に最も合致する上記左目画像及び上記右目画像の他方の上記校正チップに隣接して表示される上記消失比を上記消失比の値として判断するステップと、
を具える立体画像クロストーク評価方法。
【請求項3】
左右クロストークによる立体画像消失を評価するための試験パターンを記憶するコンピュータ記憶装置であって、
上記試験パターンが、
第1特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する左目画像と、
第2特性の基準領域及び異なる消失比を表す複数の校正チップで形成される校正領域を有する右目画像とを具え、
上記左目画像及び上記右目画像を重ねたときに、上記左目画像の上記基準領域が上記右目画像の上記校正領域の上に重なり、その逆も同様であるように、上記基準領域と上記校正領域が配置されることを特徴とするコンピュータ記憶装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−120169(P2012−120169A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258879(P2011−258879)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】