説明

立体画像表示装置

【課題】簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくする。
【解決手段】右眼用画像データRI(n)を1フレーム期間遅延させて遅延右眼用画像データRI(n−1)として出力する遅延部10と、右眼用画像データRI(n)と左眼用画像データLI(n)との差に基づいて右眼用画像強調データRE(n)を出力するデータ強調部20aと、左眼用画像データLI(n)と遅延右眼用画像データRI(n−1)との差に基づいて左眼用画像強調データLE(n)を出力するデータ強調部20bと、右眼用画像強調データRE(n)と左眼用画像強調データLE(n)とを入力してフレームメモリ31に保持し、所定の周波数に基づいて時分割して出力する時分割出力部30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左眼用および右眼用の画像データを時分割で出力して立体表示を行う立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶等の表示素子の応答遅れによるゴースト(クロストーク)の改善を目的とした立体画像表示装置が知られている。
【0003】
例えば、最新フィールドの入力画像データと直前に表示されていたフィールドの画像データの階調値とを比較し、最新フィールドの画像表示用の階調電圧として、直前のフィールドから次に表示すべき最新フィールドへの階調変化を強調した階調電圧を作成して液晶表示パネルに与える。そして、階調変化に対する液晶の応答速度を加速し、応答の遅れを補償するための階調値の変換テーブルを所定のメモリ内に予め準備しておき、フレームメモリの後段に設けた演算器により、現在の液晶の表示状態から次に表示すべき階調に変化させるために最適な階調電圧を作成するようにした先行技術が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、立体画像表示装置に関する背景技術ではないが、液晶表示装置における応答速度の遅延に基づく残像を防止するため、映像データを時間軸方向に強調するフィルタ(時間軸強調回路)を用いた先行技術も公開されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−157775号公報
【特許文献2】特開2006−337448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特許文献1の立体画像表示装置では、観察者の左眼で視認させるための左眼用画像データと観察者の右眼で視認させるための右眼用画像データをフレーム単位で記憶するフレームメモリの後段に設けた演算器により、左眼用画像データと右眼用画像データの最適な階調電圧を作成している。そのため、階調電圧を作成する際、左眼用画像データと右眼用画像データの両方を演算することになり、メモリ容量やメモリの入出力端子数が多くなる。これにより、メモリとの間のデータ転送のスループットが増加し、メモリ数や配線面積が増えるので、装置が複雑化/大型化し、製造コストの増加を招くという課題があった。
【0007】
また、左眼用画像データと右眼用画像データとを交互に切り替えて表示する場合、画像データのフレームレートが高くなっているので、高スループットとなるだけでなく、演算器の動作速度が速くなり、装置負荷が大きくなるという課題もあった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る立体画像表示装置の第1の特徴は、立体映像を表示するための右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の画像データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、前記第1の強調データと、前記第2の強調データとを記憶して、前記第1の強調データと、前記第2の強調データを所定のフレームレートで時分割して出力する時分割出力部と、を有することにある。
【0010】
本発明に係る立体画像表示装置の第2の特徴は、立体映像を表示するための右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の画像データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、前記第1の強調データと、前記一方の画像データと、前記第2の強調データと、前記他方の画像データとを記憶、前記第1の強調データと、前記一方の画像データと、前記第2の強調データと、前記他方の画像データの順序で、所定のフレームレートにより時分割して出力する時分割出力部とを有することにある。
【0011】
本発明に係る立体画像表示装置の第3の特徴は、立体映像を表示するための右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の画像データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、前記一方の画像データと、前記他方の画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを前記第1の強調係数より強調ゲインの小さい第2の強調係数により強調して第3の強調データとして出力する第3のデータ強調部と、前記他方の画像データと、前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを前記第2の強調係数より強調ゲインの小さい第4の強調係数により強調して第4の強調データとして出力する第4のデータ強調部と、前記第1の強調データと、前記第3の強調データと、前記第2の強調データと、前記第4の強調データとを記憶し、前記第1の強調データと、前記第3の強調データと、前記第2の強調データと、前記第4の強調データの順序で、所定のフレームレートで時分割して出力する時分割出力部と、を有することにある。
【0012】
本発明に係る立体画像表示装置の第4の特徴は、前記左眼用画像データおよび前記右眼用画像データのフレームレートが第1の所定値以下の場合に、第2の所定値以上のフレームレートに変換して前記遅延部、前記第1および第2のデータ強調部に出力するフレームレート変換部を、更に有することにある。
【0013】
本発明に係る立体画像表示装置の第5の特徴は、右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の入力データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の入力データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、前記一方の画像データと、前記他方の画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データと前記他方の画像データとのうち同一フレームに基づいて時系列順で先に表示される画像データを第5の強調係数により強調して第5の強調データとして出力する第5のデータ強調部と、前記第1の強調データと、前記第2の強調データと、前記第5の強調データとを記憶し、前記第1の強調データと前記第2の強調データのうち時系列順で先に表示される一方の強調データ、他方の強調データ、前記第5の強調データ、前記他方の強調データの順序で、時分割して出力することにより、所定の周波数以上に変換して出力する時分割出力部と、を有することにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の立体画像表示装置によれば、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る立体画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る立体画像表示装置に備えられたデータ強調部の具体的な構成例を示す図である。
【図3】左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例によるメモリのスループットを示した図である。
【図4】本発明の実施例1に係る立体画像表示装置におけるメモリのスループットを示した図である。
【図5】本発明の実施例2に係る立体画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例2に係る立体画像表示装置が備える時分割出力部による応答特性を説明した図である。
【図7】左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例によるメモリのスループットを示した図である。
【図8】本発明の実施例2に係る立体画像表示装置によるメモリのスループットを示す図である。
【図9】本発明の実施例3に係る立体画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例3に係る立体画像表示装置が備える時分割出力部による応答特性を説明した図である。
【図11】本発明の実施例4に係る立体画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施例5に係る立体画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施例5に係る立体画像表示装置が備える時分割出力部70における時分割処理後の状態を示す図である。
【図14】左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例によるメモリのスループットを示した図である。
【図15】本発明の実施例5に係る立体画像表示装置による時分割出力部にてフレームメモリからプルダウン処理しながら時分割で読み出す場合のメモリのスループットを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る立体画像表示装置の実施例1〜5について説明する。
【0017】
<実施例1>
本発明の実施例1では、60(フレーム/秒)で入力される左眼用画像データと右眼用画像データとに基づいて、最終的な時系列出力順が左眼用画像、右眼用画像の順で時分割処理をして120(フレーム/秒)の立体画像として出力する立体画像表示装置を例に挙げて説明する。なお、左眼用画像データは観察者の左眼で視認させるための画像データであり、右眼用画像データは観察者の右眼で視認させるための画像データである。
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1の構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1は、遅延部10と、データ強調部20aと、データ強調部20bと、時分割出力部30と、を有する。
【0020】
遅延部10は、注目フレームnの右眼用画像データRI(n)を1フレーム期間遅延させて、遅延右眼用画像データRI(n−1)として出力するものである。なお、ここでは、注目フレームのフレーム番号を、n(nは自然数。)とし、注目フレームから1フレーム期間遅延されたフレーム番号を、(n−1)で表すものとする。
【0021】
データ強調部20aは、注目フレームnの右眼用画像データRI(n)と、注目フレームnの左眼用画像データLI(n)との差に基づいて右眼用画像データRI(n)を強調して、右眼用画像強調データRE(n)として出力するものである。
【0022】
データ強調部20bは、遅延部10によって1フレーム期間遅延された遅延右眼用画像データRI(n−1)と、注目フレームの左眼用画像データLI(n)との差に基づいて左眼用画像データLI(n)を強調して、左眼用画像強調データLE(n)として出力するものである。
【0023】
時分割出力部30は、データ強調部20aから強調されて出力された右眼用画像強調データRE(n)と、データ強調部20bから強調されて出力された左眼用画像強調データLE(n)とを入力して保持し、所定の周波数、すなわち右眼用画像データRI(n)と左眼用画像データLI(n)の入力周波数60(フレーム/秒)の2倍速レートにあたる120(フレーム/秒)に基づいて、時系列順に時分割して出力するものである。
【0024】
ここで、立体画像表示装置1に入力されるデータは、左眼用画像データLI(n)と右眼用画像データRI(n)との2つであり、それぞれ同期関係にある。そして、例えば、立体(3D)表示対応のBD(Blu-ray Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)から読み出されたり、デジタル放送により受信されて、この立体画像表示装置に並列に入力される。なお、nは、自然数であり、左眼用画像データLI(n)と右眼用画像データRI(n)のフレーム番号を示している。
【0025】
また、この立体画像表示装置1の画像は、左眼用画像データLI(n)や、右眼用画像データRI(n)の切り替わりに同期するので、観察者は、120(フレーム/秒)で動作する液晶シャッタ付きの3Dメガネや、偏光フィルタ付きの3Dメガネを装着して左右の映像を見ることで、立体画像として視認することができる。
【0026】
次に、図1に示した本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1の動作について説明する。
【0027】
まず、立体画像表示装置1に、n番目の立体表示用の左眼用画像データLI(n)と右眼用画像データRI(n)の2つのデータが入力されると、左眼用画像データLI(n)と、右眼用画像データRI(n)とは、そのままデータ強調部20aに入力する。
【0028】
一方、右眼用画像データRI(n)のみが遅延部10に入力されて、遅延部10により、1フレーム期間分遅延される。そのため、このタイミングでは、遅延部10からは、1フレーム前、すなわち(n−1)番目の右眼用画像データRI(n−1)が出力される。その結果、データ強調部20bには、左眼用画像データLI(n)と、1フレーム期間分遅延された遅延右眼用画像データRI(n−1)とが入力される。
【0029】
データ強調部20aは、後述するように、右眼用画像データRI(n)と、左眼用画像データLI(n)との差に基づいて、右眼用画像データRI(n)を強調して、右眼用画像強調データRE(n)として、時分割出力部30に出力する。
【0030】
データ強調部20bは、後述するように、左眼用画像データLI(n)と、遅延部10により1フレーム期間分遅延された遅延右眼用画像データRI(n−1)との差に基づいて、左眼用画像データLI(n)を強調して、左眼用画像強調データLE(n)として、時分割出力部30に出力する。
【0031】
図2は、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1に備えられたデータ強調部20bの具体的な構成例を示す図である。なお、データ強調部20a,20bの構成は、後述する強調係数を除き同一の構成を有するので、ここでは、代表して、遅延右眼用画像データRI(n−1)が入力されるデータ強調部20bの構成を説明する。
【0032】
図2において、データ強調部20bは、減算器21bと、強調係数乗算器22bと、加算器23bとを有し、下記の(数式1)を用いて、左眼用画像強調データLE(n)を算出する。
【0033】
LE(n)=LI(n)+K2(LI(n)−RI(n−1))・・・(数式1)
具体的には、データ強調部20bは、現在フレームの左眼用画像データLI(n)と、遅延部10からの1フレーム分だけ遅延された遅延右眼用画像データRI(n−1)とが入力されると、まず減算器21bが左眼用画像データLI(n)から遅延右眼用画像データRI(n−1)を減算し、その減算結果(LI(n)−RI(n−1))を、強調係数乗算器22bへ出力する。
【0034】
強調係数乗算器22bは、減算器21bからの減算結果(LI(n)−RI(n−1))に、強調係数K2を乗じて、その乗算結果K2(LI(n)−RI(n−1))を、加算器23bに出力する。
【0035】
加算器23bは、入力される左眼用画像データLI(n)と、乗算結果K2(LI(n)−RI(n−1))とを加算して、左眼用画像強調データLE(n)を得る。
【0036】
そして、左眼用画像強調データLE(n)が、データ強調部20bから出力され、時分割出力部30に入力される。
【0037】
また、図示はしないが、データ強調部20aも、図2と同様に、下記の(数式2)を用いて、右眼用画像強調データRE(n)を算出する。
【0038】
RE(n)=RI(n)+K1(RI(n)−LI(n))・・・(数式2)
具体的には、データ強調部20aに、右側画像データRI(n)と、左眼用画像データLI(n)とが入力されると、右側画像データRI(n)と、左眼用画像データLI(n)との差に基づいて、強調係数K1により右側画像データRI(n)が強調されることにより、右眼用画像強調データRE(n)が、データ強調部20bから出力され、時分割出力部30に出力される。
【0039】
なお、データ強調部20a,20bは、液晶応答の補償等をするものであるから、それぞれの強調係数K1,K2は、使用される液晶の応答特性によって、計算または実験に基づいて最適な値に設定する。また、液晶の応答特性は、データレベルや,周囲温度等に依存することが知られており、強調係数K1,K2をこれらデータレベルや周囲温度等に応じて適応的に調整する機能を備えることも有効である。ここでは、データ強調部20a,20bの具体的な強調係数K1,K2については特に限定せず、同じ値でも、異なる値でもどちらでもよい。
【0040】
そして、時分割出力部30は、データ強調部20a,20bから出力される右眼用画像強調データRE(n)、RE(n+1)、RE(n+2)、・・・・および左眼用画像強調データLE(n)、LE(n+1)、LE(n+2)、・・・が入力されてフレームメモリ31に一時記憶し、それぞれの入力画像データの周波数である60(フレーム/秒)の2倍のフレームレート(2倍速レート)にあたる120(フレーム/秒)により、LE(n)、RE(n)、LE(n+1)、RE(n+1)、LE(n+2)、RE(n+2)、・・・の時系列順に、時間軸強調処理がなされた画像データを交互に読み出すことで、立体表示を行う。
【0041】
次に、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1によるメモリのスループットの改善効果について説明する。
【0042】
図3は、比較のため、左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例によるメモリのスループットを示した図であり、図4は、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1におけるメモリのスループットを示した図である。
【0043】
従来例では、左眼用画像データと右眼用画像データとを時分割処理した後に時間軸強調処理を行うが、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1によれば、予め右眼用画像データRI(n)、左眼用画像データLI(n)それぞれについて時間軸強調処理を施してから時分割処理を行う。
【0044】
なお、計算に当たって、画像フォーマットは、HDTV標準の水平1920画素×1080画素、フレームレートは入力側が60(フレーム/秒)、時分割処理後には120(フレーム/秒)、データビット長は8(bit)、RGBの3(ch)として計算する。なお、この画像フォーマットの条件は、後述の他の実施例でも同様である。
【0045】
図3(従来例の場合)と、図4(実施例1の場合)とで、フレームレート同士を比較すると明らかとなるが、従来例の場合、時分割処理の後段に遅延部およびデータ強調部が設けられるので、遅延部への書き込みおよび遅延部からの読み出しのフレームレートがそれぞれ120(フレーム/秒)となり、スループットがそれぞれ5972(Mbit/秒)となる。これに対し、本発明の実施例1の構成の場合、図1に示すように、時分割処理の前段に遅延部10およびデータ強調部20a,20bが設けられているので、遅延部へ10への書き込みおよび遅延部10からの読み出しのフレームレートがそれぞれ60(フレーム/秒)、スループットがそれぞれ2986(Mbit/秒)と、従来例に比較して半分となる。
【0046】
その結果、図3(従来例の場合)と、図4(実施例1の場合)とで、スループットの合計値で比較すると、従来例の場合、図3に示すように、23888(Mbit/秒)になるのに対し、本発明の実施例1の場合、図4に示すように、20902(Mbit/秒)となって、改善していることがわかる。
【0047】
従って、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1によれば、右眼用画像データRI(n)を1フレーム期間遅延させて遅延右眼用画像データRI(n−1)として出力する遅延部10と、右眼用画像データRI(n)と左眼用画像データLI(n)との差に基づいて右眼用画像データRI(n)を強調して右眼用画像強調データRE(n)として出力するデータ強調部20aと、左眼用画像データLI(n)と遅延部10によって1フレーム期間遅延された遅延右眼用画像データRI(n−1)との差に基づいて左眼用画像データLI(n)を強調して左眼用画像強調データLE(n)として出力するデータ強調部20bと、右眼用画像強調データRE(n)と、左眼用画像強調データLE(n)とをフレームメモリ31に保持し、所定の周波数である120(フレーム/秒)に基づいて時系列順に時分割して出力する時分割出力部30とを有するので、液晶の応答特性の遅れ等を補償するための時間軸強調処理を時分割処理前に行うことになり、時分割処理後に時間軸強調処理を行う場合と比べ、遅延部やフレームメモリの入出力端子数が少なくて済み、遅延部やフレームメモリとの間のデータ転送のスループットも低く抑えられ、配線面積も少なく抑えることができるので、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる。
【0048】
その結果、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1によれば、製造コストを抑え、しかもデータ処理の装置負担も小さく抑えた上で、液晶表示装置に代表される応答速度が遅い表示装置を用いた際の右眼用画像データと左眼用画像データとの間のクロストークを低減することができる。
【0049】
なお、本発明の実施例1では、注目フレームnの左眼用画像データLI(n)を強調した左眼用画像強調データLE(n)と、注目フレームnの右眼用画像データRI(n)を強調した右眼用画像強調データRE(n)とをフレームメモリに書き込み、これらを交互に順に読み出すことで、最終的な時系列出力順を左眼用画像、右眼用画像の順で立体画像として表示する立体画像表示装置1を例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0050】
例えば、注目フレームnの右眼用画像データRI(n)を強調した右眼用画像強調データRE(n)と、注目フレームnの左眼用画像データLI(n)を強調した左眼用画像強調データLE(n)とをフレームメモリに書き込み、これらを交互に順に読み出すことで、時系列出力順を右眼用画像、左眼用画像の順序で立体画像として表示するようにしてもよい。このことは、後述する他の実施例2〜5でも同様である。
【0051】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2について説明する。
【0052】
本発明の実施例2では、60(フレーム/秒)で入力される左眼用画像データと右眼用画像データとに基づいて、最終的な時系列出力順が左眼用画像、右眼用画像の順で時分割処理して240(フレーム/秒)の立体画像として出力する立体画像表示装置を例に挙げて説明する。
【0053】
図5は、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2の構成例を示すブロック図である。
【0054】
図5に示すように、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2は、遅延部10と、データ強調部20aと、データ強調部20bと、時分割出力部40とを有する。なお、図1に示した本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1と同一の構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
時分割出力部40は、データ強調部20aから強調されて出力された右眼用画像強調データRE(n)と、データ強調部20bから強調されて出力された左眼用画像強調データLE(n)と、データ強調部20aにより強調される前の右眼用画像データRI(n)と、データ強調部20bにより強調される前の左眼用画像データLI(n)とが入力され、それらの画像データを保持し、所定の周波数である240(フレーム/秒)に基づいて、時分割して出力するように構成されている。
【0056】
つまり、本発明の実施例1では、時間軸強調処理後の左眼用画像強調データと、右眼用画像強調データとを2倍速レートである120(フレーム/秒)により交互に切り替えて時系列順に出力したのに対し、本発明の実施例2では、左眼用画像データと右眼用画像データのそれぞれ時間軸強調処理を行う前後のデータを4倍速レートである240(フレーム/秒)で時分割、すなわち左眼用画像強調データLE(n)、左眼用画像データLI(n)、右眼用画像強調データRE(n)、右眼用画像データRI(n)の順序で時分割して表示するように変更したものである。
【0057】
ここで、本発明の実施例2において、240(フレーム/秒)の4倍速レートで時分割処理する理由について簡単に説明しておく。
【0058】
例えば、TFT液晶等の液晶表示装置のようなホールド型表示装置の場合、画像データのTFT液晶への書き込み走査は、ライン順に行われ、TFT液晶に書き込まれた画像データは、次の画像データの書き込みが行われるまで表示し続ける。つまり、シャッタ眼鏡を単純に左眼と右眼とで交互に開口したのでは、右眼用と左眼用の画像が混在する領域(クロストーク)が生じる。この問題を解決するためには、TFT液晶への書き込み走査を可能な限り短時間とし、次のフレームの画像データの書き込みまでのホールド期間(垂直ブランキング期間に等しい)をとり、このホールド期間のタイミングに合わせてシャッタ眼鏡を開口する。
【0059】
しかし、この方法を用いて、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1において、液晶応答の補償を行う場合、強調された画像も1フレーム期間保持することになるので、結果的に、本来の目標とする画像表示が安定している期間の確保については考慮されていないこととなる。
【0060】
そこで、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2が備える時分割出力部40では、時分割処理を、(1)時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)、(2)時間軸強調処理がされていない左眼用画像データLI(n)、(3)時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データRE(n)、(4)時間軸強調処理がされていない右眼用画像データRI(n)の順序で時分割して繰り替えし出力して表示する。よって、液晶応答の補償のために時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)および右眼用画像強調データRE(n)を、左眼用右の画像データと右眼用の画像データの切り替わり時だけに出力する一方、その後に時間軸強調処理がされていない左眼用画像データLI(n)および右眼用画像データRI(n)を出力することにより、安定期間を設けることが可能となり、それぞれ時間軸強調処理がされていない左眼用画像データと右眼用画像データのクロストークの更なる改善が可能となる。
【0061】
図6は、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2が備える時分割出力部40による液晶の応答特性を説明した図である。
【0062】
図6に示すように、時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)の出力後に、時間軸強調処理がされていない左眼用画像データLI(n)を出力することにより、左眼用画像データLI(n)の出力期間中が安定期間となると共に、時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データRE(n)の出力後に、時間軸強調処理がされていない右眼用画像データRI(n)を出力することにより、右眼用画像データRI(n)の出力期間中が安定期間となり、クロストークの更なる改善が可能となる。
【0063】
次に、本発明の実施例1である立体画像表示装置1と同様に、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2によるメモリのスループットについて、時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例と比較して説明する。
【0064】
図7は、左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例による240(フレーム/秒)表示でのメモリのスループットを示し、図8は、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2による240(フレーム/秒)表示でのメモリのスループットを示す図である。
【0065】
ここで、従来例によるメモリのスループットの計算においては、フレームメモリへの書き込みは左眼用画像データと右眼用画像データの2種類、すなわち左右それぞれ1画面とし、フレームメモリからの読み出しは4倍速レートで左眼用画像データを2回、右眼用画像データを2回連続で読み出す動作として算出している。図7に示すように、スループット合計値で比較すると、左眼用画像データと右眼用画像データとを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例による240(フレーム/秒)表示の場合、左眼用画像データLI(n)および右眼用画像データRI(n)のフレームメモリへの書き込みが60(フレーム/秒)の場合、スループットが2986(Mbit/秒)となり、フレームメモリからの読み出しが4倍速レートにあたる240(フレーム/秒)で11944(Mbit/秒)で、遅延部への書き込みおよび遅延部からの読み出しも240(フレーム/秒)で11944(Mbit/秒)になるので、合計41804(Mbit/秒)となる。
【0066】
これに対し、図8に示すように、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2によれば、フレームメモリ41への左眼用画像強調データLE(n)、左眼用画像データLI(n)、右眼用画像強調データRE(n)および右眼用画像データRI(n)それぞれの書き込みが60(フレーム/秒)の場合、それぞれスループットが2986(Mbit/秒)となり、フレームメモリ41からの読み出しが4倍速レートにあたる240(フレーム/秒)で5972(Mbit/秒)になり、遅延部10への書き込みおよび遅延部10からの読み出しも60(フレーム/秒)で2986(Mbit/秒)になるので、合計29860(Mbit/秒)となる。
【0067】
このように、左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例による240(フレーム/秒)表示の場合、メモリのスループット合計値が41804(Mbit/秒)となるのに対し、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2の場合、メモリのスループット合計値が29860(Mbit/秒)となり、改善していることがわかる。
【0068】
従って、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2によれば、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1と同様に、液晶の応答特性の遅れ等を補償するための時間軸強調処理を時分割処理前に行うことになり、時分割処理後に時間軸強調処理を行う場合と比べ、遅延部やフレームメモリの入出力端子数が少なくて済み、遅延部やフレームメモリとの間のデータ転送のスループットも低く抑えられ、配線面積も少なく抑えることができるので、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる。
【0069】
特に、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2によれば、時分割処理を、左眼用画像強調データLE(n)、左眼用画像データLI(n)、右眼用画像強調データRE(n)、右眼用画像データRI(n)の順序で時分割に繰り替え出力して表示するようにしたので、液晶応答の補償のために時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)および右眼用画像強調データRE(n)を、左右の画像データの切替わり時だけに出力する一方、その後に左眼用画像データLI(n)および右眼用画像データRI(n)を出力することにより、安定期間を設けることが可能となり、本発明の実施例1である立体画像表示装置1と比較してもそれぞれ時間軸強調処理がされていない左眼用画像データと右眼用画像データのクロストークの更なる改善が可能となる。
【0070】
<実施例3>
次に、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3について説明する。
【0071】
図9は、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3の構成例を示すブロック図である。
【0072】
図5に示した本発明の実施例2の立体画像表示装置2との相違点は、2種類の異なる強調係数を備えたデータ強調部を備えている点である。つまり、本発明の実施例2では、4倍速レート表示により時間軸強調された左眼用画像強調データLE(n)、時間軸強調されていない左眼用画像データLI(n)、時間軸強調された右眼用画像強調データRE(n)、時間軸強調されていない右眼用画像データRI(n)、の順序で画像データを切り替えて表示する。そして左眼用の画像データと右眼用の画像データの切り替わり時にのみ、時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)および右眼用画像強調データRE(n)を出力し、その後に時間軸強調処理を行わない左眼用画像データLI(n)および右眼用画像データRI(n)を出力する安定期間を設けるものとして説明したが、液晶の応答特性によっては、左眼用の画像データと右眼用の画像データの切り替わり時のフレームのみで時間軸強調処理による液晶応答の補償をする構成では不十分な場合がある。
【0073】
そこで、本発明に係る実施例3の立体画像表示装置3では、時間軸強調処理を行わない左眼用画像データLI(n)および右眼用画像データRI(n)を出力する安定期間を設ける代わりに、弱い強調係数により時間軸強調処理をかけることを特徴とする。
【0074】
本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3は、図9に示すように、遅延部10と、データ強調部20aと、データ強調部20bと、データ強調部20cと、データ強調部20dと、時分割出力部50とを有する。ここで、遅延部10と、データ強調部20aと、データ強調部20bとは、実施例1,2である立体画像表示装置1,2が有する構成と同一であるので、説明を省略する。
【0075】
図9に示すように、データ強調部20cは、右眼用画像データRI(n)と、左眼用画像データLI(n)との差に基づいて、右眼用画像データRI(n)を、強調係数K1より強調ゲインの小さい強調係数K3により強調して、右眼用画像強調データRW(n)として出力する。
【0076】
データ強調部20dは、遅延部10によって右眼用画像データRI(n)を1フレーム期間遅延された遅延右眼用画像データRI(n−1)と、左眼用画像データLI(n)との差に基づいて、左眼用画像データLI(n)を、強調係数K2より強調ゲインの小さい強調係数K4により強調して、左眼用画像強調データLW(n)として出力する。
【0077】
時分割出力部50は、データ強調部20aからの強調係数K1により強調された右眼用画像強調データRE(n)と、データ強調部20bからの強調係数K2により強調された左眼用画像強調データLE(n)と、データ強調部20cからの強調係数K3により強調された右眼用画像強調データRW(n)と、データ強調部20dからの強調係数K4により強調された左眼用画像強調データLW(n)とが入力され、それらを保持する。そして、所定の周波数、すなわち240(フレーム/秒)に基づいて、時分割して出力し、左眼用画像データと右眼用画像データの切り替わり時にのみ、時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)および右眼用画像強調データRE(n)を出力し、その後に弱い強調係数K3,K4により時間軸強調処理をした左眼用画像強調データLW(n)および右眼用画像強調データRW(n)を出力する。
【0078】
つまり、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3では、時分割出力部50は、(1)強調係数K1により時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)、(2)左眼用画像強調データLEの強調係数K1より弱い強調係数K3により時間軸強調がなされた左眼用画像強調データLW(n)、(3)強調係数K2により時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データRE(n)、(4)右眼用画像強調データLEの強調係数K2よりより弱い強調係数K4により時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データRW(n)、・・・の順序で時分割に出力して表示する。
【0079】
このため、本発明の実施例3の立体画像表示装置3では、強い強調係数K1,K2により時間軸強調処理がなされた画像強調データLE(n),RE(n)による液晶応答の補償を左眼用画像データと右眼用画像データの切り替わり時だけに行い、その後、左右のデータが切り替わるまでの間は、弱い強調係数K3,K4により時間軸強調処理がなされた画像強調データLW(n),RW(n)を表示することにより、画像強調データLW(n),RW(n)の表示による実施例2で説明した安定期間に近い状態の準安定期間を設けることができる。
【0080】
図10は、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3が備える時分割出力部50による応答特性を説明した図である。
【0081】
図10に示すように、強い強調係数K1により時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLE(n)の出力後に、弱い強調係数K3により時間軸強調処理がなされた左眼用画像強調データLW(n)を出力することにより、左眼用画像強調データLW(n)の出力期間中が準安定期間となると共に、強い強調係数K2により時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データRE(n)の出力後に、弱い強調係数K4により時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データRW(n)を出力することにより、右眼用画像強調データRW(n)の出力期間中が準安定期間となり、クロストークの更なる改善が可能となる。
【0082】
なお、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3によるメモリのスループットは、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2によるメモリのスループットと同等である。具体的には、左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例による240(フレーム/秒)表示の場合と比較すると、メモリのスループット合計値が41804(Mbit/秒)となるのに対し、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3の場合、本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2と同様に、メモリのスループット合計値が29860(Mbit/秒)となり、改善することになる。
【0083】
従って、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3によれば、実施例1,2の立体画像表示装置1,2と同様に、時分割処理の前に時間軸強調処理を行うので、遅延部やフレームメモリの入出力端子数が少なくて済み、遅延部やフレームメモリとの間のデータ転送のスループットも低く抑えられ、配線面積も少なく抑えることができるので、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる。
【0084】
特に、本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3では、強い強調係数K1,K2により時間軸強調処理がなされた画像強調データLE(n),RE(n)により液晶の応答特性の補償を切り替わり時だけに行い、その後、左眼用画像データと右眼用画像データが切り替わるまでの間は、弱い強調係数K3,K4により時間軸強調処理がなされた画像強調データLW(n),RW(n)を表示する準安定期間を設ける構成である。よって、立体画像表示装置の特性によっては、左眼用画像データと右眼用画像データの切り替わり時のみではデータ強調部20a,20bによる液晶の応答特性の補償では不十分な場合でも、弱い強調係数K3,K4のデータ強調部20c,20dにより対応することができる。
【0085】
<実施例4>
本発明に係る実施例1〜3の立体画像表示装置1〜3では、時分割方式による立体画像表示において、シャッタ眼鏡によって間欠表示になってしまうため、シャッタ眼鏡の間欠周期が極端に低くなると、フリッカ妨害が生じる場合がある。
【0086】
フリッカ妨害の発生には、明るさ等の環境や個人差があり、一義的に定まらない。通常の映像技術者は、例えば、48〜50(フレーム/秒)のフレームレート(間欠周期)でフリッカ妨害を感じるものの、許容レベルであると言われている。また、60(フレーム/秒)のフレームレートになると、ほとんど感じない問題のないレベルか、わずかに感じるレベルと言われている。そして、75(フレーム/秒)のフレームレートになると、全く感じないレベル、すなわち検知限と言われている。ただし、フリッカ妨害の発生には、個人差もあり、明るさ等の環境によっても変化する場合もある。
【0087】
このように、一般的に、フレームレートが60(フレーム/秒)以上では、観察者はフリッカをほとんど感じなくなる。一方、60(フレーム/秒)以下ではフレームレートが低くなるに従い、フリッカ妨害の程度が大きくなる。特に、フィルム映像の多くは、24(フレーム/秒)のフレームレートで製作されているが、この周期で間欠表示させると、観察者は非常に大きなフリッカを知覚する。
【0088】
そこで、本発明の実施例4では、入力フレームレートが十分に低い場合、すなわち第1の所定値(ここでは、例えば、24(フレーム/秒)とするが、この値は一例である。)以下の場合に、フリッカ妨害が生じない、もしくは実用上問題ないフレームレートである第2の所定値(ここでは、例えば、48(フレーム/秒)とするが、この値は一例である。)に引き上げた後に、時間軸強調処理をし、時分割して立体表示処理を行うことにより、96(フレーム/秒)のフレームレートで立体画像を出力する立体画像表示装置4を例に挙げて説明する。なお、フレームレートに引き上げるためのフレームレート変換の具体的方法は、本実施例に限定せず、また本発明の実施例1〜3のいずれの方法と組み合わせることも可能である。
【0089】
図11は、本発明の実施例4に係る立体画像表示装置4の構成例を示すブロック図である。
【0090】
図11に示すように、本発明の実施例4に係る立体画像表示装置4は、図1に示す実施例1の立体画像表示装置1の前段に、24(フレーム/秒)で入力する左眼用画像データLI(n)、右眼用画像データRI(n)それぞれのフレームレートを48(フレーム/秒)に変換するフレームレート変換処理部60a,60bを設けたものである。
【0091】
ここで、フレームレート変換処理部60a,60bにおける、フレームレート変換の手段としては、単純に繰り返し画像データを出力するプルダウン処理、もしくは画像データの動きベクトルを検出して動き補償したフレームを挿入する動き補償型フレームレート変換処理等の2種類が代表的であり、これらの処理に限定されるものではない。
【0092】
そして、本発明の実施例4に係る立体画像表示装置4は、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1と同様に、フレームレート変換処理部60a,60bにより24(フレーム/秒)から48(フレーム/秒)に変換された右眼用画像データRI’(n)を、遅延部10が遅延をし、右眼用画像データRI’(n)および左眼用画像データLI’(n)を、データ強調部20a、データ強調部20bにより強調して、48(フレーム/秒)の右眼用画像強調データRE’(n)および左眼用画像強調データLE’(n)として、時分割出力部30へ出力する。
【0093】
時分割出力部30では、データ強調部20a、データ強調部20bから48(フレーム/秒)で出力される右眼用画像強調データRE’(n)および左眼用画像強調データLE’(n)が入力されてフレームメモリ31に一時保存し、本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1が備える時分割出力部30と同様に、左眼用画像強調データLE’(n)、右眼用画像強調データRE’(n)、・・・の順序で時分割して出力する。
【0094】
ただし、本発明の実施例4に係る立体画像表示装置4では、時分割出力部30に入力される右眼用画像強調データRE’(n)および左眼用画像強調データLE’が、48(フレーム/秒)なので、出力する際は、その2倍速レートにあたる96(フレーム/秒)のフレームレートとなる。
【0095】
従って、本発明の実施例4に係る立体画像表示装置4によれば、本発明に係る実施例1〜3である立体画像表示装置1〜3と同様に、時系列変換処理の前に時間軸強調処理を行うので、遅延部10やフレームメモリ31の入出力端子数が少なくて済み、遅延部10やフレームメモリ31との間のデータ転送のスループットも低く抑えられ、配線面積も少なく抑えることができるので、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる。
【0096】
特に、本発明の実施例4に係る立体画像表示装置4では、図11に示すように、24(フレーム/秒)で入力する左眼用画像データLI、右眼用画像データRIそれぞれのフレームレートを、48(フレーム/秒)に変換を行うフレームレート変換処理部60a,60bを、データ強調部20a,20bや遅延部10の前段に設けている。そのため、時分割出力部30から右眼用画像強調データRE’(n)および左眼用画像強調データLE’(n)を出力する際は、その2倍速レートの96(フレーム/秒)となるので、間欠周期が60(フレーム/秒)以上となり、観察者はフリッカをほとんど知覚しないようにすることができる。
【0097】
<実施例5>
本発明の実施例4では、入力フレームレートが第1の所定値(例えば、24(フレーム/秒)。)以下の場合に、フレームレートの変換処理により、フリッカ妨害が生じない、もしくは実用上問題ないフレームレートである第2の所定値(例えば48(フレーム/秒)。)に引き上げた後に、時間軸強調処理をして、時系列変換処理を行うことにより、96(フレーム/秒)のフレームレートで立体画像を出力する立体画像表示装置4を例に挙げて説明した。
【0098】
本発明の実施例5では、フレームメモリへの書き込みを低い入力フレームレート(24(フレーム/秒))のまま行い、フレームレートの変換処理を、データ強調部20a,20bの後段であるフレームメモリからの読み出しの際に、プルダウン処理等しながら読み出すことによりフレームレートを変換して、96(フレーム/秒)のフレームレートで立体画像を出力する立体画像表示装置5を例に挙げて説明する。
【0099】
例えば、本発明に係る実施例1である立体画像表示装置1では、最終的に時分割出力部30から時分割で出力される画像強調データは、左眼用画像強調データLE(n)、右眼用画像強調データRE(n)、次のフレームの左眼用画像強調データLE(n+1)、右眼用画像強調データRE(n+1)、さらに次のフレームの左眼用画像強調データLE(n+2)、・・・の順序となる。よって、時分割出力する際の左眼用画像強調データLE(n)の前のフレームは、1フレーム前の右眼用画像強調データRE(n−1)であるので、予め行う時間軸強調処理としては、1フレーム前の右眼用画像強調データRE(n−1)との間で行えばよかった。
【0100】
しかし、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5では、時分割出力部において、フレームメモリからプルダウン処理しながら時分割で読み出す、すなわち同一画像フレームを繰り返し読み出すことによりフレームレートを向上させる。
【0101】
本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5では、右眼用画像データRI(n)と同様に、予め左眼用画像データLI(n)に対しても、同一フレームnの右眼用画像データRI(n)との差に基づいて強調データを形成するデータ強調部20eを設けたことを特徴とする。
【0102】
図12は、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5の構成例を示すブロック図である。
【0103】
図12において、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5は、遅延部10と、データ強調部20aと、データ強調部20bと、データ強調部20eと、時分割出力部70とを有する。
【0104】
なお、これらの構成のうち、遅延部10と、データ強調部20aと、データ強調部20bとは、本発明に係る実施例1である立体画像表示装置1が備える構成と同一であるので説明を省略する。
【0105】
データ強調部20eには、データ強調部20aと同一のタイミングで右眼用画像データRI(n)と、左眼用画像データLI(n)とが入力される。そして、それらの差(LI(n)−RI(n))に対し強調係数K5を乗算し、乗算結果を左眼用画像データLI(n)に加算することにより、左眼用画像データLI(n)を強調し、左眼用画像強調データLE”(n)として時分割出力部70へ出力する。なお、この強調係数K5は、強調係数K2や、強調係数K4より、小さい値、あるいは大きい値、さらには同じ値としてもよい。
【0106】
そして、時分割出力部70は、24(フレーム/秒)のフレームレートで入力すされる画像データの入力フレームレートが低いことが原因で発生するフリッカ等を防止するため、フレームメモリ71に保持されている、左眼用画像強調データLE(n)、右眼用画像強調データRE(n)、左眼用画像強調データLE”(n)を、順に時分割で出力する。
【0107】
図13は、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5が備える時分割出力部70における時分割処理後の状態を示す図である。
【0108】
ここでは、時分割出力部70への入力フレームレートを24(フレーム/秒)、左眼用画像データと右眼用画像データの切り替え周期を48(フレーム/秒)、フレームメモリからのデータの読み出し周期を96(フレーム/秒)とする。
【0109】
本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5が備える時分割出力部70は、プルダウン処理しながらの時分割処理により、同一フレームnが入力されるタイミングに対応して、左眼用画像強調データLE(n)、右眼用画像強調データRE(n)、左眼用画像強調データLE”(n)、右眼用画像強調データRE(n)、続いて、次のフレーム(n+1)入力されるタイミングに対応して、左眼用画像強調データLE(n+1)、右眼用画像強調データRE(n+1)、左眼用画像強調データLE”(n+1)、右眼用画像強調データRE(n+1)、・・・の順序で、各画像データLI(n)をプルダウン処理、すなわち繰り返し(ここでは、便宜上2回とする。)同じフレームを読み出すことにより、4倍速レートにあたる96(フレーム/秒)のフレームレートで、時分割して出力する。
【0110】
つまり、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5が備える時分割出力部70では、右眼用画像強調データRE(n)は繰り返し同じデータが2度出力されるのに対し、左眼用画像強調データLE(n)は、フレームの切り替わり目の1回目の出力の際はその左眼用画像強調データLE(n)が出力されるのに対し、2回目の繰り返しデータが出力されるタイミングでは、左眼用画像強調データLE(n)でなく、左眼用画像強調データLE”(n)が出力される。
【0111】
その結果、図13に示すように、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5に、それぞれ24(フレーム/秒)にて右眼用画像強調データRE(1),RE(2),・・・、左眼用画像強調データLE(1),LE(2),・・・が入力された場合、時分割出力部70からは、4倍速レートにあたる96(フレーム/秒)のフレームレートで時分割して、LE(1)、RE(1)、LE”(1)、RE(1)、LE(2)、RE(2)、LE”(2)、RE(2)、・・・の順序で時系列順に画像強調データが出力されることになる。
【0112】
これにより、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5によれば、フレームメモリ71に保持されている、左眼用画像強調データLE(n)、右眼用画像強調データRE(n)、左眼用画像強調データLE”(n)を、4倍速レートにあたる96(フレーム/秒)のフレームレートに変換して時分割して出力するので、24(フレーム/秒)で入力される画像データの入力フレームレートが低いことが原因で発生するフリッカ等を防止することができる。
【0113】
また、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5によれば、時分割出力部70において、フレームメモリ71からプルダウン処理しながら時分割して読み出す、すなわち同一画像フレームを繰り返し読み出す際、2回目に読み出す左眼用画像強調データLE”(n)の前の画像データが、同一フレームnの右眼用画像強調データRE(n)と同一の画像データR(n),L(n)に基づくものの、異なる強調係数K5により時間軸強調処理された右眼用画像強調データRE(n)になるので、より自然な映像を観察者に提供することができる。
【0114】
次に、このように構成することにより、メモリのスループットがどのように改善されるかを、時分割処理後に時間軸強調を行う従来例と比較して説明する。
【0115】
図14は、左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例による240(フレーム/秒)のフレームレート表示でのメモリのスループットを示した図であり、図15は、本発明の実施例5である立体画像表示装置5による時分割出力部70にてフレームメモリ71からプルダウン処理しながら時分割して読み出す場合のメモリのスループットを示した図である。
【0116】
図14に示すように、スループット合計値で比較すると、左眼用画像データLI(n)と右眼用画像データRI(n)を時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例の場合、左眼用画像データLI(n)をよび右眼用画像データのフレームメモリへの書き込みが24(フレーム/秒)で、スループットが1194(Mbit/秒)となる。そして、フレームメモリからの読み出しと、遅延部への書き込みおよび遅延部からの読み出しが共に、96(フレーム/秒)で、スループットが4778(Mbit/秒)となるので、合計スループットが16722(Mbit/秒)となる。
【0117】
これに対し、図15に示すように、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5の場合、フレームメモリ71への左眼用画像強調データLE(n)、右眼用画像強調データRE(n)、左眼用画像強調データLE”(n)それぞれの書き込みが24(フレーム/秒)の場合、それぞれスループットが1194(Mbit/秒)となる。そして、フレームメモリ71からの読み出しが96(フレーム/秒)の4778(Mbit/秒)になり、遅延部10への書き込みおよび遅延部10からの読み出しが24(フレーム/秒)で1194(Mbit/秒)になるので、合計10748(Mbit/秒)となる。
【0118】
このように、左眼用画像データと右眼用画像データを時分割処理後に時間軸強調処理を行う従来例の場合、メモリのスループット合計値が16722(Mbit/秒)となるのに対し、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5によれば、メモリのスループット合計値が10748(Mbit/秒)となり、改善していることがわかる。
【0119】
従って、本発明の実施例5の立体画像表示装置5によれば、本発明に係る実施例1〜4である立体画像表示装置1〜4と同様に、時分割処理の前に時間軸強調処理を行うので、遅延部10やフレームメモリ71の入出力端子数が少なくて済み、遅延部10やフレームメモリ71との間のデータ転送のスループットも低く抑えられ、配線面積も少なく抑えることができるので、簡易な装置構成で、かつデータ処理の装置負荷を小さくすることができる。
【0120】
特に、通常、フレームレート変換処理の場合、プルダウン処理または動き補償処理のいずれにしても大容量のフレームメモリが必要になるが、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5によれば、左眼用画像強調データLE”の入力を追加するだけでよいので、フレームメモリ71の容量を削減することができる。
【0121】
また、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5によれば、時分割出力部70はフレームメモリ71に保持されている、左眼用画像強調データLE(n)、右眼用画像強調データRE(n)、左眼用画像強調データLE”(n)を、入力フレームレートの24(フレーム/秒)に対して、4倍速レートにたる96(フレーム/秒)のフレームレートに変換して時分割で出力するので、画像データの入力フレームレートの24(フレーム/秒)が低いことが原因で発生するフリッカ等を防止することができる。
【0122】
さらに、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5によれば、時分割出力部70において、フレームメモリ71からプルダウン処理しながら時分割して読み出し、すなわち同一画像フレームを繰り返し読み出すようにした場合、2回目に読み出す左眼用画像強調データLE”(n)の前の画像データが、同一フレームnの右眼用画像強調データRE(n)と同一の画像データR(n),L(n)に基づくものの、異なる強調係数K5により時間軸強調処理がなされた右眼用画像強調データになるので、より自然な映像を観察者に提供することができる。
【0123】
なお、本発明の実施例5に係る立体画像表示装置5では、図1に示す本発明の実施例1に係る立体画像表示装置1に適用して説明したが、図5に示す本発明の実施例2に係る立体画像表示装置2に適応してもよい。その場合には、フレームメモリ41へ同一フレームnのデータにより時間軸強調処理をした左眼用画像強調データLE”(n)を出力する構成とすればよい。また図9に示す本発明の実施例3に係る立体画像表示装置3に適応してもよい。その場合には、フレームメモリ51へ同一フレームnのデータにより時間軸強調処理をした左眼用画像強調データLE”(n)と共に、その左眼用画像強調データLE”(n)よりも強調度合いが小さい左眼用画像強調データLW’(n)を与える構成で実現できる。
【0124】
なお、本発明に係る実施例1〜5の説明においては、左眼および右眼の画像強調データの時分割出力の順序を、左眼、右眼、左眼、・・・としたが、シャッタ眼鏡との組み合わせおよび同期がとれていれば、これに限らず、右眼、左眼、右眼、・・・という逆の順で時分割出力するようにしても勿論よい。
【0125】
また、本発明に係る実施例1〜5の説明では、入力される右眼用画像データRI(n)と、左眼用画像データLI(n)とが、並列に与えられることを前提として説明したが、本発明では、これに限らない、つまり、立体画像表示用の右眼用画像データRI(n)と左眼用画像データLI(n)を伝送するための各種フォーマットがあることは周知の通りであり、これらフォーマットからのデコード手段については特に限定しないし、また、右眼用画像データRI(n)と左眼用画像データLI(n)とが並列に与えられず、入力された右眼用画像データRI(n)を元に左眼用画像データLI(n)を作成したり、あるいはその逆に入力された左眼用画像データLI(n)を元に右眼用画像データRI(n)を作成するような構成でも、さらには通常の2次元表示用の画像データを元に右眼用画像データRI(n)と左眼用画像データLI(n)の双方を作成し、その後本発明に係る実施例1〜5のように時間軸強調処理を行って時分割処理をして出力するような構成でも勿論よい。
【0126】
また、本発明に係る実施例1〜5の説明では、立体画像表示装置をハードウエア的に構成して説明したが、本発明では、これに限らず、前期実施例1〜5の各立体画像表示装置の機能をプログラミングしたプログラムと、そのプログラムを実行するCPU等とにより、ソフトウエア的に実行するようにしても勿論よい。
【0127】
また、本発明に係る実施例1〜5の説明では、液晶の立体画像表示装置を一例として説明したが、本発明は、これに限らず、有機ELや、プラズマ、ブラウン管、SED等のその他の立体画像表示装置についても適用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1〜5…立体画像表示装置
10…遅延部
20a…データ強調部
20b…データ強調部
20c…データ強調部
20d…データ強調部
20e…データ強調部
21b…減算器
22b…強調係数乗算器
23b…加算器
30,40,50,70…時分割出力部
31,41,51,71…フレームメモリ
60a,60b…フレームレート変換処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体映像を表示するための右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、
前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、
前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の画像データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、
前記第1の強調データと、前記第2の強調データとを記憶して、前記第1の強調データと、前記第2の強調データを所定のフレームレートで時分割して出力する時分割出力部と、
を有することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
立体映像を表示するための右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、
前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、
前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の画像データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、
前記第1の強調データと、前記一方の画像データと、前記第2の強調データと、前記他方の画像データとを記憶、前記第1の強調データと、前記一方の画像データと、前記第2の強調データと、前記他方の画像データの順序で、所定のフレームレートにより時分割して出力する時分割出力部と、
を有することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項3】
立体映像を表示するための右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、
前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、
前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の画像データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、
前記一方の画像データと、前記他方の画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを前記第1の強調係数より強調ゲインの小さい第2の強調係数により強調して第3の強調データとして出力する第3のデータ強調部と、
前記他方の画像データと、前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の画像データを前記第2の強調係数より強調ゲインの小さい第4の強調係数により強調して第4の強調データとして出力する第4のデータ強調部と、
前記第1の強調データと、前記第3の強調データと、前記第2の強調データと、前記第4の強調データとを記憶し、前記第1の強調データと、前記第3の強調データと、前記第2の強調データと、前記第4の強調データの順序で、所定のフレームレートで時分割して出力する時分割出力部と、
を有することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項4】
前記左眼用画像データおよび前記右眼用画像データのフレームレートが第1の所定値以下の場合に、第2の所定値以上のフレームレートに変換して前記遅延部、前記第1および第2のデータ強調部に出力するフレームレート変換部を、
更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
右眼用画像データまたは左眼用画像データのうち一方の画像データを1フレーム期間遅延させて遅延データとして出力する遅延部と、
前記右眼用画像データと、前記左眼用画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データを第1の強調係数により強調して第1の強調データを出力する第1のデータ強調部と、
前記右眼用画像データまたは前記左眼用画像データのうち他方の入力データと、前記遅延部によって1フレーム期間遅延された前記遅延データとの差に基づいて、前記他方の入力データを第2の強調係数により強調して第2の強調データとして出力する第2のデータ強調部と、
前記一方の画像データと、前記他方の画像データとの差に基づいて、前記一方の画像データと前記他方の画像データとのうち同一フレームに基づいて時系列順で先に表示される画像データを第5の強調係数により強調して第5の強調データとして出力する第5のデータ強調部と、
前記第1の強調データと、前記第2の強調データと、前記第5の強調データとを記憶し、前記第1の強調データと前記第2の強調データのうち時系列順で先に表示される一方の強調データ、他方の強調データ、前記第5の強調データ、前記他方の強調データの順序で、時分割して出力することにより、所定の周波数以上に変換して出力する時分割出力部と、
を有することを特徴とする立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−205186(P2011−205186A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67832(P2010−67832)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】