説明

立体発泡装置

【課題】通電により発泡材料を発泡させる装置において、印加した電気に対して効率の良い発泡効果を得ること。
【解決手段】立体発泡装置2は、非導電性の基材3と、基材に揺動自在に取り付けられた一対の可動電極4,4を有する。電極を覆って発泡材料1を基材上に載置して通電する。両電極間には電位差が生じ、材料と電極の間でイオン交換が始まる。電気抵抗により材料は発熱し、気体が発生して発泡が始まり、材料の体積が増大する。可動電極は発泡した材料に押し上げられて上方に移動するので、より多くの発泡材料に接して通電でき、上方の発泡材料にも十分に通電できる。発泡材料を比較的短時間で高さ方向にも十分に発泡させて十分な嵩を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電によるイオン交換で発泡する発泡材料に対し、効果的な通電を行なうことにより発泡を促し、製造された生成物により高い立体感を与えることができる立体発泡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通電により発泡して体積が増大する発泡材料が種々の用途で使用されている。この種の発泡材料は、一般的に通電時に電極との間でイオン交換を行なうために電解質を含んでおり、通電により電気分解されて例えばCO2 等の気体を発生し、その結果として体積が増大した多孔性の発泡体となる材料である。このような発泡材料としては、例えば電気パンの材料が知られている。これは、水分、炭酸水素ナトリウム、小麦粉、塩の混合物を含んだペースト状の物質である。
【0003】
図5及び図6は、電気パンの材料のような発泡材料に通電して発泡させる従来の発泡装置100とその作用を示している。
図5に示すように、発泡装置100は、非導電性の材料からなる基材101の上に所定間隔で一対の電極102、102を設けたものである。図5に示すように、例えば電気パンを製造する場合には、両電極102、102を跨いで基材101の上に電気パンの材料(発泡材料1)を載せ、両電極102、102間に交流を流す。両電極102、102間には電位差が生じ、発泡材料1と電極102の間でイオン交換が始まる。発泡材料1の電気抵抗により発泡材料1には熱が発生し、発泡材料1中に含まれる炭酸水素ナトリウムが分解されてCO2 が発生する。その結果、CO2 が泡となって発泡が始まり、発泡材料1の体積が増大するものとされていた。
【0004】
図6は、発泡後の状態の一例を示しているが、この図のように電極102の周囲の所定範囲にある材料1aは発泡しているが、それよりも遠くにある材料1bには発泡が見られないという結果になる場合もあった。
【0005】
なお、本願出願人は、本特許出願時点において、上述したような発泡材料に通電して発泡体を製造する装置の発明が記載された刊行物について知っているものがないので、先行技術文献の項については記載できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5及び図6を参照して説明した従来の発泡装置100によれば、電気エネルギーを熱変換して発泡材料1を発泡させる際には、基材101に固定された電極102と発泡材料1とが密接に接触している部分が最も効率良くイオン交換が行なわれる箇所となる。しかしながら、実際には通電開始直後から電極102付近で発泡が始まり、その部分が大きな電気抵抗となって導電率が低下する。このため、電極102から遠方の位置にある発泡材料1は、十分に通電できないために発泡させるのに長時間を要することとなり、結果として目的に応じた十分な発泡が出来にくくなり、最悪の場合は図6を参照して説明したように発泡しない部分が発生することがあった。
【0007】
本発明は、以上説明したような従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、電極からの通電によって発泡材料を発泡させる装置において、通電による発泡に伴って電極付近で材料の抵抗が増大することを防止し、印加した電気に対して効率の良い発泡効果を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された立体発泡装置は、
非導電性の材料からなる基材と、前記基材に取り付けられた一端部を支点として他端部の側が持ち上がるように構成された可動電極を含む一対の電極を有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載された立体発泡装置は、請求項1記載の立体発泡装置において、
前記可動電極は、前記一端部に近いほど面積が広く、前記他端部に近いほど面積が狭いことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載された立体発泡装置は、請求項2記載の立体発泡装置において、
前記電極は、その外周にエッジが形成された構造と、他方の前記電極に向けて前記外周から突起部が延設された構造の少なくとも一方の構造を有することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載された立体発泡装置は、請求項3記載の立体発泡装置において、
前記各電極は、厚さ0.1〜500μm、幅0.5〜5.0mmの合成樹脂性からなるフィルム部と、前記フィルム部の表面に形成された導電性材料からなる導電部とを有することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載された立体発泡装置は、請求項1又は2記載の立体発泡装置において、
前記一対の電極が、所定間隔をおいて互いに入れ子状に配置された一対の櫛歯状の電極によって構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の立体発泡装置で使用する発泡材料は、電解質を含み、通電により電気分解されて気体を発生し、体積が増大して多孔性の発泡体となる材料である。
請求項1に記載された立体発泡装置において、一対の電極を覆うように前記発泡材料を基材上に載置して通電すると、両電極間には電位差が生じ、材料と電極の間でイオン交換が始まる。そして材料の電気抵抗により材料には熱が発生し、材料中の成分が分解されて気体が発生する発泡が始まり、材料の体積が増大していく。この時、発泡材料の発泡による体積増大によって可動電極が押し上げられて上方に移動していくので、電極の位置が固定されている場合に比べ、可動電極はより多くの発泡材料に接して通電することができ、すでに発泡した部分の高い電気抵抗によって導電率が低下してしまうこともなく、電極から上方に離れた位置にある発泡材料にも十分に通電できる。そのため、基材上の発泡材料を比較的短時間で高さ方向にも十分に発泡させることができ、目的に応じた十分な嵩を得ることができる。
【0014】
請求項2に記載された立体発泡装置によれば、可動電極は、基材に取り付けられて可動時の支点となる一端部に近いほど面積が広いので、この部分の下側に発泡材料を設けておけば、発泡材料が発泡した場合に可動電極は面積の広い根元で大きな上向きの力を受けることができる。また、可動する自由端である他端部は面積が狭いため、軽く持ち上がりやすい。このため、この可動電極は、発泡材料の発泡に伴う上昇移動が速やかに行なわれ、発泡材料への通電をより効果的に行なうことができる。
【0015】
請求項3に記載された立体発泡装置によれば、電極には、その外周にエッジが形成されたり、他方の電極に向いた突起部が設けられているので、発泡材料との接触面積が広くなり、このため発泡材料への通電をより一層効果的に行なうことができる。
【0016】
請求項4に記載された立体発泡装置によれば、合成樹脂性からなるフィルム部の表面に導電性材料からなる導電部を形成した比較的軽くて変形しやすい構造であり、その寸法を有意の所定範囲に設定したので、発泡材料の発泡による体積増大によって容易に変形し、又は持ち上げられて移動できるので、発泡材料への通電をさらにより一層効果的に行なうことができる。
【0017】
請求項5に記載された立体発泡装置によれば、一対の電極を、入れ子状に配置した一対の櫛歯状の電極で構成したので、発泡材料との接触面積がさらに一層広くなり、このため発泡材料への通電をさらにより一層効果的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は第1実施形態における通電前、発泡前の状態を示す斜視図、(b)は(a)のb−b切断線における断面図、(c)は(a)のc−c切断線における断面図である。
【図2】(a)は第1実施形態における通電後、発泡後の状態を示す斜視図、(b)は(a)の矢視b図、(c)は(a)の矢視c図である。
【図3】第2実施形態の平面図である。
【図4】第3実施形態の平面図である。
【図5】(a)は従来の発泡装置における通電前、発泡前の状態を示す斜視図、(b)は(a)のb−b切断線における断面図である。
【図6】(a)は従来の発泡装置における通電後、発泡後の状態を示す斜視図、(b)は(a)のb−b切断線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1乃至第3実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1及び図2は、第1実施形態の立体発泡装置2を示す図である。まず、この立体発泡装置2の構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、この立体発泡装置2は、非導電性の材料からなる略矩形の基材3を有している。この基材3の上面には、一対の可動電極4,4が取り付けられている。各可動電極4は、全体として細長い板状の部材であって、一端部4aの側は幅広で面積の大きい帯状であり、他端部4bに近いほど幅狭となって面積が小さくなり、他端部4bの尖端は先鋭な形状となっている。また、各可動電極4の外周には、適当な間隔で複数箇所にエッジ5が形成されており、全体として稲妻形状乃至ジグザグ形状となっている。そして、各可動電極4の外周には、他方の可動電極4に近い側から、他方の可動電極4に向けて複数個の突起部6が突出している。
【0021】
上述した構造の可動電極4は、2個一組となって次のような配置で基材3に取り付けられている。すなわち、一対の可動電極4,4は、基材3上で所定間隔をおいて互いに平行となるように、かつ一端部4aから他端部4bへの向きが互いに逆向きとなるように、基材3の対向する一対の縁辺にそれぞれ取り付けられている。各可動電極4の幅広の一端部4aは、基材3の縁辺に対して融着等の構造で取り付けられており、ここを支点として尖った他端部4bの側が持ち上がるようになっている。
【0022】
この可動電極4は、厚さ0.1〜500μm、幅0.5〜5.0mmの合成樹脂からなるフィルム部と、フィルム部の表面に形成された導電性材料からなる導電部とにより、導電性を有するように構成されている。合成樹脂としては、PET、PEN、ポリイミドが採用可能である。導電部は、導電性材料であるITO、アルミニウム等をフィルム部に蒸着させて製造することができる。このような材料を用いて、このような薄型軽量の構造とすることにより、この一対の可動電極4は、通電時に発泡材料の発泡による力を受けて一端部4aを中心として他端部4b側が上昇する動作をすることができる。
【0023】
また、図示はしないが、立体発泡装置2の一対の可動電極4,4には、交流電源と制御装置及び操作パネル等が接続されており、操作パネルの操作によって一対の可動電極4,4に必要な電圧電流の交流を必要な時間だけ印加できるようになっている。
【0024】
次に、この立体発泡装置2を用いて電気パンの材料(以下、発泡材料1と称する。)を発泡させる場合の動作乃至操作手順及び発泡原理等について説明する。
図1(a)に示すように、両可動電極4を跨いで基材3の上に発泡材料1を載せる。この時、発泡材料1は両可動電極4の全体を覆うように塗ることができる。しかし、可動電極4は発泡によって持ち上がることにより発泡材料1の全体に均一に通電できる状態を維持するためのものであるから、自由端である他端部4bの側に載せる発泡材料1の量は少なくする方が好ましい。また、可動電極4の支点である幅広の一端部4a側では、基材3と可動電極4の間に発泡材料1を設けることにより、発泡によって可動電極4に上方へ移動する力を加え易くなるので、このような発泡材料1の配置も好ましい。
【0025】
操作パネルを操作して両可動電極4,4間に適当な電流電圧の交流を加える。両可動電極4,4間には電位差が生じ、発泡材料1と可動電極4の間でイオン交換が始まる。発泡材料1の電気抵抗により発泡材料1には熱が発生し、発泡材料1中に含まれる炭酸水素ナトリウムが分解されてCO2 が発生する。その結果、CO2 が泡となって発泡が始まる。
【0026】
図2(a)乃至(c)に示すように、発泡材料1の発泡によって体積が増大し、これによって可動電極4が押し上げられて上方に移動していく。すなわち、発泡材料1の上方へ向けた発泡に追従して可動電極4も上方へ移動するので、開始時には可動電極4から遠い位置にあった発泡材料1に可動電極4が近づいて通電することができる。従って、従来のように電極の位置が固定されている場合に比べ、可動電極4はより多くの発泡材料1に接して通電することができ、すでに発泡した部分の高い電気抵抗によって導電率が低下してしまうこともなく、電極から上方に離れた位置にある発泡材料1にも十分に通電できる。そのため、基材3上の発泡材料1を比較的短時間で高さ方向にも十分に発泡させることができ、目的に応じた十分な嵩が得られる。
【0027】
また、可動電極4は、持ち上がりやすい軽量薄型の構造である。さらに可動時の支点となる一端部4aに近いほど面積が広く、この部分の下側に発泡材料1を設けたので、発泡材料1が発泡した場合に可動電極4は面積の広い根元で大きな上向きの力を受けることができる。さらにまた、可動する自由端である他端部4bは面積が狭いため、軽く持ち上がりやすいし、他端部4bに載せる発泡材料1の量を少なめにしておけばさらに持ち上がりやすい。このように、可動電極4は発泡材料1の発泡によって速やかに上昇移動することができるので、発泡材料1への通電をより効率よく短時間で行なうことができる。
【0028】
さらに、各可動電極4は、その外周にエッジ5が形成されたジグザグ形状であるため発泡材料1との接触面積が広く、また他方の可動電極4に向いた複数の突起部6を有しているので可動電極4同士の距離が近くなる。このため、発泡材料1への通電をより一層効率よく短時間で行なうことができる。
【0029】
以上説明した第1実施形態では、一対の可動電極4,4が向きを反対として互いに平行に配置され、通電して発泡材料1が発泡すると両可動電極4,4は図2(a)乃至(c)に示すように、互いに交差した状態となり、高さ方向の発泡に追従して可及的多量の材料に通電することが可能となった。
【0030】
しかしながら、一対の電極を有する立体発泡装置の構成としては、これ以外の態様も採用できる。
例えば、第1実施形態の変形例として、両可動電極4,4の幅広の各他端部4a,4aを矩形の基材3の隣り合う2辺にそれぞれ取り付け、両者が基材3上では接触はしないが略直交するような配置としてもよい。また、両可動電極4,4の幅広の各他端部4b,4bの取り付け位置を調整すれば、基材上での2つの可動電極4,4の角度を任意に設定することができる。
【0031】
また、第1実施形態の変形例として、両可動電極4,4の幅広の各他端部4a,4aを矩形の基材3の同一の辺に所定間隔をおいて取り付け、両者が基材3上では平行となるようにしてもよい。この場合には、発泡時には両可動電極4,4は概ね平行状態を保ちながら上昇することとなる。
【0032】
さらにまた、第1実施形態及び上記変形例において、一方の電極を固定電極として基材3上に固定して設け、他方の電極だけを可動電極としてもよい。
【0033】
次に、以上説明したような立体発泡装置2を用いて発泡材料1を発泡させる用途例について説明する。
まず、前述したような電気パンの製造が挙げられる。
次に、このような立体発泡装置2及び発泡材料1を予め仕込んだグリーティングカードが挙げられる。グリーティングカードを受け取った受信者が、例えば2つ折りである当該グリーティングカードを開くと、立体発泡装置2のスイッチが入って通電が始まるように構成しておく。予め所望のパターンで配置された所望の色彩の発泡材料1が、受信者の目前で発泡して所望の立体形状となるため、受信者に対して審美性に富む好適な印象を与え、グリーティングカードとして高い効果を得ることができる。
【0034】
また、AR(Augmented Reality 、拡張現実感)技術の分野においても、この立体発泡装置2を利用することができる。すなわち、対象画像領域内にあるマーカーをユーザーが装着したカメラで捉える場合、例えば当該マーカーを、第1のコードが設けられた第1の基板と、第2のコードが設けられた第2の基板とを重ね、両基板の間に立体発泡装置2と発泡材料1を仕込んだ構成にしておく。通常時は、2つのコードが重なった状態でカメラに捉えられ、通常の状態におけるデータが読み取られる。一定の条件を満たす通常時以外の状態においては、対象画像領域における何らかの要素を誘因として立体発泡装置2が作動開始し、発泡材料1が発泡するように構成する。発泡材料1が発泡した後は、両基板の間隔が開いて下側のコードが読み取れなくなり、上側の基板のコードだけが通常以外の状態におけるデータとして読み取られる。立体発泡装置2がこのように作動開始する誘因として、例えば対象画像領域内に設けた何らかのセンサによる環境条件の変化の検知を利用することとすれば、対象画像領域を視認しているユーザーは、当該マーカーが存在している環境条件が変動した場合には、環境条件の変化に対応して切り替わった表示データを視認することができる。このようなAR技術は、一定の監視空間を監視カメラで監視する場合等において、監視空間に設けたセンサが一定の限界を超えた場合に作動して監視カメラが捉えるマーカー情報の切り替えを行う場合に応用できる。なお、このような利用例における発泡材料1の発泡によるマーカーの変化は不可逆的であるから、一回限りの用途に限られる。
【0035】
図3は、第2実施形態の立体発泡装置12を示す図である。
図3に示すように、この立体発泡装置12は、非導電性の材料からなる略矩形の基材13を有している。この基材13の上面には、1個の固定電極14と、1個の可動電極15が取り付けられている。固定電極14は、半周帯状の固定基部16と、固定基部16の内側から半径方向に向けて突設され、周方向に所定間隔をおいて配置された複数本の電極からなる固定櫛歯部17とによって構成される。可動電極15は、固定電極14の半周帯状の固定基部16の中心となる位置に回動支点となる固定部18を介して取り付けられた可動基部19と、この可動基部19から固定電極14の半径方向に沿って突設され、固定電極14の固定櫛歯部17と入れ子状に配置された複数本の電極からなる可動櫛歯部20とを有している。
【0036】
図3に示すように、発泡材料1は、固定電極14の固定櫛歯部17と、可動電極15の可動櫛歯部20との間に挟まるように、平面視略扇状のパターンで塗布する。固定電極14と可動電極15の間に第1実施例と同様に交流を加えれば、同様の原理で発泡材料1が発泡するので、可動電極15はその力で押し上げられ、発泡方向に追従して上方に移動していく。従って、可動電極15はより多くの発泡材料1に接して通電することができ、電極から上方に離れた位置にある発泡材料1にも十分に通電できる。そのため、基材13上の発泡材料1を比較的短時間で高さ方向にも十分に発泡させることができ、平面視扇形のパターンで必要な高さの立体物が得られる。
【0037】
図4は、第3実施形態の立体発泡装置22を示す図である。
図4に示すように、この立体発泡装置22は、非導電性の材料からなる略矩形の基材23を有している。この基材23の上面には、2個の可動電極25,25が取り付けられている。可動電極25は、回動支点となる矩形状の可動基部26が基材23に取り付けられており、可動基部26からは所定間隔で配置された複数の棒板状の電極からなる可動櫛歯部27が互いに平行に突設されている。2つの可動電極25,25は、可動櫛歯部27,27が互いに隙間をおいて入れ子状に組合わさるように、互いに逆向きに基材23上に配置されている。
【0038】
図4に示すように、発泡材料1は、可動電極25,25の可動櫛歯部27,27の部分に平面視略矩形状のパターンで塗布する。両可動電極25,25の間に第1実施例と同様に交流を加えれば、同様の原理で発泡材料1が発泡するので、可動電極25,25はその力で押し上げられ、発泡方向に追従して上方に移動していく。従って、可動電極25,25はより多くの発泡材料1に接して通電することができ、可動電極25から上方に離れた位置にある発泡材料1にも十分に通電できる。そのため、基材23上の発泡材料1を比較的短時間で高さ方向にも十分に発泡させることができ、平面視矩形のパターンで必要な高さの立体物が得られる。
なお、第3実施形態において、一方の電極を固定電極とすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1…発泡材料
2,12,22…立体発泡装置
3,13,23…基材
4…可動電極
4a…可動電極の一端部(固定側)
4b…可動電極の他端部(自由端側)
5…エッジ
6…突起部
14…固定電極
15…可動電極
17…固定櫛歯部
20…可動櫛歯部
25…可動電極
26…可動基部
27…可動櫛歯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性の材料からなる基材と、前記基材に取り付けられた一端部を支点として他端部の側が持ち上がるように構成された可動電極を含む一対の電極を有することを特徴とする立体発泡装置。
【請求項2】
前記可動電極は、前記一端部に近いほど面積が広く、前記他端部に近いほど面積が狭いことを特徴とする請求項1記載の立体発泡装置。
【請求項3】
前記電極は、その外周にエッジが形成された構造と、他方の前記電極に向けて前記外周から突起部が延設された構造の少なくとも一方の構造を有することを特徴とする請求項2記載の立体発泡装置。
【請求項4】
前記各電極は、厚さ0.1〜500μm、幅0.5〜5.0mmの合成樹脂性からなるフィルム部と、前記フィルム部の表面に形成された導電性材料からなる導電部とを有することを特徴とする請求項3記載の立体発泡装置。
【請求項5】
前記一対の電極が、所定間隔をおいて互いに入れ子状に配置された一対の櫛歯状の電極によって構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の立体発泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−120493(P2012−120493A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274735(P2010−274735)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】