説明

立体的に変化する玩具の収納部

【課題】潰れた状態の多面体の玩具が収納部から飛び出さずに、立体形状多面体と収納部が一対となって意匠を構成する紙製玩具を提供する。
【解決手段】収納部1は厚紙を二つ折りにして構成され、切欠き部2を持ち上げるとミシン目が裂けて後面板3が起立する。前面板5には多面体の玩具10が係止できるよう粘着剤が施されている。この状態で多面体の玩具10と一対の意匠になるよう後面板3の内側面6と前面板5には任意の図柄等を描かれている。後面板3と前面板5の折曲線8には弾性体からなるヒンジ9が設けられており、このヒンジ9は多面体の玩具10が立体形状となる動作に制動作用を生じさせる。粘着剤は多面体の玩具10が立体形状となった反動で収納部1から飛び出してしまうことを防止する。収納部1の切欠き部2に返しを設け、立体形状になった面体の玩具10の頭部11を強制的に押さえつけるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的に変化する玩具が収納部を空けた際に収納部から飛び出してしまうことを防止する収納部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々の紙製玩具が作成されており、最近は平面的なものから立体的に変化する玩具が作成されている。さらに、複雑な形状に構成された紙素材と弾性体を用いることにより、平面状態から瞬時に立体的に立ち上がる玩具も現れるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−275288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複雑な形状に構成された紙素材と弾性体を用いて平面状態から瞬時に立体的に立ち上がる多面体の玩具構成について特開2007−275288号公報に開示されている。
【0005】
しかしながら、特開2007−275288号公報のようなものでは、押すと潰れ、放すと元に戻る多面体を構成し、この多面体を平面形状にして収納し、取り出したときに立体形状となるように構成しているが、多面体を取り出した後の収納部の利用価値がなく、また、潰れた状態の多面体を取り出したとたん瞬時に立体形状となって飛び出してしまう。
【0006】
本発明は、潰れた状態の多面体の玩具が収納部から飛び出さず、立体形状多面体と収納部が一対となって意匠を構成する紙製玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る厚紙玩具において前記収納部は、前記本体部が収納される収納口の周辺に配設された切欠き部と、背景を表現した後面板3と、背景に対する手前側の形象を切り抜いて表現した前面板5とからなり、前面板5と後面板3とは一方の側縁同士を折曲線8を介して一連に形成し、後面板3を前面板5から開放する際に制動作用を生じさせるヒンジ9によって支えられる。
【0008】
前記前面板5と平面形状に可変されている多面体の玩具10の底部は粘着剤により係止されており、立体形状になろうとする多面体の玩具10が飛び跳ねようとすることを抑止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な立体形状を実現できるほか、立体形状となる際の多面体の玩具の飛び跳ねを抑止することができ、さらに、収納部が立体形状の多面体の玩具の前面板と後面板となるので、前面板5と後面板3の内側面6に任意の図柄等を描くことにより立体的な画像を楽しむことができる厚紙玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】多面体の玩具10が収納される収納部
【図2】収納部1の切欠き部2を引き起こして後面板3が起立した状態
【図3】収納部1が開かれたときの後面板3と前面板5の関係図
【図4】収納部1に多面体の玩具10が収納された状態で多面体の玩具10の頭部11が上部から押さえられている状態
【図5】収納部に収納された多面体の玩具10が平面形状から立体形状に可変する状態
【図6】多面体の玩具10が立体形状に可変し終えた状態の右方向からの斜視図
【図7】多面体の玩具10が立体形状に可変し終えた状態の正面方向からの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して説明する。図1は収納部1の概観である。
収納部1は厚紙を二つ折りにして構成され、切欠き部2を持ち上げると後面板3が起立するようミシン目4を施してある。
【0012】
図2と図3は切欠き部2を持ち上げてミシン目4が裂け、後面板3が起立した状態である。前面板5には多面体の玩具10が係止できるよう粘着剤7が施されている。この状態で多面体の玩具10と一対の意匠になるよう後面板3の内側面6と前面板5には任意の図柄等を描かれている。
【0013】
後面板3と前面板5の折曲線8には弾性体からなるヒンジ9が設けられており、このヒンジ9は多面体の玩具10が立体形状となる動作に制動作用を生じさせる。粘着剤7は多面体の玩具10が立体形状となった反動で収納部1から飛び出してしまうことを防止する役目を持っている。
【0014】
図4は収納部1に多面体の玩具10を組み込んだ状態を示し、切欠き部2を持ち上げてミシン目4が裂け、後面板3が起立した状態である。
【0015】
図5は収納部1に多面体の玩具10を組み込んだ状態であり、ヒンジ9に牽引された後面板3により多面体の玩具10が制動されながら起立する動作途中を示している。
【0016】
図6と図7は多面体の玩具10が完全に起立し、立体形状になった状態を示す。
【0017】
多面体の玩具10は、多面体の玩具10内部にある弾性体で立体形状になるので、弾性体の張力のばらつきによっては前面板5に設けた粘着剤7と、後面板3と前面板5の折曲線8に設けたヒンジ9だけでは制動できない場合もありえるので、収納部1の切欠き部2に返し12と弾性体からなるヒンジ13を設けて、前面板5に設けた粘着剤7と折曲線8に設けたヒンジ9で制動しきれなかった動作を、ヒンジ13で立体形状になった多面体の玩具10の頭部11を強制的に押さえつけるものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は平面形状から立体形状に変化する玩具等を収納する収納部であって、使用時には平面形状から立体形状に変化する玩具等が飛び出してしまうことを防止することができ、立体的になった後の収納部がそのまま玩具等と一対になって装飾物として利用できるものであり、玩具のほかグリーティングカードや手紙、広告・宣伝用の看板等のアイテムとして利用することができるものである。
【符号の説明】
【0019】
1・・・収納部
2・・・切欠き部
3・・・後面板
4・・・ミシン目
5・・・前面板
6・・・後面板の内側面
7・・・粘着剤
8・・・折曲線
9・・・ヒンジ
10・・多面体の玩具
11・・多面体の玩具の頭部
12・・返し
13・・ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複雑な形状に構成され内部の弾性体を用いて平面状態から瞬時に立体的に立ち上がる多面体の玩具等を収納する収納部であって、前記収納部は、前記多面体の玩具等が収納される収納口の周辺に配設された切欠き部を備え、切欠き部からつながるミシン目を破って開封することにより、多面体の玩具等の折り畳み部分が、前記弾性部の弾性により立体形状に立ち上がり、収納部の一面が厚紙玩具の床面を構成し他の一面が壁面となって一対の装飾物となる収納部であり、立体形状となった厚紙玩具本体が飛び出してしまうことを防止することを特徴とする立体的に変化する玩具の収納部。
【請求項2】
前記収納部は、ミシン目を破って開封された際に、収納部の後面板と前面板が立体的に立ち上がろうとする多面体の玩具等に制動をかけるため、収納部の後面板と前面板の折曲線部分に弾性体からなるヒンジを設けたことを特徴とする請求項1の立体的に変化する玩具の収納部。
【請求項3】
前記収納部は、開封用切欠き部に返し部分とヒンジを設けることにより、立体的に立ち上がった多面体の玩具等の頭部を押さえて飛び出してしまうことを防止することを特徴とする請求項1の立体的に変化する玩具の収納部。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−235041(P2011−235041A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116721(P2010−116721)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【特許番号】特許第4650773号(P4650773)
【特許公報発行日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(506142004)有限会社高田紙器製作所 (4)
【Fターム(参考)】