説明

立体表示装置

【課題】導光部材を用いて意匠性に富んだ立体表示を行うことができる立体表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の立体表示装置50は、光源10と、導光板1と、導光板1の第1の主面1cに設けられ、導光板1を通じて導かれる光源10からの光を第2の主面1d側に向けてのみ光路変換するプリズム5と、導光板1の第1の主面1cに設けられ、導光板1を通じて導かれる光源10からの光を第1及び第2の主面1c,1d側に向けて拡散させる光拡散部17と、第2の主面1dと対向して配置され、プリズム5からの反射光を第1の主面1c側に向けて反射する反射鏡体12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材を用いた立体表示を行える立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
導光部材は、従来から様々な用途で幅広く使用されており、例えば液晶表示装置の照明手段として知られるバックライト装置やフロントライト装置にも使用されている。フロントライト装置は、通常、光源と、この光源からの光を液晶表示パネルに出射する導光板(導光部材)と、導光板からの光を効率良く液晶表示パネルに供給するためのプリズムとから主に構成される。前記導光板は、平板形状を有しており、互いに対向する一対の主面及び互いに対向する一対の端面を有している。この場合、一方の主面上に液晶表示パネルが配置され、一方の端面近傍に光源が配置される。また、他方の主面上には、反射板が配置され、光源からの光を反射する。
【0003】
また、導光板の主面上に凹凸部(プリズム)を様々な形態で形成することにより、導光板に発光表示機能を持たせた応用技術も従来から知られている。例えば特許文献1には、導光板を発光表示装置として用いた車両用表示装置が開示されている。この車両用表示装置では、文字盤を形成する導光板の一方の主面上に、第1の光源からの光を反射して発光する目盛りなどの形態をなす凹凸形状の第1表示意匠部と、第2の光源からの光を反射して発光する数字などの形態をなす凹凸形状の第2表示意匠部とが形成されており、第1の光源の点灯により第1表示意匠部が発光表示され、第2の光源の点灯により第2表示意匠部が発光表示されるようになっている。
【特許文献1】特開2004−325179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された表示装置は、プリズムからの光を観察者に向けて直接に出射する構成であるため、表示が平面的であり、意匠性に乏しかった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、導光部材を用いて意匠性に富んだ立体表示を行うことができる立体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の立体表示装置は、光源から光を受ける端面、並びに、互いに対向する一対の第1及び第2の主面を有する導光部材と、前記導光部材の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に設けられ、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第1の主面側に向けて光路変換する第1の光路変換手段と、前記導光部材の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に設けられ、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換する第2の光路変換手段と、前記第2の主面と対向して配置され、前記第2の光路変換手段からの光を前記第1の主面側に向けて反射する反射鏡体と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、光源を点灯させると、光源からの光は、導光部材の第2の光路変換手段によって第2の主面側へと光路変換されると同時に、第1の光路変換手段によって第1の主面側へと光路変換される。この場合、第1の光路変換手段によって第1の主面側へと出射される光は、第1の光路変換手段がなす形態で発光する実像として観察者に視認され、一方、第2の光路変換手段によって光路変換された光は、第2の主面側へと進行して反射鏡体により第1の主面側へ反射されることにより、反射鏡体に映る虚像として観察者に視認されることになる。したがって、観察者は、第2の光路変換手段の形態(虚像)に対して第1の光路変換手段の形態(実像)が浮き上がった立体像を見ることができる。これにより、意匠性に富んだ発光表示を実現することができる。
【0008】
なお、上記構成において、光源及び導光部材は1つに限らない。複数の光源や導光部材を用いた様々な組み合わせにより、多種多様な発光表示形態を実現することもできる。
【0009】
本発明の立体表示装置においては、前記第1の光路変換手段は、前記第1の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を拡散させる光拡散部からなり、前記第2の光路変換手段は、前記第1の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることが好ましい。
【0010】
本発明の立体表示装置においては、前記第1の光路変換手段は、前記第2の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を拡散させる光拡散部からなり、前記第2の光路変換手段は、前記第2の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることが好ましい。この構成によれば、出射面として外部に晒される第1の主面に光路変換手段としてのプリズムや拡散部が設けられていない(プリズムや拡散部が外部に晒されない第2の主面のみに設けられている)ため、これらの光路変換手段を外部のストレスなどから保護することができる。
【0011】
本発明の立体表示装置においては、前記第1の光路変換手段は、前記第1及び第2の主面の両方に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を拡散させる光拡散部からなり、前記第2の光路変換手段は、前記第1及び第2の主面の両方に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることが好ましい。この構成によれば、発光位置が異なる4つの階層の光らせ方が可能になるため、意匠性が格段に向上する。
【0012】
本発明の立体表示装置においては、前記第1の光路変換手段は、前記第2の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第1の主面側に向けて光路変換するプリズムからなり、前記第2の光路変換手段は、前記第1の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることが好ましい。この構成によれば、拡散部を設けないため、導光部材が非発光時に完全に透明となり、意匠性が向上する。
【0013】
本発明の立体表示装置において、前記プリズムは、前記主面に対して所定の第1の角度で傾斜する第1の傾斜部と、前記主面に対して第1の角度よりも大きい第2の角度で傾斜する第2の傾斜部とが交互に配列されてなる略不等辺三角形状の凹凸部を有し、光源からの光を前記第2の傾斜部で受けて光路変換することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、光源からの光を第1の傾斜部によって導光部材内部へと効率的に導くことができるとともに、その導かれた光を第2の傾斜部によって効果的に光路変換させることができる一方で、第1の傾斜部によって略法線方向の光を透過させることも可能になり、プリズムの複雑で細かい形状形態の発光表示を容易、かつ、明確に行うことができるようになる。
【0015】
本発明の立体表示装置においては、前記反射鏡体により反射されて前記第1の主面側から出射される光の前記第1の主面に対する出射角度が、前記第2の傾斜部における前記第2の角度によって制御されることが好ましい。この構成によれば、第2の傾斜部の傾斜角度を変えるだけで光の出射角度を変化させることができるため、立体感や輝度の調整がし易くなる。
【0016】
本発明の立体表示装置においては、前記出射角度が5°〜45°に設定されていることが好ましい。この構成によれば、十分な立体感を得ることができるとともに、発光表示の視認性を向上させることができる。
【0017】
本発明の立体表示装置においては、前記第2の傾斜部における前記第2の角度が33°〜43°に設定されていることが好ましい。この構成によれば、十分な立体感が得られる視認性が高い出射角度を実現することができる。
【0018】
本発明の立体表示装置においては、前記プリズムの第1の傾斜部が、前記反射鏡体からの反射光を透過することができる傾斜角度に設定されていることが好ましい。この構成によれば、第1の傾斜部によって略法線方向の光を確実に透過させることができるため、プリズムからの光を反射鏡体により再度プリズムへ向けて反射させても、プリズムの発光形態がプリズム自体によって影響を受けるといった事態を回避することができ、プリズムの複雑で細かい形状形態の発光表示を容易、かつ、明確に行うことができる。
【0019】
本発明の立体表示装置においては、前記光拡散部が、前記主面に溝又は突起を設けることによって形成され、あるいは、前記主面の一部を梨地面とすることにより形成されることが好ましい。この構成によれば、導光部材の第1の主面に対して光拡散部を容易に形成できるとともに、光を効果的、かつ、均一に拡散させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の立体表示装置によれば、光源から光を受ける端面、並びに、互いに対向する一対の第1及び第2の主面を有する導光部材と、前記導光部材の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に設けられ、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第1の主面側に向けて光路変換する第1の光路変換手段と、前記導光部材の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に設けられ、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換する第2の光路変換手段と、前記第2の主面と対向して配置され、前記第2の光路変換手段からの光を前記第1の主面側に向けて反射する反射鏡体と、を具備するので、導光部材を用いて意匠性に富んだ立体表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の基本的な構成及び作用を各構成要素毎に分けて簡単に説明する。
【0022】
図1に示されるように、本発明に係る立体表示装置を構成する導光部材としての導光板1は、透明部材(光透過性材料)で構成され、図示しない光源から光Lを受けることができる一対の端面1a,1b(図1では第1の端面1aで光Lを受けている)と、端面1a,1bに対して直交するとともに互いに対向する一対の第1及び第2の主面1c,1dとを有している。
【0023】
また、導光板1の第1の主面1c上には、所定の形態をなす凹凸部によって形成される光路変換手段としてのプリズム5が形成されている。このプリズム5は、導光板1を通じて導かれる光源からの光Lを第2の主面1d側に向けて光路変換する。具体的に、プリズム5は、図1の(b)に拡大して示されるように、第1の主面1cに対して所定の第1の角度θ1で傾斜する第1の傾斜部としての緩斜面部5aと、第1の主面1cに対して第1の角度θ1よりも大きい第2の角度θ2で傾斜する第2の傾斜部としての急斜面部5bとが交互に配列されてなる略不等辺三角形状の凹凸部を有し、導光板1を通じて導かれる光源からの光Lを急斜面部5bの受光面8で受けて、第2の主面1d側に向けてのみ光路変換する。この場合、急斜面部5bの受光面8は、光源が位置する第1の端面1a側へと向けられており、この第1の端面1aから入射する光源からの光Lを効率的に第2の主面1d側に向けて光路変換できるようになっている。また、緩斜面部5aの傾斜角度θ1は、略法線方向(主面1c,1dに対して略垂直な方向)の光を透過することができる角度(例えば0.5°〜5°)に設定されている。なお、プリズム5を有するこのような導光部材1は、例えば射出成形によって形成することができる。
【0024】
また、導光板1の第1の主面1c上には、プリズム5の形成領域以外の部位に、図2に示されるような光路変換手段としての光拡散部17が設けられている。この光拡散部17は、導光板1の第1の主面1c上に所定の形態で図3の(a)のような溝19又は図3の(b)のような突起21を設けることによって形成され、あるいは、第1の主面の一部を梨地面とすることにより形成されており、導光板1を通じて導かれる光源からの光Lを第1及び第2の主面1c,1d側に向けて拡散させる。
【0025】
図4には、図1〜図3の構成要素を兼ね備えた本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置50が示されている。図示のように、本実施の形態の立体表示装置50は、導光板1と、導光板1の第1の端面1aに対向して配置された光源10と、第2の主面1dと対向して配置され、プリズム5からの光を第1の主面1c側に向けて反射する反射鏡体12とを備えてなる。この場合、光源10は、導光板1の第1の端面1aに沿って配置される線状導光板と、この線状導光板の両端に配置され、少なくとも1色の光を発するLEDとからなっていても良い。また、反射鏡体12は、その上面を導光板1の第2の主面1dに対向させて配置される透明部材12aと、透明部材12aの下面に設けられた反射膜12bとを有する。
【0026】
導光板1の第1の主面1cの中央には、第1の光路変換手段としての光拡散部17が円形の形態をなして形成されている。また、第1の主面1c上には、光拡散部17の全周を取り囲む環状の形態をなして第2の光路変換手段としてのプリズム5が同心的に形成されている。この場合、プリズム5の急傾斜部5bの受光面8は、第1の端面1a側へと向けられ、プリズム5の緩傾斜面部5aは、反射鏡体12からの反射光を透過することができる傾斜角度に設定されている。
【0027】
このような構成の立体表示装置50では、光源10が点灯されると、光源10から出射された光Lは、導光板1の第1の主面1cに形成されたプリズム5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換されると同時に、光拡散部17によって第1及び第2の主面1c,1d側に向けて拡散される。ここで、プリズム5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換された光L1は、第2の主面1dに向けて進行して反射鏡体12の反射膜12bにより反射された後、プリズム5の緩斜面部5aを透過して第1の主面1cから出射される。一方、光拡散部17によって第1の主面1c側に向けて拡散反射された光L2は、反射光L1と干渉することなく第1の主面1cから出射される。
【0028】
したがって、図5に示されるように、光拡散部17によって第1の主面1c側へと拡散して出射される光L2は、光拡散部17がなす円形形態で発光する実像として観察者に視認され、一方、プリズム5によって光路変換された光L1は、第2の主面1d側へと進行して反射鏡体12により第1の主面1c側へ反射されることにより、反射鏡体12に映る虚像5’(導光板1の虚像1’の一部)として観察者に視認されることになる。そのため、観察者は、プリズム5の環状形態(虚像5’)に対して光拡散部17の円形形態(実像17’)が浮き上がった立体像(図5の(a)参照)を見ることができる。
【0029】
なお、図5の(b)中、参照符号17”は、導光板1の虚像1’の一部として、光拡散部17により第2の主面1d側へ拡散された光が結像して得られる光拡散部17の虚像である。また、本実施の形態では、プリズム5及び拡散部17の形態が円状や環状などの幾何学的形状をなしているが、プリズム5及び拡散部17は、図形に限らず、文字、数字など、用途に応じた所望の形状に形成することができる。
【0030】
ところで、以上のような立体表示における立体感や輝度などといった光学的特性は、プリズム5や光拡散部17の形成形態、導光板1や反射鏡体12の厚さなどによって影響を受ける。図6には、前述した実施の形態における各種構成要素の具体的な寸法例が示されている。すなわち、この例では、プリズム5の不等辺三角形のピッチPが416.7μmに設定され、緩傾斜面部5aの傾斜角度(第1の角度)θ1が2.5°に設定されているとともに、急傾斜面部5bの傾斜角度(第2の角度)θ2が35°に設定されている。また、導光板1の厚さT1が0.8mmに設定され、反射鏡体12の透明部材12aの厚さT2が2.0mmに設定されている。このような寸法設定でも、十分な立体感及び良好な視認性が得られる。
【0031】
本発明者らは、導光板1を用いた上記構成の立体表示装置50において立体感のある表示を得るために好ましい観察角度範囲すなわち光出射角θ(図7参照;第1の主面1cから出射される光Lと法線Oとがなす角度)が5°〜45°であることを実験などにより知見した。出射角θがこの範囲であると、観察時に立体感が得られ易く、立体表示の視認性が良好である。
【0032】
プリズム5から反射鏡体12により反射されて第1の主面1c側から出射される光Lの第1の主面1cに対する出射角θは、急傾斜面部5bの傾斜角度(第2の角度)θ2によって制御できる。図8及び図9には、出射角θと急傾斜面部5bの傾斜角度θ2との関係が表及びグラフでそれぞれ示されている。これらの図から分かるように、出射角θと急傾斜面部5bの傾斜角度θ2との関係は、近似式:y=0.0066X−0.54X+45(X:出射角θ、y:傾斜角度θ2)で表わすこともでき、出射角θを5°〜45°の範囲に収めるためには急傾斜面部5bの傾斜角度θ2を33°〜43°の範囲内に設定すれば良いことが分かる。無論、前記近似式や設定角度範囲は、設計パラメータによって変動することは言うまでも無い。また、図10及び図11にはそれぞれ、急傾斜面部5bの所定の傾斜角度θ2(=40°,35°,33°)における出射角θと出射光の輝度との間の関係が表及びグラフで示されている。これらの図から分かるように、急傾斜面部5bの傾斜角度θ2が40°の場合、出射角θが10°付近で最も高い輝度が得られ、急傾斜面部5bの傾斜角度θ2が35°の場合、出射角θが25°付近で最も高い輝度が得られ、また、急傾斜面部5bの傾斜角度θ2が33°の場合、出射角θが35°付近で最も高い輝度が得られる。すなわち、急傾斜面部5bの傾斜角度θ2が大きければ大きいほど、小さな出射角θで高い輝度が得られる。
【0033】
図12には、前述した実施の形態の変形例が示されている。この変形例では、導光板1の第1の主面1cの中央に環状の形態をなして第2の光路変換手段としてのプリズム5が形成され、プリズム5の全周を取り囲むように環状溝19の形態をなす第1の光路変換手段としての光拡散部17が形成されている。この場合、一例として、プリズム5の不等辺三角形のピッチPは416.7μmに設定され、緩傾斜面部5aの傾斜角度(第1の角度)θ1は2.5°に設定されるとともに、急傾斜面部5bの傾斜角度(第2の角度)θ2は35°に設定される。また、導光板1の厚さT1は0.8mmに設定され、反射鏡体12の透明部材12aの厚さT2は2.0mmに設定され、また、光拡散部17の溝幅Wは0.5mmに設定される。
【0034】
本変形例の場合も、光拡散部17によって第1の主面1c側へと拡散して出射される光は、光拡散部17がなす環状形態で発光する実像として観察者に視認され、一方、プリズム5によって光路変換された光は、第2の主面1d側へと進行して反射鏡体12により第1の主面1c側へ反射されることにより、反射鏡体12に映る虚像として観察者に視認されることになる。そのため、観察者は、プリズム5の環状形態(虚像)に対して光拡散部17の環状形態(実像17’)が浮き上がった立体像(図12の(b)参照)を見ることができる。
【0035】
図13には、本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置50Aが示されている。図示のように、本実施の形態の立体表示装置50Aにおいて、導光板1の第2の主面1dの中央には、第1の光路変換手段としての光拡散部17が円形の形態をなして形成されている。また、第2の主面1d上には、光拡散部17の全周を取り囲む環状の形態をなして第2の光路変換手段としてのプリズム5が同心的に形成されている。この場合、プリズム5は、第1の実施の形態におけるそれと傾斜面の向きが逆向きに設定されている。
【0036】
このような構成の立体表示装置50Aでは、光源10が点灯されると、光源10から出射された光Lは、導光板1の第2の主面1dに形成されたプリズム5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換されると同時に、光拡散部17によって第1及び第2の主面1c,1d側に向けて拡散される。ここで、プリズム5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換された光L1は、第2の主面1dから出射されて反射鏡体12の反射膜12bにより反射された後、プリズム5の緩斜面部5aを透過して第1の主面1cから出射される。一方、光拡散部17によって第1の主面1c側に向けて拡散反射された光L2は、反射光L1と干渉することなく第1の主面1cから出射される。
【0037】
したがって、図5に示される場合と同様に、光拡散部17によって第1の主面1c側へと拡散して出射される光L2は、光拡散部17がなす円形形態で発光する実像として観察者に視認され、一方、プリズム5によって光路変換された光L1は、第2の主面1d側から出射されて反射鏡体12により第1の主面1c側へ反射されることにより、反射鏡体12に映る虚像として観察者に視認されることになる。そのため、観察者は、プリズム5の環状形態に対して光拡散部17の円形形態が浮き上がった立体像を見ることができる。このような構成によれば、出射面として外部に晒される第1の主面1cに光路変換手段としてのプリズム5や拡散部17が設けられていない(プリズム5や拡散部17が外部に晒されない第2の主面1dのみに設けられている)ため、これらの光路変換手段を外部のストレスなどから保護することができる。
【0038】
図14には、本発明の第3の実施の形態に係る立体表示装置50Bが示されている。図示のように、本実施の形態の立体表示装置50Bにおいて、導光板1の第1及び第2の主面1c,1dの両方には、第1の光路変換手段としての光拡散部17,17が所定の形態をなして互いに対向しないように形成されている。また、第1及び第2の主面1c,1d上には、光拡散部17,17の形成部位以外の部位に所定の形態をなして第2の光路変換手段としてのプリズム5,5が互いに対向することなく形成されている。この場合、第2の主面1cに形成されるプリズム5は、第2の主面1dに形成されるプリズム5と傾斜面の向きが逆向きに設定されている。
【0039】
このような構成の立体表示装置50Bでは、光源10が点灯されると、光源10から出射された光Lは、導光板1の第1及び第2の主面1c,1dの両方に形成されたプリズム5,5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換されると同時に、光拡散部17によって第1及び第2の主面1c,1d側に向けて拡散される。ここで、両方の主面1c,1dに形成された両プリズム5,5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換された光L1は、第2の主面1dから出射されて反射鏡体12の反射膜12bにより反射された後、プリズム5の緩斜面部5aを透過して第1の主面1cから出射される。一方、両方の主面1c,1dに形成された両光拡散部17,17によって第1の主面1c側に向けて拡散反射された光L2は、反射光L1と干渉することなく第1の主面1cから出射される。
【0040】
したがって、このような構成においても、両光拡散部17,17によって第1の主面1c側へと拡散して出射される光L2は、光拡散部17がなす形態で発光する実像として観察者に視認され、一方、両プリズム5,5によって光路変換された光L1は、第2の主面1d側から出射されて反射鏡体12により第1の主面1c側へ反射されることにより、反射鏡体12に映る虚像として観察者に視認されることになる。そのため、観察者は、プリズム5,5の形態に対して光拡散部17,17の形態が浮き上がった立体像を見ることができる。なお、このような構成によれば、発光位置が異なる4つの階層の光らせ方が可能になるため、意匠性が格段に向上する。
【0041】
図15には、本発明の第4の実施の形態に係る立体表示装置50Cが示されている。図示のように、本実施の形態の立体表示装置50Cにおいて、導光板1の第2の主面1dには、第1の光路変換手段としてのプリズム5が所定の形態をなして形成されている。また、第1の主面1c上には、第2の主面1d上のプリズム5と対向しないように所定の形態をなして第2の光路変換手段としてのプリズム5が形成されている。この場合、第2の主面1cに形成されるプリズム5は、第2の主面1dに形成されるプリズム5と傾斜面の向きが逆向きに設定されている。
【0042】
このような構成の立体表示装置50Cでは、光源10が点灯されると、光源10から出射された光Lは、導光板1の第1の主面1cに形成されたプリズム5の急斜面部5bの受光面8によって第2の主面1dに向けて光路変換されると同時に、導光板1の第2の主面1dに形成されたプリズム5の急斜面部5bの受光面8によって第1の主面1cに向けて光路変換される。すなわち、第1の主面1cに形成されたプリズム5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換された光L1は、第2の主面1dから出射されて反射鏡体12の反射膜12bにより反射された後、プリズム5の緩斜面部5aを透過して第1の主面1cから出射される。一方、第2の主面1dに形成されたプリズム5の急斜面部5bの受光面8によって光路変換された光L2は、反射光L1と干渉することなくそのまま第1の主面1cから出射される。
【0043】
したがって、このような構成においても、第2の主面1dに形成されたプリズム5によって反射されてそのまま第1の主面1cから出射される光L2は、当該プリズム5なす形態で発光する実像として観察者に視認され、一方、第1の主面1cに形成されたプリズム5によって光路変換された光L1は、第2の主面1d側から出射されて反射鏡体12により第1の主面1c側へ反射されることにより、反射鏡体12に映る虚像として観察者に視認されることになる。そのため、観察者は、第1の主面1cに形成されたプリズム5の形態に対して第2の主面1dに形成されたプリズム5の形態が浮き上がった立体像を見ることができる。なお、このような構成によれば、拡散部17が設けられていないため、導光部材1が非発光時に完全に透明となり、意匠性が向上する。
【0044】
以上説明したように、前述した実施の形態及び変形例に係る立体表示装置50,50A,50B,50Cによれば、観察者は、第2の光路変換手段の形態(虚像)に対して第1の光路変換手段の形態(実像)が浮き上がった立体像を見ることができる。そのため、意匠性に富んだ発光表示を実現することができる。
【0045】
また、前述した実施の形態及び変形例の立体表示装置50,50A,50B,50Cにおいて、プリズム5は、緩傾斜面部5aと急斜面部5bとが交互に配列されてなる略不等辺三角形状の凹凸部を有し、光源からの光を急斜面部5bで受けて光路変換するようになっている。そのため、光源10からの光を緩傾斜面部5aによって導光板1内部へと効率的に導くことができるとともに、その導かれた光を急斜面部5bによって効果的に光路変換させることができる一方で、緩傾斜面部5aによって略法線方向の光を透過させることも可能になり、プリズム5の複雑で細かい形状形態の発光表示を容易、かつ、明確に行うことができるようになる。
【0046】
また、前述した実施の形態及び変形例の立体表示装置50,50A,50B,50Cにおいては、プリズム5から反射鏡体12により反射されて第1の主面1c側から出射される光の第1の主面1cに対する出射角度θが、急斜面部5bの傾斜角度θ2によって制御されるようになっている。したがって、急斜面部5bの傾斜角度θ2を変えるだけで光の出射角θを変化させることができ、立体感や輝度の調整がし易くなる。
【0047】
また、前述した実施の形態及び変形例の立体表示装置50,50A,50B,50Cにおいて、プリズム5の緩傾斜面部5aは、反射鏡体12からの反射光を透過することができる傾斜角度に設定されている。そのため、緩傾斜面部5aによって略法線方向の光を確実に透過させることができ、プリズム5からの光を反射鏡体12により再度プリズム5へ向けて反射させても、プリズム5の発光形態がプリズム5自体によって影響を受けるといった事態を回避することができる。したがって、プリズム5の複雑で細かい形状形態の発光表示を容易、かつ、明確に行うことができる。
【0048】
また、前述した実施の形態及び変形例の立体表示装置50,50A,50Bにおいて、光拡散部17は、主面1c,1dに溝又は突起を設けることによって形成され、あるいは、主面1c,1dの一部を梨地面とすることにより形成されている。そのため、導光板1の主面1c,1dに対して光拡散部17を容易に形成できるとともに、光を効果的、かつ、均一に拡散させることができる。
【0049】
なお、上記構成の立体表示装置50,50A,50B,50Cをタッチパネルなどの入力装置と組み合わせれば、立体感のある平面入力装置を実現することもできる。
【0050】
上記実施の形態で説明した数値や材質については特に制限はない。また、上記実施の形態で説明した構成についてはこれに限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の立体表示装置の導光板の構成及び作用を示すための図であり、(a)は導光板の断面図、(b)は導光板に形成されたプリズムの拡大図である。
【図2】本発明の立体表示装置の導光板の構成及び作用を示すための図であり、導光板に光拡散部を設けた際の光の散乱状態を示す図である。
【図3】光拡散部の各種形態を示し、(a)は溝状の光拡散部を示す断面図、(b)は突起状の光拡散部の断面図である。
【図4】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の斜視図、(b)は(a)の立体表示装置の断面図である。
【図5】(a)は図4の立体表示装置によって得られる立体像を概略的に示す斜視図、(b)は図4の立体表示装置における光の反射・拡散状態を示す図である。
【図6】(a)は具体的な寸法が設定された図4の立体表示装置の一例を示す概略図、(b)は光拡散部の実像がプリズムの虚像に対して浮き上がった立体表示を示す斜視図である。
【図7】導光板の第1の主面から光が出射される状態を示す断面図である。
【図8】出射角θと急傾斜面部の傾斜角度θ2との関係を示す表である。
【図9】出射角θと急傾斜面部の傾斜角度θ2との関係を示すグラフである。
【図10】急傾斜面部の所定の傾斜角度における出射角θと出射光の輝度との間の関係を示す表である。
【図11】急傾斜面部の所定の傾斜角度における出射角θと出射光の輝度との間の関係を示すグラフである。
【図12】(a)は具体的な寸法が設定された変形例に係る立体表示装置の概略図、(b)は光拡散部の実像がプリズムの虚像に対して浮き上がった立体表示を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置の断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る立体表示装置の断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る立体表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 導光板
1a,1b 端面
1c 第1の主面
1d 第2の主面
5 プリズム(光路変換手段)
5a 緩傾斜面部
5b 急傾斜面部
8 受光面
10 光源
12 反射鏡体
17 光拡散部(光路変換手段)
50,50A,50B,50C 立体表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から光を受ける端面、並びに、互いに対向する一対の第1及び第2の主面を有する導光部材と、前記導光部材の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に設けられ、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第1の主面側に向けて光路変換する第1の光路変換手段と、前記導光部材の前記第1及び第2の主面の少なくとも一方に設けられ、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換する第2の光路変換手段と、前記第2の主面と対向して配置され、前記第2の光路変換手段からの光を前記第1の主面側に向けて反射する反射鏡体と、を具備することを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
前記第1の光路変換手段は、前記第1の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を拡散させる光拡散部からなり、前記第2の光路変換手段は、前記第1の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることを特徴とする請求項1記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記第1の光路変換手段は、前記第2の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を拡散させる光拡散部からなり、前記第2の光路変換手段は、前記第2の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることを特徴とする請求項1記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記第1の光路変換手段は、前記第1及び第2の主面の両方に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を拡散させる光拡散部からなり、前記第2の光路変換手段は、前記第1及び第2の主面の両方に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることを特徴とする請求項1記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記第1の光路変換手段は、前記第2の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第1の主面側に向けて光路変換するプリズムからなり、前記第2の光路変換手段は、前記第1の主面に設けられるとともに、前記導光部材を通じて導かれる光を前記第2の主面側に向けて光路変換するプリズムからなることを特徴とする請求項1記載の立体表示装置。
【請求項6】
前記プリズムは、前記主面に対して所定の第1の角度で傾斜する第1の傾斜部と、前記主面に対して第1の角度よりも大きい第2の角度で傾斜する第2の傾斜部とが交互に配列されてなる略不等辺三角形状の凹凸部を有し、光源からの光を前記第2の傾斜部で受けて光路変換することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の立体表示装置。
【請求項7】
前記反射鏡体により反射されて前記第1の主面側から出射される光の前記第1の主面に対する出射角度が、前記第2の傾斜部における前記第2の角度によって制御されることを特徴とする請求項6記載の立体表示装置。
【請求項8】
前記出射角度が5°〜45°に設定されていることを特徴とする請求項7記載の立体表示装置。
【請求項9】
前記第2の傾斜部における前記第2の角度が33°〜43°に設定されていることを特徴とする請求項8記載の立体表示装置。
【請求項10】
前記プリズムの第1の傾斜部は、前記反射鏡体からの反射光を透過することができる傾斜角度に設定されていることを特徴とする請求項6記載の面発光装置。
【請求項11】
前記光拡散部は、前記主面に溝又は突起を設けることによって形成され、あるいは、前記主面の一部を梨地面とすることにより形成されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の立体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−127871(P2007−127871A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321067(P2005−321067)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】