立体駐車装置
【課題】装置全体の高さを低くする。
【解決手段】駐車装置10は、上下方向に延在しパレット16a,16b,17の昇降をガイドするためのレール25と、パレット17に固定され、レール25に係合する先端部37を有するガイド27と、パレット16aに固定され、レール25に係合する先端部28を有するガイド26aと、パレット16bに固定され、レール25に係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部33を有するガイド26bと、を備え、レール5には、パレット16a,16bの横行の際に先端部28,33が挿通する切欠部41,42が形成され、先端部37の上下幅は、切欠部41,42の上下幅よりも大きくされ、先端部33の数は、切欠部41の数よりも多くされている。以上により、駐車装置10では、上段側のパレットに行くに従ってそのガイド部材の上下幅を大きくする必要性が低減されている。
【解決手段】駐車装置10は、上下方向に延在しパレット16a,16b,17の昇降をガイドするためのレール25と、パレット17に固定され、レール25に係合する先端部37を有するガイド27と、パレット16aに固定され、レール25に係合する先端部28を有するガイド26aと、パレット16bに固定され、レール25に係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部33を有するガイド26bと、を備え、レール5には、パレット16a,16bの横行の際に先端部28,33が挿通する切欠部41,42が形成され、先端部37の上下幅は、切欠部41,42の上下幅よりも大きくされ、先端部33の数は、切欠部41の数よりも多くされている。以上により、駐車装置10では、上段側のパレットに行くに従ってそのガイド部材の上下幅を大きくする必要性が低減されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の立体駐車装置としては、車両が入出する入出段に配置され横行可能な入出段パレットと、最上段に配置され昇降可能な最上段パレットと、最上段と入出段との間の中間段に配置され横行可能且つ昇降可能な中間段パレットと、を備えた昇降横行式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような立体駐車装置では、最上段及び中間段パレットに、上下方向に延びるガイドレールに係合するガイド部材がそれぞれ設けられており、これにより、最上段及び中間段パレットの昇降がガイドされている。また、ガイドレールには、中間段パレットの横行に際してガイド部材との干渉を避けるため、ガイド部材が挿通する切欠部が該ガイド部材に対応して形成されている。
【0004】
このような立体駐車装置においては、上段側に行くに従って、パレットに設けられたガイド部材及び該ガイド部材に対応する切欠部の上下方向の幅が大きくなるように構成されている。これにより、パレットが昇降する際、昇降するパレットに設けられたガイド部材が、それより下段のパレットの横行用としての切欠部から脱落するのが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2936509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、近年の立体駐車装置においては、例えば敷地内における建物建設可能面積の自由度を高める観点から、装置全体の高さを低くすることが望まれている。この点、上記の立体駐車装置では、前述のように、上段側のパレット程ガイド部材の上下方向の幅が大きくされることから、最上段のパレットのガイド部材にあっては、その上下方向の幅が累積的に大きくなってしまうため、装置全体の高さを低くすることが困難となるおそれがある。かかる問題は、パレットの段数が増えるにつれて顕著となる。
【0007】
そこで、本発明は、装置全体の高さを低くすることができる立体駐車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る立体駐車装置は、車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、最上段に配置され、入出段から最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、最上段と入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、最上段と第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、上下方向に沿って延在し、最上段パレット、第1中間段パレット及び第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ1つ又は上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、ガイドレールには、第1中間段パレットの横行の際に第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して1又は複数形成されていると共に、第2中間段パレットの横行の際に第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、第1及び第2切欠部のそれぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、第2中間段ガイド部材の先端部の数は、第2中間段ガイド部材が第1切欠部から脱落しないように第1切欠部の数よりも多くされていることを特徴とする。
【0009】
この立体駐車装置では、第2中間段ガイド部材が、上下方向に分割されてなる複数の先端部を有している。そして、これらの先端部の数が第1切欠部の数よりも多くされることにより、第2中間段パレットの昇降の際、第2中間段ガイド部材がガイドレールの第1切欠部から脱落しないようになっている。そのため、上段側のパレットに行くに従ってそのガイド部材の上下方向の幅を大きくする必要性が低く、よって、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを抑制することができる。その結果、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【0010】
ここで、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを抑制して装置全体の高さを低くするという上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第1中間段ガイド部材の先端部及び第2中間段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は互いに等しいと共に、第1及び第2切欠部の上下方向における幅は互いに等しい構成が挙げられる。
【0011】
また、第2中間段パレットは、最上段と第1中間段との間に多段に複数配置されており、第2中間段ガイド部材の先端部の数及び第2切欠部の数は、第2中間段パレットのうち下段の第2中間段パレットにおける第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部から、上段の第2中間段パレットの第2中間段ガイド部材が脱落しないように、上段に行くに従って多くされていることが好ましい。この場合、第2中間段ガイド部材の先端部の数及び第2切欠部の数が上段に行くに従って多くされることにより、第2中間段パレットのうち下段の第2中間段パレットの横行用としての第2切欠部から、上段の第2中間段パレットの第2中間段ガイド部材が脱落しないようになっている。よって、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを一層抑制することができる。
【0012】
このとき、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを抑制して装置全体の高さを低くするという上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第2中間段ガイド部材の先端部それぞれの上下方向における幅は互いに等しいと共に、第2切欠部それぞれの上下方向における幅は互いに等しい構成が挙げられる。
【0013】
また、本発明に係る立体駐車装置は、車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、最上段に配置され、入出段から最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、最上段と入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、最上段と第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、上下方向に沿って延在し、最上段パレット、第1中間段パレット及び第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、ガイドレールには、第1中間段パレットの横行の際に第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して複数形成されていると共に、第2中間段パレットの横行の際に第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、第1及び第2切欠部それぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、第2中間段パレットの先端部それぞれの位置関係と第1切欠部それぞれの位置関係とは、第2中間段ガイド部材が第1切欠部から脱落しないように互いに異なっていることを特徴とする。
【0014】
この立体駐車装置では、第2中間段ガイド部材が、上下方向に分割されてなる複数の先端部を有している。そして、これらの先端部の互いの位置関係が、第1切欠部の互いの位置関係と異なっていることにより、第2中間段パレットの昇降の際、第2中間段ガイド部材がガイドレールの第1切欠部から脱落しないようになっている。そのため、上段側のパレットに行くに従ってそのガイド部材の上下方向の幅を大きくする必要性が低く、よって、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくなるのを抑制することができる。その結果、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図である。
【図2】図1の立体駐車装置を示す側面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】図1の立体駐車装置のパレットの後側を上方から見た一部断面図である。
【図5】図1の立体駐車装置の要部を示す拡大側断面図である。
【図6】図1の立体駐車装置のガイド部材を示す側面図である。
【図7】図1の立体駐車装置の動作を説明するための概略正面図である。
【図8】(a)は図1の立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図であり、(b)は従来の立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図、図2は図1の立体駐車装置を示す側面図、図3は図2の一部拡大図、図4は図1の立体駐車装置のパレットの後側を上方から見た一部断面図である。図1に示すように、本実施形態の立体駐車装置10は、自動車等の車両Cが載置される複数のパレットが多段に配置されてなるマンション向け立体駐車装置であり、昇降横行式の後進乗り入れ型多段立体駐車装置である。
【0019】
ここでの立体駐車装置10は、地上4段の3列構造を有しており、具体的には、地上面1に位置する地上段(入出段)G、最上位置の最上段T、地上段Gと最上段Tとの間に位置する中間段(第1中間段)M1,及び最上段Tと中間段M1との間に位置する中間段(第2中間段)M2を含む構造を有している。
【0020】
また、立体駐車装置10は、最上段Tにおいて車両Cを横並びにして3台駐車可能な3列(3連基)構造とされており、その結果、最大9台の車両Cを駐車し収容する。立体駐車装置10では、ゲート11が開かれ、地上段Gに位置する車両Cが出庫される、或いは地上面1から車両Cが入庫されることになる。なお、以下の説明では、立体駐車装置10において車両Cが入出する側を前側とし、車両Cが横並びに並ぶ方向を左右方向(横方向、横行方向)とし、高さ方向を上下方向(鉛直方向、昇降方向)として説明する。
【0021】
図1,2に示すように、立体駐車装置10の骨格構造は、支柱12が梁13と剛接合してなるラーメン構造とされており、地上面1に立設されたH形鋼からなる8本の支柱12a〜12hを備えている。支柱12a〜12dは後側にて左右方向に並設され、支柱12e〜12hは前側にて左右方向に沿って並設されている。支柱12a〜12hには、その上部にて前後方向に延在する縦梁13aが架設されていると共に、左右方向に延在する横梁13bが架設されている。
【0022】
この立体駐車装置10は、車両Cが積載(載置)され上方から見て矩形状のパレット14として、地上段パレット(入出段パレット)15、中間段パレット(第1中間段パレット)16a、中間段パレット(第2中間段パレット)16b及び最上段パレット17を備えている。
【0023】
最上段パレット17は、最上段Tに配置され、左右方向に複数(ここでは3つ)並設されている。この最上段パレット17は、水平状態が保持されるよう縦梁13aに吊チェーン18で吊下支持されており、吊チェーン18は、縦梁13aに設けられた巻上装置19に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされている。これにより、最上段パレット17は、地上段G及び最上段Tを停位置として、地上段Gから最上段Tまで昇降可能になっている。
【0024】
中間段パレット16aは、中間段M1に配置され、左右方向に複数(ここでは2つ)並設されている。図3に示すように、中間段パレット16aは、矩形枠体である支持枠20aに対し水平状態が保持されるよう吊チェーン21aで吊下支持されている。吊チェーン21aは、支持枠20aに設けられた巻上装置22に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされている。これにより、中間段パレット16aは、地上段G及び中間段M1を停位置として地上段Gから中間段M1まで昇降可能に構成されている。
【0025】
支持枠20aは、その前後端部に設けられた複数の車輪23を有すると共に、左右方向に延在し且つ支柱12a〜12hに架設された横行ガイドレール24に車輪23を介して支持されている。横行ガイドレール24は、支持枠20aを左右方向に沿ってガイドするためのものであり、車輪23を係合している。車輪23は、支持枠20aに設けられたモータ(不図示)の駆動によって回転されることで、横行ガイドレール24上を該横行ガイドレール24に沿って摺動する。これにより、支持枠20a及びこれに吊下された中間段パレット16aは、共だって横行(スライド移動)可能になっている。
【0026】
図2に示すように、中間段パレット16bは、上記中間段パレット16aと同様な構成とされている。つまり、中間段M2に配置され、左右方向に複数(ここでは2つ)並設され、矩形枠体である支持枠20bに対し水平状態が保持されるよう吊チェーン21bで吊下支持されている。吊チェーン21bは、支持枠20bに設けられた巻上装置22に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされ、これにより、中間段パレット16bは、地上段G及び中間段M2を停位置として地上段Gから中間段M2まで昇降可能になっている。
【0027】
支持枠20bは、前後端部に設けられた複数の車輪23を有すると共に、横行ガイドレール24に車輪23を介して支持されている。車輪23は、支持枠20bに設けられたモータ(不図示)の駆動によって回転されることで、横行ガイドレール24上を該横行ガイドレール24に沿って摺動し、これにより、支持枠20b及びこれに吊下された中間段パレット16bは、共だって横行(スライド移動)可能になっている。
【0028】
地上段パレット15は、地上段Gに配置され、左右方向に複数(ここでは2つ)並設されている。この地上段パレット15は、左右方向に延在するガイドレールに車輪を介して支持されており、モータの駆動によって車輪が回転されることで、ガイドレール上を該ガイドレールに沿って摺動する。これにより、地上段パレット15は、横行可能になっている。
【0029】
図5は図1の立体駐車装置の要部を示す拡大側断面図、図6は図1の立体駐車装置のガイド部材を示す側面図である。図5に示すように、立体駐車装置10は、最上段パレット17及び中間段パレット16a,16bの昇降をガイドするためのものとして、上下方向に延在すると共に横行ガイドレール24と交差するよう設けられた昇降ガイドレール(ガイドレール)25を備えている。昇降ガイドレール25において横行ガイドレール24との交差部分の上部には、車輪23が挿通するものとして前方及び左右に開口する切欠部26が形成されており、これにより、昇降ガイドレール25と車輪26との干渉が回避されている。
【0030】
この昇降ガイドレール25は、図4に示すように、右側昇降ガイドレール25R及び左側昇降ガイドレール25Lを含み、これらが立体駐車装置10における列数だけ後側の支柱12に設けられている。具体的には、右側昇降ガイドレール25Rは、水平断面L字状の板状レールプレートであって、パレット14の右後方に位置する支柱12の前面から前方に延びた後、パレット14側に向けて左右方向に延びるように構成されている。左側昇降ガイドレール25Lは、水平断面L字状の板状レールプレートであって、パレット14の右後方に位置する支柱2の前面から前方に延びた後、パレット14側に向けて左右方向に延びるように構成されている。
【0031】
そして、立体駐車装置10は、昇降ガイドレール25と係合し該昇降ガイドレール25に沿って可動なものとして、パレット14の左右後端部それぞれにボルト固定され後方に突出するように構成されたガイド部材5を備えている。具体的には、図5に示すように、中間段パレット16aにボルト固定された中間段ガイド部材(第1中間段ガイド部材)26a、中間段パレット16bにボルト固定された中間段ガイド部材(第2中間段ガイド部材)26b、及び最上段パレット17にボルト固定された最上段ガイド部材27を備えている。
【0032】
図6(a)に示すように、中間段ガイド部材26aは、板状構造を呈しており、横行方向から見て、中間段パレット16a側から先端側に向けて上下方向の幅(以下、単に「上下幅」という)が変化しないように真っ直ぐ延びた後、かかる上下幅が狭小され、先端部(つまり、中間段パレット16aの後端部)28にて上下幅が所定幅aとされている。ここでは、所定幅aは、昇降ガイドレール25と適切に係合する上で好ましいものとして例えば50mmとされている。
【0033】
この中間段ガイド部材26aの先端部28は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。先端部28には、上下方向に延在する一対のプレート29a,29bが設けられている。これらプレート29a,29bにより、中間段ガイド部材26aの先端部28には、昇降ガイドレール25と係合する係合部としてのガイド溝30が形成されることになる。また、ガイド溝30の下部及び上部には、プレート29a,29b間の隙間が漸次広がっているロート状のレール受口31が形成されている。
【0034】
図6(b)に示すように、中間段ガイド部材26bは、板状構造を呈しており、横行方向から見て、中間段パレット16b側から先端側に向けて上下幅が徐々に拡大するようにその上縁が傾斜して延びている。そして、中間段ガイド部材26bは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部33,33を含んでいる。先端部33の上下幅は、上記先端部28と等しい所定幅aとされている。
【0035】
この中間段ガイド部材26bの先端部33は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。先端部33には、上記先端部28と同様に、上下方向に延在する一対のプレート29a,29bがそれぞれ設けられ、ガイド溝30が形成されていると共に、ガイド溝30の下部及び上部には、プレート29a,29b間の隙間が漸次広がっているロート状のレール受口31が形成されている。
【0036】
図6(c)に示すように、最上段ガイド部材27は、板状構造を呈しており、横行方向から見て、最上段パレット17側から先端側に向けて上下幅が徐々に拡大するようにその上縁が傾斜して延びている。そして、先端部37の上下幅は、後述の所定幅aよりも大きい所定幅bとされている。ここでは、所定幅bは、最上段パレット17の停止位置のバラツキが考慮された例えば150mmとされている。
【0037】
この最上段ガイド部材27の先端部37は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。この先端部37には、上記先端部28と同様に、上下方向に延在する一対のプレート29a,29bがそれぞれ設けられ、ガイド溝30が形成されていると共に、ガイド溝30の下部及び上部には、プレート29a,29b間の隙間が漸次広がっているロート状のレール受口31が形成されている。
【0038】
なお、中間段ガイド部材26a,26b及び最上段ガイド部材27のそれぞれには、水平面に沿って配設された板状のリブ40が設けられており、その剛性を高められている。
【0039】
ここで、図5に戻り、本実施形態の立体駐車装置10の昇降ガイドレール25には、切欠部(第1切欠部)41及び切欠部(第2切欠部)42が形成されている。切欠部41は、中間段パレット16aの横行の際に中間段ガイド部材26aの先端部28が挿通するものである。切欠部41は、中間段ガイド部材26aの先端部28に対応して形成されており、ここでは、その数が1つとされている。つまり、上記中間段ガイド部材26bの先端部33の数が、切欠部41の数よりも多いことになる。また、切欠部41は、横行方向視においてその縁が先端部28と同形状(相似形状)の矩形形状にされている。
【0040】
この切欠部41は、中間段ガイド部材26aの先端部28に対応する高さ位置において、位置前方及び左右に開口している。この切欠部41の上下幅(切欠幅)は、先端部28の上下幅よりも大きい所定幅Aとされており、ここでは、中間段パレット16aの停止位置のバラツキが考慮された100mm(先端部28の所定幅aの約2倍)とされている。
【0041】
切欠部42は、中間段パレット16bの横行の際に中間段ガイド部材26bの先端部33が挿通するものである。切欠部42は、中間段ガイド部材26bの先端部33,33に対応して形成されており、ここでは、その数が2つとされている。切欠部42は、横行視においてその縁が先端部33と同形状の矩形形状にされている。
【0042】
これら第2切欠部42,42は、中間段ガイド部材26bの先端部33,33に対応する高さ位置のそれぞれにおいて位置前方及び左右に開口している。切欠部42の上下幅は、先端部33の上下幅よりも大きく且つ切欠部41の上下幅と等しい所定幅Aとされている。なお、各所定幅a,b,Aについてまとめると、これらの関係は下式(1)となっている。
所定幅a<所定幅A<所定幅b …(1)
【0043】
次に、上述した立体駐車装置10の動作について説明する。
【0044】
図7(a)に示す初期状態において、例えば最上段パレット17に載置した車両Cを出庫させる場合、前側の支柱12eに設けられた操作盤44(図1参照)が利用者により操作されると、まず、昇降ルートLa及び着床地点Paを確保すべく、中間段パレット16a,16b及び地上段パレット15が適宜横行されて待避される。
【0045】
具体的には、図5及び図7(b)に示すように、最上段パレット17の真下の中間段パレット16a,16bを吊下する支持枠20a,20bにてモータが駆動されて車輪23が適宜回転されることで、中間段パレット16a,16bが支持枠20a,20bと一緒に横行ガイドレール24に沿って横行される。これと共に、最上段パレット17の真下の地上段パレット15にてモータが駆動されて車輪が適宜回転され、地上段パレット15がガイドレールに沿って横行される。
【0046】
続いて、図5及び図7(c)に示すように、巻上装置22が駆動されて最上段パレット17に接続された吊チェーン18が巻き下げられ、最上段パレット17が昇降ガイドレール25に沿って下降し、着床地点Paにて停止する。この昇降の際、上述したように、最上段ガイド部材27のガイド溝30が昇降ガイドレール25に係合していることから、最上段パレット17にあっては、例えば強風、地震及び風雨等に起因した横揺れ(ズレ)が抑制されつつ昇降ガイドレール25に沿ってガイドされながら昇降されることになる。そしてその後、着床地点Paにて車両Cが前進され、出庫が完了する。
【0047】
なお、車両Cを入庫時の動作ついても、上述した出庫時の動作と同様である。また、中間段パレット16a,16bに載置された車両Cを出庫させる場合についても、最上段パレット17に載置された車両Cを出庫させる場合と同様である。
【0048】
ここで、図6(c)及び図8(a)に示すように、本実施形態では、前述のように、最上段ガイド部材27の先端部37の上下幅が、切欠部41,42のそれぞれの上下幅よりも大きい所定幅bとされている。よって、最上段パレット17が昇降する際、切欠部41,42から最上段ガイド部材27の先端部37が脱落して(一旦外れて)フリーな状態となることが抑制され、最上段パレット17が確実且つ精度よく昇降されることになる。
【0049】
さらに、上述したように、上段の中間段ガイド部材26bは、上下方向に2分割されてなる複数の先端部33,33を含んで構成されており、その数が下段の中間段ガイド部材26aの先端部28が挿通する切欠部41の数よりも多くなっている。つまり、中間段ガイド部材26bの先端部32の分割数は、切欠部41の分割数に対し多くされている。そして、中間段ガイド部材26aの先端部28及び中間段ガイド部材26bの先端部33,33のそれぞれは、その上下幅が互いに等しくされていると共に、第1及び第2切欠部41,42のそれぞれは、その上下幅が互いに等しくされている。
【0050】
よって、中間段パレット16bが昇降する際、切欠部41から中間段ガイド部材26bの先端部33,33の一方がたとえ外れたとしても、他方が外れない状態にされるため、中間段ガイド部材26bが脱落してフリーな状態となることが抑制され、中間段パレット16bが確実且つ精度よく昇降されることになる。つまり、中間段パレット16bの昇降時に、中間段ガイド部材26bが昇降ガイドレール25から完全に外れることがなく、その少なくとも一部が昇降ガイドレール25に係合する状態を維持することが可能となる。
【0051】
以上、本実施形態の立体駐車装置10では、図8(b)に示す従来の立体駐車装置100のように、上段側のパレット14に行くに従ってガイド部材5の上下幅を大きくする必要が無く、よって、最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを抑制することができ、装置全体の高さHを低くすること(低背化)が可能となる。その結果、敷地内における建物建設可能面積の自由度を高めることができ、例えば法規上の理由(建ぺい率等)により限定された高さの中で、車高の高い車両Cの格納が可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態では、上述したように、中間段ガイド部材26aの先端部28及び中間段ガイド部材26bの先端部33,33の上下幅が、互いに等しく一定であることから、最上段ガイド部材27の上下幅を一層小さくすることが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態では、中間段ガイド部材26aが1つの先端部28を有し、昇降ガイドレール25には1つの切欠部41が形成されているが、先端部33の数が切欠部41の数よりも多くされていれば、中間段ガイド部材26aが上下方向に分割されてなる複数の先端部を有していてもよい。これについては、後述の第2,3実施形態についても同様である。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0055】
図9は本発明の第2実施形態に係る立体駐車装置における要部を示す概略側面図である。図9に示すように、本実施形態の立体駐車装置50が上記立体駐車装置10(図8(a)参照)と異なる点は、最上段Tと中間段M2との間に中間段M3が形成され、この中間段M3に配置された中間段パレット16cをさらに備えた点である。
【0056】
中間段パレット16cは、上記中間段パレット16a,16bと同様な構成を有しており、地上段Gから中間段M3まで昇降可能且つ横行可能に構成されている。この中間段パレット16cには、中間段ガイド部材26cが固定されている。
【0057】
中間段ガイド部材26cは、板状構造を呈しており、中間段パレット16cの左右後端部それぞれに固定され後方に突出するように構成されている。この中間段ガイド部材26cは、横行方向から見て、中間段パレット16c側から先端側に向けて上下幅が徐々に拡大するようにその上縁が傾斜して延びている。そして、中間段ガイド部材26cは、上下方向に分割されてなる3つの先端部52,52,52を含んでいる。換言すると、中間段ガイド部材26cの先端部52の数は、切欠部42の数よりも多くされている。先端部52の上下幅は、上記先端部28,33と等しい所定幅aとされている。
【0058】
この中間段ガイド部材26cの先端部52は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。先端部52には、上下方向に延在する一対のプレート(不図示)が設けられている。この一対のプレート間によって、ガイド溝が昇降ガイドレール25と係合する係合部として形成されることになる。
【0059】
また、本実施形態の昇降ガイドレール25には、切欠部43がさらに形成されている。切欠部43は、中間段パレット16cの横行の際に中間段ガイド部材26cの先端部52が挿通するものである。この切欠部43は、先端部52に対応して形成されており、ここでは、その数が3つとされている。また、切欠部43は、横行方向視においてその縁43Eが先端部52と同形状の矩形形状にされている。
【0060】
これら切欠部43,43,43は、中間段パレット16cにおける中間段ガイド部材26cの先端部52,52,52に対応する高さ位置において位置前方及び左右に開口している。切欠部43の上下幅は、先端部52の上下幅よりも大きく且つ上記切欠部41,42の上下幅と等しい所定幅Aとされている。
【0061】
以上、本実施形態においても、上記効果と同様な効果、すなわち、最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを抑制することができ、装置全体の高さを低くすることが可能となるという効果が奏される。
【0062】
さらに、本実施形態では、上述したように、先端部28,33,52の数及び切欠部41〜43の数が、この順に多くなっている。つまり、上段に行くに従って、先端部28,33,52の数及び切欠部41〜43の数が多くされている。これにより、上段の中間段パレット16cの昇降の際、下段の中間段パレット16a,16bの横行用としての切欠部41,42から、上段の中間段パレット16cの中間段ガイド部材26cが脱落するのを抑制できる。また、上段の中間段パレット16bの昇降の際、下段の中間段パレット16aの横行用としての切欠部41から、上段の中間段パレット16bの中間段ガイド部材26bが脱落するのを抑制できる。
【0063】
従って、中間段パレット16cを確実且つ精度よく昇降することが可能となり、上段側のパレット14に行くに従ってガイド部材5の上下幅を大きくする必要が無く、最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを一層抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上述したように、中間段ガイド部材26a,26b,26cの先端部28,33,52の上下幅が互いに等しく一定であり、且つ、切欠部41〜43の上下幅が互いに等しく一定であることから、最上段ガイド部材27の上下幅を一層小さくすることが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態では、最上段Tと中間段M1との間を3段以上の多段としてもよく、中間段ガイド部材における先端部の数が上段に行くに従って多くされていれば、段数は限定されるものではない。最上段ガイド部材27の上下幅が累積的に大きくなるのを抑制するという本実施形態の上記作用効果は、立体駐車装置50の段数が多い程顕著となる。
【0066】
ちなみに、本実施形態において中間段M2,M3と中間段パレット16b,16cと切欠部42,43とが、第2中間段パレットが多段に複数配置された場合の第2中間段と第2中間段パレットと第2切欠部とをそれぞれ構成する。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、上記第2実施形態と異なる点について主に説明する。
【0068】
図10は本発明の第3実施形態に係る立体駐車装置における要部を示す概略側面図である。図10に示すように、本実施形態の立体駐車装置60が上記立体駐車装置50(図9参照)と異なる点は、中間段ガイド部材26a,26b,26cに代えて中間段ガイド部材66a,66b,66cをそれぞれ備えると共に、最上段ガイド部材27に代えて最上段ガイド部材67を備えた点である。
【0069】
中間段ガイド部材66aは、その先端部61の上下幅が所定幅a´とされている。中間段ガイド部材66bは、その先端部62の上下幅が上記所定幅a´よりも大きく且つ後述の所定幅A´よりも大きい所定幅b´とされている。中間段ガイド部材66cは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部64,64を含んでいる。先端部64の上下幅は、上記先端部62と等しい所定幅b´とされている。最上段ガイド部材67は、その先端部65の上下幅が、上記所定幅b´よりも大きく且つ後述の所定幅B´よりも大きい所定幅c´とされている。
【0070】
また、本実施形態の昇降ガイドレール25には、上記切欠部41〜43(図9参照)に代えて、切欠部71〜73が形成されている。切欠部71は、中間段パレット16aの横行の際に中間段ガイド部材66aの先端部61が挿通するものである。切欠部71は、先端部61に対応して形成されており、ここでは、その数が1つとされ、その上下幅が先端部61の上下幅よりも大きい所定幅A´とされている。
【0071】
切欠部72は、中間段パレット16bの横行の際に中間段ガイド部材66bの先端部62が挿通するものである。切欠部72は、先端部62に対応して形成されており、ここでは、その数が1つとされ、その上下幅が先端部62の上下幅よりも大きく且つ上記所定幅A´よりも大きい所定幅B´とされている。切欠部73は、中間段パレット16cの横行の際に中間段ガイド部材66cの先端部64が挿通するものである。切欠部73は、先端部64に対応して形成されており、ここでは、その数が2つとされ、その上下幅は、先端部64の上下幅よりも大きく且つ上記切欠部72の上下幅と等しい所定幅B´とされている。なお、各所定幅a´,b´,c´,A´,B´についてまとめると、これらの関係は下式(2)となっている。
所定幅a´<所定幅A´<所定幅b´<所定幅B´<所定幅c´ …(2)
【0072】
この本実施形態では、前述のように、中間段ガイド部材66b,66cの先端部62,64の上下幅である所定幅b´が、切欠部71の上下幅である所定幅A´よりも大きいものとされている。よって、中間段パレット16b,16cが昇降する際、切欠部71から中間段ガイド部材66b,66cの先端部62,64が脱落してフリーな状態となることが抑制される。
【0073】
以上、本実施形態においても、上記効果と同様な効果、すなわち、最上段ガイド部材67の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを抑制することができ、装置全体の高さを低くすることが可能となるという効果が奏される。
【0074】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0075】
図11は本発明の第4実施形態に係る立体駐車装置における要部を示す概略側面図である。図11に示すように、本実施形態の立体駐車装置80が上記立体駐車装置10(図8(a)参照)と異なる点は、中間段ガイド部材26a,26bに代えて中間段ガイド部材86a,86bをそれぞれ備えた点である。
【0076】
中間段ガイド部材86aは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部82,82を含んでいる。先端部82の上下幅は、所定幅aとされている。中間段ガイド部材86bは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部84,84を含んでいる。先端部84の上下幅は、上記先端部82の上下幅と等しい所定幅aとされている。
【0077】
この中間段ガイド部材86bの先端部84,84は、上記中間段ガイド部材86aの先端部82,82の互いの位置関係に対し異なる位置関係を有している。ここでは、先端部84,84の上下の配置パターンが、先端部82,82の配置パターンと異なっており、先端部84,84間距離が、先端部82,82間距離よりも広くなっている。
【0078】
また、本実施形態の昇降ガイドレール25には、上記切欠部41,42(図8(a)参照)に代えて、切欠部85,87が形成されている。
【0079】
切欠部85は、中間段パレット16aの横行の際に中間段ガイド部材86aの先端部82が挿通するものである。この切欠部85は、中間段ガイド部材86aの先端部82に対応して形成されている。すなわち、切欠部85は、その数が2つとされ、横行視においてその縁が先端部82と同形状の矩形形状にそれぞれされ、先端部82と等しい配置パターンを有している。これにより、切欠部85,85が、上記先端部82,82の互いの位置関係と異なる位置関係を有し、切欠部85,85の上下の配置パターンが、先端部82,82の配置パターンと異なり、切欠部85,85間の長さが、先端部82,82間の長さよりも異なることとなる。
【0080】
これら切欠部85,85は、中間段ガイド部材86aの先端部82,82に対応する高さ位置において、位置前方及び左右に開口している。切欠部85の上下幅は、先端部82の上下幅よりも大きい所定幅Aとされている。
【0081】
切欠部87は、中間段パレット16bの横行の際に中間段ガイド部材86bの先端部84が挿通するものである。切欠部87は、中間段ガイド部材86bの先端部84に対応して形成されている。すなわち、切欠部87は、その数が2つとされ、横行視においてその縁が先端部84と同形状の矩形形状にそれぞれされ、先端部84と等しい配置パターンを有している。これら切欠部87,87は、先端部84,84に対応する高さ位置において、位置前方及び左右に開口している。切欠部87の上下幅は、先端部84の上下幅よりも大きい所定幅Aとされている。
【0082】
以上、本実施形態では、中間段ガイド部材86bの先端部84,84の互いの位置関係が、切欠部85,85の互いの位置関係と異なっていることにより、中間段パレット16bの昇降の際、中間段ガイド部材86bが昇降ガイドレール25の切欠部85から脱落しないようになっている。そのため、上段側のパレット14に行くに従ってそのガイド部材5の上下方向の幅を大きくする必要が無く、よって、最上段パレット17の最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくなるのを抑制することができる。その結果、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【0083】
また、本実施形態では、上述したように、中間段ガイド部材86a,86bの先端部82,84それぞれの上下幅が互いに等しく一定であり、切欠部85,87それぞれの上下幅が互いに等しく一定であることから、最上段ガイド部材27の上下幅を一層小さくすることが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態では、中間段ガイド部材86a,86bが2つの先端部82,84を有すると共に、昇降ガイドレール25に2つの切欠部85,87が形成されているが、これらの個数を3つ以上にする場合もある。この場合、複数の先端部の互いの位置関係と複数の切欠部の互いの位置関係とを、中間段ガイド部材86bが切欠部85から脱落しないように互いに異ならせればよい。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る立体駐車装置は実施形態に係る上記立体駐車装置10,50,60,80に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0086】
例えば、上記実施形態は、地上面1上にのみパレット17が多段に配置された地上式のものであるが、地下段にパレット14が多段に配置されるよう例えば地下ピットを備えていてもよい。この場合、地下段に配置されるパレット14は、昇降式となる。
【0087】
また、上記実施形態は、パレット14を横並びに3つ並設可能な3連基構造としたが、4連基及び5連基構造としてもよく、連基数は限定されるものではない。なお、上記の「幅が等しい」は、製造上の誤差やばらつき等を含むものである。
【符号の説明】
【0088】
10,50,60,80…立体駐車装置、14…パレット、15…地上段パレット(入出段パレット)、16a…中間段パレット(第1中間段パレット)、16b,16c…中間段パレット(第2中間段パレット)、17…最上段パレット、25…昇降ガイドレール(ガイドレール)、26a,66a,86a…中間段ガイド部材(第1中間段ガイド部材)、26b,26c,66b,66c,86b…中間段ガイド部材(第2中間段ガイド部材)、27,67…最上段ガイド部材、28,61,82…先端部(第1中間段ガイド部材の先端部)、33,52,62,64,84…先端部(第2中間段ガイド部材の先端部)、37,65…先端部(最上段ガイド部材の先端部)、41,71,85…切欠部(第1切欠部)、42,43,72,73,87…切欠部(第2切欠部)、C…車両、G…地上段(入出段)、M1…中間段(第1中間段)、M2…中間段(第2中間段)、M3…中間段(第2中間段)、T…最上段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の立体駐車装置としては、車両が入出する入出段に配置され横行可能な入出段パレットと、最上段に配置され昇降可能な最上段パレットと、最上段と入出段との間の中間段に配置され横行可能且つ昇降可能な中間段パレットと、を備えた昇降横行式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような立体駐車装置では、最上段及び中間段パレットに、上下方向に延びるガイドレールに係合するガイド部材がそれぞれ設けられており、これにより、最上段及び中間段パレットの昇降がガイドされている。また、ガイドレールには、中間段パレットの横行に際してガイド部材との干渉を避けるため、ガイド部材が挿通する切欠部が該ガイド部材に対応して形成されている。
【0004】
このような立体駐車装置においては、上段側に行くに従って、パレットに設けられたガイド部材及び該ガイド部材に対応する切欠部の上下方向の幅が大きくなるように構成されている。これにより、パレットが昇降する際、昇降するパレットに設けられたガイド部材が、それより下段のパレットの横行用としての切欠部から脱落するのが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2936509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、近年の立体駐車装置においては、例えば敷地内における建物建設可能面積の自由度を高める観点から、装置全体の高さを低くすることが望まれている。この点、上記の立体駐車装置では、前述のように、上段側のパレット程ガイド部材の上下方向の幅が大きくされることから、最上段のパレットのガイド部材にあっては、その上下方向の幅が累積的に大きくなってしまうため、装置全体の高さを低くすることが困難となるおそれがある。かかる問題は、パレットの段数が増えるにつれて顕著となる。
【0007】
そこで、本発明は、装置全体の高さを低くすることができる立体駐車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る立体駐車装置は、車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、最上段に配置され、入出段から最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、最上段と入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、最上段と第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、上下方向に沿って延在し、最上段パレット、第1中間段パレット及び第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ1つ又は上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、ガイドレールには、第1中間段パレットの横行の際に第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して1又は複数形成されていると共に、第2中間段パレットの横行の際に第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、第1及び第2切欠部のそれぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、第2中間段ガイド部材の先端部の数は、第2中間段ガイド部材が第1切欠部から脱落しないように第1切欠部の数よりも多くされていることを特徴とする。
【0009】
この立体駐車装置では、第2中間段ガイド部材が、上下方向に分割されてなる複数の先端部を有している。そして、これらの先端部の数が第1切欠部の数よりも多くされることにより、第2中間段パレットの昇降の際、第2中間段ガイド部材がガイドレールの第1切欠部から脱落しないようになっている。そのため、上段側のパレットに行くに従ってそのガイド部材の上下方向の幅を大きくする必要性が低く、よって、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを抑制することができる。その結果、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【0010】
ここで、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを抑制して装置全体の高さを低くするという上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第1中間段ガイド部材の先端部及び第2中間段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は互いに等しいと共に、第1及び第2切欠部の上下方向における幅は互いに等しい構成が挙げられる。
【0011】
また、第2中間段パレットは、最上段と第1中間段との間に多段に複数配置されており、第2中間段ガイド部材の先端部の数及び第2切欠部の数は、第2中間段パレットのうち下段の第2中間段パレットにおける第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部から、上段の第2中間段パレットの第2中間段ガイド部材が脱落しないように、上段に行くに従って多くされていることが好ましい。この場合、第2中間段ガイド部材の先端部の数及び第2切欠部の数が上段に行くに従って多くされることにより、第2中間段パレットのうち下段の第2中間段パレットの横行用としての第2切欠部から、上段の第2中間段パレットの第2中間段ガイド部材が脱落しないようになっている。よって、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを一層抑制することができる。
【0012】
このとき、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくされるのを抑制して装置全体の高さを低くするという上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第2中間段ガイド部材の先端部それぞれの上下方向における幅は互いに等しいと共に、第2切欠部それぞれの上下方向における幅は互いに等しい構成が挙げられる。
【0013】
また、本発明に係る立体駐車装置は、車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、最上段に配置され、入出段から最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、最上段と入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、最上段と第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ入出段から第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、上下方向に沿って延在し、最上段パレット、第1中間段パレット及び第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、ガイドレールには、第1中間段パレットの横行の際に第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して複数形成されていると共に、第2中間段パレットの横行の際に第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、第1及び第2切欠部それぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、第2中間段パレットの先端部それぞれの位置関係と第1切欠部それぞれの位置関係とは、第2中間段ガイド部材が第1切欠部から脱落しないように互いに異なっていることを特徴とする。
【0014】
この立体駐車装置では、第2中間段ガイド部材が、上下方向に分割されてなる複数の先端部を有している。そして、これらの先端部の互いの位置関係が、第1切欠部の互いの位置関係と異なっていることにより、第2中間段パレットの昇降の際、第2中間段ガイド部材がガイドレールの第1切欠部から脱落しないようになっている。そのため、上段側のパレットに行くに従ってそのガイド部材の上下方向の幅を大きくする必要性が低く、よって、最上段ガイド部材の上下方向の幅が累積的に大きくなるのを抑制することができる。その結果、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図である。
【図2】図1の立体駐車装置を示す側面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】図1の立体駐車装置のパレットの後側を上方から見た一部断面図である。
【図5】図1の立体駐車装置の要部を示す拡大側断面図である。
【図6】図1の立体駐車装置のガイド部材を示す側面図である。
【図7】図1の立体駐車装置の動作を説明するための概略正面図である。
【図8】(a)は図1の立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図であり、(b)は従来の立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る立体駐車装置の要部の一部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図、図2は図1の立体駐車装置を示す側面図、図3は図2の一部拡大図、図4は図1の立体駐車装置のパレットの後側を上方から見た一部断面図である。図1に示すように、本実施形態の立体駐車装置10は、自動車等の車両Cが載置される複数のパレットが多段に配置されてなるマンション向け立体駐車装置であり、昇降横行式の後進乗り入れ型多段立体駐車装置である。
【0019】
ここでの立体駐車装置10は、地上4段の3列構造を有しており、具体的には、地上面1に位置する地上段(入出段)G、最上位置の最上段T、地上段Gと最上段Tとの間に位置する中間段(第1中間段)M1,及び最上段Tと中間段M1との間に位置する中間段(第2中間段)M2を含む構造を有している。
【0020】
また、立体駐車装置10は、最上段Tにおいて車両Cを横並びにして3台駐車可能な3列(3連基)構造とされており、その結果、最大9台の車両Cを駐車し収容する。立体駐車装置10では、ゲート11が開かれ、地上段Gに位置する車両Cが出庫される、或いは地上面1から車両Cが入庫されることになる。なお、以下の説明では、立体駐車装置10において車両Cが入出する側を前側とし、車両Cが横並びに並ぶ方向を左右方向(横方向、横行方向)とし、高さ方向を上下方向(鉛直方向、昇降方向)として説明する。
【0021】
図1,2に示すように、立体駐車装置10の骨格構造は、支柱12が梁13と剛接合してなるラーメン構造とされており、地上面1に立設されたH形鋼からなる8本の支柱12a〜12hを備えている。支柱12a〜12dは後側にて左右方向に並設され、支柱12e〜12hは前側にて左右方向に沿って並設されている。支柱12a〜12hには、その上部にて前後方向に延在する縦梁13aが架設されていると共に、左右方向に延在する横梁13bが架設されている。
【0022】
この立体駐車装置10は、車両Cが積載(載置)され上方から見て矩形状のパレット14として、地上段パレット(入出段パレット)15、中間段パレット(第1中間段パレット)16a、中間段パレット(第2中間段パレット)16b及び最上段パレット17を備えている。
【0023】
最上段パレット17は、最上段Tに配置され、左右方向に複数(ここでは3つ)並設されている。この最上段パレット17は、水平状態が保持されるよう縦梁13aに吊チェーン18で吊下支持されており、吊チェーン18は、縦梁13aに設けられた巻上装置19に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされている。これにより、最上段パレット17は、地上段G及び最上段Tを停位置として、地上段Gから最上段Tまで昇降可能になっている。
【0024】
中間段パレット16aは、中間段M1に配置され、左右方向に複数(ここでは2つ)並設されている。図3に示すように、中間段パレット16aは、矩形枠体である支持枠20aに対し水平状態が保持されるよう吊チェーン21aで吊下支持されている。吊チェーン21aは、支持枠20aに設けられた巻上装置22に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされている。これにより、中間段パレット16aは、地上段G及び中間段M1を停位置として地上段Gから中間段M1まで昇降可能に構成されている。
【0025】
支持枠20aは、その前後端部に設けられた複数の車輪23を有すると共に、左右方向に延在し且つ支柱12a〜12hに架設された横行ガイドレール24に車輪23を介して支持されている。横行ガイドレール24は、支持枠20aを左右方向に沿ってガイドするためのものであり、車輪23を係合している。車輪23は、支持枠20aに設けられたモータ(不図示)の駆動によって回転されることで、横行ガイドレール24上を該横行ガイドレール24に沿って摺動する。これにより、支持枠20a及びこれに吊下された中間段パレット16aは、共だって横行(スライド移動)可能になっている。
【0026】
図2に示すように、中間段パレット16bは、上記中間段パレット16aと同様な構成とされている。つまり、中間段M2に配置され、左右方向に複数(ここでは2つ)並設され、矩形枠体である支持枠20bに対し水平状態が保持されるよう吊チェーン21bで吊下支持されている。吊チェーン21bは、支持枠20bに設けられた巻上装置22に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされ、これにより、中間段パレット16bは、地上段G及び中間段M2を停位置として地上段Gから中間段M2まで昇降可能になっている。
【0027】
支持枠20bは、前後端部に設けられた複数の車輪23を有すると共に、横行ガイドレール24に車輪23を介して支持されている。車輪23は、支持枠20bに設けられたモータ(不図示)の駆動によって回転されることで、横行ガイドレール24上を該横行ガイドレール24に沿って摺動し、これにより、支持枠20b及びこれに吊下された中間段パレット16bは、共だって横行(スライド移動)可能になっている。
【0028】
地上段パレット15は、地上段Gに配置され、左右方向に複数(ここでは2つ)並設されている。この地上段パレット15は、左右方向に延在するガイドレールに車輪を介して支持されており、モータの駆動によって車輪が回転されることで、ガイドレール上を該ガイドレールに沿って摺動する。これにより、地上段パレット15は、横行可能になっている。
【0029】
図5は図1の立体駐車装置の要部を示す拡大側断面図、図6は図1の立体駐車装置のガイド部材を示す側面図である。図5に示すように、立体駐車装置10は、最上段パレット17及び中間段パレット16a,16bの昇降をガイドするためのものとして、上下方向に延在すると共に横行ガイドレール24と交差するよう設けられた昇降ガイドレール(ガイドレール)25を備えている。昇降ガイドレール25において横行ガイドレール24との交差部分の上部には、車輪23が挿通するものとして前方及び左右に開口する切欠部26が形成されており、これにより、昇降ガイドレール25と車輪26との干渉が回避されている。
【0030】
この昇降ガイドレール25は、図4に示すように、右側昇降ガイドレール25R及び左側昇降ガイドレール25Lを含み、これらが立体駐車装置10における列数だけ後側の支柱12に設けられている。具体的には、右側昇降ガイドレール25Rは、水平断面L字状の板状レールプレートであって、パレット14の右後方に位置する支柱12の前面から前方に延びた後、パレット14側に向けて左右方向に延びるように構成されている。左側昇降ガイドレール25Lは、水平断面L字状の板状レールプレートであって、パレット14の右後方に位置する支柱2の前面から前方に延びた後、パレット14側に向けて左右方向に延びるように構成されている。
【0031】
そして、立体駐車装置10は、昇降ガイドレール25と係合し該昇降ガイドレール25に沿って可動なものとして、パレット14の左右後端部それぞれにボルト固定され後方に突出するように構成されたガイド部材5を備えている。具体的には、図5に示すように、中間段パレット16aにボルト固定された中間段ガイド部材(第1中間段ガイド部材)26a、中間段パレット16bにボルト固定された中間段ガイド部材(第2中間段ガイド部材)26b、及び最上段パレット17にボルト固定された最上段ガイド部材27を備えている。
【0032】
図6(a)に示すように、中間段ガイド部材26aは、板状構造を呈しており、横行方向から見て、中間段パレット16a側から先端側に向けて上下方向の幅(以下、単に「上下幅」という)が変化しないように真っ直ぐ延びた後、かかる上下幅が狭小され、先端部(つまり、中間段パレット16aの後端部)28にて上下幅が所定幅aとされている。ここでは、所定幅aは、昇降ガイドレール25と適切に係合する上で好ましいものとして例えば50mmとされている。
【0033】
この中間段ガイド部材26aの先端部28は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。先端部28には、上下方向に延在する一対のプレート29a,29bが設けられている。これらプレート29a,29bにより、中間段ガイド部材26aの先端部28には、昇降ガイドレール25と係合する係合部としてのガイド溝30が形成されることになる。また、ガイド溝30の下部及び上部には、プレート29a,29b間の隙間が漸次広がっているロート状のレール受口31が形成されている。
【0034】
図6(b)に示すように、中間段ガイド部材26bは、板状構造を呈しており、横行方向から見て、中間段パレット16b側から先端側に向けて上下幅が徐々に拡大するようにその上縁が傾斜して延びている。そして、中間段ガイド部材26bは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部33,33を含んでいる。先端部33の上下幅は、上記先端部28と等しい所定幅aとされている。
【0035】
この中間段ガイド部材26bの先端部33は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。先端部33には、上記先端部28と同様に、上下方向に延在する一対のプレート29a,29bがそれぞれ設けられ、ガイド溝30が形成されていると共に、ガイド溝30の下部及び上部には、プレート29a,29b間の隙間が漸次広がっているロート状のレール受口31が形成されている。
【0036】
図6(c)に示すように、最上段ガイド部材27は、板状構造を呈しており、横行方向から見て、最上段パレット17側から先端側に向けて上下幅が徐々に拡大するようにその上縁が傾斜して延びている。そして、先端部37の上下幅は、後述の所定幅aよりも大きい所定幅bとされている。ここでは、所定幅bは、最上段パレット17の停止位置のバラツキが考慮された例えば150mmとされている。
【0037】
この最上段ガイド部材27の先端部37は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。この先端部37には、上記先端部28と同様に、上下方向に延在する一対のプレート29a,29bがそれぞれ設けられ、ガイド溝30が形成されていると共に、ガイド溝30の下部及び上部には、プレート29a,29b間の隙間が漸次広がっているロート状のレール受口31が形成されている。
【0038】
なお、中間段ガイド部材26a,26b及び最上段ガイド部材27のそれぞれには、水平面に沿って配設された板状のリブ40が設けられており、その剛性を高められている。
【0039】
ここで、図5に戻り、本実施形態の立体駐車装置10の昇降ガイドレール25には、切欠部(第1切欠部)41及び切欠部(第2切欠部)42が形成されている。切欠部41は、中間段パレット16aの横行の際に中間段ガイド部材26aの先端部28が挿通するものである。切欠部41は、中間段ガイド部材26aの先端部28に対応して形成されており、ここでは、その数が1つとされている。つまり、上記中間段ガイド部材26bの先端部33の数が、切欠部41の数よりも多いことになる。また、切欠部41は、横行方向視においてその縁が先端部28と同形状(相似形状)の矩形形状にされている。
【0040】
この切欠部41は、中間段ガイド部材26aの先端部28に対応する高さ位置において、位置前方及び左右に開口している。この切欠部41の上下幅(切欠幅)は、先端部28の上下幅よりも大きい所定幅Aとされており、ここでは、中間段パレット16aの停止位置のバラツキが考慮された100mm(先端部28の所定幅aの約2倍)とされている。
【0041】
切欠部42は、中間段パレット16bの横行の際に中間段ガイド部材26bの先端部33が挿通するものである。切欠部42は、中間段ガイド部材26bの先端部33,33に対応して形成されており、ここでは、その数が2つとされている。切欠部42は、横行視においてその縁が先端部33と同形状の矩形形状にされている。
【0042】
これら第2切欠部42,42は、中間段ガイド部材26bの先端部33,33に対応する高さ位置のそれぞれにおいて位置前方及び左右に開口している。切欠部42の上下幅は、先端部33の上下幅よりも大きく且つ切欠部41の上下幅と等しい所定幅Aとされている。なお、各所定幅a,b,Aについてまとめると、これらの関係は下式(1)となっている。
所定幅a<所定幅A<所定幅b …(1)
【0043】
次に、上述した立体駐車装置10の動作について説明する。
【0044】
図7(a)に示す初期状態において、例えば最上段パレット17に載置した車両Cを出庫させる場合、前側の支柱12eに設けられた操作盤44(図1参照)が利用者により操作されると、まず、昇降ルートLa及び着床地点Paを確保すべく、中間段パレット16a,16b及び地上段パレット15が適宜横行されて待避される。
【0045】
具体的には、図5及び図7(b)に示すように、最上段パレット17の真下の中間段パレット16a,16bを吊下する支持枠20a,20bにてモータが駆動されて車輪23が適宜回転されることで、中間段パレット16a,16bが支持枠20a,20bと一緒に横行ガイドレール24に沿って横行される。これと共に、最上段パレット17の真下の地上段パレット15にてモータが駆動されて車輪が適宜回転され、地上段パレット15がガイドレールに沿って横行される。
【0046】
続いて、図5及び図7(c)に示すように、巻上装置22が駆動されて最上段パレット17に接続された吊チェーン18が巻き下げられ、最上段パレット17が昇降ガイドレール25に沿って下降し、着床地点Paにて停止する。この昇降の際、上述したように、最上段ガイド部材27のガイド溝30が昇降ガイドレール25に係合していることから、最上段パレット17にあっては、例えば強風、地震及び風雨等に起因した横揺れ(ズレ)が抑制されつつ昇降ガイドレール25に沿ってガイドされながら昇降されることになる。そしてその後、着床地点Paにて車両Cが前進され、出庫が完了する。
【0047】
なお、車両Cを入庫時の動作ついても、上述した出庫時の動作と同様である。また、中間段パレット16a,16bに載置された車両Cを出庫させる場合についても、最上段パレット17に載置された車両Cを出庫させる場合と同様である。
【0048】
ここで、図6(c)及び図8(a)に示すように、本実施形態では、前述のように、最上段ガイド部材27の先端部37の上下幅が、切欠部41,42のそれぞれの上下幅よりも大きい所定幅bとされている。よって、最上段パレット17が昇降する際、切欠部41,42から最上段ガイド部材27の先端部37が脱落して(一旦外れて)フリーな状態となることが抑制され、最上段パレット17が確実且つ精度よく昇降されることになる。
【0049】
さらに、上述したように、上段の中間段ガイド部材26bは、上下方向に2分割されてなる複数の先端部33,33を含んで構成されており、その数が下段の中間段ガイド部材26aの先端部28が挿通する切欠部41の数よりも多くなっている。つまり、中間段ガイド部材26bの先端部32の分割数は、切欠部41の分割数に対し多くされている。そして、中間段ガイド部材26aの先端部28及び中間段ガイド部材26bの先端部33,33のそれぞれは、その上下幅が互いに等しくされていると共に、第1及び第2切欠部41,42のそれぞれは、その上下幅が互いに等しくされている。
【0050】
よって、中間段パレット16bが昇降する際、切欠部41から中間段ガイド部材26bの先端部33,33の一方がたとえ外れたとしても、他方が外れない状態にされるため、中間段ガイド部材26bが脱落してフリーな状態となることが抑制され、中間段パレット16bが確実且つ精度よく昇降されることになる。つまり、中間段パレット16bの昇降時に、中間段ガイド部材26bが昇降ガイドレール25から完全に外れることがなく、その少なくとも一部が昇降ガイドレール25に係合する状態を維持することが可能となる。
【0051】
以上、本実施形態の立体駐車装置10では、図8(b)に示す従来の立体駐車装置100のように、上段側のパレット14に行くに従ってガイド部材5の上下幅を大きくする必要が無く、よって、最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを抑制することができ、装置全体の高さHを低くすること(低背化)が可能となる。その結果、敷地内における建物建設可能面積の自由度を高めることができ、例えば法規上の理由(建ぺい率等)により限定された高さの中で、車高の高い車両Cの格納が可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態では、上述したように、中間段ガイド部材26aの先端部28及び中間段ガイド部材26bの先端部33,33の上下幅が、互いに等しく一定であることから、最上段ガイド部材27の上下幅を一層小さくすることが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態では、中間段ガイド部材26aが1つの先端部28を有し、昇降ガイドレール25には1つの切欠部41が形成されているが、先端部33の数が切欠部41の数よりも多くされていれば、中間段ガイド部材26aが上下方向に分割されてなる複数の先端部を有していてもよい。これについては、後述の第2,3実施形態についても同様である。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0055】
図9は本発明の第2実施形態に係る立体駐車装置における要部を示す概略側面図である。図9に示すように、本実施形態の立体駐車装置50が上記立体駐車装置10(図8(a)参照)と異なる点は、最上段Tと中間段M2との間に中間段M3が形成され、この中間段M3に配置された中間段パレット16cをさらに備えた点である。
【0056】
中間段パレット16cは、上記中間段パレット16a,16bと同様な構成を有しており、地上段Gから中間段M3まで昇降可能且つ横行可能に構成されている。この中間段パレット16cには、中間段ガイド部材26cが固定されている。
【0057】
中間段ガイド部材26cは、板状構造を呈しており、中間段パレット16cの左右後端部それぞれに固定され後方に突出するように構成されている。この中間段ガイド部材26cは、横行方向から見て、中間段パレット16c側から先端側に向けて上下幅が徐々に拡大するようにその上縁が傾斜して延びている。そして、中間段ガイド部材26cは、上下方向に分割されてなる3つの先端部52,52,52を含んでいる。換言すると、中間段ガイド部材26cの先端部52の数は、切欠部42の数よりも多くされている。先端部52の上下幅は、上記先端部28,33と等しい所定幅aとされている。
【0058】
この中間段ガイド部材26cの先端部52は、その外形が横行方向視において矩形形状をなしている。先端部52には、上下方向に延在する一対のプレート(不図示)が設けられている。この一対のプレート間によって、ガイド溝が昇降ガイドレール25と係合する係合部として形成されることになる。
【0059】
また、本実施形態の昇降ガイドレール25には、切欠部43がさらに形成されている。切欠部43は、中間段パレット16cの横行の際に中間段ガイド部材26cの先端部52が挿通するものである。この切欠部43は、先端部52に対応して形成されており、ここでは、その数が3つとされている。また、切欠部43は、横行方向視においてその縁43Eが先端部52と同形状の矩形形状にされている。
【0060】
これら切欠部43,43,43は、中間段パレット16cにおける中間段ガイド部材26cの先端部52,52,52に対応する高さ位置において位置前方及び左右に開口している。切欠部43の上下幅は、先端部52の上下幅よりも大きく且つ上記切欠部41,42の上下幅と等しい所定幅Aとされている。
【0061】
以上、本実施形態においても、上記効果と同様な効果、すなわち、最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを抑制することができ、装置全体の高さを低くすることが可能となるという効果が奏される。
【0062】
さらに、本実施形態では、上述したように、先端部28,33,52の数及び切欠部41〜43の数が、この順に多くなっている。つまり、上段に行くに従って、先端部28,33,52の数及び切欠部41〜43の数が多くされている。これにより、上段の中間段パレット16cの昇降の際、下段の中間段パレット16a,16bの横行用としての切欠部41,42から、上段の中間段パレット16cの中間段ガイド部材26cが脱落するのを抑制できる。また、上段の中間段パレット16bの昇降の際、下段の中間段パレット16aの横行用としての切欠部41から、上段の中間段パレット16bの中間段ガイド部材26bが脱落するのを抑制できる。
【0063】
従って、中間段パレット16cを確実且つ精度よく昇降することが可能となり、上段側のパレット14に行くに従ってガイド部材5の上下幅を大きくする必要が無く、最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを一層抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上述したように、中間段ガイド部材26a,26b,26cの先端部28,33,52の上下幅が互いに等しく一定であり、且つ、切欠部41〜43の上下幅が互いに等しく一定であることから、最上段ガイド部材27の上下幅を一層小さくすることが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態では、最上段Tと中間段M1との間を3段以上の多段としてもよく、中間段ガイド部材における先端部の数が上段に行くに従って多くされていれば、段数は限定されるものではない。最上段ガイド部材27の上下幅が累積的に大きくなるのを抑制するという本実施形態の上記作用効果は、立体駐車装置50の段数が多い程顕著となる。
【0066】
ちなみに、本実施形態において中間段M2,M3と中間段パレット16b,16cと切欠部42,43とが、第2中間段パレットが多段に複数配置された場合の第2中間段と第2中間段パレットと第2切欠部とをそれぞれ構成する。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、上記第2実施形態と異なる点について主に説明する。
【0068】
図10は本発明の第3実施形態に係る立体駐車装置における要部を示す概略側面図である。図10に示すように、本実施形態の立体駐車装置60が上記立体駐車装置50(図9参照)と異なる点は、中間段ガイド部材26a,26b,26cに代えて中間段ガイド部材66a,66b,66cをそれぞれ備えると共に、最上段ガイド部材27に代えて最上段ガイド部材67を備えた点である。
【0069】
中間段ガイド部材66aは、その先端部61の上下幅が所定幅a´とされている。中間段ガイド部材66bは、その先端部62の上下幅が上記所定幅a´よりも大きく且つ後述の所定幅A´よりも大きい所定幅b´とされている。中間段ガイド部材66cは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部64,64を含んでいる。先端部64の上下幅は、上記先端部62と等しい所定幅b´とされている。最上段ガイド部材67は、その先端部65の上下幅が、上記所定幅b´よりも大きく且つ後述の所定幅B´よりも大きい所定幅c´とされている。
【0070】
また、本実施形態の昇降ガイドレール25には、上記切欠部41〜43(図9参照)に代えて、切欠部71〜73が形成されている。切欠部71は、中間段パレット16aの横行の際に中間段ガイド部材66aの先端部61が挿通するものである。切欠部71は、先端部61に対応して形成されており、ここでは、その数が1つとされ、その上下幅が先端部61の上下幅よりも大きい所定幅A´とされている。
【0071】
切欠部72は、中間段パレット16bの横行の際に中間段ガイド部材66bの先端部62が挿通するものである。切欠部72は、先端部62に対応して形成されており、ここでは、その数が1つとされ、その上下幅が先端部62の上下幅よりも大きく且つ上記所定幅A´よりも大きい所定幅B´とされている。切欠部73は、中間段パレット16cの横行の際に中間段ガイド部材66cの先端部64が挿通するものである。切欠部73は、先端部64に対応して形成されており、ここでは、その数が2つとされ、その上下幅は、先端部64の上下幅よりも大きく且つ上記切欠部72の上下幅と等しい所定幅B´とされている。なお、各所定幅a´,b´,c´,A´,B´についてまとめると、これらの関係は下式(2)となっている。
所定幅a´<所定幅A´<所定幅b´<所定幅B´<所定幅c´ …(2)
【0072】
この本実施形態では、前述のように、中間段ガイド部材66b,66cの先端部62,64の上下幅である所定幅b´が、切欠部71の上下幅である所定幅A´よりも大きいものとされている。よって、中間段パレット16b,16cが昇降する際、切欠部71から中間段ガイド部材66b,66cの先端部62,64が脱落してフリーな状態となることが抑制される。
【0073】
以上、本実施形態においても、上記効果と同様な効果、すなわち、最上段ガイド部材67の上下幅が累積的且つ必然的に大きくされるのを抑制することができ、装置全体の高さを低くすることが可能となるという効果が奏される。
【0074】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の説明においては、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0075】
図11は本発明の第4実施形態に係る立体駐車装置における要部を示す概略側面図である。図11に示すように、本実施形態の立体駐車装置80が上記立体駐車装置10(図8(a)参照)と異なる点は、中間段ガイド部材26a,26bに代えて中間段ガイド部材86a,86bをそれぞれ備えた点である。
【0076】
中間段ガイド部材86aは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部82,82を含んでいる。先端部82の上下幅は、所定幅aとされている。中間段ガイド部材86bは、上下方向に2分割されてなる2つの先端部84,84を含んでいる。先端部84の上下幅は、上記先端部82の上下幅と等しい所定幅aとされている。
【0077】
この中間段ガイド部材86bの先端部84,84は、上記中間段ガイド部材86aの先端部82,82の互いの位置関係に対し異なる位置関係を有している。ここでは、先端部84,84の上下の配置パターンが、先端部82,82の配置パターンと異なっており、先端部84,84間距離が、先端部82,82間距離よりも広くなっている。
【0078】
また、本実施形態の昇降ガイドレール25には、上記切欠部41,42(図8(a)参照)に代えて、切欠部85,87が形成されている。
【0079】
切欠部85は、中間段パレット16aの横行の際に中間段ガイド部材86aの先端部82が挿通するものである。この切欠部85は、中間段ガイド部材86aの先端部82に対応して形成されている。すなわち、切欠部85は、その数が2つとされ、横行視においてその縁が先端部82と同形状の矩形形状にそれぞれされ、先端部82と等しい配置パターンを有している。これにより、切欠部85,85が、上記先端部82,82の互いの位置関係と異なる位置関係を有し、切欠部85,85の上下の配置パターンが、先端部82,82の配置パターンと異なり、切欠部85,85間の長さが、先端部82,82間の長さよりも異なることとなる。
【0080】
これら切欠部85,85は、中間段ガイド部材86aの先端部82,82に対応する高さ位置において、位置前方及び左右に開口している。切欠部85の上下幅は、先端部82の上下幅よりも大きい所定幅Aとされている。
【0081】
切欠部87は、中間段パレット16bの横行の際に中間段ガイド部材86bの先端部84が挿通するものである。切欠部87は、中間段ガイド部材86bの先端部84に対応して形成されている。すなわち、切欠部87は、その数が2つとされ、横行視においてその縁が先端部84と同形状の矩形形状にそれぞれされ、先端部84と等しい配置パターンを有している。これら切欠部87,87は、先端部84,84に対応する高さ位置において、位置前方及び左右に開口している。切欠部87の上下幅は、先端部84の上下幅よりも大きい所定幅Aとされている。
【0082】
以上、本実施形態では、中間段ガイド部材86bの先端部84,84の互いの位置関係が、切欠部85,85の互いの位置関係と異なっていることにより、中間段パレット16bの昇降の際、中間段ガイド部材86bが昇降ガイドレール25の切欠部85から脱落しないようになっている。そのため、上段側のパレット14に行くに従ってそのガイド部材5の上下方向の幅を大きくする必要が無く、よって、最上段パレット17の最上段ガイド部材27の上下幅が累積的且つ必然的に大きくなるのを抑制することができる。その結果、装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【0083】
また、本実施形態では、上述したように、中間段ガイド部材86a,86bの先端部82,84それぞれの上下幅が互いに等しく一定であり、切欠部85,87それぞれの上下幅が互いに等しく一定であることから、最上段ガイド部材27の上下幅を一層小さくすることが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態では、中間段ガイド部材86a,86bが2つの先端部82,84を有すると共に、昇降ガイドレール25に2つの切欠部85,87が形成されているが、これらの個数を3つ以上にする場合もある。この場合、複数の先端部の互いの位置関係と複数の切欠部の互いの位置関係とを、中間段ガイド部材86bが切欠部85から脱落しないように互いに異ならせればよい。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る立体駐車装置は実施形態に係る上記立体駐車装置10,50,60,80に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0086】
例えば、上記実施形態は、地上面1上にのみパレット17が多段に配置された地上式のものであるが、地下段にパレット14が多段に配置されるよう例えば地下ピットを備えていてもよい。この場合、地下段に配置されるパレット14は、昇降式となる。
【0087】
また、上記実施形態は、パレット14を横並びに3つ並設可能な3連基構造としたが、4連基及び5連基構造としてもよく、連基数は限定されるものではない。なお、上記の「幅が等しい」は、製造上の誤差やばらつき等を含むものである。
【符号の説明】
【0088】
10,50,60,80…立体駐車装置、14…パレット、15…地上段パレット(入出段パレット)、16a…中間段パレット(第1中間段パレット)、16b,16c…中間段パレット(第2中間段パレット)、17…最上段パレット、25…昇降ガイドレール(ガイドレール)、26a,66a,86a…中間段ガイド部材(第1中間段ガイド部材)、26b,26c,66b,66c,86b…中間段ガイド部材(第2中間段ガイド部材)、27,67…最上段ガイド部材、28,61,82…先端部(第1中間段ガイド部材の先端部)、33,52,62,64,84…先端部(第2中間段ガイド部材の先端部)、37,65…先端部(最上段ガイド部材の先端部)、41,71,85…切欠部(第1切欠部)、42,43,72,73,87…切欠部(第2切欠部)、C…車両、G…地上段(入出段)、M1…中間段(第1中間段)、M2…中間段(第2中間段)、M3…中間段(第2中間段)、T…最上段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、
前記車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、
最上段に配置され、前記入出段から前記最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、
前記最上段と前記入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、
前記最上段と前記第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、
上下方向に沿って延在し、前記最上段パレット、前記第1中間段パレット及び前記第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、
前記最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、
前記第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ1つ又は上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、
前記第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、
前記ガイドレールには、前記第1中間段パレットの横行の際に前記第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して1又は複数形成されていると共に、前記第2中間段パレットの横行の際に前記第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、
前記最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、前記第1及び第2切欠部のそれぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、
前記第2中間段ガイド部材の先端部の数は、前記第2中間段ガイド部材が前記第1切欠部から脱落しないように前記第1切欠部の数よりも多くされていることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】
前記第1中間段ガイド部材の先端部及び前記第2中間段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は互いに等しいと共に、前記第1及び第2切欠部の上下方向における幅は互いに等しいことを特徴とする請求項1記載の立体駐車装置。
【請求項3】
前記第2中間段パレットは、前記最上段と前記第1中間段との間に多段に複数配置されており、
前記第2中間段ガイド部材の先端部の数及び前記第2切欠部の数は、前記第2中間段パレットのうち下段の第2中間段パレットにおける前記第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する前記第2切欠部から、上段の第2中間段パレットの前記第2中間段ガイド部材が脱落しないように、上段に行くに従って多くされていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体駐車装置。
【請求項4】
前記第2中間段ガイド部材の先端部それぞれの上下方向における幅は互いに等しいと共に、前記第2切欠部それぞれの上下方向における幅は互いに等しいことを特徴とする請求項3記載の立体駐車装置。
【請求項5】
車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、
前記車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、
最上段に配置され、前記入出段から前記最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、
前記最上段と前記入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、
前記最上段と前記第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、
上下方向に沿って延在し、前記最上段パレット、前記第1中間段パレット及び前記第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、
前記最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、
前記第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、
前記第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、
前記ガイドレールには、前記第1中間段パレットの横行の際に前記第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して複数形成されていると共に、前記第2中間段パレットの横行の際に前記第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、
前記最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、前記第1及び第2切欠部それぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、
前記第2中間段パレットの先端部それぞれの位置関係と前記第1切欠部それぞれの位置関係とは、前記第2中間段ガイド部材が前記第1切欠部から脱落しないように互いに異なっていることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項1】
車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、
前記車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、
最上段に配置され、前記入出段から前記最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、
前記最上段と前記入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、
前記最上段と前記第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、
上下方向に沿って延在し、前記最上段パレット、前記第1中間段パレット及び前記第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、
前記最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、
前記第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ1つ又は上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、
前記第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、
前記ガイドレールには、前記第1中間段パレットの横行の際に前記第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して1又は複数形成されていると共に、前記第2中間段パレットの横行の際に前記第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、
前記最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、前記第1及び第2切欠部のそれぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、
前記第2中間段ガイド部材の先端部の数は、前記第2中間段ガイド部材が前記第1切欠部から脱落しないように前記第1切欠部の数よりも多くされていることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】
前記第1中間段ガイド部材の先端部及び前記第2中間段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は互いに等しいと共に、前記第1及び第2切欠部の上下方向における幅は互いに等しいことを特徴とする請求項1記載の立体駐車装置。
【請求項3】
前記第2中間段パレットは、前記最上段と前記第1中間段との間に多段に複数配置されており、
前記第2中間段ガイド部材の先端部の数及び前記第2切欠部の数は、前記第2中間段パレットのうち下段の第2中間段パレットにおける前記第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する前記第2切欠部から、上段の第2中間段パレットの前記第2中間段ガイド部材が脱落しないように、上段に行くに従って多くされていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体駐車装置。
【請求項4】
前記第2中間段ガイド部材の先端部それぞれの上下方向における幅は互いに等しいと共に、前記第2切欠部それぞれの上下方向における幅は互いに等しいことを特徴とする請求項3記載の立体駐車装置。
【請求項5】
車両が載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であって、
前記車両が入出する入出段に配置され、横行可能に構成された入出段パレットと、
最上段に配置され、前記入出段から前記最上段まで昇降可能に構成された最上段パレットと、
前記最上段と前記入出段との間の第1中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第1中間段まで昇降可能に構成された第1中間段パレットと、
前記最上段と前記第1中間段との間の第2中間段に配置され、横行可能且つ前記入出段から前記第2中間段まで昇降可能に構成された第2中間段パレットと、
上下方向に沿って延在し、前記最上段パレット、前記第1中間段パレット及び前記第2中間段パレットの昇降をガイドするためのガイドレールと、
前記最上段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合する先端部を有する最上段ガイド部材と、
前記第1中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第1中間段ガイド部材と、
前記第2中間段パレットに対し後方に突出するよう固定され、前記ガイドレールに係合し且つ上下方向に分割されてなる複数の先端部を有する第2中間段ガイド部材と、を備え、
前記ガイドレールには、前記第1中間段パレットの横行の際に前記第1中間段ガイド部材の先端部が挿通する第1切欠部が当該先端部に対応して複数形成されていると共に、前記第2中間段パレットの横行の際に前記第2中間段ガイド部材の先端部が挿通する第2切欠部が当該先端部に対応して複数形成され、
前記最上段ガイド部材の先端部の上下方向における幅は、前記第1及び第2切欠部それぞれの上下方向における幅よりも大きくされており、
前記第2中間段パレットの先端部それぞれの位置関係と前記第1切欠部それぞれの位置関係とは、前記第2中間段ガイド部材が前記第1切欠部から脱落しないように互いに異なっていることを特徴とする立体駐車装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−209644(P2010−209644A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59606(P2009−59606)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
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