説明

竪樋排水部品

【課題】雨水を貯留せずに雨水の流れの勢いを削ぐことができる竪樋排水部品を提供することである。
【解決手段】筒状の竪樋排水部品1を竪樋4の排出口4bに装着する。竪樋排水部品1の内部に複数の板状部材9を設ける。各板状部材9は雨水11の通水方向に対して直交する方向に並んで配置されている。そして各板状部材9は雨水11の通水方向に対して傾斜している。さらに各板状部材9を雨水11の通水方向から見ると、各板状部材9は、隣接する別の板状部材9と一部が重なっている。竪樋排水部品1内を雨水11が通過する際に、雨水11は、通水方向に対して傾斜する複数の板状部材9に沿って流れ、流れの勢いが減衰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水を排出する竪樋の下端に設置される竪樋排水部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5(b)は竪樋排水部品を設置していない従来の竪樋の側面図である。竪樋24は筒状であり、家屋等の建物21に対して固定具22a,22bを介して鉛直姿勢で固定されている。竪樋24の上部には軒樋23が接続されており、竪樋24の下端(排出口24a)は地面20に向けて配置されている。
【0003】
建物21の屋根等を伝う雨水25は、軒樋23によって回収され、竪樋24から地面20に向けて排出される。その際、竪樋24の下端に設けられた排出口24aから雨水25が勢いよく飛び出すと、雨水25が地面20で跳ねて周囲に飛散し、周囲を汚してしまう。そこで竪樋24の排出口24a(下端)にL字形状の配管(図示せず)を接続することによって雨水を水平方向に排出することが考えられる。これにより、雨水の流れ方向がL字形状の配管内で変更され、流れの勢いが減衰される。ところが竪樋24の排出口24aに接続されたL字形状の配管は、通行する人や自転車等が接触し易く、破壊され易い。
【0004】
また、地中に雨水浸透枡(図示せず)を設け、雨水を竪樋から雨水浸透枡を介して外部に排出することにより、竪樋の周囲のレイアウトを簡素化することも可能であるが、設備が大掛かりになり、コストアップとなる。
【0005】
そこで竪樋24から排出される雨水25の流れの勢いを削ぐことができる竪樋部品が発案され、このような竪樋部品が例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されている竪樋部品を竪樋の排出口である下端に装着すると、雨水は竪樋部品内で一旦貯留される。そして竪樋部品内の雨水の水位が上昇すると、貯留された雨水が竪樋部品の上部に設けられた開口又は孔から外部に押し出されて排出される。その結果、外部に排出される雨水の勢いは著しく削がれると共に、上述した従来の不具合は解消されるものと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−3527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように特許文献1に開示されている竪樋部品は、所定量の雨水を貯留する構造を有しており、雨が止んで竪樋内の雨水の流れが停止しても、竪樋部品内に貯留された雨水を排出する手段がない。その結果、竪樋部品内は不衛生な状態になり易く、異臭や害虫が発生する等の問題が生じ易い。
【0009】
そこで本発明は、雨水を貯留せずに雨水の流れの勢いを削ぐことができる竪樋排水部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、竪樋の排水口に着脱自在に装着可能な筒状体と、複数の板状部材とを有し、前記複数の板状部材は筒状体の内部に通水方向と直交する方向に並んで配置され、各板状部材は通水方向に対して傾斜しており、各板状部材同士は離間し且つ通水方向から見て重なることを特徴とする竪樋排水部品である。
【0011】
請求項1の発明では、複数の板状部材が筒状体の内部に通水方向と直交する方向に並んで配置されているので、筒状体の内部を通過する雨水は、複数の板状部材に沿って流れる。そして各板状部材は、通水方向に対して傾斜しており、各板状部材同士は離間し且つ通水方向から見て重なっているので、雨水は各板状部材によって流れ方向が変更され、各板状部材の間を通過する。すなわち離間して配置された各板状部材が傾斜して通水方向から見て重なっているので、雨水は各板状部材に沿って流れる。そのため雨水は、各板状部材の間を通過する際に抵抗を受けて流れ方向が変更され、流れの勢いが減衰した状態で竪樋の排出口から外部に排出される。その結果、雨水が地面で飛び跳ねるのを抑制することができる。
【0012】
また、各板状部材がフィルタ機能を奏することができ、雨水と共に流れる異物を板状部材で捕集することができる。その結果、異物が竪樋の周囲に排出されにくくなる。
【0013】
さらに筒状体は竪樋に着脱自在に装着されているので、竪樋から筒状体を外すことによって、捕集した異物を容易に除去することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の竪樋排水部品を竪樋の排出口に設置すると、竪樋内を流れる雨水の勢いが竪樋排水部品内で減衰される。そのため、竪樋から外部へ排出された雨水が地面で飛び跳ねるのを抑制することができる。また本発明の竪樋排水部品は、竪樋の排出口の周囲に突出せず、見栄えが良好であり、人や自転車等の通行の妨げになりにくい。さらに本発明の竪樋排水部品は、内部に雨水が溜まることがなく、異物のみを捕集することができる。そのため雨が止んで雨水の流れが止まると竪樋内が乾燥し易く、竪樋内で異臭や害虫が発生することがなく、また、竪樋の周囲に異物が散乱する事態を抑制することができ、衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の竪樋排水部品を縦断した分解正面図である。
【図2】(a)は本発明の竪樋排水部品の平面図であり、(b)は(a)のb−b断面図である。
【図3】図1,図2とは別の本発明の竪樋排水部品の縦断正面図である。
【図4】(a)は図1〜図3とはさらに別の本発明の竪樋排水部品の分解斜視図であり、(b)は(a)の組立斜視図である。
【図5】(a)は本発明の竪樋排水部品を設置した竪樋の側面図であり、(b)は竪樋排水部品を設置していない従来の竪樋の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の竪樋排水部品の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0017】
図1に示すように竪樋排水部品1は、接続部材2と本体部3とで構成されている。接続部材2は円筒形状を呈しており、外面2aと内面2bとを有する。外面2aにおける下側には外ねじ部5が設けられている。また、接続部材2内には内部空間6が形成されている。
【0018】
本体部3は円筒形状を呈している。本体部3の内面3aの直径は、接続部材2の外面2aの直径よりも大きい。本体部3内には内面3aで仕切られた流路8が形成されている。内面3aの上部側の部位には内ねじ部7が設けられている。また、内面3aの下部側の部位には、複数の板状部材9が固着されている。
【0019】
各板状部材9は、本体部3の直径方向に並んで配置されている。すなわち各板状部材9は、流路8(通水方向)と直交する方向に並んで配置されている。そして各板状部材9は、流路8(通水方向)に対して所定角度(例えば通水方向に対して30〜60度)だけ傾斜して両端が内面3aに接着されている。すなわち各板状部材9は平行であり、互いに離間している。各板状部材9の幅及び高さは同じであるが、図2(a)に示すように各板状部材9の長さは設置先の本体部3の中央に近づくほど長くなり、端にいくほど短くなる。
【0020】
図5(a)に示すように竪樋4は、建物21に対して固定具22a,22bで固定され、鉛直姿勢で保持されている。竪樋4の上端には軒樋23が接続されている。この竪樋4の下端(排出口4a)に竪樋排水部品1を装着する。
【0021】
図2(b)に示すように竪樋4と竪樋排水部品1の接続部材2は、接着剤10で固着される。すなわち、竪樋4の外径よりも接続部材2の内面2bの直径の方が若干大きく、竪樋4の下端部分の周囲に接続部材2を外嵌し、竪樋4と接続部材2とを接着剤10で固着する。よって、接続部材2の内部空間6内に竪樋4の下端部分が配置される。これによって、接続部材2が竪樋4の下端に一体化される。
【0022】
次に、竪樋4に固着された接続部材2に対して、本体部3を固定する。すなわち、接続部材2の外ねじ部5と本体部3の内ねじ部7とが螺合し、接続部材2と本体部3とが結合する。その結果、本体部3が竪樋4に固定される。
【0023】
前述のように本体部3の内面3aには複数の板状部材9が固定されている。これらの板状部材9は、通水方向に対して傾斜している。図2(a)に示すように、内面3aに固着された各板状部材9を通水方向から見ると、隣接する板状部材9同士が部分的に少しずつ重なっている。そのため、各板状部材9の下端部分は隣接する別の板状部材9の上部部分と重なって見えない。図2(a)において示す複数の破線は、各々隣の板状部材9で隠れた下端部分の輪郭を示している。
【0024】
竪樋排水部品1は、以上説明した構成を有しており、竪樋4に対して固定される。雨水11が図5(a)に示す軒樋23から竪樋4に導かれると、雨水11は竪樋排水部品1を通過する。その際、雨水11は、通水方向に対して傾斜する複数の板状部材9に沿って流れる。すなわち、雨水11の進行方向は傾斜する複数の板状部材9によって変更される。
【0025】
その際、板状部材9は、勢いよく流れる雨水11の抵抗体となり、板状部材9を通過した雨水11の流れの勢いは減衰する。そして、流れの勢いが減衰した雨水11が竪樋排水部品1から外部へ排出される。その際、雨水11の流れの勢いは減衰しているので、図5(a)に示すように雨水11が地面20で飛散するのが抑制されると共に、地面20が浸食されるのが抑制される。
【0026】
図1及び図2(b)に示す例では、各板状部材9が本体部3の下端付近に設置されているが、各板状部材9を図3に示すように本体部3の下端よりも上に設置してもよい。このように構成すると、板状部材9を通過した雨水11は、本体部3の内面3aに沿って流れるので、雨水11は竪樋排水部品1の直下に流れる。そのため、雨水11は竪樋4の直下から逸脱して飛散しにくい。
【0027】
板状部材9には雨水11と共に流れる木の葉等の異物が引っ掛かり、溜まることがある。このような場合であっても、本体部3と接続部材2の螺合を解除して接続部材2(竪樋4側)から本体部3を取り外すことにより、容易に異物を除去することができる。また、板状部材9にこのようなフィルタ機能を持たせるのではなく、別に網状の部材を板状部材9よりも上方に設置することも可能である。すなわち、本発明の竪樋排水部品1を設置することにより、竪樋4から異物が排出されるのを防止することができる。また、竪樋排水部品1の内部には雨水11が溜まる部位がないので、衛生的である。
【0028】
次に、図1の竪樋排水部品1の変形例を、図4を参照しながら説明する。図4(a)に示す竪樋排水部品14は、接続部材15と本体部16とを有する。接続部材15は円筒形状を呈しており、接続部材15の内面15bの直径は、竪樋4(図5(a))の外径よりも若干大きい。
【0029】
また、接続部材15の外面15aには一対の鍔17が固着されている。各鍔17は円弧形状を呈する板状の部材である。鍔17上には所定の間隔を置いて2つのリブ19が設置されている。リブ19は、鍔17上に形成された突起状の部材である。そして接続部材15の外面15aに固着された各鍔17は、同一平面上に配置されている。そして両鍔17の間には隙間17aが2つ形成されている。図4では隙間17aが1つだけしか描写していないが、各鍔17の両端が各々離間して対向配置されており、その結果隙間17aは2箇所に形成されている。
【0030】
次に、本体部16は円筒形状を呈しており、本体部16の内面16aの直径は、接続部材15の外面15a及び鍔17をちょうど収容することができる大きさである。そして内面16aの上端の2箇所には突起18が設けられている。2つの突起18は、対向して内向きに突出している。また、内面16aの下端側には複数の板状部材9が設けられている。各板状部材9は、図2(b)の竪樋排水部品1の場合と同様に通水方向に対して傾斜している。
【0031】
このような構造を有する竪樋排水部品14は、次のようにして竪樋4に取り付けられる。すなわち、竪樋4の下端部分の外面に接続部材15を接着固定する。なお、図4(b)では、竪樋4の描写を省略している。
【0032】
次に、本体部16を接続部材15の下方から接近させ、隙間17aから突起18を通過させる。すなわち、隙間17aの幅は、突起18の幅よりも大きい。そして突起18が鍔17よりも上方にくると、本体部16を矢印Aで示す方向(又はその逆方向)に回転させ、突起18を鍔17上の2つのリブ19の間に配置する。そして本体部16を降下させて突起18を鍔17上に載置する。すなわち、2つのリブ19の間隔は、突起18の幅よりも大きい。
【0033】
突起18が鍔17上に載置されると、本体部16が接続部材15(竪樋4側)に保持される。また、本体部16を回転させようとすると、突起18がリブ19に当接する。よって突起18が隙間17aの位置まで回転移動することがなく、本体部16が接続部材15から不用意に外れて落下することがない。
【0034】
本体部16を接続部材15(竪樋4側)から取り外す際には、本体部16を持ち上げ、さらに矢印Aで示す方向(又はその逆方向)に回転させると、突起18がリブ19を越える。そして突起18を隙間17aに位置合わせし、本体部16を下降させると、突起18が隙間17aを通過し、本体部16が接続部材15から外れる。
【0035】
ここで、本体部16の内面16aに鍔17を設け、接続部材15の外面15aに突起18を設けても同様の作用効果を奏することができる。すなわち、この場合には接続部材15側に固定した突起18上に本体部16の内面16aに固定した鍔17を載置する。よって、この場合にはリブ19は鍔17の下面側に設置する。
【0036】
また、竪樋排水部品1,14を、2つの部材(接続部材2,15と本体部3,16)で構成する例を説明したが、本体部3,16に該当する部材を直に竪樋4,14の下端(排出口)に取り付けてもよい。すなわち、竪樋4,14の下端の外面に外ねじ部5や鍔17(隙間17有り)を設け、本体部3,16の内ねじ部7や突起18を係合させると、本体部3,16は竪樋4,14に対して着脱可能に装着できる。
【0037】
なお、以上では竪樋4の横断面が円形の筒状体であったが、横断面が四角形やその他の形状の筒状体であっても本発明の竪樋排水部品を使用して雨水の流れの勢いを減衰させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1,14 竪樋排水部品
2,15 接続部材
3,16 本体部(筒状体)
4 竪樋
4b 排出口(排水口)
8 流路
9 板状部材
11 雨水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪樋の排水口に着脱自在に装着可能な筒状体と、複数の板状部材とを有し、前記複数の板状部材は筒状体の内部に通水方向と直交する方向に並んで配置され、各板状部材は通水方向に対して傾斜して流路の一部を遮蔽しており、各板状部材同士は離間し且つ通水方向から見て重なることを特徴とする竪樋排水部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87608(P2013−87608A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232482(P2011−232482)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)