端壁輪郭形成の翼形部及び選択的クロッキングを有するタービン組立体
【課題】端壁輪郭形成の翼形部及び選択的クロッキングを有するタービン組立体を提供すること。
【解決手段】タービン装置は、凹状正圧側面と、凸状負圧側面と、前縁及び後縁とを各々有する第1のベーンのアレイを含む第1のノズルと、ロータディスクにより保持される複数のブレードを有し、第1のノズルから下流側にあるロータと、凹状正圧側面と、凸状負圧側面と、前縁及び後縁とを各々有する第2のベーンのアレイを含む、ロータから下流側に配置された第2のノズルと、を備え、第1及び第2のノズルの第1及び第2のベーンが、互いに対して円周方向にクロッキングされ、予め定められた作動条件において、第1のベーンから吐出される伴流が第2のベーンの前縁と円周方向で整列されるようになり、第1のベーンのスタッキング軸が非線形である。第1のベーンの内側バンドが、非軸対称形状で輪郭形成される。
【解決手段】タービン装置は、凹状正圧側面と、凸状負圧側面と、前縁及び後縁とを各々有する第1のベーンのアレイを含む第1のノズルと、ロータディスクにより保持される複数のブレードを有し、第1のノズルから下流側にあるロータと、凹状正圧側面と、凸状負圧側面と、前縁及び後縁とを各々有する第2のベーンのアレイを含む、ロータから下流側に配置された第2のノズルと、を備え、第1及び第2のノズルの第1及び第2のベーンが、互いに対して円周方向にクロッキングされ、予め定められた作動条件において、第1のベーンから吐出される伴流が第2のベーンの前縁と円周方向で整列されるようになり、第1のベーンのスタッキング軸が非線形である。第1のベーンの内側バンドが、非軸対称形状で輪郭形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
米国政府は、陸軍により授与された契約書番号W911W6−07−2−0002に基づき本発明において一定の権利を有する場合がある。
【0002】
本発明は、全体的にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、このようなエンジン内のタービン翼形部の構成に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンエンジンにおいて、空気は、圧縮機において加圧され、次いで燃料と混合されて、燃焼器内で燃焼して燃焼ガスを生成する。燃焼器の下流側の1つ又はそれ以上のタービンは、燃焼ガスからエネルギーを抽出し、圧縮機、並びにファン、プロペラ、又は他の機械的負荷を駆動する。各タービンは、各々がタービンブレード又はバケットのアレイを保持するディスクを含む1つ又はそれ以上のロータを備える。環状バンドの形態で半径方向外側及び内側端壁を有するステータベーンのアレイを備える固定ノズルは、各ロータの上流側に配置され、ロータへの燃焼ガスの流れを最適に配向するよう機能する。総称して、各ノズル及び下流側ロータは、タービンの「段」と呼ばれる。
【0004】
ベーン及びブレード翼形部の複雑な三次元(3D)構成は、作動効率を最大にするよう適合され、翼形部に沿った半径方向スパンで変化し、並びに前縁と後縁との間の翼形部の翼弦に沿って軸方向に変化する。これに応じて、翼形部表面にわたって且つ対応する流れ通路において燃焼ガスの速度及び圧力分布もまた変化する。
【0005】
燃焼ガス流路における望ましくない圧力損失は、タービン全体の効率の望ましくない低下に対応する。タービン圧力損失のよく見られる1つの原因は、燃焼ガスがその移動において翼形部前縁の周りで分割されるときに生成される馬蹄渦の形成である。全圧力勾配は、翼形部の前縁及び端壁の接合部での境界層流において生じる。翼形部前縁でのこの圧力勾配は、端壁付近の各翼形部の両側部上で下流側に進む逆回転の馬蹄渦のペアを形成する。馬蹄渦の移動は、交差通路渦を発生する。馬蹄渦及び通路渦は、全圧力損失及び対応するタービン効率の低下をもたらす。これらの渦流はまた乱流を生成し、望ましくない端壁加熱を増大させる。
【0006】
端壁輪郭形成設計においてタービン翼形部の端壁(例えば、プラットフォーム又はシュラウド)に3D輪郭形成を利用すると、馬蹄渦及び通路渦の強度並びに関連する圧力損失が低減され、これによりタービン効率が改善されることは知られている。
【0007】
更に、回転ブレードのセットがベーンの2つの列の間に位置付けられる場合に、上流側ベーン後縁からの伴流(ウェイク(wake)又は後流とも呼ばれる)を下流側ベーンの前縁に衝突させるように、タービンベーンの上流側の列をタービンベーンの下流側の列に対して方向を合わせること、すなわち「クロッキング」することは知られている。この構想は、伴流をベーンの境界層内に保持し、これにより望ましくない圧力損失を最小限にするために、下流側ベーン前縁に衝突する伴流の運動量をより小さくしようとするものである。
【0008】
伴流は、下流側ノズルベーン前縁に到達する前に回転ブレード列によってチョップされるので、伴流の位置は、ブレードの回転速度の関数としてシフトされる。一定の回転RPMでは、接線速度がブレードの根元から先端まで変化する。そのため、伴流位置は、ハブから先端まで不均一にシフトされる。
【0009】
従って、渦作用を最小限にすると共に、下流側ノズルに対するノズル伴流を良好に位置合わせすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,486,091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の必要性は、3D輪郭形成された端壁及びノズルベーンの2つの列間の選択的クロッキングを備えたノズル及びブレードを有するタービン組立体を提供する、本発明によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様によれば、タービン装置は、環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第1のベーンのアレイを有する第1のノズルを備え、第1のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、第1のベーンが、1つには内側バンドにより境界付けられる複数の第1の流路を間に定めるように配列され、内側バンドの表面が非軸対称形状で輪郭形成されており、本タービン装置が更に、回転可能ディスクにより保持される複数のブレードを含み、該ブレードの各々が根元、先端、凹状正圧側面、及び横方向に対向する凸状負圧側面を有し、該正圧及び負圧側面が対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びている、第1のノズルから下流側に配置されたロータと、環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第2のベーンのアレイを有する、ロータから下流側に配置された第2のノズルと、を備え、第2のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、第2のベーンが複数の第2の流路を間に定めるように配列される。第1及び第2のノズルの第1及び第2のベーンは、互いに対して円周方向にクロッキングされ、予め定められた作動条件において、第1のベーンから吐出される伴流が第2のベーンの前縁と円周方向で並ぶようになり、第1のベーンのスタッキング軸が非線形である。
【0013】
本発明は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1つの態様に従って構成されたタービン組立体を組み込んだガスタービンエンジンの概略図。
【図2】図1に示すエンジンの低圧タービンの概略図。
【図3】図1に示すエンジンのタービンノズルの斜視図。
【図4】図3に示すタービンノズルの一部の拡大図。
【図5】図3に示すタービンノズルの一部の断面図。
【図6】図5の線6−6から見た図。
【図7】図5の線7−7から見た図。
【図8】図1に示すタービン組立体の複数のタービンブレードの斜視図。
【図9】図8に示すタービンブレードの一部の断面図。
【図10】図9の線10−10から見た図。
【図11】図9の線11−11から見た図。
【図12】図1のエンジンの低圧タービンのタービンベーン及びブレードの列の概略図。
【図13】図13Aは根元でのタービンベーンの概略断面図であり、図13Bはスパン中間位置におけるタービンベーンの概略図であり、図13Cは先端においけるタービンベーンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
各図を通して同じ参照符号が同じ要素を示す図面を参照すると、図1は、ファン12、高圧圧縮機14、燃焼器16、高圧タービン(「HPT」)18、及び低圧タービン20を有し、これら全てが長手方向中心軸線「A」に沿って直列の軸流関係で配列された例示的なガスタービンエンジン10の要素を概略的に示している。高圧圧縮機14、燃焼器16、及び高圧タービン18は、総称して「コア」と呼ばれる。高圧圧縮機14は、燃焼器16に入る加圧空気を提供し、該燃焼器にて燃料が導入されて燃焼し、高温燃焼ガスを発生する。この高温燃焼ガスは高圧タービン18に吐出され、ここで膨張させてこれからエネルギーを抽出する。高圧タービン18は、外側シャフト22を通じて圧縮機10を駆動する。高圧タービン18から流出する加圧空気は、低圧タービン(「LP」)20に吐出され、ここで更に膨張させてエネルギーを抽出する。低圧タービン20は、内側シャフト24を通じてファン12を駆動する。ファン12は加圧空気の流れを生成し、その一部が高圧圧縮機14の入口を過給し、その大部分が、「コア」をバイパスしてエンジン10によってもたらされるスラストの大部分を提供する。
【0016】
図示のエンジン10は、高バイパスターボファンエンジンであるが、本明細書で説明される原理は、ターボプロップ、ターボジェット、及びターボシャフトエンジン、並びに他の移動体又は定置用途で使用されるタービンエンジンにも同様に適用することができる。更に、実施例としてLPTが使用されるが、本発明の原理は、限定ではないがHPT及び中圧タービン(「IPT」)を含む、内側及び外側シュラウド又はプラットフォームを有するあらゆるタービンに適用できる点は理解される。更に、本明細書で説明される原理はまた、蒸気タービンなどの空気以外の作動流体を用いるタービンにも適用することができる。
【0017】
図2を参照すると、LPT20は、第1の段S1、第2の段S2、及び第3の段S3をそれぞれ含む。各段は、固定タービンベーンの環状アレイを備えたノズル26と、タービンブレード28の環状アレイを保持する回転ディスクを備えた下流側ロータとを含む。ロータは全て共回転し、内側シャフト24に結合される。参照のため、第1の段S1、第2の段S2、及び第3の段S3のノズル(又はベーン列)は、N1、N2、及びN3で表記され、それぞれのロータ(又はブレード列)はB1、B2、及びB3で表記される。
【0018】
図3及び4は、タービンノズル26のうちの1つを示しており、全部で3つの段S1、S2、及びS3のノズルN1、N2、N3の全体の設計を一般的に表している。ノズル26は、単体構造又は組み立て構造のものとすることができ、環状内側バンド32と環状外側バンド34との間に配置された複数のタービンベーン30を含む。各ベーン30は、根元36、前縁40、後縁42、及び凸状負圧側面46に対向する凹状正圧側面44を含む翼形部である。内側バンド32及び外側バンド34は、タービンノズル26を通るガス流の内側及び外側半径方向境界をそれぞれ定める。内側バンド32は、高温ガス流路に面する「高温側部」48と、高温ガス流路から外方に面する「低温側部」とを有し、従来の取り付け構造を含む。同様に、外側バンド34は、低温側部と高温側部とを有し、従来の取り付け構造を含む。
【0019】
作動時には、翼形部前縁におけるガス圧力勾配は、内側バンド32付近の各翼形部の両側部上で下流側に進む逆回転の馬蹄渦のペアの形成を引き起こす。図4は、これらの渦が進む方向を概略的に示しており、ここでは正圧側面及び負圧側面の渦がそれぞれPS及びSSで表記されている。
【0020】
この特定の実施例において、第2の段ノズルN2では、内側バンド32の高温側部48、すなわち具体的には各ベーン30間の内側バンドの一部は、従来の軸対称又は円形の円周方向プロファイルに対して高さ方向で選択的に輪郭形成され、作動中に燃焼ガスが内側バンド32にわたって下流方向に流れると、該燃焼ガスがベーン30の前縁の周りで燃焼ガスが分割されるときに生成される渦流の悪影響を低減するようにする。内側バンドの輪郭は、各ベーン28の正圧側面44に隣接する幅広のピーク50から幅狭の陥凹トラフ52まで半径高さ方向で輪郭形成される。この輪郭形成は、一般に「3D輪郭形成」と呼ばれる。
【0021】
3D輪郭形成を図5〜7を参照して説明する。典型的な従来の内側バンドは一般に、長手方向断面で見たときに(図6を参照)翼形部の上面に類似した凸状湾曲形状の表面プロファイルを有する。このプロファイルは、エンジン10の長手方向軸線Aを中心とした対称的な回転表面である。このプロファイルは、ベースライン基準とみなされ、図5〜7の各々において、ベースラインの従来の表面プロファイルが点線「B」で示され、3D輪郭形成された表面プロファイルは実線で示されている。同じ高さ又は半径方向寸法を有する点は、図において等高線で相互接続される。図4で分かるように、ベーン30の各々は、前縁40から後縁42まで測定した翼弦長「C」を有し、この寸法に平行な方向が「翼弦方向」を表す。内側バンド32の前方縁部又は後方縁部に平行な方向は接線方向と呼ばれ、図5において「T」で表記された矢印により示される。本明細書で説明される場合、用語「正の高さ」、「ピーク」、及び同様の用語は、半径方向外寄りに位置付けられ、又は長手方向軸線Aから測定して局所ベースラインBよりも大きい半径を有する表面特徴を意味し、用語「トラフ」、「負の高さ」及び同様の用語は、半径方向内寄りに位置付けられ、又は長手方向軸線Aから測定して局所ベースラインBよりも小さい半径を有する表面特徴を意味する。
【0022】
図5及び7において最もよく分かるように、トラフ52は、ベーン30の各ペア間の内側バンド32の高温側部48に存在し、ほぼ前縁40から後縁42まで延びる。トラフ52の最深部は、隣接ベーン30の負圧側面46に実質的に平行な線に沿って延び、図5に示される線7−7と一致する。図示の特定の実施形態において、トラフ52の最深部は、高温側部48の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ30%から40%、或いは、全体の高さの差が約10ユニットである場合に約3から4ユニットだけベースラインプロファイルBよりも低い。接線方向において、第1のベーン30の負圧側面46から測定すると、トラフ52の最深部を表す線は、隣接するベーン30の正圧側面44に対する距離の約10%から約30%、好ましくは20%に位置付けられる。翼弦方向では、トラフ52の最深部は、ベーン30の最大セクション厚みの位置付近にある(一般に、「高C」位置と呼ばれる)。
【0023】
図5及び6で最もよく分かるように、ピーク50は、隣接するベーン30の正圧側面44に実質的に平行な線に沿って延びる。リッジ54は、ピーク50の最も高い部分から延び、隣接するベーン30の正圧側面44から離れてほぼ接線方向に延びる。ピーク50の半径方向高さは、このリッジ54から離れて前縁40及び後縁42の両方に向かって傾斜する。ピーク50は、前縁40の背後でベースライン高度Bからより大きな最大高度まで高さ方向で増大し、前縁40から翼弦長さの最初の1/3にわたって大きな勾配を有し、一方、ピーク50は、実質的に低勾配又は傾斜で後縁42から翼弦長さの残りの2/3にわたり同じ大きさで後縁42から高さ方向に増大する。
【0024】
図示の特定の実施例において、ピーク50の最も高い部分は、高温側部48の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ60%から70%、或いは、全体の高さの差が約10ユニットである場合に約6から7ユニットだけベースラインプロファイルBよりも高い。翼弦方向において、ピーク50の最も高い部分は、翼弦中間位置と隣接ベーン30の前縁40との間に位置付けられる。
【0025】
ベーン30の後縁42の後方にある内側バンド32の高温側部48上にはあまり大きなリッジ、フィレット又は他の同様の構造物が存在しないのが好ましい。換言すると、根元36におけるベーン30の後縁42と内側バンド32との間には明瞭に定められた交差部が存在するはずである。機械的強度のため、この場所で一部のタイプのフィレットを含めることが必要となる可能性がある。空力的な目的で、存在するあらゆるフィレットは最小にされるべきである。
【0026】
ピーク50がその最大高さ近傍で局所的に離隔されているのに対して、トラフ52は、実質的に長手方向又は軸方向長さ全体にわたってほぼ均一で浅い深さを有する。全体として、隆起したピーク50と陥凹のトラフ52は、空気力学的に滑らかなチュート又は湾曲フルートを提供し、これは、1つのベーン30の凹状正圧側面44と隣接ベーン30の凸状負圧側面36との間の流路の弓形輪郭に続き、これらを通る燃焼ガスを滑らかに送るようにする。詳細には、協働するピーク50及びトラフ52は、燃焼ガスの流入角と一致し、燃焼ガスを滑らかに傾斜又は転回させて、馬蹄渦及び通路渦流の悪影響を軽減する。
【0027】
図8は、タービンブレード28の構造を示している(3つの同じブレード28の群が作動時の組み付けられた状態で示されている)。これらは、一般に、全部で3つの段S1、S2、S3の列B1、B2、B3のブレードの全体設計を表している。ブレード28は、ダブテール56、内側プラットフォーム58、翼形部60、及び外側プラットフォーム62を含む単体構成部品である。翼形部60は、根元64、先端66、前縁68、後縁70、及び凸状負圧側面74に対向する凹状正圧側面72を含む。内側及び外側プラットフォーム58、62は、翼形部60を通過するガス流の内側及び外側半径方向境界をそれぞれ定める。内側プラットフォーム58は、高温ガス流路に面する「高温側部」76と、高温ガス流路から外方に面する「低温側部」78とを有する。
【0028】
作動時には、タービンブレード28は、ベーン30において馬蹄渦及び通路渦の生成を引き起こす傾向のある同じ流れ条件に曝される。これに応じて、図9〜11に示すように、第2のブレード列B2のブレード28において、内側プラットフォーム58の高温側部76は、タービンノズル26とほぼ同じ方式で高さ方向に選択的に3D輪郭形成される。詳細には、内側プラットフォーム輪郭は非軸対称であり、各ブレード28の正圧側面72に隣接する幅広のピーク80が幅狭の陥凹トラフ82に移行する。組み立てロータの2つの隣接する翼形部60間の通路の空力的「端壁」を定める完成形状は、ブレード28の横並びの内側プラットフォーム58の一部によって協働して定められる点は理解されるであろう。
【0029】
ベースライン基準は「B」で示される。3D輪郭形成された表面プロファイルは実線で図示される。同じ高さ及び半径方向寸法を有する点は、図において等高線で相互接続される。翼形部60の各々は、前縁68から後縁70まで測定した翼弦長「C」を有する。接線方向は「T」で表記された矢印により示される。
【0030】
トラフ82は、翼形部60の各ペア間の内側プラットフォーム58の高温側部76に存在し、ほぼ前縁68から後縁70まで延びる。トラフ82の最深部は、翼形部60の負圧側面74に実質的に平行な線に沿って延び、図9に示される線11−11と一致する。図示の特定の実施例において、トラフ82の最深部は、高温側部76の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ20%、或いは、全体の高さの差が約8.5ユニットである場合に約2ユニットだけベースラインプロファイルB’よりも低い。接線方向において、翼形部60の負圧側面74から測定すると、トラフ82の最深部を表す線は、隣接する翼形部60の正圧側面72に対する距離の約10%に位置付けられる。翼弦方向では、トラフ82の最深部は、翼形部60の最大セクション厚みの位置付近にある。
【0031】
ピーク80は、隣接する翼形部60の正圧側面72に実質的に平行な線に沿って延びる。リッジ81は、ピーク80の最も高い部分から延び、隣接する翼形部60の正圧側面72から離れてほぼ接線方向に延びる。ピーク80の半径方向高さは、このリッジ81から離れて前縁68及び後縁70の両方に向かって傾斜する。ピーク80は、前縁68の背後でベースライン高度B’から最大高度まで高さ方向で増大し、前縁68から翼弦長さの最初の1/3にわたって大きな勾配を有し、一方、ピーク80は、実質的に低勾配又は傾斜で後縁70から翼弦長さの残りの2/3にわたり同じ大きさで後縁70から高さ方向に増大する。
【0032】
図示の特定の実施例において、ピーク80の最も高い部分は、高温側部76の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ80%、或いは、全体の高さの差が約8.5ユニットである場合に約7ユニットだけベースラインプロファイルB’よりも高い。翼弦方向において、ピーク80の最も高い部分は、翼弦中間位置と隣接翼形部60の前縁68との間に位置付けられる。
【0033】
後縁リッジ84は、翼形部60の後方の内側プラットフォーム58の高温側部76に存在する。該後縁リッジ84は、翼形部60の翼弦線の実質的に延長となる線に沿って、翼形部60の後縁70から後方に延びる。後縁リッジ84の半径方向高さは、この線から離れて前縁68及び後縁70の両方に向かって傾斜する。図示の特定の実施例において、後縁リッジ84の最も高い部分は、高温側部76の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ60%、或いは、全体の高さの差が約8.5ユニットである場合に約5ユニットだけベースラインプロファイルB’よりも高い。後縁リッジ84の最も高い部分は、その根元64にて翼形部60の後縁70に直ぐ隣接して位置付けられる。
【0034】
上述の特定の数値は単に例証に過ぎず、特定の応用において最適な性能をもたらすために変わる可能性がある点に留意されたい。例えば、上述の半径方向高さは、±20%だけ優に変わる可能性があり、接線位置は±15%変わる可能性がある。
【0035】
上述の3D輪郭形成構成のコンピュータ解析によって、エンジン作動中の第2の段のノズルN2の内側バンド及び第2の段のブレードB2の内側プラットフォーム近傍の空力的圧力損失が有意に低減されることが予測される。改善された圧力分布は、内側端壁構造からベーン30及び翼形部60の下側スパンのかなりの部分にわたって延びて、翼形部負圧側面46及び74に向かう馬蹄渦をもたらす渦流強度及び交差通路圧力勾配を低減する。3D輪郭形成された高温側部48及び76はまた、ベーン30及び翼形部60それぞれのスパン中間に向かう渦移動を低減すると共に、全圧力損失を低減する。これらの利点は、LPT20及びエンジン10の性能及び効率を向上させる。
【0036】
LPT20は更に、その翼形部の選択的クロッキングによる恩恵を受ける。ガスタービン分野で使用される用語「クロッキング」は、一般に、タービン翼形部の環状アレイの角度方向を指し、より具体的には、翼形部の2つ又はそれ以上の列の相対的角度方向を指す。図12は、ノズル列N1、N2、及びN3、並びにブレード列B1、B2、及びB3を概略的に示している。「W」で表記された矢印は、ノズル列N2のベーン30からの後縁伴流を示し、下流側に進むときにブレード列B2により転回された後、ノズル列N3に衝突する。伴流Wは、ノズルN2が存在することによって引き起こされる流れの外乱を表している。本発明の原理は、実施例としてノズル列N2及びN3を用いて説明するが、間にある回転ブレード列と上流側/下流側の関係で配列されたタービンノズルの何れのペアにも適用可能である点を理解されたい。
【0037】
翼形部(ベーン30又はブレード28)の個々の列は、各列の翼形部間のピッチで表される等しい間隔で各列において互いに円周方向に離間して配置される。円周方向ピッチは、翼形部の前縁から後縁まで同じである。ノズル列N2と下流側ノズル列N3との間の円周方向クロッキングは、列N3における下流側ベーンの前縁に対する列N2におけるベーン30の後縁からの円周方向距離「S」で表される。このクロッキング又は間隔Sは、下流側翼形部ピッチのパーセンテージで表すことができる。この用語を用いると、ゼロパーセント及び100%は、対応する後縁及び前縁間に円周方向の間隔がないことを表し、50%間隔は、列N2のベーン30の後縁が列N3のベーンの前縁間の円周方向の中間に整列されることを表している。
【0038】
作動時には、伴流Wは、回転ブレード列B2によりチョップされた後、下流側ノズルN3におけるベーン30の前縁に到達し、従って、ブレード回転速度に応じて伴流Wの円周方向位置をシフトさせ、すなわち、速度が速くなる程より大きな程度のシフトを生じることになる。
【0039】
伴流Wは下流側ベーン30の前縁40に直接衝突させ、すなわち換言すると、伴流Wの横方向範囲の中間を前縁40と位置合わせさせるのが好ましい。本発明の実施例において、第2の段のノズルN2は、第3の段のノズルN3に対して選択的に方向を合わせ、又は「クロッキング」され、伴流Wへの第2の段のブレード列B2の作用を考慮して、第2の段のノズルN2のベーン30から流出する後縁伴流Wを送って、第3の段のノズルN3のベーン30の前縁40に衝突させるようにする。固定基準に対する各ノズルN2又はN3の絶対角度方向は重要ではなく、すなわち、何れかのノズルがベースライン方向に対して「クロッキング」され、本明細書で説明される効果を達成できる点に留意されたい。
【0040】
この特定の実施例において、伴流Wの最良の整列及び最良の空力効率は、ノズルN2の角度位置がノズルN3に対して後方から前方を見たときに幾分時計回りにシフトされるときであることが明らかになった。図12では、破線はノズルN2におけるベーン30のベースライン位置を示し、実線は「クロッキング」位置を示している。
【0041】
従来の実施では、ベーン30の連続する断面スライス又は「ステーション」の図心を通る線は、「スタック軸」と呼ばれ、エンジンの長手方向軸線Aから半径方向外向きに延びる線である。ブレード28の一定の回転RPM(角速度)では、回転速度(接線方向速度)は、ブレード根元64の最小値から先端66における最大値まで変化する。従って、伴流位置は、ブレード28により根元から先端まで不均一にシフトされる。この異なる作用を補償するため、ノズルN2のベーン30の「スタック軸」は、線形ではなく曲線状である。具体的には、翼形部断面は、根元36から先端38までより大きな程度に漸次的にシフト又はクロッキングされる。図13A、13B、及び13Cは、それぞれ根元36、スパン中間、及び先端38におけるクロッキングした翼形部断面の位置を破線で示している。各翼形部断面の正確な位置は、解析手法又は実験的手法(リグ試験など)によって決定することができる。例えば、伴流Wの位置は、流れの可視化(実験的又は仮想的)により決定され、次いで、ノズルN2の各翼形部断面の円周方向位置は、伴流Wの中心が下流側ノズルN3のベーン30の前縁40に直接衝突するまで操作される。
【0042】
上述のように、3D端壁輪郭形成により、第2の段ノズルN2及び第2の段ブレードB3における通路渦の強度が低減される。更に、3D端壁輪郭形成により、他の場合には、馬蹄渦及び通路渦に起因して提示され、結果として、特にベーン30及び翼形部60の根元36及び64付近で明確に定められる伴流Wをもたらすことになる「スミアリング」作用が低減される。これは、上述の選択的半径方向スタッキングの効果を相乗的に改善し、その結果、根元から先端までの下流側前縁との上流側伴流Wの良好な整列をもたらし、より低い運動量の流体を境界層内に保持し、空気力学的効率がより良好になる。
【0043】
この構成のタービンリグ試験データ及び数値流体力学(「CFD」)解析は、端壁輪郭形成、非線形ノズル半径方向スタッキング、及び適正クロッキングの組み合わせがタービン効率の大幅な改善を達成できることを示している。
【0044】
以上、翼形部の端壁輪郭形成、非線形ノズル半径方向スタッキング、及び選択的クロッキングを備えたタービン組立体について記載した。本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明の技術的思想及び範囲から逸脱することなく種々の修正形態を実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。従って、本発明の好ましい実施形態の上記の説明並びに本発明を実施するのに最良の形態が限定ではなく単に例証の目的で提供され、本発明は請求項によって定義される。
【符号の説明】
【0045】
32:内側バンド
34:外側バンド
36:根元
38:先端
40:前縁
42:後縁
44:正圧側面
46:負圧側面
【技術分野】
【0001】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
米国政府は、陸軍により授与された契約書番号W911W6−07−2−0002に基づき本発明において一定の権利を有する場合がある。
【0002】
本発明は、全体的にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、このようなエンジン内のタービン翼形部の構成に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンエンジンにおいて、空気は、圧縮機において加圧され、次いで燃料と混合されて、燃焼器内で燃焼して燃焼ガスを生成する。燃焼器の下流側の1つ又はそれ以上のタービンは、燃焼ガスからエネルギーを抽出し、圧縮機、並びにファン、プロペラ、又は他の機械的負荷を駆動する。各タービンは、各々がタービンブレード又はバケットのアレイを保持するディスクを含む1つ又はそれ以上のロータを備える。環状バンドの形態で半径方向外側及び内側端壁を有するステータベーンのアレイを備える固定ノズルは、各ロータの上流側に配置され、ロータへの燃焼ガスの流れを最適に配向するよう機能する。総称して、各ノズル及び下流側ロータは、タービンの「段」と呼ばれる。
【0004】
ベーン及びブレード翼形部の複雑な三次元(3D)構成は、作動効率を最大にするよう適合され、翼形部に沿った半径方向スパンで変化し、並びに前縁と後縁との間の翼形部の翼弦に沿って軸方向に変化する。これに応じて、翼形部表面にわたって且つ対応する流れ通路において燃焼ガスの速度及び圧力分布もまた変化する。
【0005】
燃焼ガス流路における望ましくない圧力損失は、タービン全体の効率の望ましくない低下に対応する。タービン圧力損失のよく見られる1つの原因は、燃焼ガスがその移動において翼形部前縁の周りで分割されるときに生成される馬蹄渦の形成である。全圧力勾配は、翼形部の前縁及び端壁の接合部での境界層流において生じる。翼形部前縁でのこの圧力勾配は、端壁付近の各翼形部の両側部上で下流側に進む逆回転の馬蹄渦のペアを形成する。馬蹄渦の移動は、交差通路渦を発生する。馬蹄渦及び通路渦は、全圧力損失及び対応するタービン効率の低下をもたらす。これらの渦流はまた乱流を生成し、望ましくない端壁加熱を増大させる。
【0006】
端壁輪郭形成設計においてタービン翼形部の端壁(例えば、プラットフォーム又はシュラウド)に3D輪郭形成を利用すると、馬蹄渦及び通路渦の強度並びに関連する圧力損失が低減され、これによりタービン効率が改善されることは知られている。
【0007】
更に、回転ブレードのセットがベーンの2つの列の間に位置付けられる場合に、上流側ベーン後縁からの伴流(ウェイク(wake)又は後流とも呼ばれる)を下流側ベーンの前縁に衝突させるように、タービンベーンの上流側の列をタービンベーンの下流側の列に対して方向を合わせること、すなわち「クロッキング」することは知られている。この構想は、伴流をベーンの境界層内に保持し、これにより望ましくない圧力損失を最小限にするために、下流側ベーン前縁に衝突する伴流の運動量をより小さくしようとするものである。
【0008】
伴流は、下流側ノズルベーン前縁に到達する前に回転ブレード列によってチョップされるので、伴流の位置は、ブレードの回転速度の関数としてシフトされる。一定の回転RPMでは、接線速度がブレードの根元から先端まで変化する。そのため、伴流位置は、ハブから先端まで不均一にシフトされる。
【0009】
従って、渦作用を最小限にすると共に、下流側ノズルに対するノズル伴流を良好に位置合わせすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,486,091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の必要性は、3D輪郭形成された端壁及びノズルベーンの2つの列間の選択的クロッキングを備えたノズル及びブレードを有するタービン組立体を提供する、本発明によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様によれば、タービン装置は、環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第1のベーンのアレイを有する第1のノズルを備え、第1のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、第1のベーンが、1つには内側バンドにより境界付けられる複数の第1の流路を間に定めるように配列され、内側バンドの表面が非軸対称形状で輪郭形成されており、本タービン装置が更に、回転可能ディスクにより保持される複数のブレードを含み、該ブレードの各々が根元、先端、凹状正圧側面、及び横方向に対向する凸状負圧側面を有し、該正圧及び負圧側面が対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びている、第1のノズルから下流側に配置されたロータと、環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第2のベーンのアレイを有する、ロータから下流側に配置された第2のノズルと、を備え、第2のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、第2のベーンが複数の第2の流路を間に定めるように配列される。第1及び第2のノズルの第1及び第2のベーンは、互いに対して円周方向にクロッキングされ、予め定められた作動条件において、第1のベーンから吐出される伴流が第2のベーンの前縁と円周方向で並ぶようになり、第1のベーンのスタッキング軸が非線形である。
【0013】
本発明は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1つの態様に従って構成されたタービン組立体を組み込んだガスタービンエンジンの概略図。
【図2】図1に示すエンジンの低圧タービンの概略図。
【図3】図1に示すエンジンのタービンノズルの斜視図。
【図4】図3に示すタービンノズルの一部の拡大図。
【図5】図3に示すタービンノズルの一部の断面図。
【図6】図5の線6−6から見た図。
【図7】図5の線7−7から見た図。
【図8】図1に示すタービン組立体の複数のタービンブレードの斜視図。
【図9】図8に示すタービンブレードの一部の断面図。
【図10】図9の線10−10から見た図。
【図11】図9の線11−11から見た図。
【図12】図1のエンジンの低圧タービンのタービンベーン及びブレードの列の概略図。
【図13】図13Aは根元でのタービンベーンの概略断面図であり、図13Bはスパン中間位置におけるタービンベーンの概略図であり、図13Cは先端においけるタービンベーンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
各図を通して同じ参照符号が同じ要素を示す図面を参照すると、図1は、ファン12、高圧圧縮機14、燃焼器16、高圧タービン(「HPT」)18、及び低圧タービン20を有し、これら全てが長手方向中心軸線「A」に沿って直列の軸流関係で配列された例示的なガスタービンエンジン10の要素を概略的に示している。高圧圧縮機14、燃焼器16、及び高圧タービン18は、総称して「コア」と呼ばれる。高圧圧縮機14は、燃焼器16に入る加圧空気を提供し、該燃焼器にて燃料が導入されて燃焼し、高温燃焼ガスを発生する。この高温燃焼ガスは高圧タービン18に吐出され、ここで膨張させてこれからエネルギーを抽出する。高圧タービン18は、外側シャフト22を通じて圧縮機10を駆動する。高圧タービン18から流出する加圧空気は、低圧タービン(「LP」)20に吐出され、ここで更に膨張させてエネルギーを抽出する。低圧タービン20は、内側シャフト24を通じてファン12を駆動する。ファン12は加圧空気の流れを生成し、その一部が高圧圧縮機14の入口を過給し、その大部分が、「コア」をバイパスしてエンジン10によってもたらされるスラストの大部分を提供する。
【0016】
図示のエンジン10は、高バイパスターボファンエンジンであるが、本明細書で説明される原理は、ターボプロップ、ターボジェット、及びターボシャフトエンジン、並びに他の移動体又は定置用途で使用されるタービンエンジンにも同様に適用することができる。更に、実施例としてLPTが使用されるが、本発明の原理は、限定ではないがHPT及び中圧タービン(「IPT」)を含む、内側及び外側シュラウド又はプラットフォームを有するあらゆるタービンに適用できる点は理解される。更に、本明細書で説明される原理はまた、蒸気タービンなどの空気以外の作動流体を用いるタービンにも適用することができる。
【0017】
図2を参照すると、LPT20は、第1の段S1、第2の段S2、及び第3の段S3をそれぞれ含む。各段は、固定タービンベーンの環状アレイを備えたノズル26と、タービンブレード28の環状アレイを保持する回転ディスクを備えた下流側ロータとを含む。ロータは全て共回転し、内側シャフト24に結合される。参照のため、第1の段S1、第2の段S2、及び第3の段S3のノズル(又はベーン列)は、N1、N2、及びN3で表記され、それぞれのロータ(又はブレード列)はB1、B2、及びB3で表記される。
【0018】
図3及び4は、タービンノズル26のうちの1つを示しており、全部で3つの段S1、S2、及びS3のノズルN1、N2、N3の全体の設計を一般的に表している。ノズル26は、単体構造又は組み立て構造のものとすることができ、環状内側バンド32と環状外側バンド34との間に配置された複数のタービンベーン30を含む。各ベーン30は、根元36、前縁40、後縁42、及び凸状負圧側面46に対向する凹状正圧側面44を含む翼形部である。内側バンド32及び外側バンド34は、タービンノズル26を通るガス流の内側及び外側半径方向境界をそれぞれ定める。内側バンド32は、高温ガス流路に面する「高温側部」48と、高温ガス流路から外方に面する「低温側部」とを有し、従来の取り付け構造を含む。同様に、外側バンド34は、低温側部と高温側部とを有し、従来の取り付け構造を含む。
【0019】
作動時には、翼形部前縁におけるガス圧力勾配は、内側バンド32付近の各翼形部の両側部上で下流側に進む逆回転の馬蹄渦のペアの形成を引き起こす。図4は、これらの渦が進む方向を概略的に示しており、ここでは正圧側面及び負圧側面の渦がそれぞれPS及びSSで表記されている。
【0020】
この特定の実施例において、第2の段ノズルN2では、内側バンド32の高温側部48、すなわち具体的には各ベーン30間の内側バンドの一部は、従来の軸対称又は円形の円周方向プロファイルに対して高さ方向で選択的に輪郭形成され、作動中に燃焼ガスが内側バンド32にわたって下流方向に流れると、該燃焼ガスがベーン30の前縁の周りで燃焼ガスが分割されるときに生成される渦流の悪影響を低減するようにする。内側バンドの輪郭は、各ベーン28の正圧側面44に隣接する幅広のピーク50から幅狭の陥凹トラフ52まで半径高さ方向で輪郭形成される。この輪郭形成は、一般に「3D輪郭形成」と呼ばれる。
【0021】
3D輪郭形成を図5〜7を参照して説明する。典型的な従来の内側バンドは一般に、長手方向断面で見たときに(図6を参照)翼形部の上面に類似した凸状湾曲形状の表面プロファイルを有する。このプロファイルは、エンジン10の長手方向軸線Aを中心とした対称的な回転表面である。このプロファイルは、ベースライン基準とみなされ、図5〜7の各々において、ベースラインの従来の表面プロファイルが点線「B」で示され、3D輪郭形成された表面プロファイルは実線で示されている。同じ高さ又は半径方向寸法を有する点は、図において等高線で相互接続される。図4で分かるように、ベーン30の各々は、前縁40から後縁42まで測定した翼弦長「C」を有し、この寸法に平行な方向が「翼弦方向」を表す。内側バンド32の前方縁部又は後方縁部に平行な方向は接線方向と呼ばれ、図5において「T」で表記された矢印により示される。本明細書で説明される場合、用語「正の高さ」、「ピーク」、及び同様の用語は、半径方向外寄りに位置付けられ、又は長手方向軸線Aから測定して局所ベースラインBよりも大きい半径を有する表面特徴を意味し、用語「トラフ」、「負の高さ」及び同様の用語は、半径方向内寄りに位置付けられ、又は長手方向軸線Aから測定して局所ベースラインBよりも小さい半径を有する表面特徴を意味する。
【0022】
図5及び7において最もよく分かるように、トラフ52は、ベーン30の各ペア間の内側バンド32の高温側部48に存在し、ほぼ前縁40から後縁42まで延びる。トラフ52の最深部は、隣接ベーン30の負圧側面46に実質的に平行な線に沿って延び、図5に示される線7−7と一致する。図示の特定の実施形態において、トラフ52の最深部は、高温側部48の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ30%から40%、或いは、全体の高さの差が約10ユニットである場合に約3から4ユニットだけベースラインプロファイルBよりも低い。接線方向において、第1のベーン30の負圧側面46から測定すると、トラフ52の最深部を表す線は、隣接するベーン30の正圧側面44に対する距離の約10%から約30%、好ましくは20%に位置付けられる。翼弦方向では、トラフ52の最深部は、ベーン30の最大セクション厚みの位置付近にある(一般に、「高C」位置と呼ばれる)。
【0023】
図5及び6で最もよく分かるように、ピーク50は、隣接するベーン30の正圧側面44に実質的に平行な線に沿って延びる。リッジ54は、ピーク50の最も高い部分から延び、隣接するベーン30の正圧側面44から離れてほぼ接線方向に延びる。ピーク50の半径方向高さは、このリッジ54から離れて前縁40及び後縁42の両方に向かって傾斜する。ピーク50は、前縁40の背後でベースライン高度Bからより大きな最大高度まで高さ方向で増大し、前縁40から翼弦長さの最初の1/3にわたって大きな勾配を有し、一方、ピーク50は、実質的に低勾配又は傾斜で後縁42から翼弦長さの残りの2/3にわたり同じ大きさで後縁42から高さ方向に増大する。
【0024】
図示の特定の実施例において、ピーク50の最も高い部分は、高温側部48の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ60%から70%、或いは、全体の高さの差が約10ユニットである場合に約6から7ユニットだけベースラインプロファイルBよりも高い。翼弦方向において、ピーク50の最も高い部分は、翼弦中間位置と隣接ベーン30の前縁40との間に位置付けられる。
【0025】
ベーン30の後縁42の後方にある内側バンド32の高温側部48上にはあまり大きなリッジ、フィレット又は他の同様の構造物が存在しないのが好ましい。換言すると、根元36におけるベーン30の後縁42と内側バンド32との間には明瞭に定められた交差部が存在するはずである。機械的強度のため、この場所で一部のタイプのフィレットを含めることが必要となる可能性がある。空力的な目的で、存在するあらゆるフィレットは最小にされるべきである。
【0026】
ピーク50がその最大高さ近傍で局所的に離隔されているのに対して、トラフ52は、実質的に長手方向又は軸方向長さ全体にわたってほぼ均一で浅い深さを有する。全体として、隆起したピーク50と陥凹のトラフ52は、空気力学的に滑らかなチュート又は湾曲フルートを提供し、これは、1つのベーン30の凹状正圧側面44と隣接ベーン30の凸状負圧側面36との間の流路の弓形輪郭に続き、これらを通る燃焼ガスを滑らかに送るようにする。詳細には、協働するピーク50及びトラフ52は、燃焼ガスの流入角と一致し、燃焼ガスを滑らかに傾斜又は転回させて、馬蹄渦及び通路渦流の悪影響を軽減する。
【0027】
図8は、タービンブレード28の構造を示している(3つの同じブレード28の群が作動時の組み付けられた状態で示されている)。これらは、一般に、全部で3つの段S1、S2、S3の列B1、B2、B3のブレードの全体設計を表している。ブレード28は、ダブテール56、内側プラットフォーム58、翼形部60、及び外側プラットフォーム62を含む単体構成部品である。翼形部60は、根元64、先端66、前縁68、後縁70、及び凸状負圧側面74に対向する凹状正圧側面72を含む。内側及び外側プラットフォーム58、62は、翼形部60を通過するガス流の内側及び外側半径方向境界をそれぞれ定める。内側プラットフォーム58は、高温ガス流路に面する「高温側部」76と、高温ガス流路から外方に面する「低温側部」78とを有する。
【0028】
作動時には、タービンブレード28は、ベーン30において馬蹄渦及び通路渦の生成を引き起こす傾向のある同じ流れ条件に曝される。これに応じて、図9〜11に示すように、第2のブレード列B2のブレード28において、内側プラットフォーム58の高温側部76は、タービンノズル26とほぼ同じ方式で高さ方向に選択的に3D輪郭形成される。詳細には、内側プラットフォーム輪郭は非軸対称であり、各ブレード28の正圧側面72に隣接する幅広のピーク80が幅狭の陥凹トラフ82に移行する。組み立てロータの2つの隣接する翼形部60間の通路の空力的「端壁」を定める完成形状は、ブレード28の横並びの内側プラットフォーム58の一部によって協働して定められる点は理解されるであろう。
【0029】
ベースライン基準は「B」で示される。3D輪郭形成された表面プロファイルは実線で図示される。同じ高さ及び半径方向寸法を有する点は、図において等高線で相互接続される。翼形部60の各々は、前縁68から後縁70まで測定した翼弦長「C」を有する。接線方向は「T」で表記された矢印により示される。
【0030】
トラフ82は、翼形部60の各ペア間の内側プラットフォーム58の高温側部76に存在し、ほぼ前縁68から後縁70まで延びる。トラフ82の最深部は、翼形部60の負圧側面74に実質的に平行な線に沿って延び、図9に示される線11−11と一致する。図示の特定の実施例において、トラフ82の最深部は、高温側部76の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ20%、或いは、全体の高さの差が約8.5ユニットである場合に約2ユニットだけベースラインプロファイルB’よりも低い。接線方向において、翼形部60の負圧側面74から測定すると、トラフ82の最深部を表す線は、隣接する翼形部60の正圧側面72に対する距離の約10%に位置付けられる。翼弦方向では、トラフ82の最深部は、翼形部60の最大セクション厚みの位置付近にある。
【0031】
ピーク80は、隣接する翼形部60の正圧側面72に実質的に平行な線に沿って延びる。リッジ81は、ピーク80の最も高い部分から延び、隣接する翼形部60の正圧側面72から離れてほぼ接線方向に延びる。ピーク80の半径方向高さは、このリッジ81から離れて前縁68及び後縁70の両方に向かって傾斜する。ピーク80は、前縁68の背後でベースライン高度B’から最大高度まで高さ方向で増大し、前縁68から翼弦長さの最初の1/3にわたって大きな勾配を有し、一方、ピーク80は、実質的に低勾配又は傾斜で後縁70から翼弦長さの残りの2/3にわたり同じ大きさで後縁70から高さ方向に増大する。
【0032】
図示の特定の実施例において、ピーク80の最も高い部分は、高温側部76の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ80%、或いは、全体の高さの差が約8.5ユニットである場合に約7ユニットだけベースラインプロファイルB’よりも高い。翼弦方向において、ピーク80の最も高い部分は、翼弦中間位置と隣接翼形部60の前縁68との間に位置付けられる。
【0033】
後縁リッジ84は、翼形部60の後方の内側プラットフォーム58の高温側部76に存在する。該後縁リッジ84は、翼形部60の翼弦線の実質的に延長となる線に沿って、翼形部60の後縁70から後方に延びる。後縁リッジ84の半径方向高さは、この線から離れて前縁68及び後縁70の両方に向かって傾斜する。図示の特定の実施例において、後縁リッジ84の最も高い部分は、高温側部76の最低位置と最高位置との間の半径方向高さの全体の差のおよそ60%、或いは、全体の高さの差が約8.5ユニットである場合に約5ユニットだけベースラインプロファイルB’よりも高い。後縁リッジ84の最も高い部分は、その根元64にて翼形部60の後縁70に直ぐ隣接して位置付けられる。
【0034】
上述の特定の数値は単に例証に過ぎず、特定の応用において最適な性能をもたらすために変わる可能性がある点に留意されたい。例えば、上述の半径方向高さは、±20%だけ優に変わる可能性があり、接線位置は±15%変わる可能性がある。
【0035】
上述の3D輪郭形成構成のコンピュータ解析によって、エンジン作動中の第2の段のノズルN2の内側バンド及び第2の段のブレードB2の内側プラットフォーム近傍の空力的圧力損失が有意に低減されることが予測される。改善された圧力分布は、内側端壁構造からベーン30及び翼形部60の下側スパンのかなりの部分にわたって延びて、翼形部負圧側面46及び74に向かう馬蹄渦をもたらす渦流強度及び交差通路圧力勾配を低減する。3D輪郭形成された高温側部48及び76はまた、ベーン30及び翼形部60それぞれのスパン中間に向かう渦移動を低減すると共に、全圧力損失を低減する。これらの利点は、LPT20及びエンジン10の性能及び効率を向上させる。
【0036】
LPT20は更に、その翼形部の選択的クロッキングによる恩恵を受ける。ガスタービン分野で使用される用語「クロッキング」は、一般に、タービン翼形部の環状アレイの角度方向を指し、より具体的には、翼形部の2つ又はそれ以上の列の相対的角度方向を指す。図12は、ノズル列N1、N2、及びN3、並びにブレード列B1、B2、及びB3を概略的に示している。「W」で表記された矢印は、ノズル列N2のベーン30からの後縁伴流を示し、下流側に進むときにブレード列B2により転回された後、ノズル列N3に衝突する。伴流Wは、ノズルN2が存在することによって引き起こされる流れの外乱を表している。本発明の原理は、実施例としてノズル列N2及びN3を用いて説明するが、間にある回転ブレード列と上流側/下流側の関係で配列されたタービンノズルの何れのペアにも適用可能である点を理解されたい。
【0037】
翼形部(ベーン30又はブレード28)の個々の列は、各列の翼形部間のピッチで表される等しい間隔で各列において互いに円周方向に離間して配置される。円周方向ピッチは、翼形部の前縁から後縁まで同じである。ノズル列N2と下流側ノズル列N3との間の円周方向クロッキングは、列N3における下流側ベーンの前縁に対する列N2におけるベーン30の後縁からの円周方向距離「S」で表される。このクロッキング又は間隔Sは、下流側翼形部ピッチのパーセンテージで表すことができる。この用語を用いると、ゼロパーセント及び100%は、対応する後縁及び前縁間に円周方向の間隔がないことを表し、50%間隔は、列N2のベーン30の後縁が列N3のベーンの前縁間の円周方向の中間に整列されることを表している。
【0038】
作動時には、伴流Wは、回転ブレード列B2によりチョップされた後、下流側ノズルN3におけるベーン30の前縁に到達し、従って、ブレード回転速度に応じて伴流Wの円周方向位置をシフトさせ、すなわち、速度が速くなる程より大きな程度のシフトを生じることになる。
【0039】
伴流Wは下流側ベーン30の前縁40に直接衝突させ、すなわち換言すると、伴流Wの横方向範囲の中間を前縁40と位置合わせさせるのが好ましい。本発明の実施例において、第2の段のノズルN2は、第3の段のノズルN3に対して選択的に方向を合わせ、又は「クロッキング」され、伴流Wへの第2の段のブレード列B2の作用を考慮して、第2の段のノズルN2のベーン30から流出する後縁伴流Wを送って、第3の段のノズルN3のベーン30の前縁40に衝突させるようにする。固定基準に対する各ノズルN2又はN3の絶対角度方向は重要ではなく、すなわち、何れかのノズルがベースライン方向に対して「クロッキング」され、本明細書で説明される効果を達成できる点に留意されたい。
【0040】
この特定の実施例において、伴流Wの最良の整列及び最良の空力効率は、ノズルN2の角度位置がノズルN3に対して後方から前方を見たときに幾分時計回りにシフトされるときであることが明らかになった。図12では、破線はノズルN2におけるベーン30のベースライン位置を示し、実線は「クロッキング」位置を示している。
【0041】
従来の実施では、ベーン30の連続する断面スライス又は「ステーション」の図心を通る線は、「スタック軸」と呼ばれ、エンジンの長手方向軸線Aから半径方向外向きに延びる線である。ブレード28の一定の回転RPM(角速度)では、回転速度(接線方向速度)は、ブレード根元64の最小値から先端66における最大値まで変化する。従って、伴流位置は、ブレード28により根元から先端まで不均一にシフトされる。この異なる作用を補償するため、ノズルN2のベーン30の「スタック軸」は、線形ではなく曲線状である。具体的には、翼形部断面は、根元36から先端38までより大きな程度に漸次的にシフト又はクロッキングされる。図13A、13B、及び13Cは、それぞれ根元36、スパン中間、及び先端38におけるクロッキングした翼形部断面の位置を破線で示している。各翼形部断面の正確な位置は、解析手法又は実験的手法(リグ試験など)によって決定することができる。例えば、伴流Wの位置は、流れの可視化(実験的又は仮想的)により決定され、次いで、ノズルN2の各翼形部断面の円周方向位置は、伴流Wの中心が下流側ノズルN3のベーン30の前縁40に直接衝突するまで操作される。
【0042】
上述のように、3D端壁輪郭形成により、第2の段ノズルN2及び第2の段ブレードB3における通路渦の強度が低減される。更に、3D端壁輪郭形成により、他の場合には、馬蹄渦及び通路渦に起因して提示され、結果として、特にベーン30及び翼形部60の根元36及び64付近で明確に定められる伴流Wをもたらすことになる「スミアリング」作用が低減される。これは、上述の選択的半径方向スタッキングの効果を相乗的に改善し、その結果、根元から先端までの下流側前縁との上流側伴流Wの良好な整列をもたらし、より低い運動量の流体を境界層内に保持し、空気力学的効率がより良好になる。
【0043】
この構成のタービンリグ試験データ及び数値流体力学(「CFD」)解析は、端壁輪郭形成、非線形ノズル半径方向スタッキング、及び適正クロッキングの組み合わせがタービン効率の大幅な改善を達成できることを示している。
【0044】
以上、翼形部の端壁輪郭形成、非線形ノズル半径方向スタッキング、及び選択的クロッキングを備えたタービン組立体について記載した。本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明の技術的思想及び範囲から逸脱することなく種々の修正形態を実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。従って、本発明の好ましい実施形態の上記の説明並びに本発明を実施するのに最良の形態が限定ではなく単に例証の目的で提供され、本発明は請求項によって定義される。
【符号の説明】
【0045】
32:内側バンド
34:外側バンド
36:根元
38:先端
40:前縁
42:後縁
44:正圧側面
46:負圧側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン装置において、
環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第1のベーンのアレイを有する第1のノズルを備え、
前記第1のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、前記第1のベーンが、1つには内側バンドにより境界付けられる複数の第1の流路を間に定めるように配列され、前記内側バンドの表面が非軸対称形状で輪郭形成されており、
前記タービン装置が更に、
回転可能ディスクにより保持される複数のブレードを含み、該ブレードの各々が根元、先端、凹状正圧側面、及び横方向に対向する凸状負圧側面を有し、該正圧及び負圧側面が対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びている、前記第1のノズルから下流側に配置されたロータと、
環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第2のベーンのアレイを有する、前記ロータから下流側に配置された第2のノズルと、
を備え、
前記第2のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、前記第2のベーンが複数の第2の流路を間に定めるように配列され、
前記第1及び第2のノズルの第1及び第2のベーンが、互いに対して円周方向にクロッキングされ、予め定められた作動条件において、前記第1のベーンから吐出される伴流が前記第2のベーンの前縁と円周方向で整列されるようになり、
前記第1のベーンのスタッキング軸が非線形である、
タービン装置。
【請求項2】
前記第1のノズル及び前記第2のノズルが等しい数のベーンを含む、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項3】
前記第1のベーンのスタッキング軸に沿って離間した複数の断面ステーションが各々、予め定められた作動条件において、前記第1のベーンから吐出される伴流が前記第2のベーンに沿って離間した対応する断面スレ-ションの前縁と円周方向で整列されるように位置付けられる、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項4】
前記タービンブレードの各々が、前記翼形部の先端に配置された外側プラットフォームと、前記翼形部の根元に配置された内側プラットフォームとを含み、前記内側プラットフォームが、前記翼形部に面し、非軸対称形状に輪郭形成された高温側部を有する、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項5】
前記内側プラットフォームの高温側部の各々が、前縁に隣接する翼形部のうちの1つの正圧側面に隣接した比較的高い半径方向高さのピークを含む非軸対称形状に輪郭形成され、比較的低い半径方向高さのトラフが、前縁の後方の翼形部の負圧側面に平行で且つ離間し、前記翼形部に隣接して配置され、前記ピーク及びトラフが、前記内側プラットフォームに軸方向に沿って延びる弓形チャンネルを協働して定める、
請求項4に記載のタービン装置。
【請求項6】
前記ピークは、隣接する翼形部の負圧側面に沿って前記トラフに接合するため第1の翼形部の各前縁の周りで高さが減少し、前記トラフが、前記隣接する翼形部の負圧側面に沿って後縁にまで延びる、
請求項5に記載のタービン装置。
【請求項7】
各内側プラットフォームの高温側部が、前記翼形部の後縁の後方に延びる比較的高い半径方向高さの後縁リッジを含む、
請求項5に記載のタービン装置。
【請求項8】
前記ピークが、前記前縁と翼弦中間位置との間の各翼形部の正圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方で高さが減少し、前記トラフが、前記翼形部の最大厚み付近の前記負圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方の深さが減少する、
請求項5に記載のタービン装置。
【請求項9】
前記第1の通路の各々における内側バンドの表面が、前縁に隣接する第1のベーンのうちの1つの正圧側面に隣接した比較的高い半径方向高さのピークと、前縁の後方の第1の隣接ベーンの負圧側面に平行で且つ離間して配置された比較的低い半径方向高さのトラフとを含む非軸対称形状で輪郭形成され、
前記ピーク及びトラフが、隣接する第1のベーン間の内側バンドに沿って軸方向に延びる弓形チャンネルを協働して定める、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項10】
各第1の通路に配置された前記ピークが、前記隣接する第1のベーンの負圧側面に沿って前記トラフに接合するために前記第1のベーンのうちの1つの各前縁の周りで高さが減少し、前記トラフが、前記隣接する第1のベーンの負圧側面に沿って後縁にまで延びる、
請求項9に記載のタービン装置。
【請求項11】
前記ピークが、前記前縁と翼弦中間位置との間の各第1のベーンの正圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方で高さが減少し、前記トラフが、前記翼形部の最大厚み付近の前記負圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方の深さが減少する、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項12】
上流側又は下流側に位置付けられる少なくとも1つの追加の段を更に備え、
前記追加段が、
環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置されたベーンのアレイを含み、該ベーンの各々が凹状正圧側面と対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを有し、前記ベーンが複数の流路を間に定めるように配列された追加ノズルと、
回転可能ディスクにより保持される複数のブレードを有する、前記追加ノズルから下流側に配置された追加ロータと、
を含み、
前記各ブレードが、根元、先端、凹状正圧側面、及び横方向に対向する凸状負圧側面を有し、該正圧及び負圧側面が対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びている翼形部を含む、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項1】
タービン装置において、
環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第1のベーンのアレイを有する第1のノズルを備え、
前記第1のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、前記第1のベーンが、1つには内側バンドにより境界付けられる複数の第1の流路を間に定めるように配列され、前記内側バンドの表面が非軸対称形状で輪郭形成されており、
前記タービン装置が更に、
回転可能ディスクにより保持される複数のブレードを含み、該ブレードの各々が根元、先端、凹状正圧側面、及び横方向に対向する凸状負圧側面を有し、該正圧及び負圧側面が対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びている、前記第1のノズルから下流側に配置されたロータと、
環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置された第2のベーンのアレイを有する、前記ロータから下流側に配置された第2のノズルと、
を備え、
前記第2のベーンの各々が、凹状正圧側面と、対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを含み、前記第2のベーンが複数の第2の流路を間に定めるように配列され、
前記第1及び第2のノズルの第1及び第2のベーンが、互いに対して円周方向にクロッキングされ、予め定められた作動条件において、前記第1のベーンから吐出される伴流が前記第2のベーンの前縁と円周方向で整列されるようになり、
前記第1のベーンのスタッキング軸が非線形である、
タービン装置。
【請求項2】
前記第1のノズル及び前記第2のノズルが等しい数のベーンを含む、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項3】
前記第1のベーンのスタッキング軸に沿って離間した複数の断面ステーションが各々、予め定められた作動条件において、前記第1のベーンから吐出される伴流が前記第2のベーンに沿って離間した対応する断面スレ-ションの前縁と円周方向で整列されるように位置付けられる、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項4】
前記タービンブレードの各々が、前記翼形部の先端に配置された外側プラットフォームと、前記翼形部の根元に配置された内側プラットフォームとを含み、前記内側プラットフォームが、前記翼形部に面し、非軸対称形状に輪郭形成された高温側部を有する、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項5】
前記内側プラットフォームの高温側部の各々が、前縁に隣接する翼形部のうちの1つの正圧側面に隣接した比較的高い半径方向高さのピークを含む非軸対称形状に輪郭形成され、比較的低い半径方向高さのトラフが、前縁の後方の翼形部の負圧側面に平行で且つ離間し、前記翼形部に隣接して配置され、前記ピーク及びトラフが、前記内側プラットフォームに軸方向に沿って延びる弓形チャンネルを協働して定める、
請求項4に記載のタービン装置。
【請求項6】
前記ピークは、隣接する翼形部の負圧側面に沿って前記トラフに接合するため第1の翼形部の各前縁の周りで高さが減少し、前記トラフが、前記隣接する翼形部の負圧側面に沿って後縁にまで延びる、
請求項5に記載のタービン装置。
【請求項7】
各内側プラットフォームの高温側部が、前記翼形部の後縁の後方に延びる比較的高い半径方向高さの後縁リッジを含む、
請求項5に記載のタービン装置。
【請求項8】
前記ピークが、前記前縁と翼弦中間位置との間の各翼形部の正圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方で高さが減少し、前記トラフが、前記翼形部の最大厚み付近の前記負圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方の深さが減少する、
請求項5に記載のタービン装置。
【請求項9】
前記第1の通路の各々における内側バンドの表面が、前縁に隣接する第1のベーンのうちの1つの正圧側面に隣接した比較的高い半径方向高さのピークと、前縁の後方の第1の隣接ベーンの負圧側面に平行で且つ離間して配置された比較的低い半径方向高さのトラフとを含む非軸対称形状で輪郭形成され、
前記ピーク及びトラフが、隣接する第1のベーン間の内側バンドに沿って軸方向に延びる弓形チャンネルを協働して定める、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項10】
各第1の通路に配置された前記ピークが、前記隣接する第1のベーンの負圧側面に沿って前記トラフに接合するために前記第1のベーンのうちの1つの各前縁の周りで高さが減少し、前記トラフが、前記隣接する第1のベーンの負圧側面に沿って後縁にまで延びる、
請求項9に記載のタービン装置。
【請求項11】
前記ピークが、前記前縁と翼弦中間位置との間の各第1のベーンの正圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方で高さが減少し、前記トラフが、前記翼形部の最大厚み付近の前記負圧側面に中心があり、そこから前方、後方、及び側方の深さが減少する、
請求項1に記載のタービン装置。
【請求項12】
上流側又は下流側に位置付けられる少なくとも1つの追加の段を更に備え、
前記追加段が、
環状内側バンドと環状外側バンドとの間に配置されたベーンのアレイを含み、該ベーンの各々が凹状正圧側面と対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びる横方向に対向する凸状負圧側面とを有し、前記ベーンが複数の流路を間に定めるように配列された追加ノズルと、
回転可能ディスクにより保持される複数のブレードを有する、前記追加ノズルから下流側に配置された追加ロータと、
を含み、
前記各ブレードが、根元、先端、凹状正圧側面、及び横方向に対向する凸状負圧側面を有し、該正圧及び負圧側面が対向する前縁及び後縁間で翼弦方向に延びている翼形部を含む、
請求項1に記載のタービン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−52524(P2012−52524A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141314(P2011−141314)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]