説明

端子付電線の誤挿入検査装置及び誤挿入検査方法

【課題】端子付電線の誤挿入の検査を行うための検査情報取得を、より短時間で行えるようにすること。
【解決手段】端子付電線の誤挿入検査装置は、複数の端子付電線の端子を、コネクタの端子挿入部に挿入する際に誤挿入の有無を検査する。誤挿入検査装置は、第1グループに属する複数の端子挿入部と第2グループに属する複数の端子挿入部個別との間で、端子付電線を通じた導通の有無を検査し、第1グループと第2グループとを入替えて同様に端子付電線を通じた導通の有無を検査する。誤挿入検査装置は、これらの検査結果に基づいて、第1グループに属する前記のピンと第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定し、この導通関係に基づいて誤挿入の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両等に組込まれるワイヤーハーネスを製造する際に、端子付電線がコネクタに誤挿入されていないかどうかを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーハーネスは、複数の電線を結束することにより製造される。ワイヤーハーネスを構成する電線本数が多数である場合、ワイヤーハーネス全体の一部の構成部品である仮結部品を製造し、この仮結部品を複数組合わせてワイヤーハーネスを製造することもある。ワイヤーハーネス或は仮結部品を製造する際、各電線の端部に接続された端子がコネクタに挿入される。ワイヤーハーネスの不良品発生を抑制するためには、各電線端部の端子とその挿入先の位置とが適正な対応関係にあるかどうかを検査する必要がある。
【0003】
特許文献1には、電線の一端側に対応する各プローブの出力電圧を1つずつアース状態に立ち下げ、これに対応する電線他端側の各プローブでの出力電圧をチェックして、各プローブ間での導通の有無を検査することにより、回路の接続状態を検査する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−358845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、端子付電線の誤挿入を抑制するためには、作業対象となった電線が接続されるべき位置間でのみの導通検査を行うのではなく、その他の未接続位置間でも導通検査を行うことが好ましい。
【0006】
この場合、特許文献1の検査手法によると、多数の位置間で順次導通検査を行う必要がある。このため、検査情報取得のための時間が長時間化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、端子付電線の誤挿入の検査を行うための検査情報取得を、より短時間で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様は、複数の端子付電線の端子を、コネクタの端子挿入部に挿入する際に誤挿入の有無を検査する端子付電線の誤挿入検査装置であって、それぞれ前記コネクタをセット可能に構成されると共にセットされた前記コネクタに挿入された前記端子と接触可能な複数のピンを有する複数のコネクタセット部と、前記複数のピンが第1グループ又は第2グループに属しているかどうかのグループ情報を記憶した記憶部を有し、前記第1グループに属する複数の前記ピン全体と前記第2グループに属する複数の前記ピン個別間で導通状態を検査すると共に、前記第2グループに属する前記複数のピン全体と前記第1グループに属する前記複数のピン個別間で導通状態を検査し、これらの検査結果に基づいて、前記第1グループに属する前記複数のピンと前記第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定して誤挿入の有無を判定する導通検査装置とを備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る端子付電線の誤挿入検査装置であって、前記導通検査装置は、導通確認済のものを除く前記ピンを対象として前記複数のピン間での導通関係の特定を行う。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る端子付電線の誤挿入検査装置であって、前記導通検査装置は、前記複数のピンに検査電圧を印加する状態及び前記複数のピンの電圧状態を取得する状態とで切替可能なピン検査状態制御ユニットと、前記グループ情報及び前記第1グループと前記第2グループとの間での前記複数のピン間の対応情報とを記憶した前記記憶部と、前記ピン検査状態制御ユニットを通じて、前記第1グループに属する前記複数のピンに共通する前記検査電圧を印加した状態で前記第2グループに属する前記複数のピン個別の電圧状態を取得して導通状態を検査すると共に、前記第2グループに属する前記複数のピンに共通する前記検査電圧を印加した状態で前記第1グループに属する前記複数のピン個別の電圧状態を取得して導通状態を検査する検査部と、前記第1グループに属する前記複数のピン個別の導通状態及び前記第2グループに属する前記複数のピン個別の導通状態とに基づいて特定される前記ピンの導通関係と、前記対応情報とに基づいて端子付電線の誤挿入の有無を判定する誤挿入判定部とを有する検査ユニットとを備える。
【0011】
第4の態様は、第3の態様に係る端子付電線の誤挿入検査装置であって、前記検査ユニットは、前記ピン検査状態制御ユニットに対して一括して状態切替指示及び一括して電圧情報取得を行う。
【0012】
第5の態様は、第3又は第4の態様に係る端子付電線の誤挿入検査装置であって、前記複数のコネクタセット部のそれぞれにセットされた前記コネクタに対して、前記端子付電線の端子の挿入位置を指示する端子挿入位置指示部をさらに備え、前記検査ユニットが、前記ピン検査状態制御ユニットを通じて前記端子挿入位置指示部に対する指示制御を行う。
【0013】
第6の態様は、第5の態様に係る端子付電線の誤挿入検査装置であって、複数種類の前記端子付電線を収容する電線収容部と、作業対象となる端子付電線を指示する電線指示部とをさらに備え、前記記憶部は、複数の作業系列に分けて、前記複数のピン間の対応情報を記憶しており、前記検査ユニットは、前記電線指示部及び前記端子挿入位置指示部を、複数の作業系列に分けて指示制御する。
【0014】
第7の態様に係る端子付電線の誤挿入検査方法は、複数の端子付電線の端子を、コネクタの端子挿入部に挿入する際に誤挿入の有無を検査する端子付電線の誤挿入検査方法であって、前記複数のコネクタの複数の端子挿入部が、第1グループ又は第2グループに区分されており、(a)前記第1グループに属する複数の前記端子挿入部全体と、前記第2グループに属する複数の前記端子挿入部個別との間で、前記端子付電線を通じた導通の有無を検査するステップと、(b)前記第2グループに属する前記複数の端子挿入部全体と、前記第1グループに属する前記複数の端子挿入部個別との間で、前記端子付電線を通じた導通の有無を検査するステップと、(c)前記ステップ(a)及びステップ(b)で得られた導通の有無の検査結果に基づいて、前記第1グループに属する前記複数のピンと前記第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定するステップと、(d)前記ステップ(c)で特定された前記導通関係に基づいて誤挿入の有無を判定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様によると、前記第1グループに属する複数の前記ピン全体と前記第2グループに属する複数の前記ピン個別間で導通状態を検査すると共に、前記第2グループに属する前記複数のピン全体と前記第1グループに属する前記複数のピン個別間で導通状態を検査し、これらの検査結果に基づいて、前記第1グループに属する前記複数のピンと前記第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定することができる。これにより、端子付電線の誤挿入の検査を行うための検査情報取得を、より短時間で行える。
【0016】
また、第2の態様によると、挿入された直後のピン及び未挿入のピンを対象として前記ピンの導通関係を特定できる。
【0017】
第3の態様によると、各ピンに対して、検査電圧を印加すること及び電圧状態を取得すること等を行うことで、第1グループに属する複数のピン個別の導通状態及び第2グループに属する複数のピン個別の導通状態とを取得し、これらに基づいてピンの導通関係を特定することができる。
【0018】
第4の態様によると、前記検査ユニットは、前記ピン検査状態制御ユニットに対して一括した指示及び一括した電圧情報取得を行うため、検査ユニットとピン検査状態制御ユニットとの間での信号伝送時間を短時間化できる。
【0019】
第5の態様によると、端子挿入位置指示のため、ピン検査状態制御ユニットと検査ユニットとの間で多量の情報量が伝送される。このような場合でも、検査情報取得によって遅延が生じることを抑制できる。
【0020】
第6の態様によると、検査ユニットは、前記電線指示部及び前記端子挿入位置指示部を、複数の作業系列に分けて指示制御するため、ピン検査状態制御ユニットと検査ユニットとの間でより多量の情報量が伝送される。このような場合でも、検査情報取得によって遅延が生じることを抑制できる。
【0021】
第7の態様に係る端子付電線の誤挿入検査方法によると、前記第1グループに属する複数の前記端子挿入部全体と、前記第2グループに属する複数の前記端子挿入部個別との間で、前記端子付電線を通じた導通の有無を検査し、第1グループと第2グループとを入替えて同様に導通の有無を検査し、これらの検査結果に基づいて、前記第1グループに属する前記複数のピンと前記第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定することができる。そして、この導通関係に基づいて誤挿入の有無を判定することができる。これにより、端子付電線の誤挿入の検査を行うための検査情報取得を、より短時間で行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ワイヤーハーネスの製造工程例を示す図である。
【図2】誤挿入検査装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図3】コネクタセット部を示す概略斜視図である。
【図4】誤挿入検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】作業指示データの一例を示す図である。
【図6】図板データの一例を示す図である。
【図7】ピン検査状態制御ユニットを示すブロック図である。
【図8】入出力ポートにおける入出力切替回路を概念的に示すブロック図である。
【図9】ピンの初期状態を示す図である。
【図10】各入出力ポートを入力状態に切替えた状態を示す図である。
【図11】第1グループに属する複数のピンと第2グループに属する複数のピン個別間での導通状態を検査する状態を示す図である。
【図12】作業手順指示処理を示すフローチャートである。
【図13】作業者側からみた作業手順を示すフローチャートである。
【図14】導通検査処理を示すフローチャートである。
【図15】A端用導通データ例を示す図である。
【図16】B端用導通データ例を示す図である。
【図17】誤挿入判定処理を示すフローチャートである。
【図18】A端用導通データ及びB端用導通データと両端の導通関係とを概念的に示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係る端子付電線の誤挿入検査装置及び誤挿入検査方法について説明する。
【0024】
<1.ワイヤーハーネスの製造方法>
まず、ワイヤーハーネス全体の製造方法例について説明する。図1はワイヤーハーネス10の製造工程例を示す図である。
【0025】
ワイヤーハーネス10は、複数の電線を敷設対象(ここでは、車両)における布線経路に沿って分岐させた状態で結束したものである。
【0026】
ワイヤーハーネス10を製造するにあたっては、まず、端子付電線12製造工程において、端子付電線12を製造する。端子付電線12は、電線13と、電線13の端部に接続された端子14とを備える。端子14は、電線13の一端のみ接続されていても、電線13の両端に接続されていてもよい。通常、端子14は、電線13の端部に露出芯線部に圧着接続される。電線13の長さ又は直径は、配線経路或は接続機器等に応じて、適宜変更される。また、電線13相互間を区別するため、種々に着色された電線13が用いられる。このため、電線13としては、長さ、径、色等が異なる複数種類の電線13が用いられる。また、端子14は、接続機器への接続に供されるものであり、通常、コネクタ16内に挿入接続され、そのコネクタ16が相手先コネクタと接続されることで、本端子付電線12側の端子14の機器側端子等とが電気的、機械的に接続される。かかる端子14としては、挿入可能な形状のもの(いわゆるオスタイプのもの)、挿入される筒形状のもの(いわゆるメスタイプのもの)等が用いられる。また、太さ等が異なる端子14が用いられることもある。端子付電線12の製造工程において、事前に決定された仕様に従って、所定の電線13を選択して所定長に切断すると共に端部の被覆部を皮剥ぎし、露出した芯線部に、所定の端子14を選択して圧着することにより製造される。従って、端子付電線12としては、上記電線13の種類(長さ、径、色等の違い)及び端子14の種類(オスメスの違い、径の違い等)によって、複数種のものが準備される。
【0027】
また、上記端子付電線12が複数組合わされることで、ワイヤーハーネス10全体の一部の構成部品である仮結部品18が製造される。仮結部品18は、複数の端子付電線12の端子14を、コネクタ16の端子挿入部17(図3参照、キャビティとも呼ばれる)に挿入接続することにより、ひとまとまりの集合体として組合わされる。なお、端子付電線12の一部の端子14は、コネクタ16に挿入接続されずに、露出した状態のままとなっており、次の集合組立工程において、他の仮結部品18のコネクタ16等に挿入接続される。
【0028】
なお、仮結部品18を構成する端子付電線12の本数は、組立作業性等を考慮して決定される。通常、図1に概念的に示される本数よりも多い。
【0029】
集合組立構成では、複数の仮結部品18が集められる。そして、ハーネス組立作業台11上で、上記仮結部品18が適宜配線形態に沿って配設されると共に当該配線形態でテープ等の結束部材により結束されることにより、ワイヤーハーネス10が製造される。このワイヤーハーネス10には、車体への取付用のクランプ、保護用のプロテクタ等を含むハーネス外装部材が取付けられる。
【0030】
このように製造されたワイヤーハーネス10に対して、必要に応じて止水剤の塗布や止水用のゴム栓(グロメットともいう)の取付等がなされる。
【0031】
そして、最終的に外観検査等がなされて、ワイヤーハーネス10の製品として完成する。
【0032】
上記仮結部品18を製造するにあたっては、ワイヤーハーネス10の仕様(つまり、各電気機器の配線回路)に従って、複数の端子付電線12の各端子14が、複数のコネクタ16の各端子挿入部17に対して正しい対応関係で挿入接続されている必要がある。
【0033】
本実施形態に係る端子付電線の誤挿入検査装置及び誤挿入検査方法は、各端子14が適正な端子挿入部17に挿入接続されているかどうか、つまり、複数の端子付電線12の端子14を、コネクタ16の端子挿入部17に挿入する際に誤挿入の有無を検査する装置及び手法として用いられる。
【0034】
<2.誤挿入検査装置及び誤挿入検査方法>
<2.1.誤挿入検査装置の全体構成>
端子付電線12の誤挿入検査装置20の全体構成について説明する。なお、本実施形態では、誤挿入検査装置20に、仮結部品組立用の作業台22及び作業者に対する作業指示する装置部分等が一体的に組込まれた例で説明する。もっとも、誤挿入検査装置20自体は、後述するコネクタセット部30及び導通検査装置50を含んでいればよく、作業台22部分及び作業指示する装置部分等は別装置として提供されてもよい。
【0035】
図2は誤挿入検査装置20の全体構成を示す概略斜視図である。誤挿入検査装置20は、作業台22と、電線収容部24と、複数のコネクタセット部30と、導通検査装置50とを備える。
【0036】
作業台22は、脚部23等によって作業者によって作業し易い高さ位置に支持されている。
【0037】
電線収容部24は、作業台22の近傍に配設されており、複数種類の端子付電線12を、種類別に収容可能に構成されている。ここでは、電線収容部24は、半円筒部材24aを複数備えている。各半円筒部材24aは、作業台22の後ろ側に延在するように支持されている。そして、それぞれの半円筒部材24aにおいて、種類別の端子付電線12が並列状に揃えられた状態で収容されるようになっている。
【0038】
また、各半円筒部材24aに対応して(つまり、端子付電線12の各種類に対応して)、電線指示部26が設けられている。ここでは、各電線指示部26が、対応する半円筒部材24aのうち作業台22側の端部側の位置に設けられている。そして、後述するように各電線指示部26が個別に発光駆動されることで、作業対象となる端子付電線12の種類が指示されるようになっている。なお、電線指示部26としては、発光ダイオード、電球等が用いられる。
【0039】
複数のコネクタセット部30は、上記作業台22の主面(上向き面)に配設されている。作業台22における複数のコネクタセット部30の位置は、作業性、後述する各部品のレイアウト等を考慮して適宜決定される。ここでは、作業台22に対して複数人(本実施形態では二人)が作業できるようにするため、作業台22が幅方向において2つの作業エリア22A、22Bに区分けされており、それぞれの作業エリア22A、22Bに複数のコネクタセット部30が設けられている。
【0040】
図3はコネクタセット部30を示す概略斜視図である。コネクタセット部30は、コネクタ16をセット可能に構成されると共に当該コネクタ16にセットされた端子14と接触可能な複数のピン40を有している。
【0041】
より具体的には、コネクタセット部30は、コネクタセット本体部34と、複数のピン40とを備えている。コネクタセット本体部34は、樹脂等によって略直方体状に形成されており、その一主面に開口するようにしてコネクタセット凹部35が形成されている。コネクタセット凹部35は、セット対象となるコネクタ16に合わせた凹形状を有しており、コネクタ16を嵌め込んで一定姿勢に維持できるようになっている。なお、コネクタセット本体部34には、コネクタセット凹部35に嵌め込まれたコネクタ16に係脱可能なコネクタロック構造(図示省略)が組込まれており、コネクタセット凹部35内に嵌め込まれたコネクタ16はロック構造によって抜止め支持される。
【0042】
また、コネクタセット凹部35の底部には、セット対象となるコネクタ16の複数の端子挿入部17の位置に合せて、複数のピン40が突設されている。各ピン40は、端子挿入部17に挿入可能で、かつ、当該端子挿入部17に挿入される端子14と接触可能に構成されている。通常は、ピン40は、端子14の形状に合わせて挿入接続可能な形状に形成されている。そして、コネクタ16をコネクタセット凹部35内にセットした状態で、端子挿入部17内に端子14を挿入すると、当該端子14が、その端子挿入部17に対応するピン40と接触し、電気的な接続状態が成立するようになっている。
【0043】
なお、上記コネクタセット本体部34は、可動支持部36によって端子14の挿入接続方向に沿って、端子14の挿入方向奥側の端子セット位置と端子14の挿入方向手前側の引張試験位置との間で移動可能に支持されている。また、コネクタセット本体部34は、図示省略のバネ等の付勢部材によって可動支持部36に対して端子14の挿入方向に向けて付勢されている。さらに、可動支持部36には、引張試験位置へのコネクタセット本体部34の移動を検知する引張検知部37(図4参照)が組込まれている。引張検知部37としては、コネクタセット本体部34が引張試験位置に移動することによって当該コネクタセット本体部34によって押し操作されるマイクロスイッチ等を用いることができる。
【0044】
そして、コネクタセット本体部34にセットされたコネクタ16の端子挿入部17に端子14を挿入した後、当該端子14の後方に延出する電線13を引張ると、コネクタ16と共にコネクタセット本体部34が引張試験位置に向けて移動する。コネクタセット本体部34が引張試験位置に達すると、移動が引張検知部37によって検知され、当該検知信号が外部に出力されるようになっている。また、端子挿入部17に対する端子14の挿入が不完全であった場合等には、端子14は端子挿入部17から抜出るので、当該端子14の後方に延出する電線13を引張っても、コネクタ16及びコネクタセット本体部34は引張試験位置まで移動しない。このため、引張検知部37の検知信号が出力されたことをもって、端子14が端子挿入部17に完全に挿入されていることを確認できる。
【0045】
また、コネクタセット部30には、前記コネクタセット凹部35にセットされたコネクタ16に対して、端子14の挿入位置を指示する端子挿入位置指示部32が設けられている。
【0046】
ここでは、コネクタセット本体部34のうちコネクタセット凹部35の外回りに端子挿入位置指示部32が複数設けられている。各端子挿入位置指示部32は、コネクタセット凹部35にセットされるコネクタセット凹部35の各端子挿入部17に対応する位置、ここでは、各端子挿入部17の外側位置に、端子挿入位置指示部32が設けられている。そして、後述するように各端子挿入位置指示部32が個別に発光駆動されることで、どの端子挿入部17に挿入すべきかが指示されるようになっている。なお、端子挿入位置指示部32としては、発光ダイオード、電球等が用いられる。
【0047】
なお、作業台22には、金属等の導電性部分を有するB端タッチ板28が設けられている(ここでは、B端タッチ板28は、作業エリア22A、22Bに共通で設けられている)。そして、端子付電線12の一端(以下、A端と表記することがある)の端子14をいずれかの端子挿入部17に挿入してピン40に接触させた状態で、端子付電線12の他端(以下、B端と表記することがある)の端子14をB端タッチ板28の導電性部分に接触させることで、当該ピン40とB端タッチ板28との間で導通が得られる。これにより、端子付電線12の他端の端子14とB端タッチ板28との接触が検出されるようになっている。
【0048】
<2.2.誤挿入検査装置全体の電気的構成>
図4は、誤挿入検査装置20の電気的構成を示すブロック図である。導通検査装置50は、上記電線指示部26、端子挿入位置指示部32等を通じて、仮結部品18を製造するための作業手順を指示すると共に、複数のピン40間での導通状態を検査することで、各端子14の誤挿入の有無を検査できるようになっている。すなわち、予め設定された作業手順に従って、電線指示部26を通じて取出すべき端子付電線12を指示すると共に、端子挿入位置指示部32を通じて複数のコネクタ16の複数の端子挿入部17のいずれに端子14を挿入すべきかを指示する。また、いずれかの端子付電線12の両端の端子14が端子挿入部17に挿入接続されると、各ピン40間で導通状態を検査することで、当該両端の端子14が正しい端子挿入部17に挿入されているかどうかを検査する。特に後者の検査に関し、検査情報取得を短時間で行えるようにするための処理について後に詳述する。
【0049】
導通検査装置50は、より具体的には、ピン検査状態制御ユニット60と、検査ユニット70とを備えている。ここでは、電線指示部26、B端タッチ板28、引張検知部37は、検査ユニット70に接続されている。また、各ピン40及び各端子挿入位置指示部32は、ピン検査状態制御ユニット60を介して検査ユニット70に接続されている。そして、検査ユニット70の制御下、上記作業手順の指示及び誤挿入検査処理を行う。
【0050】
検査ユニット70は、CPU72、主記憶部としてRAM(Randam Access Memory)73、補助記憶部としてのフラッシュメモリ74、通信インターフェース75及び入出力インターフェース76等がバスライン71を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。RAM73は、CPU72が所定の処理を行う際の作業領域として供される。フラッシュメモリ74には、基本プログラムの他、上記作業手順の指示及び誤挿入検査処理を行うための導通検査プログラム74a、作業指示データ74b、図板データ74c、導通検査結果74d等が記憶されている。なお、補助記憶部は、一時的ではない不揮発性の記憶装置(ハードディスク装置等)によって構成されていればよい。また、作業指示データ74b、図板データ74c等は、通信インターフェース75等を介して接続された別の記憶装置に記憶されていてもよい。そして、主制御部としてのCPU72が、導通検査プログラム74aに記述された手順に従って演算処理を実行することにより、作業指示部72a、検査部72b及び誤挿入判定部72c等としての諸処理機能が実現される。これらの作業指示部72a、検査部72b、誤挿入判定部72cとしての処理については後で詳述する。なお、本検査ユニット70には、本検査ユニット70等に対する諸指示、諸設定等を入力するための入力装置及び諸情報を表示するための表示装置等が設けられているが、これらについては図示を省略する。なお、本検査ユニット70が行う一部又は全部の機能が、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
【0051】
図5は作業指示データ74bの一例を示す図である。作業指示データ74bは、作業手順(端子付電線12を取出していく順番)に対して、端子付電線12の種類を示す電線番号、A端の端子14を挿入すべき位置を示すA端端子用ピン番号、B端の端子14を挿入すべき位置を示すB端端子用ピン番号が対応付けられている。上記作業手順に従って、各端子付電線12の作業指示がなされることになる。
【0052】
また、この作業指示データ74bを参照することで、各ピン40がA端用であるか、B端用であるかを判別することができる。図5の例では、番号”6”、”3”、”8”、”1”・・・がA端用であり、番号”2”、10””、”12”、”9”、・・・がB端用であることがわかる。つまり、複数のピン40の一部又は全部を、A端用の第1グループとB端用の第2グループとに分ける場合、上記作業指示データ74bは、複数のピン40が第1グループ又は第2グループに属しているかどうかのグループ情報を含んでいるといえる。なお、本仮結部品18の製造工程において、A端又はB端の端子14のみ挿入接続される端子挿入部17に対応するピン40、空の端子挿入部17に対応するピン40については、第1グループ、第2グループのどちらに属するとしてもよいし、或は、いずれにも属さないとしてもよい。なお、各ピン40に対応する各端子挿入部17も、第1グループ又は第2グループに区分けされているといえる。
【0053】
また、上記作業指示データ74bを参照することで、A端用の第1グループに属する各ピン40とB端用の第2グループに属する各ピン40との間での対応関係を判別することができる。図5の例では、番号”6”のピン40と番号”2”のピン40とが、同じ端子付電線12で接続されるべき(つまり、導通が成立すべき)対応関係にあることがわかる。同様に、番号”3”のピン40と番号”10”のピン40、番号”8”のピン40と番号”12”のピン40とが、番号”1”のピン40と番号”9”のピン40とが、それぞれ対応関係にあることがわかる。よって、導通検査を行う場合には、上記対応関係にあるピン40間で導通があるかどうかを確認していけば、各端子14が正しい位置に挿入接続されているかどうかを確認することができる。つまり、作業指示データ74bは、第1グループと第2グループとの間での複数のピン40間の対応情報を含んでいるといえる。
【0054】
もっとも、上記各情報を記憶する形式は、上記例に限られず、上記グループ情報と対応情報とが別々のテーブルに記憶されていてもよいし、その他のテーブル形式等で記憶されていてもよい。
【0055】
なお、上記作業指示データ74bが、複数の作業エリア22A、22B(作業系列)に分けて記憶されることで、別々の作業指示が行われる。
【0056】
図6は、図板データ74cの一例を示す図である。この図板データ74cでは、コネクタセット部30の位置を示す番号に対して、ピン40の始り番号と終り番号、作業系列とが対応付けられている。すなわち、各コネクタセット部30に対しては固有の番号が割振られ、各コネクタセット部30に設けられるピン40に対して固有の番号が割振られている。本図板データ74cは、コネクタセット部30とピン40との対応関係を示す情報である。作業系列を示す番号は、コネクタセット部30が作業エリア22A、22Bのいずれにあるかを示している。この作業指示データ74bを参照することで、端子14をコネクタ16に挿入接続した後に、いずれのコネクタセット部30において引張検知を行えばよいか等が判別される。
【0057】
入出力インターフェース76は、上記電線指示部26、引張検知部37、B端タッチ板28等に接続されており、引張検知部37、B端タッチ板28からの検知信号が入出力インターフェース76を介して本検査ユニット70に与えられると共に、検査ユニット70からの指示が入出力インターフェース76を介して電線指示部26に与えられる。
【0058】
通信インターフェース75は、通信線52(シリアル通信線等)を介して複数のピン検査状態制御ユニット60の通信インターフェース62に接続され、これにより、検査ユニット70と各ピン検査状態制御ユニット60とが相互通信可能に接続される。
【0059】
通信インターフェース75、62としては、例えば、トークンが、検査ユニット70の通信インターフェース75及び複数のピン検査状態制御ユニット60の通信インターフェース62を循環しており、通信線を監視していた通信インターフェース75、62がトークンを受取ることで、通信網に向けて信号を送出す形式のものを用いることができる。この場合、トークンが一巡する毎に、検査ユニット70から複数のピン検査状態制御ユニット60に対する1つの指令が与えられ、また、複数のピン検査状態制御ユニット60から検査ユニット70に対してある指令に対する1つの応答が返されることになる。
【0060】
図7はピン検査状態制御ユニット60を示すブロック図である。ピン検査状態制御ユニット60は、複数のピン40に検査電圧を印加する状態と前記複数のピン40の電圧状態を取得する状態とで切替え可能に構成されている。
【0061】
すなわち、ピン検査状態制御ユニット60は、ピン制御部61と、通信インターフェース62と、電線指示部用出力部63及びピン用入出力部64を有している。ピン制御部61は、通信インターフェース62を通じて検査ユニット70と通信可能に構成されており、検査ユニット70からの指令に応じて、ピン用入出力部64を介して各ピン40の状態切替え及び各ピン40の状態取得を行うと共に、電線指示部用出力部63を介して電線指示部26の発光駆動を行う。
【0062】
電線指示部用出力部63は、ハイ電圧状態とロー電圧状態との切替え可能な複数の出力ポート63a(ここでは、番号1〜m)を有している。各出力ポート63aは、コネクタセット部30にセットされる各コネクタ16の各端子挿入部17に対応付けられた電線指示部26の一端部に抵抗R1を介して接続されている。また、電線指示部26の他端部はピン検査状態制御ユニット60内でハイ電圧に接続されている。そして、検査ユニット70の指示に応じて、出力ポート63aを個別に制御し、いずれかをロー電圧状態に切替えることでこれに対応する電線指示部26が発光する。
【0063】
ピン用入出力部64は、入力状態及び出力状態に切替え可能な複数の入出力ポート64a(ここでは、番号1〜n)を有している。
【0064】
図8は一つの入出力ポート64aにおける入出力切替回路を概念的に示すブロック図である。すなわち、入出力ラインI/Oは、3ステートバッファB1の入力端子に接続されると共に、3ステートバッファB2の出力端子に接続されている。3ステートバッファB1の出力端子及び3ステートバッファB2の入力端子は、NOT回路N1の入力端子及びNOT回路N2の出力端子に共通して接続されている。NOT回路N1の出力端子は、ピン40に接続されると共に、プルアップ抵抗R2を介してハイ電圧である電源線に接続されている。また、NOT回路N2の入力端子は、抵抗R3を介してNOT回路N1の出力端子に接続されると共に、ツェナーダイオードDを介してロー電圧ラインであるグランド線に接続されている。また、制御入力ラインであるDIRラインが、AND回路A1の一方の入力端子に接続されると共に、AND回路A2の一方の反転入力端子に接続されている。さらに、他の制御入力ラインである/OEラインが、AND回路A1の他方の反転入力端子に接続されると共に、AND回路A2の他方の反転入力端子に接続されている。そして、AND回路A1の出力端子が3ステートバッファB1の制御入力端子に接続されると共に、AND回路A2の出力端子が3ステートバッファB2の制御入力端子に接続されている。
【0065】
そして、/OEラインがロー電圧状態、かつ、DIRラインがロー電圧状態になることで、3ステートバッファB1にローレベルの制御信号が与えられて3ステートバッファB1がハイインピーダンス状態になると共に、3ステートバッファB2のハイレベルの制御信号が与えられて3ステートバッファB2は通常のバッファとして動作する。これにより、ピン40の電圧状態に応じた入力がNOT回路N2及び2ステートバッファB2を介して入出力ラインI/Oに入力される。この状態が、各ピン40に検査電圧(ここでは、ハイ電圧)を印加する状態である。
【0066】
一方、/OEラインがロー電圧状態、かつ、DIRラインがハイ電圧状態になることで、3ステートバッファB1にハイレベルの制御信号が与えられて3ステートバッファB1が通常のバッファとして動作すると共に、3ステートバッファB2のローレベルの制御信号が与えられて3ステートバッファB2はハイインピーダンス状態になる。これにより、入出力ラインI/Oのハイ信号、ロー信号の各状態に応じた出力が、3ステートバッファB1及びNOT回路N1を介してピン40に出力される。この状態が、各ピン40の電圧状態を取得する状態である。
【0067】
ここで、各ピン40の初期状態、異常状態、及び、端子14に対する導通接触状態における各ピン40の電圧状態の変化について説明しておく。
【0068】
図9はピン40の初期状態を示す図であり、図10は各入出力ポート64aを入力状態に切替えた状態を示す図である。
【0069】
図10に示す状態では、各ピン40はプルアップ抵抗R2を介して電源線に接続されているため、各ピン40はハイ電圧状態に維持され、入出力ポート64aにはハイレベルの信号が入力される。この状態で、何らかの不具合でピン40がグランド接続されると、各ピン40はロー電圧状態となり、入出力ポート64aにはローレベルの信号が入力される。従って、初期状態において、入出力ポート64aを入力状態に切替え、この状態で、ローレベルの信号が入力されると初期異常を検出することができる。
【0070】
図11は、第1グループに属する複数のピン40と、第2グループに属する複数のピン40個別間での導通状態を検査する状態を示す図である。この場合には、第1グループに属する複数のピン40に対応する入出力ポート64aを出力状態に切替え、ローレベルの信号を出力する(図11の左側参照)。つまり、第1グループに属する複数のピン40全てに検査電圧(ロー電圧)を印加する状態にする。一方、第2グループに属する複数のピン40に対応する入出力ポート64aを入力状態に切替える。つまり、第2グループに属する複数のピン40の電圧状態を個別に取得する状態にする。
【0071】
上記状態で、第1グループに属する複数のピン40のいずれかと第2グループに属する複数のピン40のいずれかとかが導通している場合、つまり、当該2つのピン40に対応する端子挿入部17に共通する端子付電線12の両端の端子14が挿入接続されている場合、第2グループに属する当該ピン40に対応する入出力ポート64aには、ローレベルの信号が入力されることとなる。一方、第2グループに属する複数のピン40のうち当該ピン40以外のものについては、ハイレベルの信号が入力される状態が継続する。このため、第2グループに属する複数のピン40のうちローレベルの信号が入力されたものを、第1グループに属する複数のピン40のいずれかに導通されていると特定できることになる。
【0072】
第1グループと第2グループとを入替えて、上記と同様に導通検査を行うことで、第1グループに属する複数のピン40のうちローレベルの信号が入力されたものを、第2グループに属する複数のピン40のいずれかに導通されていると特定できることになる。
【0073】
これらの特定結果によって、後述するように、第1グループと第2グループとの間で、どのピン40同士が導通状態にあるかを特定することができる。
【0074】
<3.検査ユニットの処理>
検査ユニット70の処理について説明する。本検査ユニット70は、作業手順指示処理を実行すると共に、導通状態検査処理及び誤挿入判定処理を実行する。より具体的には、作業手順指示処理実行途中に、導通状態検査処理及び誤挿入判定処理を実行する。ここでは、作業手順指示処理及び当該処理に従った作業手順を説明した後、導通状態検査処理及び誤挿入判定処理について説明する。
【0075】
<3.1.作業手順指示処理>
図12は作業手順指示処理を示すフローチャートである。作業手順指示処理は、作業指示データ74bに従って、電線指示部26及び端子挿入位置指示部32等を表示制御することで、端子付電線12の取出し順、取出し位置、端子14の挿入位置等を指示するための処理である。この作業指示データ74bでは、上記したように作業エリア22A向け(系列1)と作業エリア22B向け(系列2)とに分けて作業手順が記憶されている。そして、両系列の作業系列を合体させることで一つの作業系列に対する作業指示を行えると共に、2つの作業系列に分けて作業手順を指示することもできるようになっている。より多数の作業系列に分けて作業手順が記憶、指示される構成であってもよい。また、当初から一つの作業系列で作業手順が記憶、指示される構成であってもよい。
【0076】
すなわち、起動スイッチに対する操作等により、誤挿入検査装置20が起動されると、ステップS1において、初期リセット処理等の所定の起動処理が実行され、この後、ステップS2に進む。
【0077】
ステップS2では、入力装置等を介した指令に基づいて、単独作業であるか複数作業であるかが判定され、単独作業であると判定されるとステップS11〜S18の処理を実行し、複数作業であると判定されると、ステップS21〜S28の処理、ステップS31〜S38の処理が並列処理される。なお、並列処理は、複数のCPUが別々に並列処理するものであっても、単一のCPUが擬似的に並列処理するものであってもよい。
【0078】
ステップS11では、導通状態検査処理が実行される。この導通状態検査処理における主な処理は、ピン40の導通関係を取得する処理であり、後に詳述する。
【0079】
ステップS12では、作業指示データ74bに従って取出すべき端子付電線12が特定され、当該端子付電線12を収容している半円筒部材24aに対応する電線指示部26に対して表示指示が与えられる。また、当該端子付電線12のA端の端子14を挿入すべき端子挿入部17に対応するピン番号が特定され、ピン検査状態制御ユニット60を通じて当該ピン番号に対応する端子挿入位置指示部32に表示指示が与えられる。
【0080】
次ステップS13では、引張検知部37からの検知信号に基づいて、A端の引張試験が合格したか否か、即ち、端子14が端子挿入部17に完全に挿入されているか否かが判定される。A端の引張試験が合格したと判定されると、次ステップS14に進む。
【0081】
ステップS14では、B端タッチ板28からの検知信号に基づいて、B端タッチ板28へのB端の端子14のタッチの有無が判定される。所定時間内にB端タッチ板28へのB端の端子14のタッチが無いと判定されると、ステップS12に戻り、上記処理が繰返される。つまり、端子付電線12の取出し及びA端の端子14の挿入接続作業が再度指示される。一方、B端タッチ板28へのB端の端子14のタッチが有りと判定されると、次ステップS15に進む。
【0082】
ステップS15では、誤挿入判定処理が実行される。誤挿入判定処理における主な処理は、ステップS11で取得されたピン40間の導通関係及び作業指示データ74bに基づいて、端子付電線12の誤挿入の有無を判定する処理であり、後に詳述する。
【0083】
次ステップS16では、当該端子付電線12のB端の端子14を挿入すべき端子挿入部17に対応するピン番号が特定され、ピン検査状態制御ユニット60を通じて当該ピン番号に対応する端子挿入位置指示部32に表示指示が与えられる。
【0084】
次ステップS17では、引張検知部37からの検知信号に基づいて、B端の引張試験が合格したか否か、即ち、端子14が端子挿入部17に完全に挿入されているか否かが判定される。B端の引張試験が合格したと判定されると、次ステップS18に進む。
【0085】
ステップS18では、全作業が終了したか否か、即ち、端子付電線12の各端子14の挿入接続作業が全て終了したか否かが判定される。全作業終了していないと判定されると、ステップS11に戻り、導通状態検査処理が行われた後、次順の端子付電線12を対象としてステップS12以降の処理が実行される。全作業終了したと判定されると、ステップS3に進んで、所定の終了処理S3を実行して、終了する。
【0086】
なお、上記では、端子付電線12の両端の端子14が端子挿入部17に接続される場合を想定した説明となっているが、端子挿入部17の一端の端子14のみが接続される場合には、上記ステップS13終了後に、ステップS11又はステップS12に戻って以下の処理を繰返せばよい。
【0087】
並列処理されるステップS21〜S28の処理、ステップS31〜S38の処理は、それぞれ上記ステップS11〜S18とほぼ同様であるため、これらの説明を省略する。
【0088】
<3.2.作業手順>
図13は、作業者側からみた作業手順を示すフローチャートである。すなわち、二人の作業者A、Bが、それぞれ作業エリア22A、22Bで別々に作業を行うとする。
【0089】
この場合、ステップS41において、作業者A、Bが入力装置等を介して複数作業を入力する。すると、上記したように、作業エリア22A、22Bにおいて別々に諸指示、諸検査等が実行される。
【0090】
作業者Aは、ステップS51において、電線指示部26の指示を確認して端子付電線12を取出す。なお、電線収容部24を、作業エリア22A用と作業エリア22B用とで別々に準備するとよい。
【0091】
次に、ステップS52において、作業者Aは、端子挿入位置指示部32の指示を確認して、取出した端子付電線12のA端の端子14を当該指示に応じた位置の端子挿入部17に挿入接続する。そして、挿入接続した端子付電線12を引張り、引張試験に合格したか否かを確認する。
【0092】
次に、ステップS53において、作業者Aは、端子付電線12のB端の端子14を、B端タッチ板28に接触させる。
【0093】
次に、ステップS54において、作業者Aは、端子挿入位置指示部32の指示を確認して、端子付電線12のB端の端子14を当該指示に応じた位置の端子挿入部17に挿入接続する。そして、挿入接続した端子付電線12を引張り、引張試験に合格したか否かを確認する。
【0094】
なお、ステップS54において、指示されたB端の端子14の挿入接続先が、別の作業エリア22B内ものである場合には、ステップS51に戻って別の端子付電線12を取出して、作業エリア22A内での処理を続行すればよい。そのためには、再度のB端タッチ板28へのタッチ検知等によりB端指示(ステップS16参照)をキャンセルして、電線指示及びA端指示(ステップS12)に戻って処理を実行することが好ましい。ここでは、当該処理を前提に説明する。
【0095】
ステップS55において、エリア作業22Aが終了したか否かを判断する。即ち、別の端子付電線12の指示がある場合等にはステップS51に戻って需要期作業を繰返す。一方、別の端子付電線12の指示が無い場合等には、ステップS42に進む。
【0096】
作業エリア22Bの作業者Bでも、ステップS61〜S65において、同様に作業が行われる。
【0097】
両作業者A、Bが、ステップS42に進むと、両エリアの作業が終了し、次の連結作業を開始する(ステップS43)。即ち、ステップS56において、作業者Aは、作業エリア22B(作業系列2側)からの端子付電線12のB端の端子14を、作業エリア22A側のB端タッチ板28に接触させる。
【0098】
すると、作業エリア22Aにおいて、当該端子14を挿入接続すべき端子挿入部17に対応する端子挿入位置指示部32が表示を行うので、ステップS57において、当該表示を手がかりに、端子挿入部17に端子14を挿入接続し、引張試験を行う。
【0099】
ステップS58において、作業者Aは、作業エリア22B(作業系列2側)からの連結作業の有無を判断する。すなわち、作業者Aは、作業エリア22B(作業系列2側)において、未挿入の端子14があれば、これをB端タッチ板28に接触させる。そして、作業エリア22Aにおいて、端子挿入位置指示部32が表示されれば挿入対象の存在を認識でき、これを繰返して端子挿入位置指示部32の表示が無いことを確認できれば、連結作業は終了と判断できる。
【0100】
作業エリア22Bにおいても、ステップS66〜S68において、上記と同様に連結作業が行われる。
【0101】
これにより、全連結作業が終了すると(ステップS44参照)、目視による最終確認等が行われ、仮結部品18が製造される。
【0102】
なお、上記例では、最後にまとめて作業エリア22A、22B間での連結作業を行ったが、他エリアへの連結作業が生じる都度、連結作業を行うようにしてもよい。
【0103】
<3.3.導通状態検査処理>
図14は導通検査処理を示すフローチャートである。検査ユニット70は、導通検査処理として、第1グループ(A端側のグループ)に属する複数のピン40全体と第2グループ(B端側のグループ)の複数のピン40個別間で導通状態を検査すると共に、グループを入替えて、即ち、第2グループに属する複数のピン40全体と第1グループに属する複数のピン40個別間で導通状態を検査する。なお、本導通検査処理では、端子付電線12を順次接続していく際、導通確認済のピン40を除くピン40を対象として複数のピン40間での導通関係の特定を行う。また、ピン40のうち本仮結部品18の製造工程において端子14が挿入されない空き端子挿入部17に対応するピン40については、第1グループ及び第2グループのいずれかに属するとして取扱ってもよいし、或は、いずれにも属さないとして取扱ってもよい。
【0104】
図14を参照して、導通検査処理をより具体的に説明する。
【0105】
まず、ステップS71において。検査ユニット70は、初期検査として、各ピン検査状態制御ユニット60を通じて全ピン40の接地状態を取得する。すなわち、検査ユニット70は、全ピン40を入力状態に切替えると共に、各ピン40の電圧状態を取得するように各ピン検査状態制御ユニット60に指令を与え、各ピン検査状態制御ユニット60から送信される各ピン40の電圧状態を取得する。この際、図10を参照して説明したように、全てのピン40はプルアップ抵抗R2を介して電源線に接続されているため、正常状態であれば、入出力ポート64aにはハイレベルの信号が入力される。一方、何らかの不具合でピン40がグランド接続されると、入出力ポート64aにはローレベルの信号が入力される。各ピン40の初期電圧状態は、初期電圧データとしてフラッシュメモリに書込まれる。
【0106】
次に、ステップS72において、第2グルーブに属するB端用の全ピン40に検査電圧を印加するように(つまり、対応する入出力ポート64aを出力状態に切替え、かつ、ロー電圧を出力するように)、各ピン検査状態制御ユニット60に指令を与える。この指令は、検査ユニット70から各ピン検査状態制御ユニット60に対して一括して、つまり、トークンが各ピン検査状態制御ユニット60等を一巡するサイクルで、状態切替指示として与えられる。これにより、第2グループ(B端側)に属する複数のピン40に全てに共通する検査電圧(ロー電圧)が印加される。なお、この状態では、A端用の各ピン40に対応する入出力ポート64aは、入力状態のままである。
【0107】
次ステップS73において、第1グループに属するA端用の各ピン40の個別の電圧状態を取得するように一括して各ピン検査状態制御ユニット60に指令を与える。これにより、第2グループに属する複数のピン40に共通する検査電圧を印加した状態で第1グループに属する複数のピン40個別の電圧状態が取得される。上記指令も、検査ユニット70から各ピン検査状態制御ユニット60に対して一括して与えられ、これに続く、各ピン検査状態制御ユニット60からの電圧情報の送信と共に、トークンが各ピン検査状態制御ユニット60等を一巡するサイクルで送受信される。
【0108】
次に、A端用のピン40の先頭(例えば、番号が最も小さいもの)からB端用のピン40の最後(例えば、番号が最も大きいもの)に対して、ステップS75、S76の処理が繰返される。
【0109】
すなわち、ステップS75では、対象となる番号のA端用のピン40の初期における接地状態がOKであったかどうか(つまり、ステップS71で取得された初期電圧状態を参照して、該当番号のA端用のピン40がハイ電圧であったかどうか)が確認されると共に、該当番号のA端用のピン40が導通有りかどうか(つまり、ステップS73で取得された電圧状態がロー電圧であったかどうか)が確認される。両条件を満たす場合(つまり、初期異常無しでかつ導通有りと判定された場合)には、ステップS76に進み、A端用導通データにおいて、該当するピン40の番号のデータをセットする。一方、いずれかの条件を満たさない場合(つまり、初期異常又は導通無しと判定された場合)には、ステップS76を飛ばして、次の番号のピン40に対して上記処理を繰返す。
【0110】
ここで、A端用導通データは、例えば、図15に示すように、A端用のピン40の各番号と検査結果を示す情報(例えば、”0”が導通無し、”1”が導通有りを示す)とが対応付けられたデータである。初期状態では、A端用のピン40の全ての番号に対して”0”(導通無し)が対応付けられており、ステップS46において導通有りと判定されると、”1”がセットされる。図15に示す例では、A端用のピン40の番号の”1”、”3”、”8”に対して導通無し”0”が対応付けられ、番号”6”に対して導通有り”1”が対応付けられている。もっとも、ステップS71の処理を省略してもよい。この場合、ステップS73で取得された結果を検査判定用のデータとして用いてもよい。
【0111】
導通状態検査の対象となったA端用の全ピン40に対してステップS74〜S77の処理が終了すると、ステップS78に進み、第1グループに属するA端用の複数のピン40と第2グルーブに属するB端用の複数のピン40とを入替えて、上記と同様の処理を行う。
【0112】
すなわち、以下のステップS78〜S84の処理は、第1グループに属するA端用の複数のピン40と第2グルーブに属するB端用の複数のピン40とを入替えた点を除いて、上記ステップS71〜S77と同様の処理である。ここでは、ステップS78〜S84の説明を省略する。
【0113】
ステップS78〜S84で得られたB端用導通データは、例えば、図16に示すように、図15と同様に、B端用のピン40の各番号と検査結果を示す情報(例えば、”0”が導通無し、”1”が導通有りを示す)とが対応付けられたデータである。図16に示す例では、B端用のピン40の番号の”9”、”10”、”12”に対して導通無し”0”が対応付けられ、番号”2”に対して導通有り”1”が対応付けられている。勿論、上記と同様に、ステップS78の処理を省略し、ステップS80で取得された結果を検査判定用のデータとして用いてもよい。
【0114】
なお、A端用のピン40の各導通状態を検査する処理であるステップS71〜S77と、B端用のピン40の各導通状態を検査する処理であるステップS78〜S84とを、先後入替えて行ってもよい。
【0115】
<3.4.誤挿入判定処理>
図17は誤挿入判定処理を示すフローチャートである。検査ユニット70は、導通検査処理として、導通状態検査処理で得られた検査結果に基づいて、第1グループに属するA端側の複数のピン40と第2グループに属するB端側の複数のピン40との間での導通関係を特定して誤挿入の有無を判定する。
【0116】
より具体的には、ステップS91において、前回B端の端子14が挿入された端子付電線12の両端の端子14のピン40(つまり、前回挿入作業指示を行った挿入対象ピン一組)を特定する。つまり、本実施形態では、ある順番の端子付電線12のB端の端子14の挿入位置指示がされた後(図12のステップS16参照)、次順の端子付電線12のB端タッチ後(図12のステップS14参照)、B端の挿入位置指示(図12のステップS16参照)を行うまで間に、当該前に接続された端子付電線12の誤挿入の有無を判定する。前回B端の端子14が挿入された端子付電線12の特定は、前回両端端子14の挿入作業が完了したと判定されるもの、つまり、B端の挿入指示(図12のステップS16参照)を行ったもの(ここでは、さらに引張試験の合格判定がなされたもの)の番号履歴を一時的なデータとして記憶部に残しておくこと等でなされる。そして、前回B端の端子14が挿入された端子付電線12の特定がなされると、図5に示す作業指示データ74bを参照すること等で、前回の挿入対象ピン40の番号を特定できる。
【0117】
ステップS92では、図15に示すA端用導通データを参照して、A端側の導通ピン40を特定する。図15に示す例では、番号”6”のピン40が導通していると特定される。
【0118】
ステップS93では、図16に示すB端用導通データを参照して、B端側の導通ピン40を特定する。図16に示す例では、番号”2”のピン40が導通していると特定される。
【0119】
つまり、ステップS92、S93により、A端である第1グループに属する複数のピン40個別の導通状態及びB端である第2グループに属する複数のピン40個別の導通状態とに基づいてピン40の導通関係を特定できる。ここでは、ピン番号”6”、”2”間で導通有りと判定される。
【0120】
図18は、A端用導通データ及びB端用導通データと、両端の導通関係とを概念的に示すテーブルである。すなわち、A端の端子番号を縦欄に割振り、B端の端子番号を横欄に割振り、各欄を斜線で区切って、それぞれの右上にB端側の導通状態、左下にA端側の導通状態を書表わす。なお、”○”が導通有りを示し、”×”が導通無しを示している。すると、AB間で導通がある場合には、各欄の両導通状態が”○”(導通有り)となる。AB間で導通が無い場合には、各欄でいずれかの両導通状態が”×”(導通無し)となる。よって、AB間での導通関係を特定できることとなる。仮に、誤挿入していた場合、例えば、B端側において、番号”10”の位置に端子14を挿入していた場合、図18の()書の内容になり、番号”6”、”10”間で導通関係有りと判定されることとなる。
【0121】
続く、ステップS94では、ステップS92、S93で導通関係有りと判定されたピン40の番号が、ステップS91で特定された挿入対象ピンの番号と一致しているか否かが判定される。例えば、ステップS92、S93において、番号”6”、”2”間で導通関係有りと判定されていた場合、挿入対象ピン40の番号”6”、”2”と一致している(図5の作業手順1参照)と判定される。一方、例えば、ステップS92、S93において、番号”6”、102”間で導通関係有りと判定されていた場合、挿入対象ピン40の番号”6”、”2”と一致していないと判定される。
【0122】
ステップS94において、一致していると判定されると、ステップS95に進み、合格判定(誤挿入無し)と判定され、誤挿入判定処理を終了する。
【0123】
一方、ステップS94において、一致していると判定されると、ステップS96に進み、不合格判定(誤挿入有り)と判定される。判定結果は、表示装置等の通知装置を通じて作業者に通知される。好ましくは、誤接続関係にあるピン40の番号を表示する。これを認識した作業者は、前回接続作業を行った端子付電線12の接続関係を確認して再接続作業を行う。この後、誤挿入判定処理が終了される。
【0124】
<4.まとめ>
以上のように構成された端子付電線12の誤挿入検査装置20及び誤挿入検査方法によると、第1グループ(A端用)に属する複数のピン40全体と第2グループ(B端用)に属する複数のピン40個別間で導通状態を検査すると共に、第2グループ(B端用)に属する複数のピン40全体と第1グループ(A端用)に属する複数のピン40個別間で導通状態を検査する。より具体的には、第1グループに属する複数のピン40に共通する検査電圧を印加した状態で第2グループに属する複数のピン40個別の電圧状態を取得して導通状態を検査すると共に、第1グループと第2グループとを入替て同様に導通状態を検査する。これらの導通状態は、ピン40数に拘らず(たとえ、50〜100本の端子付電線12で仮結部品18を製造するような場合であっても、短時間で取得可能である。そして、これらの検査結果に基づいて、第1グループに属する複数のピン40と第2グループに属する複数のピン40との間での導通関係を特定することができる。各ピン40間で個別に導通関係を取得する場合と比べて短時間で取得できる。これにより、端子付電線12の誤挿入の検査を行うための検査情報取得を、より短時間で行える。
【0125】
また、検査ユニット70は、各ピン検査状態制御ユニット60に対して一括して検査電圧の印加指示、電圧状態の取得指示等を行うため、検査ユニット70とピン検査状態制御ユニット60との信号伝送時間を短時間化できる。
【0126】
特に、本装置は、端子挿入位置指示部32に対する指示を行うため、ピン検査状態制御ユニット60と検査ユニット70との間で比較的多量の情報量の伝送が行われる。このような場合に、上記のように、検査ユニット70とピン検査状態制御ユニット60との信号伝送時間を短時間化することで、ピン検査状態制御ユニット60と検査ユニット70との間での信号伝送遅延が防止され、端子挿入位置指示部32に対する指示等を迅速に行えるという点で利点が大きい。
【0127】
しかも、本装置は、複数の作業系列に分けて作業指示を行うため、ピン検査状態制御ユニット60と検査ユニット70との間でより多量の情報量でかつ頻繁に通信が行われる。そこで、上記のように、検査ユニット70とピン検査状態制御ユニット60との信号伝送時間を短時間化することで、ピン検査状態制御ユニット60と検査ユニット70との間での信号伝送遅延が防止され、複数系列に対する作業指示も迅速に行えるという利点がある。
【0128】
{変形例}
なお、上記実施形態では、基本的には、端子付電線12の両端の端子14が端子挿入部17に挿入されることを想定して説明したが、勿論、片端の端子14のみ挿入するように作業指示してもよい。このような端子挿入部17については、上記検査を行う必要はない。
【0129】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0130】
10 ワイヤーハーネス
12 端子付電線
13 電線
14 端子
16 コネクタ
17 端子挿入部
18 仮結部品
20 誤挿入検査装置
22A、22B 作業エリア
24 電線収容部
24a 半円筒部材
26 電線指示部
28 B端タッチ板
30 コネクタセット部
32 端子挿入位置指示部
40 ピン
50 導通検査装置
60 ピン検査状態制御ユニット
61 ピン制御部
70 検査ユニット
72a 作業指示部
72b 検査部72b
72c 誤挿入判定部
74 フラッシュメモリ
74a 導通検査プログラム
74b 作業指示データ
74c 図板データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子付電線の端子を、コネクタの端子挿入部に挿入する際に誤挿入の有無を検査する端子付電線の誤挿入検査装置であって、
それぞれ前記コネクタをセット可能に構成されると共にセットされた前記コネクタに挿入された前記端子と接触可能な複数のピンを有する複数のコネクタセット部と、
前記複数のピンが第1グループ又は第2グループに属しているかどうかのグループ情報を記憶した記憶部を有し、前記第1グループに属する複数の前記ピン全体と前記第2グループに属する複数の前記ピン個別間で導通状態を検査すると共に、前記第2グループに属する前記複数のピン全体と前記第1グループに属する前記複数のピン個別間で導通状態を検査し、これらの検査結果に基づいて、前記第1グループに属する前記複数のピンと前記第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定して誤挿入の有無を判定する導通検査装置と、
を備える端子付電線の誤挿入検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の端子付電線の誤挿入検査装置であって、
前記導通検査装置は、導通確認済のものを除く前記ピンを対象として前記複数のピン間での導通関係の特定を行う、端子付電線の誤挿入検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の端子付電線の誤挿入検査装置であって、
前記導通検査装置は、
前記複数のピンに検査電圧を印加する状態及び前記複数のピンの電圧状態を取得する状態とで切替可能なピン検査状態制御ユニットと、
前記グループ情報及び前記第1グループと前記第2グループとの間での前記複数のピン間の対応情報とを記憶した前記記憶部と、前記ピン検査状態制御ユニットを通じて、前記第1グループに属する前記複数のピンに共通する前記検査電圧を印加した状態で前記第2グループに属する前記複数のピン個別の電圧状態を取得して導通状態を検査すると共に、前記第2グループに属する前記複数のピンに共通する前記検査電圧を印加した状態で前記第1グループに属する前記複数のピン個別の電圧状態を取得して導通状態を検査する検査部と、前記第1グループに属する前記複数のピン個別の導通状態及び前記第2グループに属する前記複数のピン個別の導通状態とに基づいて特定される前記ピンの導通関係と、前記対応情報とに基づいて端子付電線の誤挿入の有無を判定する誤挿入判定部とを有する検査ユニットと、
を備える端子付電線の誤挿入検査装置。
【請求項4】
請求項3記載の端子付電線の誤挿入検査装置であって、
前記検査ユニットは、前記ピン検査状態制御ユニットに対して一括して状態切替指示及び一括して電圧情報取得を行う、端子付電線の誤挿入検査装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の端子付電線の誤挿入検査装置であって、
前記複数のコネクタセット部のそれぞれにセットされた前記コネクタに対して、前記端子付電線の端子の挿入位置を指示する端子挿入位置指示部をさらに備え、
前記検査ユニットが、前記ピン検査状態制御ユニットを通じて前記端子挿入位置指示部に対する指示制御を行う、端子付電線の誤挿入検査装置。
【請求項6】
請求項5記載の端子付電線の誤挿入検査装置であって、
複数種類の前記端子付電線を収容する電線収容部と、
作業対象となる端子付電線を指示する電線指示部と、
をさらに備え、
前記記憶部は、複数の作業系列に分けて、前記複数のピン間の対応情報を記憶しており、
前記検査ユニットは、前記電線指示部及び前記端子挿入位置指示部を、複数の作業系列に分けて指示制御する、端子付電線の誤挿入検査装置。
【請求項7】
複数の端子付電線の端子を、コネクタの端子挿入部に挿入する際に誤挿入の有無を検査する端子付電線の誤挿入検査方法であって、
前記複数のコネクタの複数の端子挿入部が、第1グループ又は第2グループに区分されており、
(a)前記第1グループに属する複数の前記端子挿入部全体と、前記第2グループに属する複数の前記端子挿入部個別との間で、前記端子付電線を通じた導通の有無を検査するステップと、
(b)前記第2グループに属する前記複数の端子挿入部全体と、前記第1グループに属する前記複数の端子挿入部個別との間で、前記端子付電線を通じた導通の有無を検査するステップと、
(c)前記ステップ(a)及びステップ(b)で得られた導通の有無の検査結果に基づいて、前記第1グループに属する前記複数のピンと前記第2グループに属する前記複数のピンとの間での導通関係を特定するステップと、
(d)前記ステップ(c)で特定された前記導通関係に基づいて誤挿入の有無を判定するステップと、
を備える端子付電線の誤挿入検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−238493(P2012−238493A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107024(P2011−107024)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】