説明

端末装置、サービスサーバ及びシステム

【課題】呼気センサを備えた端末装置に対して、サービス情報を提供することにより当該センサを可能化し、当該センサによる呼気成分の測定結果に基づき健康状態を診断することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】携帯端末20は、サーバ24と通信するための通信部と、呼気中の、互いに異なる成分を検出して出力するための複数のセンサと、通信部及びセンサに接続され、これらを制御することで呼気センシング及び健康診断を行なう制御部とを含む。制御部が、サーバにサービスを申込み、当該サービス提供に係る料金の入金実行要求をサーバ24に送信することで入金が実行されると、サーバ24は携帯端末20にサービス情報を送信する。制御部はサービス情報の受信により、センサを可能化し、センサによる呼気成分の測定、及びその結果に基づく健康状態の診断を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気センサを備えた端末装置、及び、そのような端末装置に対してサービスを提供するシステムに関し、特に、所定のサーバから受信した鍵により当該センサを可能化し、当該センサによる測定結果に基づいてユーザの健康状態を診断し出力するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の健康ブームにより、個人が手軽に且つ迅速に健康状態をチェックできるシステムに関心が寄せられている。その一方法として、呼気センシングが注目されている。呼気センシングとは、呼気中の特定成分の濃度及びその変化を測定し監視することを言う。
【0003】
呼気には、疾患等に起因して発生した成分が含まれる。このような成分をマーカと呼ぶ。マーカの濃度及びその変化を測定すれば、その測定結果から個人の健康状態をある程度診断できる。このことは、健康管理、疾病の早期発見、及び、早期治療に役立つ。
【0004】
呼気中マーカの例としては、酸化ストレスに起因するエタン及びペンタン、呼吸疾患によるNO及びCO、消化器疾患に起因するH、糖尿病によるアセトン等がある。
【0005】
このことに鑑みて、特許文献1に開示の携帯電話機は、マイク付近に、SnO膜及びWO膜を含む呼気センサを設ける。呼気センサは、マーカ成分であるH、口臭の元であるメチルメルカプタン等を検出する。その結果は表示出力される。
【0006】
別の例として、特許文献2に記載の携帯電話機には、そのケース内に金属製半導体ガスセンサが設けられている。音声を入力する開孔部から当該センサ周辺に呼気を導入すると、当該センサは呼気中のメチルメルカプタン及びエチレン(口臭元)等を検出する。表示部はその検出濃度により異なる表示を行なう。この例では、センサをマーカセンサに代えることにより、呼気センシングを行なうことが出来る。
【0007】
上記した例のように、日常生活で、長時間人の近くに配置される端末装置(携帯電話機を含む)に呼気センサを設ければ、ユーザは所望のタイミングで健康チェックを行なうことが出来る。
【特許文献1】特開2006−75447号公報
【特許文献2】特開2003−341375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の技術はいずれも、呼気センシングを行ない、健康状態を診断するのには十分ではない。
【0009】
特許文献1及び特許文献2に記載の端末装置は、その呼気センサの種類が2種類以下と、検出可能なマーカ種類が比較的少ない。健康管理及び疾患予防の観点から、比較的多種類のマーカ濃度を検知することが求められている。上記端末装置はこれに対応していない。
【0010】
さらに、健康状態の診断においては、個人によって留意する疾患が異なるため、その診断対象疾患を選択可能なものが望ましい。しかし、これらの端末装置は、少数の診断対象疾患が予め定められており、これに対応していない。
【0011】
このようなメニュー選択性を発展させると、呼気センサを有するものの、健康チェック機能の有無を選択可能な端末装置がより望ましい。一般に、端末装置のハードウエアの一部には、初期時点で動作しないように設定されているものがある。後日、購入者が対応のアプリケーションソフトウエアをインストールすれば動作が可能となる。この態様を利用すれば、端末装置メーカは、呼気センサを有する端末装置に関し、健康チェックに特化すること無く一般ユーザ向けの商品設計を行なうことができる。メーカは、端末装置に健康チェックに関する機能の一部を搭載する必要が無く、かつ、一般向け商品としてこれを大量生産することが出来る。その結果、当該端末装置を比較的安価に供給することができる。一方、ユーザは、健康チェックとは別の目的で当該端末装置を購入しても、健康チェックを所望の時点で可能化することが出来る。ユーザが健康チェックを所望しなければ、ユーザにとって無駄な機能を端末装置に持たせなくても済む。
【0012】
加えて、特許文献1には表示出力の詳細が記されていない。健康チェックはその結果が誰にでも分かるように出力され、ユーザが自身の健康度を簡易に認識できることが望ましい。特許文献1に記載の端末装置はこれに対応していない。
【0013】
さらにまた、特許文献2に記載の端末装置において、ガスセンサは半導体式であり、ppmレベルの濃度のガス成分を検出する。呼気センシングによる健康診断では、マーカの濃度レベルに従い、ppbレベルのガス濃度測定を必要とする。特許文献2に記載の端末装置は健康管理のための呼気センシングに適しているとは言えない。
【0014】
したがって、本発明の目的は、端末装置において、一度の測定により、呼気中の低濃度の特定ガス成分を複数種類検出し、そのことにより健康状態の診断が可能な技術を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、一度の測定で、呼気中の低濃度の特定ガス成分を複数種類検出することが可能な端末装置において、検出結果から健康状態を診断し、その診断結果を誰にでも分かりやすい態様で出力するものであって、診断対象疾患が選択可能な技術を提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、呼気中の低濃度の特定ガス成分を一度に複数種類検出し、その検出結果から健康状態を診断し、その診断結果を誰にでも分かりやすい態様で出力することが可能な端末装置に対し、このような健康チェック機能の不能/可能をユーザが選択できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の局面に係る端末装置は、通信装置と、呼気中の複数種類の特定ガス成分を検出して、検出結果に応じて情報を出力するための呼気センシング装置と、特定のサービスを提供するためのサーバに対し、呼気センシング装置を可能化するための情報に関し、通信装置を介して課金要求を送信するための課金要求手段と、課金要求に対応して、通信装置を介してサーバから受信した情報を用いて、呼気センシング装置を可能化するための可能化手段とを含む。呼気センシング装置は初期状態として不能化されていてもよい。
【0018】
好ましくは、呼気センシング装置は、呼気中の複数種類の特定ガス成分を検出し、それぞれの検出結果に対応する複数の信号を出力するための呼気センサと、呼気センサによる出力信号を用いたサービスを実行するためのサービス実行手段とを含む。
【0019】
この端末装置は呼気センシングを行ない、そのセンシング結果を元に情報を出力する呼気センシング装置を含む。端末装置の利用者は、サービスを提供するサーバに、呼気センシング装置の可能化のための情報を得るために、その情報の送信に係る課金要求を行なう。これに応じてサーバから受信した情報により、呼気センシング装置が可能化される。利用者は、呼気センシング結果に基づいた情報により、端末装置に所望の動作を実行させることが出来る。
【0020】
別の観点において、呼気センシング装置と、可能化のための情報との両方が存在することにより、呼気センシングに関する機能が利用可能となる。
【0021】
利用者は、呼気センシングに関する機能を、端末装置に付加するか否かを選択することが出来る。
【0022】
例えば、サービスは健康情報に関するものであって、利用者は呼気センシングによる健康チェック機能を、端末装置に付加するか否かを選択することが出来る。
【0023】
ある態様では、呼気センシング装置は、呼気センサ、及び、呼気センサの出力を利用したサービスを実行するためのサービス実行手段を含む。可能化のための情報を受信することにより、呼気センサが可能化され、呼気センサの出力を用いたサービスの利用を開始することができる。
【0024】
より好ましくは、サービスは複数通りである。サービス実行手段による複数通りのサービスの実行は、それぞれ、不能化されていてもよい。端末装置は、複数通りのサービスの内から利用者の選択を受けるための選択手段をさらに含む。課金要求手段は、選択手段において選択されたサービスの実行を可能化するための情報に関し、選択されたサービスに応じた課金要求を、通信装置を介して送信するための手段を含む。可能化手段は、課金要求に対応して、通信装置を介してサーバから受信した可能化のための情報を用いて、サービス実行手段による選択されたサービスの実行を可能化するための手段を含む。
【0025】
さらに好ましくは、複数通りのサービスには、それぞれ、識別子が付与されている。課金要求は、選択されたサービスの識別子を含む。可能化手段は、課金要求に応答して、通信装置を介してサーバから受信した、選択されたサービスの実行を可能化するための情報を用いて、サービス実行手段による選択されたサービスの実行を可能化するための手段を含む。
【0026】
複数通りのサービスには、さらに、それぞれ、利用金額が設定されている。課金要求は、さらに、選択されたサービスに対応する利用金額情報を含む。可能化手段は、課金要求に応答して、通信装置を介してサーバから受信した選択されたサービスの実行を可能化するための情報を用いて、サービス実行手段による選択されたサービスの実行を可能化するための手段を含む。
【0027】
利用者は、複数のサービスから所望のものを選択することが出来る。端末装置は、選択されたサービスの識別子を含む課金要求をサーバに送信する。サーバは、課金要求に含まれる識別子に対応する、サービスを可能化するための情報を当該端末装置に送信する。当該情報の受信により、利用者は所望のサービスを利用することが出来る。
【0028】
例えば、サービスは健康チェックに関するものであって、利用者は呼気センシングによる健康情報サービスの種類、具体的には、診断対象疾患を選択することが出来る。
【0029】
各サービスには利用金額が設定されていても良い。この場合、端末装置は、選択されたサービスの識別子、及び、そのサービスの利用金額を示す情報を含む課金要求をサーバに送信する。サーバはこの要求に応答して利用金額を課金することとなる。ある観点において、課金金額に応じて、利用可能なサービスの数及び種類は異なる。
【0030】
好ましくは、可能化するための情報は、呼気センサの出力信号の数と同じ数の数字の組合せを含む。
【0031】
呼気センサは複数の特定ガス成分を検出し、それぞれの検出結果に対応する複数の信号を出力する。可能化するための情報は、各出力信号に対して処理を行なうための数字を含む。
【0032】
より好ましくは、呼気センサは、呼気中の複数種類の特定ガス成分の濃度を検出して複数個の濃度信号を出力する。サービス実行手段は、複数個の濃度信号のレベルを入力とする関数の出力に基づいて、健康状態に関する診断をサービスとして実行するための診断手段と、診断手段による診断結果を所定の態様で表示するための表示手段とを含む。診断手段は、初期状態として不能化されていてもよく、可能化手段により可能化される。
【0033】
さらに好ましくは、関数は、複数個の濃度信号のレベルの線形和であり、可能化するための情報は、線形和を定義する、係数の集合である。
【0034】
好ましくは、呼気センサは、互いに異なる特定ガス成分の濃度を検出してそれぞれ濃度信号を出力する複数のセンシング素子と、複数のセンシング素子の各々の電気抵抗の変化を検出し、濃度信号として出力するための抵抗検出出力手段とを含む。複数のセンシング素子の各々は、互いに異なる特定ガス成分を選択的に吸着する物質で表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む。
【0035】
この端末装置の呼気センサは複数種類の特定ガス成分を検出し、当該特定ガス成分の濃度を測定することが出来る。この呼気センサの出力に基づいて健康状態に関する診断を行なうことが出来る。呼気中の複数成分の測定結果により、より優れた健康診断を行なうことが出来る。
【0036】
可能化するための情報の受信により、利用者は健康状態に関する診断を開始することができる。その診断結果は所定の態様で表示される。利用者は自分の健康状態を表示により知ることが出来る。
【0037】
呼気センサのセンシング素子は、ある態様では、特定ガス物質を選択的に吸着する物質により表面修飾されるカーボンナノ構造体である。特定ガス物質の吸着量に応じて、微量であっても、センシング素子の両端の電気抵抗が変化する。その結果、呼気中の特定ガス成分を、低濃度でも選択的に検出することが出来る。このことから、この端末装置によれば、例えば、検出しようとするマーカの濃度が微量であっても、当該マーカに関連する疾患の診断を行なうことが出来る。
【0038】
ある態様では、診断手段は以下の処理を行なう。呼気センサの各センシング素子が出力する濃度信号、例えば、電気抵抗変化と、検出対象の特定ガス成分の濃度とは、略線形関係にある。したがって、予め求められた当該線形関係により、診断手段は、濃度信号から検出対象の特定ガス成分の濃度を算出する。診断手段は、呼気センサが検出可能な全特定ガス成分の濃度に対し、この処理を行なう。さらに、可能化するための情報により与えられる係数の各々により、各特定ガス成分の濃度を処理し、これらの総和を求める。算出した総和に対し、診断処理は所定の処理を行なう。処理結果は表示される。
【0039】
したがって、表示される所定の態様は、具体的には数字のような、誰にでも分かりやすいものとなる。そのため、この端末装置による健康診断は、個人でも手軽に利用することが出来る。
【0040】
さらに好ましくは、端末装置はさらに、呼気センシング装置について、可能化手段により可能化されたか否かを通知するための可能化状態通知手段を含む。
【0041】
可能化状態通知手段を設けることにより、どのサービスが利用可能でありどのサービスが利用可能でないかを容易に確認できる。
【0042】
本発明の第2の局面に係るサービスサーバは、特定のサービスを提供するためのサービスサーバである。サービスサーバは、前述の端末装置から、呼気センシング装置を可能化するための情報に関し、課金要求を受信するための課金要求受信手段と、端末装置から、課金要求を受信したことに応答して、端末装置の利用者に対する課金処理を実行するための課金処理実行手段と、課金処理実行手段による課金処理の実行の後、呼気センシング装置をを可能化するための情報を、課金要求を送信してきた端末装置に送信するための情報送信手段とを含む。
【0043】
端末装置から課金要求を受信すると、サーバは、端末装置の利用者に対する課金処理を実行し、当該端末装置に可能化するための情報を送信する。端末装置がこの情報を受信すると、端末装置の利用者は呼気センシング結果に基づいた情報により、端末装置に所望の動作を実行させることが出来る。
【0044】
好ましくは、サービスはあらかじめ複数通り準備されており、かつそれぞれには識別子と、対応する利用金額とが設定されている。課金要求は、可能化の対象となるサービスの識別子、及び、対応する利用金額情報を含む。課金処理実行手段は、端末装置から、課金要求を受信したことに応答して、課金要求に含まれる利用金額情報に基づいて、端末装置の利用者に対する課金処理を実行するための手段を含む。情報送信手段は、実行するための手段による課金処理の実行の後、課金要求に含まれる識別子に対応するサービスを可能化するための情報を、課金要求を送信してきた端末装置に送信するための送信手段を含む。
【0045】
利用者は、複数のサービスから所望のものを選択することが出来る。端末装置から課金要求を受信すると、このサービスサーバは、受信した利用料金情報に基づき、端末装置の利用者への課金処理を実行する。実行の後、受信した識別子に対応する、サービスを可能化するための情報を当該端末装置に送信する。当該情報の受信により、利用者は、当該端末装置において所望のサービスを利用することが出来る。
【0046】
例えば、利用者は呼気センシングによる健康診断において、健康情報サービスの種類、具体的には、診断対象疾患を選択することが出来る。
【0047】
本発明の第3の局面に係るサービスシステムは、少なくとも1つの端末装置と、端末装置に対し特定のサービスを提供するためのサーバとを含む、サービスシステムである。端末装置は、通信装置と、呼気中の複数種類の特定ガス成分を検出して、検出結果に応じて情報を出力するための呼気センシング装置と、サーバに対し、呼気センシング装置を可能化するための情報に関し、通信装置を介して課金要求を送信するための課金要求手段とを含む。サーバは、端末装置から、課金要求を受信するための課金要求受信手段と、端末装置から課金要求を受信したことに応答して、端末装置の利用者に対する課金処理を実行するための課金処理実行手段と、課金処理実行手段による課金処理の実行の後、呼気センシング装置を可能化するための情報を、課金要求を送信してきた端末装置に送信するための情報送信手段とを含む。端末装置は、課金要求に対応して、通信装置を介してサーバから受信した情報を用いて、呼気センシング装置を可能化するための可能化手段をさらに含む。
【0048】
端末装置から課金要求を受信すると、サーバは課金処理の後、当該端末装置に、呼気センシング装置を可能化する情報を送信する。端末装置が鍵情報を受信すると、呼気センシング装置が可能化され、端末装置の利用者は呼気センシングの開始、及びそのセンシング結果に基づく情報入手を行なうことができる。たとえば、呼気センシング結果から、利用者は健康に関する情報を得ることができる。
【0049】
このサービスシステムにおいて、端末装置の呼気センシング装置は初期状態で不能であってもよい。呼気センシング装置は、サーバからの、可能化するための情報の受信により可能化される。利用者は、端末装置に、呼気センサを用いたサービス機能、例えば、健康チェック機能を持たせるか否かを選択することが出来る。
【0050】
さらに好ましくは、端末装置はさらに、呼気センシング装置について、可能化手段により可能化されたか否かを通知するための可能化状態通知手段を含む。
【0051】
端末装置に可能化状態表示手段を設けることにより、どのサービスが利用可能でありどのサービスが利用可能でないかを容易に確認できる。
【発明の効果】
【0052】
以上のように、この発明に係る端末装置、サービスサーバ及びシステムによれば、端末装置の健康チェック機能の不能/可能を利用者が選択することが出来る。さらに、端末装置の出力に関し、利用者による診断対象疾患の選択が可能である。加えて、サーバの配信情報から端末装置が出力表示する診断結果は、例えば数字等の誰にでも分かりやすい態様である。個人が利用しやすい健康チェック方法である。
【0053】
さらに、この発明に係る端末装置によれば、一度の測定により、複数種類の呼気中マーカを同時に検出することができる。さらに、その検出結果により健康状態の診断が可能である。利用者は、所望のタイミングで健康チェックを行なうことが出来る。
【0054】
さらに、この端末装置のセンシング部は、表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む。このことにより、この端末装置は選択的でかつ高感度な呼気センシングを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態に係るシステムについて説明する。以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同一である。したがって、それらについての詳しい説明は繰返さない。
【0056】
[第1の実施の形態]
−構成−
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る呼気センシングサービス提供システム10の概略構成をブロック図形式で示す。
【0057】
図1を参照して、呼気センシングサービス提供システム10は、携帯端末20及びその他の図示しない複数の端末と、公衆網22に接続され、携帯端末20等の端末と公衆網22を介して通信を行ない、当該端末に対し、後述する呼気センシングに係るサービスを有償で提供するためのサーバ24とを含む。
【0058】
本実施の形態では、サーバ24は、携帯端末20等の端末の通信キャリアが管理運営するものとする。さらにこの呼気センシングサービス提供システム10に所属する携帯端末20及び複数の端末は、基本的に携帯端末20と同一の構成のものであるものとする。したがって、以下の説明では携帯端末20の構成のみ説明する。
【0059】
携帯端末20は、アンテナ32を介して無線インターフェースのエアリンクを行ない、サーバ24と双方向通信を行なうための通信部30と、通信部30に接続され、通信部30を介して相手端末と音声通信を行なうための音声入出力部34と、表示部36と、ユーザの入力を制御信号に変換するための操作部38と、呼気中の特定ガス成分濃度を個々に検出するための呼気センサ部46と、サーバ24が提供する各種サービスに関する情報を記憶するためのメモリ44と、携帯端末20において利用可能なサービスと利用できないサービスとを区別して通知するための5つのLED(Light Emitting Diode)40A〜40Eとを含む。なお、以下の説明では、LED40A〜40EをまとめてLED40と呼ぶことがある。メモリ44が記憶する情報は、当該サービスに関する情報であるユーザサービステーブル(以下「Uサービステーブル」と呼ぶ。)、携帯端末20の識別子(Identification number。以下「ID」と呼ぶ。)、ユーザの識別子(以下「UiD」と呼ぶ。)等の携帯端末20に関する情報、及び、後述する制御部により実行される種々のプログラムを含む。
【0060】
メモリ44に記憶されるアプリケーションソフトウエアは、携帯端末20の工場出荷前にメモリ44に格納されるものとする。
【0061】
携帯端末20は、さらに、通信部30、表示部36、操作部38、呼気センサ部46及びメモリ44に接続され、これらを所定のプログラムにしたがって制御し、呼気センサ部46の出力を、メモリ44に記憶されるUサービステーブル等にしたがって処理し、特定疾患に関する健康状態の表示を行なう機能、及び、携帯端末としての電話機能等の一般的な機能を実現するための制御部50とを含む。
【0062】
制御部50は、所定のプログラムを実行することにより上述した種々の機能を実現する図示しないCPU(Central Processig Unit)、並びに、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Ramdom Access Memory)等を含む。
【0063】
サーバ24は、公衆網22を介して携帯端末20等と通信を行なうための通信部60と、通信部60に接続され、携帯端末20からの種々のアクセスを処理し、携帯端末20に対する健康情報のサービスを行なう機能を実現するための制御部64と、制御部64が提供するサービスに関する種々の情報を記憶するためのHDD(ハードディスクドライブ)62とを含む。
【0064】
HDD62は、さらに、当該通信キャリアが契約する全ユーザに関し、UiDと、当該ユーザが利用する端末のIDと、当該ユーザと当該通信キャリアとの支払いに関する契約内容とを関連付けた、図示しないテーブルを記憶する。これを以降「支払内容テーブル」と呼ぶ。契約内容は、支払いの際の支払方法及び支払元情報(金融機関の口座番号、クレジットカード番号等)を含む。説明のため、ここではUiDとIDとは1対1であるものとする。
【0065】
制御部64は、図示しないCPU、並びに、ROM及びRAM等を含む。
【0066】
図2(A)に、携帯端末20を開いた際の正面外観図を示す。図2(A)を参照して、携帯端末20は折畳み型携帯電話機であり、折畳んだ際の形状は扁平な略直方体である。
【0067】
携帯端末20は、表示側筐体80と、操作側筐体82と、表示側筐体80及び操作側筐体82を開閉自在に接続するヒンジ部84とを含む。表示側筐体80には表示部36が設けられる。操作側筐体82には操作キー群86が設けられる。操作キー群86は、アプリケーション起動ボタン125、再生ボタン127、測定開始ボタン129、テンキー及びカーソルキー等を含む。操作側筐体82正面の操作キー群86の下側には、図示しないマイクが設けられる。さらに、操作側筐体82の正面の操作キー群86の左下側には、前述した、利用可能なサービスと利用できないサービスとを区別して通知する5つのLED40が設けられている。この携帯端末20に対してサーバ24から提供されるサービスは後述するように5種類である。LED40はそれぞれこれらサービスに対応しており、対応するサービスが利用可能になっているときには点灯し、利用できないときには消灯する。
【0068】
図2(B)及び(C)に、携帯端末20を開いた際の裏面外観図、及び、左側面外観図を示し、図3に、図2(C)に示す断面3−3における矢視方向断面図を示す。図2(A)〜(C)及び図3を参照して、操作側筐体82の下端近傍内部には呼気センサ部46が設けられる。なお、図3では便宜上、操作側筐体82について、正面−裏面間の奥行長さを、右側面−左側面間の幅よりも長く図示している。しかし、図2(A)〜(C)に示すように、実際には操作側筐体82の奥行長さは、その幅より短い。
【0069】
呼気センサ部46は、中空で概略直方体の呼気収集ボックス120と、呼気収集ボックス120の端面及び操作側筐体82の正面側を接続するように設けられる、呼気収集ボックス120の内部空間に呼気を導入するための呼気導入部128と、呼気収集ボックス120の呼気導入部128が設けられる端面に対向する端面及び操作側筐体82の裏面側、呼気収集ボックス120の一方側面及び操作側筐体82の右側面、呼気収集ボックス120の他方側面及び操作側筐体82の左側面を、それぞれ、接続するように設けられる、呼気収集ボックス120の内部空間の気体を排出する、逆止弁が設けられた排気部122、124及び126とを含む。呼気導入部128はマイク近傍に形成された開口を有する(図2(A)参照)。したがって、通話時と同様に携帯端末20を保持して呼気導入部128に呼気を吹きかければ、呼気収集ボックス120内に呼気を導入することができる。
【0070】
呼気センサ部46はさらに、呼気収集ボックス120の内部に形成され、呼気収集ボックス120の内部空間を3つの小室170,172及び174に分離するための、中央に形成された開口156及び158をそれぞれ有する仕切部材152及び154と、それぞれ開口156及び158の、小室172及び174側に設けられた、呼気中の特定ガス成分のみを選択的に透過する選択透過膜160及び162とを含む。呼気導入部128及び排気部122は小室170内に開口している。排気部124は小室174内に開口し、排気部126は小室172内に開口している。
【0071】
選択透過膜160及び162は、具体的には、ポリスルフォン、セルロースアセテート、ポリイミド、ポリ4−メチルペンテン、シリコンゴム、ポリカーボネート等の高分子材料、パラジウム等の特定成分を吸着する金属、及びこれらの複合材料のうち、特定ガス成分検出について、その感度及び精度を向上させるものが選択される。例えば、小室172等に設けられるセンサが検出する特定ガス成分を透過させる材料、又は、当該特定ガス成分の検出を阻害する物質を透過しない材料である。
【0072】
この実施の形態では、選択透過膜160は呼気中のNOのみを透過するものとし、選択透過膜162は呼気中のアセトンのみを透過するものとする。これら選択透過膜160及び162は、上記した特定ガス成分に加え、呼気中の通常の気体(窒素、酸素など)を透過するものであってもよい。
【0073】
呼気センサ部46はさらに、小室172内の、開口156と排気部126との間に配置されたセンサ基板140と、センサ基板140の開口156に臨む面に設けられたヒータ144と、ヒータ144の上、すなわち開口156に臨む位置に配置された、NO濃度を測定するためのセンサ148と、小室174内の、開口158と排気部124との間に配置されたセンサ基板142と、センサ基板142の開口158に臨む面に設けられたヒータ146と、ヒータ146の上、すなわち開口158に臨む位置に配置された、アセトン濃度を測定するためのセンサ150と、小室170内の、開口156及び158と排気部122との間に設けられ、呼気導入部128から小室170内部に導入される呼気を反射するための反射板166と、呼気導入部128内部の逆止弁の近傍に設けられる、呼気の流量を測定するための流量センサ164とを含む。
【0074】
この呼気センサ部46で使用されるセンサ148及び150は、特定のガス成分を選択的に吸着することができる。センサ148及び150はいずれも、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube。以下「CNT」と呼ぶ。)からなるガスセンサ素子を含んでいる。
【0075】
なお、呼気センサ部46は、上記したNO濃度、及び、アセトン濃度を検出するためのセンサ148及び150の他に、他の特定ガス成分を検出するセンサを含む。具体的には、呼気収集ボックス120の上面又は下面であって、図2(C)に示す断面3−3とは別の部位に、それぞれ、図3に示す、仕切部材152、小室172、開口156、排気部126、選択透過膜160、センサ基板140、ヒータ144、センサ148と同様の構成要素が、各センサに対して設けられている。選択透過膜は、各センサの検出対象ガスによりその材料が決定される。各センサはガスセンサ素子を含む。当該ガスセンサ素子は、それぞれ、検出対象の特定ガス成分に応じて、異なる材料により表面修飾されたCNTを含む。
【0076】
ここでは呼気センサ部46は、アセトン及びNOの他に、CO、H、及びアンモニアを検出するものとする。
【0077】
図4に、ガスセンサ素子180の概略構成を示す。図4を参照して、ガスセンサ素子180は、一般的に、特定の分子により表面修飾されたカーボンナノ構造体からなるセンシング部182と、センシング部182の両端に配置された電極184及び186とを含む。
【0078】
図5に、センシング部182における表面修飾の様子を模式的に示す。
【0079】
図5を参照して、センシング部182は、CNT構造体188と、CNT構造体188表面に固定され、特定ガス成分を選択的に吸着する物質の分子194とを含む(ここでは分子194として金属フタロシアニンの分子構造を図示しているが、分子194は金属フタロシアニンに限定されない。)。
【0080】
たとえばCoフタロシアニンでカーボンナノ構造体の表面を修飾すると、呼気中のNOがこれらCoフタロシアニンに吸着される。その結果、カーボンナノ構造体の電気抵抗が変化する。この変化量は、カーボンナノ構造体表面に吸着したNO分子の量に応じて変わる。したがって、センシング部182に電流を通したときの抵抗値の変化を見ることにより、呼気中のNOの濃度を検出することができる。
【0081】
なお、この実施の形態では、センサ148のセンシング部として、NOを選択的に吸着するCoフタロシアニンにより表面修飾されたものを、センサ150のセンシング部として、アセトンを選択的に吸着するアルキル基により表面修飾されたものを、それぞれ用いている。
【0082】
図6は、各センサに設けられた、ガスセンサ素子180の抵抗変化を測定するための測定回路200の構成を示す。図6を参照して、測定回路200は、定電圧源210と、定電圧源210の両端の間に直列に接続されたガスセンサ素子180及び負荷抵抗212と、ガスセンサ素子180及び負荷抵抗212の接点に接続された入力を持ち、この接点の電位変化を増幅するための増幅器214とを含む。図4に示すガスセンサ素子180の電極184は、定電圧源210のプラス端子へ、電極186は負荷抵抗212及び増幅器214へ接続される。負荷抵抗212の抵抗値は既知である。ガスセンサ素子180及び負荷抵抗212の接続点の電位を測定することにより、ガスセンサ素子180の電気抵抗の変化を知ることができ、したがって、ガスセンサ素子180に吸着した特定ガス成分の濃度を知ることができる。
【0083】
図7(A)〜(D)及び図8(A)〜(D)に、携帯端末20のメモリ44に記憶され、呼気センシングサービス提供システム10に関するアプリケーションソフトを利用中に表示部36に表示される、サービス利用のための作業画面の例を示す。
【0084】
図7(A)に、当該ソフト起動後に表示される、サービス利用開始のための健康チェックサービス画面220を示す。図7(A)を参照して、画面220は、新たにサービスを申込むためのYESボタン222と、申込みをせずに呼気測定及び診断を開始するためのNOボタン224と、当該ソフトを終了するための終了ボタン226とを含む。
【0085】
図7(B)及び(C)に、図7(A)に示すYESボタン222の押下後に表示され、新たなサービスの申込のためのサービス一覧画面228及び238を示す。画面228は新規ユーザ向け、画面238は一度サービス申込を行なったことのあるユーザ向けのものである。図7(B)及び(C)を参照して、画面228及び238は、提供サービスの一覧230及び238を含む。サービスの名称は、ここでは、メタボリック症候群、糖尿病、ストレス、喘息及び歯周病の可能性を診断するサービスに対し、それぞれ、「メタボ度」、「糖尿病度」、「ストレス度」、「喘息度」及び「歯周病度」と名付けられている。度数は、各疾患をユーザが患っている可能性を示し、当該疾患の可能性が大きいほど大きい数字が、そうでない場合は小さい数字が示される。各度数は呼気センサ部46の各センサ出力に基づいて求められる。
【0086】
サービスの一覧230及び240において、各名称にはチェックボックスが付されている。クリック操作によりチェックボックスにチェックを受けることでサービスが選択される。一覧230は全サービスが選択可能だが、一覧240では申込済のサービスは選択不可である。
【0087】
画面228及び238は、さらに、選択されたサービスの申込のためのOKボタン232、この申込作業を中止して図7(A)に示す画面220を表示させるためのキャンセルボタン234、及び、当該ソフトを終了するための終了ボタン236とを含む。
【0088】
図7(D)に、図7(B)及び(C)のサービスの一覧230及び240におけるサービス選択、及び、OKボタン232押下後に表示され、ユーザに当該サービス提供に係る入金を促す入金画面242を示す。図7(D)を参照して、画面242は、選択されたサービス及び料金の一覧244と、入金実行をサーバ24に要求するためのOKボタン246と、入金処理を中止して、画面228又は238に表示を戻すためのキャンセルボタン248と、当該ソフトを終了するための終了ボタン250とを含む。
【0089】
図8(A)に、図7(A)に示すNOボタン224押下後、又は、図7(D)に示すOKボタン246押下後に表示され、呼気測定及びその結果に基づいた健康診断を行なうための健康チェック開始画面252を示す。図8(A)を参照して、画面252は、配信済であり、診断可能なサービスの一覧256と、一覧256に含まれるサービスに関する診断を開始するための開始ボタン258と、当該診断開始処理を中止して、図7(A)に示す画面220に表示を戻すためのキャンセルボタン260と、当該ソフトを終了するための終了ボタン262とを含む。
【0090】
図8(B)〜(D)に、呼気センサ部46の呼気測定に基づく健康診断の結果を表示部36に出力表示するための健康チェック結果画面264、268及び276を示す。
【0091】
図8(B)を参照して、画面264は、呼気センサ部46による呼気測定を行ない、その結果を配信された情報を用いて処理することにより算出した、各疾患に対する度数を含むメッセージ265と、当該ソフトを終了するための終了ボタン266とを含む。
【0092】
図8(C)及び(D)を参照して、画面268及び276は、画面264の場合と同じ呼気測定の処理結果の別の表示例である。この例は上記の度数をイラスト表示(人形270及び278)する。画面268は、人形270の他に、他の度数に関するイラスト表示を行なうためのNEXTボタン272と、当該ソフトを終了するための終了ボタン274とを含む。
【0093】
画面276は、人形278の他に、当該ソフトを終了するための終了ボタン274とを含む。画面276は、診断する度数が単独、または最終である場合の表示例であり、図8(C)に示すNEXTボタン272を含まない。
【0094】
イラスト表示に関して、メタボ度の場合、メタボリック症候群の人が肥満体系であることから、メタボ度(メタボリック症候群である可能性)が高い場合は画面268の太い人形270を、メタボ度が低い場合は画面276の痩せた人形278を、それぞれ表示する。このようにイラスト表示は、疾患の症状とイラストとが関連する態様であるのが望ましい。例えば、喘息度の高い場合は(以下図示しない)咳き込んだ人形を、喘息度の低い場合は笑っている人形を、歯周病度の高い場合は何かに侵された歯及び歯茎を有する人形を、歯周病度の低い場合は白い歯と健康そうなピンク色の歯茎とを有する人形を、それぞれ表示する態様であっても良い。
【0095】
なお、上記した呼気測定結果の表示態様は、度数及びイラストの何れかに固定されていても良いし、ユーザが何れかを選択することができても良い。
【0096】
また、図8(B)〜(D)に示す、度数及びイラストを表示するための情報は、後述する、サーバ24のHDD62に記憶される、サーバサービステーブル(以下「Sサービステーブル」と呼ぶ。)において、各サービスを識別するためのサービスID(以下SiDと呼ぶ。)に対応付けて記憶されるものとする。
【0097】
図9に、図1に示す携帯端末20のメモリ44が記憶するUサービステーブル280の一例を示す。
【0098】
図9を参照して、Uサービステーブル280は、SiD、各サービスに付けられた名称、各サービスの料金、呼気センサ部46のセンサ(アセトン、CO2、NO、H2、及びアンモニアをそれぞれ検出するもの)の各出力に対する係数、及び、各係数によりセンサ出力を処理するか否かを指定するフラグを列挙したものである。
【0099】
SiDにより、携帯端末20及びサーバ24は、両者の通信において、当該通信に係るサービスを識別することが出来る。
【0100】
Uサービステーブル280のフラグカラムの初期値は0である。Uサービステーブル280においてフラグが0のSiDの行では係数は全て0であり、一方、フラグが1のSiDに対応する係数カラムには特定の数値が書込まれている。
【0101】
係数は、この例では、各センサが検出する特定ガス成分の濃度に対し重み付けをするためのものである。係数は、各特定ガス成分の濃度と、診断対象疾患の挙動と、度数を算出するための所定の処理との関係によって予め定められている。
【0102】
図10に、図1に示すサーバ24のHDD62に記憶される、サービスの申込を行なったことのある端末(ユーザ)に関する情報を含むユーザテーブル290の一例を示す。
【0103】
図10を参照して、ユーザテーブル290は、UiD、各ユーザの課金情報、各ユーザの支払い情報、及び、各ユーザに既に提供されたサービスのSiDを列挙したものである。
【0104】
UiDにより、サーバ24の通信部60がコマンドを受信した場合、その課金先を識別することが出来る。
【0105】
課金情報は、所定期間における当該ユーザの課金合計額を示す。課金の履歴はHDD62の別の領域(図示せず)に課金の都度追加される。課金情報に含まれる金額は、サーバ24を管理する通信キャリアが、所定期間毎(例えば1ヶ月)に、前述した支払内容テーブルに記憶される当該ユーザとの契約内容にしたがって当該ユーザに請求する。請求処理の度に、課金情報はリセットされる。
【0106】
支払い情報は、前述した支払内容テーブルにおいて、UiDにより識別されるユーザの契約内容が記憶される領域のアドレスを示す。
【0107】
図11に、サーバ24のHDD62に記憶されるSサービステーブル300の一例を示す。図11を参照して、Sサービステーブル300は、図9に示すUサービステーブル280とほぼ同様であるが、Uサービステーブル280内のフラグ情報を含まない点、サーバ24が提供可能な全サービスに関する全情報を含む点が、Uサービステーブル280とは異なる。
【0108】
また、Sサービステーブル300は、さらに、図示しない、図8(B)〜(D)に示す度数算出及びイラスト表示に関する情報を含む。具体的には、各SiDに対応付けて、対応の度数を算出するための情報と、度数に基づくイラスト表示を実行するための情報とが関連付けて記憶される。これらの情報は、サーバ24から携帯端末20に係数が配信される場合に、同時に配信され、携帯端末20のメモリ44内のUサービステーブル280に格納される。
【0109】
図12に、携帯端末20とサーバ24との間でのデータの送受を図解的に示す。
【0110】
図12を参照して、ユーザ指示により、携帯端末20からサーバ24へ新たなサービスを申込む場合、携帯端末20及びサーバ24は、以下の処理(1)〜(13)を行なう。
(1)携帯端末20(が以下の処理を実行する。以下同じ。):サーバ24へ、自身のID、UiD、及びアクセス要求を送信する。
(2)サーバ24:アクセス要求を受けて、アクセス要求と共に受信したUiDとユーザテーブルとを比較する。比較の結果に応じてサービステーブルを作成する。
(3)サーバ24:作成したサービステーブルをサービス一覧として携帯端末20に送信する。
(4)携帯端末20:受信したサービス一覧により、自身がメモリ44に記憶するUサービステーブル280を更新する。
(5)携帯端末20:ユーザ操作により新たなサービスの申込が指示されると、新たなサービス(係数)の配信要求を、ID、UiD及び当該サービスのSiDと共にサーバ24に送信する。
(6)サーバ24:配信要求を受け、配信要求と共に受信したUiD及びSiDと、ユーザテーブルとを比較する。
(7)サーバ24:比較の結果、ユーザテーブルに含まれるユーザが、新たなサービスの申込を行なったことを確認した場合、当該端末に、入金依頼を入金対象のSiDと共に送信する。
(8)携帯端末20:サーバ24からの入金依頼に対して、入金実行要求を、ID、UiD、SiD及び金額データと共にサーバ24に送信する。
(9)サーバ24:入金実行要求に応答して、UiDにより識別されるユーザの入金実行を行なう。同時に入金が成立したことを確認する。
(10)サーバ24:配信要求されたサービスの係数を当該端末に配信する。
(11)携帯端末20:配信されたサービスの係数によりUサービステーブル280の更新を行なう。
(12)携帯端末20:呼気を測定する。
(13)携帯端末20:呼気測定結果を、後述するプログラム及びUサービステーブル280により処理し、処理の結果に基づき表示部36に表示を行なう。
【0111】
図13は、図12に示す処理(2)及び(3)においてサーバ24の制御部64が実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【0112】
図13を参照して、通信部60がアクセス要求を受信したことに応答して、制御部64が起動するプログラムは、HDD62に記憶されるSサービステーブル300を制御部64内のRAMにコピーするステップ(以下単に「S」と呼ぶ。)10と、S10の後に実行され、アクセス要求と共に受信した送信元端末のUiDが、HDD62に記憶されるユーザテーブル290内にあるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS12と、S12において、当該UiDがユーザテーブル290内に無いと判定されたことに応答して実行され、ユーザテーブル290に当該UiDを追加するS13とを含む。
【0113】
S13において、制御部64はさらに、ユーザテーブル290に新たに追加したUiDの行の、課金情報カラムに0を、それぞれ書込む。
【0114】
本プログラムは、さらに、S13の後に実行され、S10においてコピーされたSサービステーブル内の全SiDに関しその係数に0を代入するS14と、S14の後に実行され、全係数が0のSサービステーブルを送信元端末に送信するS30とを含む。
【0115】
本プログラムは、さらに、S12において、送信元端末のUiDがユーザテーブル290内にあると判定されたことに応答して、S10において作成されたSサービステーブルのコピーに含まれる全てのSiDについて以下の一連のステップを行なう処理を含む。すなわち、処理対象のSiDが、ユーザテーブル290内の送信元端末のUiDの行の、SiDカラムにより規定されるSiDに含まれるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS20と、S20においてユーザテーブル290内に当該SiDが無いと判定されたことに応答して実行され、Sサービステーブルのコピーの当該SiDの係数の全てに0を代入するS22とを含む。S20においてユーザテーブル290内に当該SiDがあると判定された場合、及び、S22の処理の後、そのSiDに対する処理を終了する。
【0116】
S12においてYESと判定された場合、本プログラムは、Sサービステーブルのコピーの全てのSiDに対して上述の一連の処理を実行し、その後、S30の処理を行ない、処理を終了する。
【0117】
図14は、図12に示す処理(4)において、携帯端末20の制御部50が実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【0118】
図14を参照して、通信部30がサービステーブルを受信したことにより起動されるプログラムは、メモリ44内に図9に示すようなUサービステーブル280が既にあるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS50と、S50においてメモリ44にUサービステーブル280が無いと判定されたことに応答して実行され、受信したサービステーブルにフラグカラムを追加してメモリ44にコピーし、これをUサービステーブル280とするS52とを含む。S52の後、処理を終了する。
【0119】
本プログラムは、さらに、S50において、メモリ44にUサービステーブル280があると判定されたことに応答して実行され、受信したサービステーブルに含まれる全てのSiDについて以下の一連のステップを行なう処理を含む。すなわち、処理対象のSiDが、Uサービステーブル280に含まれない新SiDか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS60と、S60において当該SiDが新SiDであると判定されたことに応答して実行され、Uサービステーブル280に新SiDを追加し、当該SiDのフラグカラムに0を代入するS62と、S60において当該SiDが新SiDではないと判定されたことに応答して実行され、Uサービステーブルの当該SiDに対応する係数カラムを、受信したサービステーブルに含まれる当該SiDに対応する係数により更新するS64とを含む。S62及びS64の後、当該SiDに対する処理を終了する。
【0120】
S50においてYESと判定された場合、本プログラムは、受信したサービステーブルの全てのSiDに対して上述の一連の処理を実行し、処理を終了する。
【0121】
図15は、図12に示す処理(6)〜(10)においてサーバ24において、サービスの申込(係数の配信要求)を通信部60が受信したことにより制御部64が起動するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【0122】
図15を参照して、このプログラムは、受信したデータにSiDが含まれているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS80と、S80において受信したデータにSiDが含まれていると判定されたことに応答して実行され、受信したデータに含まれるUiDがHDD62内のユーザテーブル290に含まれるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS82とを含む。
【0123】
本プログラムは、さらに、S82において受信したUiDがユーザテーブル290に含まれると判定されたことに応答して実行され、受信した全てのSiDについて以下の一連のステップを行なう処理を含む。すなわち、ユーザテーブル290内の当該UiDの行のSiDカラムにより規定されるSiDの中に、処理対象のSiDがあるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS84と、S84において当該UiDに対応するSiDの中に、受信データに含まれるSiDが無いと判定されたことに応答して実行され、HDD62に記憶されるSサービステーブル300から当該SiDに対応する料金を読出し、当該SiD及びその対応料金を制御部64内のRAMに記憶するS85とを含む。S82においてYESと判定された場合、本プログラムは、受信した全てのSiDに対して上述の一連の処理を実行した後、後述するS86の処理を行なう。
【0124】
本プログラムは、さらに、送信元端末に、入金依頼と共に、S85においてRAMに記憶されたSiD、及び、RAMに記憶された料金の合計を示すデータを送信するS86と、S86の後に実行され、当該端末からの入金実行要求があるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS88と、S88において当該端末からの入金実行要求があったと判定されたことに応答して実行され、当該端末に対する入金を実行するS89とを含む。S89において、制御部64は、ユーザテーブル290内の当該端末のUiDに対応する課金情報を、入金実行要求と共に受信した、料金情報が示す金額を含むように更新する。このことにより、サーバ24の制御部50は同時に、当該入金を確認する。
【0125】
本プログラムは、さらに、S89の後に実行され、HDD62内のSサービステーブル300内の当該SiDの係数を読出して当該端末へ送信するS90を含む。S90において、制御部64は、さらに、HDD62内のSサービステーブル300に、当該SiDに対応付けて格納される、度数と、イラスト表示を行なうための情報との対を、当該端末へ送信する。
【0126】
本プログラムは、さらに、S90の後に実行され、HDD62内のユーザテーブル290について、当該ユーザのUiDに対応するSiDに、係数を配信したSiDを追加して更新するS92と、S88において当該端末からの入金実行要求が無かったと判定されたことに応答して実行され、ユーザからのキャンセル指示を受けたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS96と、S96において、ユーザからのキャンセル指示を受けていないと判定されたことに応答して実行され、S86における入金依頼送信後、所定時間(ここでは5分)を経過したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるS98と、S80において受信したデータにSiDが無いと判定されたこと、S82において受信したUiDがユーザテーブル290内に無いと判定されたこと、S84においてユーザテーブル290の当該UiDに対応するSiDの中に、受信データに含まれるSiDがあると判定されたこと、及び、S98において所定時間を経過したと判定されたことに応答して実行され、送信元端末にエラーを示す旨を送信するS94とを含む。S98において所定時間を経過していないと判定された場合、処理はS88へ戻る。S92及びS94の後、及び、S96においてユーザからのキャンセル指示を受けたと判定された場合、処理を終了する。
【0127】
図16は、図12に示す処理(11)において携帯端末20の制御部50が実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【0128】
図16を参照して、通信部30が係数の配信を受けたことに応答して、制御部50が起動するプログラムは、メモリ44内のUサービステーブル280に、受信したサービス内容(SiD、サービス名称、料金、各係数、並びに度数算出及びイラスト表示に関する情報)を格納するS110と、S110の後に実行され、Uサービステーブル280の当該SiDのフラグに1を代入するS112と、図1に示す5つのLED40のうち、対応するフラグの値が1となっているものを点灯し、それ以外を消灯させて処理を終了するステップS114とを含む。
【0129】
図17は、図12の処理(12)〜(13)において、携帯端末20において、ユーザの呼気測定開始の指示により制御部50が起動するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【0130】
図17を参照して、このプログラムは、測定を実行するS130と、S130の後に実行され、メモリ44内のUサービステーブル280のうち、フラグが1である全てのSiDについて、以下の一連のステップを行なう処理を含む。すなわち、これらのステップは、処理対象のSiDに対し、Uサービステーブル280から対応する係数を読出すS140と、S140の後に実行され、S140により読出した係数により呼気センサ部46中の各センサの出力レベルを処理するS142と、S142の後に実行され、S142の処理の結果に基づいた、各疾患に関する度数及びイラストを表示部36に表示するS144とを含む。
【0131】
本プログラムは、Uサービステーブル280のうち、フラグが1である全てのSiDに対して上述の一連の処理を実行し、処理を終了する。
【0132】
−動作−
図1を参照して、以上に構成を説明した呼気センシングサービス提供システム10は、以下のように動作する。
【0133】
サーバ24は、常時、携帯端末20及び公衆網22との接続が可能な状態で稼動している。以下の説明では、携帯端末20がサーバ24に対してアクセス要求、入金実行要求及びサービス配信要求を発信する場合の呼気センシングサービス提供システム10の動作を説明するが、これによって携帯端末20及びサーバ24の一般性が失われるわけではない。
【0134】
なお、初期状態では呼気センサ部46は動作しない。図2(A)に示す再生ボタン127、及び測定開始ボタン129の押下があっても呼気センサ部46はこれに反応しない。
【0135】
ユーザが、図2に示すアプリケーション起動ボタン125を押下して、この呼気センシングサービス提供システム10に係るアプリケーションソフトを起動させる。制御部50は図7(A)に示す画面220を表示部36に表示させる。
【0136】
以下、図1及び図12を参照して、ユーザのステイタスに分けて、処理(1)〜(13)の順に、呼気センシングサービス提供システム10の動作を説明する。
【0137】
<<ユーザが新規利用者の場合>>
(1)アクセス要求
携帯端末20において、画面220のYESボタン222が押下されると、制御部50はアクセス要求、ID、及びUiDをサーバ24に送信する。
【0138】
(2)ユーザ確認及び(3)サービス一覧送信
サーバ24の制御部64は、アクセス要求を受けたことに応答して、HDD62内のSサービステーブル300を制御部64内の図示しないRAMにコピーし、送信元端末へ送信するサービステーブルを準備する(図13のS10)。次に、このユーザが新規であり、アクセス要求と共に受信したUiDがHDD62内のユーザテーブル290に含まれていないため(S12においてNO)、制御部64は、ユーザテーブルに当該UiDを追加し(S13)、Sサービステーブル300のコピーにおいて、全てのSiDの係数を0に変更して送信元端末に送信する(S14及びS30)。送信元端末は受信したIDにより識別される。
【0139】
(4)更新
携帯端末20の制御部50は、サーバ24からサービステーブルを受信したことに応答して、図14に制御構造を示すプログラムを起動する。ここでは、メモリ44にUサービステーブル280が無いので(S50においてNO)、制御部50は受信したサービステーブルにフラグカラムを追加してメモリ44にコピーする(S52)。ここでメモリ44内に記憶されるUサービステーブル280は、図9に示す例と同様の態様であるが、フラグ及び係数は全て0となる。
【0140】
(5)申込
制御部50は、図7(B)に示す画面228を表示部36に表示する。サービスの一覧230は当該Uサービステーブル280の名称カラムに含まれる各サービスの名称と対応している。新規ユーザのため、画面228において全てのサービス項目は選択可能である。
【0141】
サービスの一覧230から、メタボ度、喘息度及び歯周病度がクリックされ、OKボタン232の押下により各サービスの申込が指示されたものとする。
【0142】
携帯端末20の制御部50は、ID、UiD、及び選択されたサービス項目のSiDを、配信要求と共にサーバ24へ送信する。
【0143】
(6)ユーザ確認、及び(7)入金依頼
配信要求を受け、サーバ24の制御部64は、図15に制御構造を示すプログラムを起動する。配信要求と共にSiDを受信しているので(S80においてYES)、制御部64は、配信要求と共に送信したUiDを検索キーとしてHDD62内のユーザテーブル290を検索する(S82)。ユーザテーブル290の当該UiDの行のSiDカラムには、該当するSiDが無い(S84においてNO)。このため、制御部64は、申込まれた全サービスの料金を加算し、その合計額の入金依頼を、入金対象のSiDと共に送信元端末に送信する(S85及びS86)。
【0144】
(8)入金実行要求
携帯端末20の制御部50は、通信部30がサーバ24からの入金依頼を受けると、図7(D)に示す画面242を表示する。
【0145】
制御部50は、画面242のサービス及び料金の一覧244を以下の処理により作成する。すなわち、制御部50は、受信したSiDにより、メモリ44のUサービステーブル280内のサービス名及び各サービスの料金を読出す。読出した情報と、入金依頼金額とをあわせてサービス及び料金の一覧244を作成し表示する。
【0146】
OKボタン246が押下されると、制御部50は、入金実行要求と共に、ID、UiD、SiD、及び、入金依頼された金額データをサーバ24に送信する。
【0147】
(9)入金実行、確認及び(10)係数送信
通信部60が入金依頼先端末から入金実行要求を受けると(図15のS88においてYES)、サーバ24の制御部64は、HDD62内の特定の領域に、UiDに対応付けて入金実行要求と共に受信した料金情報を課金履歴として記憶する。制御部64は、さらに、所定期間中の課金履歴の合計金額を算出した後、ユーザテーブル290において、入金実行要求と共に受信したUiDの行の課金情報カラムを当該合計金額により更新する。このことにより当該端末に関する入金を実行し、共に入金確認を行なう(S89)。制御部64はさらに、HDD62内のSサービステーブル300から、受信したSiDの係数、並びに、度数算出及び対応するイラスト表示に関する情報を読出して当該SiDと共に当該端末に送信し(S90)、さらに、ユーザテーブルの受信したUiDの行のSiDカラムに、受信したSiDを追加してユーザテーブルを更新する(S92)。
【0148】
(11)更新
以降、携帯端末20における処理となる。
【0149】
通信部30が係数を受信すると、制御部50はメモリ44内のUサービステーブル280について、受信したSiDの行の係数カラムを受信データにより上書きし、当該SiDのフラグカラムに1を代入する(図16のS110及びS112)。LED40のうち、フラグが1となったものに対応するLEDが点灯する(S114)。
【0150】
この処理まで、呼気センサ部46は動作しない。上記処理以降、呼気センサ部46による測定結果を利用した処理のうち、フラグが1となっているサービスの利用が可能となる。すなわち、当該係数は、呼気センサ部46を可能化するための鍵の役割を果たす。
【0151】
制御部50は、さらに、図8(A)に示す画面252を表示部36に表示する。一覧256は、Uサービステーブル280においてフラグが1のSiDのサービス名称に基づいて作成されている。
【0152】
(12)測定
画面252において開始ボタン258の押下を受けると、制御部50は図17に制御構造を示すプログラムを起動し、呼気センサ部46による測定を行なう(S130)。以降、図3を参照して、NO濃度及びアセトン濃度検出用のセンサ148及び150に関連する動作について説明するが、CO、H、及びアンモニアをそれぞれ検出する他のセンサ、及びその検出に関する構成要素も、同様に動作する。
【0153】
通常、ユーザは、最初にセンサの再生を行ない、次に呼気の測定をする。呼気の測定が終わったら、再度センサの再生を行なう。
【0154】
再生時にはユーザは、図2(A)に示す再生ボタン127を操作する。再生ボタン127が操作されたことを検知した制御部50は、ヒータ144及び146に一定時間電流を流して加熱し、センサ148及び150のCNTに吸着したガス分子を脱離させる。
【0155】
再生処理が終了すると、ユーザは図2(A)に示す測定開始ボタン129を操作し、呼気の測定を開始する。
【0156】
図6を参照して、定電圧源210により、ガスセンサ素子180と負荷抵抗212とを直列接続したものの両端に一定電圧をかけておく。ユーザは、図2(A)に示す呼気導入部128の開口から呼気を呼気収集ボックス120内に吹込む。
【0157】
図3を参照して、呼気は呼気導入部128から小室170に導入される。一部の呼気は開口156及び158を介して小室172及び174に直接流入する。このとき、選択透過膜160の存在により、呼気中の特定ガス成分のうち、NOのみが効率よく小室172に導入される。同じく選択透過膜162の存在により、呼気中の特定ガス成分のうち、アセトンのみが効率よく小室174に導入される。このとき、選択透過膜160及び162の存在と、排気部126及び124の存在とにより、利用者は、ある程度の圧力で呼気を呼気収集ボックス120中に吹込む必要がある。その結果、開口156及び158を経てセンサ148及び150にいたる呼気の流速は高くなり、センサ148及び150は比較的多量の呼気にさらされることになる。開口156及び158を通り過ぎた呼気も、反射板166により反射されて再び開口156及び158の位置に戻る。呼気導入部128からは引続き呼気が小室170中に導入されるため、反射された呼気と導入された呼気とが開口156及び158の地点で会合し、効率よく小室172及び小室174に導入される。
【0158】
この実施の形態では、流量センサ164によって呼気計測開始からの呼気の流量を測定しており、呼気の量が不足しているとき及び十分になったときには表示部36にその旨のメッセージを表示する。
【0159】
センサ148においては、NO分子がCNTに吸着され、その結果ガスセンサ素子180の電気抵抗が増加する。その変化を増幅器214で増幅したものを制御部50が受ける。同様に、センサ150においては、アセトンがCNTに吸着され、その結果センサ150のガスセンサ素子180の電気抵抗が変化する。その変化を増幅器214で増幅したものを制御部50が受ける。
【0160】
制御部50は以下のように動作する。制御部50はセンサ148の出力が、検出対象ガス(NO)が無い場合の出力レベル(ベース出力)より高いか否かを判定する。もしベース出力より高い場合、制御部50はメモリ44に記憶されているNO用のルックアップテーブルを用い、センサ出力を用いたテーブルルックアップによって、呼気中のNO濃度を算出してRAMに記憶する。センサ148の出力がベース出力以下の場合は、NO濃度が0である旨をRAMに記憶する。
【0161】
制御部50は、センサ150及び他のセンサの出力についても同様の処理を行ない、各センサの検出対象ガスの濃度を算出してRAMに記憶する。
【0162】
全てのセンサに対する測定が終了すると、制御部50はヒータ144及び146等に通電し、センサ148及び150等に吸着した特定ガス分子を脱離させ、所定時間が経過するとヒータ144及び146等への通電を停止する。
【0163】
制御部50は全てのセンサに関して特定ガス成分の濃度の算出が終了すると、メモリ44内のUサービステーブル280に含まれるSiDのうち、フラグが1のものの係数を読出し(S140)、読出した係数をRAMに記憶された各特定ガス成分濃度に乗じた後、その積の和を求める。制御部50は、さらに、Uサービステーブル280から当該SiDに対応する度数の算出方法を読出し、求めた和と、その算出方法により度数を得る(S142)。
【0164】
(13)表示
制御部50は、算出した度数を、図8(B)〜(C)に示す画面264、268及び276の態様により以下のように表示する。
【0165】
図8(B)を参照して、制御部50は、メモリ44内のUサービステーブル280に含まれるSiDのうち、フラグが1のもののサービス名と、当該SiDに対して算出された度数により、メッセージ265を作成する。
【0166】
図8(C)及び(D)を参照して、制御部50は、メモリ44内のUサービステーブル280に含まれるSiDのうち、フラグが1のものの最上行のものについて、算出された度数に対応するイラストを、Uサービステーブル280から読出して表示する。NEXTボタン272が押下されると、制御部50は、Uサービステーブル280内のフラグが1のSiDであって、次の行のものに対する表示に切替える。
【0167】
図8(B)〜(D)に示す画面264、268及び276において終了ボタン266及び274の押下を受けると、制御部50はこのソフトを終了する。
【0168】
<<2回目以降の利用の場合>>
(1)アクセス要求
新規の場合と同様である。
【0169】
(2)ユーザ確認及び(3)サービス一覧
サーバ24の制御部64は新規の場合と同様、アクセス要求送信元端末に送信するためのサービステーブルを準備する(図13のS10)。この場合、HDD62内のユーザテーブルには受信したUiDが含まれている(S12においてYES)。このため準備されるサービステーブルについて、既に申込まれ、その係数が配信されたSiDの行については何もせず(S20においてYES)、申込まれていないものについては全係数に0が代入される(S20においてNO、S22)。
【0170】
例えば、この処理の時点でHDD62は、図10に示す態様のユーザテーブル290を記憶し、携帯端末20のUiDがU000001であり、そのメモリ44に図9に示す態様のUサービステーブル280を記憶しているものとする。携帯端末20がアクセス要求を行なった場合、サーバ24の制御部50が携帯端末20に送信するサービステーブルは、Uサービステーブル280と同様であるが、フラグカラムの無いものが送信される。
【0171】
(4)更新
携帯端末20の制御部50は受信したサービステーブルによりメモリ44内のUサービステーブル280を更新する。通常、ここでUサービステーブル280の内容は更新の前後で変化しない。但し、例えばこの呼気センシングサービス提供システム10がアップグレードされ、新しいサービスが追加された場合、係数が変更された場合、度数の算出方法が変更された場合、及び、表示されるイラストが変更された場合等には、更新前後で異なる内容となる。
【0172】
(5)申込
制御部50は、図7(C)に示す画面238を表示部36に表示する。制御部50は、画面238においてUサービステーブル280に含まれる全SiDのサービス名称をサービスの一覧240として表示し、そのうちフラグが0のものについてはチェックボックスを設け、選択可能とする。
【0173】
図9を参照して、この例ではSiDのうちS0001,S0004及びS0005(メタボ度、喘息度及び歯周病度)のフラグが1であるため、画面238においてこれらは選択不可である。
【0174】
<2回目以降の利用であって、新たに申込を行なう場合>
ここで、画面238において、糖尿病度及びストレス度のチェックボックスがチェックされた後、OKボタン232が押下されたとする。
【0175】
(6)ユーザ確認、及び(7)入金依頼
サーバ24の制御部64は、HDD62内のユーザテーブル290を参照し、配信要求と共に受信したUiDの行のSiDカラムに含まれるSiDと、やはり配信要求と共に受信したSiDとを比較し、受信したSiDが新たなものかどうかを判定する(図15のS80、S82及びS84)。新たなSiDが受信された場合は新規と同様の処理を行なう(S86)。もし既に申込済及び配信済のSiDを受信した場合、制御部64はエラーを示す旨を送信元端末に送信する(S94)。
【0176】
(8)入金実行要求、(9)入金実行、確認及び(10)係数送信
申込まれたサービスに対し、図7(D)の画面242中のOKボタン246の押下があった場合、携帯端末20の制御部50、及びサーバ24の制御部64の動作は新規の場合と同様である。
【0177】
携帯端末20の入金処理において、画面242のキャンセルボタン248が押下された場合、携帯端末20の制御部50は、キャンセル要求をサーバ24に送信する。この場合(図15のS88においてNO、S96においてYES)、サーバ24の制御部64は図15のプログラムを終了する。
【0178】
携帯端末20からの入金依頼に対する応答が所定時間(5分)以上無い場合(S88においてNO、S96においてNO、S98においてYES)、制御部64はエラーを示す旨を配信要求送信元端末に送信する(S94)。
【0179】
(11)更新
携帯端末20の通信部30が新たに申込まれたサービスの係数を受取ると、制御部50はメモリ44内のUサービステーブル280を書換える。図9の例の場合、SiDのうちS0002及びS0003(糖尿病度及びストレス度)が申込まれたので、その係数が書込まれフラグに1が代入される(図16のS110及びS112)。全サービスが申込まれているため、この時点のUサービステーブル280はサーバ24のHDD62内のSサービステーブル300と同様であって、全SiDに対するフラグカラムが1の態様となる。
【0180】
制御部50は図8(A)に示す画面252を作成して表示部36に表示する。この場合、全SiDのフラグが1であるので、全サービス名称(メタボ度、糖尿病度、ストレス度、喘息度及び歯周病度)が表示される。
【0181】
(12)測定及び(13)表示
新規の場合と同様である。
【0182】
<2回目以降の利用であって、新たに申込を行なわない場合((12)測定及び(13)表示)>
図7(A)に示す画面220において、NOボタン224の押下を受けると、制御部50は図8(A)に示す画面252を表示する。画面252の一覧256は、前述した、新規の場合及び2回目以降で新たに申込を行なった場合と同様、メモリ44内のUサービステーブル280に基づき作成される。その後の処理は前述の場合と同様である。
【0183】
以上のように、この呼気センシングサービス提供システムによれば、携帯端末を含む端末において、その健康チェック機能の不能/可能をユーザが選択することが出来る。ユーザが所望の時点でサーバにアクセス要求しその後の処理を行なえば、端末による健康チェックを行なうことが出来る。何もしなければ、端末の健康チェック機能は不能のままである。ユーザに対し不要な機能を端末に搭載しなくてすむ。
【0184】
また、この呼気センシングサービス提供システムによれば、ユーザは健康診断に係る診断対象疾患を選択することが出来る。ユーザは所望の疾患に関する診断結果のみを受取ることが出来る。上記実施の形態のように、診断対象疾患毎に費用が発生する場合、無駄な料金支払いが無くて済む。
【0185】
さらに、この呼気センシングサービス提供システムによれば、端末において、一度の測定により、複数種類の呼気中マーカを同時に検出することができる。その検出結果により健康状態の診断が可能である。ユーザは、所望のタイミングで健康チェックを行なうことが出来る。
【0186】
加えて、このガスセンシング装置のセンシング部は、表面修飾されたCNTを含む。このことにより、この装置は選択的でかつ高感度な呼気センシングを実現する。
【0187】
さらにまた、この呼気ガスセンシングシステムにより表示出力される診断結果は、度数、及びイラスト等、誰にでも分かりやすい態様である。個人が利用しやすい健康チェック方法である。
【0188】
[変形例]
上記実施の形態において、この呼気ガスセンシングサービス提供システムにおいて、携帯端末がそのサービス提供を受けるものとした。しかし本発明はそのような実施の形態に限定されず、サービスを受信するものは、呼気センサを有し、サーバとのデータの送受が可能であり、呼気センサによる測定結果を処理し、度数及びイラスト表示などの表示出力が可能なものであれば良い。
【0189】
上記実施の形態では、利用可能なサービスと利用できないサービスとはLED40の点灯・消灯により区別して表示している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。利用可能なサービスとそうでないサービスとは他の方法で表示することもできる。
【0190】
例えば、図8(A)に示した健康チェック開始画面252の変形例として、図18(A)に示す健康チェック開始画面310を使用することもできる。図18(A)を参照して、この画面310は、図8(A)の診断可能なサービスの一覧256に代えて、利用可能なサービス名は通常の輝度で、利用可能でないサービス名314は低輝度で、それぞれ表示するサービスの一覧312を含む。このようなサービスの一覧312によって、利用者には自分の携帯端末20で利用可能なサービスとそうでないサービスとが容易に区別できる。
【0191】
図18(B)には健康チェック開始画面252の他の変形例を示す。図18(B)を参照して、この健康チェック開始画面320は、図8(A)のサービスの一覧256に加えて、画面下側に表示される5つのインジケータ324を含む。これらインジケータ324は、図1に示すLED40と同様、対応するサービスが利用可能か否かを示すものである。例えば利用可能なサービスに対応するインジケータは緑色で、利用できないサービスに対応するインジケータは赤色で、それぞれ通知する。このような通知を行なうことにより、追加して利用可能なサービスがあといくつあるかを容易に知ることができる。なお、インジケータの近傍に、対応するサービス名を追加して表示するようにしてもよい。
【0192】
上記実施の形態において、サーバは通信キャリアが管理運営するものとし、この呼気ガスセンシングサービス提供システムによるサービス提供において、携帯端末とサーバとのみがデータの送受を行なうものとした。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、例えば、サーバは第3者が管理運営するものとし、ユーザ(UiD)に関する支払い情報(図10に示すユーザテーブル290参照)は通信キャリアが管理する態様であっても良い。この場合、サーバからサービス提供が行なわれると、当該第3者は通信キャリアにその対価を請求し、通信キャリアはユーザに当該代金を請求する。
【0193】
上記実施の形態において、携帯端末には、サービス提供、呼気測定及び健康診断を実行するためのアプリケーションソフトが予めメモリに記憶されているものとした。しかし、例えば、ユーザが携帯端末から公衆網22に無線通信を行ない、サーバ又は第3者から当該アプリケーションをダウンロードする態様であっても良い。
【0194】
上記実施の形態において、ガスセンサ素子は、表面修飾されたCNTを含むものであり、表面修飾材料は検出する特定ガス成分により選択されるものとした。また、特定ガス成分の検出は、ガスセンサ素子の両端の電気抵抗の変化により行なわれるものとした。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。所望の特定ガス成分が選択的に検出され、かつ、呼気センシングに必要なppbレベルの検出下限を有するものであり、さらに、繰返し使用できるガスセンサであればどのようなものであっても良い。
【0195】
上記実施の形態において、呼気センサ部46は、アセトン、NO、CO、H、及びアンモニアを検出する、5種類のセンサを含むものとしたが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。
【0196】
上記実施の形態において、呼気センサ部46において、一つの小室には1つのセンサを配置するものとした。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、複数種類のセンサを同一の小室に配置しても良い。この場合、各センサが、特定ガス成分の選択的吸着能を有する。また、同一のセンサを別の小室に設け、各小室の入り口に、所望の化学物質のみを選択的に透過する、異なる選択透過膜を配置し、各センサは異なる特定ガス成分を検出するよう利用されても良い。
【0197】
上記実施の形態においては選択透過膜を使用している。しかし本発明は、選択透過膜を利用しないセンサを用いるものでも良い。さらに、複数のセンサは、選択透過膜を用いるセンサと、そうでないセンサとの両方を含むものでも良い。
【0198】
上記実施の形態においては、IDとUiDとが1対1の関係であったが、その限りではない。ユーザが複数の端末を保有し、UiDに対応するIDが複数であっても良い。
【0199】
上記した健康診断に関し、当該健康診断結果が携帯端末に備えられたアプリケーションと対応する態様であっても良い。
【0200】
具体的には、一般的に携帯電話機に備えられているカレンダー機能に対し、健康診断を行なった日に対応付けてその診断結果を記憶する態様であっても良い。この場合、ユーザは自分の健康状態の変化を過去にさかのぼって閲覧することが出来、過去のデータを参考に健康増進に望むことが出来る。
【0201】
さらに、未来の特定の日に目標とする診断結果(例えば、「メタボ度数1」等)を設定し、当日の測定結果が当該目標を達成すればユーザを祝う態様の表示を、そうでない場合はユーザを励ますような態様の表示を行なっても良い。このような態様であっても、ユーザの健康増進を促進する効果がある。
【0202】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る呼気センシングサービス提供システム10の概略ブロック図である。
【図2】図1に示す携帯端末20の外観を模式的に示す図である。
【図3】図2に示す断面3−3における呼気センサ部46の断面図である。
【図4】ガスセンサ素子180の概略構成図である。
【図5】図4に示すガスセンサ素子180の表面修飾を説明するための図である。
【図6】ガスセンサ素子180の電気抵抗の変化量を測定するための測定回路200のブロック図である。
【図7】図1に示す表示部36に表示される、ユーザがサービス情報の取得を行なうための画面の態様を説明するための模式図である。
【図8】図1に示す表示部36に表示される、ユーザが呼気測定及び健康チェックを行なうための画面、及び健康チェック結果の表示画面の態様を説明するための模式図である。
【図9】図1に示す携帯端末20のメモリ44内に格納されるUサービステーブル280の一例である。
【図10】図1に示すサーバ24のHDD62内に格納されるユーザテーブル290の一例である。
【図11】図1に示すサーバ24のHDD62内に格納されるSサービステーブル300の一例である。
【図12】携帯端末20とサーバ24との間でのデータの送受を図解的に示す図である。
【図13】図1に示すサーバ24の制御部64が実行する、図12に示す処理(2)及び(3)を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図14】図1に示す携帯端末20の制御部50が実行する、図12に示す処理(4)を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図15】サーバ24の制御部64が実行する、図12に示す処理(6)、(7)、(9)及び(10)を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図16】携帯端末20の制御部50が実行する、図11に示す処理(11)を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図17】携帯端末20の制御部50が実行する、図11に示す処理(12)及び(13)を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図18】図1に示す表示部36に表示される、ユーザが呼気測定及び健康チェックを行なうための画面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0204】
10 呼気センシングサービス提供システム
20 携帯端末
24 サーバ
30、60 通信部
34 音声入出力部
36 表示部
38 操作部
40,40A〜40E LED
44 メモリ
46 呼気センサ部
50、64 制御部
62 HDD
80、82 筐体
84 ヒンジ部
120 呼気収集ボックス
122,124,126 排気部
128 呼気導入部
140,142 センサ基板
144,146 ヒータ
148,150 センサ
152,154 仕切部材
156,158 開口
160,162 選択透過膜
166 反射板
170,172,174 小室
180 ガスセンサ素子
184,186 電極
188 CNT構造体
210 定電圧源
212 負荷抵抗
214 増幅器
324 インジケータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、
呼気中の複数種類の特定ガス成分を検出して、検出結果に応じて情報を出力するための呼気センシング装置と、
特定のサービスを提供するためのサーバに対し、前記呼気センシング装置を可能化するための情報に関し、前記通信装置を介して課金要求を送信するための課金要求手段と、
前記課金要求に対応して、前記通信装置を介して前記サーバから受信した情報を用いて、前記呼気センシング装置を可能化するための可能化手段とを含む、端末装置。
【請求項2】
前記呼気センシング装置は初期状態として不能化されている、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記呼気センシング装置は、
呼気中の複数種類の特定ガス成分を検出し、それぞれの検出結果に対応する複数の信号を出力するための呼気センサと、
前記呼気センサによる出力信号を用いたサービスを実行するためのサービス実行手段とを含む、請求項1又は請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記サービスは複数通りであり、
前記端末装置は、前記複数通りのサービスの内から利用者の選択を受けるための選択手段をさらに含み、
前記課金要求手段は、前記選択手段において選択されたサービスの実行を可能化するための情報に関し、前記選択されたサービスに応じた課金要求を、前記通信装置を介して送信するための手段を含み、
前記可能化手段は、前記課金要求に対応して、前記通信装置を介して前記サーバから受信した情報を用いて、前記サービス実行手段による前記選択されたサービスの実行を可能化するための手段を含む、請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記複数通りのサービスには、それぞれ、識別子が付与されており、
前記課金要求は、前記選択されたサービスの識別子を含み、
前記可能化手段は、前記課金要求に応答して、前記通信装置を介して前記サーバから受信した前記選択されたサービスの実行を可能化するための情報を用いて、前記サービス実行手段による前記選択されたサービスの実行を可能化するための手段を含む、請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記複数通りのサービスには、さらに、それぞれ、利用金額が設定されており、
前記課金要求は、さらに、前記選択されたサービスに対応する利用金額情報を含み、
前記可能化手段は、前記課金要求に応答して、前記通信装置を介して前記サーバから受信した前記選択されたサービスの実行を可能化するための情報を用いて、前記サービス実行手段による前記選択されたサービスの実行を可能化するための手段を含む、請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記情報は、前記呼気センサの出力信号の数と同じ数の数字の組合せを含む、請求項3〜請求項6のいずれかに記載のサービスサーバ。
【請求項8】
前記呼気センサは、呼気中の複数種類の特定ガス成分の濃度を検出して複数個の濃度信号を出力し、
前記サービス実行手段は、
前記複数個の濃度信号のレベルを入力とする関数の出力に基づいて、健康状態に関する診断を前記サービスとして実行するための診断手段と、
前記診断手段による診断結果を所定の態様で表示するための表示手段とを含み、
前記診断手段は、初期状態として不能化されており、前記可能化手段により可能化される、請求項3に記載の端末装置。
【請求項9】
前記関数は、前記複数個の濃度信号のレベルの線形和であり、
前記情報は、前記線形和を定義する、係数の集合である、請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記呼気センサは、互いに異なる特定ガス成分の濃度を検出してそれぞれ濃度信号を出力する複数のセンシング素子と、
前記複数のセンシング素子の各々の電気抵抗の変化を検出し、前記濃度信号として出力するための抵抗検出出力手段とを含み、
前記複数のセンシング素子の各々は、互いに異なる特定ガス成分を選択的に吸着する物質で表面修飾されたカーボンナノ構造体を含む、請求項3〜請求項9のいずれかに記載の端末装置。
【請求項11】
さらに、前記呼気センシング装置について、前記可能化手段により可能化されたか否かを通知するための可能化状態通知手段を含む、請求項1〜請求項0のいずれかに記載の端末装置。
【請求項12】
特定のサービスを提供するためのサービスサーバであって、
請求項1に記載の端末装置から、前記呼気センシング装置を可能化するための情報に関し、課金要求を受信するための課金要求受信手段と、
前記端末装置から、前記課金要求を受信したことに応答して、前記端末装置の利用者に対する課金処理を実行するための課金処理実行手段と、
前記課金処理実行手段による課金処理の実行の後、前記情報を、前記課金要求を送信してきた端末装置に送信するための情報送信手段とを含む、サービスサーバ。
【請求項13】
前記サービスはあらかじめ複数通り準備されており、かつそれぞれには識別子と、対応する利用金額とが設定されており、
前記課金要求は、可能化の対象となるサービスの識別子、及び、対応する利用金額情報を含み、
前記課金処理実行手段は、前記端末装置から、前記課金要求を受信したことに応答して、前記課金要求に含まれる利用金額情報に基づいて、前記端末装置の利用者に対する課金処理を実行するための手段を含み、
前記情報送信手段は、前記実行するための手段による課金処理の実行の後、前記課金要求に含まれる識別子に対応するサービスを可能化するための情報を、前記課金要求を送信してきた端末装置に送信するための送信手段を含む、請求項12に記載のサービスサーバ。
【請求項14】
少なくとも1つの端末装置と、前記端末装置に対し特定のサービスを提供するためのサーバとを含む、サービスシステムであって、
前記端末装置は、
通信装置と、
呼気中の複数種類の特定ガス成分を検出して、検出結果に応じて情報を出力するための呼気センシング装置と、
前記サーバに対し、前記呼気センシング装置を可能化するための情報に関し、前記通信装置を介して課金要求を送信するための課金要求手段とを含み、
前記サーバは、
前記端末装置から、前記課金要求を受信するための課金要求受信手段と、
前記課金要求を受信したことに応答して、前記端末装置の利用者に対する課金処理を実行するための課金処理実行手段と、
前記課金処理実行手段による課金処理の実行の後、前記情報を、前記課金要求を送信してきた端末装置に送信するための情報送信手段とを含み、
前記端末装置は、前記課金要求に対応して、前記通信装置を介して前記サーバから受信した情報を用いて、前記呼気センシング装置を可能化するための可能化手段をさらに含む、
サービスシステム。
【請求項15】
前記呼気センシング装置は初期状態として不能化されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記端末装置はさらに、前記呼気センシング装置について、前記可能化手段により可能化されたか否かを通知するための可能化状態通知手段を含む、請求項14又は請求項15に記載のサービスシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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