説明

端末装置、消音方法およびプログラム

【課題】筺体にて生じた動作音(部材間の接触および衝突や部材の振動などを含む)を、確実に、消す、または小さくする。
【解決手段】端末装置は、筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得し、該動作音を示す動作音信号を出力する音取得部10と、音取得部10から出力された動作音信号に基づいて、動作音を除去または低減する除去音を示す除去音信号を生成する除去音信号生成部11と、除去音信号生成部11で生成された除去音信号に基づいて除去音を出力する音出力部12と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材間の接触および衝突や部材の振動などのために音が発生する端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯電話端末には、イベント発生時の報知手段として、バイブレータを備えたものがある。この携帯電話端末では、例えばメールを着信した場合に、バイブレータが筐体を振動させる。ユーザは、筐体の振動に基づいてメールの着信を知ることができる。
【0003】
バイブレータが筐体を振動させた際に、筺体から振動音が発生する場合がある。携帯電話端末の使用環境によっては、周囲の人間がそのような振動音を不快に感じる場合がある。
【0004】
そこで、振動音を低減することができる携帯電話端末が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の携帯電話端末は、筐体と、筐体を振動させる振動部と、筐体が振動する際に生じる振動音が相殺される打ち消し音を発生する打ち消し音発生部とを有する。
【0006】
打ち消し音発生部は、予め測定された振動音の実測データに基づいて、振動音が打ち消されるような打ち消し音データを生成し、その生成した打ち消し音データに基づく打ち消し音を発生する。打ち消し音は、振動音と逆位相の関係を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−258807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の携帯電話端末においては、予め測定された振動音の実測データに基づいて打ち消し音を生成する。しかし、筐体の部材の経時変化などが原因となって、予め測定した振動音の位相や周波数が変化してしまう場合がある。このような場合には、予め測定された振動音の実測データを用いて作成した打ち消し音が実際の振動音と対応しないため、その振動音を除去することは困難である。
【0009】
また、筐体が机等の外部の部材と接触している場合、筐体を振動させると、筐体と外部の部材との間で振動に伴う接触や衝突が生じて振動音が発生する。さらに、携帯電話端末では、バイブレータが動作する際に生じる振動音以外にも、部材間の接触や衝突が原因となって音が生じる。この音としては、例えば、ボタンを押下した際に生じる音や、折り畳み式の筐体、回転式の筐体、スライド式の筐体などにおいて、筐体の開閉時に生じる音(部材がストッパに当たった際に生じる音)などがある。特許文献1に記載の携帯電話端末では、そのような端末の動作に伴って筐体に生じる動作音は除去の対象とされていないため、その動作音を除去することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、筺体に生じた動作音(部材間の接触および衝突や部材の振動などを含む)を、確実に、消す、または小さくすることができる、端末装置、消音方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得し、該動作音を示す動作音信号を出力する音取得部と、
前記音取得部から出力された前記動作音信号に基づいて、前記動作音を除去または低減する除去音を示す除去音信号を生成する除去音信号生成部と、
前記除去音信号生成部で生成された前記除去音信号に基づいて前記除去音を出力する音出力部と、を有する端末装置が提供される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得し、
取得した前記動作音を解析して、該動作音を除去または低減する除去音を求め、
前記除去音を発生することを含む消音方法が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、コンピュータに、
筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得する処理と、
取得した前記動作音を解析して、該動作音を除去または低減する除去音を求める処理と、
前記除去音を発生させる処理と、を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筐体に生じた動作音(部材間の接触および衝突や部材の振動などを含む)を、確実に、消す、または小さくすることができるので、動作音に対する周囲の人間への不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【図3】図2に示す端末装置にて行われる消音処理の一手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【図5】図4に示す端末装置にて行われる消音処理の一手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【図7】本発明の第5の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【図8】本発明の第6の実施形態である携帯電話端末の主要部を示すブロック図である。
【図9】図8に示す携帯電話端末にて行われる消音処理の一手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す端末装置は、筐体を備えており、端末の動作に伴って筐体に生じる動作音(振動音や部材間の接触や衝突が原因となって生じる音など)を除去する主要部として、音取得部10、除去音信号生成部11および音出力部12を有する。
【0018】
音取得部10は、端末装置の動作に伴って筐体に生じた動作音を取得し、該動作音を示す動作音信号を出力する。
【0019】
除去音信号生成部11は、音取得部10から出力された動作音信号に基づいて、動作音を除去または低減する除去音を示す除去音信号を生成する。具体的には、除去音信号生成部11は、音取得部10で取得された動作音と逆位相の除去音信号を生成する。除去音信号の音圧レベルは、動作音信号の音圧レベルと一致させてもよい。
【0020】
音出力部12は、例えばスピーカであって、除去音信号生成部11で生成された除去音信号に基づく除去音を出力する。
【0021】
本実施形態の端末装置では、動作音が生じると、音取得部10が、その動作音を示す動作音信号を出力する。次に、除去音信号生成部11が、音取得部10から出力された動作音信号に基づいて、動作音を除去または低減する除去音信号を生成する。そして、音出力部12が、除去音信号生成部11で生成された除去音信号に基づく除去音を出力する。
【0022】
音出力部12から出力された除去音は、動作音と逆位相の関係にあるので、除去音が動作音を打ち消す、または、動作音の波と除去音の波とが干渉して動作音が小さくなる。これにより、動作音に対するユーザまたは周囲の人への不快感を軽減することができる。
【0023】
本実施形態の端末装置において、音取得部10は、例えばマイクロフォンのような、入力された音の音圧レベルに応じて出力値が変化する手段であってもよい。この場合、除去音信号生成部11は、音出力部10から出力される除去音が音取得部10に入力された動作音の位相に対して逆位相の関係となる除去音信号を生成してもよい。さらに、音出力部10が複数のスピーカからなり、除去音信号生成部11が、除去音が動作音の発生箇所から出力されるような仮想音源を形成する複数の除去音信号を生成し、該除去音信号を複数のスピーカのうちの対応するスピーカに供給してもよい。
【0024】
また、音取得部10は、筐体の振動状態を検出する状態検出部と、状態検出部で検出された振動状態に基づいて筐体が発生する動作音を取得する動作音取得部とから構成されてもよい。
【0025】
上記の場合、状態検出部は、筐体に加わる加速度を検出する加速度センサと、この加速度センサの出力信号に基づいて、筐体の振動状態を取得する振動状態取得部とから構成されてもよい。
【0026】
また、状態検出部は、一定の時間間隔で筐体を撮影するカメラ部と、カメラ部で撮影された一定の時間間隔の画像データを解析して筐体の振動状態を取得する画像解析部とから構成されてもよい。
【0027】
動作音取得部は、筐体の構造を簡易化したモデルデータを保持しており、このモデルデータと状態検出部で検出された振動状態とに基づいて動作音を取得(予測)してもよい。
【0028】
また、本実施形態の端末装置において、音出力部12は、音取得部10に隣接して設けられてもよいし、音取得部10から離れた位置に設けられてもよい。
【0029】
音出力部12が音取得部10から離れた位置に設けられた場合は、音出力部12と音取得部10の位置関係を考慮した除去音の出力動作が要求される。具体的には、除去音信号生成部11が、動作音が音取得部10に入力されたときの位相に対して逆位相となるような除去音を出力するための除去音信号を生成し、音出力部12がその除去音信号に基づいて除去音を出力する。
【0030】
また、本実施形態の端末装置において、除去音信号生成部11は、プログラムに従って動作するコンピュータ(CPU:Central Processing unit)を用いて構成されてもよい。プログラムは、少なくとも、除去音信号生成部11の処理や音取得部10および音出力部12を制御する処理を、コンピュータに実行させることが可能なものである。プログラムは、記録媒体を用いて提供されてもよく、通信網(例えばインターネット)を介して提供されてもよい。
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【0031】
図2を参照すると、本実施形態の端末装置は、音取得部10、音出力部12、入力部14、振動発生部15、開閉センサ16および制御部20を有する。また、図示されていないが、本実施形態の端末装置は、折り畳み式の筐体、回転式の筐体、スライド式の筐体などの開閉機構を備えた筐体を有する。
【0032】
開閉機構を備えた筺体は、例えば、第1の筐体部と、第1の筐体部に支持され、第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部とから構成される。
【0033】
入力部14は、複数の操作キー(ボタン)を備え、これら操作キーを用いた入力操作に対応する指示信号を制御部20に供給する。振動発生部15は、筐体を振動させるものであって、例えばバイブレータである。
【0034】
開閉センサ16は、筐体の開状態および閉状態をそれぞれ検出し、その検出結果を示す開閉状態信号を制御部20に出力する。
【0035】
制御部20は、除去音信号生成部11、音源特定部13およびモード設定部17を有する。音取得部10および音出力部12は、第1の実施形態で説明したものと同じであるので、ここでは、それらの詳細な説明は省略する。
【0036】
制御部20は、入力部14からの指示信号に従って、各部の動作を制御して必要な処理を実行する。入力部14にて特定の入力操作が行われると、モード設定部17は、入力部14からの指示信号に従って、動作モードを振動発生部15が筐体を振動させるモードに設定する。このモードは、例えば、携帯電話機などで行われているようなマナーモードに対応する。モード設定部17は、イベント発生時に、振動発生部15を動作させて筐体を振動させ、その旨を示すモード実行信号を音源特定部13に送信する。イベントは、例えば、予め設定された時刻に発生してもよい。
【0037】
音源特定部13は、入力部14からの指示信号、モード設定部17からのモード実行信号および開閉センサ16からの開閉状態信号に基づいて、動作音が開閉音、キー操作音および振動音のいずれであるかを決定し、その結果を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給する。
【0038】
除去音信号生成部11は、開閉音を示す開閉音信号、キー操作音を示す操作キー音信号、および振動音を示す振動音信号を予め保持しており、音源特定部13からの音源特定信号に従ってそれらの保持した信号から動作音に対応する信号を決定する。除去音信号生成部11は、決定した信号と音取得部10から供給される動作音信号とに基づいて動作音を除去するのに最適な除去音信号を生成してそれを音出力部12に供給する。
【0039】
次に、本実施形態の端末装置において行われる消音処理について説明する。
【0040】
図3は、その消音処理の一手順を示すフローチャートである。
【0041】
図3を参照すると、まず、音源特定部13が、入力部14からの指示信号、モード設定部17からのモード実行信号および開閉センサ16からの開閉状態信号に基づいて、動作音が開閉音、キー操作音および振動音のいずれであるかを決定する(ステップS10〜S12)。
【0042】
ステップS10で、音源特定部13が、動作音が開閉音であると判定した場合は、音源特定部13がその旨を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給し、除去音信号生成部11がその供給された音源特定信号に基づいて、動作音に対応する信号として開閉音信号を選択する。そして、除去音信号生成部11が、音取得部10から供給される動作音信号とその選択した開閉音信号とに基づいて動作音を除去するのに最適な除去音信号を生成する(ステップS13)。
【0043】
ステップS11で、音源特定部13が、動作音がキー操作音であると判定した場合は、音源特定部13がその旨を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給し、除去音信号生成部11がその供給された音源特定信号に基づいて、動作音に対応する信号としてキー操作音信号を選択する。そして、除去音信号生成部11が、音取得部10から供給される動作音信号とその選択したキー操作音信号とに基づいて動作音を除去するのに最適な除去音信号を生成する(ステップS14)。
【0044】
ステップS12で、音源特定部13が、動作音が振動音であると判定した場合は、音源特定部13がその旨を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給し、除去音信号生成部11がその供給された音源特定信号に基づいて、動作音に対応する信号として振動音信号を選択する。そして、除去音信号生成部11が、音取得部10から供給される動作音信号とその選択した振動音信号とに基づいて動作音を除去するのに最適な除去音信号を生成する(ステップS15)。
【0045】
ステップS13〜S15のいずれかの処理が実行されると、音出力部12が、除去音信号生成部11で生成された除去音信号に基づく除去音を出力する。
【0046】
ステップS10〜S12の判定が全て「No」となった場合は、消音処理は終了する。
【0047】
以上説明した本実施形態の端末装置によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0048】
音取得部10から出力される動作音信号は、除去すべき動作音以外の音(雑音)を含む場合がある。この場合、音取得部10から出力される動作音信号のみから除去音信号を生成すると、除去音信号も雑音を含んだものになるため、除去音を用いて動作音を十分に打ち消すことができない。
【0049】
本実施形態の端末装置では、動作音が開閉音、キー操作音および振動音のいずれであるかが特定され、その特定した音の信号(開閉音信号、キー操作音信号、振動音信号)に基づいて、音取得部10から供給される動作音信号から雑音が除去され、かつ、音圧レベルが調整される。よって、最適な除去音信号を生成することができ、除去音を用いて動作音を十分に打ち消すことができる。
【0050】
なお、開閉音信号、キー操作音信号および振動音信号は、予め実測したデータに基づいて作成されるが、それら信号の音圧レベル、周波数、位相等のパラメータは、部材の経時変化等のために変化する場合がある。このため、例えば、動作音が開閉音である場合に、予め保持している開閉音信号のみから除去音信号が生成されると、その生成された除去音信号に基づく除去音の音圧レベル、周波数、位相等のパラメータが動作音(開閉音)のそれらパラメータと一致しない場合がある。この場合は、除去音を用いて動作音を十分に打ち消すことができない。
【0051】
本実施形態の端末装置では、予め保持している開閉音信号と音取得部10から供給される実際の開閉音に関する動作音信号とから除去音信号が生成されるので、除去音の音圧レベル、周波数、位相等のパラメータが動作音(開閉音)のそれらパラメータとほぼ一致する。よって、除去音を用いて動作音を十分に打ち消すことができる。
【0052】
本実施形態の端末装置において、構成および動作は適宜に変更することができる。例えば、図3に示した消音処理において、ステップS10〜S12の判定が全て「No」となった場合に、第1の実施形態で説明したような、音取得部10から供給される動作音信号に基づく消音動作が実行されてもよい。
【0053】
さらに、除去対象とされる動作音は、開閉音、キー操作音、振動音に限定されるものではなく、音源の特定ができるのであれば、他の音であってもよい。ただし、他の音を用いる場合、除去音信号生成部11が、その音の信号を予め保持している必要がある。
【0054】
さらに、除去対象とされる動作音は、開閉音、キー操作音、振動音のうちの1つまたは2つであってもよい。除去対象が開閉音である場合は、端末装置は、図2に示した構成のうち、開閉音に関わる部分のみから構成される。除去対象がキー操作音である場合は、端末装置は、図2に示した構成のうち、キー操作音に関わる部分のみから構成される。除去対象が振動音である場合は、端末装置は、図2に示した構成のうち、振動音に関わる部分のみから構成される。
【0055】
本実施形態の端末装置において、制御部20は、上述したコンピュータを用いて構成することができる。プログラムは、少なくとも図3に示した消音処理をコンピュータに実行させることが可能なものである。プログラムは、記録媒体を用いて提供されてもよく、通信網(例えばインターネット)を介して提供されてもよい。
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【0056】
本実施形態の端末装置は、音出力部12が2つのスピーカ12a、12bからなり、特定した音源から除去音が出力されるような仮想音源が提供される点で、第2の実施形態のものと異なる。これ以外は、第2の実施形態のものと基本的に同じである。
【0057】
音取得部10、音出力部12、入力部14、振動発生部15、開閉センサ16、音源特定部13およびモード設定17は第2の実施形態のものと同じである。
【0058】
除去音信号生成部11は、開閉音の発生箇所を示す開閉音発生箇所情報、キー操作音の発生箇所を示すキー操作音発生箇所情報、および振動音の発生箇所を示す振動音発生箇所情報を予め保持しており、音源特定部13からの音源特定信号に従ってそれらの発生箇所情報から動作音に対応する発生箇所情報を決定する。
【0059】
開閉音発生箇所情報は、スピーカ12a、12bの設置箇所と開閉音の発生箇所との位置関係を示す情報を含む。キー操作音発生箇所情報は、スピーカ12a、12bの設置箇所とキー操作音の発生箇所との位置関係を示す情報を含む。振動音発生箇所情報は、スピーカ12a、12bの設置箇所と振動音の発生箇所との位置関係を示す情報を含む。
【0060】
除去音信号生成部11は、決定した発生箇所情報と音取得部10から供給される動作音信号とに基づいて、除去音が動作音発生箇所から出力される仮想音源を形成可能な除去音信号(ステレオ信号)を生成してそれを音出力部12のスピーカ12a、12bに供給する。
【0061】
次に、本実施形態の端末装置において行われる消音処理について説明する。
【0062】
図5は、その消音処理の一手順を示すフローチャートである。ステップS20〜S22は図3に示したステップS10〜S12と同じである。
【0063】
ステップS20で、音源特定部13が、動作音が開閉音であると判定した場合は、ステップS23において、音源特定部13がその旨を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給し、除去音信号生成部11がその供給された音源特定信号に基づいて、動作音の発生箇所として開閉音発生箇所情報を選択する。そして、除去音信号生成部11が、音取得部10から供給される動作音信号とその選択した開閉音発生箇所情報とに基づいて、除去音が開閉音発生箇所から出力されるような仮想音源を形成可能な除去音信号(ステレオ信号)を生成する。
【0064】
ステップS21で、音源特定部13が、動作音がキー操作音であると判定した場合は、ステップS24において、音源特定部13がその旨を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給し、除去音信号生成部11がその供給された音源特定信号に基づいて、動作音の発生箇所としてキー操作音発生箇所情報を選択する。そして、除去音信号生成部11が、音取得部10から供給される動作音信号とその選択したキー操作音発生箇所情報とに基づいて、除去音がキー操作音発生箇所から出力されるような仮想音源を形成可能な除去音信号(ステレオ信号)を生成する。
【0065】
ステップS22で、音源特定部13が、動作音が振動音であると判定した場合は、ステップS25において、音源特定部13がその旨を示す音源特定信号を除去音信号生成部11に供給し、除去音信号生成部11がその供給された音源特定信号に基づいて、動作音の発生箇所として振動音発生箇所情報を選択する。そして、除去音信号生成部11が、音取得部10から供給される動作音信号とその選択した振動音発生箇所情報とに基づいて、除去音が振動音発生箇所から出力されるような仮想音源を形成可能な除去音信号(ステレオ信号)を生成する。
【0066】
ステップS23〜S25のいずれかの処理が実行されると、スピーカ12a、12bが、除去音信号生成部11で生成された除去音信号(ステレオ信号)に基づいて除去音を出力する。これらスピーカ12a、12bから出力された除去音に基づいて、除去音が振動音発生箇所から出力されるような仮想音源が提供される。
【0067】
本実施形態の端末装置によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0068】
スピーカの設置箇所が動作音発生箇所から離れている場合、スピーカから出力された除去音の位相および音圧レベルが動作音の位相および音圧レベルと異なる。この場合、除去音を用いて動作音を打ち消す効率が低下する。
【0069】
本実施形態の端末装置では、スピーカ12a、12bから出力された除去音の位相および音圧レベルは、除去音を動作音発生箇所から出力した場合の除去音の位相および音圧レベルに略一致するので、除去音を用いて動作音を打ち消す効率を高くすることができる。
【0070】
なお、本実施形態の端末装置において、構成および動作は適宜に変更することができる。例えば、図5に示した消音処理において、ステップS20〜S22の判定が全て「No」となった場合に、第1の実施形態で説明したような、音取得部10から出力された動作音信号に基づく消音動作が実行されてもよい。
【0071】
さらに、除去対象とされる動作音は、開閉音、キー操作音、振動音に限定されるものではなく、音源の特定ができるのであれば、他の音であってもよい。ただし、他の音を用いる場合、除去音信号生成部11が、その音の発生箇所に関する発生箇所情報を予め保持している必要がある。
【0072】
さらに、除去対象とされる動作音は、開閉音、キー操作音、振動音のうちの1つまたは2つであってもよい。除去対象が開閉音である場合は、端末装置は、図4に示した構成のうち、開閉音に関わる部分のみから構成される。除去対象がキー操作音である場合は、端末装置は、図4に示した構成のうち、キー操作音に関わる部分のみから構成される。除去対象が振動音である場合は、端末装置は、図4に示した構成のうち、振動音に関わる部分のみから構成される。
【0073】
また、本実施形態の端末装置において、制御部20は、上述したコンピュータを用いて構成することができる。プログラムは、少なくとも図5に示した消音処理をコンピュータに実行させることが可能なものである。プログラムは、記録媒体を用いて提供されてもよく、通信網(例えばインターネット)を介して提供されてもよい。
【0074】
また、本実施形態の端末装置と第2の実施形態の端末装置とを組み合わせても良い。この場合は、除去音信号生成部11は、動作音信号と保持している特定音源の信号(開閉音信号、キー操作音信号、振動音信号)と保持している動作音の発生箇所情報とに基づいて、最適な除去音信号(ステレオ信号)を生成する。
(第4の実施の形態)
図6は、本発明の第4の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【0075】
図6を参照すると、本実施形態の端末装置は、音取得部10、音出力部12、入力部14、振動発生部15、加速度センサ18および制御部20を有する。制御部20は、除去音信号生成部11、状態判定部19およびモード設定部21を有する。
【0076】
音取得部10および音出力部12は第1の実施形態のものと同じである。入力部14および振動発生部15は第2の実施形態のものと同じである。
【0077】
加速度センサ18は、筐体に加わる加速度を検出する。状態判定部19は、加速度センサ18の出力信号に基づいて、ユーザが端末装置を保持して移動している状態(移動状態)か、端末装置が充電器やテーブルなどの外部構造体上に設置されている状態(静止状態)かを判定する。
【0078】
ユーザが端末装置を保持して移動している場合は、その移動に応じて加速度センサ18の出力信号が変化する。一方、端末装置が、端末装置が充電器やテーブルなどの外部構造体上に設置されている場合は、加速度センサ18の出力信号のレベルが一定となる。したがって、状態判定部19は、加速度センサ18の出力信号が一定であるか否かに基づいて静止状態か移動状態かを判定することができる。
【0079】
状態判定部19は、静止状態か移動状態かの判定を一定時間毎に実施し、その結果(状態検出結果)をモード設定部21に供給する。
【0080】
モード設定部21は、状態判定部19から供給された状態検出結果に基づいて、除去音を出力して動作音を低減する消音モードのオンオフの設定を行う。状態判定部19から供給された状態検出結果が移動状態である場合は、モード設定部21は、消音モードをオフにし、モードオフ信号を除去音信号生成部11に供給する。状態判定部19から供給された状態検出結果が静止状態である場合は、モード設定部21は、消音モードをオンにする。モード設定部21は、消音モードをオンにした場合に、モードオン信号を除去音信号生成部11に供給する。
【0081】
除去音信号生成部11は、モード設定部21からモードオン信号を受信している期間においてのみ、音取得部10からの動作音信号に基づく除去音信号の生成を行う。この除去音信号に基づく消音動作は、第1の実施形態で説明した消音動作と同じである。
【0082】
本実施形態の端末装置によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0083】
使用者が端末装置を所持して移動している場合は、使用者の周りに他の人がいることが多い。周りに他の人がいる場合に、端末装置にて振動音が生じると、その振動音が周りにいる他の人に不快感を与える場合がある。本実施形態では、端末装置が移動状態である場合は、消音モードが自動的にオンされるので、除去音を用いて振動音を打ち消すことができる。
【0084】
一方、端末装置が充電器や外部構造体などの上に設置されている場合は、振動音が生じないと、使用者がイベントの発生を知ることは困難である。本実施形態では、端末装置が静止状態である場合は、消音モードが自動的にオフされるので、使用者は、振動音に基づいてイベントの発生を知ることができる。
【0085】
なお、本実施形態の端末装置において、構成および動作は適宜に変更することができる。例えば、消音動作は、第2および第3の実施形態のいずれかで説明した消音動作であってもよい。
【0086】
また、制御部20は、前述のコンピュータを用いて構成することができる。プログラムは、少なくとも、除去音信号生成部11、モード設定部21および状態判定部19の各部の処理(状態検出処理、モード設定処理および消音処理など)を、コンピュータに実行させることが可能なものである。プログラムは、記録媒体を用いて提供されてもよく、通信網(例えばインターネット)を介して提供されてもよい。
(第5の実施の形態)
図7は、本発明の第5の実施形態である端末装置の主要部を示すブロック図である。
【0087】
本実施形態の端末装置は、折り畳み式の筐体、回転式の筐体、スライド式の筐体などの開閉機構を備えた筐体を有するものであって、その主要部は、音取得部10、音出力部12、入力部14、振動発生部15、開閉センサ16および制御部20を有する。制御部20は、除去音信号生成部11およびモード設定部21を有する。
【0088】
音取得部10および音出力部12は第1の実施形態のものと同じである。入力部14、振動発生部15および開閉センサ16は第2の実施形態のものと同じである。
【0089】
開閉センサ16の出力(開閉状態信号)は、モード設定部21に供給されている。モード設定部21は、開閉センサ16からの開閉状態信号に基づいて、除去音を出力して動作音を低減する消音モードのオンオフの設定を行う。モード設定部21は、第2の実施形態で説明したような、モード設定部17の機能(入力部14からの指示信号に従って、動作モードを振動発生部15が筐体を振動させるモード(マナーモード)に設定する機能)も有している。
【0090】
開閉センサ16からの開閉状態信号が開状態を示す場合は、モード設定部21は、消音モードをオフにし、モードオフ信号を除去音信号生成部11に供給する。開閉センサ16からの開閉状態信号が閉状態を示す場合は、モード設定部21は、マナーモードの設定に応じて、消音モードのオンオフの設定を行う。マナーモードがオンである場合は、モード設定部21は、モードオン信号を除去音信号生成部11に供給する。マナーモードがオフである場合は、モード設定部21は、モードオフ信号を除去音信号生成部11に供給する。
【0091】
除去音信号生成部11は、モード設定部21からモードオン信号を受信している期間においてのみ、音取得部10からの動作音信号に基づいて除去音信号を生成する。この除去音信号に基づく消音動作は、第4の実施形態で説明した消音動作と同じである。
【0092】
本実施形態の端末装置によれば、以下のような作用効果を奏する。
【0093】
開閉が可能な筐体を備えた端末装置において、筐体が開状態である場合は、使用者が端末装置を手にとって使用している場合が多い。この場合、使用者は、振動音が発生しなくても、振動に基づいてイベントの発生を知ることができる。
【0094】
本実施形態では、筐体が開状態である場合は、消音モードが自動的にオンされるので、除去音を用いて振動音を打ち消すことができる。これにより、使用者の周りに他の人がいる場合に、端末装置から発生した振動音に対する周りの人への不快感を抑制することができる。
【0095】
一方、筐体が閉状態である場合は、使用者が端末装置を所持して移動している状態や、端末装置が充電器や外部構造体などの上に設置されている状態であることが考えられる。端末装置から発生した音が周りの人に不快感を与えるような場合は、使用者は、マナーモードを設定することが多い。すなわち、マナーモードが設定された環境においては、端末装置の動作音が、周りの人に不快感を与えることが多いと考えられる。
【0096】
本実施形態では、筐体が閉状態である場合は、マナーモードの設定に応じて、消音モードのオンオフの設定が行われる。具体的には、マナーモードがオンである場合にのみ、消音モードがオンとされる。よって、マナーモードが設定された環境において、端末装置にて生じた振動音に対する周りの人への不快感を抑制することができる。
【0097】
本実施形態の端末装置において、制御部20は、前述のコンピュータを用いて構成することができる。プログラムは、少なくとも、除去音信号生成部11およびモード設定部21の各部の処理を、コンピュータに実行させることが可能なものである。プログラムは、記録媒体を用いて提供されてもよく、通信網(例えばインターネット)を介して提供されてもよい。
【0098】
以上説明した第1乃至第5の実施形態の端末装置は、装置の動作に伴う動作音が筺体に生じる電子機器全般に適用することができ、特には、携帯電話端末やゲーム機などに適用することができる。
【0099】
本端末装置を携帯電話端末に適用した場合の除去の対象となる動作音としては、バイブレータを動作させた際に生じる振動音や、ボタンを押下した際に生じる音や、折り畳み式の筐体、回転式の筐体、スライド式の筐体などにおいて、筐体の開閉時に生じる音(部材がストッパに当たった際に生じる音)などがある。
【0100】
本端末装置をゲーム機に適用した場合の除去の対象となる動作音としては、バイブレータを動作させた際に生じる振動音や、ボタンを押下した際に生じる音などがある。携帯型ゲーム機では、ボタンを押下した際に生じる音が大きく、また、操作回数も多いため、動作音の除去効果はより顕著なものとなる。
【0101】
(第6の実施形態)
図8は、本発明の第6の実施形態である携帯電話端末の主要部を示すブロック図である。
【0102】
本実施形態の携帯電話装置は、振動発生部2、マイクロフォン3、スピーカ5、通信部6、入力部8および制御部7を有し、これらは、筐体1に収容されている。制御部7は、不図示のプログラムに従って動作するものであって、振動解析部4を有する。
【0103】
通信部6は、外部の基地局と無線通信を行う。外部の基地局は、携帯電話網を構成する。制御部7は、通信部6を介して、発呼や着呼や、メールの発着信等のイベントの発生を認識する。
【0104】
マイクロフォン3は、入力された音の音圧レベルに応じて出力値が変化するものであって、その出力信号(振動音信号)は、制御部7の振動解析部4に供給されている。マイクロフォン3は、上述した第1乃至第5の実施形態における音取得部10に対応する。
【0105】
振動発生部2は、バイブレータであって、第2の実施形態で説明した振動発生部15と同じものである。入力部8は、複数の操作キー(ボタン)を備え、これら操作キーを用いた入力操作に対応する指示信号を制御部7に供給する。
【0106】
制御部7は、不図示のプログラムに従って動作するものであって、入力部8からの指示信号に従って、振動発生部2、マイクロフォン3、スピーカ5および通信部6の各部の動作を制御する。入力部8にて特定の入力操作が行われると、制御部7は、動作モードを振動発生部2が筐体1を振動させるモード(いわゆるマナーモード)に設定する。このマナーモードでは、イベント発生時に、制御部7は、振動発生部2を動作させて筐体1を振動させる。制御部7は、上述した第2乃至第5の実施形態における制御部20に対応する。
【0107】
振動解析部4は、マイクロフォン3の出力信号に基づいて、筐体1で生じた振動音を解析し、その解析結果に基づいて、その振動音を除去または低減する除去音を示す除去音信号を生成する。振動解析部4は、その生成した除去音信号をスピーカ5に供給する。振動解析部4は、上述した第1乃至第5の実施形態における除去音信号生成部11に対応する。
【0108】
スピーカ5は、振動解析部4から供給された除去音信号に従って除去音を出力する。
【0109】
図9に、本実施形態の携帯電話端末の消音動作の一手順を示す。
【0110】
まず、制御部7が、入力部8からの指示信号に従って動作モードをマナーモードに設定する(ステップS30)。次に、制御部7が、イベントが発生したか否かを判定する(ステップS31)。イベントの発生は、例えば、メールの着信である。
【0111】
イベントが発生すると、続いて、制御部7が、振動発生部2を駆動させて筐体1を振動させる(ステップS32)。
【0112】
次に、マイクロフォン3が、振動音を検出し(ステップS33)、振動音解析部4が、マイクロフォン3の出力信号に基づいて、振動音を解析し、その振動音を除去または低減する除去音信号を生成する(ステップS34)。除去音信号は、振動音と逆位相の信号である。除去音信号の音圧レベルは、マイクロフォン3の出力信号の音圧レベルと一致させてもよい。
【0113】
次に、スピーカ5が、振動音解析部4からの除去音信号に基づいて除去音を出力する(ステップS35)。
【0114】
次に、制御部7が、イベントの終了を検出したか否かを判定する。イベントの終了は、例えば、メールの着信からの経過時間が所定時間に達したか否かに基づいて判定される。制御部7は、メールの着信時にタイマーを起動し、タイマーを用いて経過時間を測定する。
【0115】
イベントの終了を検出した場合は、制御部7が、振動発生部2を停止させる。イベントが終了していない場合(経過時間が所定時間に達していない場合)は、制御部7は、ステップS32〜S36の処理を繰り返し実行する。
【0116】
上述の消音処理によれば、マナーモードが設定された場合に、イベント発生時の振動が原因となって筺体に生じた振動音を除去または低減することができるので、振動音に対する周りの人への不快感を抑制することができる。
【0117】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記1〜13のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
(付記1)筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得し、該動作音を示す動作音信号を出力する音取得部と、
前記音取得部から出力された前記動作音信号に基づいて、前記動作音を除去または低減する除去音を示す除去音信号を生成する除去音信号生成部と、
前記除去音信号生成部で生成された前記除去音信号に基づいて前記除去音を出力する音出力部と、を有する端末装置。
(付記2)
前記音出力部は、複数のスピーカからなり、
前記除去音信号生成部は、除去音が前記動作音の発生箇所から出力される仮想音源を形成する複数の除去音信号を生成し、該除去音信号を前記複数のスピーカのうちの対応するスピーカに供給する、付記1に記載の端末装置。
(付記3)
前記音取得部は、
前記筐体の振動状態を検出する状態検出部と、
前記筐体の構造を簡易化したモデルデータを保持しており、前記状態検出部で検出された前記筐体の振動状態と前記モデルデータとから、前記筐体にて生じた前記動作音を取得する動作音取得部と、を有する、付記1に記載の端末装置。
(付記4)
前記状態検出部は、
前記筐体に加わる加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサの出力信号に基づいて、前記筐体の振動状態を取得する振動状態取得部と、を有する、付記3に記載の端末装置。
(付記5)
前記状態検出部は、
一定の時間間隔で前記筐体を撮影するカメラ部と、
前記カメラ部で撮影された一定の時間間隔の画像データを解析して前記筐体の振動状態を取得する画像解析部と、を有する、付記3に記載の端末装置。
(付記6)
前記筐体を振動させる振動発生部を、さらに有し、
前記音取得部は、前記振動発生部の振動のために生じる振動音を前記動作音として取得する、付記1から5のいずれかに記載の端末装置。
(付記7)
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
前記音取得部は、前記第1および第2の筐体部の間の接触または衝突のために生じる音を前記動作音として取得する、付記1から6のいずれかに記載の端末装置。
(付記8)
複数のキーを備え、該キーを用いた入力操作に応じた指示信号を出力する入力部を、さらに有し、
前記音取得部は、前記複数のキーを用いた入力操作に伴って生じる音を前記動作音として取得する、付記1から7のいずれかに記載の端末装置。
(付記9)
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
前記筐体を振動させる振動発生部と、
複数のキーを備え、該キーを用いた入力操作に応じた指示信号を出力する入力部と、
前記筐体が前記開状態および閉状態のいずれの状態であるかを検出し、その結果を示す開閉状態信号を出力する開閉センサと、
前記入力部から所定のモードへの移行を指示する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオンにし、その旨を示すモード実行信号を出力し、前記入力部から前記所定のモードを解除する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオフにし、その旨を示すモード解除信号を出力するモード設定部と、
前記入力部からの指示信号と、前記モード設定部からのモード実行信号およびモード解除信号と、前記開閉センサからの開閉状態信号とに基づいて、前記動作音が前記振動発生部の振動のために生じる振動音、前記第1および第2の筐体部の間の接触または衝突のために生じる開閉音、および前記複数のキーを用いた入力操作に伴って生じるキー操作音のうちのいずれであるかを特定する音源特定部と、をさらに有し、
前記音取得部は、前記振動音、前記開閉音および前記キー操作音をそれぞれ前記動作音として取得し、
前記除去音信号生成部は、前記開閉音を示す開閉音信号、前記キー操作音を示す操作キー音信号、および前記振動音を示す振動音信号を予め保持しており、該保持した信号のうちから、前記音源特定部にて特定された動作音に対応する信号を決定し、該決定した信号と前記音取得部から供給される動作音信号とに基づいて前記除去音信号を生成する、付記1または2に記載の端末装置。
(付記10)
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
前記筐体を振動させる振動発生部と、
複数のキーを備え、該キーを用いた入力操作に応じた指示信号を出力する入力部と、
前記筐体が前記開状態および閉状態のいずれの状態であるかを検出し、その結果を示す開閉状態信号出力する開閉センサと、
前記入力部から所定のモードへの移行を指示する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオンにし、その旨を示すモード実行信号を出力し、前記入力部から前記所定のモードを解除する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオフにし、その旨を示すモード解除信号を出力するモード設定部と、
前記入力部からの指示信号と、前記モード設定部からのモード実行信号およびモード解除信号と、前記開閉センサからの開閉状態信号とに基づいて、前記動作音が前記振動発生部の振動のために生じる振動音、前記第1および第2の筐体部の間の接触または衝突のために生じる開閉音、および前記複数のキーを用いた入力操作に伴って生じるキー操作音のうちのいずれであるかを特定する音源特定部と、をさらに有し、
前記音出力部は、複数のスピーカからなり、
前記音取得部は、前記振動音、前記開閉音および前記キー操作音をそれぞれ前記動作音として取得し、
前記除去音信号生成部は、
前記音取得部の設置箇所と前記開閉音の発生箇所との位置関係を示す開閉音発生箇所情報と、前記音取得部の設置箇所と前記キー操作音の発生箇所との位置関係を示すキー操作音発生箇所情報と、前記音取得部の設置箇所と前記振動音の発生箇所との位置関係を示す振動音発生箇所情報とを保持しており、
該保持した情報のうちから、前記音源特定部にて特定された動作音に対応する動作音発生箇所情報を決定し、
該決定した動作音発生箇所情報と前記音取得部から供給される動作音信号とに基づいて、前記除去音が前記動作音の発生箇所から出力される仮想音源を形成する複数の除去音信号を生成し、該除去音信号を前記複数のスピーカのうちの対応するスピーカに供給する、付記1または2に記載の端末装置。
(付記11)
前記筐体に加わる加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサの出力信号に基づいて、前記筐体が移動している第1の状態と前記筐体が静止している第2の状態とのいずれの状態であるかを判定する状態判定部と、
前記状態判定部にて前記筐体が前記第1の状態であると判定された場合に、前記除去音が前記音出力部から出力される消音モードをオンにする旨のモードオン信号を出力し、前記状態判定部にて前記筐体が前記第2の状態であると判定された場合に、前記消音モードをオフにする旨のモードオフ信号を出力するモード設定部と、をさらに有し、
前記除去音信号生成部は、前記モード設定部から前記モードオン信号を受信している期間においてのみ前記除去音信号を生成する、付記1または2に記載の端末装置。
(付記12)
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
入力操作に応じた指示信号を出力する入力部と、
前記筐体が前記開状態および閉状態のいずれの状態であるかを検出する開閉センサと、
前記入力部から所定のモードへの移行を指示する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオンにし、前記入力部から前記所定のモードを解除する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオフにするモード設定部と、をさらに有し、
前記モード設定部は、
前記開閉センサから前記筐体が前記開状態である旨を示す信号を受信した場合は、前記除去音が前記音出力部から出力される消音モードをオフにする旨のモードオフ信号を出力し、
前記開閉センサから前記筐体が前記閉状態である旨を示す信号を受信した場合で、前記所定のモードがオンであれば、前記消音モードをオンにする旨のモードオン信号を出力し、前記所定のモードがオフであれば、前記消音モードをオフにする旨のモードオン信号を出力し、
前記除去音信号生成部は、前記モード設定部から前記モードオン信号を受信している期間においてのみ、前記除去音信号を生成する、付記1または2に記載の端末装置。
(付記13)
前記除去音信号生成部は、前記音出力部から出力される前記除去音が前記音取得部に入力された前記動作音の位相に対して逆位相の関係となる前記除去音信号を生成する、付記1から12のいずれか1項に記載の端末装置。

【符号の説明】
【0118】
10 音取得部
11 除去音信号生成部
12 音出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得し、該動作音を示す動作音信号を出力する音取得部と、
前記音取得部から出力された前記動作音信号に基づいて、前記動作音を除去または低減する除去音を示す除去音信号を生成する除去音信号生成部と、
前記除去音信号生成部で生成された前記除去音信号に基づいて前記除去音を出力する音出力部と、を有する端末装置。
【請求項2】
前記音出力部は、複数のスピーカからなり、
前記除去音信号生成部は、前記除去音が前記動作音の発生箇所から出力される仮想音源を形成する複数の除去音信号を生成し、該除去音信号を前記複数のスピーカのうちの対応するスピーカに供給する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記音取得部は、
前記筐体の振動状態を検出する状態検出部と、
前記筐体の構造を簡易化したモデルデータを保持しており、前記状態検出部で検出された前記筐体の振動状態と前記モデルデータとから、前記筐体にて生じた前記動作音を取得する動作音取得部と、を有する、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
前記筐体を振動させる振動発生部と、
複数のキーを備え、該キーを用いた入力操作に応じた指示信号を出力する入力部と、
前記筐体が前記開状態および閉状態のいずれの状態であるかを検出し、その結果を示す開閉状態信号を出力する開閉センサと、
前記入力部から所定のモードへの移行を指示する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオンにし、その旨を示すモード実行信号を出力し、前記入力部から前記所定のモードを解除する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオフにし、その旨を示すモード解除信号を出力するモード設定部と、
前記入力部からの指示信号と、前記モード設定部からのモード実行信号およびモード解除信号と、前記開閉センサからの開閉状態信号とに基づいて、前記動作音が前記振動発生部の振動のために生じる振動音、前記第1および第2の筐体部の間の接触または衝突のために生じる開閉音、および前記複数のキーを用いた入力操作に伴って生じるキー操作音のうちのいずれであるかを特定する音源特定部と、をさらに有し、
前記音取得部は、前記振動音、前記開閉音および前記キー操作音をそれぞれ前記動作音として取得し、
前記除去音信号生成部は、前記開閉音を示す開閉音信号、前記キー操作音を示す操作キー音信号、および前記振動音を示す振動音信号を予め保持しており、該保持した信号のうちから、前記音源特定部にて特定された動作音に対応する信号を決定し、該決定した信号と前記音取得部から供給される動作音信号とに基づいて前記除去音信号を生成する、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
前記筐体を振動させる振動発生部と、
複数のキーを備え、該キーを用いた入力操作に応じた指示信号を出力する入力部と、
前記筐体が前記開状態および閉状態のいずれの状態であるかを検出し、その結果を示す開閉状態信号出力する開閉センサと、
前記入力部から所定のモードへの移行を指示する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオンにし、その旨を示すモード実行信号を出力し、前記入力部から前記所定のモードを解除する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオフにし、その旨を示すモード解除信号を出力するモード設定部と、
前記入力部からの指示信号と、前記モード設定部からのモード実行信号およびモード解除信号と、前記開閉センサからの開閉状態信号とに基づいて、前記動作音が前記振動発生部の振動のために生じる振動音、前記第1および第2の筐体部の間の接触または衝突のために生じる開閉音、および前記複数のキーを用いた入力操作に伴って生じるキー操作音のうちのいずれであるかを特定する音源特定部と、をさらに有し、
前記音出力部は、複数のスピーカからなり、
前記音取得部は、前記振動音、前記開閉音および前記キー操作音をそれぞれ前記動作音として取得し、
前記除去音信号生成部は、
前記音取得部の設置箇所と前記開閉音の発生箇所との位置関係を示す開閉音発生箇所情報と、前記音取得部の設置箇所と前記キー操作音の発生箇所との位置関係を示すキー操作音発生箇所情報と、前記音取得部の設置箇所と前記振動音の発生箇所との位置関係を示す振動音発生箇所情報とを保持しており、
該保持した情報のうちから、前記音源特定部にて特定された動作音に対応する動作音発生箇所情報を決定し、
該決定した動作音発生箇所情報と前記音取得部から供給される動作音信号とに基づいて、前記除去音が前記動作音の発生箇所から出力される仮想音源を形成する複数の除去音信号を生成し、該除去音信号を前記複数のスピーカのうちの対応するスピーカに供給する、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項6】
前記筐体に加わる加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサの出力信号に基づいて、前記筐体が移動している第1の状態と前記筐体が静止している第2の状態とのいずれの状態であるかを判定する状態判定部と、
前記状態判定部にて前記筐体が前記第1の状態であると判定された場合に、前記除去音が前記音出力部から出力される消音モードをオンにする旨のモードオン信号を出力し、前記状態判定部にて前記筐体が前記第2の状態であると判定された場合に、前記消音モードをオフにする旨のモードオフ信号を出力するモード設定部と、をさらに有し、
前記除去音信号生成部は、前記モード設定部から前記モードオン信号を受信している期間においてのみ前記除去音信号を生成する、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項7】
前記筐体は、
第1の筐体部と、
前記第1の筐体部に支持され、前記第1の筐体部の所定の面を覆う閉状態と前記所定の面が露出する開状態との間で遷移可能な第2の筐体部と、を有し、
入力操作に応じた指示信号を出力する入力部と、
前記筐体が前記開状態および閉状態のいずれの状態であるかを検出する開閉センサと、
前記入力部から所定のモードへの移行を指示する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオンにし、前記入力部から前記所定のモードを解除する指示信号を受信すると、前記所定のモードをオフにするモード設定部と、をさらに有し、
前記モード設定部は、
前記開閉センサから前記筐体が前記開状態である旨を示す信号を受信した場合は、前記除去音が前記音出力部から出力される消音モードをオフにする旨のモードオフ信号を出力し、
前記開閉センサから前記筐体が前記閉状態である旨を示す信号を受信した場合で、前記所定のモードがオンであれば、前記消音モードをオンにする旨のモードオン信号を出力し、前記所定のモードがオフであれば、前記消音モードをオフにする旨のモードオン信号を出力し、
前記除去音信号生成部は、前記モード設定部から前記モードオン信号を受信している期間においてのみ、前記除去音信号を生成する、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項8】
前記除去音信号生成部は、前記音出力部から出力される前記除去音が前記音取得部に入力された前記動作音の位相に対して逆位相の関係となる前記除去音信号を生成する、請求項1から7のいずれかに記載の端末装置。
【請求項9】
筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得し、
取得した前記動作音を解析して、該動作音を除去または低減する除去音を求め、
前記除去音を発生する、消音方法。
【請求項10】
コンピュータに、
筐体に対して行われる動作に伴って該筐体に生じる動作音を取得する処理と、
取得した前記動作音を解析して、該動作音を除去または低減する除去音を求める処理と、
前記除去音を発生させる処理と、を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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