説明

端末装置および価値移動システム

【課題】携帯端末による価値移動を行う際に、携帯端末の識別情報の読取エラーによる不都合の発生を防止できる端末装置を提供する。
【解決手段】端末装置5の制御部80は、メモリ部87にカードIDに関連して持玉データ(零より大きな値の持玉データ)が記憶されている状態において、持玉移動ボタン66aが押下された後、所定時間内に携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了した場合には、持玉を移動するための処理を行なう。一方、持玉移動ボタン66aが押下された後、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されたが携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了しなかった場合には、制御部80は、端末装置5をエラーダウン状態にさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、CRユニット等の端末装置等に関連付けられたプリペイド価値や計数玉数等の価値情報を、携帯型電話機等の携帯端末の識別情報に関連付けるための、端末装置および価値移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設には、パチンコ機等の遊技台が設置されている。各遊技台に対して、CRユニットと呼ばれる端末装置が備えつけられている場合がある。端末装置は、現金での玉貸し、プリペイドカードによる玉貸しを行うものである。端末装置として、さらに、遊技客が獲得した遊技媒体の数を計数し、計数結果を持玉データとして保持したり、保持している持玉データに基づいて持玉の払出しを行ったりする機能を備えたものもある。プリペイドカードには、会員のために発行される会員カードと、会員カードを持たない遊技客のために発行される一般カードとがある。会員カードには会員IDが記録されている。一般カードには、カードIDが記録されている。
【0003】
端末装置として、プリペイドカードが挿入されている場合に、持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報を、当該プリペイドカードに記録されているカードIDまたは会員IDに関連付けて管理装置に管理させる機能を備えたものが既に開発されている。
また、島端に設置される玉計数機で計数された獲得玉を、非接触通信用ICチップが搭載された携帯型電話機等の携帯端末をかざすことで、貯玉として預けられる会員管理システムが既に開発されている。
【0004】
これらを組み合わせれば、CRユニット等の端末装置に携帯型電話機をかざすことで、貯玉データやプリペイド価値を移動させるシステムが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-229112号公報
【特許文献2】特開2008-188031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
端末装置でのプリペイドカードからのカードIDまたは会員IDの読み取りは、当該プリペイドカードが端末装置内に取り込まれた状態で行われているため、読取エラーが発生することはほとんどない。そのため、端末装置内に挿入されているプリペイドカードに記録されているカードIDまたは会員IDへの、持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報の関連付けは、確実に行われる。読取エラーが生じれば、再度読み取りを行なうが、それでも読み取れない場合には、カードを返却しないでエラーダウンすれば、遊技客が価値情報を放置して立ち去る可能性は極めて低い。
【0007】
一方、非接触通信用ICチップ(以下、「非接触ICチップ」という」が搭載された携帯型電話機等の携帯端末のかざし操作により、IDm等の携帯IDが端末装置側で読み取られる場合には、携帯端末が好適な読み取り位置に保持された状態で携帯IDが読み取られるのではないため、プリペイドカードの場合に比べて、読取エラーが発生しやすい。そのため、端末装置において、持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報を携帯端末の携帯IDに関連付ける場合には、その関連付けが正常に行われないおそれがある。仮に、携帯端末の携帯IDが正常に読み取られていないのに、携帯IDへの価値情報の関連付け処理が正常に行なわれたものと勘違いして、遊技客がそのまま立ち去った場合には、その遊技客が所有すべき価値情報を当該遊技客が所有できなくなるおそれがある。なお、携帯IDを用いる場合に限らず、非接触通信(かざし動作)により携帯端末の他の識別情報(携帯型電話機の電話番号や、ICカードの識別番号等)を取得する方式であれば、同様の課題が生じる。
【0008】
なお、端末装置、カードID等に関連付けられている持玉データ、プリペイド価値データの価値情報を、携帯端末の識別情報に関連付けることを、携帯端末による価値移動という場合がある。
この発明は、携帯端末による価値移動を行う際に、携帯端末の識別情報の読取エラーによる不都合の発生を防止できる端末装置および価値移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、遊技機(4)毎に設けられる端末装置(5)であって、非接触通信により携帯端末(9)から識別情報を読み取る識別情報読取手段(63)と、価値移動指令を入力するための入力手段(66a,66b,66c)と、前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段による識別情報の読取が完了したときに、当該端末装置に関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段(80)とを含む、端末装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0010】
この発明では、入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に識別情報読取手段による識別情報の読取が完了したときには、当該端末装置に関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理が行なわれる。
請求項2に記載の発明は、前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段による識別情報の読取が行われなければ、前記価値移動指令の入力が取り消される、請求項1に記載の端末装置である。この構成では、入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に識別情報読取手段による識別情報の読取が行われなければ、価値移動指令の入力が取り消される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段によって携帯端末が検知されたが識別情報が正常に読み取られなかったときに、端末装置を動作不能状態にさせる手段(80)を含む、請求項1または2に記載の端末装置である。この構成では、入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に識別情報読取手段によって携帯端末が検知されたが識別情報が正常に読み取られなかったときには、端末装置が動作不能状態にされる。したがって、この構成によれば、入力手段によって価値移動指令が入力され、携帯端末のかざし操作が行なわれたとしても、識別情報が正常に読み取られなかったために、価値移動が行われなかった場合には、端末装置が動作不能状態とされるので、識別情報の読取エラーによる不都合の発生を防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、遊技機(4)毎に設けられる端末装置(5)であって、非接触通信により携帯端末(9)から識別情報を読み取る識別情報読取手段(63)と、価値移動指令を入力するための入力手段(66a,66b,66c)と、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、前記入力手段に対して行われうる操作のうち、次に操作可能な操作を遊技客に報知するための報知手段(66a,66b,66c,80)と、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られた後、所定時間内に前記入力手段によって価値移動指令が入力されたときに、当該端末装置に関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段(80)とを含む、端末装置である。
【0013】
この発明では、識別情報読取手段によって識別情報が読み取られた後、所定時間内に入力手段によって価値移動指令が入力されたときには、当該端末装置に関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理が行なわれる。
また、識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときには、入力手段に対して行われうる操作のうち、次に操作可能な操作が遊技客に報知される。そこで、遊技客は、携帯端末による価値移動を行いたい場合には、携帯端末のかざし操作を行った後、次に操作可能な操作を確認した上で、入力手段によって価値移動指令を入力させることができる。このため、識別情報の読取エラーによって価値移動が正常に行われていないにもかかわらず、価値移動が行われたものと遊技客が勘違いするといったことを回避できる。この結果、識別情報の読取エラーによる不都合の発生を防止することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記入力手段は、価値移動指令を入力するための1または複数の価値移動ボタン(63a,63b,63c)を含み、前記報知手段は、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、当該端末装置に関連付けられている価値情報の有無および当該端末装置に関連付けられている価値情報の種類に応じて、前記入力手段に含まれている前記各価値移動ボタンを有効とするか無効とするかを判定し、有効と判定された価値移動ボタンを通常時とは異なる態様で提示する手段(63a,63b,63c,80)を含む、請求項4に記載の端末装置である。
【0015】
この構成では、識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときには、当該端末装置に関連付けられている価値情報の有無および当該端末装置に関連付けられている価値情報の種類に応じて、入力手段に含まれている各価値移動ボタンを有効とするか無効とするかが判定され、有効と判定された価値移動ボタンが通常時とは異なる態様で提示される。これにより、有効と判定された価値移動ボタンが存在する場合には、遊技客は識別情報が正常に読み取られたことを知ることができるとともに、有効な価値移動ボタンを知ることができる。一方、有効な価値移動ボタンが存在しない場合には、遊技客は、識別情報が正常に読み取られたか否かにかかわらず、携帯端末による価値移動を行えないことを知ることができる。この結果、識別情報の読取エラーによって価値移動が正常に行われていないにもかかわらず、価値移動が行われたものと遊技客が勘違いするといったことを回避できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、当該端末装置に関連付けられる価値情報が、プリペイド価値データおよび/または持玉データである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の端末装置である。
請求項7に記載の発明は、遊技機(4)毎に設けられる端末装置(5)と、前記各端末装置と通信可能な管理装置(1)とを含み、前記各端末装置は、非接触通信により携帯端末から識別情報を読み取る識別情報読取手段(63)と、価値移動指令を入力するための入力手段(63a,63b,63c)と、前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段による識別情報の読取が完了したときに、受け付けられている記録媒体の記録媒体IDに関連付けられている価値情報を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段(80)とを含み、前記価値移動処理手段は、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報と、前記記録媒体IDと、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部とを含む価値移動用データを前記管理装置に送信する送信手段(80)を含んでおり、前記管理装置(1)は、前記記録媒体に記録された記録媒体IDに関連付けて価値情報を記憶するための第1記憶手段(91a)と、前記端末装置の識別情報に関連付けて価値情報を記憶するための第2記憶手段(91b)と、前記端末装置からの前記価値移動用データを受信したときには、当該価値移動用データに応じて、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段に対して価値移動のためのデータ処理を行なうデータ処理手段(90)とを含む、価値移動システムである。
【0017】
この発明では、端末装置は、入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に識別情報読取手段による識別情報の読取が完了したときには、受け付けられている記録媒体の記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう。また、端末装置は、識別情報読取手段によって読み取られた識別情報と、前記記録媒体IDと、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部とを含む価値移動用データを管理装置に送信する。管理装置は、端末装置からの価値移動用データを受信したときには、当該価値移動用データに応じて、第1記憶手段および第2記憶手段に対して価値移動のためのデータ処理を行なう。
【0018】
前記「受け付けられている記録媒体の記録媒体ID」には、遊技客によって端末装置に挿入されている記録媒体の記録媒体IDの他、端末装置によって仮発行されている記録媒体IDも含まれるものとする。
なお、前記端末装置は、入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に読取手段によって携帯端末が検知されたが識別情報が正常に読み取られなかったときに、端末装置を動作不能状態にさせる手段を、さらに含んでいてもよい。
【0019】
請求項8に記載の発明は、遊技機(4)毎に設けられる端末装置(5)と、前記各端末装置と通信可能な管理装置(1)とを含み、前記各端末装置は、非接触通信により携帯端末(9)から識別情報を読み取る識別情報読取手段(63)と、価値移動指令を入力するための入力手段(63a,63b,63c)と、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、前記入力手段に対して行われうる操作のうち、次に操作可能な操作を遊技客に報知するための報知手段(63a,63b,63c,80)と、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られた後、所定時間内に前記入力手段によって価値移動指令が入力されたときに、受け付けられている記録媒体の記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段(80)とを含み、前記価値移動処理手段は、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報と、前記記録媒体IDと、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部とを含む価値移動用データを前記管理装置に送信する送信手段(80)を含んでおり、前記管理装置は、前記記録媒体に記録された記録媒体IDに関連付けて価値情報を記憶するための第1記憶手段(91a)、前記端末装置の識別情報に関連付けて価値情報を記憶するための第2記憶手段(91b)と、前記端末装置からの前記価値移動用データを受信したときには、当該価値移動用データに応じて、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段に対して価値移動のためのデータ処理を行なうデータ処理手段(90)とを含む、価値移動システムである。
【0020】
この発明では、端末装置は、識別情報読取手段によって識別情報が読み取られた後、所定時間内に入力手段によって価値移動指令が入力されたときには、受け付けられている記録媒体の記録媒体IDに関連付けられている価値の一部もしくは全部を、識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう。また、端末装置は、識別情報読取手段によって読み取られた識別情報と、前記記録媒体IDと、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部とを含む価値移動用データを管理装置に送信する。管理装置は、端末装置からの価値移動用データを受信したときには、当該価値移動用データに応じて、第1記憶手段および第2記憶手段に対して価値移動のためのデータ処理を行なう。
【0021】
また、端末装置において、識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときには、入力手段に対して行われうる操作のうち、次に操作可能な操作が遊技客に報知される。そこで、遊技客は、携帯端末による価値移動を行いたい場合には、携帯端末のかざし操作を行った後、次に操作可能な操作を確認した上で、入力手段によって価値移動指令を入力させることができる。このため、識別情報の読取エラーによって価値移動が正常に行われていないにもかかわらず、価値移動が行われたものと遊技客が勘違いするといったことを回避できる。この結果、識別情報の読取エラーによる不都合の発生を防止することができる。
【0022】
前記「受け付けられている記録媒体の記録媒体ID」には、遊技客によって端末装置に挿入されている記録媒体の記録媒体IDの他、端末装置によって仮発行されている記録媒体IDも含まれるものとする。
請求項9に記載の発明は、前記入力手段は、価値移動指令を入力するための1または複数の価値移動ボタン(63a,63b,63c)を含み、前記報知手段は、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときには、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の有無および前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の種類に応じて、前記入力手段に含まれている前記各価値移動ボタンを有効とするか無効とするかを判定し、有効と判定された価値移動ボタンを通常時とは異なる態様で提示する手段(63a,63b,63c,80)を含む、請求項8に記載の価値移動システムである。
【0023】
この構成では、識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときには、記録媒体IDに関連付けられている価値情報の有無および記録媒体IDに関連付けられている価値情報の種類に応じて、入力手段に含まれている各価値移動ボタンを有効とするか無効とするかが判定され、有効と判定された価値移動ボタンが通常時とは異なる態様で提示される。これにより、有効と判定された価値移動ボタンが存在する場合には、遊技客は識別情報が正常に読み取られたことを知ることができるとともに、有効な価値移動ボタンを知ることができる。一方、有効な価値移動ボタンが存在しない場合には、遊技客は、識別情報が正常に読み取られたか否かにかかわらず、携帯端末による価値移動を行えないことを知ることができる。この結果、識別情報の読取エラーによって価値移動が正常に行われていないにもかかわらず、価値移動が行われたものと遊技客が勘違いするといったことを回避できる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、前記記録媒体IDに関連付けられる価値情報が、プリペイド価値データおよび/または持玉データである、請求項7〜9のいずれか一項に記載の価値移動システムである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、携帯端末による価値移動を行う際に、携帯端末の識別情報の読取エラーによる不都合の発生を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】価値情報管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】遊技機4および端末装置5の外観を示す正面図である。
【図3】端末装置5の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】管理装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】カード用データ管理テーブルおよび携帯端末用データ管理テーブルの内容の一例を示す模式図である。
【図6】会員サーバ2の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】正会員用DBおよび仮会員用DBの内容の一例を示す模式図である。
【図8】端末装置5によって行われる価値移動のための処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】端末装置5によって行われる価値移動のための処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】端末装置5によって行われる価値移動のための処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】管理装置1によって行なわれる価値移動のための処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図11のステップS32の処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図13】図11のステップS34の処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図14】端末装置5によって行われる価値移動のための処理の変形例の手順を示すフローチャートである。
【図15】図14のステップS62の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、遊技施設内に設けられた価値情報管理システムの構成を示している。
遊技施設には、島毎に、複数の遊技機(この例では、パチンコ台)4が設置されている。また、島毎に、1つの島コントローラ3が設けられている。島内の各遊技機4には、端末装置5がそれぞれ設けられている。つまり、各端末装置5は、遊技機4と1対1対応している。島内の各端末装置5は、その島に対応して設けられた島コントローラ3とバス10を介して、管理装置(ターミナルコントローラ(T/C))1および会員サーバ(会員管理装置)2に接続されている。バス10には、さらに、精算機6、景品管理機7およびカード処理機8が接続されている。景品管理機7とカード処理機8とは、景品カウンタ上に隣接して設けられており、互いに接続されている。
【0028】
管理装置1は、遊技客に対して発行されるプリペイドカードの有価価値の残高(以下、「プリペイド価値」という)および持玉データの管理等を行う。会員サーバ2は、会員データおよび貯玉データを管理する。
プリペイドカード(以下、単に「カード」という)の種類には、正会員に対して発行される会員カードと、会員カードを所持していない遊技客のために発行される一般カードとがある。また、会員には、この実施形態では、「正会員」と「仮会員」とがある。正会員とは、遊技客が氏名、住所等の個人情報や暗証番号を提供することによって登録される会員である。仮会員とは、遊技客が遊技客所有の携帯端末9の識別情報と暗証番号を提供することによって登録される会員である。正会員には会員カードが発行されるが、仮会員には会員カードは発行されない。
【0029】
この実施形態では、携帯端末9は、モバイルFelicaチップ(Felicaは商標名)等のように、非接触リーダライタ(携帯リーダ)と自動的に非接触通信が行える非接触ICチップが搭載された携帯型電話機、ICカード等の携帯端末である。携帯端末9の識別情報としては、この実施形態では、携帯IDが用いられる。そして、携帯IDとしては、この実施形態では、携帯端末9に搭載されている非接触ICチップの製造番号であるIDmが用いられる。なお、正会員の中には、当該会員の携帯端末9の携帯IDが登録されている場合もある。携帯端末9が携帯型電話機である場合には、携帯端末9の識別情報として、当該携帯型電話機の電話番号等を用いてもよい。
【0030】
「持玉データ」とは、遊技客が当日に獲得したパチンコ玉のうちの一部または全部を、現物として所有するのではなく数値データとしてカードまたは携帯端末9に関連付けて所有する場合の、数値データをいう。一般カードに関連付けられている持玉データは、当日のみ有効であり、その日の営業が終了した時点で効力を失う。これに対して、会員カードまたは携帯端末9に関連付けられている持玉データは、そのデータが発生した日の営業が終了した時点で、持玉データとしての効力は失うが、「貯玉データ」として会員カードまたは携帯端末9に関連付けられる。
【0031】
この実施形態では、一般カードには、カードID、プリペイド価値、持玉データなどのデータが記録される。また、会員カードには、会員ID、プリペイド価値、持玉データなどのデータが記録される。カードに記録されているデータを総称して、カードデータという場合がある。
各端末装置5は、現金、プリペイドカード(会員カード,一般カード)を利用したパチンコ玉の貸出を行う機能、持玉の払出を行なう機能、貯玉に基づくパチンコ玉の貸出を行う機能(貯玉再プレイ機能)、遊技客が獲得したパチンコ玉の計数を行う機能(各台計数機能)、携帯端末9に基づく価値移動を行う機能等を備えている。
【0032】
携帯端末9に基づく価値移動とは、仮会員または正会員のうち携帯IDが登録されている会員(以下、これらの会員を総称して「携帯利用可能会員」という)が、現金または一般カードを用いて遊技を行っている場合において、当該携帯利用可能会員が非会員として所有している持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報を、携帯端末9を利用して、当該携帯端末9の携帯IDに関連付けることをいう。当該携帯利用可能会員が非会員として所有している持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報は、端末装置5に受け付けられている(挿入されている)一般カードのカードIDまたは仮発行されているカードIDに関連付けられている持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報である。
【0033】
精算機6は、会員カード、一般カードまたは携帯端末に関連付けられているプリペイド価値を現金に精算するものである。つまり、精算機6は、遊技客が所持するカード等に関連付けられているプリペイド価値を現金化するものである。景品管理機7およびカード処理機8は、一般カードあるいは携帯端末に関連付けられている持玉データまたは会員カードに関連付けられている持玉データまたは貯玉データを、景品(通常景品や所定の金銭価値を有する特殊景品)に交換するためのものである。また、カード処理機8は、携帯端末9内の非接触ICチップと通信して携帯IDを読み取るための携帯リーダ部を備えている。そして、景品管理機7およびカード処理機8は、携帯端末9を有する遊技客から携帯IDおよび暗証番号を取得することにより、当該遊技客に対して仮会員登録を行う機能を備えている。カード処理機8に一般カードが挿入されている状態で、遊技客に仮会員登録操作を含む所定の操作を行なわせることにより、景品管理機7およびカード処理機8は、当該一般カードに関連付けられている持玉データを、仮会員登録後の会員IDに貯玉データとして関連付けることもできるようになっている。つまり、景品管理機7およびカード処理機8は、遊技客が獲得したパチンコ玉を容易に貯玉させるための機能を備えている。
【0034】
図2は、遊技機4および端末装置5の外観を示している。
端末装置5は、遊技機4の左側において遊技機4の左側面に沿って配置された縦長の台間カード処理部51と、台間カード処理部51の下端部に一体的に設けられた各台計数部52とからなる。通常、複数の遊技機4が横方向に並んで設置されているので、端末装置5の台間カード処理部51は、隣り合う2つの遊技機の間に配置されていることが多い。
【0035】
遊技機4の内部には、貸玉を払い出すための貸玉払出機構41が設けられている。遊技機の前面には、遊技機4に打ち出すためのパチンコ玉を一時的に貯留するための上皿42および下皿43が設けられている。上皿42のパチンコ玉が一杯になると、パチンコ玉が下皿43に流れてくるようになっている。上皿42の前面には、パチンコ玉貸出指令(以下、単に「貸出指令」という)を入力するための貸出ボタン44、カード返却指令を入力するためのカード返却ボタン45およびカードのプリペイド価値を表示するためのプリペイド価値表示部46が設けられている。
【0036】
台間カード処理部51の前面には、状態表示部61、紙幣挿入部62、携帯リーダ部63、玉払出用ノズル64、表示部65、操作部66、カード挿入/返却部67などが設けられている。台間カード処理部51の内部には、紙幣挿入部62から挿入された紙幣を鑑別して取り込むための紙幣識別部81(図3参照)、玉払出用ノズル64を介して遊技機4の上皿42に、持玉データとして所有されているパチンコ玉を供給するための持玉払出部83(図3参照)、カードからデータを読み取ったり、カードにデータを書き込んだりするためのカードリード/ライタ部(カードR/W部)82(図3参照)などが設けられている。状態表示部61は、端末装置5の運転状態を表示するものである。携帯リーダ部63は、携帯端末9がかざされたときに、携帯端末9内の無接触ICチップと無接触通信を行うことにより、携帯IDを読み取るものである。
【0037】
各台計数部52は、台間カード処理部51の下端部に一体的に形成されかつ内部に計数部71を有する計数部本体72と、下皿43の下方に配置された玉受け皿73と、玉受け皿73内のパチンコ玉を計数部本体72内の計数部71に送るための玉通路74とを備えている。玉受け皿73の前面には、持玉払出ボタン75と、計数表示部76とが設けられている。持玉払出ボタン75は、持玉払出指令を入力するためのボタンである。計数表示部76には、計数値、持玉データなどが表示される。なお、下皿43の底面にはシャッタ(図示略)が設けられており、このシャッタを開放することにより、下皿43に貯留されているパチンコ玉を、玉受け皿73に送り込むことができるようになっている。
【0038】
図3は、端末装置5の電気的構成を示している。
端末装置5は、制御部80によって制御される。制御部80は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部80には、状態表示部61、紙幣識別部81、携帯リーダ部63、表示部65、操作部66、カードR/W部82、持玉払出部83、上位通信I/F部84、台I/F部85、遊技機通信I/F部86、メモリ部87、計数部71、持玉払出ボタン75、計数表示部76、電源部88などが接続されている。
【0039】
操作部66には、テンキー(図示略)、持玉移動ボタン66a(図3参照)、プリペイド価値移動ボタン66b(図3参照)、持玉/プリペイド価値移動ボタン66c(図3参照)、再プレイボタン66d等の操作ボタンが設けられている。ボタン66a〜66dは発光ダイオードを内蔵しており、点灯状態となったり、点滅状態になったりすることが可能となっている。これらのボタン66a〜66dは、通常は、消灯状態となっている。携帯リーダ部63も、発光ダイオードを内蔵しており、点灯状態となったり、点滅状態になったりすることが可能となっている。携帯リーダ部63は、通常は、消灯状態となっている。カードR/W部82には、複数枚の一般カードが収納されている。
【0040】
上位通信I/F部84は、島コントローラ3を介して管理装置1、会員サーバ2等と通信するためのインタフェースであり、島コントローラ3に接続されている。台I/F部85は、遊技機4の貸出ボタン44、返却ボタン45およびプリペイド価値表示部46を、制御部80に接続するためのインタフェースであり、これらのボタン44,45および表示部46に接続されている。遊技機通信I/F部86は、遊技機4と通信を行うためのインタフェースであり、遊技機4の制御部が接続されている。メモリ部87は、作業用メモリとして用いられる。電源部88は、入力電力から端末装置5の各部に必要とされる出力電力を生成する。
【0041】
図4は、管理装置1の電気的構成を示している。
管理装置1は、制御部90によって制御される。制御部90は、CPUおよびそのプログラムなどを記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部90には、不揮発性メモリ部91、電源部92、下位通信I/F部93、メモリ部94などが接続されている。不揮発性メモリ部91は、たとえば、書き換え可能な不揮発性メモリからなる。不揮発性メモリ部91には、カード用データ管理テーブル91a、携帯端末用データ管理テーブル91bなどが設けられている。
【0042】
カード用データ管理テーブル91aには、図5(a)に示すように、一般カードのカードIDまたは会員カードの会員IDに関連付けて、プリペイド価値データと持玉データとが記憶される。携帯端末用データ管理テーブル91bには、図5(b)に示すように、携帯ID(この例では、IDm)に関連付けて、プリペイド価値データと持玉データとが記憶される。
【0043】
図4に戻り、電源部92は、入力電力から管理装置1の各部に必要とされる出力電力を生成する。メモリ部94は、作業用メモリとして用いられる。下位通信I/F部93は、島コントローラ3を介して各端末装置5と通信したり、精算機6、景品管理機7、カード処理機8等と通信したりするためのインタフェースである。図示していないが、制御部90には、会員サーバ2と通信するためのインタフェースが接続されている。
【0044】
図6は、会員サーバ2の電気的構成を示している。
会員サーバ2は、制御部100によって制御される。制御部100は、CPUおよびそのプログラムなどを記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部100には、不揮発性メモリ部101、電源部102、下位通信I/F部103、メモリ部104などが接続されている。不揮発性メモリ部101は、たとえば、書き換え可能な不揮発性メモリからなる。不揮発性メモリ部101には、正会員用データベース(正会員用DB)101a、仮会員用データベース(仮会員用DB)101bなどが設けられている.
正会員用DB101aには、図7(a)に示すように、正会員の会員ID毎に、暗証番号、貯玉データ、氏名、住所等の個人情報が登録される。携帯IDが登録されている正会員においては、正会員の会員IDに関連して携帯IDが記憶される。一方、仮会員用DB101bには、図7(b)に示すように、仮会員の会員ID毎に、携帯ID、暗証番号および貯玉データが登録される。
【0045】
図6に戻り、電源部102は、入力電力から会員サーバ2の各部に必要とされる出力電力を生成する。メモリ部104は、作業用メモリとして用いられる。下位通信I/F部103は、島コントローラ3を介して各端末装置5と通信したり、精算機6、景品管理機7、カード処理機8等と通信したりするためのインタフェースである。図示していないが、制御部100には、管理装置1と通信するためのインタフェースが接続されている。
【0046】
遊技客が遊技機4で遊技を行なう際の端末装置5の基本的な動作について、説明する。
まず、現金(紙幣)に基づいて玉貸が行なわれる場合の、端末装置4の基本的な動作について説明する。端末装置5の紙幣挿入口62に紙幣が投入されると、挿入された紙幣の金額に相当する度数(プリペイド価値)が遊技機4のプリペイド価値表示器46に表示される。また、カードR/W部82内に収納されている一般カードのうちの1枚のカードIDが仮発行され(この時点では、当該一般カードからカードIDが読み取られるだけで、当該カードは排出されない)、当該カードIDに関連して、プリペイド価値(この場合は挿入された紙幣の金額に相当する値)が、メモリ部87に一時的に記憶されるとともに、管理装置1に送信される。管理装置1は、カード用データ管理テーブル91aに、受信したカードIDに関連付けて、受信したプリペイド価値を記憶する。このとき、プリペイド価値は、カードIDに関連付けられるとともに、当該端末装置5に関連付けられることになる。
【0047】
遊技機4の貸出ボタン44が押下されると、遊技機4側の貸玉払出機構41から、1回分の貸玉払出数に相当するパチンコ玉(貸玉)が、上皿42に払い出される。たとえば、5度数に相当する125個のパチンコ玉が払い出される。これにより、前記プリペイド価値が減算される。つまり、仮発行されたカードIDに関連付けられているプリペイド価値(メモリ部87上のプリペイド価値および管理装置1側で管理しているプリペイド価値)が更新される。遊技客は、より多くの貸玉の払出を受けたい場合には、再度、貸出ボタン44を押下すればよい。
【0048】
なお、仮発行されたカードIDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データは、後述するように、端末装置5の計数部71によって計数処理が行なわれた場合および持玉払出指令に基づいて端末装置5により遊技機4にパチンコ玉が払い出された場合には、更新される。
遊技終了時に、遊技客が遊技機4のカード返却ボタン45を押下すると、仮発行されたカードIDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データが、当該カードIDとともに、管理装置1に送られる。管理装置1は、カード用データ管理テーブル91aに、受信した持玉データを、受信したカードIDに関連付けて記憶する。また、端末装置5側では、端末装置5の内部にストックされておりかつ前述の仮発行されたカードIDが記録された一般カードに、メモリ部87上のプリペイド価値および持玉データが記録された後、当該一般カードが発行(返却)される。また、メモリ部87上のプリペイド価値および持玉データが消去される。
【0049】
遊技客は、他の遊技機4に台移動した後、この一般カードを挿入して、プリペイド価値に基づく貸玉の払出や持玉データに基づく持玉の払出を受けることが可能である。また、遊技客は、遊技施設に設置された精算機6において、一般カードに関連付けられたプリペイド価値を精算することができる。さらに、遊技客は、遊技施設内の景品カウンタに設置された景品管理機7およびカード処理機8を従業員を介して利用することにより、一般カードに関連付けられた持玉データの一部または全部を、景品に交換することができる。持玉データの一部または全部を、景品に交換した場合には、当該カードに関連付けられている持玉データ(管理装置1側で管理されている持玉データおよびカードに記録されている持玉データ)が更新される。つまり、持玉データの値は、景品交換に使用された分だけ、減少する。
【0050】
なお、会員カードについても、同様に、精算機6において、会員カードに関連付けられたプリペイド価値を精算することができる。また、景品管理機7およびカード処理機8において、会員カードに関連付けられた持玉データまたは貯玉データの一部または全部を、景品に交換することができる。
端末装置5に一般カードまたは会員カードが挿入され、挿入されたカードに関連付けられているプリペイド価値に基づいて玉貸が行なわれる場合の、端末装置5の基本的な動作について説明する。端末装置5のカード挿入/返却口67に一般カードまたは会員カードが挿入されると、カードIDまたは会員IDを含むカードデータが読み取られる。端末装置5は、当該カードIDまたは会員IDを管理装置1に送信する。
【0051】
管理装置1は、端末装置5から受信したカードIDまたは会員IDに対応するプリペイド価値データおよび持玉データを、カード用データ管理テーブル91aから検索して、端末装置5に送信する。端末装置5は、管理装置1から送信されてきたプリペイド価値データおよび持玉データを、当該カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に一時的に記憶する。このとき、カードIDまたは会員IDに関連付けられているプリペイド価値データおよび持玉データは、当該端末装置5にも関連付けられることになる。また、端末装置5は、取得したプリペイド価値に対応する度数を遊技機4のプリペイド価値表示器46に表示させる。そして、遊技機4の貸出ボタン44が押下されると、遊技機4側の貸玉払出機構41から、1回分の貸玉払出数に相当するパチンコ玉(貸玉)が、上皿42に払い出される。また、プリペイド価値が減算される。つまり、遊技客によって挿入されたカードに関連付けられているプリペイド価値(メモリ部87上のプリペイド価値および管理装置1側で管理しているプリペイド価値)が更新される。
【0052】
なお、当該カードIDに関連してメモリ部87に記憶された持玉データは、後述するように、端末装置5の計数部71によって計数処理が行なわれた場合および持玉払出指令に基づいて端末装置5により遊技機4に持玉が払い出された場合には、更新される。
遊技終了時に、遊技客が遊技機4のカード返却ボタン45を押下すると、メモリ部87に記憶されている持玉データが、対応するカードIDまたは会員IDとともに、管理装置1に送られる。管理装置1は、カード用データ管理テーブル91a内の受信したカードIDまたは会員IDに対応する持玉データを、受信した持玉データに書き換える。また、端末装置5側では、遊技客により挿入されているカードにメモリ部87上のプリペイド価値および持玉データが記録された後、当該カードが返却される。ただし、挿入されたカードが一般カードであって、プリペイド価値および持玉データとも零である場合には、当該カードは収納され、再利用される。また、メモリ部87上のプリペイド価値および持玉データが消去される。
【0053】
遊技客が獲得したパチンコ玉を計数部71によって計数させる場合の端末装置5の基本的な動作について説明する。遊技客が下皿43の底面のシャッタを開放すると、下皿43に貯留されているパチンコ玉が、玉受け皿73に送り込まれる。玉受け皿73に送り込まれたパチンコ玉は、玉通路74を通って計数部71に送られる。計数部71に送られてきたパチンコ玉の数が計数部71によって計数される。計数動作中においては、その時点での計数値が、計数表示部76に表示される。
【0054】
計数動作が終了すると、端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データを更新する。具体的には、端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に一時的に記憶されている持玉データに、計数部71による計数値を加算することにより、メモリ部87上の持玉データを更新する。今回の計数動作前において、メモリ部87内の持玉データが零である場合には、今回の計数動作後に持玉データが更新されたときに、持玉データは、メモリ部87上においてカードIDまたは会員IDに関連付けられるとともに、当該端末装置5に関連付けられることになる。
【0055】
持玉払出ボタン75が押下された場合の端末装置5の基本的な動作について説明する。持玉払出ボタン75が押下されると、端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データが所定数以上あれば、持玉払出単位に相当する所定個数のパチンコ玉を払い出し、持玉データが所定数未満であれば持玉データに相当する数のパチンコ玉を払い出す。端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データを更新する。
【0056】
具体的には、端末装置5は、カードIDまたは会員IDに関連してメモリ部87に一時的に記憶されている持玉データから、払出されたパチンコ玉数(持玉払出数)を減算することにより、メモリ部87上の持玉データを更新する。
仮会員または携帯IDが登録された正会員(携帯利用可能会員)は、携帯端末9を利用して、持玉データに基づいて持玉の払出を受けたり、貯玉データに基づいてパチンコ玉の貸玉を受けること(以下、「貯玉再プレイ」という)が可能である。
【0057】
携帯利用可能会員が携帯端末9を利用して持玉の払出を受けたい場合には、携帯利用可能会員は、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざした後に、持玉払出ボタン75を押下すればよい。端末装置5は、携帯端末9から携帯IDを読み取った後、持玉払出ボタン75が押下されると、当該携帯IDおよび持玉払出指令の入力があったことを、管理装置1に通知する。管理装置1は、携帯端末用データ管理テーブル91bから、通知された携帯IDに対応する持玉データを検索する。
【0058】
検索した持玉データが所定数以上であれば、管理装置1は、当該持玉データをその値から持玉払出単位に相当する所定数だけ減算した値に更新するとともに、持玉払出単位に相当する所定数の持玉払出が可能であることを端末装置5に送信する。一方、検索した持玉データが所定数未満であれば、管理装置は、当該持玉データを零に更新するとともに、当該持玉データに対応する数の持玉払出が可能であることを端末装置5に送信する。端末装置5は、管理装置5から通知された可能な持玉払出数分の持玉を払い出す。
【0059】
携帯利用会員が携帯端末9を利用して貯玉再プレイを行いたい場合には、携帯利用会員は、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざした後に、テンキーにより暗証番号を入力し、その後に再プレイボタン66dを押下すればよい。端末装置5は、携帯端末9から携帯IDを読み取った後、暗証番号が入力されると、当該携帯IDおよび当該暗証番号を会員サーバ2に送る。会員サーバ2は、受信した携帯IDに対応する暗証番号を正会員用DB101aまたは仮会員用DB101bから検索し、検索した暗証番号が受信した暗証番号と一致するか否かを判別する。そして、両者が一致した場合には、会員サーバ2は、当該携帯IDに対応する会員IDおよび貯玉データを端末装置に送信する。端末装置5は、前記暗証番号入力後に、再プレイボタン66dを押下されると、受信した貯玉データに基づいて所定数のパチンコ玉の貸出を行うとともに、貸出したパチンコ玉数を受信した会員IDとともに会員サーバ2に通知する。会員サーバ2は、端末装置5から受信した会員IDに対応する貯玉データを、端末装置5から受信した貸出数に基づいて更新する。
【0060】
以下、本実施形態の特徴である携帯端末9を用いた価値移動について説明する。前述したように、本実施形態では、携帯利用可能会員が現金または一般カードを用いて遊技を行っている場合において、当該携帯利用可能会員が非会員として所有している持玉データ、プリペイド価値データ等の価値情報を、携帯端末9を利用して、当該携帯端末9の携帯IDに関連付けることが可能である。端末装置5の操作部66上の持玉移動ボタン66a,プリペイド価値移動ボタン66b,持玉/プリペイド価値移動ボタン66cは、このような関連付け(価値移動)のために用いられる。
【0061】
本実施形態では、携帯利用可能会員は、非会員として所有している自己の持玉データを自己の携帯端末9の携帯IDに関連付けたい場合には、持玉移動ボタン66aを押下した後に、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざすといった一連の操作を行う。非会員として所有している自己の持玉データとは、会員IDや携帯IDに関連付けられることなく、端末装置5のメモリ部87に一時的に記憶されている持玉データをいう。
【0062】
また、携帯利用可能会員は、非会員として所有している自己のプリペイド価値データを自己の携帯端末9の携帯IDに関連付けたい場合には、プリペイド価値移動ボタン66bを押下した後に、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざすといった一連の操作を行う。非会員として所有している自己のプリペイド価値とは、会員IDや携帯IDに関連付けられることなく、端末装置5のメモリ部87に一時的に記憶されているプリペイド価値をいう。
【0063】
また、携帯利用可能会員は、非会員として所有している自己の持玉データおよびプリペイド価値データの両方を自己の携帯端末9の携帯IDに関連付けたい場合には、持玉/プリペイド価値移動ボタン66cを押下した後、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざすといった一連の操作を行う。
図8〜図10は、端末装置5によって行われる価値移動のための処理の手順を示している。また、図11〜図13は、管理装置1によって行なわれる価値移動のための処理の手順を示している。
【0064】
図8を参照して、持玉移動ボタン66aが押下された場合には(ステップS1でYES)、端末装置5の制御部80は、メモリ部87にカードID(挿入されている一般カードのカードIDまたは仮発行されている一般カードのカードID)に関連して持玉データ(零より大きな値の持玉データ)が記憶されているか否かを判別する(ステップS2)。メモリ部87にカードIDに関連して持玉データが記憶されていない場合には(ステップS2でNO)、制御部80は、移動させるべき持玉データが存在しないと判断し、今回の処理を終了する。つまり、待機状態に戻る。
【0065】
メモリ部87にカードIDに関連して持玉データが記憶されている場合には(ステップS2でYES)、制御部80は、持玉移動ボタン66aを点灯させるとともに、携帯リーダ部(携帯タッチ部)63を点滅させる(ステップS3)。そして、制御部80は、携帯検知・携帯ID読取判定を行う(ステップS4)。具体的には、制御部80は、次の3つの状態(a),(b),(c)のうちのいずれに該当するかを判定する。
(a)持玉移動ボタン66aが押下されてから所定時間(たとえば15秒)内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されかつ携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了した。
(b)前記所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されたが携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了しなかった(携帯ID読取エラー)。
(c)前記所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されなかった。
【0066】
前記ステップS4において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されなかったと判別された場合には、制御部80は、持玉移動ボタン66aおよび携帯リーダ部63を消灯させた後(ステップS5)、今回の処理を終了する。
前記ステップS4において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されかつ携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了したと判別された場合には、
制御部80は、持玉移動ボタン66aおよび携帯リーダ部63を消灯させた後(ステップS6)、持玉を移動するための処理を行なう(ステップS7)。具体的には、制御部80は、前記所定時間内において携帯リーダ部63によって読み取られた携帯IDと、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データと、当該カードIDとを含む持玉移動用データを、管理装置1に送信するとともに、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データをクリア(零)する。そして、今回の処理を終了する。
【0067】
図11を参照して、管理装置1の制御部90は、携帯端末5からの持玉移動用データを受信すると(ステップS31)、持玉移動処理を行なう(ステップS32)。図12を参照して、この持玉移動処理においては、制御部90は、携帯端末用データ管理テーブル91bに、受信データ内の携帯IDに対応する管理データが存在するか否かを判別する(ステップS41)。前記携帯IDに対応する管理データが存在しない場合には(ステップS41でNO)、制御部90は、携帯端末用データ管理テーブル91bに、受信データ内の携帯IDに関連して、受信データ内の持玉データを記憶する(ステップS42)。そして、ステップS44に移行する。
【0068】
前記ステップS41において、携帯端末用データ管理テーブル91bに、受信データ内の携帯IDに対応する管理データが存在すると判別された場合には(ステップS41でYES)、制御部90は、携帯端末用データ管理テーブル91b内の当該携帯IDに対応する持玉データを更新する(ステップS43)。具体的には、制御部90は、当該携帯IDに対応する持玉データに受信データ内の持玉データを加算することにより、当該携帯IDに対応する持玉データを更新する。そして、ステップS44に移行する。
【0069】
ステップS44では、制御部90は、カード用データ管理テーブル91a内に、受信データ内のカードIDに対応する管理データが存在しているか否かを判別し、存在している場合には、当該カードIDに関連して記憶されている持玉データを零にする。そして、今回の処理を終了する。
図8に戻り、前記ステップS4において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されたが携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了しなかった(携帯ID読取エラー)と判別された場合には、制御部80は端末装置5をエラーダウン状態にさせるとともに(ステップS8)、係員に報知する。これにより、端末装置5は動作不能状態となる。なお、エラーダウン状態は、係員によるエラー解除操作によって、解除されるようになっている。
【0070】
図9を参照して、プリペイド価値移動ボタン66bが押下された場合には(ステップS10でYES)、制御部80は、メモリ部87にカードIDに関連してプリペイド価値データ(零より大きな値のプリペイド価値データ)が記憶されているか否かを判別する(ステップS11)。メモリ部87にカードIDに関連してプリペイド価値データが記憶されていない場合には(ステップS11でNO)、制御部80は、移動させるべきプリペイド価値データが存在しないと判断し、今回の処理を終了する。
【0071】
メモリ部87にカードIDに関連してプリペイド価値データが記憶されている場合には(ステップS11でYES)、制御部80は、プリペイド価値移動ボタン66bを点灯させるとともに、携帯リーダ部63を点滅させる(ステップS12)。そして、制御部80は、携帯検知・携帯ID読取判定を行う(ステップS13)。
前記ステップS13において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されなかったと判別された場合には、制御部80は、プリペイド価値移動ボタン66bおよび携帯リーダ部63を消灯させた後(ステップS14)、今回の処理を終了する。
【0072】
前記ステップS13において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されかつ携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了したと判別された場合には、制御部80は、持玉移動ボタン66aおよび携帯リーダ部63を消灯させた後(ステップS15)、プリペイド価値を移動するための処理を行なう(ステップS16)。具体的には、制御部80は、前記所定時間内において携帯リーダ部63によって読み取られた携帯IDと、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されているプリペイド価値データと、当該カードIDとを含むプリペイド価値移動用データを、管理装置1に送信するとともに、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されているプリペイド価値データをクリア(零)する。そして、今回の処理を終了する。
【0073】
図11を参照して、管理装置1の制御部90は、携帯端末5からのプリペイド価値移動用データを受信すると(ステップS33)、プリペイド価値移動処理を行なう(ステップS34)。図13を参照して、プリペイド価値移動処理においては、制御部90は、携帯端末用データ管理テーブル91bに、受信データ内の携帯IDに対応する管理データが存在するか否かを判別する(ステップS51)。前記携帯IDに対応する管理データが存在しない場合には(ステップS51でNO)、制御部90は、携帯端末用データ管理テーブル91bに、受信データ内の携帯IDに関連して、受信データ内のプリペイド価値データを記憶する(ステップS52)。そして、ステップS54に移行する。
【0074】
前記ステップS51において、携帯端末用データ管理テーブル91bに、受信データ内の携帯IDに対応する管理データが存在すると判別された場合には(ステップS51でYES)、制御部90は、携帯端末用データ管理テーブル91b内の当該携帯IDに対応するプリペイド価値データを更新する(ステップS53)。具体的には、制御部90は、当該携帯IDに対応するプリペイド価値データに受信データ内のプリペイド価値データを加算することにより、当該携帯IDに対応するプリペイド価値データを更新する。そして、ステップS54に移行する。
【0075】
ステップS54では、制御部90は、カード用データ管理テーブル91a内に、受信データ内のカードIDに対応する管理データが存在しているか否かを判別し、存在している場合には、当該カードIDに関連して記憶されているプリペイド価値データを零にする。そして、今回の処理を終了する。
図9に戻り、前記ステップS13において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されたが携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了しなかった(携帯ID読取エラー)と判別された場合には、制御部80は端末装置5をエラーダウン状態にさせるとともに(ステップS17)、係員に報知する。これにより、端末装置5は動作不能状態となる。なお、エラーダウン状態は、係員によるエラー解除操作によって、解除されるようになっている。
【0076】
図10を参照して、持玉・プリペイド価値移動ボタン66cが押下された場合には(ステップS19でYES)、制御部80は、メモリ部87にカードIDに関連して持玉データ(零より大きな値の持玉データ)およびプリペイド価値データ(零より大きな値のプリペイド価値データ)の少なくとも一方が記憶されているか否かを判別する(ステップS20)。メモリ部87にカードIDに関連して持玉データおよびプリペイド価値データのいずれもが記憶されていない場合には(ステップS20でNO)、制御部80は、今回の処理を終了する。
【0077】
メモリ部87にカードIDに関連して持玉データおよびプリペイド価値データの少なくとも一方が記憶されている場合には(ステップS20でYES)、制御部80は、持玉・プリペイド価値移動ボタン66cを点灯させるとともに、携帯リーダ部(携帯タッチ部)63を点滅させる(ステップS21)。そして、制御部80は、携帯検知・携帯ID読取判定を行う(ステップS22)。
【0078】
前記ステップS22において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されなかったと判別された場合には、制御部80は、持玉・プリペイド価値移動ボタン66cおよび携帯リーダ部63を消灯させた後(ステップS22)、今回の処理を終了する。
前記ステップS22において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されかつ携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了したと判別された場合には、制御部80は、持玉・プリペイド価値移動ボタン66cおよび携帯リーダ部63を消灯させた後(ステップS24)、持玉およびプリペイド価値を移動するための処理を行なう(ステップS25)。具体的には、制御部80は、前記所定時間内におい携帯リーダ部63によって読み取られた携帯IDと、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データおよびプリペイド価値データ(ただし、いずれ一方のみしか記憶されていない場合には、その一方のみ)と、当該カードIDとを含む持玉・プリペイド価値移動用データを、管理装置1に送信するとともに、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データおよびプリペイド価値データをクリア(零)する。そして、今回の処理を終了する。
【0079】
図11を参照して、管理装置1の制御部90は、携帯端末5からの持玉・プリペイド価値移動用データを受信すると(ステップS35)、前記ステップS32と同様な持玉移動処理を行なった後(ステップS36)、前記ステップS34と同様なプリペイド価値移動処理を行なう(ステップS37)。つまり、制御部90は、図12に示されるような持玉移動処理と、図13に示されるようなプリペイド価値移動処理とを行う。ただし、この場合、図12のステップS44の処理と、図13のステップS54の処理とを同時に行うことが好ましい。つまり、ステップS44およびステップS54のうちの一方を省略し、他方において、制御部90は、カード用データ管理テーブル91a内に、受信データ内のカードIDに対応する管理データが存在しているか否かを判別し、存在している場合には、当該カードIDに関連して記憶されている持玉データおよびプリペイド価値データの両方を零にすればよい。
【0080】
図10に戻り、前記ステップS22において、所定時間内において、携帯リーダ部63によって携帯端末9が検知されたが携帯リーダ部63による携帯IDの読取が完了しなかった(携帯ID読取エラー)と判別された場合には、制御部80は端末装置5をエラーダウン状態にさせるとともに(ステップS26)、係員に報知する。これにより、端末装置5は動作不能状態となる。なお、エラーダウン状態は、係員によるエラー解除操作によって、解除されるようになっている。
【0081】
なお、前記ステップS8,S17,S26において端末装置5がエラーダウン状態となった場合に、一定の条件下において、エラーダウン状態になってから所定時間内に携帯IDが読み取られ、かつ読み取られた携帯IDが正会員または仮会員の携帯IDとして登録されている場合には、エラーダウン状態を自動的に解除するようにしてもよい。前記一定の条件下とは、エラーダウン状態となってから、遊技が継続されているという条件である。遊技継続中であるか否かの判定は、遊技台4からのアウト玉を検出するアウト玉センサ(図示略)の出力に基づいて行われる。つまり、アウト玉の検出間隔が所定時間内であれば、遊技継続中であると判定され、アウト玉が所定時間以上にわたって検出されなくなると、遊技中断中(または遊技終了)と判定される。これにより、遊技客によるエラーダウン状態の解除が可能となる。
【0082】
次に、価値移動を行うための処理の変形例について説明する。
この変形例では、携帯利用可能会員は、非会員として所有している自己の持玉データを自己の携帯端末9の携帯IDに関連付けたい場合には、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざした後、持玉移動ボタン66aが有効となっていればそれを押下する。また、携帯利用可能会員は、非会員として所有している自己のプリペイド価値データを自己の携帯端末9の携帯IDに関連付けたい場合には、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざした後、プリペイド価値移動ボタン66bが有効となっていればそれを押下する。また、携帯利用可能会員は、非会員として所有している自己の持玉データおよびプリペイド価値データの両方を自己の携帯端末9の携帯IDに関連付けたい場合には、携帯端末9を携帯リーダ部63にかざした後、持玉/プリペイド価値移動ボタン66cが有効となっていればそれを押下する。
【0083】
図14は、端末装置5の制御部80によって行われる価値移動のための処理の変形例の手順を示している。
図14を参照して、端末装置5の制御部80は、携帯リーダ部63によって携帯IDが読み取られた場合には(ステップS61でYES)、メモリ部87内のデータに基づいて、持玉移動ボタン66a、プリペイド価値移動ボタン66bおよび持玉・プリペイド価値移動ボタン66c(これらのボタンを総称する場合には、「価値移動ボタン」ということにする。)の各ボタンについて、有効とするか無効とするかを判別する(ステップS62)。
【0084】
この判定は、メモリ部87内にカードIDに関連して記憶されているデータが存在するかどうか、カードIDに関連して記憶されているデータが存在する場合には、そのデータが持玉データ(零より大きな持玉データ)のみであるか、プリペイド価値データ(零より大きなプリペイド価値データ)のみであるか、それらの両方であるかに基づいて行われる。メモリ部87内にカードIDに関連して記憶されているデータと、価値移動ボタン66a〜66cの有効・無効判定結果との関係は、図15に示すようになる。
【0085】
つまり、メモリ部87内に、カードIDに関連して記憶されているデータが存在しない場合には、これら3つの価値移動ボタン66a〜66cの全てが無効とされる。操作ボタンが無効とされた場合には、その操作ボタンが操作されても、対応する操作信号が出力されないか、または対応する操作信号が出力されても無効なものとして取り扱われる。
メモリ部87内にカードIDに関連して記憶されているデータが存在する場合において、そのデータが持玉データ(零より大きな持玉データ)のみである場合には、持玉移動ボタン66aのみが有効とされ、他の2つのボタン66b,66cは無効とされる。カードIDに関連して記憶されているデータがプリペイド価値データ(零より大きなプリペイド価値データ)のみである場合には、プリペイド価値移動ボタン66bのみが有効とされ、他の2つのボタン66a,66cは無効とされる。カードIDに関連して記憶されているデータが持玉データ(零より大きな持玉データ)およびプリペイド価値データ(零より大きなプリペイド価値データ)の両方である場合には、全ての価値移動ボタン66a〜66cが有効とされる。
【0086】
制御部80は、前記ステップS62の有効・無効判定によって、有効と判定された価値移動ボタンのみを点灯させる(ステップS63)。この後、所定時間内に、価値移動ボタン66a,66b,66c以外の他の有効な操作ボタンが操作されることなく、有効とされている価値移動ボタン66a,66b,66cのうちのいずれかが押下されると(ステップS64でYES)、制御部80は、押下された価値移動ボタンに応じた処理を行なう(ステップS65)。
【0087】
具体的には、前記ステップS65において押下された価値移動ボタンが有効とされている持玉移動ボタン66aである場合には、制御部80は、前述した図8のステップS7と同様な処理を行なう。すなわち、制御部80は、前記ステップS61において携帯リーダ部63によって読み取られた携帯IDと、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データと、当該カードIDとを含む持玉移動用データを、管理装置1に送信するとともに、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データをクリア(零)する。端末装置5からの持玉移動用データを受信した場合の管理装置1の動作は、図11および図12を用いて既に説明した内容と同じである。
【0088】
前記ステップS65において押下された価値移動ボタンが有効とされているプリペイド価値移動ボタン66bである場合には、制御部80は、前述した図9のステップS16と同様な処理を行なう。すなわち、制御部80は、前記ステップS61において携帯リーダ部63によって読み取られた携帯IDと、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されているプリペイド価値データと、当該カードIDとを含むプリペイド価値移動用データを、管理装置1に送信するとともに、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されているプリペイド価値データをクリア(零)する。端末装置5からのプリペイド価値移動用データを受信した場合の管理装置1の動作は、図11および図13を用いて既に説明した内容と同じである。
【0089】
前記ステップS65において押下された価値移動ボタンが有効とされている持玉・プリペイド価値移動ボタン66cである場合には、制御部80は、前述した図10のステップS25と同様な処理を行なう。すなわち、制御部80は、前記ステップS61において携帯リーダ部63によって読み取られた携帯IDと、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データおよびプリペイド価値データと、当該カードIDとを含む持玉・プリペイド価値移動用データを、管理装置1に送信するとともに、メモリ部87にカードIDに関連して記憶されている持玉データおよびプリペイド価値データをクリア(零)する。端末装置5からの持玉・プリペイド価値移動用データを受信した場合の管理装置1の動作は、図11、図12および図13を用いて既に説明した内容と同じである。
【0090】
なお、前記ステップS63において有効と判定された価値移動ボタンのみが点灯された後、所定時間内に、価値移動ボタン66a,66b,66c以外の他の有効な操作ボタン(たとえば、テンキー,持玉払出ボタン)が操作された場合には、操作された操作ボタンに応じた処理が行なわれる。例えば、前記ステップS63の処理後において、テンキーによって暗証番号が入力され、その後、再プレーボタン66dが押下された場合には、前述したように、貯玉再プレイのための処理が行なわれることになる。また、前記ステップS63の処理後において、持玉払出ボタン75が押下された場合には、前述したように持玉の払出のための処理が行なわれることなる。
【0091】
前記ステップS62の価値移動ボタンの有効・無効判定おいて、遊技継続中であるか遊技中断中(遊技終了)であるかをさらに考慮して、有効・無効を判定するようにしてもよい。遊技継続中であるか遊技中断中(遊技終了)であるかは、前述したように、アウト玉センサの検出信号に基づいて行われる。たとえば、持玉移動は遊技終了後に行われると考えられるので、メモリ部87内のデータに基づいて持玉移動ボタン66aのみが有効であると判定された場合であっても、遊技継続中であると判定された場合には、持玉移動ボタン66aを無効と判定するようにしてもよい。同様に、メモリ部87内のデータに基づいて全ての価値移動ボタン66a,66b,66cが有効と判定された場合であっても、遊技継続中であると判定された場合には、そのうち持玉移動ボタン66aおよび持玉・プリペイド価値移動ボタン66cを無効とするようにしてもよい。
【0092】
前述した実施形態では、図8、図9、図10、図14において、携帯IDが読み取られた場合に、その携帯IDが会員(正会員または仮会員)であるか否かの確認を行っていないが、携帯IDが読み取られた場合に、端末装置5は、会員サーバ2に問い合わせ、会員として登録されている場合には、当該携帯IDを受け付けてその携帯IDへの関連付け(価値移動)を実行し、会員として登録されていなければアラーム報知するようにしてもよい。
【0093】
また、会員IDや携帯IDに関連付けられることなく端末装置5のメモリ部87に一時的に記憶されている価値(持玉データ,プリペイド価値データ)の一部のみを読み取られた携帯IDに関連付けるようにしてもよい。この場合には、移動させる価値の量を入力する必要がある。また、残った価値データは、端末装置5に残っており、継続して遊技に使用できる。
【0094】
前述した実施形態では、プリペイド価値データおよび持玉データは管理装置(T/C)1で管理され、会員データおよび持玉データは会員サーバ2で管理されているが、これらのデータを単一の管理装置で管理するようにしてもよい。また、前記実施形態では、携帯端末9を使用して持玉移動とプリペイド価値移動を行えるようになっているが、いずれか一方の移動のみ行えるようにしてもよい。持玉移動を行なわない場合には、端末装置9は、各台計数部52を備えていなくてもよい。
【0095】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 管理装置
4 遊技機
5 端末装置
9 携帯端末
63 携帯リーダ部
66a,66b,66c 価値移動ボタン
71 計数部
80 制御部
90 制御部
91a カード用データ管理テーブル
91b 携帯端末用データ管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機毎に設けられる端末装置であって、
非接触通信により携帯端末から識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
価値移動指令を入力するための入力手段と、
前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段による識別情報の読取が完了したときに、当該端末装置に関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段とを含む、端末装置。
【請求項2】
前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段による識別情報の読取が行われなければ、前記価値移動指令の入力が取り消される、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段によって携帯端末が検知されたが識別情報が正常に読み取られなかったときに、端末装置を動作不能状態にさせる手段を含む、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
遊技機毎に設けられる端末装置であって、
非接触通信により携帯端末から識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
価値移動指令を入力するための入力手段と、
前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、前記入力手段に対して行われうる操作のうち、次に操作可能な操作を遊技客に報知するための報知手段と、
前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られた後、所定時間内に前記入力手段によって価値移動指令が入力されたときに、当該端末装置に関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段とを含む、端末装置。
【請求項5】
前記入力手段は、価値移動指令を入力するための1または複数の価値移動ボタンを含み、
前記報知手段は、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、当該端末装置に関連付けられている価値情報の有無および当該端末装置に関連付けられている価値情報の種類に応じて、前記入力手段に含まれている前記各価値移動ボタンを有効とするか無効とするかを判定し、有効と判定された価値移動ボタンを通常時とは異なる態様で提示する手段を含む、請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
当該端末装置に関連付けられる価値情報が、プリペイド価値および/または持玉データである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
遊技機毎に設けられる端末装置と、前記各端末装置と通信可能な管理装置とを含み、
前記各端末装置は、
非接触通信により携帯端末から識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
価値移動指令を入力するための入力手段と、
前記入力手段によって価値移動指令が入力された後、所定時間内に前記識別情報読取手段による識別情報の読取が完了したときに、受け付けられている記録媒体の記録媒体IDに関連付けられている価値情報を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段とを含み、
前記価値移動処理手段は、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報と、前記記録媒体IDと、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部とを含む価値移動用データを前記管理装置に送信する送信手段を含んでおり、
前記管理装置は、
前記記録媒体に記録された記録媒体IDに関連付けて価値情報を記憶するための第1記憶手段と、
前記端末装置の識別情報に関連付けて価値情報を記憶するための第2記憶手段と、
前記端末装置からの前記価値移動用データを受信したときには、当該価値移動用データに応じて、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段に対して価値移動のためのデータ処理を行なうデータ処理手段とを含む、価値移動システム。
【請求項8】
遊技機毎に設けられる端末装置と、前記各端末装置と通信可能な管理装置とを含み、
前記各端末装置は、
非接触通信により携帯端末から識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
価値移動指令を入力するための入力手段と、
前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、前記入力手段に対して行われうる操作のうち、次に操作可能な操作を遊技客に報知するための報知手段と、
前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られた後、所定時間内に前記入力手段によって価値移動指令が入力されたときに、受け付けられている記録媒体の記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部を、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報に関連付けるための処理を行なう価値移動処理手段とを含み、
前記価値移動処理手段は、前記識別情報読取手段によって読み取られた識別情報と、前記記録媒体IDと、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の一部もしくは全部とを含む価値移動用データを前記管理装置に送信する送信手段を含んでおり、
前記管理装置は、
前記記録媒体に記録された記録媒体IDに関連付けて価値情報を記憶するための第1記憶手段と、
前記端末装置の識別情報に関連付けて価値情報を記憶するための第2記憶手段と、
前記端末装置からの前記価値移動用データを受信したときには、当該価値移動用データに応じて、前記第1記憶手段および前記第2記憶手段に対して価値移動のためのデータ処理を行なうデータ処理手段とを含む、価値移動システム。
【請求項9】
前記入力手段は、価値移動指令を入力するための1または複数の価値移動ボタンを含み、
前記報知手段は、前記識別情報読取手段によって識別情報が読み取られたときに、前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の有無および前記記録媒体IDに関連付けられている価値情報の種類に応じて、前記入力手段に含まれている前記各価値移動ボタンを有効とするか無効とするかを判定し、有効と判定された価値移動ボタンを通常時とは異なる態様で提示する手段を含む、請求項8に記載の価値移動システム。
【請求項10】
前記記録媒体IDに関連付けられる価値情報が、プリペイド価値および/または持玉データである、請求項7〜9のいずれか一項に記載の価値移動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−120629(P2011−120629A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278638(P2009−278638)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】