説明

端末装置及びコンテンツのレコメンド方法

【課題】端末装置が置かれている状況に対して適切なコンテンツを、端末装置における最大レコメンド件数を超えない範囲でレコメンドし、且つ、前記状況により強く合致したレコメンドルールに対応するコンテンツを、優先的にレコメンドすることが可能な端末装置を提供すること。
【解決手段】センサ情報に基づいて端末装置が置かれている状況を推定し、状況を示す状況ラベルに対し該状況ラベルに示されている状況と当該端末装置が置かれている状況との合致性を示す状況ラベル確度を状況推定結果として生成する状況推定手段201と、レコメンドルールを評価して優先度を生成する条件評価手段203と、レコメンドルールと状況推定結果と優先度とに基づいて、レコメンドルールについての評価値を算出する評価手段204と、評価値に基づいてレコメンドするコンテンツを決定する出力判定手段205と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを再生可能な端末装置及びコンテンツのレコメンド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の条件(状況)下において起動するプログラムが設定されたルールを備える携帯端末装置であって、当該携帯端末装置が置かれた状況が、特定の条件に合致した場合に、それに対応するプログラムが自動で実行される携帯端末装置が知られている。
【0003】
非特許文献1に開示されている携帯端末装置においては、前記条件は日付、時間、及び場所の項目に分けられ、前記条件(状況)を説明するラベルである状況ラベルによって扱われる。この状況ラベルの例としては、時間の項目であれば“朝”、“夕方”等、場所の項目であれば“立川駅”、“会社”等が存在する。
【0004】
前記ルールを設定する場合、条件は状況ラベルの組合せで設定される。例えば、ルールとして、『「昼」且つ「会社」であれば「ニュースを表示」する』等のルールが存在する。
【0005】
そして、携帯端末装置においては、センサから取得したセンサデータに基づいて、当該携帯端末装置が置かれている状況が各状況ラベルに合致するかを判定する。判定の手段として、例えば各状況ラベルに合致した度合いをそれぞれ評価関数によって評価し、評価関数の出力が閾値を超えた状況ラベルは、当該携帯端末装置が置かれている状況と合致していると判定する。
【0006】
そして、当該携帯端末装置が置かれている状況と合致した状況ラベルの組み合せが、ルールにおいて条件として設定された状況ラベルの組み合せと合致した場合に、当該ルールで設定したプログラムが自動的に実行されるように構成されている。
【0007】
つまり、以上説明した携帯端末装置は、センサの出力に基づいて状況ラベルへの合致の度合いを示す状況ラベル確度を計算する状況推定手段と、状況ラベルの組み合せを条件とし、該条件と出力するコンテンツとの組み合せを記したレコメンドルールと、を有し、前記状況推定手段によって取得した状況ラベル確度が閾値よりも大きい状況ラベルの組み合せが、レコメンドルールに記載された条件と合致したときに、それに対応するコンテンツを自動的にレコメンドする。
【0008】
なお、この技術では、レコメンドルールを複数用意した場合、取得した状況が複数のレコメンドルールに同時に合致してしまい、出力するコンテンツ数が装置の最大コンテンツレコメンド件数を超えてしまうケースがあるという問題を有している。結果として、状況に対して強く合致するレコメンドルールに対応するコンテンツが、合致性がより弱いレコメンドルールに対応するコンテンツに埋もれてしまうという問題も有している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】加藤 文彦,遠山 緑生,服部 隆志,萩野 達也、「第7回プログラミングおよび応用のシステムに関するワークショップSPA 2004 論文集」pp. 177-184、(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
携帯端末装置が置かれている状況を推定し、当該状況が特定の条件を満たした場合に、それに対応するコンテンツをレコメンドする技術においては、状況の推定結果を確定的ではない“確度”として扱い、それが条件を満たす度合いを計算して用いることで、不確かさを有する状況であっても或る程度適切なレコメンドを可能としている。
【0011】
しかしながら、確度として状況を扱う場合、条件を複数指定して具体的に条件を記述すると、条件を全て満たす確度が低くなる為、コンテンツがレコメンドされにくくなるという課題が存在する。
【0012】
更には、レコメンドルールを複数用意した場合、取得した状況が複数のレコメンドルールに同時に合致してしまい、出力するコンテンツ数が装置の最大コンテンツレコメンド件数を超えてしまうケースがあるという課題が存在する。結果として、状況に対して強く合致するレコメンドルールに対応するコンテンツが、合致のより弱いレコメンドルールに対応するコンテンツに埋もれてしまう。
【0013】
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、当該端末装置が置かれている状況に対して適切なコンテンツを、端末装置における最大レコメンド件数を超えない範囲でレコメンドし、且つ、前記状況により強く合致したレコメンドルールに対応するコンテンツを、優先的にレコメンドすることが可能な端末装置及びコンテンツのレコメンド方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る端末装置は、
物理量を測定する測定手段から出力された情報を取得する入力手段と、
当該端末装置が置かれている状況を示す状況ラベルに対し、前記入力手段により取得した情報に基づいて、該状況ラベルに示されている状況と当該端末装置が置かれている状況との合致性を示す状況ラベル確度を状況推定結果として生成する状況推定手段と、
前記状況ラベルに対応する条件と、該条件として記述されている内容に応じたコンテンツと、が対応付けられたレコメンドルールが記録されたレコメンドルールデータベースと、
前記レコメンドルールデータベースに記録されたレコメンドルールを評価して、各々のレコメンドルールについて優先度を生成するレコメンドルール評価手段と、
前記レコメンドルールと、前記状況推定結果と、前記優先度と、に基づいて、前記レコメンドルールについての評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値に基づいて、レコメンドするコンテンツを決定するレコメンドコンテンツ決定手段と、
を具備することを特徴とする。
【0015】
前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様に係るコンテンツのレコメンド方法は、
端末装置においてコンテンツをユーザにレコメンドするコンテンツのレコメンド方法であって、
物理量を測定する測定手段から出力された情報を取得する入力ステップと、
当該端末装置が置かれている状況を示す状況ラベルに対し、前記入力ステップにおいて取得した情報に基づいて、該状況ラベルに示されている状況と当該端末装置が置かれている状況との合致性を示す状況ラベル確度を状況推定結果として生成する状況推定ステップと、
前記状況ラベルに対応する条件と、該条件として記述されている内容に応じたコンテンツと、が対応付けられたレコメンドルールを記憶するデータベースから、前記レコメンドルールを読み出すレコメンドルール読み出しステップと、
前記レコメンドルール読み出しステップにおいて読み出されたレコメンドルールを評価して、各々のレコメンドルールについて優先度を生成するレコメンドルール評価ステップと、
前記レコメンドルールと、前記状況推定結果と、前記優先度と、に基づいて、前記レコメンドルールについての評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記評価値に基づいて、レコメンドするコンテンツを決定するレコメンドコンテンツ決定ステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、当該端末装置が置かれている状況に対して適切なコンテンツを、端末装置における最大レコメンド件数を超えない範囲でレコメンドし、且つ、前記状況により強く合致したレコメンドルールに対応するコンテンツを、優先的にレコメンドすることが可能な端末装置及びコンテンツのレコメンド方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の外観を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の概略一構成例を示す図。
【図3】状況推定手段から出力される状況推定結果の一例を示す図。
【図4】レコメンドルールDBに記録されているレコメンドルールの一例を示す図。
【図5】条件評価手段によるレコメンドルールの優先度算出処理のフローチャートを示す図。
【図6】評価手段による評価値の算出処理のフローチャートを示す図。
【図7】出力判定手段による出力コンテンツの決定処理のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る端末装置及びコンテンツのレコメンド方法を説明する。ここでは、端末装置として携帯端末装置を想定する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯端末装置10の外観構成例を示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る携帯端末装置10のシステム構成例を示す図である。なお、説明の便宜上、本一実施形態に係る携帯端末装置10の特徴部に直接的に関与する構成要件のみを図示している。
【0020】
携帯端末装置10は、入力部100と、レコメンド部200と、表示部10Aと、を具備する。
【0021】
前記入力部100は、携帯端末装置10に接続された各種センサ(物理量を直接測定するセンサや通信によって物理量を測定するセンサ)等の情報入力装置から入力された情報を読み取る。この情報入力装置としては、例えば、加速度センサと、GPS手段と、時計手段と、を挙げることができる。携帯端末装置10は、当該携帯端末装置10が置かれている状況を検出する為の手段として、これらの情報入力装置を具備する。
【0022】
詳細は後述するが、携帯端末装置10では、これらの情報入力装置により取得したデータに基づいて、当該携帯端末装置10が置かれている状況を推定し、該推定結果に応じて適切なコンテンツを選択し、該コンテンツを、例えば当該携帯端末装置10の各機能へのショートカットボタン10aとして表示部10Aに表示する。このようにして、当該携帯端末装置10が置かれている状況に相応しいコンテンツをユーザに提示する(レコメンドする)。
【0023】
なお、前記表示部10Aは、例えばLCD等のディスプレイである。
【0024】
前記レコメンド部200は、状況推定手段201と、レコメンドルールDB202と、条件評価手段203と、評価手段204と、出力判定手段205と、を備える。
【0025】
前記状況推定手段201は、入力部100により読み取った情報に基づいて、当該携帯端末装置10の置かれている状況を推定し、該推定結果を示す状況推定結果210を生成して評価手段204に出力する。
【0026】
前記レコメンドルールDB202は、レコメンドルール211(詳細は後述)が記録されたデータベースである。
【0027】
前記条件評価手段203は、レコメンドルールDB202に記録されたレコメンドルール211を評価し、各々のレコメンドルール211の優先度212を、評価手段204に出力する。
【0028】
前記評価手段204は、状況推定結果210と、レコメンドルール211と、優先度212と、に基づいて、レコメンドルール211についての評価値213を算出して出力判定手段205に出力する。
【0029】
前記出力判定手段205は、前記評価手段204から出力された評価値213に基づいて、出力するコンテンツ(ユーザにレコメンドするコンテンツ)を決定し、ショートカットボタン10aとして表示部10Aに出力表示させる。
【0030】
以下、前記レコメンド部200による処理の詳細について説明する。
【0031】
図3は、状況推定手段201から出力される状況推定結果210の一例を示す図である。
【0032】
状況推定手段201は、状況を示す“状況ラベル(C2)”と該状況ラベル(C2)に示されている状況とを記憶しており、状況ラベルに示されている状況と現在当該携帯端末装置10が置かれている状況とが合致する確度である“状況ラベル確度(C3)”を状況推定結果210として出力する。なお、状況ラベル(C2)は、“状況項目(C1)”によってグルーピングされている。
【0033】
詳細には、状況項目(C1)としては、例えば時間帯(C11)と、移動状態(C12)と、場所(C13)と、目的地(C14)と、が存在する。
【0034】
時間帯(C11)に対応する状況ラベル(C2)としては、例えば朝と、昼と、夜と、深夜と、が存在する。状況推定手段201は入力部100の時計手段によって計時された現在時刻を用いて、時間帯(C11)の各状況ラベルに示されている状況と現在時刻との合致性を示す状況ラベル確度を出力する。
【0035】
移動状態(C12)に対応する状況ラベル(C2)としては、例えば静止と、歩行と、走行と、乗り物と、が存在する。状況推定手段201は入力部100の加速度センサとGPS手段によって計測された加速度と位置情報とを用いて、移動状態(C12)の各状況ラベルに示されている状況と現在の状況との合致度を示す状況ラベル確度を出力する。
【0036】
場所(C13)に対応する状況ラベル(C2)としては、例えば自宅と、会社と、その他と、が存在する。状況推定手段201は入力部100のGPS手段によって計測された位置情報を用いて、場所(C13)の各状況ラベルに示されている状況と現在の状況との合致度を示す状況ラベル確度を出力する。
【0037】
目的地(C14)に対応する状況ラベル(C2)としては、例えば自宅と、会社と、その他と、が存在する。状況推定手段201は入力部100のGPS手段によって計測された位置情報を用いて、目的地(C14)の各状況ラベルに示されている状況と現在の状況との合致度を示す状況ラベル確度を出力する。
【0038】
図4は、レコメンドルールDB202に記録されているレコメンドルール211の一例を示す図である。同図において、一行一行がそれぞれレコメンドルール211の一例を示している。
【0039】
同図に示すように、レコメンドルール211は、例えばID(R1)と、条件(R2)と、コンテンツ(R3)と、基本優先度(R4)と、から成る。
【0040】
ID(R1)は、レコメンドルール211を一意に決定する識別子である。
【0041】
条件(R2)は、レコメンドするコンテンツ(R3)にそれぞれ対応する状況条件を示す。
【0042】
コンテンツ(R3)は、条件(R2)を満たした場合に表示部10Aにレコメンド表示させるコンテンツを示す。
【0043】
基本優先度(R4)は、複数のレコメンドルール211が同時に条件を満たした場合に、各々のコンテンツについてレコメンド表示する優先順位を決定する為の値を示す。なお、基本優先度(R4)の値は、例えばユーザの使用頻度等に基づいて動的に変更するように設定してもよい。
【0044】
ここで、条件(R2)は、状況推定結果210における状況ラベル(C2)を組み合わせて定義する。そして、同じ状況項目(C1)にグルーピングされている状況ラベル(C2)同士が組み合わせられている場合には、それらの間には「OR(または)」の関係があるものとする。
【0045】
例えば、図4に示すID(R1)が“1”であるレコメンドルール211は、“朝に静止または歩行中には、電話アプリを起動するボタンを表示部に配置する”動作を想定して設定されたレコメンドルールの一例である。
【0046】
従って、条件(R2)として、状況項目(C1)のうち“時間帯(C11)”に対応する条件(R21)を“朝”、“移動状態(C12)”に対応する条件(R22)を“静止 OR 歩行”、“場所(C13)”に対応する条件(R23)を“ワイルドカード(何れの状況項目でもよい)”、“目的地(C14)”に対応する条件(R24)を“ワイルドカード”、に設定している。
【0047】
同様に、図4に示すID(R1)が“2”であるレコメンドルール211は、“朝または夜に、静止または乗り物に乗っているときにメールアプリを起動するボタンを表示部に配置する”動作を想定して設定されたレコメンドルールの一例である。
【0048】
従って、条件(R2)として、状況項目(C1)のうち“時間帯(C11)”に対応する条件(R21)を“朝 OR 夜”、“移動状態(C12)”に対応する条件(R22)を“静止 OR 歩行”、“場所(C13)”に対応する条件(R23)を“ワイルドカード”、“目的地(C14)”に対応する条件(R24)を“ワイルドカード”、に設定している。
【0049】
さらに、図4に示すID(R1)が“3”であるレコメンドルール211は、“乗り物に乗っているときはマナーモードへ切り換えるボタンを表示部に配置する”動作を想定して設定されたレコメンドルールの一例である。
【0050】
従って、条件(R2)として、状況項目(C1)のうち“時間帯(C11)”に対応する条件(R21)を“ワイルドカード”、“移動状態(C12)”に対応する条件(R22)を“乗り物”、“場所(C13)”に対応する条件(R23)を“ワイルドカード”、“目的地(C14)”に対応する条件(R24)を“ワイルドカード”、に設定している。
【0051】
そして、図4に示すID(R1)が“4”のレコメンドルール211は、“昼に会社にいるときはニュースを表示する”動作を想定して設定されたレコメンドルールの一例である。
【0052】
従って、条件(R2)として、状況項目(C1)のうち“時間帯(C11)”に対応する条件(R21)を“昼”、“移動状態(C12)”に対応する条件(R22)を“ワイルドカード”、“場所(C13)”に対応する条件(R23)を“会社”、“目的地(C14)”に対応する条件(R24)を“ワイルドカード”、に設定している。
【0053】
なお、レコメンドルール211の設定は、携帯端末の開発時に行ってもよいし、ユーザの操作によって設定する構成としてもよい。
【0054】
ところで、条件評価手段203は、レコメンドルールDB202から出力されたレコメンドルール211に対し、当該レコメンドルール211の条件が具体的に記述されているか否かの観点から、包含するワイルドカードの数を基準に評価して、それぞれのレコメンドルール211の優先度を算出する処理を行う。以下、条件評価手段203によるレコメンドルール211の優先度算出処理について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0055】
まず、条件評価手段203は、処理対象のレコメンドルール211について、ワイルドカード累積値(算出方法は後述する)の初期値を零に設定する(ステップE0)。
【0056】
続いて、条件評価手段203は、処理対象のレコメンドルール211から、状況項目(C1)に対応する条件(R21,R22,R23,R24)を順に読み出す(ステップE1)。
【0057】
次に、条件評価手段203は、前記(ステップE1)において読み出した状況項目に対応する条件について次のようにワイルドカード換算値を算出する(ステップE2)。
【0058】
ここで、ワイルドカード換算値は、状況項目(C1)に対応する条件が1つに定まっていれば零、ワイルドカードであれば1となる値である。すなわち、ワイルドカード換算値は、条件に含まれるORの数に基づき、(条件のORの数)/((状況ラベルの数)−1)で定義される。
【0059】
例えば、条件(R2)のうち時間帯(R21)についての状況項目(C1)がワイルドカードの場合は、状況項目(C1)の時間帯(C11)が“朝 OR 昼 OR 夜 OR 深夜”の場合と等価である。
【0060】
従って、状況項目(C1)の時間帯(C11)の条件がワイルドカードであった場合のワイルドカード換算値は、3/(4−1)=1となる。
【0061】
同様に、状況項目(C1)の時間帯(C11)が“朝 OR 夜”の場合には、ORの数が1つであるので、ワイルドカード換算値は1/(4−1)=1/3である。
【0062】
このようにワイルドカード換算値を算出した後、条件評価手段203は、算出したワイルドカード換算値をワイルドカード累積値に加算し、ワイルドカード累積値を更新する(ステップE3)。この作業を全ての状況項目について実行し、全状況項目(C1)のワイルドカード累積値を算出する。
【0063】
すなわち、前記(ステップE3)における処理を終えた後、条件評価手段203は、全ての状況項目についてワイルドカード累積値を算出したか否かを判定する(ステップE4)。この(ステップE4)をNOに分岐する場合は、前記(ステップE1)へ戻る。
【0064】
一方、前記(ステップE4)をYESに分岐する場合は、全ての状況項目のワイルドカード累積値が算出されているので、条件評価手段203は、レコメンドルール211の有する基本優先度(R4)と、ワイルドカード累積値と、に基づいて優先度を算出する(ステップE5)。
【0065】
具体的には、このステップE5においては、入力値が大きくなると出力値の値が小さくなる割引関数f(x)を用い、(優先度)=(基本優先度)×f((ワイルドカード累積値))
により算出する。
【0066】
例えば割引関数の一例として、定数αを0<α<1として、f(x)=(1−α)^xを挙げることができる(「^」は累乗記号)。
【0067】
ところで、図4に示すID(R1)=1のレコメンドルール211のワイルドカード累積値は7/3である。また、図4に示すID(R1)=2のレコメンドルール211のワイルドカード累積値は8/3である。
【0068】
従って、この場合には割引関数の出力については、ID(R1)=1のレコメンドルール211の方がより大きい。このように、同じ基本優先度のレコメンドルールであっても、実際の優先度としては、ID(R1)=1のレコメンドルール211の方がより大きい。
【0069】
詳細には、図4に示すID(R1)=1のレコメンドルール211と、ID(R1)=2のレコメンドルール211と、の条件(R2)における相違点は、時間帯(R21)についてであり、“朝”と“朝 OR 夜”との相違である。この場合、前者の方が条件の範囲が狭く具体的である。そして、条件評価手段203は、具体的な条件を有するレコメンドルール211により高い優先度をつける。
【0070】
以下、評価手段204による処理について説明する。
【0071】
評価手段204は、状況推定結果210と、レコメンドルール211と、優先度212と、に基づいて、レコメンドルール211についての評価値213を算出する。以下、評価手段204による評価値213の算出処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。図6は、評価手段204による評価値213の算出処理のフローチャートを示す図である。
【0072】
まず、評価手段204は、評価値の初期値を優先度に設定する(ステップA0)。続いて、評価手段204は、状況推定結果210における状況項目(C1)に対応するレコメンドルール211の条件(R2)から(R21,R22,R23,R24)を順に読み出す(ステップA1)。
【0073】
そして、評価手段204は、(ステップA1)において読み出した状況項目(C1)についての“条件合致確度”を算出する(ステップA2)。
【0074】
詳細には、この(ステップA2)においては、読み出した状況項目(C1)に対応する条件から状況ラベル(C2)を取り出し、同じ状況ラベル(C2)を有する状況推定結果210の状況ラベル確度(C3)の総和を取って条件合致確度を算出する。
【0075】
なお、条件がワイルドカードであった場合には、この(ステップA2)において算出する条件合致確度を常に1とする。これにより、計算処理を省くことができる。
【0076】
より具体的には、(ステップA2)においては、例えば図4に示すレコメンドルール211のうちID(R1)=1のレコメンドルール211は、移動状態(R22)についての条件が“静止 OR 歩行”である。従って、図3に示す状況推定結果210の値を適用した場合の移動状態(R22)についての条件合致確度は、0.1(静止)+0.5(歩行)=0.6となる。
【0077】
前記(ステップSA2)において条件合致確度を算出した後、評価手段204は、条件合致確度を評価値に積算する(ステップA3)。そして、全ての状況項目(C1)について(ステップA1)〜(ステップA3)における処理を行ったか否かを判定する(ステップA4)。この(ステップA4)をNOに分岐する場合は、前記(ステップA1)に戻る。
【0078】
一方、前記(ステップA4)をYESに分岐する場合は、評価手段204は、前記(ステップA3)にて算出した値を評価値213として出力判定手段205に出力する(ステップA5)。
【0079】
以下、出力判定手段205による出力コンテンツの決定処理について、図7を参照して説明する。図7は、出力判定手段205による出力コンテンツの決定処理のフローチャートを示す図である。
【0080】
まず、出力判定手段205は、処理対象のレコメンドルール211が存在するか否かを判定する(ステップU1)。この(ステップU1)をNOに分岐する場合、出力判定手段205は、当該処理を終了する。
【0081】
他方、前記(ステップU1)をYESに分岐する場合、出力判定手段205は、処理対象のレコメンドルール211のうち評価値213が最も高い値のレコメンドルール211を読み出す(ステップU2)。
【0082】
そして、出力判定手段205は、(ステップU2)において読み出したレコメンドルール211に記載されているコンテンツ(R3)を読み出す(ステップU3)。
【0083】
ここで出力判定手段205は、前記(ステップU3)において読み出したコンテンツ(R3)が、本フローチャートの処理を開始してから既に出力済みのコンテンツと同一のコンテンツであるか否かを判定する(ステップU4)。この(ステップU4)をYESに分岐する場合、前記(ステップU1)に戻る。
【0084】
前記(ステップU4)をNOに分岐する場合、出力判定手段205は、当該コンテンツが実際に出力可能なコンテンツであるか否かを判定する(ステップU5)。例えば、“マナーモードへ切り換えるボタン”コンテンツが処理対象のコンテンツである場合であって、当該携帯端末装置10が既にマナーモードに設定されている場合には、当該コンテンツを出力することは無意味な処理となるので、このような場合には、出力判定手段205は、当該コンテンツを出力不可能なコンテンツであると判定する。このように(ステップU5)をNOに分岐する場合には、前記(ステップU1)に戻る。
【0085】
一方、前記(ステップU5)をYESに分岐する場合、出力判定手段205は、当該コンテンツを表示部10Aに出力して表示させる(ステップU6)。具体的には、出力判定手段205は、当該コンテンツを、例えば各機能へのショートカットボタン10aとして表示部10Aに表示する。
【0086】
そして、出力判定手段205は、出力したコンテンツの数が一定数を越えたか否かを判定する(ステップU7)。この(ステップU7)をYESに分岐する場合は、当該処理を終了する。他方、(ステップU7)をNOに分岐する場合は、前記(ステップU1)に戻る。
【0087】
以上説明したように、本一実施形態によれば、当該端末装置が置かれた状況に対応するコンテンツを、端末装置の最大コンテンツレコメンド件数を超えずにレコメンドし、且つ、前記状況により強く合致したレコメンドルールに対応するコンテンツを優先的にレコメンドすることが可能な端末装置及びコンテンツのレコメンド方法を提供することができる。
【0088】
具体的には、例えば評価手段204が、状況推定結果210と条件(R2)との合致性と状況ラベル確度(C3)とを組み合わせて、条件合致についての確度として扱う。これにより、合致性がより強いレコメンドルール211に対応するコンテンツを抽出して出力することが可能となる。
【0089】
また、状況に応じてコンテンツをレコメンドする場合、現在状況により合致したコンテンツをレコメンドすることが望ましい。本一実施形態によれば、評価手段204が現在状況と条件との合致性を評価し、その評価に基づいてコンテンツをレコメンドするので、これを実現することができる。また、優先度を設定する為、複数のレコメンドルール間の優先順位が明確である。
【0090】
さらには、条件が具体的でないレコメンドルールの優先度を下げることにより、具体的に記載されたルールに基づいたコンテンツを優先的にレコメンドすることができる。すなわち、条件の具体性を数値によって評価することが可能となる。詳細には、“OR関係”の数に基づいて具体性を評価する。
【0091】
詳細には、例えば図4に示すレコメンドルール211において、状況推定結果210が“朝、静止している”を示す場合など、状況推定結果210がID(R1)=1及びID(R1)=2のレコメンドルール211の複数の条件(R2)に同時に合致しているような場合であっても、条件の具体性に基づいてレコメンドルール211の優先順位を決定する(より具体的に条件が記述されているレコメンドルール211を優先する)。つまり、携帯端末装置10が置かれている状況に対してより相応しいコンテンツを、ユーザにレコメンドすることが可能となる。
【0092】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0093】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0094】
10…携帯端末装置、 10A…表示部、 10a…ショートカットボタン、 100…入力部、 200…レコメンド部、 201…状況推定手段、 202…レコメンドルールDB、 203…条件評価手段、 204…評価手段、 205…出力判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を測定する測定手段から出力された情報を取得する入力手段と、
当該端末装置が置かれている状況を示す状況ラベルに対し、前記入力手段により取得した情報に基づいて、該状況ラベルに示されている状況と当該端末装置が置かれている状況との合致性を示す状況ラベル確度を状況推定結果として生成する状況推定手段と、
前記状況ラベルに対応する条件と、該条件として記述されている内容に応じたコンテンツと、が対応付けられたレコメンドルールが記録されたレコメンドルールデータベースと、
前記レコメンドルールデータベースに記録されたレコメンドルールを評価して、各々のレコメンドルールについて優先度を生成するレコメンドルール評価手段と、
前記レコメンドルールと、前記状況推定結果と、前記優先度と、に基づいて、前記レコメンドルールについての評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値に基づいて、レコメンドするコンテンツを決定するレコメンドコンテンツ決定手段と、
を具備することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記レコメンドルール評価手段は、前記レコメンドルールの条件として記述されている内容の具体性に基づいてレコメンドルールを評価し、前記具体性が低いレコメンドルールの優先度を下げる処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記レコメンドルール評価手段は、前記レコメンドルールの条件として使用していない状況の項目数である未使用状況項目数を算出し、該未使用状況項目数が少ないほど前記具体性が高いとみなす
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記レコメンドルール評価手段は、前記レコメンドルールの条件として記述されている内容において用いられているOR関係の数を、状況の項目毎に算出し、該算出結果を前記未使用状況項目数に換算する
ことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記測定手段は、GPS手段、加速度センサ、及び時計手段のうち少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか一つに記載の端末装置。
【請求項6】
端末装置においてコンテンツをユーザにレコメンドするコンテンツのレコメンド方法であって、
物理量を測定する測定手段から出力された情報を取得する入力ステップと、
当該端末装置が置かれている状況を示す状況ラベルに対し、前記入力ステップにおいて取得した情報に基づいて、該状況ラベルに示されている状況と当該端末装置が置かれている状況との合致性を示す状況ラベル確度を状況推定結果として生成する状況推定ステップと、
前記状況ラベルに対応する条件と、該条件として記述されている内容に応じたコンテンツと、が対応付けられたレコメンドルールを記憶するデータベースから、前記レコメンドルールを読み出すレコメンドルール読み出しステップと、
前記レコメンドルール読み出しステップにおいて読み出されたレコメンドルールを評価して、各々のレコメンドルールについて優先度を生成するレコメンドルール評価ステップと、
前記レコメンドルールと、前記状況推定結果と、前記優先度と、に基づいて、前記レコメンドルールについての評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記評価値に基づいて、レコメンドするコンテンツを決定するレコメンドコンテンツ決定ステップと、
を有することを特徴とするコンテンツのレコメンド方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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