説明

竹による環境改善方法

【課題】竹は、環境保全のため自然材として利用したり、微生物を使った水処理にも適応されている。しかし、竹を加工する必要があるためそのための操作が必要になる。竹を用いて水浄化する方法もあるが、竹そのものを生育させるため竹を保存して汚染場所まで搬送することや搬送時間、生育の時間が必要なことから環境浄化に長時間費やすと考えられる。
【解決手段】
竹の茎部分だけでも水浄化効果があることを本発明者らは見出している。炭化していない竹を環境に適応する技術において、竹を水および/または土が存在する場所で人工的に置く。伐採した竹をすぐ利用することにより環境の浄化を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球上に多数存在する植物資源である竹を炭化しない状態で用いて環境問題を解決する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に発展途上国を中心に急激な産業発展に伴う都市化や生産工場の増加により人口増加、飲料等の水不足や生産工場工場等から排出される化学物質由来の廃水または、家庭から出る使用済み洗剤等の生活排水により水環境が悪化する環境問題が進行している。
【0003】
これらの環境問題に対して、水処理として電力等のエネルギー、希少資源、大掛かりな設備が必要とされる。これには多額の費用と労力が必要となる。これらの問題を鑑み、地球上に多数存在する自然な植物資源である竹に注目した。自然素材を加工しないまま用いる水浄化方法が必要であると考えた。
【0004】
竹の環境への適応には、空気(酸素)雰囲気で燃焼させて炭化した竹炭が一般的に知られている。また、炭化する際、発生する煙から作る竹酢液が有効に使用されている。前のものは、脱臭や水浄化等に使用され、後のものは、植物生育促進や人の健康に適応されている。しかし、これらを製造するためには、竹を高温で炭化する操作が必要である。
【0005】
環境保全のため自然の竹材を利用したり、微生物を使った水処理にも適応されている。炭化していない竹の利用について記述されているが竹を加工する必要があるためそのための操作が必要になる。蓬莱竹を用いて水浄化する方法もあるが、根を水中に浸して根から汚染物質を吸収する方法と見受けられる。生育させるための竹を保存して汚染場所まで搬送することや搬送時間、生育の時間が必要なことから環境浄化に長時間費やすと考えられる。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2000−24628
【特許文献2】 特開2000−233195
【特許文献3】 特開2001−276861
【特許文献4】 特開2003−328336
【特許文献5】 特開2007−209867
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のとおり微生物を用いる方法や竹を生育させる方法は、準備や浄化効果が見られるまで時間が必要となる。
しかし、本発明は、炭化された竹を用いないで水と土が共存する場所に人工的に置くことにより環境の浄化を行えることのできる方法を提供することを目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、茎部分だけでも水浄化効果があることを本発明者らは見出している。炭化していない竹を環境に適応する技術において、竹を水および/または土が存在する場所で人工的に置くことにより環境の浄化を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる発明の効果について説明する。本発明の環境改善方法は、炭化していない竹を水および/または土が存在する場所に人工的に置くことにより浄化の高い効果を得られる。
すぐに伐採した竹を利用することが可能である。伐採した竹でも十分水浄化効果が得られる。竹には多数の種類が存在する。
すべての種類で実施は可能であるが取り扱いやすい女竹が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示す竹の概観図
【図2】各容器に入れた水、泥水、竹の概略図
【符号の説明】
【0011】
1 竹
2、3 カットした部分
4 水のみのサンプル1(ブランク)
5 泥水のみサンプル2
6 ペットボトル外側カバー付容器に泥水を入れたサンプル3
7 ペットボトル外側カバー付容器に泥水とカットした竹を入れたサンプル4
8、9 ペットボトル容器(ラベルカバー無し)
10、11 ペットボトル外側ラベルカバー付容器
12 水道水
13、14、15 泥水
16 カットした竹
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、具体的に記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
本発明者らは、自然界の生育している竹の性質、特徴から炭化していない竹を用いて環境の浄化ができないかどうか種々検討した結果、本発明を完成させた。
【0014】
竹は世界各国に生育し、その生命力は強く、材料として各種工事作業の足場や昔から飲み物を保存する竹筒、日差しを遮るすだれ、釣竿、籠等さまざまな日常品として使用されている。その強固な構造と長寿命、根は強く土に生やし土から栄養分、水分を吸い寄せている。
【0015】
竹の水浄化効果は炭化した竹である竹炭による浄化は一般的に知られている。炭は、気相中で有機化合物を吸着し、脱臭効果がある。
また、水中の有機化合物を吸着する効果や酸化物を分解する触媒作用もある。
【0016】
炭化していない竹であり生育している竹を伐採した竹を濁度が高い水に浸漬するだけで水の透明度が高まる現象を発明者らは発見した。
よって、伐採した竹を川やその近傍に置くだけでも水の浄化を行うことができる。
【0017】
富栄養化している湖沼や河川は、工業用、家庭用洗剤に含まれるリン酸(以下P)や窒素化合物(以下N)が廃水として川に流れ込みそれを栄養分にして植物プランクトンが水面で増殖水中への光を遮断する。水中では植物プランクトンの生育を阻害し、死滅した植物プランクトンなどが川底に沈殿し嫌気性微生物が繁殖し悪臭を発生するという問題がある。
【0018】
水中に浮遊している濁質成分を竹の効果により沈殿させ、水の透明度を高めて光を水面だけでなく水中にも透過できるようにし、植物プランクトンを適正に生育させる。
植物プランクトンの生育環境が広まりPやNの消費も増加し植物プランクトンを食料にして動物プランクトンが生育して植物連鎖がうまく維持され水環境、土環境が改善される。
【0019】
水中への空気(酸素)の補給についても竹を通じて行われる。昼間は二酸化炭素を吸収し酸素を放出。夜間は酸素を吸収し二酸化炭素を放出する。
竹は、節部と節部の間が中空でありその強固な構造から吸収したガスを中空空間に蓄えることができると考えられる。生竹を燃焼すると熱による中空内部のガスの体積膨張により耐圧力が耐え切れなくなると大きな音を発して破裂する。
これらのことにより水・土・空気・生物の循環環境が維持できる。
【0020】
伐採した竹を汚染された水環境に置くことにより、濁質成分の沈殿が促進され水の透明度が高まる。この際、竹を川底の土壌に埋め込み水中、水面に垂直に置いてもかまわない。大気中の空気(酸素)を水中に供給することができる。
【実施例】
【0021】
海水と淡水が混じる河川の少し上流側の河川地域の土手に生育する比較的細い竹、直径20cmの女竹を長さ50cm 図1の2,3で切り取ってサンプルとした。
150ml程度の容量に切り取ったペットボトル8,9を用意した。容器8には水道水12のみを入れた。
同じく150ml程度の容量に外側のカバーが付いたままの容器を切り取ったペットボトルに畑の土を約20ml程度採取し、容器9,10,11に入れて水道水を満水近くまで注いだ。容器11は、カットした竹16を入れた。
【0022】
サンプルは、4種類用意した(4,5,6,7)。以下に分かりやすく条件を示す。
【0023】
サンプル1:土なし(水道水のみ)
サンプル2:土有り、水道水
サンプル3:土有り、水道水、ボトル外側カバー有り
サンプル4:土有り、水道水、ボトル外側カバー有り、竹有り
【0024】
サンプル2,3,4(5,6,7)に濁質成分が浮遊する程度に水と土を混合した。攪拌後、一晩放置して次に日に状態を観察した。
【0025】
竹を入れたサンプル4(7)の水部分の透明度が増していた。濁質成分がサンプル2,3(5,6)と比較して沈殿する速度が高まっていた。
【0026】
さらに、サンプル4から竹を抜き取り、サンプル2,3,4(5,6,7)の容器内の土と水を再度攪拌した後、サンプル2に竹を移し変えて一晩放置した。
この際、洗濯機の脱水機内部筒状の容器の外側に付着していたアオコをいっしょに4種類のサンプル内に入れた。
【0027】
サンプル2と3(5,6)を比較して竹を入れていたほうが透明度が高くなっていた。やはり濁質成分の沈殿速度が早くなっていた。
また、一晩放置した後竹に蟻が数十匹集っていた。また、竹の色も緑色から茶色に変化していた。
【0028】
竹が水に浸漬している部分で竹表面には、畑から採取した土粒子が均一な球状を成して吸着していた。
【0029】
竹から濁質物質を凝集させる成分が放出され、濁質成分の沈殿速度を高めたと考えられる。また、水素イオン濃度pHを測定すると
竹を入れなかったサンプル1、3(4、6)は、pHが酸性 5程度であり、竹を入れていたサンプル2,4は、pHが7程度になっていた。
pHの変化も確認された。
【0030】
竹を濁質の高い水に入れることによって、pHを7に回復させていると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化していない竹を環境に適応する技術において、竹を水および/または土が存在する場所で人工的に置くことにより環境の浄化を行うことを特徴とする竹による環境改善方法。

【図1】
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【図2】
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